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特開2024-173097画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173097
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091242
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA20
5C072CA07
5C072CA12
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA05
5C072EA06
5C072FB25
5C072LA02
5C072LA08
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072QA10
5C072RA16
5C072UA05
5C072UA06
5C072UA13
5C072UA17
5C072UA18
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】波長領域の異なる複数種類の光源を持つ画像読取装置において、異常画像の発生を抑制する。
【解決手段】被写体に対して光を照射する第1の光源と、前記第1の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第1の画像を出力する第1の読取部と、前記第1の光源とは波長領域の異なる光を前記被写体に対して照射する第2の光源と、前記第2の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第2の画像を出力する第2の読取部と、前記第1の画像および前記第2の画像の信号レベルを算出する信号レベル算出部と、前記信号レベル算出部が算出した信号レベルに基づいて、前記第1の光源および前記第2の光源の光量を制御する光源制御部と、を備え、前記光源制御部は、前記第1の読取部または前記第2の読取部のいずれか一方における所定の動作を実施する際に、対応する前記第1の光源または前記第2の光源のいずれか一方の異常点灯を検出する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して光を照射する第1の光源と、
前記第1の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第1の画像を出力する第1の読取部と、
前記第1の光源とは波長領域の異なる光を前記被写体に対して照射する第2の光源と、
前記第2の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第2の画像を出力する第2の読取部と、
前記第1の画像および前記第2の画像の信号レベルを算出する信号レベル算出部と、
前記信号レベル算出部が算出した信号レベルに基づいて、前記第1の光源および前記第2の光源の光量を制御する光源制御部と、
を備え、
前記光源制御部は、前記第1の読取部または前記第2の読取部のいずれか一方における所定の動作を実施する際に、対応する前記第1の光源または前記第2の光源のいずれか一方の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1の光源は、不可視光光源であり、
前記第1の読取部は、不可視光読取部であり、
前記第2の光源は、可視光光源であり、
前記第2の読取部は、可視光読取部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記可視光読取部の初期調整を実施する際に、前記不可視光光源の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記光源制御部は、前記不可視光読取部の初期調整を実施する際に、前記可視光光源の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記可視光読取部の調整を実施する際に、前記不可視光光源の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記不可視光読取部が出力した前記第2の画像の信号レベルと基準暗時データとを比較することで、前記不可視光光源の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記光源制御部は、前記可視光光源のみを点灯させて前記可視光読取部の読取りを実施する際に、前記不可視光光源の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の画像読取装置と、
画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
被写体に対して光を照射する第1の光源と、
前記第1の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第1の画像を出力する第1の読取部と、
前記第1の光源とは波長領域の異なる光を前記被写体に対して照射する第2の光源と、
前記第2の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第2の画像を出力する第2の読取部と、
を備える画像読取装置における画像読取方法であって、
前記第1の画像および前記第2の画像の信号レベルを算出する信号レベル算出工程と、
