(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172987
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】高周波半導体スイッチ集積回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/693 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H03K17/693 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091084
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099818
【弁理士】
【氏名又は名称】安孫子 勉
(72)【発明者】
【氏名】登坂 裕之
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX46
5J055AX61
5J055BX03
5J055BX04
5J055CX03
5J055DX22
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5J055EY21
5J055EY23
5J055EY24
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】良好なスイッチ特性を維持しつつ、直流電圧印加のために必要な端子を削減可能とする高周波半導体スイッチ集積回路を提供する。
【解決手段】高周波半導体スイッチ集積回路101は、ディプレッション型の第1のスイッチFET3-1とエンハンスメント型の第2乃至第nのスイッチFET3-2~3-nが、共通RF信号入出力端子10と第1乃至第nの個別RF信号入出力端子間11-1~11-nに、それぞれ設けられると共に、対応するスイッチFETに対してエンハンスメント型の第1のシャントFET4-1とディプレッション型の第2乃至第nのシャントFET4-2~4-nが、それぞれ設けられ、第2乃至第nのスイッチFET3-2~3-nと第1乃至第nのシャントFET4-1~4-nは、2
m≧nを満たすmの最小値に等しい個数のみの制御端子21-1~21-mを有する制御回路8により動作制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通RF信号入出力端子と3個以上のn個の個別RF信号入出力端子間の高周波信号通過経路を切り替えるSPnTスイッチが構成されてなる高周波半導体スイッチ集積回路において、
前記共通RF信号入出力端子と第1の個別RF信号入出力端子間に、ディプレッション型のFETである第1のスイッチFETを直列接続状態に設けると共に、前記第1のスイッチFETのゲートをグランド電位に保持する一方、
前記第1の個別RF信号入出力端子と前記高周波半導体スイッチ集積回路内の低インピーダンスの部位との間に、エンハンスメント型のFETである第1のシャントFETを直列接続状態に設け、前記第1のシャントFETのゲートを制御回路に接続し、
前記第2の個別RF信号入出力端子から第nの個別RF信号入出力端子のそれぞれと前記共通RF信号入出力端子との間に、それぞれエンハンスメント型のFETを直列接続状態に設けて第2乃至第nのスイッチFETとし、
前記第2の個別RF信号入出力端子から第nの個別RF信号入出力端子のそれぞれと前記低インピーダンスの部位との間に、それぞれディプレッション型のFETを直列接続状態に設けて第2乃至第nのシャントFETとし、
前記2乃至第nのスイッチFETと前記第1乃至第nのシャントFETのゲートを前記制御回路に接続し、
前記制御回路は、2m≧nを満たすmの最小値に等しい個数のみの制御端子を有して構成され、前記制御端子には、外部からの制御信号が印加可能とされてなることを特徴とする高周波半導体スイッチ集積回路。
【請求項2】
前記制御回路は、一端が前記制御端子に接続された高抵抗器を有し、前記高抵抗器の他端は、前記第1乃至第nのスイッチFETの前記共通RF信号入出力端子に共通接続された接続点と接続されてなることを特徴とする請求項1記載の高周波半導体スイッチ集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通RF入出力端子と複数の個別RF入出力端子との間で高周波信号の経路を切り替える高周波半導体スイッチ集積回路に係り、特に、直流電圧印加用の必要端子数の削減、実装面積の縮小化等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムにおいては、信号処理回路の切り替えなどにおいて、高周波信号切り替えのための半導体スイッチ集積回路が従来から用いられている。特に、近年は、一つの筐体内で複数の周波数の信号経路の切り替えや、複数のシステムの切り替えを行っており、そのため、多数の半導体スイッチ集積回路が用いられている。多数の半導体スイッチ集積回路を使用する場合、その使用回路数に比例して制御信号線が増加してしまう。そのため、従来から半導体スイッチ集積回路を制御する信号線の削減について様々な工夫が行われている。
【0003】
特に、切替経路が多くなるような3カ所以上の回路切り替えを行う半導体スイッチ集積回路においては、単純に半導体スイッチ集積回路を構成するFET(電界効果トランジスタ)スイッチを直接制御するのではなく、半導体スイッチ集積回路の内部、あるいは外部に、論理回路を形成して制御線の削減を図ったものなどが種々提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
例えば、
図11には、特許文献1に開示された技術に基づいて制御線の削減を図った高周波半導体スイッチ集積回路の一例が示されており、以下、同図を参照しつつ、この従来回路について説明する。
【0004】
まず、この従来回路は、1つの共通RF入出力端子PCと3つの個別RF入出力端子P1~P3の接続を切り替えるSP3T(Single Pole 3 throw)スイッチを構成した回路例である。
