(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173153
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】判定システム、判定方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A23P 30/00 20160101AFI20241205BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20241205BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20241205BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20241205BHJP
【FI】
A23P30/00
G01J5/00 101Z
G01J5/48 A
A23L5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091380
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】飯田 浩子
(72)【発明者】
【氏名】平原 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】富沢 直克
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和子
【テーマコード(参考)】
2G066
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
2G066AC05
2G066CA02
2G066CA08
4B035LC16
4B035LP01
4B035LT20
4B048PE03
4B048PS15
(57)【要約】
【課題】加熱調理品の冷却工程の終了を判定する新規な技術を提供すること。
【解決手段】加熱調理品における加熱調理後の冷却工程の状態を判定する判定システム0であって、加熱調理品の表面温度を測定する為の温度測定部と、加熱調理品の温度状態を判定する状態判定部5を有し、前記状態判定部5が、前記温度測定部において測定した加熱調理品の表面温度及び冷却工程の終了と設定された加熱調理品の目標温度に基づき、冷却工程の終了を判定する、又は、前記表面温度、前記目標温度及び加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データに基づき、冷却工程の残り時間を予測する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理品における加熱調理後の冷却工程の状態を判定する判定システムであって、
加熱調理品の表面温度を測定する為の温度測定部と、加熱調理品の温度状態を判定する状態判定部を有し、
前記状態判定部が、前記温度測定部において測定した加熱調理品の表面温度及び冷却工程の終了と設定された加熱調理品の目標温度に基づき、冷却工程の終了を判定する、又は、前記表面温度、前記目標温度及び加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データに基づき、冷却工程の残り時間を予測する、ことを特徴とする判定システム。
【請求項2】
測定した加熱調理品の表面温度の推移から、加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データを生成する相関データ生成部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記状態判定部が判定した冷却工程の終了、又は前記状態判定部が予測した残り時間に基づいて通知を行う通知部を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の判定システム。
【請求項4】
前記相関データは、前記加熱調理品の種別毎及び/又は大きさ毎に格納され、
前記状態判定部は、判定の対象となる加熱調理品の前記種別毎及び/又は大きさ毎の相関データから判定又は予測を行う、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の判定システム。
【請求項5】
冷却工程におけるオプション情報の登録を受け付けるオプション情報受付部を有し、
前記状態判定部は、さらに、前記オプション情報を用いて前記判定又は予測を行う、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の判定システム。
【請求項6】
前記加熱調理品が揚げ物調理品、焼成調理品、蒸し調理品、又は炒め調理品であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の判定システム。
【請求項7】
加熱調理品における加熱調理後の冷却工程の状態を判定する判定方法であって、
