(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173429
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 644B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091841
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和也
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA70
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA03
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157BA41
5F157BA51
5F157DB02
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】洗浄中の洗浄液の飛散を抑制することができる洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄装置70は、保持面で板状物を保持する保持テーブルと、延在方向に貫通孔731を備える柱状のスポンジ材73と、板状物に洗浄液75を供給する洗浄ノズル74と、を有して保持テーブルに保持された板状物を洗浄する洗浄機構71と、保持テーブルと洗浄機構71とを保持面に平行な方向に相対的に移動させる移動機構と、を備え、洗浄ノズル74は、スポンジ材73の貫通孔731内に配設され、洗浄ノズル74から洗浄液75を板状物に対して供給しながらスポンジ材73の底面732を板状物に接触させた状態で移動機構によって保持テーブルと洗浄機構71とを相対的に移動させることでスポンジ材73によって板状物を擦って洗浄する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物を洗浄する洗浄装置であって、
保持面で該板状物を保持する保持テーブルと、
延在方向に貫通孔を備える柱状のスポンジ材と、該板状物に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、を有して該保持テーブルに保持された該板状物を洗浄する洗浄機構と、
該保持テーブルと該洗浄機構とを該保持面に平行な方向に相対的に移動させる移動機構と、
を備え、
該洗浄機構の該洗浄ノズルは、該スポンジ材の該貫通孔内に配設され、該洗浄ノズルから該洗浄液を該板状物に対して供給しながら該スポンジ材の底面を該板状物に接触させた状態で該移動機構によって該保持テーブルと該洗浄機構とを相対的に移動させることで該スポンジ材によって該板状物を擦って洗浄する洗浄装置。
【請求項2】
該洗浄液は、エアと水とを混合させた混合液であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
該スポンジ材は、該貫通孔と連通して該スポンジ材の該底面側の側面で開口する該洗浄液の排出口を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状物を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、研削装置は、保持テーブルの保持面で保持する板状物又は保持テーブルの保持面を洗浄する洗浄装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄装置の洗浄機構は、ポリウレタン等の樹脂からなるスポンジ洗浄部材と被洗浄物やスポンジ洗浄部材に洗浄水を供給する洗浄水ノズルとから構成される。このような洗浄機構において、洗浄効率を上げるために、洗浄水ノズルからエアと水とを混合させた混合液を噴射して被洗浄物を洗浄することがある。
【0005】
このような混合液は、ミスト化するが、洗浄装置内でミストが舞って洗浄装置のチャンバーの天井や側壁等に混合液が付着する。被洗浄物の洗浄及び乾燥後に天井等に付着した混合液が被洗浄物に再付着してしまうと被洗浄物にウォーターマークを形成するなどの問題が生じる。
【0006】
そのため、スポンジ材と洗浄ノズルから供給される洗浄液とで板状物を洗浄する洗浄装置において、板状物に供給した洗浄液が洗浄装置内に撒き散らさないよう構成された洗浄装置を提供すべきという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、洗浄中の洗浄液の飛散を抑制することができる洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の洗浄装置は、板状物を洗浄する洗浄装置であって、保持面で該板状物を保持する保持テーブルと、延在方向に貫通孔を備える柱状のスポンジ材と、該板状物に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、を有して該保持テーブルに保持された該板状物を洗浄する洗浄機構と、該保持テーブルと該洗浄機構とを該保持面に平行な方向に相対的に移動させる移動機構と、を備え、該洗浄機構の該洗浄ノズルは、該スポンジ材の該貫通孔内に配設され、該洗浄ノズルから該洗浄液を該板状物に対して供給しながら該スポンジ材の底面を該板状物に接触させた状態で該移動機構によって該保持テーブルと該洗浄機構とを相対的に移動させることで該スポンジ材によって該板状物を擦って洗浄することを特徴とする。