この従来回路は、低挿入損失と高アイソレーション実現のために、通過経路に対してFETをシリーズとシャントに、それぞれ接続した構成を有するものである。
すなわち、この従来回路は、通過経路に対してシリーズに設けられた3個のFET (Field Effect Transistor) 1~3と、シャントとしての3個のFET4~6を用いて構成されている。
それぞれのFET1~6を制御するには、基本的には、それぞれのFET1~6のゲートに制御線を接続し、それぞれのFET1~6を導通、または遮断させるに必要な電圧を、それぞれの制御線を介して印加することが必要となる。
【0005】
しかしながら、この基本的な構成を採るとすると、3経路を切り替えるために6本の制御線を必要とすることとなり、一般的に考えて制御線の数が多く実用的とは言い難い。
そのため、この従来回路においては、制御線を3本にまとめている。
すなわち、
図11において、3個の制御信号印加端子21X~23Xには、外部からの制御信号VC1~VC3が印加され、これによって6個のFET1~6が制御可能に回路構成されている。
【0006】
図12には、高周波半導体スイッチ集積回路と同一基板、または、外部に、論理回路を設け、必要な制御線の削減を図った従来回路の構成例が示されている。
すなわち、この従来回路においては、高周波半導体スイッチ集積回路内に、論理回路LOGが設けられており、2個の制御信号印加端子21X,22Xを介して外部から制御信号が印加されると共に、1個の電源電圧供給端子20Xが設けられて電源供給が行われるようになっている。
【0007】
例えば、SP3Tスイッチの場合、3経路を切り替えるためには、条件式2m≧3を満たす中で、最小のm=2本の制御線があれば、3通りの切り替えを行える論理回路LOGを構成することができる。その結果、2つの制御用の端子21X,22Xに加えて、制御回路の駆動に必要とされる電源電圧供給端子20Xがあれば、制御回路を駆動し、高周波半導体スイッチ集積回路を制御することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-303794号公報
【特許文献2】特開2007-067751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、
図12に示された従来のSP3Tスイッチ回路の場合、制御回路を用いて高周波半導体スイッチ集積回路を制御する構成を採るものの、半導体スイッチ集積回路の駆動に用いられる電源端子と制御端子の総数は3個である。
この端子数は、
図11に示された制御回路を用いていない場合と同じ直流電圧印加用の端子数となり、実質的には、高周波半導体スイッチ集積回路を制御する制御線の削減にはなっていない。このように、これまで制御端子の削減を目的として論理回路を用いた制御回路を使用した場合にあっても、必ずしも高周波半導体スイッチ集積回路全体に必要な制御用端子数は削減できないことがあるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2には、2個の制御端子を用いてSP3Tスイッチを制御可能とした構成が開示されているが、SPDTスイッチを2つ直列に接続した構成を採っているため、この2つのSPDTスイッチを通過する経路の挿入損失が大きくなるという問題がある。さらに、回路構成上、シャントスイッチを設けることができず、十分なアイソレーションの確保が困難であるという問題もある。
【0011】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、良好なスイッチ特性を維持しつつ、直流電圧印加のために必要な端子を削減可能とした高周波半導体スイッチ集積回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る高周波半導体スイッチ集積回路は、
共通RF信号入出力端子と3個以上のn個の個別RF信号入出力端子間の高周波信号通過経路を切り替えるSPnTスイッチが構成されてなる高周波半導体スイッチ集積回路において、
前記共通RF信号入出力端子と第1の個別RF信号入出力端子間に、ディプレッション型のFETである第1のスイッチFETを直列接続状態に設けると共に、前記第1のスイッチFETのゲートをグランド電位に保持する一方、
前記第1の個別RF信号入出力端子と前記高周波半導体スイッチ集積回路内の低インピーダンスの部位との間に、エンハンスメント型のFETである第1のシャントFETを直列接続状態に設け、前記第1のシャントFETのゲートを制御回路に接続し、
前記第2の個別RF信号入出力端子から第nの個別RF信号入出力端子のそれぞれと前記共通RF信号入出力端子との間に、それぞれエンハンスメント型のFETを直列接続状態に設けて第2乃至第nのスイッチFETとし、
前記第2の個別RF信号入出力端子から第nの個別RF信号入出力端子のそれぞれと前記低インピーダンスの部位との間に、それぞれディプレッション型のFETを直列接続状態に設けて第2乃至第nのシャントFETとし、
前記2乃至第nのスイッチFETと前記第1乃至第nのシャントFETのゲートを前記制御回路に接続し、
前記制御回路は、2m≧nを満たすmの最小値に等しい個数のみの制御端子を有して構成され、前記制御端子には、外部からの制御信号が印加可能とされてなるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特性の異なるFETの組み合わせと制御回路との組み合わせにより、直流電圧の供給に要する端子を削減することが可能となり、端子数の削減による製品の小型化が実現できるという効果を奏するものである。
また、動作に必要な直流電圧の信号線の削減が可能となり、使用の際に、高周波半導体スイッチ集積回路と接続するセット基板上の配線をも減少させることができため、配線による特性劣化の防止や基本設計の容易化にも資することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路の基本回路構成例を示す回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路をSP3Tスイッチに適用した場合の第1の具体回路構成例を示す回路図である。
