(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173329
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ノズル、送液装置、及び送液システム
(51)【国際特許分類】
B01J 4/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B01J4/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091677
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(72)【発明者】
【氏名】上江田 真衣
(72)【発明者】
【氏名】小泉 裕右
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮川 直之
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA01
4G068AB11
4G068AD16
4G068AD21
4G068AF31
(57)【要約】
【課題】設備の大型化を抑制し、かつ低コストで容器内の液体を効率的に吸い出せるノズル、送液装置、及び送液システムを提供する。
【解決手段】一端が容器の内部に挿入され、他端がポンプに接続されて、ポンプによって容器に収容された液体を吸い上げるためのノズルにおいて、容器の内部から外部へ液体が流れる第1流路を形成する内管と、内管を外側から覆う外管と、を備え、内管及び外管の間には隙間が形成されており、この隙間は、容器の内部から外部へ液体が流れる第2流路を形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が容器の内部に挿入され、他端がポンプに接続されて、前記ポンプによって前記容器に収容された液体を吸い上げるためのノズルであって、
前記容器の内部から外部へ前記液体が流れる第1流路を形成する内管と、
該内管を外側から覆う外管と、を備え、
前記内管及び前記外管の間には隙間が形成されており、該隙間は、前記第1流路とは別に前記容器の内部から外部へ前記液体が流れる第2流路を形成していることを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記内管の前記容器側の一端に切り欠きが形成されている請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記外管の前記容器側の一端に切り欠きが形成されている請求項1または2に記載のノズル。
【請求項4】
前記容器の内部側において、前記内管の先端が前記外管から露出している請求項1または2に記載のノズル。
【請求項5】
前記内管及び前記外管を保持する保持部を備える請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記内管が前記保持部を貫通することで前記第1流路が前記容器の内部から外部へと通じ、前記保持部は前記第2流路を前記容器の外部へ連通させる連通部を有する請求項5に記載のノズル。
【請求項7】
前記内管の、前記容器の外部側の端部、及び前記連通部は、ポンプに接続される請求項6に記載のノズル。
【請求項8】
請求項1に記載のノズルと、ポンプと、前記第1流路から前記ポンプへと前記液体を通す第1配管と、前記第2流路から前記ポンプへと前記液体を通す第2配管と、前記第1配管及び前記第2配管のうちいずれか一方の開閉操作が可能な開閉装置と、を備えることを特徴とする送液装置。
【請求項9】
前記開閉装置は、前記第2配管に備えられる請求項8に記載の送液装置。
【請求項10】
前記容器内の液体の量を検知する液量検知装置をさらに備え、前記開閉装置は、前記液量検知装置が検知した前記容器内の液体の量に基づいて動作し、前記容器内の液体の量が所定の量より多いときは前記開閉装置は開いており、前記容器内の液体の量が前記所定の量より少ないときは前記開閉装置は閉じている請求項9に記載の送液装置。
【請求項11】
前記容器から吸い上げた前記液体を、前記液体の処理装置へ輸送する請求項8~10のいずれか一項に記載の送液装置。
【請求項12】
