(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173029
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】加工方法
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20241205BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241205BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B24B41/06 L
H01L21/304 631
H01L21/304 622H
H01L21/304 622J
B24B7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091144
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 諒
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB73
3C034DD10
3C034DD20
3C043BA09
3C043BA16
3C043CC04
3C043CC12
3C043DD05
3C043DD14
5F057AA12
5F057AA21
5F057AA42
5F057AA49
5F057BA12
5F057BB03
5F057BB09
5F057BC03
5F057BC10
5F057CA18
5F057CA25
5F057DA08
5F057DA11
5F057DA38
5F057EC02
5F057EC03
5F057EC04
5F057EC12
5F057EC13
5F057EC14
5F057FA11
5F057FA13
5F057FA28
5F057FA30
(57)【要約】
【課題】加工する前の準備にかかる時間と材料歩留まりの低下を抑制することができる加工方法を提供すること。
【解決手段】加工方法は、ウェーハの第一の面に保護テープを貼り付ける貼り付けステップ1001と、チャックテーブルにウェーハの第一の面を積載する積載ステップ1002と、チャックテーブル上で、バキュームとブローを複数回繰り返すことで、チャックテーブルの塵がウェーハの第一の面の保護テープに付着させる付着ステップ1003と、保護テープ側をチャックテーブルで保持しウェーハの第二の面を研削する研削ステップと、ウェーハの第一の面から保護テープを剥離する剥離ステップ1005と、ウェーハの第二の面をチャックテーブルに保持し、ウェーハの第一の面を研削する第2研削ステップ1006と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの第一の面とウェーハの第二の面を研削する加工方法であって、
該ウェーハの第一の面に保護テープを貼り付ける貼り付けステップと、
チャックテーブルに該ウェーハの第一の面を積載する積載ステップと、
該チャックテーブル上で該ウェーハの保護テープ側をバキュームした後、ブローするとともに、該バキュームと該ブローを複数回繰り返すことで、該チャックテーブルの塵が該ウェーハの第一の面の該保護テープに付着させる付着ステップと、
保護テープ側を該チャックテーブルで保持し、該ウェーハの第二の面を研削する研削ステップと、
該ウェーハの該第一の面から該保護テープを剥離する剥離ステップと、
該ウェーハの第二の面を該チャックテーブルに保持し、該ウェーハの第一の面を研削する第2研削ステップと、
を有することを特徴とする加工方法。
【請求項2】
該ウェーハの第一の面に樹脂と保護シートを貼り付けることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを研削する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置(例えば、特許文献1参照)は、加工前に、チャックテーブル上にあるコンタミを除去するため、長時間のウォームアップや、慣らし運転で数十枚のウェーハをチャックテーブルに保持して、加工して、チャックテーブル上をきれいにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した特許文献1等に記載された加工装置は、ウォームアップや慣らし運転にかかる時間などの加工する前の準備にかかる時間が長時間化する傾向であった。また、前述した特許文献1等に記載された加工装置は、慣らし運転で加工される数十枚のウェーハが無駄となって、材料歩留まりが低下する傾向であった。
【0005】
本発明の目的は、加工する前の準備にかかる時間と材料歩留まりの低下を抑制することができる加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工方法は、ウェーハの第一の面とウェーハの第二の面を研削する加工方法であって、該ウェーハの第一の面に保護テープを貼り付ける貼り付けステップと、チャックテーブルに該ウェーハの第一の面を積載する積載ステップと、該チャックテーブル上で該ウェーハの保護テープ側をバキュームした後、ブローするとともに、該バキュームと該ブローを複数回繰り返すことで、該チャックテーブルの塵が該ウェーハの第一の面の該保護テープに付着させる付着ステップと、保護テープ側を該チャックテーブルで保持し、該ウェーハの第二の面を研削する研削ステップと、該ウェーハの該第一の面から該保護テープを剥離する剥離ステップと、該ウェーハの第二の面を該チャックテーブルに保持し、該ウェーハの第一の面を研削する第2研削ステップと、を有することを特徴とする。