前記冷却工程において、コンピュータが、加熱調理品の表面温度を測定する為の温度測定工程と、加熱調理品の温度状態を判定する状態判定工程を有し、
前記状態判定工程では、前記コンピュータが、前記温度測定工程において測定した加熱調理品の表面温度及び冷却工程の終了と設定された加熱調理品の目標温度に基づき、冷却工程の終了を判定する、又は、前記表面温度、前記目標温度及び加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データに基づき、冷却工程の残り時間を予測する、ことを特徴とする判定方法。
【請求項8】
前記冷却工程の後に、加熱調理品に対するパッキング工程又はコーティング工程を有する、ことを特徴とする請求項7に記載の判定方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理品の冷却工程における状態を判定する判定システム、判定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッキングされた加熱調理品が店頭で販売されている。加熱調理品のパッキングにおいては、加熱調理品を十分に冷却する必要がある。十分冷却が行われていないと、加熱調理品自体から発生する蒸気が結露して加熱調理品の表面部分に吸湿されてしまい、加熱調理品の食感に影響を及ぼしてしまう。
【0003】
特許文献1には、クッキーなどの焼き菓子の結露を防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
加熱調理品の冷却工程には一定の冷却スペースの確保が必要となる。また、揚げ物調理品や焼成調理品、炒め調理品等の加熱調理品は、冷却工程が長いほど、生産性が落ちてしまう。一方、冷却時間が短いと食感、風味等の品質が損なわれてしまう。従って、加熱調理品を十分冷却する目的で過剰な冷却時間を設定すると、加熱調理品の生産性や品質が低下してしまう。しかしながら、特許文献1の技術では、適切な冷却時間を判定することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、加熱調理品の冷却工程の終了を判定する新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、加熱調理品における加熱調理後の冷却工程の状態を判定する判定システムであって、加熱調理品の表面温度を測定する為の温度測定部と、加熱調理品の温度状態を判定する状態判定部を有し、前記状態判定部が、前記温度測定部において測定した加熱調理品の表面温度及び冷却工程の終了と設定された加熱調理品の目標温度に基づき、冷却工程の終了を判定する、又は、前記表面温度、前記目標温度及び加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データに基づき、冷却工程の残り時間を予測することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい形態では、前記冷却工程の後に、加熱調理品に対するパッキング工程又はコーティング工程を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい形態では、前記加熱調理品が揚げ物調理品、焼成調理品、蒸し調理品、又は炒め調理品であることを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることで、加熱調理品に対する適切な冷却時間を判定して加熱調理品の生産性を向上することができる。また、より品質の良い状態でパッキングやコーティングされた加熱調理品を提供することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、測定した加熱調理品の表面温度の推移から、加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データを生成する相関データ生成部を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の好ましい形態では、前記相関データは、前記加熱調理品の種別毎及び/又は大きさ毎に格納され、前記状態判定部は、判定の対象となる加熱調理品の前記種別毎及び/又は大きさ毎の相関データから判定又は予測を行うことを特徴とする。
【0013】
材料や種類、大きさ、調理方法等、加熱調理品に関するパラメータによって、加熱調理品の表面温度の推移は異なる。
このような構成とすることで、種々の加熱調理品に応じた冷却時間の設定を行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記状態判定部が判定した冷却工程の終了、又は前記状態判定部が予測した残り時間に基づいて通知を行う通知部を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、冷却時間に関する通知を行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、冷却工程におけるオプション情報の登録を受け付けるオプション情報受付部を有し、前記状態判定部は、さらに、前記オプション情報を用いて前記判定又は予測を行うことを特徴とする。