請求項8~10のいずれか一項に記載の送液装置と、液体を収容可能な容器と、前記液体を処理するための処理装置とを備え、前記送液装置は、前記容器から吸い上げた前記液体を、前記処理装置へ送る送液システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル、送液装置、及び送液システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム缶などの容器に入れられた液体を、処理装置に輸送する工程では、ノズルを容器内に挿入し、ポンプを用いて、容器内の液体を吸い出し、処理装置に輸送する送液装置が用いられることが多い。このような送液装置において、容器内の液体の量が少なくなると、液体を効率的に吸い出せなくなり、容器内の液体の吸い出しに多くの時間がかかる、あるいは容器内に液体が取り出せずに残留することになり、工程のコストの上昇につながる。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、液剤が収容された容器と、この容器内の液剤を吸引口から吸引するポンプを備えた吸引パイプと、を備え、容器傾斜機構により容器を傾けることで容器内の残留液を吸引する残留液吸引装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、容器が大きくなると容器傾斜機構は大掛かりな装置となる。また、容器傾斜機構は動力を必要としており、可動部が多く、装置のメンテナンスコストの上昇も懸念される。
【0006】
そこで、本発明は、設備の大型化を抑制し、かつ低コストで容器内の液体を効率的に吸い出せるノズル、送液装置、及び送液システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0008】
[1]一端が容器の内部に挿入され、他端がポンプに接続されて、前記ポンプによって前記容器に収容された液体を吸い上げるためのノズルであって、前記容器の内部から外部へ前記液体が流れる第1流路を形成する内管と、該内管を外側から覆う外管と、を備え、前記内管及び前記外管の間には隙間が形成されており、該隙間は、前記第1流路とは別に前記容器の内部から外部へ前記液体が流れる第2流路を形成していることを特徴とするノズル。
[2]前記内管の前記容器側の一端に切り欠きが形成されている[1]に記載のノズル。
[3]前記外管の前記容器側の一端に切り欠きが形成されている[1]または[2]に記載のノズル。
[4]前記容器の内部側において、前記内管の先端が前記外管から露出している[1]または[2]に記載のノズル。
[5]前記内管及び前記外管を保持する保持部を備える[1]に記載のノズル。
[6]前記内管が前記保持部を貫通することで前記第1流路が前記容器の内部から外部へと通じ、前記保持部は前記第2流路を前記容器の外部へ連通させる連通部を有する[5]に記載のノズル。
[7]前記内管の、前記容器の外部側の端部、及び前記連通部は、ポンプに接続される[6]に記載のノズル。
[8][1]に記載のノズルと、ポンプと、前記第1流路から前記ポンプへと前記液体を通す第1配管と、前記第2流路から前記ポンプへと前記液体を通す第2配管と、前記第1配管及び前記第2配管のうちいずれか一方の開閉操作が可能な開閉装置と、を備えることを特徴とする送液装置。
[9]前記開閉装置は、前記第2配管に備えられる[8]に記載の送液装置。
[10]前記容器内の液体の量を検知する液量検知装置をさらに備え、前記開閉装置は、前記液量検知装置が検知した前記容器内の液体の量に基づいて動作し、前記容器内の液体の量が所定の量より多いときは前記開閉装置は開いており、前記容器内の液体の量が前記所定の量より少ないときは前記開閉装置は閉じている[9]に記載の送液装置。
[11]前記容器から吸い上げた前記液体を、前記液体の処理装置へ輸送する[8]~[10]のいずれかに記載の送液装置。
[12][8]~[10]のいずれかに記載の送液装置と、液体を収容可能な容器と、前記液体を処理するための処理装置とを備え、前記送液装置は、前記容器から吸い上げた前記液体を、前記処理装置へ送る送液システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設備の大型化を抑制し、かつ低コストで容器内の液体を効率的に吸い出せるノズル、送液装置、及び送液システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の一例にかかる送液システムの構成を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態の一例にかかるノズルの一端を容器内部側から見た図である。
【
図4】本発明の一実施形態の一例にかかる保持部の構成を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の一例にかかるノズルによる、断続液の吸い上げ方を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態の一変形例にかかるノズルの容器内部側の端部を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の一変形例にかかるノズルの一部を示す断面図である。
