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特開2024-173511アルファ波推定方法、情報処理装置及びアルファ波推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173511
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】アルファ波推定方法、情報処理装置及びアルファ波推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/378 20210101AFI20241205BHJP
   A61B 5/374 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
A61B5/378
A61B5/374
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091982
(22)【出願日】2023-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和5年1月18日に日本視覚学会2023年冬季大会 抄録集にて発表。 (2)令和5年1月6日、令和5年1月30日にhttps://sites.google.com/view/vsj2023winter/program https://drive.google.com/file/d/1Xe6olfFyMmBbw7MVtUyBfwZp3MNyqwAW/view https://www.jstage.jst.go.jp/article/vision/35/1/35_17/_article/-char/jaにて発表。 (3)令和5年1月19日に日本視覚学会2023年冬季大会にて発表。
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 薫
(72)【発明者】
【氏名】澤山 正貴
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127DD01
4C127GG03
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】ジター錯視の測定を効率的に行うことを可能とするアルファ波推定方法、情報処理装置及びアルファ波推定プログラムを提供する。
【解決手段】第1色の部分図形を一部に含む図形であって部分図形以外の部分が第2色である対象図形が所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第1画面を出力し、対象者による部分図形の振動状況についての第1判断結果の入力を受け付け、入力を受け付けた第1判断結果に基づいて、対象者のアルファ波の振動状況を推定し、推定したアルファ波の振動状況を示す情報を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色の部分図形を一部に含む図形であって前記部分図形以外の部分が第2色である対象図形が所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第1画面を出力し、
対象者による前記部分図形の振動状況についての第1判断結果の入力を受け付け、
入力を受け付けた前記第1判断結果に基づいて、前記対象者のアルファ波の振動状況を推定し、
推定した前記アルファ波の振動状況を示す情報を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするアルファ波推定方法。
【請求項2】
前記第1判断結果は、前記部分図形の振動の周波数についての判断結果であり、
前記推定する処理では、前記アルファ波の周波数を前記アルファ波の振動状況として推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルファ波推定方法。
【請求項3】
前記第1判断結果は、前記部分図形の振動の大きさについての判断結果であり、
前記推定する処理では、前記アルファ波の強さを前記アルファ波の振動状況として推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルファ波推定方法。
【請求項4】
第1画面は、前記部分図形の輝度と、前記対象図形における前記部分図形以外の部分の輝度との差が所定以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルファ波推定方法。
【請求項5】
前記第1画面は、複数の前記対象図形が前記所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する画面である、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルファ波推定方法。
【請求項6】