このような構成とすることで、加熱調理品や冷却スペースに関するパラメータを加味して、より適切に冷却工程に関する判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、加熱調理品の冷却工程の終了を判定する新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1のシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態1の端末装置のハードウェア構成図。
【
図3】実施形態1の加熱調理品の製造方法及び判定方法。
【
図4】実施形態2のシステムの構成を示すブロック図。
【
図5】実施形態2の情報処理装置のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されているが、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0019】
例えば、本実施形態では、加熱調理品における加熱調理後の冷却工程の状態を判定する判定装置の構成、動作等について説明するが、装置が実行する方法、方法をコンピュータ装置に実行させるコンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0020】
本実施形態において、加熱調理品とは、揚げ物調理品、焼成調理品、蒸し調理品、炒め調理品等の加熱調理された調理品を指す。
【0021】
<1.1.機能構成>
図1は、実施形態1の判定システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、判定システム0は、判定装置1を備える。判定装置1は、サーモグラフィカメラ2、温度情報処理部3、オプション情報受付部4、状態判定部5、通知部6、及び相関データ生成部7を有する。これは、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアによって具体的に実現されたものである。
【0022】
データベースDBは、目標温度データ、及び相関データを格納する。なお、判定装置1は、各機能構成要素の一部又は全部を有する複数のコンピュータにより構成されてもよい。データベースDBは、これらコンピュータにより構成されてもよいし、これらとは別のコンピュータにより構成されてもよい。
【0023】
判定装置1として、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等の端末装置9(コンピュータ装置)を利用することができる判定装置1は、本実施形態では、判定方法を実行するコンピュータプログラム(判定プログラム)をインストールした端末装置9である。また、サーモグラフィカメラ2は、端末装置9に組み込まれていても良いし、端末装置9に設けられたコネクタを介して接続される外部機器であってもよい。
【0024】
<1.2.ハードウェア構成>
図2は、端末装置9のハードウェア構成図である。
図2に示すように、端末装置9は、処理部901、記憶部902、通信部903、入力部904及び出力部905を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0025】
処理部901は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSやプログラム等を実行する。
記憶部902は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリ、OS、判定プログラム等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信部903は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
入力部904は、タッチパネルやキーボードなどの入力処理が可能な操作入力デバイス、マイクなどの音声入力が可能な音声入力デバイス等を有する。
出力部905は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイス、スピーカなどの音声出力デバイスを有する。
【0026】
<1.3.加熱調理品の表面温度測定>
温度測定部は、加熱調理品の表面温度を測定し、時刻と対応付けて格納する。温度測定部は、サーモグラフィカメラ2及び温度情報処理部3を有する。
サーモグラフィカメラ2は、対象となる物質から出ている赤外線放射エネルギーを検出し、被写体の表面温度が視覚化された画像データであるサーモグラフィ画像を取得する測定装置である。温度情報はサーモグラフィ画像の1又は1単位のピクセルの温度を示す数値であり、サーモグラフィ画像に対してメタ情報として埋め込まれたり、特定のフォーマットで記述されたテキストデータ(例えばCSV形式等)としてサーモグラフィ画像と共にサーモグラフィカメラ2より出力される。
