IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図1
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図2
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図3
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図4
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図5
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図6
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図7
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図8
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図9
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図10
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図11
  • 特開-保持テーブルの測定方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173316
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】保持テーブルの測定方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20241205BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241205BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241205BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241205BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241205BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B23Q17/24 Z
B24B41/06 L
B24B49/12
H01L21/304 622H
H01L21/78 N
H01L21/68 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091655
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦充
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
5F057
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
3C029EE02
3C029EE20
3C034BB73
3C034CA22
3C034DD18
5F057AA19
5F057AA53
5F057BA11
5F057BA30
5F057BB03
5F057BB07
5F057BB09
5F057BB11
5F057BB12
5F057BC06
5F057FA13
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB12
5F057GB16
5F057GB20
5F057GB31
5F063AA01
5F063AA48
5F063BA17
5F063BA33
5F063BA43
5F063BA45
5F063BA47
5F063BA48
5F063DE11
5F063DE23
5F063DE32
5F063FF04
5F063FF11
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA33
5F131BA43
5F131BA52
5F131CA08
5F131EB01
5F131EB78
5F131KA12
5F131KB02
5F131KB45
(57)【要約】
【課題】処理装置の保持テーブルにおいて、保持面の状態を容易かつ正確に測定することが可能な測定方法を提供すること。
【解決手段】対象物に所定の処理を施す処理装置において、対象物を保持する保持テーブルの状態を測定する保持テーブルの測定方法であって、保持テーブルの保持面に対して光源からレーザービームを照射する照射ステップ1001と、保持テーブルの保持面に照射され、保持面で反射されたレーザービームの反射光を受光ユニットで受光する受光ステップ1002と、受光ステップで受光した反射光の受光状態に基づいて、保持面の状態を判定する判定ステップ1003と、を備え、照射ステップ1001では、保持面にライン状のレーザービームが照射されるように、レーザービームを保持面に対して所定の入射角で入射することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に所定の処理を施す処理装置において、該対象物を保持する保持テーブルの状態を測定する保持テーブルの測定方法であって、
該保持テーブルの保持面に対して光源からレーザービームを照射する照射ステップと、
該保持テーブルの保持面に照射され、該保持面で反射されたレーザービームの反射光を受光ユニットで受光する受光ステップと、
該受光ステップで受光した反射光の受光状態に基づいて、該保持面の状態を判定する判定ステップと、を備え、
該照射ステップでは、該保持面にライン状のレーザービームが照射されるように、該レーザービームを該保持面に対して所定の入射角で入射することを特徴とする、
保持テーブルの測定方法。
【請求項2】
該入射角は、85度以上90度未満に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の保持テーブルの測定方法。
【請求項3】
該照射ステップでは、円形状を有する該保持面の半径以上の長さを有する領域に該レーザービームが照射されるように該レーザービームの入射角を設定し、該保持テーブルを回転させながら該レーザービームを該保持面に照射して、該保持面で反射された光を受光することで、該保持面の全面の状態を測定することを特徴とする、請求項1または2に記載の保持テーブルの測定方法。
【請求項4】