【0009】
前記洗浄装置において、該洗浄液は、エアと水とを混合させた混合液でも良い。
【0010】
前記洗浄装置において、該スポンジ材は、該貫通孔と連通して該スポンジ材の該底面側の側面で開口する該洗浄液の排出口を有しても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、洗浄中の洗浄液の飛散を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る洗浄装置を備える研削装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された研削装置の加工対象の板状物を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る洗浄装置の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示された洗浄機構の要部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された洗浄機構のスポンジ材を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4に示された洗浄機構のスポンジ材を示す他の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図4に示された洗浄機構の洗浄ノズルを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図4に示された洗浄機構が保持テーブルに保持された板状物を洗浄する状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の変形例1に係る洗浄装置の洗浄機構のスポンジ材を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態1の変形例2に係る洗浄装置の洗浄機構の要部を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の変形例3に係る洗浄装置の洗浄機構の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る洗浄装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る洗浄装置を備える研削装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された研削装置の加工対象の板状物を模式的に示す斜視図である。
図3は、実施形態1に係る洗浄装置の構成例を示す斜視図である。
【0015】
(板状物)
実施形態1に係る洗浄装置70は、
図1に示された研削装置1に備えられる。
図1に示された研削装置1は、板状物200を研削加工する加工装置である。
図1に示された研削装置1の加工対象である板状物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。板状物200は、基板の
図2に示す表面201に格子状に設定された分割予定ラインによって区画された各領域に図示しないデバイスが形成されている。
【0016】
デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(記憶装置)である。
【0017】
また、実施形態1において、板状物200は、研削装置1により表面201の裏側の裏面202が研削加工されて、所定の仕上げ厚みまで薄化された後、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割される。
【0018】
また、実施形態1では、板状物200は、
図2に示すように、表面201にデバイスを保護する表面保護テープ210が貼着されている。なお、本発明では、板状物200は、表面201にデバイスが形成されていなくても良く、表面201に表面保護テープ210が貼着されていなくても良い。
【0019】
(研削装置)
研削装置1は、板状物200の裏面202を研削加工して、板状物200を所定の仕上げ厚みまで薄化する加工装置である。研削装置1は、
図1に示すように、装置基台2と、ターンテーブル5と、ターンテーブル5上に設置された複数(実施形態1では3つ)の保持テーブル6と、粗研削ユニット10と、仕上げ研削ユニット20と、研削送りユニット30と、カセット7と、位置合わせユニット40と、搬送ユニット50と、洗浄ユニット60と、コントローラである制御ユニット100とを備えている。
【0020】
ターンテーブル5は、装置基台2の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内でZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行な方向である。このターンテーブル5上には、例えば3つの保持テーブル6が、例えば120度の位相角で等間隔に配設されている。
【0021】
これら3つの保持テーブル6は、