【0027】
温度情報処理部3は、サーモグラフィ画像の全体又は一部範囲における温度情報から、加熱調理品の表面温度を決定する。温度情報処理部3は、サーモグラフィ画像の全体又は一部範囲に含まれた最も高温な部分から、加熱調理品の表面温度を決定してもよい。この時、公知のサーモグラフィ解析技術によって、周囲の画素の温度よりも所定以上に高い温度の画素の塊を1つの加熱調理品の範囲として認識し、加熱調理品の表面温度を決定してもよい。また、温度情報処理部3は、サーモグラフィ画像の一部範囲に含まれた複数部分の平均温度等、複数部分の温度情報を統計処理することで加熱調理品の表面温度を決定してもよい。
【0028】
範囲の指定について、判定装置1は、取得したサーモグラフィ画像に対してユーザから範囲の指定を受け付けてもよく、温度情報処理部3は、その範囲内における温度情報を利用して、加熱調理品の表面温度を決定してもよい。温度情報処理部3は、サーモグラフィカメラ2を介して取得したサーモグラフィ画像や、サーモグラフィ画像と同一又は同一とみなせる画角で撮影した光学式の撮像装置(可視光カメラ)を介して取得された対応する画像データを画像解析することで、サーモグラフィ画像における対象の加熱調理品が含まれた範囲を決定してもよい。範囲の形状は任意であり、対象を囲む矩形領域や対象のアウトラインとすることができる。温度情報処理部3は、この範囲における温度情報から、加熱調理品の表面温度を決定することができる。また、温度情報処理部3は、光学式の撮像装置を介して取得した画像データに対して、装置間の位置関係や各装置の画角に応じて定義される変形や拡大縮小、トリミング等の加工を行い、画像データの画角をサーモグラフィ画像の画角に対応させて、画像解析処理を行ってもよい。
【0029】
また、温度情報処理部3は、サーモグラフィ画像や対応する画像データを画像解析して加熱調理品の種別及び/又は大きさの情報を取得し、個々の加熱調理品をラベリング(識別)してもよい。温度情報処理部3は、特定した加熱調理品の種別及び/又は大きさをオプション情報受付部4に受け渡したり、識別された加熱調理品毎の温度情報と対応付けて状態判定部5に受け渡してもよい。これにより、同時に複数の同種の加熱調理品や複数種類の加熱調理品を判定できる。
【0030】
ここで、画像解析は任意の手法で実施することができ、例えば、セグメンテーション及び分類を行った過去のサーモグラフィ画像を用いて学習処理を行った畳み込みニューラルネットワーク(CNN)や再帰型ニューラルネットワーク(RNN)等を用いて行われる。
【0031】
<1.4.オプション情報の登録>
オプション情報受付部4は、オプション情報の登録を受け付ける。オプション情報は、例えば、冷却条件、加熱調理品の大きさ、及び加熱調理品の種別の1又は複数である。冷却条件としては、例えば、加熱調理品の冷却に使用されるサーキュレータの風量、自然冷却や強制冷却を行う場所の温度である環境温度などが挙げられる。
【0032】
本実施形態では、判定装置1がオプション情報の入力画面を表示させ、オプション情報受付部4が入力画面を介してオプション情報の入力を受け付けるものとするが、加熱調理品の種別については、温度情報処理部3において特定されたものを受け付けてもよい。また、サーキュレータの風量や環境温度については、無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)により接続されたサーキュレータや温度計等の外部機器より、通信部903を介してデータを受信することで受け付けてもよい。気温等の環境温度については、オプション情報受付部4が、判定装置1の位置情報や、事前登録された判定装置1の使用場所(店舗の所在地や住所、位置情報等)をウェブAPI(Application Programming Interface)に送信して取得したり、判定装置1にインストールされたアプリケーションから取得してもよい。
【0033】
<1.5.目標温度データの登録>
データベースDBには、加熱調理品の状態判定に先駆けて、目標温度データ及び相関データが登録される。
目標温度データは、加熱調理品の冷却工程の終了を示す温度であり、好ましくは、加熱調理品の種別及び/又は大きさと紐づけて、加熱調理品の種別毎及び/又は大きさ毎に登録される。例えば、判定装置1に目標温度データの登録画面を表示させ、この登録画面を介してユーザに目標温度を入力させることで、目標温度データを登録することができる。この時、登録画面において加熱調理品の種別及び/又は大きさが指定され、目標温度データと対応付けて格納されても良い。
【0034】
<1.6.相関データの登録>
相関データ生成部7は、測定した加熱調理品の表面温度の推移から、加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関を示す相関データを生成し、データベースDBに格納する。相関データは、単回又は複数回の測定結果に基づき作成することができ、複数回測定したデータから相関データを生成する場合は、統計的処理を行うことができる。相関データは、例えば、数理モデルや数理モデルのパラメータであってもよい。数理モデルは、少なくとも加熱調理品の表面温度を入力変数として、冷却工程終了までの冷却時間を出力するモデルであり、例えば、単回帰モデル、重回帰モデル等の統計判定モデルや、多層パーセプトロン、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルを含むことができる。