前記信号レベル算出工程が算出した信号レベルに基づいて、前記第1の光源および前記第2の光源の光量を制御する光源制御工程と、
を含み、
前記光源制御工程は、前記第1の読取部または前記第2の読取部のいずれか一方における所定の動作を実施する際に、対応する前記第1の光源または前記第2の光源のいずれか一方の異常点灯を検出する、
ことを特徴とする画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光源が消灯している時に読み取った暗時出力レベルの最大値から暗時出力レベルの最小値を差し引いた差分データと、基準となる暗時出力レベルとの比較結果に基づいて、可視光源の異常点灯を検出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術によれば、可視光源と不可視光源とを有する画像読取装置において、不可視光源の異常点灯を検出することができないため、異常画像の発生を抑制することができない、という問題がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、波長領域の異なる複数種類の光源を持つ画像読取装置において、一の光源の異常点灯を検出することで、異常画像の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被写体に対して光を照射する第1の光源と、前記第1の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第1の画像を出力する第1の読取部と、前記第1の光源とは波長領域の異なる光を前記被写体に対して照射する第2の光源と、前記第2の光源から前記被写体へ照射された光の反射光を受光して第2の画像を出力する第2の読取部と、前記第1の画像および前記第2の画像の信号レベルを算出する信号レベル算出部と、前記信号レベル算出部が算出した信号レベルに基づいて、前記第1の光源および前記第2の光源の光量を制御する光源制御部と、を備え、前記光源制御部は、前記第1の読取部または前記第2の読取部のいずれか一方における所定の動作を実施する際に、対応する前記第1の光源または前記第2の光源のいずれか一方の異常点灯を検出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、波長領域の異なる複数種類の光源を持つ画像読取装置において、一の光源の異常点灯を検出することで、異常画像の発生を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、画像読取装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、画像読取装置の制御ブロックの構成の一例を示す図である。
図4図4は、イメージセンサの分光感度特性の一例を示す図である。
図5図5は、不可視光光源の異常判定を実施するための機能構成を模式的に示した図である。
図6図6は、可視光読取部の初期調整時における不可視光光源の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施の形態にかかる不可視光読取部の初期調整時における可視光光源の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第3の実施の形態にかかる可視光読取部の調整時における不可視光光源の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、第4の実施の形態にかかる可視光読取部の読取実行前における不可視光光源の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置3の構成の一例を示す図である。図1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP:Multifunction Peripheral/Printer/Product)と称される画像形成装置3を一例として示している。図1に示す画像形成装置3は、上部に画像読取装置(読取装置本体10およびADF(Automatic Document Feeder)20)1を備える。
【0010】
図1に示す画像形成装置3は、読取装置本体10の下方に画像形成部80および給紙部90を有する。
【0011】
画像形成部80は、読取装置本体10で読み取った読取画像データを、記録媒体の一例である記録紙に印刷する。詳細は後述するが、読取画像データは、可視画像データまたは近赤外画像データである。
【0012】
「可視画像データ」とは、可視波長域の光源の光(可視光)に感度をもつイメージセンサ等のセンシングデバイスで読み取った可視画像データ(以下では、単に可視画像と言う)を指す。また、「不可視画像データ」とは、赤外線(近赤外を含む)や紫外線などの不可視波長域の光源の光に感度をもつイメージセンサ等のセンシングデバイスで読み取った画像データを指す。以下では「不可視画像データ」の一例として近赤外画像データ(以下では、単に近赤外画像と言う)を示すが、近赤外画像に限定するものではない。一例として、不可視光として近赤外光を使用する例を示す(図4参照)。
【0013】
画像形成部80は、光書込装置81や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)82や、中間転写ベルト83や、二次転写ベルト84などを有する。画像形成部80では、印刷対象の画像について光書込装置81が作像ユニット82の感光体ドラム820に画像を書き込み、各感光体ドラム820から中間転写ベルト83上にそれぞれの版のトナー画像を転写する。K版はカーボンブラックを含有するKトナーで形成される。