前記入力を受け付ける処理では、前記部分図形が振動していないと前記対象者が判断したことを示す第1結果と、前記部分図形が振動していると前記対象者が判断したことを示す第2結果と、前記部分図形が前記第2結果よりも大きく振動していると前記対象者が判断したことを示す第3結果とのうちのいずれかを前記第1判断結果として入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項3に記載のアルファ波推定方法。
【請求項7】
前記第1画面における前記対象図形以外の部分の色は、前記第1色及び前記第2色と異なる第3色である、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルファ波推定方法。
【請求項8】
さらに、前記第1色及び前記第2色と異なる第4色の前記部分図形を一部に含む前記対象図形が前記所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第2画面を出力し、
前記第2画面に含まれる前記部分図形の振動状況についての前記対象者による第2判断結果の入力を受け付け、
入力を受け付けた前記第2判断結果を示す情報を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする請求項7に記載のアルファ波推定方法。
【請求項9】
さらに、前記第4色であって振動する前記部分図形を一部に含む前記対象図形が前記所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第3画面を出力し、
前記第3画面に含まれる前記部分図形の振動状況についての前記対象者による第3判断結果の入力を受け付け、
入力を受け付けた前記第3判断結果を示す情報を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする請求項8に記載のアルファ波推定方法。
【請求項10】
第1色の部分図形を一部に含む図形であって前記部分図形以外の部分が第2色である対象図形が所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第1画面を出力する画面出力部と、
対象者による前記部分図形の振動状況についての第1判断結果の入力を受け付ける入力受付部と、
入力を受け付けた前記第1判断結果に基づいて、前記対象者のアルファ波の振動状況を推定する振動推定部と、
推定した前記アルファ波の振動状況を示す情報を出力する結果出力部と、を有する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
第1色の部分図形を一部に含む図形であって前記部分図形以外の部分が第2色である対象図形が所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第1画面を出力し、
対象者による前記部分図形の振動状況についての第1判断結果の入力を受け付け、
入力を受け付けた前記第1判断結果に基づいて、前記対象者のアルファ波の振動状況を推定し、
推定した前記アルファ波の振動状況を示す情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするアルファ波推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルファ波推定方法、情報処理装置及びアルファ波推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、知覚、認知及び運動等の多くの機能を司る脳の状態管理は、心身の健康を維持するために不可欠である。そのため、近年では、例えば、脳の状態管理を容易に行うことを可能とする各種手法の研究が行われている。
【0003】
具体的に、例えば、アルファ波の周波数とジター錯視の周波数とが対応関係を有することを利用することにより、アルファ波の周波数を直接測定することなく、スマートデバイス等によって計測されたジター錯視の周波数からアルファ波の周波数を推定する手法(以下、単に推定手法とも呼ぶ)が登場している(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.cell.com/current-biology/pdfExtended/S0960-9822(17)30770-4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような推定処理において、ジター錯視の周波数の測定を行う場合、対象者は、例えば、画面上における特定の点(以下、注視点とも呼ぶ)を注視した状態で、画面上を移動する対象図形において発生していると感じた振動(揺れ)の周波数を判断する(非特許文献1)。
【0006】
具体的に、対象者は、この場合、例えば、画面上をそれぞれ移動する対象図形(実際には振動していない図形)と比較図形(実際に振動している図形)とを比較する。そして、対象者は、例えば、対象図形における振動の周波数と比較図形における振動の周波数とが一致するように、比較図形における振動の周波数を調整する。
【0007】
これにより、対象者は、例えば、調整後の比較図形における振動の周波数を、対象図形における振動の周波数(すなわち、ジター錯視の周波数)として測定することが可能になる。
【0008】
