(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017277
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】内視鏡の接続構造
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240201BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B1/00 714
A61B1/00 715
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119813
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】松下 元彦
(72)【発明者】
【氏名】相原 誠
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040DA03
2H040DA12
2H040DA14
2H040DA17
4C161FF30
4C161FF35
4C161JJ01
(57)【要約】
【課題】湾曲部と先端硬質部との接続強度を高めることが可能な内視鏡の接続構造を提供する。
【解決手段】湾曲部18の先端リング30と先端硬質部16の管状部材32とを接続するための内視鏡の接続構造において、管状部材32には、連結管36の外周部36Aから突出した係止突起部52を有する弾性変形可能なスナップフィット部50が設けられ、先端リング30には、係止突起部52に係止される被係止孔60が設けられ、スナップフィット部50は、連結管36の外周部36Aに両端が両持ち状態で支持され、管状部材32の先端リング30に対する着脱の際に、連結管36の径方向内側に弾性変形する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲部の先端側に配置された先端リングと、先端硬質部の基端側に配置され前記先端リングに内挿される管状部材とを接続するための内視鏡の接続構造において、
前記管状部材には、前記管状部材の外周部から突出した係止突起部を有する弾性変形可能なスナップフィット部が設けられ、
前記先端リングには、前記係止突起部に係止される被係止部が設けられ、
前記スナップフィット部は、前記管状部材の外周部に両端が両持ち状態で支持され、前記管状部材の前記先端リングに対する着脱の際に、前記管状部材の径方向内側に弾性変形する、
内視鏡の接続構造。
【請求項2】
前記スナップフィット部は、前記管状部材の外周部に形成された一対のスリットの間に設けられる、
請求項1に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項3】
前記係止突起部は、前記先端リング側に向けて傾斜した傾斜面を有し、
前記管状部材の前記先端リングへの挿入動作が行われる際に、前記傾斜面が前記先端リングの開口縁に当接して前記スナップフィット部を弾性変形させる、
請求項1又は2に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項4】
前記係止突起部は、前記傾斜面とは反対側に設けられ、且つ、前記被係止部に引っ掛けられる鉤状部を有する、
請求項3に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項5】
前記被係止部は、前記先端リングの外周面に設けられた被係止孔であり、
前記鉤状部は、前記被係止孔に係止され、且つ、前記管状部材の前記先端リングからの離脱を阻止する係止面を有する、
請求項4に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項6】
前記スナップフィット部は、前記管状部材の外周部に両端が両持ち状態で支持された弾性変形体を有する、
請求項1又は2に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項7】
前記弾性変形体は、前記スナップフィット部を除いた前記管状部材の外周部の他の部分よりも薄肉に形成されている、
請求項6に記載に内視鏡の接続構造。
【請求項8】
前記弾性変形体は、前記管状部材の軸方向に延在されている、
請求項6に記載に内視鏡の接続構造。
【請求項9】
前記係止突起部は、前記弾性変形体の延在方向において前記弾性変形体の基端側に設けられる、
請求項8に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項10】
前記弾性変形体は、前記係止突起部から離れるに従って肉厚が薄く形成される、
請求項9に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項11】
前記被係止部は、前記先端リングの周方向に複数個所に設けられ、
前記係止突起部は、前記管状部材の周方向に複数個所に設けられる、
請求項1又は2に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項12】
前記被係止部は、前記先端リングの周方向に等間隔に設けられ、
前記係止突起部は、前記管状部材の周方向に等間隔に設けられる、
請求項11に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項13】
前記被係止部は、前記先端リングの周方向に等間隔で3箇所に設けられ、
前記係止突起部は、前記管状部材の周方向に等間隔で3箇所に設けられる、
請求項1又は2に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項14】
前記先端リングは金属製であり、
前記管状部材は樹脂製である、
請求項1又は2に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項15】
前記管状部材は、前記管状部材の一端側から前記管状部材の軸方向に沿って前記管状部材の他端側に向けて形成される案内スリットを有し、
前記先端リングは、
前記先端リングの内周面から隙間をあけて配置され、前記先端リングの軸方向に垂直な断面が円弧状の補強リブと、
前記先端リングの内周面と前記補強リブとの間を連結するリブ連結体と、
を有し、
前記リブ連結体が前記案内スリットに係合されて前記管状部材と前記先端リングとが接続された場合に、前記先端リングの内周面と前記補強リブとの間に前記管状部材の外周部が挟み込まれ、前記管状部材の外周部が前記補強リブに受け支えられる、