図3に示すように、上面が板状物200を吸引保持する保持面611であるポーラス板61と、ポーラス板61の外縁を囲繞する円形の凹部63が上面の中央に形成された円形基台62とを備えている。ポーラス板61は、ポーラスセラミックス等の多孔質材により構成され、厚みが一定の円板状に形成されている。保持面611は、水平方向に沿って平坦に形成されている。
【0022】
円形基台62は、ステンレス鋼等の非通気性を有する金属に形成され、凹部63内にポーラス板61がはめ込まれる。また、円形基台62には、凹部63の底に図示しない吸引源が接続している。円形基台62は、Z軸方向と平行でかつ保持面611と直交する軸心回りに回転する図示しない回転機構がターンテーブル5に取り付けられている。実施形態1では、円形基台62は、ターンテーブル5にボルト64で固定される。
【0023】
保持テーブル6は、板状物200の表面201側が表面保護テープ210を介して保持面611上に載置され、図示しない吸引源により保持面611が吸引されて、板状物200を保持面611に吸引保持する。また、保持テーブル6は、研削加工時には、回転機構によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転駆動される。保持テーブル6は、ターンテーブル5の回転によって、搬入出領域301、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、搬入出領域301に順次移動される。
【0024】
なお、搬入出領域301は、保持テーブル6に板状物200を搬入搬出する領域であり、粗研削領域302は、粗研削ユニット10で保持テーブル6に保持された板状物200を粗研削加工(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域303は、仕上げ研削ユニット20で保持テーブル6に保持された板状物200を仕上げ研削加工(研削に相当)する領域である。
【0025】
粗研削ユニット10は、保持テーブル6が保持する板状物200の上方に露出した裏面202を粗研削加工する粗研削用の研削砥石を環状に配設した粗研削用の研削ホイール11を装着して、粗研削領域302の保持テーブル6の保持面611に保持された板状物200の裏面202を粗研削加工する加工ユニットである。仕上げ研削ユニット20は、保持テーブル6が保持する板状物200の裏面202を仕上げ研削加工する仕上げ研削用の研削砥石を環状に配設した仕上げ研削用の研削ホイール21を装着して、仕上げ研削領域303の保持テーブル6の保持面611に保持された板状物200の裏面202を仕上げ研削加工する加工ユニットである。
【0026】
研削ユニット10,20は、研削ホイール11,21をモータ13,23によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転されるスピンドル14,24の下端(先端に相当)に装着し、研削ホイール11,21の研削砥石を保持テーブル6の保持面611に対向配置する。研削ユニット10,20は、モータ13,23によりスピンドル14,24及び研削ホイール11,21が軸心回りに回転されるとともに研削水を研削領域302,303の保持テーブル6に保持された板状物200の裏面202に供給しながら研削送りユニット30により研削砥石が保持テーブル6に所定の送り速度で近づけられることによって、板状物200の裏面202を粗研削加工又は仕上げ研削加工する。
【0027】
研削送りユニット30は、研削ユニット10,20をZ軸方向に移動させて、研削ユニット10,20と保持テーブル6とを相対的に接近および離間させるものである。実施形態1において、研削送りユニット30は、装置基台2の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設板3に設けられている。研削送りユニット30は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット10,20のスピンドルハウジング15,25をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0028】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット10及び仕上げ研削ユニット20は、研削ホイール11,21の回転中心である軸心と、保持テーブル6の回転中心である軸心とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石が保持テーブル6に保持された板状物200の裏面202の中心上を通る。
【0029】
カセット7は、複数のスロットを有して、板状物200を複数収容するための収容容器である。カセット7は、研削加工前後の板状物200を複数枚収容する。実施形態1では、カセット7は、一対設けられ、それぞれカセット載置台8に設置される。位置合わせユニット40は、カセット7から取り出された板状物200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0030】
搬送ユニット50は、板状物200を搬送するものである。搬送ユニット50は、搬入ユニット51と、搬出ユニット52と、搬入出ユニット53とを備える。
【0031】