【0014】
作像ユニット(Y、M、C、K)82は、回転可能な4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)820を有し、各感光体ドラム820の周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素をそれぞれ備える。各感光体ドラム820の周囲で各作像要素が所定の作像プロセスで動作することにより、各感光体ドラム820上に画像が形成され、各感光体ドラム820に形成された画像が一次転写ローラにより中間転写ベルト83上にそれぞれトナー画像として転写される。
【0015】
中間転写ベルト83は、各感光体ドラム820と各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト83に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト83の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト84上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト84の走行により、定着装置85に搬送され、記録紙上にトナー画像が定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。
【0016】
なお、記録紙は、例えば給紙部90が用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット91、92から所定の記録紙を繰り出して、各種ローラからなる搬送手段93で搬送して二次転写ベルト84に供給する。
【0017】
なお、画像形成部80は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。また、画像形成装置は、MFPに限定されない。画像形成装置は、例えば、別体である画像処理装置が生成した画像データを通信を介するなどして受信し、受信した画像データを印刷するプリンタなどでもよい。
【0018】
次に、画像読取装置1の構成について説明する。
【0019】
図2は、画像読取装置1の構成の一例を示す図である。図2に示すように、画像読取装置1の読取装置本体10は、上面にコンタクトガラス11を有し、読取装置本体10の内部に撮像部40(図3参照)を有する。読取装置本体10の内部には、光源13、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズユニット16、イメージセンサ17などが備えられている。第1キャリッジ14は光源13と反射ミラー14-1とを有し、第2キャリッジ15は反射ミラー15-1、15-2を有する。また、読取装置本体10は制御ボードを備える。制御ボードは、図3に示す制御部300であり、画像読取装置1全体を制御する。
【0020】
制御ボードは、第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を移動させながら、光源13の光を照射するなどして、コンタクトガラス11上に配置された読取対象からの反射光をイメージセンサ17で順次読み取る。光源13の光の照射により、読取対象で反射した光は第1キャリッジ14のミラー14-1と第2キャリッジ15のミラー15-1、15-2で折り返されてレンズユニット16に入射し、レンズユニット16から出射した光がイメージセンサ17上に結像する。イメージセンサ17は、読取対象からの反射光を受光して画像信号を出力する。イメージセンサ17は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary MOS)などのイメージセンサであり、読取対象の画像を読み取る読取部に相当する。
【0021】
光源13には、第2の光源である可視光光源13-1と、第1の光源である不可視光光源13-2とを設けている。イメージセンサ17は、読取対象に照射した可視光の反射光を受光して画像を出力する第2の読取部である可視光読取部17-1と、読取対象に照射した近赤外光の反射光を受光して画像を出力する第1の読取部である不可視光読取部17-2とを有する。読取対象に対し可視光の照射で受光した画像を可視画像と呼び、読取対象に対し近赤外光の照射で受光した画像を近赤外画像と呼ぶ。なお、光源として可視光光源13-1と不可視光光源13-2を別々に設けているが、一つの光源であってもよい。
【0022】
可視光読取部17-1および不可視光読取部17-2は、可視画像と近赤外画像とをそれぞれ出力することが可能であれば、一つのイメージセンサで構成してもよいし、それぞれのイメージセンサを個別に設けてもよい。
【0023】
基準白板12は白補正用の部材である。
【0024】
図2に示す画像読取装置1はADF20を搭載したものである。ADF20は片側を上に持ち上げると上に開き、コンタクトガラス11の面が露出する。ユーザは、コンタクトガラス11上に読取対象をセットして、ADF20を下げ、ADF20を読取対象の背面からコンタクトガラス11上の面に押し当てる。そして、スキャン開始のボタンが押されると、第1キャリッジ14と第2キャリッジ15が主走査方向および副走査方向に駆動し、読取対象全体が読み取られる。
【0025】