【
図8】
図7にかかるノズルの一端の一例の構成を容器内部側から見た図である。
【
図9】スペーサを備えるノズルの他の一例の構成を容器内部側から見た図である。
【
図10】本発明の一実施形態の一変形例にかかるノズルの容器外部側の端部を示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態の一変形例にかかる送液システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する構成に限られない。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、簡略化して示している場合がある。
【0012】
<1.本実施形態の一例にかかる送液システム>
図1は、本実施形態の一例にかかる送液システムの構成を模式的に示す図である。送液システムS1は、送液装置1と、容器2と、処理装置3とを備える。容器2は、その内部に液体が収容される。処理装置3は、液体を処理する装置であり、例えば、容器2から取り出された液体を他の成分と混合する混合装置、容器2から取り出された液体を化学反応させる反応容器等が挙げられるがこれらに限定されない。送液装置1は、容器2に収容された液体を処理装置3へ送液する装置である。以下、本実施形態の一例にかかる送液装置1の構成についてより詳細に説明する。
【0013】
<2.本実施形態の一例にかかる送液装置>
送液装置1は、ノズル10と、第1配管21と、第2配管22と、開閉装置23と、ポンプ30と、液量検知装置40と、コンピュータ50とを備える。本実施形態にかかる送液装置1では、容器2内の液体を、下から上へ重力の方向に対して逆向きに吸い上げる。ただし、液体を吸い上げる向きは、厳密に鉛直上向きである必要はなく、少なくとも、ノズル10の容器2内部の先端において、ノズル10(後述する内管11及び外管12)の延びる向きに鉛直上向きの成分が含まれていればよい。
【0014】
ノズル10は、一端が容器2の内部に挿入され、他端がポンプ30に接続されて、容器2から液体を吸い上げるために用いられる。ノズル10は、内管11と、外管12と、内管11及び外管12を保持する保持部13とを備える。
【0015】
図2は、
図1におけるA-A断面を示す図である。なお、
図2において、ノズル10以外の構成については図示を省略する。また、
図3は、
図1のノズルの一端を容器内部側(
図1における下側)から見た図である。
【0016】
内管11は、容器2の内部から外部へ液体が流れる第1流路C1を形成している。内管11は、例えば、両端が開いた円筒形状を有することが挙げられるが、これに限られない。内管11の断面は多角形等、その他の形状であってもよい。
図1の例では、内管11は、直管であるが、これに限定されず、曲線部を有してもよい。
【0017】
内管11の、容器2側の一端には切り欠き110が形成されている。この例においては、内管11に形成されている切り欠き110は2個である。切り欠き110は、1個形成されていてもよく、3個以上形成されていてもよい。切り欠き110の形状及び大きさは特に限定されない。
【0018】
切り欠き110により、内管11が容器2の底面に吸い付くことを抑制できる。また、内管11の一端が容器2の底面に密着しても、切り欠き110から液体を内管11の内部、すなわち第1流路C1に効率的に導入することができる。
【0019】
外管12は、内管11を外側から覆う。内管11及び外管12の間には隙間が形成されており、この隙間は、第1流路C1とは別に容器2の内部から外部へ液体が流れる第2流路C2を形成している。ノズル10において、第2流路C2は、第1流路C1とは連通しないことが好ましい。
【0020】
外管12の形状としては、例えば、両端が開いた円筒形状が挙げられるが、これに限られない。外管12の断面は多角形等、その他の形状でもよい。
図1の例では、外管12は、直管であるが、これに限定されず、曲線部を有してもよい。外管12の内壁と内管11の内壁との間は一定の距離(オフセット量)であってもよく、少なくとも一部で異なる距離の部分があってもよい。
【0021】
外管12には、容器2側の一端に切り欠き120が形成されている。この例においては、外管12に形成されている切り欠き120は2個である。切り欠き120は、1個形成されていてもよく、3個以上形成されていてもよい。切り欠き120の形状及び大きさは特に限定されない。
【0022】
切り欠き120により、外管12が容器2の底面に吸い付くことを抑制できる。また、外管12の一端が容器2の底面に密着しても、切り欠き120から液体を第2流路C2に効率的に導入することができる。
【0023】
