(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017283
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】気相成長装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240201BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119820
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】原口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英志
(72)【発明者】
【氏名】家近 泰
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA02
4K030BA08
4K030BA11
4K030BA38
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA11
4K030KA05
5F045AA04
5F045AB09
5F045AB14
5F045AB17
5F045AC08
5F045AC12
5F045AC15
5F045AD01
5F045AE01
5F045AE29
5F045AF03
5F045AF09
5F045BB10
5F045DP03
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EF05
5F045EF20
5F045EK07
(57)【要約】
【課題】排気管内に着脱可能に挿入される内管の装着を安定させることが可能な気相成長装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る気相成長装置は、基板に成膜処理を行う反応容器と、成膜処理で発生した排気ガスが反応容器から流入する少なくとも1本以上の排気管と、排気管内に着脱可能に挿入される内管と、排気管内に装着された内管を保持する保持部と、を備える。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に成膜処理を行う反応容器と、
前記成膜処理で発生した排気ガスが前記反応容器から流入する少なくとも1本以上の排気管と、
前記排気管内に着脱可能に挿入される内管と、
前記排気管内に装着された前記内管を保持する保持部と、
を備える気相成長装置。
【請求項2】
前記排気管は、前記反応容器に固定される第1排気管と、前記第1排気管に連結される第2排気管と、を含み、
前記内管は、前記第1排気管内に挿入され、
前記保持部は、前記第1排気管と前記第2排気管との連結部分に配置されている、請求項1に記載の気相成長装置。
【請求項3】
前記反応容器と前記第1排気管との間に設けられた石英管をさらに備え、
前記石英管の外周部の端部には、溝部が形成され、
前記内管の端部が前記溝部に嵌合されている、請求項2に記載の気相成長装置。
【請求項4】
前記排気管は、前記反応容器に固定される第1排気管と、前記第1排気管に連結される第2排気管と、を含み、
前記内管は、前記第1排気管内に挿入され、
前記保持部は、前記第1排気管の端部と前記内管の外周部とを嵌合する嵌合部と、を有する、請求項1に記載の気相成長装置。
【請求項5】
前記内管は、前記排気管内に丸めた形状で挿入される弾性プレートで構成され、
前記保持部は、弾性変形する、請求項1に記載の気相成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、気相成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質な半導体膜を成膜する方法として、気相成長によりウェハ(基板)上に単結晶膜を成長させるエピタキシャル成長技術がある。
【0003】
このエピタキシャル成長技術を用いる気相成長装置では、常圧又は減圧に保持された反応容器内の支持部でウェハを支持し、加熱する。次に、成膜の原料となる反応ガスを、ウェハ上に供給する。ウェハの表面では反応ガスの熱反応等が生じ、エピタキシャル単結晶膜が成膜される。
【0004】
特にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition Method:有機金属気相成長法)による成膜後の排気ガスには、反応副生成物が多く含まれる。この反応副生成物は、反応容器に連通する排気管内に堆積する。そのため、排気管内に堆積した反応副生成物を除去するメンテナンス作業が必要になる。このメンテナンス作業の手間取ると、気相成長装置の停止時間が長くなる。気相成長装置の長時間の停止は、スループットの低下を招く。
【0005】