また、コンタクトガラス11上に読取対象をセットして読み取る方法の他に、次の方法でも読取対象の読み取りが可能である。ADF20は、読取対象をシートスルー方式で読み取ることもできるようになっている。ADF20では、ADF20のトレイ21から読取対象の束をピックアップローラ22が1枚ずつに分離し、各種搬送ローラ24等の制御により、搬送路23を搬送する読取対象の片面または両面を読み取って排紙トレイ25に排出する。
【0026】
ADF20によるシートスルー方式での読取対象の読み取りは、読取窓19を介して行う。この例では第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を所定のホームポジションに移動して固定し、読取窓19と背景部26との間を読取対象が通過する際、読取窓19側に向けられている読取対象の表面に光源13の光を照射して画像を読み取る。読取窓19はコンタクトガラス11の一部に設けられたスリット状の読取窓である。また、背景部26は背景部材である。
【0027】
ADF20により読取対象の両面読取を行う場合には、読取対象が読取窓19を通過した後に、読取対象の背面側に設けられている第2の読取手段の読取モジュール27により裏面を読み取る。読取モジュール27は、光源を含む照射部と、第2の読取部である密着型イメージセンサとを有し、第2面に照射された光の反射光を密着型イメージセンサで読み取る。なお、この光源にも可視光光源と不可視光光源とを設け、可視画像と近赤外画像との読み取りができるようにしてもよい。背景部材28は濃度基準部材である。
【0028】
次に、画像読取装置1の制御ブロックの構成について説明する。
【0029】
図3は、画像読取装置1の制御ブロックの構成の一例を示す図である。画像読取装置1は、図3に示すように、制御部300、操作パネル301、各種センサ302、スキャナモータ303、搬送路の各種モータ304、駆動モータ305、出力部306、および撮像部40を有する。その他にも各種の制御対象が接続されている。各種センサ302は、読取対象を検知するセンサである。スキャナモータ303は、読取装置本体10の第1キャリッジ14と第2キャリッジ15を駆動するモータである。搬送路の各種モータ304は、ADF20に設けられている各種モータである。出力部306は、出力部4aが画像データを外部装置に出力するための出力インターフェースに相当する。出力インターフェースは、USB等のインターフェースでもネットワークに接続する通信インターフェースでもよい。
【0030】
操作パネル301は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置である。操作パネル301は、ユーザからの各種設定や読取実行(スキャン開始)などの入力操作を操作ボタンやタッチ入力等で受け付け、対応する操作信号を制御部300に送信する。また、操作パネル301は、制御部300からの各種表示情報を表示画面に表示する。例えば、操作パネル301は、ユーザが被写体などに押された印鑑の印影を除去するための各種設定ボタンを備え、設定ボタンの入力操作があると制御部300に設定を指示する。表示画面の設定画面において印影の除去を行うか否かの選択を行うようにしてもよい。また、スキャン実行のボタンが操作されると常に印影の除去が実行されるような設定としてもよい。また、印影の除去に使用した各種データを外付けメモリに保存したり、外部装置に出力したりしてもよい。
【0031】
撮像部40は、入力部1aに対応する。撮像部40は、光源部401と、センサチップ402と、増幅器403と、A/D404と、画像補正処理部405と、フレームメモリ406と、出力制御回路407と、I/F回路408とを有し、読取対象から読み取った画像がフレーム毎に出力制御回路407からI/F回路408を通じて制御部300に出力される。各センサチップ402は、イメージセンサ17の画素センサである。光源部401は、光源13である。
【0032】
撮像部40は、コントローラ307によって駆動される。例えば撮像部40は、コントローラ307からの点灯信号に基づいて光源部401を点灯して読取対象に可視光と近赤外光とを設定したタイミングで照射する。また、撮像部40は、イメージセンサ17のセンサ面に結像した読取対象からの光を各センサチップ402で電気信号に変換して出力する。
【0033】
撮像部40は、各センサチップ402から出力された画素信号を、増幅器403により増幅し、A/D404によりアナログ信号からデジタル信号に変換して画素のレベル信号を出力する。画像補正処理部405は、各画素からの出力信号に対する画像補正処理を施す。例えば画像補正処理部405は、各画素からの出力信号に対しシェーディング補正等を行う。
【0034】
画像補正処理後、各データはフレームメモリ406に蓄積され、蓄積された読取画像が出力制御回路407、I/F回路408を介して制御部300に転送される。
【0035】
制御部300は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を備え、CPUが装置全体を制御して読取対象に対する読取動作や、読取動作で得た読取画像に対し印影除去などの処理を実行する。
【0036】
制御部300は、信号レベル算出部30および光源制御部32を有する。信号レベル算出部30および光源制御部32は、CPUが所定のプログラムを実行して発揮する機能部により実現することができる。また、この他にもASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現することもできる。信号レベル算出部30および光源制御部32との詳細については、後述する。