該受光ユニットは波面センサであることを特徴とする、請求項3に記載の保持テーブルの測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持テーブルの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、研削装置や研磨装置、切削装置、レーザー加工装置のような処理装置を用いてウエーハを薄化し、ストリートに沿って分割することで個々のデバイスチップを形成している。こうした処理装置は、ウエーハを保持する保持テーブルと、ウエーハに加工を施す加工手段と、保持テーブルに保持されたウエーハと加工手段とを相対的に移動させる移動ユニットとを備えて構成されていることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-160483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ウエーハを保持する保持テーブルの保持面に凹凸があると、加工結果に悪影響を及ぼすため、保持面の状態が所定の上面精度で形成されることが求められている。この上面精度を測定する方法としては、接触式の測定子を用いる方法が主流であるが、測定子のセッティングに時間や手間がかかるだけでなく、周辺の構造物との衝突リスクがあるという問題があった。この問題を解決するために、レーザー変位計を使用する方法も考えられたが、保持面がポーラス部材のような粗面である場合には光の反射率が低く、正確な測定が困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理装置の保持テーブルにおいて、保持面の状態を容易かつ正確に測定することが可能な測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保持テーブルの測定方法は、対象物に所定の処理を施す処理装置において、該対象物を保持する保持テーブルの状態を測定する保持テーブルの測定方法であって、該保持テーブルの保持面に対して光源からレーザービームを照射する照射ステップと、該保持テーブルの保持面に照射され、該保持面で反射されたレーザービームの反射光を受光ユニットで受光する受光ステップと、該受光ステップで受光した反射光の受光状態に基づいて、該保持面の状態を判定する判定ステップと、を備え、該照射ステップでは、該保持面にライン状のレーザービームが照射されるように、該レーザービームを該保持面に対して所定の入射角で入射することを特徴とする。
【0007】
該入射角は、85度以上90度未満に設定されてもよい。
【0008】
該照射ステップでは、円形状を有する該保持面の半径以上の長さを有する領域に該レーザービームが照射されるように該レーザービームの入射角を設定し、該保持テーブルを回転させながら該レーザービームを該保持面に照射して、該保持面で反射された光を受光することで、該保持面の全面の状態を測定してもよい。
【0009】
該受光ユニットは波面センサであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、レーザービームの入射角を大きくすることにより、処理装置の保持テーブルの保持面からの光の反射率を大きくすることができるため、保持面からの反射光に基づいて保持テーブルの保持面の状態を容易かつ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法を実施する測定ユニットを説明する斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法を実施する測定ユニットを説明する側断面図である。
図4図4は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法を実施する測定ユニットを説明する上面図である。
図5図5は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法についての所定の入射角を説明するグラフである。
図6図6は、図1の照射ステップ及び受光ステップの一例を説明する上面図である。
図7図7は、図1の判定ステップの第1例を説明する側断面図である。
図8図8は、図1の判定ステップの第1例を説明するグラフである。
図9図9は、図1の判定ステップの第2例を説明する側断面図である。
図10図10は、図1の判定ステップの第2例を説明するグラフである。
図11図11は、図1の判定ステップの第3例を説明する側断面図である。
図12図12は、図1の判定ステップの第3例を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る保持テーブルの測定方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、対象物に所定の処理を施す処理装置200において、当該対象物を保持する保持テーブル210の状態を測定する方法であって、図1に示すように、照射ステップ1001と、受光ステップ1002と、判定ステップ1003と、を備える。
【0014】
図2図3及び図4は、それぞれ、実施形態に係る保持テーブルの測定方法を実施する測定ユニット100を説明する斜視図、側断面図及び上面図である。実施形態に係る保持テーブルの測定方法の照射ステップ1001、受光ステップ1002及び判定ステップ1003は、図2図3及び図4に示す測定ユニット100を使用して実施する。測定ユニット100は、図2図3及び図4に示すように、対象物に所定の処理を施す処理装置200内に設けられており、処理装置200の構成要素の1つである保持テーブル210に近接して設けられる。
【0015】
処理装置200によって所定の処理が施される対象物は、本実施形態では、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。対象物は、平坦な表面の格子状に形成される複数のストリート(分割予定ライン)によって区画された領域にデバイスが形成されていてもよい。対象物は、このようにデバイスが形成されている場合、例えば、デバイスが形成された側の裏側の面が、研削装置や研磨装置により研削及び研磨されて、その後に切削装置やレーザー加工装置によりストリートに沿って分割されることにより、デバイスのチップが製造される。対象物は、本発明ではこれに限定されず、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0016】