【
図3】
図2に示された第1の具体回路構成例の回路動作を説明する説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路をSP3Tスイッチに適用した場合の第2の具体回路構成例を示す回路図である。
【
図5】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路をSP3Tスイッチに適用した場合の第3の具体回路構成例を示す回路図である。
【
図6】
図5に示された第3の具体回路構成例の回路動作を説明する説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路をSP3Tスイッチに適用した場合に6端子パッケージに実装した際の端子配置例を模式的に示した模式図である。
【
図8】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路をSP4Tスイッチに適用した場合の第4の具体回路構成例を示す回路図である。
【
図9】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路に用いられる論理回路の動作電圧を生成する具体回路構成例を示す回路図である。
【
図10】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路をSP5Tスイッチに適用した場合の第5の具体回路構成例を示す回路図である。
【
図11】論理回路を用いずに動作制御する構成の従来のSP3Tスイッチの回路構成例を示す回路図である。
【
図12】論理回路を用いて動作制御する構成の従来のSP3Tスイッチの回路構成例を示す回路図である。
【
図13】
図12に示された従来回路を8端子パッケージに実装した際の端子配置例を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図10を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路の基本回路構成例について、
図1を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、電界効果トランジスタを、説明の便宜上「FET」と称する。
本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ集積回路101は、スイッチFET3-1~3-n(
図1においては、それぞれ「SW1」、「SW2」・・・「SWn」と表記)と、シャントFET4-1~4-n(
図1においては、それぞれ「SH1」、「SH2」・・・「SHn」と表記)と、制御回路(
図1においては「CONT」と表記)8を主たる構成要素として、SPnT(Single Pole n Throw)スイッチが構成されてなるものである。
【0016】
すなわち、第1乃至第nのスイッチFET3-1~3-nは、制御信号入力端子21-1~21-mを有する制御回路8により制御されることで、共通RF信号入出力端子(
図1においては「PC」と表記)10と、n個の個別RF信号入出力端子(
図1においては、「P1」、「P2」・・・「Pn」と表記)11-1~11-nとの間に択一的に接続されるよう構成されている。
また、第1乃至第nのシャントFET4-1~4-nは、同様に制御回路8により制御されることで、第1乃至第nのスイッチFET3-1~3-nに対してシャント機能を果たすものとなっている。
【0017】
図2には、
図1に示された高周波半導体スイッチ集積回路101をSP3Tスイッチに適用した場合の第1の具体回路構成例における高周波半導体スイッチ集積回路101Aが示されており、以下、同図を参照しつつ第1の具体回路構成例について説明し、この説明を以て、
図1の具体的な回路構成の説明に代えることとする。
なお、
図1に示された構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付することとする。
まず、この第1の具体回路構成例においては、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3と、第1乃至第3のシャントFET4-1~4-3が設けられている。この第1の具体回路構成例において、第1のスイッチFET3-1には、ディプレッッション型のFETが、第2及び第3のスイッチFET3-2,3-3には、エンハンスメント型のFETが、それぞれ用いられている。
【0018】
また、第1のシャントFET4-1には、エンハンスメント型のFETが、第2及び第3のシャントFET4-2,4-3には、ディプレッッション型のFETが、それぞれ用いられている。
以下、具体的な回路接続について説明すれば、まず、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1との間には、第1のスイッチFET3-1が、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2との間には、第2のスイッチFET3-2が、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3との間には、第3のスイッチFET3-3が、それぞれ直列接続状態に設けられている。
【0019】
すなわち、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3のドレインは、共通端子用DCカットキャパシタ90を介して共通RF信号入出力端子10に接続されると共に、第1のレベル設定抵抗器501を介してグランド(低インピーダンスの部位)に接続されている。
なお、第1のレベル設定抵抗器501は、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3によるRFスイッチのノード電圧を決定するためのもので、通常は、数100kΩ程度の高抵抗器が用いられる。