【0037】
次に、画像読取装置1の画像補正処理部405が実行するシェーディング補正について説明する。
【0038】
例えば、画像読取装置1の電源を投入した際に実施する初期調整の1つに、黒シェーディングデータの生成がある。黒シェーディング処理は、受光する光のレベルによらず画像読取装置1のイメージセンサ17が持つ固定パターンノイズなどをキャンセルするために実施する処理である。黒シェーディングデータK0は、画像読取装置1のイメージセンサ17が持つ固定パターンノイズなどをキャンセルする基準となるデータである。
【0039】
黒シェーディングデータの取得は、画像読取装置1のイメージセンサ17に光が入らない状態におけるイメージセンサ17の出力データのレベル(暗時出力レベル)を取得することである。そのため、黒シェーディングデータの取得時に光がイメージセンサ17に入ってしまうと、本来の暗時出力レベルよりも大きくなってしまう。
【0040】
黒シェーディング処理は、下式に示すように、イメージセンサ17の出力値から黒シェーディングデータを減算する処理である。
処理後データD1=D0-K0
【0041】
ところで、可視光光源13-1からの可視光の反射光を受光する可視光読取部17-1の黒シェーディングデータ生成をする際に、何らかの理由により、不可視光光源13-2が点灯している場合がある。
【0042】
図4は、イメージセンサ17の分光感度特性の一例を示す図である。図4に示すように、イメージセンサ17のREDの特性を見ると、不可視波長領域(約800~900nm)において感度を持っていることがわかる。このため、可視光光源13-1のみを点灯させて読取った結果と、可視光光源13-1と不可視光光源13-2の両方を点灯して読取った結果とでは、差が生じてしまうことになる。
【0043】
すなわち、可視光読取部17-1の黒シェーディングデータ生成をする際に、不可視光光源13-2が点灯した状態で黒シェーディングデータが生成されると、不可視光光源13-2の影響を受けて黒シェーディングデータが本来のレベルより大きくなってしまう。そのため、不可視光光源13-2の影響を受けた黒シェーディングデータを、イメージセンサ17の出力値から減算してしまうと、本来得たい画像データよりも暗い画像になってしまったり、意図しないノイズがかかったりすることで、異常画像が発生する。
【0044】
したがって、可視光光源13-1のみを点灯させて読取動作を実施する場合や、可視光光源13-1を消灯して各種の調整を行う場合には、不可視光光源13-2を確実に消灯させる必要がある。
【0045】
そこで、本実施形態においては、可視光光源13-1からの可視光の反射光を受光する可視光読取部17-1の黒シェーディングデータの生成を実施する前に、不可視光光源13-2の異常点灯を検出する異常判定を実施するようにしたものである。このように可視光光源13-1からの可視光の反射光を受光する可視光読取部17-1の黒シェーディングデータの生成を実施する前に、不可視光光源13-2の異常点灯を検出する異常判定を実施することで、黒シェーディング処理を正しく実施することができ、異常画像の発生を抑制することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては可視光読取部17-1の初期調整として黒シェーディングデータの取得について説明するが、これに限るものではなく、可視光読取部17-1の初期調整としては、光源13の光量を設定する光量調整、基準白板12等を読み取った時の可視光読取部17-1の出力レベルを目標値に合わせるように変倍率を調整するゲイン調整などが挙げられる。
【0047】
図5は、不可視光光源13-2の異常判定を実施するための機能構成を模式的に示した図である。
【0048】
撮像部40は、図3で説明した可視光光源13-1および可視光読取部17-1と、不可視光光源13-2および不可視光読取部17-2とを、それぞれ含む。撮像部40は、読取対象に可視光光源13-1の光を照射し、読取対象からの反射光を可視光読取部17-1で受光して可視画像(一例としてRGB画像)を出力する。
【0049】
また、撮像部40は、同じ読取対象に不可視光光源13-2の光を照射し、読取対象からの反射光を不可視光読取部17-2で受光して不可視画像(NIR画像)を出力する。
【0050】
撮像部40は、同じ読取対象から可視画像と近赤外画像を両方同時に読み取ることができる。なお、読取対象が同じものであれば、撮像部40は、可視画像と近赤外画像とを両方同時に読み取る必要はなく、それぞれの撮像対象の位置が一致していれば異なるタイミングでも良い。
【0051】
信号レベル算出部30は、撮像部40が撮像した可視画像および不可視画像を入力する。信号レベル算出部30は、撮像部40が撮像した可視画像および不可視画像の信号レベルを算出する。
【0052】
光源制御部32は、可視光読取部17-1の初期調整開始前に、信号レベル算出部が算出した信号レベルに基づいて、不可視光光源13-2が点灯していないかを識別する。本実施形態においては、光源制御部32は、点灯させない不可視光光源13-2の反射光を読み取る不可視光読取部17-2の出力レベルを基準値と比較することで、不可視光光源13-2が点灯していないかを識別する。光源制御部32は、不可視光光源13-2が点灯していないと識別した場合に、可視光読取部17-1のみを点灯させて初期調整(例えば、黒シェーディングデータの取得)を実施する。