ここで、ジター錯視の周波数の測定を行う場合において、振動が発生していると認識するまでに要する時間は、対象者ごとに異なる場合がある。そのため、上記のような推定処理では、例えば、ジター錯視の周波数の測定に長時間を要する場合があり、アルファ波の周波数の推定を効率的に行うことができない場合がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ジター錯視の測定を効率的に行うことを可能とするアルファ波推定方法、情報処理装置及びアルファ波推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明におけるアルファ波推定方法は、第1色の部分図形を一部に含む図形であって前記部分図形以外の部分が第2色である対象図形が所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する第1画面を出力し、対象者による前記部分図形の振動状況についての第1判断結果の入力を受け付け、入力を受け付けた前記第1判断結果に基づいて、前記対象者のアルファ波の振動状況を推定し、推定した前記アルファ波の振動状況を示す情報を出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明におけるアルファ波推定方法、情報処理装置及びアルファ波推定プログラムによれば、ジター錯視の測定を効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態における情報処理システム10の構成例を示す図である。
図2図2は、対象画面SC1の具体例について説明する図である。
図3図3は、対象図形OBの具体例について説明する図である。
図4図4は、第1の実施の形態における情報処理装置1の構成例を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態の概略を説明する図である。
図6図6は、第1の実施の形態におけるアルファ波推定処理を説明するフローチャート図である。
図7図7は、比較図形OBaの具体例について説明する図である。
図8図8は、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の周波数を判断する場合の具体例について説明する図である。
図9図9は、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の周波数を判断する場合の具体例について説明する図である。
図10図10は、対象者Tが第3部分図形OB3の振動の大きさを判断する場合の具体例について説明を行う。
図11図11は、被験者による判断結果ごとの被験者のアルファ波の強さについての測定結果を示す図である
図12図12は、第1の実施の形態における妥当性判定処理を説明するフローチャート図である。
図13図13は、第1の実施の形態における妥当性判定処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明を行う。しかしながら、かかる説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の主題を限定するものではない。また、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することがなく様々な変更や置換や改変をすることが可能である。また、異なる実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
[第1の実施の形態における情報処理システムの構成例]
初めに、第1の実施の形態における情報処理システム10の構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における情報処理システム10の構成例を示す図である。
【0015】
情報処理システム10は、例えば、情報処理装置1と、記憶部130とを有する。記憶部130は、例えば、情報処理装置1の外部に配置される記憶部であってもよいし、情報処理装置1内に搭載される記憶部であってもよい。
【0016】
情報処理装置1は、例えば、PC(Personal Computer)やスマートフォン等のモバイル端末であり、対象者Tのジター錯視についての測定結果からアルファ波の推定を行う処理(以下、単にアルファ波推定処理とも呼ぶ)を行う。そして、情報処理装置1は、例えば、アルファ波推定処理によるアルファ波の推定結果(図示せず)を記憶部130に記憶する。
【0017】
具体的に、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、第1色の部分図形を一部に含む図形であって部分図形以外の他の部分が第1色と異なる第2色である対象図形が、所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する対象画面(以下、第1画面とも呼ぶ)を生成する。第1色及び第2色の組合せは、対象者Tにおいてジター錯視が発生する色の組合せであり、例えば、第1色が緑色であって第2色が赤色である。そして、情報処理装置1は、例えば、生成した対象画面を情報処理装置1の出力装置(図示せず)に出力する。
【0018】