【0007】
前記加工方法において、該ウェーハの第一の面に樹脂と保護シートを貼り付けても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、加工する前の準備にかかる時間と材料歩留まりの低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工方法の加工対象のウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る加工方法で用いられる研削装置の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示された加工方法の貼り付けステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示された加工方法の貼り付けステップにおいて貼り付け装置が台上に保護シートを送り出した状態を模式的に斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された台上の保護シートに樹脂を供給する状態を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示された台上の保護シートに樹脂を供給した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示された台上の保護シートに供給された樹脂にウェーハの第一の面を押し付けた状態を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示された保護シートをウェーハの外縁に沿って切断する状態を模式的に示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示された保護シートがウェーハの外縁に沿って切断された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図3に示された積載ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図3に示された加工方法の付着ステップにおいてチャックテーブルの保持面から流体をブローする状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、
図3に示された加工方法の付着ステップにおいて保護テープに塵が付着した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図14】
図14は、
図3に示された加工方法の研削ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図15】
図15は、
図3に示された加工方法の研削ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、
図3に示された加工方法の剥離ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、
図3に示された加工方法の第2研削ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図18】
図18は、
図3に示された加工方法の第2研削ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工方法の加工対象のウェーハを模式的に示す断面図である。
図2は、実施形態1に係る加工方法で用いられる研削装置の構成例を示す斜視図である。
図3は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0012】
(ウェーハ)
実施形態1に係る加工方法は、
図1に示されたウェーハ1を研削する方法である。実施形態1に係る加工方法の加工対象のウェーハ1は、
図1に示すように、円形の第一の面2と、円形の第二の面3と、第一の面2の外縁と第二の面3の外縁とに連なった周面4とを備えて、円板状に形成されている。
【0013】
実施形態1において、ウェーハ1は、シリコン、又はSiCなどで構成されるインゴットから切り出されて形成され、両面2,3に微細な凹凸が形成されている。なお、
図1は、ウェーハ1の両面2,3の凹凸を誇張して大きく示している。ウェーハ1は、両面2,3が研削されて、平坦に形成された後、少なくとも一方にデバイスが形成される。
【0014】
デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(記憶装置)である。
【0015】
また、ウェーハ1は、図示しないが、周面4に結晶方位を示すノッチ又はオリエンテーションフラットの異形状部(円形と異なる形状の部分)が形成されている。
【0016】
(研削装置)
次に、実施形態1に係る加工方法で用いられる研削装置20を説明する。
図2に示された研削装置20は、ウェーハ1を研削する加工装置である。研削装置20は、
図2に示すように、装置基台21と、ターンテーブル22と、ターンテーブル22上に設置された複数(実施形態1では3つ)のチャックテーブル23と、粗研削ユニット30と、仕上げ研削ユニット40と、研削送りユニット50と、カセット24と、位置合わせユニット60と、搬送ユニット70と、洗浄ユニット80と、コントローラである制御ユニット100とを備えている。
【0017】
ターンテーブル22は、装置基台21の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内でZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行な方向である。このターンテーブル22上には、例えば3つのチャックテーブル23が、例えば120度の位相角で等間隔に配設されている。