搬入ユニット51は、板状物200を吸着する吸着パッド511を先端部に有し、基端部を中心として装置基台2に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬入ユニット51は、位置合わせユニット40で位置合わせされた研削加工前の板状物200を吸着パッド511に吸着保持して搬入出領域301に位置する保持テーブル6上に搬入する。
【0032】
搬出ユニット52は、板状物200を吸着する吸着パッド521を先端部に有し、基端部を中心として装置基台2に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬出ユニット52は、搬入出領域301に位置する保持テーブル6上の研削加工後の板状物200を吸着パッド521に吸着保持して洗浄ユニット60に搬出する。
【0033】
搬入出ユニット53は、研削加工前の板状物200をカセット7から取り出して、位置合わせユニット40に搬送するとともに、研削加工後の板状物200を洗浄ユニット60から取り出して、カセット7に搬送する。搬入出ユニット53は、例えばU字型ハンド531を備えるロボットピックであり、U字型ハンド531によって板状物200を吸着保持して搬送する。
【0034】
洗浄ユニット60は、研削加工後の板状物200を洗浄し、研削された裏面202に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0035】
また、研削装置1は、実施形態1に係る
図3に示す洗浄装置70を備える。次に、洗浄装置70を説明する。
図4は、
図3に示された洗浄機構の要部を示す斜視図である。
図5は、
図4に示された洗浄機構のスポンジ材を示す斜視図である。
図6は、
図4に示された洗浄機構のスポンジ材を示す他の斜視図である。
図7は、
図4に示された洗浄機構の洗浄ノズルを示す斜視図である。
図8は、
図4に示された洗浄機構が保持テーブルに保持された板状物を洗浄する状態を示す斜視図である。
【0036】
実施形態1において、洗浄装置70は、研削加工後の板状物200、及び搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611を洗浄する装置である。洗浄装置70は、
図3に示すように、前述した保持テーブル6と、洗浄機構71と、移動機構80とを備える。
【0037】
洗浄機構71は、搬入出領域301に位置する保持テーブル6に吸引保持された研削加工後の板状物200、及び搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611を洗浄するものである。洗浄機構71は、
図4に示すように、直線状に延在し、基端部が移動機構80に支持されているとともに、中空に形成されたアーム72と、アーム72の先端部に取り付けられたスポンジ材73と、スポンジ材73内に収容された洗浄ノズル74とを備える。アーム72は、長手方向が水平方向と平行に配置されている。
【0038】
スポンジ材73は、内部に少なくとも一部が互いに連通した細孔を有する多孔質の柔らかい(弾性変形可能な)スポンジで構成されている。実施形態1は、スポンジ材73は、ポリウレタン、PVA(Polyvinyl Alcohol)又はゴム等の樹脂に発泡剤を混入させて発泡成形して形成されている。実施形態1は、スポンジ材73は、
図5及び
図6に示すように、延在方向に貫通孔731を備える柱状(実施形態1では、円柱状)、即ち、内側に貫通孔731を備える円筒状に形成されている。スポンジ材73は、アーム72の先端部の下面に取り付けられている。
【0039】
洗浄ノズル74は、
図7に示すように、内側に洗浄液75(
図4に示す)を通す流路741が形成された筒状に形成されている。洗浄ノズル74は、スポンジ材73の貫通孔731内に配設されて、アーム72の先端部に取り付けられている。洗浄ノズル74の流路741は、アーム72の先端側の基端部が、アーム72内等に配設された配管761を介して水供給源76に接続し、アーム72内等に配設された配管771を介してエア供給源77に接続している。
【0040】
水供給源76は、配管761を介して洗浄ノズル74の流路741に水(実施形態1では、純水)を供給する。エア供給源77は、配管771を介して洗浄ノズル74の流路741にエア(実施形態1では、加圧された空気)を供給する。また、洗浄ノズル74は、流路741の先端が保持テーブル6及び保持テーブル6に吸引保持された板状物200と相対することが可能である。
【0041】
洗浄ノズル74は、水供給源76から供給された水とエア供給源77から供給されたエアとを混合して、水とエアの混合液を洗浄液75として、流路741の先端側の噴射口742を通して搬入出領域301に位置する保持テーブル6に吸引保持された板状物200、及び搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611に供給可能である。このように、実施形態1では、洗浄液75は、エアと水とを混合させた混合液である。
【0042】
移動機構80は、アーム72の基端部を支持して、保持テーブル6と洗浄機構71とを保持面611と平行な水平方向に相対移動させるものである。移動機構80は、