続いて、対象者Tは、例えば、出力装置に出力された対象画面における注視点を注視した状態で、対象画面に映る部分図形の振動状況を判断する。振動状況は、例えば、非特許文献1における場合と同様に、部分図形における振動の周波数であってよい。また、振動状況は、例えば、非特許文献1における場合と異なり、部分図形における振動の大きさ(振幅)であってもよい。そして、対象者Tは、例えば、振動状況についての判断結果(以下、第1判断結果とも呼ぶ)を出力装置に入力する。
【0019】
その後、情報処理装置1は、例えば、対象者Tによる部分図形の振動状況についての判断結果の入力を受け付ける。そして、情報処理装置1は、例えば、入力を受け付けた判断結果に基づいて、対象者Tのアルファ波の振動状況を推定する。さらに、情報処理装置1は、例えば、推定したアルファ波の振動状況を示す情報を出力する。
【0020】
すなわち、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、非特許文献1における場合(対象図形が水平に移動する場合)と異なり、対象画面上において対象図形が円を描くように移動する。そのため、情報処理装置1は、例えば、対象図形が描く円の中心を注視点として設定することにより、注視点から対象図形(部分図形)までの距離を常に一定にすることが可能になる。そのため、情報処理装置1は、例えば、部分図形における振動の見易さを向上させることが可能になり、部分図形において振動が発生していると対象者Tが認識するまでに要する時間を短縮させることが可能になるとともに、振動が発生していると対象者Tが認識した後においても安定的に振動を認識させ続けることが可能になる。
【0021】
これにより、情報処理装置1は、例えば、ジター錯視の測定を効率的に行うことが可能になり、アルファ波の周波数の推定を効率的に行うことが可能になる。
【0022】
なお、対象図形において、部分図形における第1色の輝度と部分図形以外の部分における第2色の輝度との差は、例えば、所定以下であってよい。具体的に、対象図形における部分図形の輝度は、例えば、部分図形以外の部分の輝度と同一であってよい。また、対象者Tは、例えば、アルファ波推定処理を行う前に、部分図形における第1色の輝度と部分図形以外の部分における第2色の輝度との差が一定値以下になるように予め調整を行うものであってよい。
【0023】
[対象画面の具体例]
次に、対象画面SC1の具体例について説明を行う。図2は、対象画面SC1の具体例について説明する図である。また、図3は、対象図形OBの具体例について説明する図である。
【0024】
対象画面SC1には、図2に示すように、例えば、背景の色が第1色及び第2色と異なる第3色(例えば、黒色)である画面であり、所定の円の円周上に配置された8つの対象図形OBを含む。そして、8つの対象図形OBのそれぞれは、例えば、所定の円の円周に沿って一定の速度で回転する。なお、8つの対象図形OBのそれぞれは、例えば、対象画面SC1上を時計回りに回転するものであってもよいし、反時計回りに回転するものであってもよい。
【0025】
また、対象図形OBは、図3に示すように、例えば、環状扇型形状からなる図形である。具体的に、対象図形OBは、例えば、第2色の環状扇型形状である第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2のそれぞれと、第1色の環状扇型形状である第3部分図形OB3(以下、単に部分図形OB3とも呼ぶ)とからなる。そして、第3部分図形OB3は、例えば、第1部分図形OB1と第2部分図形OB2との間に配置される。
【0026】
具体的に、第3部分図形OB3における第1色の輝度と第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2の部分における第2色の輝度との差は、例えば、所定以下である。すなわち、第1色及び第2色の組み合わせは、例えば、対象者Tにおいてジター錯視が発生すると判断可能な色の組み合わせである。
【0027】
なお、以下、8つの対象図形OBが対象画面SC1に表示される場合について説明を行うが、対象画面SC1には、例えば、8つ以外の数の対象図形OBが表示されるものであってもよい。また、以下、対象画面SC1において各対象図形OBが等間隔に配置される場合について説明を行うが、各対象図形OBは、例えば、等間隔に配置されないものであってもよい。
【0028】
また、以下、対象図形OB(すなわち、第1部分図形OB1、第2部分図形OB2及び第3部分図形OB3のそれぞれ)が環状扇型形状である場合について説明を行うが、対象図形OBは、例えば、矩形形状等の他の形状であるものであってもよい。また、以下、第1部分図形OB1と第2部分図形OB2との大きさ(面積)が同一である場合について説明を行うが、第1部分図形OB1と第2部分図形OB2との大きさは、例えば、互いに異なるものであってもよい。また、以下、第3部分図形OB3の大きさ(面積)が第1部分図形OB1や第2部分図形OB2よりも小さい場合について説明を行うが、第3部分図形OB3の大きさは、例えば、第1部分図形OB1や第2部分図形OB2と同一、または、第1部分図形OB1や第2部分図形OB2よりも大きいものであってもよい。