また、第1のスイッチFET3-1のソースは、SW用第1のDCカットキャパシタ90-1を介して第1の個別RF信号入出力端子11-1に接続されている。そして、第1のスイッチFET3-1のゲートは、SW用第1のゲート抵抗器50-1を介してグランドに接続されている。
また、第2のスイッチFET3-2のソースは、SW用第2のDCカットキャパシタ90-2を介して第2の個別RF信号入出力端子11-2に接続されている。
さらに、第3のスイッチFET3-3のソースは、SW用第3のDCカットキャパシタ90-3を介して第3の個別RF信号入出力端子11-3に接続されている。
【0020】
一方、第1のシャントFET4-1は、そのドレインが第1のスイッチFET3-1のソースに接続され、第1のシャントFET4-1のソースは、SH用第1のDCカットキャパシタ70-1を介してグランドに接続されている。
また、第2のシャントFET4-2は、そのドレインが第2のスイッチFET3-2のソースに接続され、第2のシャントFET4-2のソースは、SH用第2のDCカットキャパシタ70-2を介してグランドに接続されている。
さらに、第3のシャントFET4-3は、そのドレインが第3のスイッチFET3-3のソースに接続され、第3のシャントFET4-3のソースは、SH第3のDCカットキャパシタ70-3を介してグランドに接続されている。
【0021】
また、第2のスイッチFET3-2のゲートは、SW用第2のゲート抵抗器50-2を介して、第3のスイッチFET3-3のゲートは、SW用第3のゲート抵抗器50-3を介して、それぞれ後述するように制御回路8Aに接続されている。
また、第1のシャントFET4-1のゲートは、SH用第1のゲート抵抗器60-1を介して、第2のシャントFET4-2のゲートは、SH用第2のゲート抵抗器60-2を介して、第3のシャントFET4-3のゲートは、SH用第3のゲート抵抗器60-3を介して、それぞれ後述するように制御回路8Aに接続されている。
【0022】
制御回路8Aは、インバータ回路81を用いて構成されており、インバータ回路81の入力段には、第1の制御信号入力端子21-1が接続されると共に、先のSW用第2のゲート抵抗器50-2及びSH用第3のゲート抵抗器60-3の他端が接続されている。
また、インバータ回路81の電源入力段には、第2の制御信号入力端子21-2が接続されると共に、この第2の制御信号入力端子21-2は、先のSH用第1のゲート抵抗器60-1の他端に接続されている。
さらに、インバータ回路81の出力端子は、先のSW用第3のゲート抵抗器50-3及びSH用第2のゲート抵抗器60-2の他端に接続されている。
【0023】
かかる構成を採ることで、
図1に示された基本構成例においては、高周波半導体スイッチ集積回路101、すなわち、この第1の具体回路構成例においては高周波半導体スイッチ集積回路101Aに電圧を印加しない状態で一つの経路を確定させることが可能となるため(詳細は後述)、SPnTスイッチの制御を簡素とすることができる。すなわち、制御回路8は、条件式2
m≧nを満たす最小のmを制御端子数として構成可能となり、他に直流電圧印加端子が不要となる点が、従来と異なるものとなっている。
しかして、この第1の具体回路構成例においては、制御回路8Aは、n=3であるため、上述の条件式を満たす最小のmは、m=2となる。したがって、制御回路8Aは、制御信号(直流電圧)VC1,VC2が印加される第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2のみで、以下、詳述するように高周波半導体スイッチ集積回路101Aの動作を制御することが可能となっている。
【0024】
次に、上記構成における回路動作について説明する。
最初に、第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2が共に、論理値Lowに相当する電圧、すなわち、例えばグランドレベルとされた場合について説明する。この場合、高周波半導体スイッチ集積回路101Aには、電圧の供給が行われない状態となるため、回路内の各ノードにおいて電位差が発生することはない。かかる状態においては、ディプレッッション型のFETは、ノーマリーオンの特性を有するため、第1のスイッチFET3-1は、通過状態(導通状態)、すなわちオン状態となる。
【0025】
一方、エンハンスメント型のFETは、ノーマリーオフの特性を有するため、第2及び第3のスイッチFET3-2,3-3は、遮断状態(非導通状態)、すなわちオフ状態となる。
したがって、この場合、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間が通過状態となる。すなわち、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間が、高周波信号通過経路として選択された状態となる。
また、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2間、及び、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3間は、それぞれ遮断状態となる。
【0026】
さらに、ディプレッション型を用いた第2及び第3のシャントFET4-2,4-3はオン状態となる。そのため、第2の個別RF信号入出力端子11-2及び第3の個別RF信号入出力端子11-3に漏洩してくるRF信号はグランドに通過せしめられるため、共通RF信号入出力端子10と第2及び第3の個別RF信号入出力端子11-2,11-3間の分離度、アイソレーションを高レベルに保持することが可能となる。
【0027】
図3には、第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2に印加された制御信号VC1,VC2と通過経路との関係を説明する説明図が示されており、同図の(1)の行には、上述したように第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2が共に、論理値Lowとされた場合の通過経路が、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間であることが示されている。