図3に示すように、アーム72の基端部を中心としてZ軸方向と平行な軸心回りに揺動する第1移動機構81と、第1移動機構81によりアーム72とともに揺動されるとともにアーム72をZ軸方向に沿って昇降させる第2移動機構82とを備える。移動機構80は、第1移動機構81がアーム72を揺動することで、保持テーブル6と洗浄機構71とを水平方向に相対移動させる。第1移動機構81は、洗浄機構71を搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611上から退避させるとともに、保持面611上でアーム72を揺動する。
【0043】
制御ユニット100は、研削装置1を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、少なくとも保持テーブル6と研削ユニット10,20の動作を制御して、板状物200に対する加工動作を研削装置1に実行させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0044】
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、研削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して研削装置1の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット及びオペレータに報知する報知ユニットと接続されている。
【0045】
入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光とタッチパネル上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0046】
次に、研削装置1の加工動作を説明する。実施形態1において、研削装置1は、オペレータにより裏面202を上向きにして板状物200を収容したカセット7が装置基台2のカセット載置台8に設置され、加工条件が制御ユニット100に登録され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作を開始する。
【0047】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が各研削ユニット10,20のスピンドル14,24を加工条件で定められた回転数で軸心回りに回転させ、洗浄装置70の洗浄機構71を搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611上から退避させる。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、搬入出ユニット53にカセット7のいずれかから板状物200を1枚取り出させて、位置合わせユニット40へ搬入させて、位置合わせユニット40に板状物200の中心位置合わせを行わせる。
【0048】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が搬入ユニット51の吸着パッド511に位置合わせされた板状物200を吸着保持させ、搬入ユニット51に搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611上に搬入させる。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611に板状物200を表面保護テープ210を介して吸引保持させる。
【0049】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100がターンテーブル5を回転して、搬入出領域301で板状物200を保持した保持テーブル6を粗研削領域302に移動する。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が保持テーブル6を軸心回りに回転し、研削水を供給して粗研削ユニット10により板状物200を粗研削加工する。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が板状物200を粗研削加工した後、ターンテーブル5を回転して、粗研削加工後の板状物200を保持した保持テーブル6を仕上げ研削領域303に移動する。
【0050】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が研削水を供給して仕上げ研削ユニット20により板状物200を仕上げ研削加工する。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が板状物200を仕上げ研削加工した後、ターンテーブル5を回転して、仕上げ研削加工後の板状物200を保持し軸心回りの回転が停止した保持テーブル6を搬入出領域301に移動する。
【0051】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、搬入出領域301に位置する保持テーブル6を軸心回りに回転させた状態で、制御ユニット100が洗浄装置70の移動機構80を制御して、洗浄機構71を搬入出領域301に位置する保持テーブル6に吸引保持された板状物200の裏面202上に位置付ける。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、