【0029】
そして、対象者Tは、例えば、所定の円の中心である注視点LPを注視した状態において、各対象図形OBに含まれる第3部分図形OB3の振動状況を判断する。具体的に、対象者Tは、例えば、各対象図形OBに含まれる第3部分図形OB3における振動の周波数または振動の大きさを判断する。
【0030】
[第1の実施の形態における情報処理装置1の構成例]
次に、情報処理装置1の構成例について説明を行う。図4は、第1の実施の形態における情報処理装置1の構成例を示す図である。
【0031】
情報処理装置1は、図4に示すように、例えば、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信インタフェース103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0032】
記憶媒体104は、例えば、アルファ波推定処理を行うためのプログラム110を記憶するプログラム格納領域(図示せず)を有する。
【0033】
また、記憶媒体104は、例えば、記憶部130(以下、情報格納領域130とも呼ぶ)を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0034】
CPU101は、例えば、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラム110を実行してアルファ波推定処理を行う。
【0035】
また、通信インタフェース103は、例えば、各対象者Tについて行われたアルファ波推定処理の結果(アルファ波の推定結果)を収集して蓄積する他の情報処理装置(図示せず)と通信を行う。
【0036】
[第1の実施の形態の概略]
次に、第1の実施の形態の概略について説明を行う。図5は、第1の実施の形態の概略を説明する図である。
【0037】
情報処理装置1は、図5に示すように、例えば、画面出力部111と、入力受付部112と、振動推定部113と、結果出力部114と、妥当性判定部115と、妥当性出力部116とを含む各機能を実現する。
【0038】
画面出力部111は、例えば、対象画面SC1を出力装置に出力する。具体的に、画面出力部111は、例えば、情報格納領域130に記憶された対象画面SC1を出力装置に出力する。
【0039】
入力受付部112は、例えば、画面出力部111が出力した対象画面SC1を見た対象者Tによる第3部分図形OB3の振動状況についての判断結果の入力を受け付ける。そして、入力受付部112は、例えば、入力を受け付けた判断結果を情報格納領域130に記憶する。
【0040】
振動推定部113は、例えば、入力受付部112が入力を受け付けた判断結果に基づいて、対象者Tのアルファ波の振動状況を推定する。
【0041】
結果出力部114は、例えば、振動推定部113が推定したアルファ波の振動状況を示す推定結果を出力装置に出力する。
【0042】
妥当性判定部115は、例えば、入力受付部112が入力を受け付けた判断結果についての妥当性を判定する。
【0043】
妥当性出力部116は、例えば、妥当性判定部115による判断結果についての妥当性の判定結果を他の情報処理装置(図示せず)に出力する。
【0044】
[第1の実施の形態におけるアルファ波推定処理のフローチャート図]
次に、第1の実施の形態におけるアルファ波推定処理について説明を行う。図6は、第1の実施の形態におけるアルファ波推定処理を説明するフローチャート図である。
【0045】
画面出力部111は、図6に示すように、例えば、推定タイミングになるまで待機する(S11のNO)。推定タイミングは、例えば、対象者Tが振動状況の推定を行う旨を情報処理装置1に入力したタイミングであってよい。すなわち、対象者Tが1日1回アルファ波の推定を行う場合、推定タイミングは、例えば、1日1回のタイミングであってよい。
【0046】
そして、推定タイミングになった場合(S11のYES)、画面出力部111は、例えば、情報格納領域130に記憶された対象画面SC1を出力装置に出力する(S12)。
【0047】
続いて、入力受付部112は、例えば、画面出力部111が出力した対象画面SC1を見た対象者Tが判断結果を入力するまで待機する(S13のNO)。
【0048】
そして、対象者Tが入力した判断結果を受け付けた場合(S13のYES)、振動推定部113は、例えば、入力を受け付けた判断結果に基づいて、対象者Tのアルファ波の振動状況を推定する(S14)。
【0049】
その後、結果出力部114は、例えば、S14の処理で推定したアルファ波の振動状況を示す推定結果を出力装置に出力する(S15)。
【0050】
なお、情報処理装置1は、例えば、S12の処理及びS13の処理を繰り返し行うものであってもよい。そして、対象者Tは、例えば、対象画面SC1についての判断結果を複数回入力するものであってもよい。その後、情報処理装置1は、S14の処理において、例えば、対象者Tが複数回入力した判断結果(例えば、対象者Tが複数回入力した判断結果が示す値の平均値)に基づいて、対象者Tのアルファ波の振動状況を推定するものであってもよい。
【0051】
[対象者が第3部分図形における振動の周波数を判断する場合の具体例]