【0018】
これら3つのチャックテーブル23は、上面がウェーハ1を吸引保持する多孔質材により構成された保持面231である。保持面231は、ポーラスセラミックス等の多孔質材により構成され、水平方向に沿って平坦に形成されている。保持面231は、吸引源と、加圧された流体を供給する流体供給源とに接続されている。
【0019】
チャックテーブル23は、ウェーハ1が保持面231上に載置されて、吸引源により保持面231が吸引されて、ウェーハ1を保持面231に吸引保持する。また、チャックテーブル23は、研削加工時には、図示しない回転機構によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転駆動される。チャックテーブル23は、ターンテーブル22の回転によって、ウェーハ1が搬入出される搬入出領域、ウェーハ1が粗研削される粗研削領域、ウェーハ1が仕上げ研削される仕上げ研削領域、搬入出領域に順次移動される。
【0020】
なお、粗研削領域は、粗研削ユニット30でチャックテーブル23に保持されたウェーハ1を粗研削(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域は、仕上げ研削ユニット40でチャックテーブル23に保持されたウェーハ1を仕上げ研削(研削に相当)する領域である。
【0021】
また、チャックテーブル23は、保持面231から流体供給源から供給された流体を噴出可能である。
【0022】
粗研削ユニット30は、チャックテーブル23が保持するウェーハ1を粗研削加工する粗研削用の研削砥石を環状に配設した粗研削用の研削ホイール31(加工具に相当)を装着して、粗研削領域のチャックテーブル23の保持面231に保持されたウェーハ1を粗研削加工する加工ユニットである。仕上げ研削ユニット40は、チャックテーブル23が保持するウェーハ1を仕上げ研削加工する仕上げ研削用の研削砥石を環状に配設した仕上げ研削用の研削ホイール41(加工具に相当)を装着して、仕上げ研削領域のチャックテーブル23の保持面231に保持されたウェーハ1を仕上げ研削加工する加工ユニットである。
【0023】
研削ユニット30,40は、研削ホイール31,41をモータ33,43によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転されるスピンドル34,44の下端(先端に相当)に装着し、研削ホイール31,41の研削砥石をチャックテーブル23の保持面231に対向配置する。研削ユニット30,40は、モータ33,43によりスピンドル34,44及び研削ホイール31,41が軸心回りに回転されるとともに研削水を研削領域のチャックテーブル23に保持されたウェーハ1に供給しながら研削送りユニット50により研削砥石がチャックテーブル23に所定の送り速度で近づけられることによって、ウェーハ1を粗研削又は仕上げ研削する。
【0024】
研削送りユニット50は、研削ユニット30,40をZ軸方向に移動させて、研削ユニット30,40とチャックテーブル23とを相対的に接近および離間させるものである。実施形態1において、研削送りユニット50は、装置基台21の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設板25に設けられている。研削送りユニット50は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット30,40のスピンドルハウジング35,45をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0025】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット30及び仕上げ研削ユニット40は、研削ホイール31,41の回転中心である軸心と、チャックテーブル23の回転中心である軸心とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石がチャックテーブル23に保持されたウェーハ1の中心上を通る。
【0026】
カセット24は、複数のスロットを有して、ウェーハ1を複数収容するための収容容器である。カセット24は、研削加工前後のウェーハ1を複数枚収容する。実施形態1では、カセット24は、一対設けられ、それぞれカセット載置台26に設置される。位置合わせユニット60は、カセット24から取り出されたウェーハ1が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0027】
搬送ユニット70は、ウェーハ1を搬送するものである。搬送ユニット70は、搬入ユニット71と、搬出ユニット72と、搬入出ユニット73とを備える。
【0028】
搬入ユニット71は、ウェーハ1を吸着する吸着パッド711を先端部に有し、基端部を中心として装置基台21に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬入ユニット71は、位置合わせユニット60で位置合わせされた研削加工前のウェーハ1を吸着パッド711に吸着保持して搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231上に搬入する。
【0029】