【0028】
次に、第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2に、共に論理値Highに相当する制御信号が印加された場合について説明する。
この場合、まず、第1の制御信号入力端子21-1にゲートが接続されている第2のスイッチFET3-2及び第3のシャントFET4-3が、共にオン状態となる。
ここで、FETとして、MES(Metal-Semiconductor)型のFETを用いた場合、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3のドレインには、制御信号の論理値Highが現れる。そのため、ゲートがグランドレベルに固定されている第1のスイッチFET3-1は、逆方向に電圧が印加された状態となるため、オフ状態となる。
【0029】
また、第2の制御信号入力端子21-2に、ゲートが接続されている第1のシャントFET4-1は、論理値Highの制御信号によりオン状態となる。
一方、第1の制御信号入力端子21-1の論理値Highにより、インバータ回路81の出力は、論理値Lowに相当する電圧となり、インバータ回路81の出力にゲートが接続されている第3のスイッチFET3-3及び第2のシャントFET4-2は、共にオフ状態となる。
したがって、この場合、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2間が通過状態となる(
図3(2)参照)。
【0030】
一方、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間、及び、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3間は、それぞれ遮断状態となる。
そして、第1の個別RF信号入出力端子11-1とグランド間に接続されている第1のシャントFET4-1、及び、第3の個別RF信号入出力端子11-3とグランド間に接続されている第3のシャントFET4-3が、共にオン状態となるため、先に述べたように、共通RF信号入出力端子10と第1及び第3の個別RF信号入出力端子11-1,11-3間のアイソレーションを高レベルに保持することが可能となる。
【0031】
最後に、第1の制御信号入力端子21-1に論理値Lowに相当する制御信号が、第2の制御信号入力端子21-2に論理値Highに相当する制御信号が、それぞれ印加された場合について説明する。
まず、第2の制御信号入力端子21-2にゲートが接続された第1のシャントFET4-1は、オン状態となる。
先に述べたように、FETとして、MES型のFETを用いた場合、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3のドレインには、制御信号の論理値Highが現れる。そのため、ゲートがグランドレベルに固定されている第1のスイッチFET3-1は、逆方向に電圧が印加された状態となるため、オフ状態となる。
【0032】
一方、論理値Lowの第1の制御信号入力端子21-1にゲートが接続されている第2のスイッチFET3-2及び第3のシャントFET4-3は、逆方向に印加電圧が印加された状態となるため、共にオフ状態となる。
また、第1の制御信号入力端子21-1が論理値Lowに設定されているため、インバータ回路81の出力は、論理値Highに相当する電圧となり、インバータ回路81の出力にゲートが接続されている第3のスイッチFET3-3及び第2のシャントFET4-2は、共にオン状態となる。
【0033】
しかして、この場合、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3間が通過状態となる(
図3(3)参照)。
一方、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間、及び、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2間は、それぞれ遮断状態となる。
【0034】
そして、第1の個別RF信号入出力端子11-1とグランド間に接続されている第1のシャントFET4-1、及び、第2の個別RF信号入出力端子11-2とグランド間に接続されている第2のシャントFET4-2が、共にオン状態となるため、先に述べたように、共通RF信号入出力端子10と第1及び第2の個別RF信号入出力端子11-1,11-2間のアイソレーションを高レベルに保持することが可能となる。
このように、第1の具体回路構成例においては、2つの制御信号のみでSP3Tスイッチ動作を実現することができるよう構成することにより、従来は3本の直流電圧印加端子を必要としたのに対して端子数の確実な削減が可能となっている。
【0035】
次に、第2の具体回路構成例について、
図4を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された基本回路構成例と同一の構成要素、又は、
図2に示された第1の具体回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の具体回路構成例における高周波半導体スイッチ集積回路101Bは、詳細は後述するように共通RF信号入出力端子10に対する電圧供給を可能に構成された制御回路8Bが設けられたものとなっている。
【0036】
すなわち、制御回路8Bに設けられた第2のレベル設定抵抗器502は、その一端が、第1のレベル設定抵抗器501と共通端子用第DCカットキャパシタ90との接続点に接続される一方、他端が、第2の制御信号入力端子21-2に接続されている。
この第2のレベル設定抵抗器502は、第1のレベル設定抵抗器501同様、高抵抗器が用いられており、この第2のレベル設定抵抗器502を介して第2の制御信号入力端子21-2の論理値Highの制御信号を、この接続点に直接供給できるようになっている。