図4は、本実施形態の一例にかかる保持部の構成を示す断面図である。保持部13は、内管11及び外管12を保持する。この例においては、保持部13を内管11が貫通することにより、第1流路C1が容器2の内部から外部へと通じる構成となっている。内管11、すなわち第1流路C1は、容器2外部側において、第1配管21が、ポンプ30と連通可能に接続される。
【0024】
また、保持部13は、第2流路C2を容器2の外部へ連通させる連通部130を有する。この例においては、保持部13の内部において、第2流路C2から流入した液体を第2配管22へ導くための経路が連通部130として、内管11の外側に形成されている。なお、連通部130は、第2流路C2の一部を形成している。連通部130、すなわち第2流路C2の容器2外部側においては、第2配管22が、ポンプ30と連通可能に接続される。
【0025】
再び
図1を参照する。第1配管21は、内管11の容器2の外部側の一端と、ポンプ30とを接続する。すなわち、第1配管21は、第1流路C1からポンプ30へと液体を通す配管である。第1配管21は、容器2内部から内管11(第1流路C1)を通った液体を、ポンプ30へと導く。
【0026】
第2配管22は、保持部13の連通部130と、ポンプ30とを接続する。すなわち、第2配管22は、第2流路C2からポンプ30へと液体を通す配管である。第2配管22は、容器2内部から外管12(第2流路C2)及び連通部130を通った液体を、ポンプ30へと導く。
【0027】
なお、
図1に示されるように、第1配管21及び第2配管22は、ポンプ30に達する前に合流させてもよく、第1配管21及び第2配管22を別々にポンプ30に接続させてもよい。
【0028】
開閉装置23は、第1配管21及び第2配管22のうちいずれか一方の開閉操作が可能であればよい。開閉装置23は、
図1に示される例においては、第2配管22に設けられる。
図1のように、ポンプ30に達する前に第1配管21及び第2配管22が合流している場合、開閉装置23は、第2流路C2との接続部と、第1配管21との合流位置との間における第2配管22に設けられる。この構成においては、第1配管21とは独立して、第2配管22の開閉が可能であり、開閉装置23が開いている場合、第2配管22を液体が通ることが可能であり、開閉装置23が閉じている場合は、第2配管22が閉塞され、液体は第1配管21を通る。
【0029】
この構成により、開閉装置23が開いている場合、ノズル10の第1流路C1及び第2流路C2の両方から容器2内の液体を吸い上げることができ、開閉装置23が閉じている場合、ノズル10の第1流路C1のみから容器2内の液体を吸い上げることができる。
【0030】
図1に示される一例では、開閉装置23は、後述する液量検知装置40が検知した容器2内の液体の量に基づいて動作する。開閉装置23は、例えば開閉弁であり、一例として、コントローラ50からの電気信号により動作する電磁弁が挙げられる。
【0031】
なお、装置の構成によっては開閉装置23は第1配管21に備えられてもよく、第1配管21及び第2配管22の両方にそれぞれ独立して開閉可能に備えられていてもよい。開閉装置23が開いている場合、対応する配管(その開閉装置23が備えられている配管)を液体が通ることが可能であり、開閉装置23が閉じている場合、対応する配管が閉塞されることになる。ただし、上記の例のように第2配管22に開閉装置23を設ける構成、すなわち、第2流路C2を閉塞できる構成としたほうが、第2流路C2を閉塞している場合にノズル10の中心にある第1流路C1(内管11)に液体を集めやすいと考えられる。
【0032】
ポンプ30は、容器2の内部の液体を、ノズル10を経由して吸い上げ、処理装置3へと送る。ポンプ30の具体例としては、タービンポンプ、カスケードポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ等が挙げられるが特に限定されない。
【0033】
液量検知装置40は、容器2内の液体の量を検知して、電気信号を生成する。液量検知装置40により生成された電気信号はコントローラ50に送信される。液量検知装置40は、例えば、ロードセル等、重量に基づいて容器内の液体の量を検出する装置が挙げられるがこれに限定されない。
【0034】
コントローラ50は、例えば、記憶部、演算部、及びインターフェースを備えるが、ここでは図示を省略する。コントローラ50は、ユーザ入力部等のその他の構成を備えてもよい。記憶部は、例えば、ROMあるいはRAM等を備え、記憶部は複数のデバイスを備えてもよい。演算部は、例えば、CPUあるいはMPU等を備え、演算部は複数のデバイスを備えてもよい。インターフェースは、コントローラ50の内部と外部デバイスとの間の信号の授受を行う。インターフェースは、外部デバイスの種類及び数に応じて複数備えられてもよい。