請求項1又は2に記載の内視鏡の接続構造。
【請求項16】
前記リブ連結体と前記被係止部とは、前記先端リングの周方向において互いにずれた位置に設けられる、
請求項15に記載の内視鏡の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の接続構造に係り、特に内視鏡の挿入部を構成する湾曲部と先端硬質部とを接続するための内視鏡の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、一般に手元操作部と、手元操作部に基端部が接続された挿入部とを有している。挿入部は、手元操作部に基端部が接続された軟性部を有し、この軟性部の先端側に湾曲部の基端側が接続されている。
【0003】
挿入部の先端側には、上記の湾曲部と先端硬質部とが挿入部の長手軸方向に連設されている。湾曲部は、複数のリング(節輪とも言う。)を挿入部の長手軸方向に連結することにより構成されている。湾曲部を構成する複数のリングのうち最先端に位置する先端リングは、先端硬質部を構成する管状部材の基端側に接続されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された内視鏡の接続構造は、先端リングの凸部と管状部材の凹部とを嵌合させることにより湾曲部と先端硬質部とを接続する構造が採用されている。
【0005】
一方、特許文献2には、凹部と凸部とを弾性をもって嵌合させる構造(いわゆるスナップフィット構造)によって軟性部と湾曲部とを接続する接続構造が開示されている。具体的には、軟性部の連結リングに形成された凹部に、湾曲部の連結リングに形成された凸部を嵌合させることで軟性部と湾曲部とが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2013/125311号
【特許文献2】特開2012-200451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の接続構造は、凸部と凹部とを嵌合させるために、挿入部の長手軸の周方向において凸部と凹部との位置を細かく位置合わせする必要があり、また、細かな接続作業が強いられることから接続作業が煩わしくなるという問題がある。
【0008】
かかる問題に対して、湾曲部と先端硬質部との接続作業を容易化するために、特許文献1の接続構造に対して、例えば、特許文献2に開示されるスナップフィット構造を適用することが考えられる。スナップフィット構造によれば、挿入部の長手軸の周方向における凸部と凹部との位置を大まかに位置合わせした後、長手軸方向に両者を互いに押し込むことにより接続可能となるため、両者の接続作業を容易に行うことが可能となる。
【0009】
しかしながら、上記のスナップフィット構造では、以下に述べる新たな問題が生じるおそれがある。すなわち、凹部から凸部を外す方向(例えば、先端リングと管状部材とを挿入部の長手軸方向に引き離す方向、又は先端リングと管状部材とを折り曲げる方向)の力が凹部又は凸部に作用した場合、凹部から凸部が容易に外れてしまう場合がある。特にスナップフィット構造のものは、一般に凹部又は凸部は片持ち状態で支持された弾性変形体の自由端側に設けられており、この弾性変形体が上記の力によって撓むため凹部から凸部が外れてしまい、湾曲部と先端硬質部とが容易に外れる場合がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、湾曲部と先端硬質部との接続強度を高めることが可能な内視鏡の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の内視鏡の接続構造は、上記の目的を達成するために、湾曲部の先端側に配置された先端リングと、先端硬質部の基端側に配置され先端リングに内挿される管状部材とを接続するための内視鏡の接続構造において、管状部材には、管状部材の外周部から突出した係止突起部を有する弾性変形可能なスナップフィット部が設けられ、先端リングには、係止突起部に係止される被係止部が設けられ、スナップフィット部は、管状部材の外周部に両端が両持ち状態で支持され、管状部材の先端リングに対する着脱の際に、管状部材の径方向内側に弾性変形する。
【0012】
本発明の一形態によれば、スナップフィット部は、管状部材の外周部に形成された一対のスリットの間に設けられることが好ましい。
【0013】
本発明の一形態によれば、係止突起部は、先端リング側に向けて傾斜した傾斜面を有し、管状部材の先端リングへの挿入動作が行われる際に、傾斜面が先端リングの開口縁に当接してスナップフィット部を弾性変形させることが好ましい。
【0014】
本発明の一形態によれば、係止突起部は、傾斜面とは反対側に設けられ、且つ、被係止部に引っ掛けられる鉤状部を有することが好ましい。
【0015】
本発明の一形態によれば、被係止部は、先端リングの外周面に設けられた被係止孔であり、鉤状部は、被係止孔に係止され、且つ、管状部材の先端リングからの離脱を阻止する係止面を有することが好ましい。
【0016】
本発明の一形態によれば、スナップフィット部は、管状部材の外周部に両端が両持ち状で支持された弾性変形体を有することが好ましい。
【0017】
本発明の一形態によれば、弾性変形体は、スナップフィット部を除いた管状部材の外周部の他の部分よりも薄肉に形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の一形態によれば、弾性変形体は、管状部材の軸方向に延在されていることが好ましい。
【0019】
本発明の一形態によれば、係止突起部は、弾性変形体の延在方向において弾性変形体の基端側に設けられることが好ましい。
【0020】
本発明の一形態によれば、弾性変形体は、係止突起部から離れるに従って肉厚が薄く形成されることが好ましい。
【0021】
本発明の一形態によれば、被係止部は、先端リングの周方向に複数個所に設けられ、係止突起部は、管状部材の周方向に複数個所に設けられることが好ましい。
【0022】
本発明の一形態によれば、被係止部は、先端リングの周方向に等間隔に設けられ、係止突起部は、管状部材の周方向に等間隔に設けられることが好ましい。
【0023】
本発明の一形態によれば、被係止部は、先端リングの周方向に等間隔で3箇所に設けられ、係止突起部は、管状部材の周方向に等間隔で3箇所に設けられることが好ましい。
【0024】
本発明の一形態によれば、先端リングは金属製であり、管状部材は樹脂製であることが好ましい。