【0053】
一方、光源制御部32は、不可視光光源13-2が点灯していると識別した場合に、不可視光光源13-2が異常点灯している旨を通知する。なお、光源制御部32は、異常点灯している旨を通知として、操作パネル301へのエラー通知(エラー番号)の表示、操作パネル301に設けられる赤ランプの点灯などを行う。
【0054】
続いて、所定の動作としての可視光読取部17-1の初期調整時における不可視光光源13-2の異常点灯の検出処理の流れについて説明する。
【0055】
ここで、図6は可視光読取部の初期調整時における不可視光光源の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、光源制御部32は、可視光読取部17-1の初期調整開始前に、信号レベル算出部30が算出した信号レベルに基づいて、不可視光光源13-2が点灯していないかを識別する(ステップS1)。
【0056】
不可視光光源13-2が点灯していないと識別した場合には(ステップS1のNo)、光源制御部32は、可視光読取部17-1の初期調整を実施する(ステップS2)。
【0057】
一方、不可視光光源13-2が点灯していると識別した場合には(ステップS1のYes)、光源制御部32は、不可視光光源13-2が異常点灯している旨を通知する(ステップS3)。
【0058】
このように本実施形態によれば、可視光光源13-1と不可視光光源13-2のように複数種類の光源を有する場合における片方の可視光光源13-1のみを点灯させて処理を実施する際に、もう一方の不可視光光源13-2が異常点灯していることを検出することで、異常画像の発生を抑制することができ、可視光光源13-1の初期調整への影響を抑制することができる。すなわち、波長領域の異なる複数種類の光源を持つ画像読取装置において、光源の異常点灯を検出することで、異常画像の発生を抑制することができる。
【0059】
また、光源制御部32は、点灯させない不可視光光源13-2の反射光を読み取る不可視光読取部17-2の出力レベルを基準値と比較することで、不可視光光源13-2が点灯していないかを識別して異常点灯を検出するので、異常画像の発生を抑制することができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0061】
第2の実施の形態は、所定の動作としての不可視光読取部17-2の初期調整時における可視光光源13-1の異常点灯を検出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0062】
図7は、第2の実施の形態にかかる不可視光読取部17-2の初期調整時における可視光光源13-1の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
図7に示すように、光源制御部32は、不可視光読取部17-2の初期調整開始前に、信号レベル算出部30が算出した信号レベルに基づいて、可視光光源13-1が点灯していないかを識別する(ステップS11)。本実施形態においては、光源制御部32は、点灯させない可視光光源13-1の反射光を読み取る可視光読取部17-1の出力レベルを基準値と比較することで、可視光光源13-1が点灯していないかを識別する。
【0064】
可視光光源13-1が点灯していないと識別した場合には(ステップS11のNo)、光源制御部32は、不可視光読取部17-2の初期調整(例えば、黒シェーディングデータの取得)を実施する(ステップS12)。
【0065】
一方、可視光光源13-1が点灯していると識別した場合には(ステップS11のYes)、光源制御部32は、可視光光源13-1が異常点灯している旨を通知する(ステップS13)。なお、光源制御部32は、異常点灯している旨を通知として、操作パネル301へのエラー通知(エラー番号)の表示、操作パネル301に設けられる赤ランプの点灯などを行う。
【0066】
このように本実施形態によれば、可視光光源13-1と不可視光光源13-2のように複数種類の光源を有する場合における片方の不可視光光源13-2のみを点灯させて処理を実施する際に、もう一方の可視光光源13-1が異常点灯していることを検出することで、異常画像の発生を抑制することができ、不可視光光源13-2の初期調整への影響を抑制することができる。
【0067】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0068】
第3の実施の形態は、所定の動作としての可視光読取部17-1の調整時における不可視光光源13-2の異常点灯を検出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0069】
図8は、第3の実施の形態にかかる可視光読取部17-1の調整時における不可視光光源13-2の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
図8に示すように、可視光光源13-1のみを点灯させた状態での可視光読取部17-1での読取ジョブが設定された際に、光源制御部32は、可視光光源13-1を点灯させた後に、信号レベル算出部30を介して不可視光読取部17-2の暗時出力データを取得する(ステップS21)。
【0071】
次いで、光源制御部32は、不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値を抽出する(ステップS22)。
【0072】