【0035】
コントローラ50は、例えば、液量検知装置40から送信された電気信号を、インターフェースを介して入力信号として受信し、記憶部に記憶されたプログラムを演算部に実行させることにより、入力信号を処理する。信号処理の結果、容器2内の液体の量が所定の量より多い場合は開閉装置23を開くように、容器2内の液体の量が所定の量より少ない場合は開閉装置23を閉じるように、コントローラ50が開閉装置23の動作を制御する。なお、容器2内の液体の量が所定の量と等しい場合は、開閉装置23を閉じていてもよく、開いていてもよく、これらは制御プログラム等の仕様によって適宜決定すればよい。入力信号の処理のために、容器2内の液体の量に対応する値と、記憶部に予め記憶された閾値と比較する比較回路等の判定部をコントローラ50内に備えてもよい。
【0036】
この構成により、開閉装置23は、液量検知装置40が検知した容器2内の液体の量に基づいて動作し、容器2内の液体の量が所定の量より多いときは開閉装置23は開いており、容器2内の液体の量が所定の量より少ないときは開閉装置23は閉じている。
【0037】
なお、開閉装置23が、液量検知装置40の検知した容器2内の液体の量に基づいて動作する構成としては上記説明の構成に限定されない。例えば、開閉装置23と液量検知装置40とを直接電気的に接続する構成であってもよい。
【0038】
本実施形態にかかる送液システムS1において、
図1には示されていないが、例えば、ノズル10を上下に移動させるためのリフトが備えられていてもよい。リフトにより、送液の際にノズル10を容器2に差し込み、送液が終了したらノズル10を容器2から引き出すことができる。また、ノズル10を上下に移動させる構成に加えて、送液システムS1は、ノズル10を水平方向に移動可能な駆動装置を備えてもよい。この構成により、例えば、複数の容器2の間でノズル10を移動させることができる。この構成によれば、例えば、第1の容器について液体の取り出しが終了したら、ノズル10を第1の容器から引き上げて、第2の容器の上まで移動させ、その後、ノズル10を第2の容器に差し込むことで、第2の容器から液体を吸い出すことができる。
【0039】
<3.本実施形態の効果>
本実施形態にかかるノズル10は、一端が容器2の内部に挿入され、他端がポンプ30に接続されて、ポンプ30によって容器2に収容された液体を吸い上げるために用いられる。ノズル10は、容器2の内部から外部へ液体が流れる第1流路C1を形成する内管11と、内管11を外側から覆う外管12と、を備え、内管11及び外管12の間には隙間が形成されており、その隙間は、容器2の内部から外部へ液体が流れる第2流路C2を形成している。
【0040】
この構成によれば、ノズル10外部に、例えば、開閉装置23を設けることで、第1流路C1及び第2流路C2の両方をポンプ30に連通させた状態と、第1流路C1及び第2流路C2のいずれかをポンプ30に連通させた状態とで切り替えることができる。
【0041】
送液装置1においてノズル10を用いることで、容器2内の液体の量が多いときは、第1流路C1及び第2流路C2の両方から液体を連続体として吸い上げることができるため、高速で容器2内部の液体を容器2外部へと送液できる。
【0042】
一方で、容器2内部に残留する液体の量が減ると、液体を連続体として吸い上げることが難しくなる。この場合、液体は、断続的に、または液滴の状態で吸い上げられる。ここで、これら液体の状態を断続液と呼ぶ。
【0043】
図5は、本実施形態の一例にかかるノズルによる、断続液の吸い上げ方を模式的に示す図である。断続液Lを効率的に吸い上げるには、流路内での断続液Lの容器2の外部側の向き(以下、上向きと言うこともある)の速度を上げること、及び断続液Lを容器2の外部側(上向き)に押す力Fを加えればよいと考えられる。ポンプ30の出力が一定である場合、断続液の流路内での上向きの速度及び力Fは、流路内の流体の速度が速いほどその値は大きくなる。そのため、ノズル10の第1流路C1及び第2流路C2のいずれかの流路を閉塞することで(
図5では第2流路C2を閉塞)、ノズル10内の流路を狭くして、流路内の流体の上向きの速度を速くすることができ、容器2内の液体の量が少ない場合であっても容器2内の液体を効率的に吸い上げることができる。
【0044】
また、ノズル10を備える送液装置1では、
図1及び後述する
図11に示されるような開閉装置23を設けることで、一方の流路に対して開閉の切り替えを行うことができ、複雑な装置及び大掛かりな装置は必要としない。
【0045】
したがって、本実施形態にかかるノズル10を用いれば、設備の大型化を抑制し、かつ低コストで容器内の液体を効率的に吸い出すことができる。
【0046】