【0025】
本発明の一形態によれば、管状部材は、管状部材の一端側から管状部材の軸方向に沿って管状部材の他端側に向けて形成される案内スリットを有し、先端リングは、先端リングの内周面から隙間をあけて配置され、先端リングの軸方向に垂直な断面が円弧状の補強リブと、先端リングの内周面と補強リブとの間を連結するリブ連結体と、を有し、リブ連結体が案内スリットに係合されて管状部材と先端リングとが接続された場合に、先端リングの内周面と補強リブとの間に管状部材の外周部が挟み込まれ、管状部材の外周部が補強リブに受け支えられることが好ましい。
【0026】
本発明の一形態によれば、リブ連結体と被係止部とは、先端リングの周方向において互いにずれた位置に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、湾曲部と先端硬質部との接続強度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】内視鏡システムの一例を示した全体構成図である。
【
図2】2つのバルーンを膨張及び収縮させるための管路構造を示した説明図である。
【
図3】第1実施形態の内視鏡接続構造によって先端硬質部と湾曲部とが接続された状態を示した要部斜視図である。
【
図4】先端硬質部と湾曲部とが接続される前状態を示した要部斜視図である。
【
図5】
図3に示した先端硬質部と湾曲部とを長手軸に沿って切断した断面図である。
【
図6】第1実施形態の接続構造の要部を示した斜視図である。
【
図7】第1実施形態の内視鏡接続構造により係止突起部が被係止孔に係止される動作を示した説明図である。
【
図8】第2実施形態の内視鏡接続構造により接続される先端リングと管状部材とを互いに分離して示した斜視図である。
【
図9】
図8に示した先端リングを見る方向を変えて示した斜視図である。
【
図10】
図8に示した先端リングを見る方向を変えて示した斜視図である。
【
図11】第2実施形態の内視鏡接続構造により案内スリットがリブ連結体に係合される動作を示した説明図である。
【
図12】リブ連結体が案内スリットに係合された状態を示した要部拡大斜視図である。
【
図13】第2リブ部によって管状部材が支えられている状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡の接続構造の実施形態について説明する。
【0030】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。以下では、第1実施形態に係る内視鏡の接続構造(以下、「内視鏡接続構造」という。)が適用された内視鏡10を含む内視鏡システム1の全体構成について説明してから、第1実施形態に係る内視鏡接続構造について詳しく説明する。
【0031】
図1は、内視鏡システム1の一例を示した全体構成図である。
図1に示す本例の内視鏡システム1は、ダブルバルーン式の内視鏡システムであり、バルーン付きの電子内視鏡である内視鏡10と、バルーン付きのオーバーチューブ120と、光源装置140と、プロセッサ装置160と、バルーンコントローラ180と、リモートコントローラ200と、モニタ220と、を備えている。
【0032】
内視鏡10は、第1実施形態に係る内視鏡接続構造が適用された内視鏡であり、被検体の管腔内(例えば小腸、大腸)に挿入される挿入部12と、挿入部12の基端側に接続され、術者が操作を行うための手元操作部14とを備えている。
【0033】
手元操作部14にはユニバーサルコード100が接続され、ユニバーサルコード100の先端には光源用コネクタ102が設けられている。光源用コネクタ102にはケーブル104が接続され、ケーブル104の先端にはプロセッサ用コネクタ106が設けられている。光源用コネクタ102及びプロセッサ用コネクタ106は、光源装置140及びプロセッサ装置160にそれぞれ着脱自在に接続される。また、手元操作部14には、送気送水ボタン110、吸引ボタン112、一対のアングルノブ114及び処置具導入口116等が設けられている。
【0034】
挿入部12は、挿入部12の先端に設けられ、被検体内撮影用の撮像素子等が内蔵された先端硬質部16と、先端硬質部16の基端側に接続された湾曲自在な湾曲部18と、湾曲部18の基端側に接続された可撓性を有する軟性部20とを有している。先端硬質部16、湾曲部18及び軟性部20は、挿入部12の長手軸Aに沿って連設されている。
【0035】
先端硬質部16は、図示は省略するが、公知の観察窓、光源装置140から供給された照明光を出射する照明窓、及び送気送水を行うノズル等を備えている。先端硬質部16は、本発明の先端硬質部の一例である。
【0036】
先端硬質部16には、バルーン22が着脱自在に取り付けられる。バルーン22は、ゴム等の弾性材によって端部が絞られた略筒状に形成されており、小径の先端部及び基端部と、中央の膨出部とを有する。バルーン22は、内部に先端硬質部16を挿通させて先端硬質部16の所定位置に配置した後、例えば、先端部及び基端部にゴム製のリングを嵌め込むことによって先端硬質部16に固定される。
【0037】
湾曲部18は、手元操作部14のアングルノブ114の操作に連動して上下及び左右方向に湾曲動作する。これにより、先端硬質部16を体内の所望の方向に向けることができる。湾曲部18は、本発明の湾曲部の一例である。軟性部20は、先端硬質部16を体内の目的の位置に到達させるために数mの長さを有している。
【0038】
挿入部12、手元操作部14及びユニバーサルコード100の内部には、不図示の信号ケーブルが挿通配置されており、信号ケーブルは、先端硬質部16に内蔵された撮像素子とプロセッサ用コネクタ106とを電気的に接続している。プロセッサ装置160は、撮像素子からの撮像信号に各種画像処理を行って映像信号に変換し、これをケーブル接続されたモニタ220に観察画像として表示させる。
【0039】
オーバーチューブ120は、内視鏡10の挿入部12に着脱自在に被覆されるものであり、術者が把持する把持部122と、本体部124と、バルーン126とを備えている。把持部122は、プラスチック等の硬質材料からなる筒状体である。本体部124は、ポリウレタン等の可撓性材料によって略筒状に形成され、把持部122の先端側に外嵌されて固定される。
【0040】
バルーン126は、ゴム等の弾性材によって端部が絞られた略筒状に形成されており、小径の先端部及び基端部と、中央の膨出部とを有する。バルーン126は、本体部124の先端外周面に被せられ、例えば、先端部及び基端部に糸を巻回し、その上に接着剤を塗布することによって本体部124に固定される。