処理装置200は、図2に示すように、保持テーブル210と、加工手段220と、移動ユニット230と、制御ユニット240と、を備える。保持テーブル210は、図2図3及び図4に示すように、凹部が形成された円盤状の枠体211と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部212と、を備える。保持テーブル210の吸着部212は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミックス等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。吸着部212のポーラスセラミックスは、本実施形態では、例えば、アルミナセラミックス等の砥粒である骨材と、骨材同士を固定するボンドとを備え、骨材とボンドの隙間に気孔を形成して多孔質体としたものである。
【0017】
保持テーブル210の吸着部212の上面は、載置された対象物を下方側から吸引保持する保持面213である。このように、保持面213は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミックス等のポーラス部材のような粗面で形成されており、ポーラス孔を備えないアルミナセラミックス等のセラミック体に形成される平面と比較して、光の反射率が低いものとなっている。枠体211の上面と保持面213とは、本実施形態では、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。なお、保持テーブル210の保持面213は、本実施形態では円形状を有するが、本発明ではこれに限定されず、三角形状や四角形状等の多角形状でもよく、その他の形状でもよい。
【0018】
保持テーブル210は、保持テーブル210の枠体211の下方に接続された移動ユニット230により、鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。すなわち、保持テーブル210は、保持面213の中心を通り、保持面213に直交する回転軸回りに回転自在に設けられている。保持テーブル210は、移動ユニット230により、水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられている。
【0019】
加工手段220は、保持テーブル210の保持面213で保持された対象物に加工を施す。加工手段220は、図2に示す本実施形態の例では、切削ブレード221が回転可能に装着されるスピンドル222を備え、切削ブレード221で対象物を切削加工する切削加工手段である。切削ブレード221は、スピンドル222の先端に装着され、回転軸となるスピンドル222により回転されることで保持テーブル210の保持面213で保持された対象物を切削する。スピンドル222は、水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられており、スピンドル222に連結された不図示のモータにより軸心回りに回転する。スピンドル222は、先端に切削ブレード221が装着される。
【0020】
加工手段220は、スピンドル222の先端に装着された切削ブレード221が、スピンドル222の回転動作により、Y軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、保持テーブル210の保持面213で保持された対象物を例えばストリートに沿って切削する。加工手段220は、移動ユニット230により、それぞれY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0021】
加工手段220は、本発明では上記した切削加工手段に限定されず、他には、研削砥石が配置された研削ホイールが回転可能に装着されるスピンドルを備え、研削砥石で保持テーブル210の保持面213で保持された対象物を研削加工する研削加工手段、研磨パッドが回転可能に装着されるスピンドルを備え、研磨パッドで保持テーブル210の保持面213で保持された対象物を研磨加工する研磨加工手段、保持テーブル210の保持面213で保持された対象物にレーザービームを照射するレーザービーム照射器を備え、レーザービームで保持テーブル210の保持面213で保持された対象物をレーザー加工するレーザー加工手段等であってもよい。
【0022】
移動ユニット230は、保持テーブル210と加工手段220とを相対的に移動させることにより、保持テーブル210に保持された対象物と加工手段220とを相対的に移動させる。移動ユニット230は、本実施形態では、保持テーブル210をX軸方向に沿って移動させることにより、保持テーブル210と加工手段220とをX軸方向に沿って相対的に移動させるX軸方向移動ユニットを備える。また、移動ユニット230は、本実施形態では、加工手段220をY軸方向及びZ軸方向に沿って移動させることにより、保持テーブル210と加工手段220とをY軸方向及びZ軸方向に沿って相対的に移動させるY軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットを備える。なお、移動ユニット230は、保持テーブル210と加工手段220とのいずれをX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動させてもよい。また、移動ユニット230は、保持テーブル210をZ軸回りに回転させる回転駆動ユニットを備える。
【0023】
移動ユニット230が備えるX軸方向移動ユニット、Y軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットは、いずれも、モータと、ボールねじと、ガイドと、を有する公知のボールねじ機構である。X軸方向移動ユニットは、X軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、保持テーブル210をX軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。Y軸方向移動ユニットは、Y軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、加工手段220をY軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。Z軸方向移動ユニットは、Z軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、加工手段220をZ軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。X軸方向移動ユニット、Y軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットは、いずれも、制御ユニット240により、モータの駆動が制御されることにより、移動速度や移動量等が制御される。