搬出ユニット72は、ウェーハ1を吸着する吸着パッド721を先端部に有し、基端部を中心として装置基台21に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬出ユニット72は、搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231上の研削加工後のウェーハ1を吸着パッド721に吸着保持して洗浄ユニット80に搬出する。
【0030】
搬入出ユニット73は、研削加工前のウェーハ1をカセット24から取り出して、位置合わせユニット60に搬送するとともに、研削加工後のウェーハ1を洗浄ユニット80から取り出して、カセット24に搬送する。搬入出ユニット73は、例えばU字型ハンド731を備えるロボットピックであり、U字型ハンド731によってウェーハ1を吸着保持して搬送する。
【0031】
洗浄ユニット80は、研削加工後のウェーハ1を洗浄し、研削されたウェーハ1に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0032】
制御ユニット100は、研削装置20を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、少なくともチャックテーブル23と研削ユニット30,40の動作を制御して、ウェーハ1に対する加工動作を研削装置20に実行させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0033】
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、研削装置20を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して研削装置20の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが加工条件などを登録する際に用いる入力ユニット及びオペレータに報知する報知ユニットと接続されている。
【0034】
入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光とタッチパネル上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0035】
(加工方法)
次に、実施形態1に係る加工方法を説明する。実施形態1に係る加工方法は、ウェーハ1の第一の面2と、ウェーハ1の第二の面3を研削して、これらの面2,3を平坦化する方法である。実施形態1に係る加工方法は、
図3に示すように、貼り付けステップ1001と、積載ステップ1002と、付着ステップ1003と、研削ステップ1004と、剥離ステップ1005と、第2研削ステップ1006とを有する。
【0036】
(貼り付けステップ)
図4は、
図3に示された加工方法の貼り付けステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
図5は、
図3に示された加工方法の貼り付けステップにおいて貼り付け装置が台上に保護シートを送り出した状態を模式的に斜視図である。
図6は、
図5に示された台上の保護シートに樹脂を供給する状態を模式的に示す斜視図である。
図7は、
図6に示された台上の保護シートに樹脂を供給した状態を模式的に示す斜視図である。
図8は、
図7に示された台上の保護シートに供給された樹脂にウェーハの第一の面を押し付けた状態を模式的に示す斜視図である。
図9は、
図8に示された保護シートをウェーハの外縁に沿って切断する状態を模式的に示す斜視図である。
図10は、
図9に示された保護シートがウェーハの外縁に沿って切断された状態を模式的に示す斜視図である。
【0037】
貼り付けステップ1001は、
図4に示すように、ウェーハ1の第一の面2に保護テープ10を貼り付けるステップである。実施形態1において、貼り付けステップ1001は、
図5に示すように、貼り付け装置90が、例えば、ガラス等の透光性を有する材料で構成された台91の水平方向に沿って平坦な上面92上にシートロール13から保護シート11を送り出す。なお、保護シート11は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)等の可撓性を有する樹脂により構成され、実施形態1では、長尺な帯状に形成されて、ロール状に巻かれて、シートロール13を構成している。なお、本発明では、保護シート11は、研削等に生じる埃やコンタミなどの塵が付着する樹脂であれば、種々の樹脂で構成されても良い。
【0038】
実施形態1において、貼り付けステップ1001は、
図6及び
図7に示すように、台91の上面92上の保護シート11上に塗布ノズル93から樹脂12を供給する。なお、樹脂12は、例えば、20℃~180℃の温度で粘度50MPa・s~30万MPa・sに溶剤等で調整された硬化性材料を使用するのがよい。具体的には、(1)エラストマー材(ウレタン、シリコンゴム)、SB(スチレン-ブタジエン)、SEB(スチレン-エチレン-ブタジエン)、SEP(スチレン-エチレン-プロピレン)などのブロックポリマー、またはブチルゴム、プロピレンゴムなどのゴム組成物)、(2)ワックスまたはホットメルト組成物、(3)不飽和基を有する1価~多価アクリレート系組成物およびメタクリレート系モノマー、オリゴマー、ポリマーおよびポリマーブレンド組成物、(4)熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、酢酸セルロース、セルロイド等)、(5)熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グリプタール樹脂、エポキシ樹脂等)のいずれかを主成分とする材料、または混合物である材料がよい。
【0039】