【0041】
図2は、2つのバルーン22、126を膨張及び収縮させるための管路構造を示した説明図である。なお、
図2では内視鏡10及びオーバーチューブ120を簡略化して図示している。
【0042】
図2に示すように、内視鏡10は、バルーン22に流体(例えば空気)を供給及び吸引するための管路24を有している。管路24は、挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルコード100及び光源用コネクタ102の内部に挿通配置されている。管路24は、可撓性を有するチューブから構成され、管路24の先端が先端硬質部16の外周面に形成されたバルーン用の開口26に連通されている。開口26は、バルーン22の装着位置に形成され、開口26から流体の供給及び吸引を行うことによりバルーン22が膨張及び収縮される。
【0043】
管路24の基端は、光源用コネクタ102に設けられた口金108に接続されている。口金108にはチューブ118が接続され、チューブ118はバルーンコントローラ180に接続される。バルーンコントローラ180によって流体を供給及び吸引することによりバルーン22が膨張及び収縮される。
【0044】
オーバーチューブ120の本体部124の内部には、オーバーチューブ120の長手軸方向に沿って管路128及び管路130が形成されている。管路128は、内視鏡10の挿入部12が挿通される孔であり、且つ、管路128の内径が挿入部12の外径よりも若干大きく形成されている。
【0045】
オーバーチューブ120の使用時には、水等の潤滑剤を管路128の内周面(挿入部12と本体部124との隙間)に供給し、挿入部12と本体部124との摩擦を低減する。潤滑剤は、
図1に示すコネクタ132から注射器等(図示せず)によって管路128(
図2参照)に注入される。
【0046】
図2に示すように、管路130は、バルーン126に流体(例えば空気)を供給及び吸引するための管路であり、管路128の管壁内に設けられている。管路130は、管路130の先端が本体部124の外周面に形成されたバルーン用の開口134に連通されている。開口134は、バルーン126の装着位置に形成され、開口134から流体の供給及び吸引を行うことによりバルーン126が膨張及び収縮される。
【0047】
管路130の基端には、チューブ136が接続され、チューブ136の基端には、コネクタ137が接続される。コネクタ137にはチューブ138が接続され、チューブ138はバルーンコントローラ180に接続される。バルーンコントローラ180によって流体を供給及び吸引することによりバルーン126が膨張及び収縮される。
【0048】
バルーンコントローラ180は、内視鏡10側のバルーン22と、オーバーチューブ120側のバルーン126とを交互に膨張及び収縮させるためにバルーン22、126に別々に流体の供給及び吸引を行うものであり、ポンプ及び電磁弁等を有している。バルーンコントローラ180には、ケーブル182を介してリモートコントローラ200が電気的に接続されている。
【0049】
バルーンコントローラ180は、バルーン22、126に流体を供給して膨張させたり、バルーン22、126内の流体圧(圧力値)を一定値に制御してバルーン22、126を膨張状態に保持させたりする。また、バルーンコントローラ180は、バルーン22、126から流体を吸引して収縮させたり、バルーン22、126内の流体圧を一定値に制御してバルーン22、126を収縮状態に保持させたりする。
【0050】
図1に示すように、バルーンコントローラ180の前面には、表示部184が設けられている。表示部184には、バルーン22、126を膨張及び収縮させる際に、バルーン22、126の圧力値、膨張状態及び収縮状態が表示される。また、表示部184には、バルーン22、126の破れ等の異常発生時にエラーコードが表示される。なお、バルーン22、126の圧力値、膨張状態及び収縮状態は、内視鏡10の観察画像にスーパーインポーズしてモニタ220に表示してもよい。また、バルーンコントローラ180には、電源スイッチ186等が設けられている。
【0051】
バルーンコントローラ180の前面パネル188には、バルーン22、126への流体供給用及び吸引用のチューブ118、138が取り付けられている。各チューブ118、138と、バルーンコントローラ180との接続部分には、不図示の逆流防止ユニットが設けられている。逆流防止ユニットは、前面パネル188に着脱自在に装着された中空円盤状のケース190の内部に気液分離用のフィルタを組み込んで構成されている。この逆流防止ユニットは、バルーン22、126が破れた際に、体液等の液体がバルーンコントローラ180内に流入することを防止する。
【0052】
リモートコントローラ200は、本体ケース202を有し、本体ケース202の前面にバルーン操作部204、206、バルーン一時停止ボタン208、210及び停止ボタン212等が設けられる。
【0053】
バルーン操作部204は、バルーンコントローラ180に対し、バルーン22に流体を供給又は吸引させてバルーン22を膨張又は収縮させるための操作を行うプッシュボタンである。バルーン操作部206は、バルーンコントローラ180に対し、バルーン126に流体を供給又は吸引させてバルーン126を膨張又は収縮させるための操作を行うプッシュボタンである。バルーン一時停止ボタン208は、バルーンコントローラ180に対し、バルーン22の流体圧を一定値に制御してバルーン22を膨張状態又は収縮状態に保持させるための操作を行うプッシュボタンである。バルーン一時停止ボタン210は、バルーンコントローラ180に対し、バルーン126の流体圧を一定値に制御してバルーン126を膨張状態又は収縮状態に保持させるための操作を行うプッシュボタンである。停止ボタン212は、バルーンコントローラ180に対し、例えばバルーン22、126を強制的に収縮させるための操作を行うプッシュボタンである。
【0054】
次に、第1実施形態に係る内視鏡接続構造について、
図3乃至
図6を参照して詳しく説明する。
図3は、先端硬質部16と湾曲部18とが第1実施形態に係る内視鏡接続構造によって接続された状態を示した要部斜視図である。
図4は、先端硬質部16と湾曲部18とが接続される前状態を示した要部斜視図であって、長手軸A方向に互いを離間させて示した要部斜視図である。
図5は、
図3に示した先端硬質部16と湾曲部18とを長手軸Aに沿って切断した場合の断面図である。