図8に示すように、制御ユニット100が洗浄ノズル74から板状物200の裏面202に洗浄液75を供給しながらスポンジ材73の底面732を搬入出領域301に位置する保持テーブル6に吸引保持された板状物200の裏面202に接触させた状態で、移動機構80によりアーム72を板状物200の裏面202上で揺動させて、保持テーブル6と洗浄機構71とを水平方向に相対的に移動させる。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、所定時間、搬入出領域301に位置する保持テーブル6を軸心回りに回転させながら、洗浄ノズル74から板状物200の裏面202に洗浄液75を供給しつつ移動機構80によりアーム72を板状物200の裏面202上で揺動させて、スポンジ材73によって板状物200の裏面202を擦って洗浄する。
【0052】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、搬入出領域301に位置する保持テーブル6に吸引保持された板状物200の裏面202を洗浄した後、制御ユニット100が洗浄装置70の移動機構80を制御して洗浄機構71を保持テーブル6の保持面611上から退避させ、保持テーブル6の回転、吸引保持を停止する。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が搬出ユニット52に仕上げ研削加工後の板状物200を搬入出領域301の保持テーブル6から洗浄ユニット60に搬送して、洗浄ユニット60で洗浄と乾燥をした後、搬入出ユニット53にカセット7に収容させる。なお、実施形態1において、洗浄装置70によって、保持テーブル6上で先に板状物200を洗浄する理由としては、コンタミが載った板状物200の裏面202を搬出ユニット52の吸着パッド521で吸着する際、板状物200を破損させないための予備洗浄である。
【0053】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、搬入出領域301に位置する保持テーブル6から研削加工後の板状物200を洗浄ユニット60に搬送した後、制御ユニット100が搬入出領域301に位置する保持テーブル6を軸心回りに回転する。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が洗浄装置70の移動機構80を制御して、洗浄機構71を搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611上に位置付ける。
【0054】
実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、制御ユニット100が洗浄ノズル74から保持面611に洗浄液75を供給しながらスポンジ材73の底面732を搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611に接触させた状態で、移動機構80によりアーム72を保持面611上で揺動させて、保持テーブル6と洗浄機構71とを水平方向に相対的に移動させる。実施形態1において、加工動作では、研削装置1は、所定時間、搬入出領域301に位置する保持テーブル6を軸心回りに回転させながら、洗浄ノズル74から保持面611に洗浄液75を供給しつつ移動機構80によりアーム72を保持面611上で揺動させて、スポンジ材73によって保持面611を擦って洗浄する。
【0055】
また、研削装置1は、制御ユニット100がターンテーブル5を120度回転する度に、仕上げ研削加工後の板状物200を保持している搬入出領域301の保持テーブル6から板状物200を洗浄装置70で洗浄してから洗浄ユニット60に搬送し、洗浄装置70で搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611を洗浄し、搬入出領域301に位置する保持テーブル6に研削加工前の板状物200を搬入し、粗研削領域302の保持テーブル6に保持された研削加工前の板状物200を粗研削加工し、仕上げ研削領域303の保持テーブル6に保持された粗研削加工後の板状物200を粗研削加工する。こうして、研削装置1は、制御ユニット100がターンテーブル5を120度回転する度に搬入出領域301の保持テーブル6に板状物200を洗浄、搬出、搬入し、保持テーブル6の保持面611に保持した板状物200を粗研削領域302及び仕上げ研削領域303に順に位置付けて、粗研削加工及び仕上げ研削加工を順に施す。研削装置1は、制御ユニット100がカセット7内の全ての板状物200を粗研削加工、仕上げ研削加工すると、加工動作を終了する。
【0056】
以上説明したように、実施形態1に係る洗浄装置70は、延在方向に貫通孔731を備える柱状のスポンジ材73と、スポンジ材73の貫通孔731内に配設され板状物200に洗浄液75を供給する洗浄ノズル74と、を有して保持テーブル6に保持された板状物200を洗浄する洗浄機構71を備えている。このために、実施形態1に係る洗浄装置70は、スポンジ材73の貫通孔731内に配設された洗浄ノズル74から洗浄液75を板状物200に対して供給しながら、スポンジ材73の底面732を板状物200に接触させた状態で移動機構80によって保持テーブル6と洗浄機構71とを相対的に移動させることでスポンジ材73によって板状物200を擦って洗浄するため、洗浄液75がいったんスポンジ材73の貫通孔731内に留まることとなり、板状物200に供給した洗浄液75が撒き散らされることを抑制できる。