【0024】
X軸方向移動ユニット、Y軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットは、モータの回転位置を読み取るエンコーダを含み、エンコーダが読み取ったモータの回転位置に基づいて、保持テーブル210と加工手段220とのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置を検出し、検出した相対的な位置を制御ユニット240に出力する。ここで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置は、処理装置200に備え付けられた装置直交座標系(XYZ座標)が使用される。なお、X軸方向移動ユニット、Y軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットは、エンコーダにより保持テーブル210と加工手段220との相対的な位置を検出する構成に限定されず、それぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に平行なリニアスケールと、X軸方向移動ユニット、Y軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットによりそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられリニアスケールの目盛を読み取る読み取りヘッドと、により構成してもよい。
【0025】
移動ユニット230が備える回転駆動ユニットは、保持テーブル210を回転させるモータと、モータの回転位置を読み取るエンコーダとを含み、エンコーダが読み取ったモータの回転位置に基づいて、保持テーブル210の回転角度θ(図6等参照)を検出し、検出した回転角度θを制御ユニット240に出力する。ここで、保持テーブル210の回転角度θは、装置基準方向に対してテーブル基準方向がなす角度で表され、例えば、保持テーブル210に予め定められたテーブル基準方向と処理装置200に予め定められた装置基準方向とが一致するときを0度とし、保持テーブル210に予め定められたテーブル基準方向と処理装置200に予め定められた装置基準方向とがちょうど1周ずれているときを360度とし、0度から360度で表される。
【0026】
制御ユニット240は、処理装置200の各種構成要素の動作を制御して、対象物の加工処理等の各種処理を処理装置200に実施させる。制御ユニット240は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット240が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット240の演算処理装置は、制御ユニット240の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、処理装置200を制御するための制御信号を、制御ユニット240の入出力インターフェース装置を介して処理装置200の各構成要素に出力する。
【0027】
測定ユニット100は、図2図3及び図4に示すように、光源110と、受光ユニット120と、制御部130と、を備える。光源110は、保持テーブル210の保持面213に対して反射性を有する波長のレーザービーム111を照射する。光源110は、水平面であるXY平面に平行に設けられかつ平坦に形成された保持テーブル210の保持面213に向けて、所定の入射角112で、レーザービーム111を照射する位置に設置されている。受光ユニット120は、光源110から照射され、保持テーブル210の保持面213で反射されたレーザービーム111の反射光121を受光する。受光ユニット120は、光源110から照射され、水平面であるXY平面に平行に設けられかつ平坦に形成された保持テーブル210の保持面213で反射されたレーザービーム111の反射光121の光路上に設置されている。
【0028】
光源110から照射されて保持テーブル210の保持面213上に照射されるレーザービーム111の、保持面213上における照射領域114(図3及び図4参照)は、光源110と保持テーブル210の保持面213との相対的な位置と、光源110から照射されるレーザービーム111の断面形状等の情報と、所定の入射角112と、に基づいて決まる。ここで、光源110と保持テーブル210の保持面213との相対的な位置の情報は、光源110と保持テーブル210とのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置の情報に加えて、保持テーブル210の回転角度θの情報を含む。なお、光源110と保持テーブル210の保持面213との相対的な位置の情報や照射領域114の情報は、本実施形態では、例えば、保持面213の中心を原点とする座標系(直交座標系や円柱座標系)等で表現されたデータにより、制御部130で処理される。
【0029】
図5は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法についての所定の入射角112を説明するグラフである。図5は、横軸に入射角、縦軸に反射率(フレネル反射率)を取り、空気から保持テーブル210の保持面213と同じ材質のポーラス孔を備えない部材(同材質部材)に光が入射する場合の入射角に対する光の反射率の変化を表したグラフである。ここで、入射角は、光の入射対象の入射面に直交する方向に対して光の入射方向がなす角度で表され、光の入射方向が光の入射対象の入射面に対して直交するときを0度とし、光の入射方向が光の入射対象の入射面に対して平行であるときを90度とし、0度から90度で表される。
【0030】
所定の入射角112は、図5に示すように、空気から保持テーブル210の保持面213の同材質部材に光が入射する場合のブリュースター角よりも大きく、かつ、空気から保持テーブル210の保持面213の同材質部材に光が入射する場合の反射率が、入射角が0度の時の反射率よりも大きくなる角度である。所定の入射角112は、本実施形態では、具体的には、上記のブリュースター角よりも大きくかつ入射角が0度の時の反射率よりも大きくなる角度よりも十分に大きい85度以上、かつ、90度未満に設定されることが好ましい。
【0031】