次に、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の周波数を判断する場合の具体例について説明を行う。図7は、比較図形OBaの具体例について説明する図である。また、図8及び図9は、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の周波数を判断する場合の具体例について説明する図である。以下、図6のフローチャート図において説明した各処理を適宜参照する。
【0052】
初めに、第3部分図形OB3における振動の周波数に用いる比較図形OBaについて説明を行う。
【0053】
比較図形OBaは、図7に示すように、例えば、図3で説明した対象図形OBと同様に、環状扇型形状からなる図形である。具体的に、比較図形OBaは、例えば、第2色の環状扇型形状である第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2のそれぞれと、第3色の環状扇型形状である第3部分図形OB3(以下、第4部分図形OB3aとも呼ぶ)とからなる図形である。そして、第4部分図形OB3aは、例えば、第1部分図形OB1と第2部分図形OB2との間に配置される。すなわち、図7に示す比較図形OBaは、例えば、図3で説明した対象図形OBにおける第3部分図形OB3の色が対象画面SC1における背景の色と同じ色に変更された図形である。
【0054】
さらに具体的に、第4部分図形OB3aにおける第3色の輝度と第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2における第2色の輝度との差は、例えば、所定以上である。すなわち、第3色及び第2色の組み合わせは、例えば、対象者Tにおいてジター錯視が発生しないと判断可能な色の組み合わせである。
【0055】
なお、以下、比較図形OBaに含まれる第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2のそれぞれの色が第2色であるものとして説明を行うが、これに限られない。具体的に、比較図形OBaに含まれる第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2のそれぞれの色は、例えば、第4部分図形OB3aとの輝度の差が所定以上であれば、第2色以外の他の色であってもよい。
【0056】
また、以下、第4部分図形OB3aの色が第3色であるものとして説明を行うが、これに限られない。具体的に、第4部分図形OB3aの色は、例えば、第1部分図形OB1及び第2部分図形OB2のそれぞれとの輝度の差が所定以上であれば、第3色以外の他の色(以下、第4色とも呼ぶ)であってもよい。
【0057】
次に、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の周波数を判断する場合の具体例について説明を行う。
【0058】
情報処理装置1は、S12の処理において、例えば、図2で説明した対象画面SC1を出力装置に表示する。
【0059】
具体的に、情報処理装置1は、図8(A)に示すように、例えば、対象画面SC1を出力装置に数秒間(例えば、4秒間)表示する。そして、情報処理装置1は、図8(B)に示すように、例えば、対象図形OBが表示されていない状態の対象画面SC1(以下、対象画面SC3とも呼ぶ)を出力装置に数秒間(例えば、2秒間)表示する。
【0060】
続いて、情報処理装置1は、図8(C)に示すように、例えば、対象画面SC1における対象図形OBの全てが比較図形OBaに変更された画面(以下、対象画面SC2とも呼ぶ)を出力装置に数秒間(例えば、4秒間)表示する。なお、対象画面SC2に含まれる第4部分図形OB3aは、図9に示すように、所定の周波数及び所定の大きさによって実際に振動しているものであってよい。そして、情報処理装置1は、図8(D)に示すように、例えば、対象画面SC3を出力装置に数秒間(例えば、2秒間)表示する。
【0061】
その後、図8(A)から図8(D)に示す各画面を見た対象者Tは、例えば、図8(A)に示す第3部分図形OB3の振動の周波数の判断結果を情報処理装置1に対して入力する。
【0062】
具体的に、対象者Tは、例えば、図8(D)に示す対象画面SC3において、図8(A)に示す対象画面SC1に含まれる第3部分図形OB3の振動の周波数(対象者Tが発生している感じた振動の周波数)と、図8(C)に示す対象画面SC2に含まれる第4部分図形OB3aにおける振動の周波数(実際に発生している振動の周波数)とが可能な限り一致するように、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数を調整する。
【0063】
さらに具体的に、対象者Tは、例えば、図8(D)に示す対象画面SC2に表示されたスライドバー(図示せず)を操作することによって、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数を調整する。そして、対象者Tは、例えば、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数の調整が完了した場合、対象画面SC2に表示された調整完了ボタン(図示せず)を押下する。