図6は、第1実施形態に係る内視鏡接続構造の要部を拡大して示した斜視図である。
【0055】
図3乃至
図6に示すように、湾曲部18は、先端側に先端リング30が配置される。先端リング30は、湾曲部18を構成する複数のリング(先端リング30以外のリングは不図示)のうち、長手軸A方向において最先端に位置するリングである。また、先端リング30は先端側に連結リング33を有している。先端リング30は、本発明の先端リングの一例であり、例えばステンレス等の金属製である。なお、
図3乃至
図6には図示されてはいないが、先端リング30を含む全てのリングは、湾曲部18を構成する筒状の外被によって被覆されている。
【0056】
図3乃至
図6に示すように、先端硬質部16は、基端側に管状部材32が配置される。管状部材32は、基端側に連結管36を有しており、連結管36の外周部36Aの基端側が、先端硬質部16と湾曲部18とを接続する際に先端リング30の連結リング33に内挿される。管状部材32は、本発明の管状部材の一例であり、例えばポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン及びポリフェニルサルホン等の樹脂製である。
【0057】
また、
図5に示すように、先端硬質部16は、管状部材32の先端側に配置された先端部本体38と、先端部本体38の先端面に装着されたキャップ40とを有している。先端部本体38及びキャップ40には、処理具導出用の開口42がそれぞれ形成されており、開口42は不図示の鉗子チャンネル等を介して処置具導入口116(
図1参照)に連通されている。
【0058】
ここで、第1実施形態においては、先端硬質部16と湾曲部18とを着脱自在に接続可能とするために、
図4に示すように、管状部材32には、スナップフィット部50が設けられている。スナップフィット部50は、連結管36の外周部36Aに設けられ、且つ、長手軸A周りの周方向Bにおいて等間隔で3箇所に設けられている。スナップフィット部50は弾性変形可能に構成されており、連結管36の外周部36Aから突出した係止突起部52を有している。係止突起部52は、先端硬質部16と湾曲部18とが接続された状態において先端リング30に設けられた被係止孔60に係止される部分である。
【0059】
以下、スナップフィット部50の詳細について説明する。
図6に示すように、本例のスナップフィット部50は、管状部材32の軸方向(長手軸A方向)に延在された弾性変形体54を有する。弾性変形体54は樹脂製の弾性変形可能な部材であり、先端硬質部16と湾曲部18とを接続する際に先端リング30から外力を受けて弾性変形する。弾性変形体54は、一例として長手軸A方向に長辺を有する矩形の板状体であり、この板状体の基端側に係止突起部52が一体に形成されている。このような構成により、長手軸A方向における弾性変形体54の先端54Aが、スナップフィット部50の両端のうちの一方端として構成され、弾性変形体54の基端54Bが上記両端のうちの他方端として構成されている。先端54A及び基端54Bは、連結管36の外周部36Aに設けられている。その結果、本例のスナップフィット部50は、片持ち状態で支持された従前のスナップフィット部とは構成が異なり、弾性変形体54の両端(先端54A及び基端54B)が連結管36の外周部36Aに両持ち状態で支持された構成となっている。スナップフィット部50は、本発明のスナップフィット部の一例であり、弾性変形体54は、本発明の弾性変形体の一例である。
【0060】
図4に示すように、スナップフィット部50は、連結管36の外周部36Aに形成された一対のスリット56の間に設けられている。一対のスリット56は、長手軸A方向に沿って互いに平行に形成されている。このような構成により、スナップフィット部50は、先端54Aと基端54Bのみが連結管36の外周部36Aに支持された構成となっている。その結果、スナップフィット部50は、先端54Aと基端54Bとを撓み支点として、連結管36の径方向内側に円滑に弾性変形される。
【0061】
また、
図6に示すように、弾性変形体54は、スナップフィット部50を除いた連結管36の外周部36Aの他の部分よりも薄肉に形成されている。ここで、弾性変形体54において、上記の薄肉に形成されている部分とは、弾性変形体54のうち係止突起部52が形成された弾性変形体54の基端54B側を除く他の部分である。また、弾性変形体54は、係止突起部52から先端54A側に向けて離れるに従って肉厚が薄く形成されている。
【0062】
このように構成されたスナップフィット部50によれば、弾性変形体54は、スナップフィット部50を除いた連結管36の外周部36Aの他の部分よりも薄肉に形成されているので、全体として弾力性を有し、その結果、スナップフィット部50は、連結管36の径方向内側により円滑に弾性変形される。また、本例のスナップフィット部50によれば、弾性変形体54は、係止突起部52から先端54A側に向けて離れるに従って肉厚が薄く形成されているので、より一層弾力性を有し、その結果、スナップフィット部50は、連結管36の径方向内側により一層円滑に弾性変形される。
【0063】
図4及び
図6に示すように、係止突起部52は、先端リング30側に向けて傾斜した傾斜面52Aを有している。傾斜面52Aは、係止突起部52の基端側に形成されており、連結管36の先端リング30(連結リング33)への挿入動作が行われる際に、先端リング30の開口縁31に対向配置される。このように構成された傾斜面52Aによれば、上記の挿入動作が行われる際に、先端リング30の開口縁31に当接してスナップフィット部50を弾性変形させる。その結果、スナップフィット部50は、上記の挿入動作時において連結管36の径方向内側に円滑に弾性変形される。係止突起部52は、本発明の係止突起部の一例である。なお、3箇所に設けられた3つの係止突起部52の外接円の直径は、連結リング33の内径よりも若干大きく形成されている。
【0064】
また、
図6に示すように、係止突起部52は鉤状部53を有する。鉤状部53は、傾斜面52Aとは反対側の先端側に設けられ、且つ、後述する被係止孔60に引っ掛けられる。また、鉤状部53は、被係止孔60に係止され、且つ、管状部材32の先端リング30からの離脱を阻止する係止面53Aを有している。係止面53Aは、一例として長手軸A方向に対して直角をなす垂直面として形成されている。鉤状部53は、本発明の鉤状部の一例であり、係止面53Aは、本発明の係止面の一例である。
【0065】
図3乃至