そこで、排気管内に内管を装着する技術が提案されている。この技術では、内管が着脱可能に排気管内に挿入されている。これにより、排気管内に堆積した反応副生成物を除去する作業が不要になるため、メンテナンス作業時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように内管が排気管内に着脱可能に挿入される場合、排気管内における内管の装着が安定しないと、例えば排気管が直管である場合、内管の落下等の不具合が起こり得る。
【0008】
本発明の実施形態は、排気管内に着脱可能に挿入される内管の装着を安定させることが可能な気相成長装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る気相成長装置は、基板に成膜処理を行う反応容器と、成膜処理で発生した排気ガスが反応容器から流入する少なくとも1本以上の排気管と、排気管内に着脱可能に挿入される内管と、排気管内に装着された内管を保持する保持部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気管内に着脱可能に挿入される内管の装着を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る気相成長装置の概略的な構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る気相成長装置の排気部の構成を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る排気部の一部を拡大した断面図である。
【
図5A】第1実施形態に係る保持部の平面図である。
【
図6】第2実施形態に係る保持部25の構造を説明するための斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係る第1排気管の斜視図である。
【
図10】第4実施形態に係る内管を概略的に示す斜視図である。
【
図11】は、第4実施形態に係る内管の一部を第3排気管から取り出した状態を示す斜視図である。
【
図13】第4実施形態に係る気相成長装置が稼働しているときの内管の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る気相成長装置1の模式図である。本実施形態に係る気相成長装置1は、例えば、MOCVD法を用いる縦型の枚葉型のエピタキシャル成長装置である。気相成長装置1では、ウェハ(基板)W上に、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、InGaN(窒化インジウムガリウム)等のIII-V族の窒化物系半導体の単結晶膜を成長することができる。具体的には、気相成長装置1は、成膜部100および排気部200を有する。以下、各部の構成について説明する。
【0014】
成膜部100は、反応容器10と、回転ベース11と、回転リング12と、回転機構13と、ガス供給機構14と、支持部15と、ガス供給口16と、排気口17と、シャワープレート18と、加熱機構19と、を有する。
【0015】
気相成長装置1では、膜の成長は、反応容器10内で行われる。反応容器10内には、ウェハWを載置可能でウェハWをウェハWの周方向に回転する支持部15が設けられている。ウェハWは、例えばSi(シリコン)ウェハやサファイヤウェハである。支持部15としては、例えば中心に開口部を有し、周縁で基板を支持するホルダが用いられる。なお、支持部15としては、開口部のないサセプタを用いてもよい。
【0016】
支持部15には、例えば、ウェハWを支持部15から脱着させるための、突き上げピン(不図示)が設けられている。支持部15は、回転リング12上に設けられている。回転リング12は、回転ベース11を介して回転機構13に接続されている。回転機構は、例えばモーターである。
【0017】
加熱機構19は、回転リング12の内部に設けられている。加熱機構19は、外部電源(不図示)からの電力供給によって発熱する。これにより、加熱機構19は、ウェハWを裏面から加熱する。加熱機構19は、例えば抵抗加熱ヒーターである。
【0018】
また、成膜部100には、基板搬入口(不図示)および基板搬出口(不図示)も設けられている。基板搬入口は、反応容器10内部へのウェハWの搬入に用いられる。一方、基板搬出口は、反応容器10外部へのウェハWの搬出に用いられる。
【0019】
ウェハWの搬出入には、例えば、ロボットハンド(不図示)が用いられる。ロボットハンドを用いて搬入されたウェハWは、反応容器10の内部において支持部15に支持される。なお、ウェハWの搬出入の方法はこれに限定されない。
【0020】
ガス供給機構14は、反応容器10内にプロセスガスを供給する。ガス供給機構14は、例えば、ガス生成部、ガスボンベ、排気管、調整弁、マスフローコントローラなどの流量制御機器(不図示)を有する。
【0021】
上記プロセスガスには、例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア(NH3)ガス、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガスなどが用いられる。