本実施形態で使用する測定ユニット100は、このような所定の入射角112を採用するため、保持テーブル210の保持面213が多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミックス等のポーラス部材のような粗面で形成されているために、ポーラス孔を備えないアルミナセラミックス等のセラミック体に形成される平面と比較して光の反射率が低いものとなっている場合でも、保持テーブル210の保持面213からの光の反射率を高め、制御部130が判定ステップ1003を実施可能な程度に、受光ステップ1002で受光ユニット120が受光する反射光121の強度を高めることができる。本実施形態で使用する測定ユニット100は、特に、所定の入射角112を85度以上90度未満に設定することで、制御部130が判定ステップ1003を十分に精度よく実施可能な程度に、受光ステップ1002で受光ユニット120が受光する反射光121の強度を十分に高めることができる。
【0032】
また、本実施形態の測定ユニット100は、このような所定の入射角112を採用するため、例えば、光源110から光軸に直交する断面(以下、適宜、断面と略記する)の形状が円形のレーザービーム111を保持テーブル210の保持面213に対して照射した場合、照射領域114が、レーザービーム111の光軸方向における保持テーブル210の保持面213の面内成分の方向(以下、適宜、面内成分方向と略記する)に沿ってのびる。本発明における保持面213にライン状のレーザービーム111が照射されるとは、このように、保持面213に面内成分方向に沿ってのびた照射領域114が形成されるようなレーザービーム111が照射されることをいう。具体的には、所定の入射角112をφ[単位;度]とし、照射するレーザービーム111の断面の直径113(図3参照)をL[単位;mm]とすると、照射領域114の面内成分方向の長さ115(図3及び図4参照)である長さr[単位;mm]は、以下の式(1)のように表される。
【0033】
r=L/cos(φ×π/180) (但し、φ≠90度) ・・・ 式(1)
【0034】
本実施形態の測定ユニット100は、このような式(1)に従って、所定の入射角112及び照射するレーザービーム111の断面形状の直径113を制御及び変更することにより、照射領域114の面内成分方向の長さ115を制御及び変更することができる。例えば、所定の入射角112を大きくすることにより、照射領域114の面内成分方向の長さ115を長くすることができる。本実施形態の測定ユニット100は、特に、所定の入射角112を85度以上90度未満に設定することで、照射領域114の面内成分方向の長さ115を十分に長くするため、より短時間で保持テーブル210の保持面213上の広域にレーザービーム111を照射することができ、これにより、制御部130がより短時間で保持面213の状態を判定及び算出することを可能にする。
【0035】
受光ユニット120は、光を受光する受光面を有し、受光面上で反射光121を受光する。受光ユニット120は、受光面で反射光121を受光すると、受光面において反射光121を受光した位置である受光位置の情報と、受光面上に形成される反射光121の集光スポットのスポット形状の情報と、を含む反射光121の受光状態の情報を検出し、検出した反射光121の受光状態の情報を制御部130に出力する。
【0036】
受光ユニット120は、照射領域114における保持面213の状態が平坦かつ水平面に平行である場合、レーザービーム111の断面形状と同じスポット形状の反射光121を、予め定められた受光位置(所定の受光位置)で受光する。一方で、受光ユニット120は、照射領域114における保持面213の状態が凹凸等の歪曲を有しかつ水平面に対して傾斜している場合、レーザービーム111の断面形状に対して保持面213の歪曲に応じて歪んだスポット形状の反射光121を、前記の所定の受光位置に対して保持面213の傾斜している方向等に応じてずれた受光位置で受光する。
【0037】
なお、保持面213の傾斜の情報や保持面213の凹凸等の歪曲の情報は、本実施形態では、例えば、保持面213の中心を原点とする座標系(直交座標系や円柱座標系)等で表現されたデータにより、制御部130で処理される。また、反射光121の受光位置の情報や反射光121の受光位置のずれの情報、反射光121のスポット形状の情報、反射光121のスポット形状の歪みの情報は、本実施形態では、例えば、受光ユニット120の受光面上の所定の点(例えば受光面の中心)を原点とする座標系(平面座標系や円柱座標系)等で表現されたデータにより、制御部130で処理される。
【0038】
受光ユニット120は、本実施形態では、反射光121の受光位置及びスポット形状を含む反射光121の受光状態を検出可能な受光センサが使用され、例えば、受光センサ(もしくはカメラ)がライン状に配列されたラインセンサが用いられる。受光ユニット120としてラインセンサを使用する場合、保持面213の状態が凹凸等の歪曲を有していたり、傾斜していたりして、反射光121の受光位置がずれたとしても、反射光121を受光することができる。
【0039】
また、受光ユニット120として、反射光121の波面を検出する波面センサが使用されてもよい。波面センサとしては、例えば、レンズを規則的に配列したレンズアレイと、このレンズアレイを通過したレーザービーム111の反射光121を受光する受光センサ(もしくはカメラ)とを含んで構成されるシャックハルトマン波面センサが使用される。
【0040】
例えば、受光ユニット120としてシャックハルトマン波面センサ等の波面センサを使用する本実施形態の場合、レーザービーム111として平面波を使用すると、レーザービーム111の照射領域114における保持面213の凹凸等の歪曲に応じて、反射光121の波面がレーザービーム111の波面に対する傾斜である波面傾斜を生じ、この波面傾斜に伴って反射光121の受光位置が所定の受光位置に対するずれである傾斜位置ずれを生じる。具体的には、受光ユニット120の波面センサのレンズアレイの焦点距離をf[単位;mm]とし、波面傾斜の角度をψ[単位;ラジアン]とし、傾斜位置ずれをd[単位;mm]とすると、これらは、以下の式(2)のような関係性を有する。
【0041】
d=f・tanψ (但し、-π/2<ψ<π/2) ・・・ 式(2)
【0042】
ここで、波面傾斜の角度ψの絶対値が十分に微小である場合、tanψはψに近似されるため、式(2)は、以下の式(3)のように近似される。
【0043】
d=f・ψ ・・・ 式(3)
【0044】