図6に示すように、先端リング30には、係止突起部52に係止される被係止孔60が設けられている。被係止孔60は、連結リング33の外周面33Aに設けられ、且つ、係止突起部52の配置位置に対応して長手軸A周りの周方向Bにおいて等間隔で3箇所に設けられている。このような構成により、係止突起部52の鉤状部53は、連結リング33の内周面33B(
図7参照)側から外周面33A(
図7参照)側に向けて突出されて被係止孔60に引っ掛けられ、係止面53Aが被係止孔60に係止される。被係止孔60は、本発明の被係止部の一例である。
【0066】
次に、第1実施形態の内視鏡接続構造を利用して先端硬質部16と湾曲部18とを接続する手順について、
図7に示す動作図を参照して説明する。
【0067】
まず、
図7のVIIAに示すように、長手軸A方向において先端リング30と管状部材32とを互いに対向配置し、且つ、周方向Bにおいてスナップフィット部50の係止突起部52と被係止孔60との位置をそれぞれ合わせる。その後、先端リング30の連結リング33に向けて連結管36の外周部36Aを挿入していくと、係止突起部52の傾斜面52Aが、先端リング30の開口縁31に当接する。その結果、スナップフィット部50が開口縁31に押されて連結管36の径方向内側に弾性変形していく。
【0068】
そして、
図7のVIIBに示すように、継続して挿入動作を行うと、係止突起部52の傾斜面52Aが連結リング33の内周面33Bに更に押圧されることによりスナップフィット部50が連結管36の径方向内側に更に弾性変形していく。このように連結管36の挿入動作に連動してスナップフィット部50が徐々に大きく弾性変形していくことにより、連結管36の外周部36Aが先端リング30の連結リング33に円滑に挿入されていく。
【0069】
そして、
図7のVIICに示すように、係止突起部52が被係止孔60に到達すると、スナップフィット部50は連結リング33の内周面33Bによる押圧規制が解除されるので、元の状態に弾性復帰する。これにより、係止突起部52の鉤状部53が被係止孔60に引っ掛けられ、係止面53Aが被係止孔60に係止される。その結果、管状部材32の先端リング30からの離脱が阻止されて先端硬質部16と湾曲部18とが接続される。
【0070】
一方、管状部材32を先端リング30から離脱させる場合には、被係止孔60に係止された係止突起部52を連結管36の径方向内側に押圧し、スナップフィット部50を連結管36の径方向内側に弾性変形させて係止突起部52を被係止孔60から取り外す。これにより、管状部材32を先端リング30から離脱させることができる。
【0071】
このように第1実施形態の内視鏡接続構造によれば、両持ち状態で支持された弾性変形可能なスナップフィット部50を管状部材32に設け、先端リング30に設けた被係止孔60にスナップフィット部50の係止突起部52を係止させることで、先端リング30と管状部材32とを接続する構成を採用したので、先端硬質部16と湾曲部18とが接続された状態において、係止突起部52を被係止孔60から外す方向(例えば、先端リング30と管状部材32とを長手軸A方向に引き離す方向、又は先端リング30と管状部材32とを折り曲げる方向)の力が係止突起部52又は被係止孔60に作用しても、本例のスナップフィット部50は容易に撓まない。これにより、上記の力が作用した場合であっても、係止突起部52と被係止孔60との係止状態が保持されるので、湾曲部18と先端硬質部16との接続強度を高めることが可能となる。
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、この変形例は、後述する第2実施形態にも適用可能である。
【0072】
第1実施形態では、連結管36の外周部36Aに形成された一対のスリット56の間にスナップフィット部50を設けた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、スリット56を設けることなく、外周部36Aのうち一対のスリット56の形成位置に対応する部分の肉厚を、外周部36Aの他の部分よりも薄肉に形成した構成を採用してもよい。但し、スナップフィット部50を円滑に弾性変形させる観点からみれば、一対のスリット56の間にスナップフィット部50を設けた上記の構成を採用することが好ましい。
【0073】
第1実施形態では、弾性変形体54を管状部材32の軸方向(長手軸A方向)に延在させた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、弾性変形体54を管状部材32の軸方向に対して傾斜した方向に延在させた構成を採用してもよい。但し、スナップフィット部50を円滑に弾性変形させる観点からみれば、弾性変形体54を管状部材32の軸方向に延在させた上記の構成を採用することが好ましい。
【0074】
第1実施形態では、弾性変形体54の基端54B側に係止突起部52を設けた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、係止突起部52を弾性変形体54の先端54A側に設けてもよく、先端54A側と基端54B側との間に設けた構成を採用してもよい。但し、先端硬質部16と湾曲部18との接続作業性を向上させる観点からみれば、弾性変形体54の基端54B側に係止突起部52を設けた上記の構成を採用することが好ましい。
【0075】
第1実施形態では、被係止部として被係止孔60を適用した構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、被係止部として、連結リング33の内周面33Bに凹状の溝を形成し、この溝に係止突起部52を係止させる構成を採用してもよい。但し、係止突起部52との係止力を向上させる観点からみれば、被係止部として被係止孔60を適用した上記の構成を採用することが好ましい。
【0076】
第1実施形態では、係止突起部52と被係止孔60とをそれぞれ周方向Bに等間隔で3箇所に設けた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、係止突起部52と被係止孔60とをそれぞれ1箇所に設けた構成を採用してもよい。但し、先端硬質部16と湾曲部18との接続強度を高める観点からみれば、係止突起部52と被係止孔60とをそれぞれ周方向Bに等間隔で3箇所に設けた上記の構成を採用することが好ましい。
【0077】