なお、この第2の具体回路構成例における回路動作は、
図2に示された第1の具体回路構成例と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0037】
次に、第3の具体回路構成例について、
図5を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された基本回路構成例と同一の構成要素、又は、
図2に示された第1の具体回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の具体回路構成例における高周波半導体スイッチ集積回路101Cは、
図4に示された第2の具体回路構成例における制御回路8Bに代えて、次述する構成の制御回路8Cを用いるよう構成されたものである。
【0038】
すなわち、先の第2の具体回路構成例における制御回路8Bは、デジタル回路の一種であるインバータ回路81を用いて構成されたものであるが、SP3Tスイッチの制御であれば、デジタル回路は必ずしも必須のものではなく、デジタル回路を用いることなく制御回路を構成することは可能である。
制御回路8Cは、かかる観点から、第1及び第2のダイオード82,83を用いて次述するように構成されたものである。
まず、第1のダイオード82のアノードは、第1の制御信号入力端子21-1に、第2のダオード83のアノードは、第2の制御信号入力端子21-2に、それぞれ接続されている。
そして、第1及び第2のダイオード82,83の各々のカソードは、相互に接続されて、SH用第1のゲート抵抗器60-1を介して第1のシャントFET4-1のゲートに接続されている。
【0039】
次に、この第3の具体回路構成例の回路動作について説明する。
最初に、第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2に、共に論理値Lowに相当する制御信号が印加された場合、すなわち、例えば、グランドレベルとされた場合について説明する。
この場合、高周波半導体スイッチ集積回路101Cには、電圧の供給が行われない状態となるため、回路内の各ノードにおいて電位差が発生することはない。
【0040】
そのため、第1の具体回路構成例で説明したように、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間が通過状態となる。
一方、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2間、及び、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3間は、それぞれ高いアイソレーション状態を呈した遮断状態となる。
なお、
図6には、先に説明した
図3と同様な説明図が示されており、
図6(1)の行には、上述した第1及び第2の制御信号入力端子21-1,21-2に、共に論理値Lowの制御信号が印加された場合の通過経路が示されている。
【0041】
次に、第1の制御信号入力端子21-1に、論理値Highに相当する制御信号が、第2の制御信号入力端子21-2に、論理値Lowに相当する制御信号が、それぞれ印加された場合について説明する。
この場合、第1の制御信号入力端子21-1に、ゲートが接続されている第2のスイッチFET3-2と第3のシャントFET4-3は、共にオン状態となる。
一方、FETとして、MES型のFETを用いた場合、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3のドレインには、制御信号の論理値Highが現れる。そのため、ゲートがグランドレベルに固定されている第1のスイッチFET3-1は、逆方向に電圧が印加される状態となるため、オフ状態となる。
【0042】
また、第2の制御信号入力端子21-2に、ゲートが接続されている第3のスイッチFET3-3及び第2のシャントFET4-2は、逆方向に電圧が印加される状態となるためオフ状態となる。
さらに、第1のシャントFET4-1のゲートには、第1の制御信号入力端子21-1に印加された制御信号と第2の制御信号入力端子21-2に印加された制御信号の論理和となる電圧が印加されることとなる。
【0043】
すなわち、この場合、第1の制御信号入力端子21-1が論理値Highであるため、第1のダイオード82及びSH用第1のゲート抵抗器60-1を介して第1のシャントFET4-1のゲートにも論理値Highの制御信号が印加され、第1のシャントFET4-1はオン状態となる。
したがって、この場合、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2間が通過状態となる(
図6(2)参照)。
一方、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間、及び、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3間は、それぞれ高いアイソレーション状態を呈した遮断状態となる。
【0044】
最後に、第1の制御信号入力端子21-1に論理値Lowに相当する制御信号が、第2の制御信号入力端子21-2に論理値Highに相当する制御信号が、それぞれ印加された場合について説明する。
まず、第2の制御信号入力端子21-2にゲートが接続された第3のスイッチFET3-3及び第2のシャントFET4-2はオン状態となる。
FETとして、MES型のFETを用いた場合、第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3のドレインには、制御信号の論理値Highが現れる。そのため、ゲートがグランドレベルに固定されている第1のスイッチFET3-1は、逆方向に電圧が印加された状態となるため、オフ状態となる。
【0045】
一方、論理値Lowの第1の制御信号入力端子21-1にゲートが接続されている第2のスイッチFET3-2及び第3のシャントFET4-3は、逆方向に電圧が印加された状態となるため、共にオフ状態となる。