【0035】
本実施形態では、相関データ生成部7は、加熱調理品が目標温度に達するまでの少なくとも2つの時点の温度から相関データを生成する。温度取得部を介して、同じ加熱調理品に対して複数回にわたって温度情報を取得することで、加熱調理品の表面温度の推移を得ることができる。
相関データ生成部7は、同じ加熱調理品について、事前に登録された目標温度に達するまで連続的に温度情報を取得することで、冷却工程終了までの加熱調理品の表面温度の推移を得ることができる。
【0036】
目標温度に達したとユーザが判断する場合に入力操作を行わせることで、冷却工程の終了時点が登録されてもよい。なお、事前に目標温度を設定しない場合、終了時点の登録に併せて、温度取得部を介して加熱調理品の温度情報を取得して、データベースDBに目標温度データを登録するようにしてもよい。
【0037】
また、相関データの生成に際して、オプション情報が入力されてもよい。例えば、オプション情報が加熱調理品の種別の場合、相関データ生成部7は、オプション情報毎に相関データを生成しても良い。例えば、オプション情報が加熱調理品の種別や、冷却器の庫内温度等の静的な環境温度の場合、加熱調理品の表面温度の推移に加えて、オプション情報を用いて相関データを生成してもよい。また、相関データ生成部7は、ある1又は複数のオプション情報毎に、別の1又は複数のオプション情報を用いて相関データを生成してもよい。
【0038】
オプション情報が気温等の動的な環境温度の場合、相関データ生成部7は、オプション情報を用いて、オプション情報を入力変数とする相関データを生成してもよい。例えば、相関データ生成部7は、温度取得部を介して取得した現時点の加熱調理品の表面温度、及びオプション情報受付部4を介して受け付けた環境温度等を入力することで、冷却工程終了までの時間を出力する数理モデルを生成してもよい。
【0039】
<1.7.加熱調理品の温度状態の判定又は予測>
状態判定部5は、加熱調理品の温度状態を判定する。状態判定部5は、温度測定部において測定した加熱調理品の表面温度及び冷却工程の終了と設定された加熱調理品の目標温度に基づき、冷却工程の終了を判定する、又は、表面温度、目標温度及び加熱調理品の表面温度と冷却時間の相関データに基づき、冷却工程の残り時間を予測する。
【0040】
<1.8.通知>
通知部6は、状態判定部5が判定した冷却工程の終了、又は状態判定部5が予測した冷却工程の残り時間に基づいて通知を行う。通知は、例えば、判定装置1におけるアプリ内通知であるが、任意の宛先に対するメッセージの送信であってもよい。宛先は、例えば、アプリケーションのプッシュ通知用のアドレスやユーザのメールアドレス、電話番号等である。通知される内容は、例えば、冷却工程が終了した旨や冷却工程の残り時間が一定を下回った旨等である。
【0041】
<1.9.加熱調理品の製造方法及び判定方法>
次いで、
図3を用いて、加熱調理品の製造方法及び判定方法について説明する。
まず、加熱調理品の製造方法について説明する。初めに、加熱調理工程S1を行う。加熱調理工程S1では、フライ、焼成、蒸し、炒め等の方法によって、加熱調理品に対して加熱が行われる。なお、これ以前に加熱調理品の成形等、任意の工程が実施されても構わない。
次いで、冷却工程S2を行う。冷却工程S2では、自然冷却(室温での放置)や風冷(サーキュレータ等による風冷)、低温(冷蔵庫、冷蔵室、冷凍庫、冷凍室等の内部での冷却)等での強制冷却を行うことで、加熱調理品に対する冷却が行われる。
そして、パッキング工程S3A及び/又はコーティング工程S3Bが行われる。パッキング工程S3Aでは、目標温度まで冷却された加熱調理品を袋やトレー等の容器にパッキングする。コーティング工程S3Bでは、目標温度まで冷却された加熱調理品に対して、砂糖やチョコレート、塩等のコーティング用食材でコーティングする。コーティング工程S3B後にパッキング工程S3Aに進んでも構わない。
【0042】
<1.10.判定方法>
次に、冷却工程S2における冷却工程終了の判定方法ついて説明する。まず、温度測定工程S21A、及びオプション情報受付工程S21Bを行う。温度測定工程S21Aでは、温度測定部が加熱調理品の表面温度を測定する。オプション情報受付工程S21Bでは、オプション情報受付部4がオプション情報の登録を受け付ける。
次いで、状態判定工程S22を行う。状態判定工程S22では、状態判定部5が温度測定工程S21Aで測定した加熱調理品の表面温度及び加熱調理品の目標温度に基づき冷却工程の終了を判定する、又は、表面温度、目標温度及び相関データに基づき、冷却工程の残り時間を予測する。