また、係止突起部52と被係止孔60の配置位置は等間隔の3箇所に限定されず、係止突起部52と被係止孔60は、周方向Bにおいてそれぞれ複数個所に設けられていればよい。この場合、周方向Bに等間隔に設けられていることが好ましい。これにより、周方向Bにおいて均一な接続強度を得ることができる。
【0078】
第1実施形態では、先端リング30を金属製とし、管状部材32を樹脂製とした構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、先端リング30を樹脂製とし、管状部材32を金属製とした構成を採用してもよい。但し、接続強度を高め、且つ、管状部材32を先端リング30に円滑に装着する観点からみれば、先端リング30を金属製とし、管状部材32を樹脂製とした上記の構成を採用することが好ましい。
【0079】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る内視鏡接続構造について説明する。
【0080】
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、先端リング30と管状部材32との接続強度を更に高めるべく、先端リング30と管状部材32との接続部分に位置する連結管36を補強したものである。なお、以下では、第1実施形態と共通する部分については説明を省略し、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0081】
図8乃至
図10は、第2実施形態に係る内視鏡接続構造を説明するための図である。
図8乃至
図10において、第1実施形態と共通又は類似する部材については同一の符号を付している。
【0082】
図8は、先端リング30と管状部材32とを互いに分離して示した斜視図であって、先端リング30の先端側と管状部材32の基端側を見せた斜視図である。
図9及び
図10は、
図8に示した先端リング30に対してそれぞれ見る方向を変えて示した先端リング30の斜視図である。
【0083】
図8に示すように、管状部材32の連結管36は、案内スリット70を有している。案内スリット70は、連結管36の一端側である基端側の開口縁37から管状部材32の軸方向(長手軸A方向)に沿って連結管36の他端側である先端側に向けて形成されている。また、案内スリット70は、周方向Bにおいて等間隔で3箇所に設けられており、これらの案内スリット70と3箇所に配置されたスナップフィット部50とは、周方向Bにおいて互いにずれた位置に設けられている。案内スリット70は、本発明の案内スリットの一例である。
【0084】
図8乃至
図10に示すように、先端リング30は、補強リブ72と、リブ連結体74とを有する。補強リブ72は、連結リング33の内周面33Bから隙間をあけて配置され、先端リング30の軸方向(長手軸A方向)に垂直な断面が円弧状に形成されている。リブ連結体74は、連結リング33の内周面33Bと補強リブ72との間を連結する連結体であり、案内スリット70に係合可能な形状、例えば矩形のブロック状に形成されている。また、連結リング33の内周面33Bと補強リブ72との間の隙間は、連結管36の外周部36Aの厚さと略等しく形成されている。リブ連結体74は、周方向Bにおいて等間隔で3箇所に設けられており、これらのリブ連結体74と3箇所に配置された被係止孔60とは、周方向Bにおいて互いにずれた位置に設けられている。補強リブ72は、本発明の補強リブの一例であり、リブ連結体74は、本発明のリブ連結体の一例である。
【0085】
また、周方向Bにおける案内スリット70とリブ連結体74との配置位置は、周方向Bにおいてスナップフィット部50の係止突起部52と被係止孔60との位置をそれぞれ合わせた場合に、周方向Bにおいて互いの位置がそれぞれ合う位置に設定されている。
【0086】
次に、第2実施形態の内視鏡接続構造を利用して先端硬質部16と湾曲部18とを接続する手順について、
図11に示す動作図を参照して説明する。
【0087】
まず、
図11のXIAに示すように、周方向Bにおいてスナップフィット部50の係止突起部52と被係止孔60との位置をそれぞれ合わせる。これにより、周方向Bにおいて案内スリット70とリブ連結体74との位置がそれぞれ合わせられる。その後、
図11のXIBに示すように、先端リング30に向けて連結管36の外周部36Aを挿入していくと、連結管36の外周部36Aが、連結リング33の内周面33Bと補強リブ72との間の隙間に挿入されていき、案内スリット70にリブ連結体74が係合する。これにより、先端リング30と管状部材32とは周方向Bにおける相対的な回転動作が規制される。その後、案内スリット70とリブ連結体74とをガイドにして連結管36の外周部36Aを先端リング30に真っ直ぐに挿入していくと、
図11のXICに示すように連結管36の外周部36Aが補強リブ72によって受け支えられた状態となる。
【0088】
また、上記動作と並行して、上述した第1実施形態の内視鏡接続構造と同様に、管状部材32に設けたスナップフィット部50の係止突起部52が、先端リング30に設けた被係止孔60に係止された状態となる。このようにして先端リング30と管状部材32との接続が行われ、その結果、先端硬質部16と湾曲部18とが接続された状態となる。
【0089】
図12は、リブ連結体74が案内スリット70に係合完了した状態(換言すれば、係止突起部52が被係止孔60に係止された状態。つまり、先端硬質部16と湾曲部18とが接続された状態。)を先端リング30の内側から見た要部拡大斜視図である。
図12に示すように、リブ連結体74が案内スリット70に係合完了した場合、連結リング33の内周面33Bと補強リブ72との間の隙間に連結管36の外周部36Aが挟み込まれ、外周部36Aが補強リブ72に受け支えられる。これにより、連結管36の強度が補強リブ72によって補強されるので、先端硬質部16と湾曲部18との接続強度を更に高めることができる。
【0090】
次に、先端リング30に設けられる3つの補強リブ72(72A、72B、72C)の形状について詳しく説明する。
図8に示すように、3つの案内スリット70(70A、70B、70C)のうち案内スリット70Aに対応する補強リブ72Aは、リブ連結体74に対して周方向Bの両側にそれぞれ延在された第1リブ部73Aと第2リブ部73Bとを有している。具体的に説明すると、
図8の矢印C方向から補強リブ72Aを見た場合、リブ連結体74に対して第1リブ部73Aは反時計回り方向に延在され、第2リブ部73Bは時計回り方向に延在されている。
【0091】
これに対して、案内スリット70Bに対応する補強リブ72Bは、