【0064】
すなわち、対象者Tは、例えば、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数(調整後の周波数)を、第3部分図形OB3における振動の周波数として情報処理装置1に入力する。
【0065】
なお、情報処理装置1は、例えば、図8(A)から図8(D)で説明した各対象画面の表示(対象画面SC1、対象画面SC3、対象画面SC2及び対象画面SC3の順に行われる各対象画面の表示)を繰り返し行うものであってもよい。そして、対象者Tは、対象画面SC1に含まれる第3部分図形OB3の振動の周波数と対象画面SC2に含まれる第4部分図形OB3aにおける振動の周波数とが一致したものと判断するまで、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数の調整を繰り返し行うものであってもよい。言い換えれば、対象者Tは、例えば、対象画面SC1に含まれる第3部分図形OB3の振動の周波数と対象画面SC2に含まれる第4部分図形OB3aにおける振動の周波数とが一致するように、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数の調整を少しずつ進めるものであってもよい。
【0066】
また、対象者Tは、例えば、対象画面SC2の後に表示された対象画面SC3の表示が終了する前に、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数の入力を行うものであってもよい。
【0067】
その後、情報処理装置1は、S13の処理において、例えば、対象者Tが調整した振動の周波数の入力を受け付ける。そして、情報処理装置1は、S14の処理において、対象者Tによって入力された振動の周波数から対象者Tのアルファ波の周波数を推定する。
【0068】
これにより、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、脳波計等の機器を用いることなく、かつ、効率的にアルファ波の測定(推定)を行うことが可能になる。
【0069】
なお、上記の例では、対象図形OBが映る対象画面SC1と比較図形OBaが映る対象画面SC2とが異なる画面であり、対象画面SC1と対象画面SC2とが異なるタイミングにおいて出力装置に表示される場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、情報処理装置1は、例えば、第1の円の円周上に配置された1以上の対象図形OB(例えば、8つの対象図形OB)と、第2の円の円周上に配置された1以上の比較図形OBa(例えば、8つの比較図形OBa)とが同時に映る1つの対象画面(図示せず)を表示するものであってもよい。第2の円は、例えば、第1の円の内側に位置する円であってよいし、第1の円の外側(例えば、第1の円の横)に位置する円であってもよい。また、第2の円は、例えば、第1の円と同一の円であってよく、その同一の円周上において1以上の対象図形OBと1以上の比較図形OBaとがそれぞれ並ぶものであってもよい。そして、対象者Tは、例えば、表示された対象図形において、対象図形OBに含まれる第3部分図形OB3の振動の周波数と比較図形OBaに含まれる第4部分図形OB3aにおける振動の周波数とが可能な限り一致するように、第4部分図形OB3aにおける振動の周波数を調整するものであってもよい。
【0070】
また、上記の例では、対象者Tがスライドバー等を操作することによって第4部分図形OB3aにおける振動の周波数を調整する場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、情報処理装置1は、例えば、振動の周波数が互いに異なる第4部分図形OB3aを含む複数の対象画面SC2のそれぞれを繰り返し表示するものであってよい。そして、対象者Tは、例えば、繰り返し表示される複数の対象画面S2のそれぞれについて、対象画面SC1における第3部分図形OB3よりも振動の周波数が高いか否かについての判断結果を順次入力するものであってよい。その後、情報処理装置1は、例えば、複数の対象画面SC2のうち、対象者Tが第3部分図形OB3よりも振動の周波数が高いと判断した割合が所定値(例えば、50%)に最も近い対象画面SC2を特定するものであってよい。そして、情報処理装置1は、例えば、特定した対象画面SC2に含まれる第4部分図形OB3aにおける振動の周波数を、対象者Tによる判断結果として特定するものであってよい。
【0071】
[対象者が第3部分図形における振動の大きさを判断する場合の具体例]
次に、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の大きさを判断する場合の具体例について説明を行う。図10は、対象者Tが第3部分図形OB3における振動の大きさを判断する場合の具体例について説明を行う。以下、図6のフローチャート図において説明した各処理を適宜参照する。
【0072】
情報処理装置1は、S12の処理において、図10に示すように、例えば、図2で説明した対象画面SC1を出力装置に表示する。