そして、通知工程S23を行う。通知工程S23では、通知部6が状態判定部5によって判定された冷却工程の終了、又は状態判定部5によって予測された冷却工程の残り時間に基づいて通知を行う。
【0043】
<実施形態2>
次いで、実施形態2について、添付図面を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、いわゆるサーバ・クライアント型の判定システム0を構成する場合について説明する。
【0044】
<2.1.機能構成>
図4は、実施形態2の判定システムの構成を示すブロック図である。
図4に示すように、判定システム0は、判定装置1に加え、店舗STに配置された店舗端末20を備える。判定装置1及び店舗端末20は、インターネット等の任意のネットワークNWを介して通信可能に構成されている。また、データベースDBは、判定装置1と通信可能なデータベースサーバに格納されており、目標温度データ及び相関データに加えて、ユーザ情報を格納する。
【0045】
ユーザ情報は、ユーザの識別情報と共に、通知部6が通知を行う為の宛先情報を格納している。識別情報は、例えば店舗STを識別可能とする識別情報や、個々のサーモグラフィカメラ2を識別可能とする識別情報である。宛先情報は、例えば、アプリケーションのプッシュ通知用のアドレスやユーザのメールアドレス、電話番号等である。通知部6は、図示しないプッシュサーバに対してプッシュ通知用のアドレス及び通知内容を送信することで、プッシュサーバを介して通知を行ってもよい。通知部6からの通知を受け取るアプリケーションは、例えば、判定システムを利用する為の利用アプリケーションであり、店舗端末20にインストールされたネイティブアプリケーションや店舗端末20のウェブブラウザから利用されるウェブアプリケーションの態様を取る。データベースDBに格納された相関データや目標温度データは、識別情報と対応付けて格納されている。
【0046】
温度測定部のサーモグラフィカメラ2は、それぞれの店舗STに配置され、冷却工程を行う冷却スペースを定点から観測し、連続的に冷却スペースの温度情報を測定する。サーモグラフィカメラ2で測定した温度情報は、店舗端末20等の中継装置からネットワークNWを介して温度情報処理部3に対して送信される。この時、何れのサーモグラフィカメラ2又は店舗STから送信された温度情報であるかを識別する為の識別情報がサーモグラフィカメラ2や中継装置において付加され、温度情報と共に送信される。温度情報処理部3は、識別情報が対応付けられた温度情報を受け取り、加熱調理品の表面温度を決定する。
【0047】
また、オプション情報受付部4が店舗端末20からオプション情報を受け付ける場合は、店舗端末20等から識別情報が対応付けられたオプション情報が送信される。オプション情報受付部4は、識別情報が対応付けられたオプション情報を受け取る。
【0048】
判定装置1やデータベースサーバとして、汎用のサーバやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置10(コンピュータ装置)を1又は複数利用することができる。ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類、ネットワークの種類等にも制限はない。また、店舗端末20として、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等の端末装置9(コンピュータ装置)を利用することができる。
【0049】
<2.2.ハードウェア構成>
図5は、情報処理装置10のハードウェア構成図である。
図5に示すように、情報処理装置10は、処理部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0050】
処理部101は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSやプログラムを実行する。
記憶部102は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリ、OS、判定プログラム(判定装置1)やDBMS(データベースサーバ)等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信部103は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、加熱調理品に対する適切な冷却時間を判定することで、パッキングやコーティングがされた加熱調理品を販売する店舗において、加熱調理品の生産性や販売時の品質を向上することができる。
【符号の説明】
【0052】
0 :判定システム
1 :判定装置
2 :サーモグラフィカメラ
3 :温度情報処理部
4 :オプション情報受付部
5 :状態判定部
6 :通知部
7 :相関データ生成部
9 :端末装置
10 :情報処理装置
20 :店舗端末
101 :処理部
102 :記憶部
103 :通信部
901 :処理部
902 :記憶部
903 :通信部
904 :入力部
905 :出力部
NW :ネットワーク
ST :店舗