続いて、光源制御部32は、ステップS22で抽出した不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値と基準暗時データとを比較する(ステップS23)。基準暗時データは、可視光読取部17-1の異常出力値である。なお、基準暗時データは、マシンごとに取得するのではなく、閾値として設定しておく。
【0073】
光源制御部32は、ステップS22で抽出した不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値が基準暗時データ以下である場合には(ステップS24のYes)、正常と判断し、可視光読取部17-1の暗時調整を開始する(ステップS25)。
【0074】
一方、光源制御部32は、ステップS22で抽出した不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値が基準暗時データ以下でない場合には(ステップS24のNo)、異常と判断し、可視光読取部17-1の暗時調整の実施前に、不可視光光源13-2の異常点灯を通知する(ステップS26)。なお、光源制御部32は、異常点灯している旨を通知として、操作パネル301へのエラー通知(エラー番号)の表示、操作パネル301に設けられる赤ランプの点灯などを行う。
【0075】
このように本実施形態によれば、可視光読取部17-1の異常出力値を基準にした調整を防止することができ、可視画像への不可視光の混色影響を抑制することができる。
【0076】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0077】
第4の実施の形態は、所定の動作としての可視光読取部17-1の読取実行前における不可視光光源13-2の異常点灯を検出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0078】
図9は、第4の実施の形態にかかる可視光読取部17-1の読取実行前における不可視光光源13-2の異常点灯の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
図9に示すように、可視光光源13-1のみを点灯させて可視光読取部17-1による可視読取を実施する際に、光源制御部32は、可視光光源13-1を点灯させた後に、信号レベル算出部30を介して不可視光読取部17-2の暗時出力データを取得する(ステップS31)。
【0080】
次いで、光源制御部32は、不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値を抽出する(ステップS32)。
【0081】
続いて、光源制御部32は、ステップS32で抽出した不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値と基準暗時データとを比較する(ステップS33)。なお、基準暗時データは、マシンごとに取得するのではなく、閾値として設定しておく。
【0082】
光源制御部32は、ステップS32で抽出した不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値が基準暗時データ以下である場合には(ステップS34のYes)、正常と判断し、可視光光源13-1を点灯し(ステップS35)、可視光読取部17-1による可視読取を実行する(ステップS36)。
【0083】
一方、光源制御部32は、ステップS32で抽出した不可視光読取部17-2の暗時出力データの最大値が基準暗時データ以下でない場合には(ステップS34のNo)、異常と判断し、可視光読取部17-1の読取実行前に、不可視光光源13-2の異常点灯を通知する(ステップS37)。なお、光源制御部32は、異常点灯している旨を通知として、操作パネル301へのエラー通知(エラー番号)の表示、操作パネル301に設けられる赤ランプの点灯などを行う。
【0084】
このように本実施形態によれば、意図しない光の反射を可視光読取部17-1で受光することを防止することができ、異常画像の発生を抑制することができる。
【0085】
なお、上記各実施の形態では、波長領域の異なる複数種類の光源(第1の光源、第2の光源)として不可視光光源13-2と可視光光源13-1とを設け、それぞれの反射光を読み取る読取部(第1の読取部、第2の読取部)として不可視光読取部17-2と可視光読取部17-1とで読み取るようにしたが、これに限るものではない。例えば、波長領域の異なる複数種類の光源(第1の光源、第2の光源)としては、波長領域が異なるものであれば、複数の可視光光源であってもよいし、複数の不可視光光源であってもよい。
【0086】
なお、上記各実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、各実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの各実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1 画像読取装置
3 画像形成装置
13-1 第2の光源、可視光光源
13-2 第1の光源、不可視光光源
17-1 第2の読取部、可視光読取部
17-2 第1の読取部、不可視光読取部
30 信号レベル算出部
32 光源制御部
80 画像形成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2012-170023号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9