ここで、例えば、受光ユニット120の波面センサのレンズアレイの焦点距離が30mmであり、波面傾斜の角度が0.1mラジアンであると検出した場合、上記の式(3)に従って、傾斜位置ずれが3μmであると算出される。受光ユニット120としてシャックハルトマン波面センサ等の波面センサを使用する本実施形態の場合、算出された傾斜位置ずれと同じ大きさの凹凸が照射領域114における保持面213に存在すると検出できるので、反射光121において当該波面傾斜が発生した領域と対応する照射領域114における領域に3μmの凹凸が存在すると検出できる。このように、受光ユニット120としてシャックハルトマン波面センサ等の波面センサを使用する本実施形態の場合、受光した反射光121の波面を微小な領域毎に波面傾斜を検出して所定の算出処理を実施することで、照射領域114において微小な領域毎に凹凸を検出できる。これにより、制御部130がより精度よく保持面213の傾斜及び凹凸等の歪曲を含む保持面213の状態を判定し、詳細に算出することを可能にする。
【0045】
光源110及び受光ユニット120は、本実施形態では、図2に示すように、加工手段220を挟むように、加工手段220に固定されており、加工手段220と一体的に移動する。すなわち、光源110及び受光ユニット120は、移動ユニット230により、保持テーブル210に対して相対的に移動し、光源110及び受光ユニット120と保持テーブル210の保持面213との相対的な位置が検出される。なお、本発明ではこの形態に限定されず、光源110及び受光ユニット120が、加工手段220とは独立して配設されており、移動ユニット230とは異なる機構により保持テーブル210に対して相対的に移動し、光源110及び受光ユニット120と保持テーブル210の保持面213との相対的な位置が検出される形態であってもよい。
【0046】
制御部130は、測定ユニット100の各種構成要素の動作を制御して、実施形態に係る保持テーブルの測定方法の各ステップ(照射ステップ1001、受光ステップ1002及び判定ステップ1003)の処理を含む各種処理を測定ユニット100に実施させる。
【0047】
制御部130は、本実施形態では、制御ユニット240と情報通信可能に接続されており、制御ユニット240から、移動ユニット230により検出した保持テーブル210と加工手段220とのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置の情報と、保持テーブル210の回転角度θの情報と、のうち少なくとも一部を取得する。制御部130は、これらの取得した情報等に基づいて、光源110及び受光ユニット120と保持テーブル210との相対的な位置を算出する。制御部130は、そして、この算出した情報に加えて、さらに光源110から照射されるレーザービーム111の断面形状等の情報と、所定の入射角112の情報とに基づいて、光源110によりレーザービーム111を照射した場合の照射領域114を算出する。
【0048】
制御部130は、光源110を制御して光源110により断面形状等の情報がわかっているレーザービーム111を照射し、予め仕様の情報が記憶された受光ユニット120を制御して反射光121の受光位置(ずれの情報も含む)及びスポット形状(歪みの情報も含む)を含む受光状態の情報を検出し、上記の予め記憶された情報及び算出した情報に加え、検出した反射光121の受光状態の情報に基づいて、保持面213の傾斜及び凹凸等の歪曲を含む保持面213の状態を判定したり、さらに上記した種々の算出処理を実行して、算出したりする。
【0049】
制御部130は、反射光121の受光位置のずれ及びスポット形状の歪みをいずれも検出しなかった場合、保持面213の状態は、傾斜及び凹凸等の歪曲のいずれも検出されず正常な状態である旨を判定し、反射光121の受光位置のずれ及びスポット形状の歪みの少なくともいずれかを検出した場合、保持面213の状態は、傾斜及び凹凸等の歪曲の少なくともいずれかが検出された異常な状態である旨を判定し、判定した情報を不図示の報知部によって作業者に認識可能に報知する。制御部130は、反射光121の受光位置のずれ及びスポット形状の歪みの情報を含む受光状態の情報等に基づいて、保持面213の傾斜及び凹凸等の歪曲を含む保持面213の状態を算出し、この算出した保持面213の状態の情報を不図示の報知部によって作業者に認識可能に報知する。
【0050】
制御部130は、本実施形態では、制御ユニット240と同様の、CPUのようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM又はRAMのようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータシステムを含む。制御部130の演算処理装置は、制御部130の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、測定ユニット100を制御するための制御信号を、制御部130の入出力インターフェース装置を介して測定ユニット100の各構成要素に出力する。
【0051】
次に、本明細書は、実施形態に係る保持テーブルの測定方法を図面に基づいて説明する。照射ステップ1001は、図2図3及び図4に示すように、保持テーブル210の保持面213に対して光源110からレーザービーム111を照射するステップである。
【0052】
照射ステップ1001では、本実施形態では、レーザービーム111を照射する前に、まず、制御部130は、移動ユニット230により、光源110及び受光ユニット120を保持テーブル210の保持面213に対して相対的に移動させ、保持テーブル210を回転軸回りに回転させ、さらに、所定の入射角112を所望の角度に設定することにより、状態を判定もしくは算出したい保持面213上の所望の領域に、レーザービーム111の照射領域114を設定する。照射ステップ1001では、次に、このように照射領域114を設定した後に、制御部130は、光源110により、保持テーブル210の保持面213上の照射領域114に対して、レーザービーム111を照射する。
【0053】
照射ステップ1001では、保持面213にライン状のレーザービーム111が照射されるように、レーザービーム111を保持面213に対して所定の入射角112で入射する。照射ステップ1001では、具体的には、制御部130は、上記した式(1)に従って、照射領域114の面内成分方向の長さ115が所望の長さにのびるように、所定の入射角112及び照射するレーザービーム111の断面形状の直径113の各設定を制御及び変更して、レーザービーム111を照射することにより、保持面213にライン状のレーザービーム111を照射することを実現する。照射ステップ1001では、所定の入射角112を、85度以上90度未満に設定することが好ましい。
【0054】