図8及び
図9に示すように、リブ連結体74に対して反時計回り方向のみに延在された第1リブ部73Aを有している。また、案内スリット70Cに対応する補強リブ72Cは、
図10に示すように、リブ連結体74に対して時計回り方向のみに延在された第2リブ部73Bを有している。
【0092】
上記のように3つの補強リブ72(72A、72B、72C)の形状が互いに異なる理由について説明する。先端リング30の内側には、湾曲部18を上下及び左右方向に湾曲操作するための4本の湾曲操作用のワイヤ(不図示)が挿通配置される。これらのワイヤは、それぞれの基端側が一対のアングルノブ114(
図1参照)側に接続され、それぞれの先端側が先端リング30に接合される。そして、これらのワイヤは周方向Bにおいて等間隔で4箇所に配置されるため、先端リング30には、
図8乃至
図10に示すように、ワイヤの先端を接合するための4箇所の接合部80A、80B、80C、80Dが周方向Bにおいて等間隔で形成される。
【0093】
ここで、補強リブ72A(
図8及び
図12参照)は、周方向Bにおいて接合部80Aと接合部80Bとの間に配置されるが、これらの接合部80A、80Bから離間した位置(接合部80A、80Bと干渉しない位置)に配置されていることから、リブ連結体74に対して反時計回り方向及び時計回り方向にそれぞれ延在された第1リブ部73Aと第2リブ部73Bとを有している。これに対し、補強リブ72B(
図8及び
図9参照)は、周方向Bにおいて接合部80Bと接合部80Cとの間に配置されるが、補強リブ72Aのように第2リブ部73Bを備えた場合、第2リブ部73Bが接合部80Cに干渉するため、接合部80Bに干渉しない第1リブ部73Aのみ有している。また、補強リブ72C(
図10参照)は、周方向Bにおいて接合部80Dと接合部80Aとの間に配置されるが、補強リブ72Aのように第1リブ部73Aを備えた場合、第1リブ部73Aが接合部80Dに干渉するため、接合部80Aに干渉しない第2リブ部73Bのみ有している。なお、
図13は、先端リング30と管状部材32との接続部分の断面図であり、第2リブ部73Bを有する補強リブ72Cによって連結管36の外周部36Aが受け支えられている状態が図示されている。このように、3つの補強リブ72(72A、72B、72C)は、上記の接合部との位置関係により互いの形状がそれぞれ異なっている。
【0094】
このように第2実施形態の内視鏡接続構造によれば、第1実施形態の内視鏡接続構造(すなわち、両持ち状態で支持された弾性変形可能なスナップフィット部50を管状部材32に設けた構成)に加え、さらに、管状部材32の接続部分(連結管36の外周部36A)が先端リング30の内側に設けた補強リブ72により受け支えられる構成を採用したので、湾曲部18と先端硬質部16との接続強度を更に高めることができる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例について説明する。
【0095】
第2実施形態では、案内スリット70とリブ連結体74とをそれぞれ周方向Bに等間隔で3箇所に設けた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、案内スリット70とリブ連結体74とをそれぞれ1箇所に設けた構成を採用してもよい。但し、接続作業性を向上し、且つ、接続強度を更に高める観点からみれば、案内スリット70とリブ連結体74とをそれぞれ周方向Bに等間隔で3箇所に設けた上記の構成を採用することが好ましい。
【0096】
また、案内スリット70とリブ連結体74の配置位置は等間隔の3箇所に限定されず、案内スリット70とリブ連結体74は、周方向Bにおいてそれぞれ複数個所に設けられていればよい。この場合、周方向Bに等間隔に設けられていることが好ましい。これにより、周方向Bにおいて均一な接続強度を得ることができる。
【0097】
第2実施形態では、それぞれ形状の異なる3つの補強リブ72(72A、72B、72C)を有する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、3つの補強リブ72がいずれも同一形状であってもよいし、3つの補強リブ72のうち一部の補強リブが他の補強リブと異なる形状であってもよい。例えば、先端リング30の内部の他の部分(上述した接合部など)と干渉しない場合には、3つの補強リブ72がいずれも第1リブ部73Aと第2リブ部73Bの両方を備える態様を好ましく採用し得る。また、先端リング30の内部の他の部分との位置関係に応じて、3つの補強リブ72がいずれも第1リブ部73A及び第2リブ部73Bのいずれか一方のみを備える態様であってもよい。
【0098】
以上、実施形態に係る内視鏡の接続構造について説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 内視鏡システム
10 内視鏡
12 挿入部
14 手元操作部
16 先端硬質部
18 湾曲部
20 軟性部
22 バルーン
24 管路
26 開口
30 先端リング
31 開口縁
32 管状部材
33 連結リング
33A 外周面
33B 内周面
36 連結管
36A 外周部
37 開口縁
38 先端部本体
40 キャップ
42 開口
50 スナップフィット部
52 係止突起部
52A 傾斜面
53 鉤状部
53A 係止面
54 弾性変形体
54A 先端
54B 基端
56 スリット
60 被係止孔
70 案内スリット
72 補強リブ
72A 補強リブ
72B 補強リブ
72C 補強リブ
73A 第1リブ部
73B 第2リブ部
74 リブ連結体
80A 接合部
80B 接合部
80C 接合部
80D 接合部
100 ユニバーサルコード
102 光源用コネクタ
104 ケーブル
106 プロセッサ用コネクタ
108 口金
110 送気送水ボタン
112 吸引ボタン
114 アングルノブ
116 処置具導入口
118 チューブ
120 オーバーチューブ
122 把持部
124 本体部
126 バルーン
128 管路
130 管路
132 コネクタ
134 開口
136 チューブ
137 コネクタ
138 チューブ
140 光源装置
160 プロセッサ装置
180 バルーンコントローラ
182 ケーブル
184 表示部
186 電源スイッチ
188 前面パネル
190 ケース
200 リモートコントローラ
202 本体ケース
204 バルーン操作部
206 バルーン操作部
208 バルーン一時停止ボタン
210 バルーン一時停止ボタン
212 停止ボタン