【0022】
プロセスガスは、反応容器10の上部に設けられたガス供給口16から供給される。反応容器10内に供給されたプロセスガスは、シャワープレート18を通過後にウェハW上に供給され、成膜に用いられる。その後、余剰のプロセスガス及び成膜により生じた反応副生成物が、反応容器10の底部に設けられた排気口17から排気部200へ排出される。ここで、排気部200の構造について説明する。
【0023】
図2Aは、排気部200の外観を示す斜視図である。また、
図2Bは、排気部200を分解した斜視図である。
図2Aおよび
図2Bに示すように、排気部200は、ベースプレート20と、石英管21と、第1排気管22と、第2排気管23と、内管24と、保持部25と、を有する。なお、本実施形態に係る排気部200には、石英管21~保持部25の各部品がそれぞれ2つずつ設けられているが、各部品の数は、2つに限定されず、少なくとも1つ以上であればよい。
【0024】
ベースプレート20は、反応容器10の底部に固定されている環状板である。ベースプレート20における内周部と外周部との間には、石英管21が鉛直方向に貫通する貫通穴(不図示)や、第1排気管22を取り付けるためのねじ穴(不図示)が設けられている。
【0025】
石英管21は、反応容器10の底部からベースプレート20を貫通して第1排気管22まで鉛直方向に延びる直管である。石英管21の上端開口部は、反応容器10の排気口17に連通している。また、石英管21の下端開口部は、第1排気管22に連通している。
【0026】
第1排気管22は、石英管21から第2排気管23まで鉛直方向延びる直管である。第1排気管22は、例えば、ねじ付きボルト等の固定部材によってベースプレート20に取り付けられる。すなわち、第1排気管22は、ベースプレート20を介して反応容器10の底部に固定される。
【0027】
第2排気管23は、第1排気管22に連結されている。第2排気管23は、一方向に湾曲した曲管である。なお、第2排気管23の形状は、曲管に限定されず直管であってもよい。
【0028】
内管24は、第1排気管22内に配置される直管である。内管24の外径は、第1排気管22の内径とほぼ同じである。これにより、内管24の外周面と第1排気管22の内周面とを密着させることができる。内管24は、例えばフッ素樹脂コーティングが表面に施されたステンレス管で製造することができる。
【0029】
図3は、第1実施形態に係る気相成長装置1の排気部200の構成を示す断面図である。また、
図4は、第1実施形態に係る排気部200の一部を拡大した断面図である。
【0030】
図4に示すように、石英管21の外周部の下部には、溝部211が形成されている。この溝部211には、内管24の上端部241が嵌合されている。これにより、内管24の上端部と石英管21の下端部とが接する連結部分では、内管24が石英管21の外側に位置する。そのため、石英管21からの排気ガスGの漏れを回避することができる。
【0031】
図5Aは、第1実施形態に係る保持部25の平面図である。また、
図5Bは、保持部25の変形例を示す平面図である。
【0032】
図5Aに示す保持部25には、突起部253が開口部251の周縁に沿って設けられている。この突起部253によって、内管24は、第1排気管22内で支持されている(
図5参照)。なお、突起部253は、連続していることが後述するように排気ガスGの漏れ回避の観点では好ましい。しかし、本実施形態の保持部25では、
図5Bに示すように、複数の突起部253が開口部251の周縁に設けられていてもよい。
【0033】
上記のように構成された気相成長装置1において、成膜部100の成膜処理により生じた反応副生成物を含む排気ガスGは、石英管21、第1排気管22内に配置された内管24、および第2排気管23を流れる。この場合、反応副生成物が排気ガスGの流路に堆積するため、メンテナンス作業が必要になる。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、内管24が第1排気管22内に着脱可能に挿入されている。このとき、内管24の立位姿勢は保持部25によって保持される。これにより、第1排気管22内における内管24の装着状態を安定させることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、内管24が第1排気管22内に配置されている。そのため、メンテナンス作業時には、石英管21から内管24を引き抜くことによって、第1排気管22をベースプレート20に固定するためのボルト26を取り外す作業が不要になる。すなわち、第1排気管22を取り外す作業が不要になる。これにより、メンテナンス作業時間を短縮することができる。
【0036】