受光ステップ1002は、保持テーブル210の保持面213に照射され、保持面213で反射されたレーザービーム111の反射光121を受光ユニット120で受光するステップである。受光ステップ1002では、制御部130は、受光ユニット120の受光面で反射光121を受光すると、受光位置の情報と集光スポットのスポット形状の情報とを含む反射光121の受光状態の情報を検出して取得する。
【0055】
実施形態に係る保持テーブルの測定方法では、レーザービーム111の照射及び反射光121の受光をした照射領域114が、状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域を覆うまで、すなわち、照射領域114で状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域を走査するまで、照射領域114の設定及びレーザービーム111の照射を実行する照射ステップ1001と、反射光121の受光を実行する受光ステップ1002とを繰り返し実行することで、状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域について反射光121の受光状態の情報を検出して取得する。
【0056】
図6は、図1の照射ステップ1001及び受光ステップ1002の一例を説明する上面図である。照射ステップ1001及び受光ステップ1002において、照射ステップ1001では、図6に示すように、円形状を有する保持面213の半径以上の長さを有する領域にレーザービーム111が照射されるようにレーザービーム111の所定の入射角112を設定し、保持テーブル210を回転させながらレーザービーム111を保持面213に照射して、受光ステップ1002では保持面213で反射された反射光121を受光することで、保持面213の全面の状態を測定する、回転照射受光ステップを採用してもよい。
【0057】
なお、本発明では、保持テーブル210を回転させることにより、照射領域114で状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域を走査する回転照射受光ステップを採用する形態に限定されず、移動ユニット230により保持テーブル210をX軸方向に移動させるもしくは光源110及び受光ユニット120をY軸方向に移動させることにより、照射領域114で状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域を走査してもよい。また、本発明では、照射領域114で状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域が円形状である形態に限定されず、この領域が三角形状や四角形状等の多角形状でもよく、その他の形状でもよい。
【0058】
このような回転照射受光ステップでは、具体的には、制御部130は、照射領域114の面内成分方向の長さ115を保持面213の半径以上の長さに設定し、照射領域114の面内成分方向を保持面213の回転中心を通るように設定して、保持テーブル210を回転させながらレーザービーム111を保持面213に照射して、受光ステップ1002では保持面213で反射された反射光121を受光することで、この一連の動作で容易に、照射領域114で状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域を走査して、状態を判定もしくは算出したい保持面213上の全面の領域について反射光121の受光状態の情報を検出して取得することができる。
【0059】
判定ステップ1003は、受光ステップ1002で受光した反射光121の受光状態に基づいて、保持面213の状態を判定するステップである。判定ステップ1003では、制御部130は、反射光121の受光位置のずれ及びスポット形状の歪みをいずれも検出しなかった場合、保持面213の状態は、傾斜及び凹凸等の歪曲のいずれも検出されず正常な状態である旨を判定し、反射光121の受光位置のずれ及びスポット形状の歪みの少なくともいずれかを検出した場合、保持面213の状態は、傾斜及び凹凸等の歪曲の少なくともいずれかが検出された異常な状態である旨を判定する。
【0060】
また、判定ステップ1003では、制御部130は、保持面213の状態の判定とともに、もしくは保持面213の状態の判定に代えて、反射光121の受光位置のずれ及びスポット形状の歪みの情報を含む受光状態の情報等に基づいて、保持面213の傾斜及び凹凸等の歪曲を含む保持面213の状態を算出する算出ステップを実施してもよい。
【0061】
図7及び図8は、それぞれ、図1の判定ステップ1003の第1例を説明する側断面図及びグラフである。図9及び図10は、それぞれ、図1の判定ステップ1003の第2例を説明する側断面図及びグラフである。図11及び図12は、それぞれ、図1の判定ステップ1003の第3例を説明する側断面図及びグラフである。図7図9及び図11は、いずれも、照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施する旨を説明する側断面図である。図8図10及び図12は、いずれも、照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施した際に取得される保持面213の受光状態の情報を説明するグラフである。
【0062】
図7図9及び図11に示すように、照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施すると、制御部130は、反射光121の受光状態の情報として、図8図10及び図12に示すように、保持テーブル210の回転角度θに対する、反射光121のスポット形状122の幅(直径)の変化、及び、反射光121のスポット形状122の受光位置123の変化の情報を取得する。そして、判定ステップ1003では、制御部130は、この取得した保持テーブル210の回転角度θに対する、反射光121のスポット形状122の幅(直径)の変化、及び、反射光121のスポット形状122の受光位置123の変化の情報に基づいて、反射光121の受光位置123のずれ及びスポット形状122の歪みを検出したか否かを判定し、この判定に基づいて、保持面213の状態が、傾斜及び凹凸等の歪曲を検出したか否かを判定し、いずれも検出しなかった場合には保持面213の状態が正常である旨の判定をし、少なくともいずれかを検出した場合には保持面213の状態が異常である旨の判定をする。
【0063】