そして、第1のシャントFET4-1のゲートには、第1の制御信号入力端子21-1に印加された制御信号と第2の制御信号入力端子21-2に印加された制御信号の論理和となる電圧が印加されることとなる。
【0046】
すなわち、この場合、第2の制御信号入力端子21-2が論理値Highであるため、第2のダオード83及びSH用第1のゲート抵抗器60-1を介して第1のシャントFET4-1のゲートにも論理値Highの制御信号が印加され、第1のシャントFET4-1はオン状態となる。
したがって、この場合、共通RF信号入出力端子10と第3の個別RF信号入出力端子11-3間が通過状態となる(
図6(3)参照)。
【0047】
一方、共通RF信号入出力端子10と第1の個別RF信号入出力端子11-1間、及び、共通RF信号入出力端子10と第2の個別RF信号入出力端子11-2間は、それぞれ高いアイソレーション状態を呈した遮断状態となる。
このように、第3の具体回路構成例においても、
図2に示された第1の具体回路構成例同様、2つの制御信号のみでSP3Tスイッチ動作を実現することができ、従来は3本の直流電圧印加端子を必要としたのに対して端子数の確実な削減が可能となっている。
【0048】
このように制御信号入力端子の削減は、高周波半導体スイッチ集積回路の駆動に要する直流用の配線の削減にも寄与することができる。
近年の半導体集積回路を搭載する基盤の配線は、セットの多機能化、高性能化により、高密度での配線レイアウトとなっており、配線のクロストークが信号遅延などの問題を招く要因となることがある。そのような現状にあって、特性の安定性を考慮した場合には、配線の削減は望ましく、かかる観点から本発明は、そのような要請に十分対応可能なものとなっている。
【0049】
従来、SP3Tスイッチが構成された高周波半導体スイッチ集積回路の場合、制御信号入力端子を含めて3個の駆動用の直流電圧印加端子が必要であり、さらに、この他に、4個のRF端子と1個のグランド端子とが必要となるため、結局、8個の端子が必要であった。
したがって、従来、上述のSP3Tスイッチをパッケージ化した場合、
図13に一例が模式的に示されたように、8端子のパッケージが必要であった。
【0050】
これに対して、本願発明を適用した場合、先に述べたように制御信号入力端子は2本で済むことから、他の直流電圧印加端子などを含めて、全部で7個の端子が必要となる。
図7には、この場合のパッケージ化の一例が模式的に示されている。
この例のパッケージは、チップ搭載部分がそのままパッケージの裏面端子になっているもので、そのため、6端子のパッケージにチップを搭載した構成となっている。
このように、本発明は、半導体スイッチ集積回路の実装面積の縮小化が可能となり、実装時のレイアウトの自由度向上や小型化に寄与できるものとなっている。
【0051】
次に、第4の具体回路構成例について、
図8を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された基本回路構成例と同一の構成要素、又は、
図2に示された第1の具体回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の具体回路構成例における高周波半導体スイッチ集積回路101Dは、SP4Tスイッチに適用した例である。
すなわち、4個の個別RF信号入出力端子11-1~11-4が設けられた構成となっている。
【0052】
したがって、この第4の具体回路構成例においては、SP3Tスイッチを構成する際に必要とされた第1乃至第3のスイッチFET3-1~3-3、及び、第1乃至第3のシャントFET4-1~4-3(
図2参照)に加えて、第4のスイッチFET3-4、及び、第4のシャントFET4-4が設けられている。
すなわち、エンハンスメント型のFETを用いた第4のスイッチFET3-4のドレインは、共通端子用DCカットキャパシタ90を介して共通RF信号入出力端子10に接続されている。
また、第4のスイッチFET3-4のソースは、SW用第4のDCカットキャパシタ90-4を介して第4の個別RF信号入出力端子11-4に接続されている。
さらに、第4のスイッチFET3-4のゲートは、SW用第4のゲート抵抗器50-4を介して制御回路8Dに接続されている。
【0053】
一方、ディプレッッション型のFETを用いた第4のシャントFET4-4は、ドレインが第4のスイッチFET3-4のソースに接続される一方、第4のシャントFET4-4のソースは、SH用第4のDCカットキャパシタ70-4を介してグランドに接続されている。
また、第4のシャントFET4-4のゲートは、SH用第4のゲート抵抗器60-4を介して制御回路8Dに接続されている。
【0054】
SP4Tスイッチでは、4状態の切り替えを行うため、従来、必要とされる制御端子は、スイッチFETのゲートに直接電圧を印加する方式を採る場合には、4個必要である。
一方、論理回路を用いる場合、4状態=22であることから、制御端子は本来は2個で済む。しかしながら、従来の回路においては、その場合、制御回路を駆動するための電源電圧端子が必要であるため、結果的に、3個の端子を必要としていた。
【0055】
これに対して、
図8に示された第4の具体回路構成例においては、4経路の内、一つの経路を、先の第2の具体回路構成例などで説明したように、直流電圧を印加せずに動作させる一方、他の3経路を2つの制御信号入力端子21-1,21-2のみを有する制御回路8Dによって制御する構成としている。なお、この場合、制御回路8Dには、論理生成のための論理回路が必要となるが、論理回路の駆動に必要な電源電圧は、次のような構成とすることで、制御信号入力端子に印加された制御信号を基に生成することが可能となる。
【0056】
すなわち、この第4の具体回路構成例においては、2つの制御信号入力端子21-1,21-2に、共に論理値Lowの制御信号が印加された場合には、1経路が動作することになるため、残りの3経路を駆動するに必要な制御信号の論理は、2つの制御信号入力端子21-1,21-2の内一つが論理値High、もしくは両方ともに論理値Highの場合となる。