また、反応副生成物を除去した内管24を第1排気管22内に再び挿入する際には、内管24の上端部241を石英管21の溝部211に嵌め込むことによって、排気ガスGの漏れを回避できる。また、内管24の上端部241が石英管21に固定されるとともに、内管24の下端部が保持部25の突起部253によって支持される。これにより、内管24の保持機能がさらに強化される。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、第1排気管22内における内管24の装着安定性を向上させることに加えて、石英管21からの排気ガスGの漏れも回避することが可能となる。
【0038】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る保持部25の構造を説明するための斜視図である。
図6では、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
図6に示すように、本実施形態に係る保持部25は、第1排気管22と第2排気管23との連結部分に配置されている。この保持部25は、排気ガスGを通過させる開口部251と、開口部251の内部空間を分割するように互いに交差する2本のワイヤ252と、を有する。第1排気管22内に配置された内管24は、2本のワイヤ252によって、支持されている。なお、保持部25は、第1排気管22内に装着された内管24を保持可能な構造であればよく、
図6に示す構造に限定されない。
【0040】
図7A~
図7Cは、変形例に係る保持部25の平面図である。
図7Aに示す保持部25Aでは、開口部251内に1本のワイヤ252が設けられている。また、
図7Bに示す保持部25Bでは、複数本のワイヤ252が、開口部251内にストライプ状に張り巡らされている。さらに、
図7Cに示す保持部25Cでは、複数本のワイヤ252が、開口部251内に格子状(網目状)に張り巡らされている。
【0041】
上記のように構成された本実施形態に係る気相成長装置においても、排気ガスGは、石英管21、第1排気管22内に配置された内管24、および第2排気管23を流れる。そのため、反応副生成物が排気ガスGの流路に堆積するため、メンテナンス作業が必要になる。
【0042】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、内管24が第1排気管22内に配置されている。そのため、メンテナンス作業時には、第2排気管23および保持部25を取り外せば、第1排気管22から内管24を容易に取り出すことができる。すなわち、第1排気管22を取り外す作業が不要になる。これにより、メンテナンス作業時間を短縮することができる。
【0043】
また、本実施形態では、内管24の表面には、フッ素樹脂コーティングが施されている。そのため、メンテナンス作業では、表面に堆積した反応副生成物を容易に除去することができる。これにより、メンテナンス作業時間をさらに短縮することができる。
【0044】
反応副生成物が除去された内管24は、第1排気管22内に再び挿入される。このとき、第1排気管22内に装着された内管24は、保持部25によって保持される。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、内管24が第1排気管22内に着脱可能に挿入されている。このとき、内管24の立位姿勢は保持部25によって保持される。これにより、第1排気管22内における内管24の装着状態を安定させることが可能となる。
【0046】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る気相成長装置について説明する。本実施形態に係る気相成長装置では、第1排気管22内における内管24の保持機構が第1実施形態および第2実施形態と異なる。以下、本実施形態における内管24の保持機構について説明する。
【0047】
図8は、第3実施形態に係る第1排気管22の斜視図である。
図8に示すように、本実施形態では、切り欠き部221が、第1排気管22の下端部に形成されている。なお、
図8では、互いに対向する2つの切り欠き部221が形成されているが、切り欠き部221の数は、特に限定されない。
【0048】
図9Aは、第3実施形態に係る内管24の斜視図である。
図9Aに示すように、本実施形態では、キー形状の突起部242が、内管24の外周部の下部に形成されている。内管24が第1排気管22内に挿入されると、突起部242が切り欠き部221に嵌合される。すなわち、突起部242および切り欠き部221は、第1排気管22の端部と内管24の外周部とを嵌合する嵌合部として機能する。これにより、内管24は、第1排気管22内に装着される。一方、内管24を鉛直方向(重力方向)の力で引くと、第1排気管22から内管24を取り外すことができる。
【0049】
図9Bは、変形例に係る内管24の斜視図である。
図9Bに示す内管24の外周部の下部には、ピン形状の突起部243が形成されている。この場合、第1排気管22の切り欠き部221は、突起部243に嵌合する形状となっている。
【0050】