【0057】
その結果、実施形態1に係る洗浄装置70は、洗浄中の洗浄液75の飛散を抑制することができるという効果を奏する。
【0058】
〔変形例1〕
実施形態1の変形例1に係る洗浄装置を図面に基づいて説明する。
図9は、実施形態1の変形例1に係る洗浄装置の洗浄機構のスポンジ材を示す斜視図である。
図10は、
図9に示された洗浄機構のスポンジ材を示す他の斜視図である。なお、
図9及び
図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
変形例1に係る洗浄装置70は、スポンジ材73が、
図9及び
図10に示すように、貫通孔731と連通してスポンジ材73の底面732側の側面である外周面733で開口する洗浄液75の排出口734を有すること以外、実施形態1と同じである。排出口734は、スポンジ材73の貫通孔731と、底面732と、外周面733とに開口したスポンジ材73の一部を切り欠いた切り欠きである。
【0060】
変形例1に係る洗浄装置70は、実施形態1と同様に、貫通孔731を備える柱状のスポンジ材73と、スポンジ材73の貫通孔731内に配設された洗浄ノズル74とを有する洗浄機構71を備えているために、洗浄中の洗浄液75の飛散を抑制することができるという効果を奏する。
【0061】
〔変形例2〕
実施形態1の変形例2に係る洗浄装置を図面に基づいて説明する。
図11は、実施形態1の変形例2に係る洗浄装置の洗浄機構の要部を示す斜視図である。なお、
図11は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
変形例2に係る洗浄装置70は、
図11に示すように、スポンジ材73の貫通孔731がアーム72内等に配設された配管781を介して吸引源78に接続していること以外、実施形態1と同じである。吸引源78は、貫通孔731内に留まる洗浄液75からなるミストを吸引するものである。
【0063】
変形例2に係る洗浄装置70は、実施形態1と同様に、貫通孔731を備える柱状のスポンジ材73と、スポンジ材73の貫通孔731内に配設された洗浄ノズル74とを有する洗浄機構71を備えているために、洗浄中の洗浄液75の飛散を抑制することができるという効果を奏する。
【0064】
また、変形例2に係る洗浄装置70は、貫通孔731が吸引源78に接続し、吸引源78が貫通孔731内に留まる洗浄液75からなるミストを吸引するので、洗浄中の洗浄液75のミストのスポンジ材73外の飛散を抑制することができるという効果を奏する。
【0065】
なお、変形例2では、変形例1と同様に、スポンジ材73が、排出口734を有しても良い。
【0066】
〔変形例3〕
実施形態1の変形例3に係る洗浄装置を図面に基づいて説明する。
図12は、実施形態1の変形例3に係る洗浄装置の洗浄機構の要部を示す斜視図である。なお、
図12は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
変形例3に係る洗浄装置70は、
図12に示すように、洗浄ノズル74が外周面に開口して洗浄液75を貫通孔731の内周面に向けて噴射する噴射口743を備えていること以外、実施形態1と同じである。噴射口743は、洗浄液75を貫通孔731の内周面に向けて噴射して、スポンジ材73を洗浄するものである。
【0068】
変形例3に係る洗浄装置70は、実施形態1と同様に、貫通孔731を備える柱状のスポンジ材73と、スポンジ材73の貫通孔731内に配設された洗浄ノズル74とを有する洗浄機構71を備えているために、洗浄中の洗浄液75の飛散を抑制することができるという効果を奏する。
【0069】
なお、変形例3では、変形例1と同様に、スポンジ材73が、排出口734を有しても良く、変形例2と同様に、貫通孔731が吸引源78と接続しても良い。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、実施形態1では、洗浄液75は、エアと水とが混合された混合液であるが、本発明では、混合液に限定されずに、エア単体でも良く、水単体でも良い。
【0071】
また、本発明では、洗浄ユニット60が、板状物200の裏面202を洗浄するために洗浄装置70を備えても良い。また、本発明では、洗浄装置70が保持テーブル6の保持面611を洗浄しなくても良い。
【0072】
また、本発明では、洗浄ユニット60が、洗浄液75を供給しながらスポンジ材73で洗浄するだけでなく、洗浄液75を供給しながらスポンジ材73で洗浄し、その後、洗浄液75を供給することなくスポンジ材73で洗浄しても良い。また、本発明では、スポンジ材73を斜めに押し当てても良い。この場合、スポンジ材73の底面732少なくとも一部が板状物200の裏面202を擦って洗浄することとなる。
【符号の説明】
【0073】
6 保持テーブル
70 洗浄装置
71 洗浄機構
73 スポンジ材
74 洗浄ノズル
75 洗浄液
80 移動機構
200 板状物
611 保持面
731 貫通孔
732 底面
733 外周面(側面)
734 排出口