そのため、論理回路を駆動する電圧を、制御信号入力端子21-1,21-2に印加された制御信号を基に生成すれば、電源用の端子を新たに設ける必要がなくなる。
【0057】
図9には、上述のように、制御信号を基に論理回路84の動作に必要な電圧を生成する回路(以下、説明の便宜上「電圧生成回路」と称する)の構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、この電圧生成回路について説明する。
この構成例においては、2つの第1及び第2のダイオード82,83を用いて、次述するように構成することで、論理回路84の動作に必要な電圧生成を可能としている。
すなわち、まず、第1及び第2のダイオード82,83は、カソードが相互に接続されると共に、論理回路84の電源ライン(図示せず)と生成電圧出力端子210に接続されている。
【0058】
一方、第1のダイオード82のアノードは、第1の制御信号入力端子21-1に、第2のダオード83のアノードは、第2の制御信号入力端子21-2に、それぞれ接続されている。
かかる構成においては、第1及び第2のダイオード82,83のカソードに、論理回路84の動作に必要な直流電圧が得られるようになっている。
なお、
図9においては、便宜的に端子210~端子216が示されており、それぞれの接続は、以下の通りである。
まず、端子210は、SH用第1のゲート抵抗器60-1を介しての第1のシャントFET4-1のゲートへの接続に用いられる。
また、端子211は、SW用第2のゲート抵抗器50-2を介しての第2のスイッチFET3-2のゲートへの接続に用いられる。
端子212は、SH用第2のゲート抵抗器60-2を介しての第2のシャントFET4-2のゲートへの接続に用いられる。
端子213は、SW用第3のゲート抵抗器50-3を介しての第3のスイッチFET3-3のゲートへの接続に用いられる。
端子214は、SH用第3のゲート抵抗器60-3を介しての第3のシャントFET4-3のゲートへの接続に用いられる。
端子215は、SW用第4のゲート抵抗器50-4を介しての第4のスイッチFET3-4のゲートへの接続に用いられる。
端子216は、SH用第4のゲート抵抗器60-4を介しての第4のシャントFET4-4のゲートへの接続に用いられる。
【0059】
次に、第5の具体回路構成例について、
図10を参照しつつ説明する。
この第5の具体回路構成例における高周波半導体スイッチ集積回路101Eは、
図8及び
図9で説明した第4の具体回路構成における制御信号入力端子の削減方策を、SP5Tスイッチに適用した場合の回路構成例を示したものである。
なお、なお、
図1に示された基本回路構成例と同一の構成要素、又は、
図8に示された第4の具体回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0060】
まず、従来のSP5Tスイッチにおいては、5状態の切り替えのため、FETスイッチのゲートに直接電圧を印加する構成を採る場合、制御端子は5個必要である。一方、論理回路を使用する場合、先に説明した第4の具体回路構成例(
図8参照)のように、2個の制御信号入力端子では4状態の切替のみであるため、従来のSP5Tスイッチでは、さらに一つ制御信号入力端子を増やし、総計で3個の制御信号入力端子が必要となり、加えて、論理回路を駆動する電源電圧供給用の端子とあわせると4個の直流電圧印加端子が必要とされていた。
【0061】
これに対して、この第5の具体回路構成例は、先に説明したように、一つの経路を直流電圧を印加させずに動作させ、残りの4経路を論理回路で動作させる構成を採るものである。
以下、まず、回路構成について説明する。
この第5の具体回路構成例は、第1乃至第4のスイッチFET3-1~3-4、及び、第1乃至第4のシャントFET4-1~4-4に加えて、第5のスイッチFET3-5、及び、第5のシャントFET4-5が設けられている。
【0062】
すなわち、エンハンスメント型のFETを用いた第5のスイッチFET3-5のドレインは、共通端子用DCカットキャパシタ90を介して共通RF信号入出力端子10に接続されている。
また、第5のスイッチFET3-5のソースは、SW用第5のDCカットキャパシタ90-5を介して第5の個別RF信号入出力端子11-5に接続されている。
さらに、第5のスイッチFET3-5のゲートは、SW用第5のゲート抵抗器50-5を介して制御回路8Eに接続されている。
【0063】
一方、ディプレッッション型のFETを用いた第5のシャントFET4-5は、ドレインが第5のスイッチFET3-5のソースに接続される一方、第5のシャントFET4-5のソースは、SH用第5のDCカットキャパシタ70-5を介してグランドに接続されている。
また、第5のシャントFET4-5のゲートは、SH用第5のゲート抵抗器60-5を介して制御回路8Eに接続されている。
【0064】
さらに、この第5の具体回路構成例において、制御回路8Eに設けられた論理回路(図示せず)の駆動に要する電源電圧印加のための電源端子20が設けられている。
しかして、この第5の具体回路構成例においては、先に
図9において説明したように、一つの経路を直流電圧を印加させずに動作させ、残りの4経路を、2つの制御信号入力端子21-1,21-2に印加された制御信号VC1,VC2によって制御回路8Eに設けられた論理理回路を介して動作させる。
したがって、この第5の具体回路構成例は、先のSP4Tスイッチに適用した第4の具体回路構成例とは異なり、2つの制御信号入力端子に加えて、電源端子20が一つ必要となるが、従来と異なり、SP5Tスイッチを計3個の直流電圧印加端子で制御可能として、端子数の削減が図られたものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
良好なスイッチ特性を維持しつつ、直流電圧印加のために必要な端子の削減が所望される高周波半導体スイッチ集積回路に適用できる。
【符号の説明】
【0066】
10…共通RF信号入出力端子
3-1~3-n…スイッチFET
4-1~4-n…シャントFET
11-1~11-n…個別RF信号入出力端子
21-1~21-n…制御信号入力端子