また、樹脂12は、例えば、紫外線やX線,電子線などが照射されることによって硬化する材質や,感光性樹脂等を使用することが望ましい。なお、実施形態1では、樹脂12は、紫外線が照射されると硬化する材質で構成されている。
【0040】
実施形態1において、貼り付けステップ1001では、貼り付け装置90は、ウェーハ1の第一の面2を保護シート11上の樹脂12も相対させた後、
図8に示すように、保護シート11上の樹脂12にウェーハ1の第一の面2に向けて押し付ける。すると、樹脂12が凹凸を有する第一の面2に密着し、ウェーハ1が押し付けるのにしたがってウェーハ1の外縁に向かって延ばされて、一部がウェーハ1の外縁から濾出して、ウェーハ1と保護シート11との間に密着する。実施形態1において、貼り付けステップ1001では、貼り付け装置90が、台91越しに紫外線照射手段から紫外線をウェーハ1と保護シート11との間の樹脂12に照射して、この樹脂12を硬化する。
【0041】
実施形態1において、貼り付けステップ1001は、貼り付け装置90は、
図9に示すように、カッター94で保護シート11及びウェーハ1の外縁からはみ出した硬化した樹脂12をウェーハ1の外縁に沿って切断する。貼り付けステップ1001では、
図4及び
図10に示すように、ウェーハ1の第一の面2に樹脂12と保護シート11を貼り付けて、ウェーハ1の第一の面2に硬化した樹脂と保護シート11とからなる保護テープ10を貼り付ける。
【0042】
(積載ステップ)
図11は、
図3に示された積載ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。積載ステップ1002は、チャックテーブル23にウェーハ1の第一の面2を積載するステップである。実施形態1において、積載ステップ1002と、付着ステップ1003と、研削ステップ1004では、前述した研削装置20が用いられる。
【0043】
実施形態1において、積載ステップ1002では、研削装置20が、オペレータにより第一の面2に保護テープ10が貼り付けられかつ第二の面3を上向きにされたウェーハ1を収容したカセット24が装置基台21のカセット載置台26に設置され、加工条件が制御ユニット100に登録され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作、即ち実施形態1に係る加工方法の積載ステップ1002、付着ステップ1003及び研削ステップ1004を開始する。
【0044】
実施形態1において、積載ステップ1002では、研削装置20は、制御ユニット100が各研削ユニット30,40のスピンドル34,44を加工条件で定められた回転数で軸心回りに回転させ、搬入出ユニット73にカセット24のいずれかからウェーハ1を1枚取り出させて、位置合わせユニット60へ搬入させて、位置合わせユニット60にウェーハ1の中心位置合わせを行わせる。実施形態1において、積載ステップ1002では、研削装置20は、制御ユニット100が搬入ユニット71に位置合わせされたウェーハ1を搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231へ搬送させ、
図11に示すように、ウェーハ1を搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231に積載させる。
【0045】
(付着ステップ)
図12は、
図3に示された加工方法の付着ステップにおいてチャックテーブルの保持面から流体をブローする状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図13は、
図3に示された加工方法の付着ステップにおいて保護テープに塵が付着した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。付着ステップ1003は、チャックテーブル23上でウェーハ1の保護テープ10側をバキュームした後、ブローするとともに、バキュームとブローを複数回繰り返すことで、チャックテーブル23の塵がウェーハ1の第一の面2の保護テープ10に付着させるステップである。
【0046】
実施形態1において、付着ステップ1003では、研削装置20は、制御ユニット100が搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231にウェーハ1の保護テープ10側を所定時間バキュームして吸引保持し、所定時間バキュームして吸引保持した後、
図12に示すように、所定時間保持面231から流体をブロー(噴出)する。実施形態1において、付着ステップ1003では、研削装置20は、制御ユニット100が所定時間のバキュームと、所定時間のブロー(噴出)とを、複数回繰り返す。すると、
図13に示すように、保護テープ10に保持面231に付着していた埃やコンタミなどの塵14が付着する。
【0047】
(研削ステップ)
図14は、
図3に示された加工方法の研削ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
図15は、
図3に示された加工方法の研削ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。研削ステップ1004は、保護テープ10側をチャックテーブル23で保持し、ウェーハ1の第二の面3を研削するステップである。
【0048】
実施形態1において、研削ステップ1004では、研削装置20は、制御ユニット100が搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231にウェーハ1の保護テープ10側をバキュームして、チャックテーブル23の保持面231に保護テープ10側を吸引保持する。実施形態1において、研削ステップ1004では、研削装置20は、制御ユニット100がターンテーブル22を回転して、搬入出領域でウェーハ1を保持したチャックテーブル23を粗研削領域に移動する。