なお、第1排気管22の上端部に突起部を設け、内管24の端部に切り欠き部を設けて嵌合させもよい。この場合、この突起部およびこの切り欠き部が、第1排気管22の端部と内管24の外周部とを嵌合する嵌合部として機能する。また、切り欠き部を鉤状とし、第1排気管22と内管24を回転させることで第1排気管22に内管24を保持してもよい。この場合、回転させて鉛直方向(重力方向)の力で引くことで、第1排気管22から内管24を取り外すことができる。
【0051】
上述した本実施形態によれば、第1排気管22に設けられた切り欠き部221と内管24に設けられた突起部242が嵌合することによって、第1排気管22内における内管24の装着状態が保持される。すなわち、切り欠き部221および突起部242が内管24の装着状態を保持する保持部として機能する。そのため、本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態で説明した保持部25が不要になる。その結果、メンテナンス作業で取り外す部品が削減されるため、内管24の着脱作業がさらに容易になる。その結果、メンテナンス時間をさらに短縮することができる。さらに、第1排気管22と第2排気管23との連結部分に部品(保持部25)が無いため、内管24から第2排気管23へ排気ガスGをよりスムーズに流すことが可能となる。
【0052】
なお、本実施形態では、内管24は、鉛直方向に配置されている第1排気管22内に挿入されるが、水平方向に配置される水平管に挿入されてもよい。この場合、この水平管に内管24の突起部に嵌合する切り欠き部を形成することによって、内管24の位置を安定させることができる。
【0053】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態に係る内管24を概略的に示す斜視図である。本実施形態では、内管24は、第3排気管27に着脱可能に挿入されている。第3排気管27は、複数の第2排気管23に連結された合流管であり、水平方向に配置されている。本実施形態に係る内管24は、第3排気管27内に弾性プレートを丸めた形状で挿入される。弾性プレートは、例えば数mm程の厚さを有し、排気ガスGに含まれる反応副生成物が付着する弾性材料で構成されている。
【0054】
図11は、第4実施形態に係る内管24の一部を第3排気管27から取り出した状態を示す斜視図である。
図11に示すように、内管24には、第2排気管23との連結部分に開口部244が形成されている。第2排気管23から流出した排気ガスGは、開口部244を通じて内管24内に流入する。
【0055】
図12は、第4実施形態に係る内管24の断面図である。本実施形態では、内管24は、その外径dが第3排気管27の内径Dよりも小さくなるように丸めた形状で第3排気管27内に挿入される。弾性プレートを丸めた形状は、保持部254によって保持される。保持部254は、弾性プレートの両端を接続している。保持部254は、例えば形状記憶合金によって構成されている。なお、
図10および
図11では、保持部254の記載は省略している。
【0056】
図13は、第4実施形態に係る気相成長装置が稼働しているときの内管24の形状を示す断面図である。気相成長装置が稼働しているとき、高温の排気ガスGが内管24を流れるため、保持部254が加熱される。保持部254が形状記憶合金で構成されている場合には、予め保持部254の形状を高温時に内管24が第3排気管27の内面に密着するように形状記憶させておく。すなわち、高温時には、保持部254が元の形状に回復するように変形する。
【0057】
保持部254の変形に伴って、内管24は第3排気管27内で広がるように弾性変形する。その結果、
図13に示すように、内管24の外周面と第3排気管27の内周面との隙間が狭まって、両者はほぼ密着する。
【0058】
一方、気相成長装置が停止し、メンテナンス作業時には、内管24の温度が常温に下がるため、保持部254は、変形しようとする力を失う。その結果、
図12に示すように、内管24は、第3排気管27との密着が解除される。これにより、内管24をスムーズに取り出したり挿入したりすることができる。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、弾性プレートを丸めた形状を有する内管24の両端が、熱変形する保持部254で接続されている。これにより、第3排気管27内に内管24の安定した装着状態を保持できるとともに、容易に内管24を脱着することができるようになる。
【0060】
また、本実施形態では、内管24を渦巻ばね状の弾性プレートとすることで、保持部254を兼ねることができる。すなわち、第3排気管27内に内管24を弾性変形させて挿入し、挿入後第3排気管27内に広がることで第3排気管27内に密着させて保持してもよい。
【0061】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1、2:気相成長装置
10:反応容器
21:石英管
22:第1排気管
23:第2排気管
24:内管
25、25A、25B、25C、254:保持部
27:第3排気管
211:溝部
221:切り欠き部
242、243:突起部
241:上端部