本実施形態にかかる送液装置1は、第1流路C1及び第2流路C2を有する上記のノズル10と、ポンプ30と、第1流路C1からポンプ30へと液体を通す第1配管21と、第2流路C2からポンプ30へと液体を通す第2配管22と、第1配管21及び第2配管22のうちいずれか一方の開閉操作が可能な開閉装置23と、を備える。
【0047】
そのため、本実施形態にかかる送液装置1によれば、容器2内の液体の量が多いときは、第1流路C1及び第2流路C2の両方から液体を連続体として吸い上げることができるため、高速で容器2内部の液体を容器2外部へと送液できる。そして、本実施形態にかかる送液装置1によれば、容器2内の液体の量が少ないときは、ノズル10が有する第1流路C1及び第2流路C2のいずれか一方を閉塞することで、
図5を参照した上記説明の通り、ノズル10内の流路を狭くして、流路内の流体の速度を速くすることができ、容器2内の液体を効率的に吸い上げることができる。
【0048】
したがって、本実施形態にかかる送液装置1は、設備の大型化を抑制し、かつ低コストで容器2内の液体を効率的に吸い出すことができる。また、本実施形態にかかる送液システムS1は、送液装置1が備えられていることから、同様に、設備の大型化を抑制し、かつ低コストで容器2内の液体を効率的に吸い出すことができる。
【0049】
<4.本実施形態の変形例>
以下、本実施形態かかるノズル及び送液装置の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上で説明した例と共通の構成については説明を省略する。また、構造上可能であれば、以下の変形例を組み合わせた構成も本実施形態に含まれる。
【0050】
〔4-1.変形例1〕
図6は、本実施形態の一変形例にかかるノズルの容器内部側の端部を示す断面図である。この変形例にかかるノズル10は、容器2の内部側において、内管11の先端が露出している。すなわち、この構成において、内管11の先端は外管12に覆われていない。この構成によれば、液面が外管12の下端よりも下になると、より確実に液体が内管11から吸い出せるようになる。そのため、容器2の液体の残留量が少ない場合において、より効率的に液体を吸い出すことができる。
【0051】
〔4-2.変形例2〕
図7は、本実施形態の一変形例にかかるノズルの一部を示す断面図である。
図8は、
図7にかかるノズルの一端の一例の構成を容器内部側から見た図である。この変形例にかかるノズルでは、内管11と外管12との間にスペーサ14を備え、第2流路C2を通る液体はスペーサ14の間を通る。図示された例においては、スペーサ14は、内管11の外壁から外管12に向かって延びる棒部材である。
【0052】
図9は、スペーサを備えるノズルの他の一例の構成を容器内部側から見た図である。この構成においては、内管11の外壁と外管12の内壁との間に、貫通孔140を有する板部材が設けられている。貫通孔140の数は1つ形成されていてもよく、複数形成されていてもよい。
【0053】
これらのスペーサ14を有する構成によれば、内管11及び外管12に力がかかっても、内管11と外管12との位置関係をより確実に保つことができる。なお、スペーサ14は、流路方向の複数の箇所に設けてもよい。
【0054】
〔4-3.変形例3〕
図10は、本実施形態の一変形例にかかるノズルの容器外部側の端部を示す断面図である。この例にかかる構成では、ノズル10は、上記の例における保持部13を有さない。この例にかかる構成では、外管12は、容器2側の一端に底部121を有し、底部121を内管11が貫通している。また、外管12は、容器2の外部側において、第2流路C2と容器2の外部とを連通させる連通部122が形成されている。
【0055】
この構成によれば、ノズル10を構成する部品点数を低減することができ、ノズル10の軽量化、強度の向上、及び低コスト化をすることも可能である。
【0056】
〔4-4.変形例4〕
図11は、本実施形態の一変形例にかかる送液システムを示す図である。この構成においては、送液装置1が、液量検知装置40及びコントローラ50を備えず、開閉装置23が手動操作される。なお、この構成における開閉装置23の開閉は、ハンドルあるいはレバー等による機械的な操作により行われてもよく、ソレノイドあるいはモーター等の駆動部と電気的に接続された操作パネルまたはユーザー端末を用いたユーザー入力により行われてもよい。また、送液装置1は、ユーザー入力が可能なコントローラを備え、コントローラによるユーザー入力によって開閉装置23の操作が行われてもよい。
【符号の説明】
【0057】
S1…送液システム、1…送液装置、10…ノズル、11…内管、12…外管、13…保持部、14…スペーサ、C1…第1流路、C2…第2流路、21…第1配管、22…第2配管、23…開閉装置、30…ポンプ、40…液量検知装置、50…コントローラ