【0049】
実施形態1において、研削ステップ1004では、研削装置20は、
図14に示すように、制御ユニット100がチャックテーブル23を軸心回りに回転し、研削水を供給して粗研削ユニット30によりウェーハ1の第二の面3を粗研削する。実施形態1において、研削ステップ1004では、研削装置20は、制御ユニット100がウェーハ1を粗研削加工した後、ターンテーブル22を回転して、粗研削後のウェーハ1を保持したチャックテーブル23を仕上げ研削領域に移動する。
【0050】
実施形態1において、研削ステップ1004では、研削装置20は、
図14に示すように、制御ユニット100が仕上げ研削ユニット40によりウェーハ1の第二の面3を仕上げ研削し、仕上げ研削後、ターンテーブル22を回転して、仕上げ研削後のウェーハ1を保持しチャックテーブル23を搬入出領域に移動させ、搬入出領域に位置するチャックテーブル23の軸心回りの回転を停止する。実施形態1において、研削ステップ1004では、研削装置20は、制御ユニット100が搬出ユニット72に仕上げ研削後のウェーハ1を搬入出領域のチャックテーブル23から洗浄ユニット80に搬送して、洗浄ユニット80で洗浄した後、搬入出ユニット73にカセット24に収容させる。こうして、研削ステップ1004では、
図15に示すように、ウェーハ1の第二の面3を研削して、第二の面3を平坦化する。
【0051】
その後、研削装置20は、各チャックテーブル23にウェーハ1を保持するなどして、各チャックテーブル23がウェーハ1を保持した状態で所定回数(実施形態1では、1回)、付着ステップ1003を実施して、各チャックテーブル23の保持面231から塵14等を除去する。また、研削装置20は、各チャックテーブル23にウェーハ1を保持するなどして付着ステップ1003を実施した後、付着ステップ1003を実施することなく、積載ステップ1002と研削ステップ1004とを順に実施して、カセット24内の全てのウェーハ1の第二の面3を研削して、第二の面3を平坦化する。このように、実施形態1では、研削装置20は、稼働開始後、各チャックテーブル23が1枚目のウェーハ1を保持した後に付着ステップ1003を実施し、2枚目以降のウェーハを保持した際には付着ステップ1003を実施しない。また、実施形態1に係る加工方法は、例えば、研削装置20の稼働開始等のチャックテーブル23の保持面231から塵14を除去するタイミングで、各チャックテーブル23にウェーハ1を保持するなどして付着ステップ1003を実施すればよく、全てのウェーハ1を研削する度に付着ステップ1003を実施する必要がない。
【0052】
この場合、研削装置20は、制御ユニット100がターンテーブル22を120度回転する度に、仕上げ研削後のウェーハ1を保持している搬入出領域のチャックテーブル23からウェーハ1を洗浄ユニット80に搬送し、仕上げ研削後のウェーハ1を保持していない搬入出領域のチャックテーブル23に研削前のウェーハ1を搬入し、粗研削領域のチャックテーブル23に保持された研削前のウェーハ1を粗研削し、仕上げ研削領域のチャックテーブル23に保持された粗研削後のウェーハ1を粗研削加工する。こうして、研削装置20は、制御ユニット100がターンテーブル22を120度回転する度に搬入出領域のチャックテーブル23にウェーハ1を搬出、搬入し、チャックテーブル23の保持面231に保持したウェーハ1を粗研削領域及び仕上げ研削領域に順に位置付けて、第二の面3に粗研削及び仕上げ研削を順に施す。
【0053】
(剥離ステップ)
図16は、
図3に示された加工方法の剥離ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。剥離ステップ1005は、ウェーハ1の第一の面2から保護テープ10を剥離するステップである。
【0054】
実施形態1において、剥離ステップ1005では、例えば、特開2017-204605号公報等に記載された剥離装置が、保持手段にウェーハ1の第二の面3を吸引保持し、挟持手段の挟持クランパが保護テープ10の外縁を挟持して、保持手段と挟持クランパとを相対的に移動させて、端から順ンに保護テープ10をウェーハ1の第一の面2から剥離する。こうして、剥離ステップ1005では、
図16に示すように、ウェーハ1の第一の面2から保護テープ10即ち樹脂12及び保護シート11を剥離する。
【0055】
(第2研削ステップ)
図17は、
図3に示された加工方法の第2研削ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
図18は、
図3に示された加工方法の第2研削ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。第2研削ステップ1006は、ウェーハ1の第二の面3をチャックテーブル23に保持し、ウェーハ1の第一の面2を研削するステップである。
【0056】
実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20が、オペレータにより第一の面2を上向きにされたウェーハ1を収容したカセット24が装置基台21のカセット載置台26に設置され、加工条件が制御ユニット100に登録され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作、即ち実施形態1に係る加工方法の第2研削ステップ1006を開始する。
【0057】