照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施した場合において、図7に示すように保持テーブル210の保持面213の状態が平坦かつ水平面に平行である第1例の場合、図8に示すように、反射光121のスポット形状122の幅(直径)も、反射光121のスポット形状122の受光位置123も、保持テーブル210の回転角度θによって変化しないという反射光121の受光状態の情報を取得する。このため、判定ステップ1003では、制御部130は、この取得された反射光121の受光状態の情報に基づいて、反射光121の受光位置123のずれ及びスポット形状122の歪みをいずれも検出しない旨の判定をし、保持面213の状態が、傾斜及び凹凸等の歪曲のいずれも検出されない正常な状態である旨の判定をする。
【0064】
照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施した場合において、図9に示すように保持テーブル210の保持面213の状態が平坦かつ水平面に対して傾斜している第2例の場合、図10に示すように、反射光121のスポット形状122の幅(直径)は保持テーブル210の回転角度θによって変化しないものの、反射光121のスポット形状122の受光位置123は保持テーブル210の回転角度θによってサイン曲線を描くように変化するという反射光121の受光状態の情報を取得する。このため、判定ステップ1003では、制御部130は、この取得された反射光121の受光状態の情報に基づいて、反射光121の受光位置123のずれを検出するもののスポット形状122の歪みを検出しない旨の判定をし、保持面213の状態が、傾斜は検出されるものの凹凸等の歪曲は検出されないという異常な状態である旨の判定をする。
【0065】
照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施した場合において、図11に示すように保持テーブル210の保持面213の状態が凹凸等の歪曲を有しかつ水平面に平行である第3例の場合、図12に示すように、反射光121のスポット形状122の幅(直径)は保持テーブル210の回転角度θによって変化するものの、反射光121のスポット形状122の受光位置123は保持テーブル210の回転角度θによって変化しないという反射光121の受光状態の情報を取得する。このため、判定ステップ1003では、制御部130は、この取得された反射光121の受光状態の情報に基づいて、反射光121の受光位置123のずれを検出しないもののスポット形状122の歪みを検出する旨の判定をし、保持面213の状態が、傾斜は検出されないものの凹凸等の歪曲は検出されるという異常な状態である旨の判定をする。
【0066】
このように、照射ステップ1001及び受光ステップ1002において回転照射受光ステップを実施した場合においては、保持テーブル210の回転角度θによる反射光121のスポット形状122の幅(直径)の変化の有無で保持面213における凹凸等の歪曲の有無を検出及び判定し、保持テーブル210の回転角度θによる反射光121の受光位置123の変化の有無で保持面213における傾斜の有無を検出及び判定する。
【0067】
以上のような構成を有する実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、レーザービーム111の入射角112を大きくすることにより、処理装置200の保持テーブル210の保持面213からの光の反射率を大きくすることができるため、保持面213からの反射光121に基づいて保持テーブル210の保持面213の状態を容易かつ正確に測定することができるという作用効果を奏する。
【0068】
従来では、特に、保持面213がポーラス部材のような粗面である場合、ポーラス孔を備えないアルミナセラミックス等のセラミック体に形成される平面と比較して、光の反射率が低いため、保持面213の状態の正確な測定が困難であるという課題があった。そこで、実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、レーザービーム111の入射角112を大きくすることにより、処理装置200の保持テーブル210の保持面213からの光の反射率を大きくすることができるため、保持面213がポーラス部材のような粗面である場合、特に顕著に、保持面213からの反射光121に基づいて保持テーブル210の保持面213の状態を容易かつ正確に測定することができるという作用効果が得られる。
【0069】
また、実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、入射角112が85度以上90度未満に設定されるので、保持テーブル210の保持面213の状態をより十分に精度よく測定することが可能な程度に、反射光121の強度を十分に高めることができる。また、実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、入射角112が85度以上90度未満に設定されるので、照射領域114をよりレーザービーム111の面内成分方向に沿ってのびた状態として、その面積を広げることができるので、これにより、効率よく短時間で、保持テーブル210の保持面213の状態を測定することを可能にする。
【0070】
また、実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、照射ステップ1001では、円形状を有する保持面213の半径以上の長さを有する領域にレーザービーム111が照射されるようにレーザービーム111の入射角112を設定し、保持テーブル210を回転させながらレーザービーム111を保持面213に照射して、受光ステップ1002では、保持面213で反射された反射光121を受光することで、保持面213の全面の状態を測定する。このため、実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、効率よく短時間で、保持テーブル210の保持面213の状態を測定することができる。
【0071】
また、実施形態に係る保持テーブルの測定方法は、受光ステップ1002で使用する受光ユニット120が波面センサであるので、より精度よく反射光121の受光状態を検出できるので、これにより、より精度よく保持面213の状態を判定し、詳細に算出することができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
100 測定ユニット
110 光源
111 レーザービーム
112 入射角
120 受光ユニット
121 反射光
200 処理装置
210 保持テーブル
213 保持面
1001 照射ステップ
1002 受光ステップ
1003 判定ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12