実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、制御ユニット100が各研削ユニット30,40のスピンドル34,44を加工条件で定められた回転数で軸心回りに回転させ、搬入出ユニット73にカセット24のいずれかからウェーハ1を1枚取り出させて、位置合わせユニット60へ搬入させて、位置合わせユニット60にウェーハ1の中心位置合わせを行わせる。実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、制御ユニット100が搬入ユニット71に位置合わせされたウェーハ1を搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231へ搬送させ、ウェーハ1を搬入出領域に位置するチャックテーブル23の保持面231に積載させ、ウェーハ1の第二の面3をチャックテーブル23の保持面231に吸引保持する。
【0058】
実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、制御ユニット100がターンテーブル22を回転して、搬入出領域でウェーハ1を保持したチャックテーブル23を粗研削領域に移動する。実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、
図17に示すように、制御ユニット100がチャックテーブル23を軸心回りに回転し、研削水を供給して粗研削ユニット30によりウェーハ1の第一の面2を粗研削する。実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、制御ユニット100がウェーハ1を粗研削加工した後、ターンテーブル22を回転して、粗研削後のウェーハ1を保持したチャックテーブル23を仕上げ研削領域に移動する。
【0059】
実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、
図17に示すように、制御ユニット100が仕上げ研削ユニット40によりウェーハ1の第一の面2を仕上げ研削し、仕上げ研削後、ターンテーブル22を回転して、仕上げ研削後のウェーハ1を保持しチャックテーブル23を搬入出領域に移動させ、搬入出領域に位置するチャックテーブル23の軸心回りの回転を停止する。
【0060】
実施形態1において、第2研削ステップ1006では、研削装置20は、制御ユニット100が搬出ユニット72に仕上げ研削後のウェーハ1を搬入出領域のチャックテーブル23から洗浄ユニット80に搬送して、洗浄ユニット80で洗浄した後、搬入出ユニット73にカセット24に収容させる。こうして、第2研削ステップ1006では、
図18に示すように、ウェーハ1の第一の面2を研削して、第一の面2を平坦化する。
【0061】
その後、研削装置20は、第2研削ステップ1006を順に実施して、カセット24内の全てのウェーハ1の第一の面2を研削して、第一の面2を平坦化する。この場合、研削装置20は、制御ユニット100がターンテーブル22を120度回転する度に、仕上げ研削後のウェーハ1を保持している搬入出領域のチャックテーブル23からウェーハ1を洗浄ユニット80に搬送し、仕上げ研削後のウェーハ1を保持していない搬入出領域のチャックテーブル23に研削前のウェーハ1を搬入し、粗研削領域のチャックテーブル23に保持された研削前のウェーハ1を粗研削し、仕上げ研削領域のチャックテーブル23に保持された粗研削後のウェーハ1を粗研削加工する。こうして、研削装置20は、制御ユニット100がターンテーブル22を120度回転する度に搬入出領域のチャックテーブル23にウェーハ1を搬出、搬入し、チャックテーブル23の保持面231に保持したウェーハ1を粗研削領域及び仕上げ研削領域に順に位置付けて、第一の面2に粗研削及び仕上げ研削を順に施す。
【0062】
以上説明したように、実施形態1に係る加工方法は、付着ステップ1003においてバキュームとブローとを複数回繰り返して、チャックテーブル23の保持面231に付着していた塵14を保護テープ10に付着するので、保持面231から塵14を除去するために保持面231に吸引保持するウェーハ1の枚数を抑制することができる。このために、実施形態1に係る加工方法は、加工する前の準備にかかる時間を抑制することができる。さらに、実施形態1に係る加工方法は、従来のウェーハ1のみを使用した慣らし運転と比べ、ダウンタイムを短くすることができる。さらに、長時間のウォームアップが不要のため、使用水量が少なくなる。
【0063】
また、実施形態1に係る加工方法は、保持面231から塵14を除去するために保持面231に吸引保持するウェーハ1の枚数を抑制することができることに加え、付着ステップ1003では、ウェーハ1の第一の面2に貼り付けられた保護テープ10に塵14を付着させるため、保護テープ10を剥離し、第一の面2を研削することで、付着ステップ1003に用いられたウェーハ1もデバイスを形成できて、製品化することができる。このために、実施形態1に係る加工方法は、保持面231から塵14を除去するために用いられ、無駄となるウェーハ1の枚数を抑制することができる。
【0064】
その結果、実施形態1に係る加工方法は、加工する前の準備にかかる時間と材料歩留まりの低下を抑制することができるという効果を奏する。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ウェーハ
2 第一の面
3 第二の面
10 保護テープ
11 保護シート
12 樹脂
14 塵
23 チャックテーブル
1001 貼り付けステップ
1002 積載ステップ
1003 付着ステップ
1004 研削ステップ
1005 剥離ステップ
1006 第2研削ステップ