【0073】
具体的に、情報処理装置1は、図10(A)に示すように、例えば、対象画面SC3を出力装置に数秒間(例えば、2秒間)表示する。そして、情報処理装置1は、図10(B)に示すように、例えば、対象画面SC1を出力装置に数秒間(例えば、4秒間)表示する。続いて、情報処理装置1は、図10(C)に示すように、例えば、対象画面SC3を出力装置に数秒間(例えば、2秒間)表示する。
【0074】
その後、図10(A)から図10(C)に示す各画面を見た対象者Tは、例えば、図10(B)に示す対象画面SC1に含まれる第3部分図形OB3の振動の大きさの判断結果を情報処理装置に対して入力する。
【0075】
具体的に、対象者Tは、例えば、図10(C)に示す対象画面SC3において、図10(B)に示す対象画面SC1に含まれる第3部分図形OB3の振動の大きさを入力する。
【0076】
さらに具体的に、対象者Tは、例えば、図10(C)に示す対象画面SC3において、第3部分図形OB3が振動していないと対象者Tが判断したことを示す判断結果(以下、第1結果とも呼ぶ)の入力を受け付ける第1入力ボタン(図示せず)と、第3部分図形OB3が小さく振動していると対象者Tが判断したことを示す判断結果(以下、第2結果とも呼ぶ)の入力を受け付ける第2入力ボタン(図示せず)と、第3部分図形OB3が大きく振動していると対象者Tが判断したことを示す判断結果(以下、第3結果とも呼ぶ)の入力を受け付ける第3入力ボタン(図示せず)とのうちのいずれかを押下する。
【0077】
すなわち、対象者Tは、例えば、図10(B)に示す対象画面SC1に含まれる第3部分図形OB3が振動しているか否かを判断するとともに、第3部分図形OB3の振動の大きさがどの程度であるかを判断する。そして、対象者Tは、例えば、図10(C)に示す対象画面SC3において、第1入力ボタン、第2入力ボタン及び第3入力ボタンのうち、第3部分図形OB3の振動の大きさについての判断結果に応じた入力ボタンを押下する。
【0078】
その後、情報処理装置1は、S13の処理において、例えば、対象者Tが押下した入力ボタンに対応する振動の大きさの入力を受け付ける。そして、情報処理装置1は、S14の処理において、対象者Tによって入力された振動の大きさから対象者Tのアルファ波の強さ(アルファ波の大きさ)を推定する。
【0079】
これにより、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、脳波計等の機器を用いることなく、かつ、効率的にアルファ波の測定(推定)を行うことが可能になる。
【0080】
さらに、情報処理装置1は、例えば、対象者Tにおいて発生したジター錯視の大きさを測定することによって、ジター錯視の周波数の測定を行う場合よりも容易に測定を行うことが可能になる。具体的に、ジター錯視の周波数の測定を行う場合、対象者Tは、例えば、対象画面SC1を繰り返し閲覧し、さらに、第3部分図形OB3における振動の周波数を繰り返し調整することが要求される場合がある。これに対し、ジター錯視の大きさの測定を行う場合、対象者Tは、例えば、対象画面SC1を1回閲覧し、さらに、第3部分図形OB3における振動の大きさを1回入力すれば足りる。そのため、情報処理装置1は、ジター錯視の大きさを測定する場合、例えば、ジター錯視の測定に要する対象者Tの負担を軽減させることが可能になる。したがって、情報処理装置1は、例えば、対象者Tの年齢や状態等に依らず、アルファ波の推定を行うことが可能になる。
【0081】
なお、上記の例では、対象者Tが選択可能な判断結果の選択肢が3つ(第1結果、第2結果及び第3結果)である場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、対象者Tが選択可能な判断結果の選択肢は、例えば、3つ以外の数であるものであってもよい。
【0082】
[第3部分図形における振動の大きさからアルファ波の強さを推定する場合の具体例]
次に、第3部分図形OB3における振動の大きさからアルファ波の強さを推定する場合の具体例について説明を行う。図11は、被験者による判断結果ごとの被験者のアルファ波の強さについての測定結果を示す図である。図11において、横軸は、被験者の脳波(アルファ波を含む)の周波数を示し、縦軸は、被験者の脳波についてのパワースペクトル(被験者の脳波の大きさ)を示している。具体的に、図11(A)は、被験者が図10(A)で説明した対象画面SC3を見ている時間(以下、刺激提示前とも呼ぶ)において脳波計(図示せず)によって測定された脳波の大きさを示す図である。また、図11(B)は、被験者が図10(B)で説明した対象画面SC1を見ている時間(以下、刺激提示中とも呼ぶ)において脳波計によって測定された脳波の大きさを示す図である。すなわち、図11(A)は、ジター錯視の測定を行う直前における脳波の大きさを示す図であり、図11(B)は、ジター錯視の測定が行われている場合における脳波の大きさを示す図である。
【0083】
なお、図11(A)及び図11(B)において、横軸が10Hz近辺である脳波の大きさがアルファ波の強さを示している。
【0084】
また、図11(A)が示すアルファ波の脳波(被験者が対象画面SC3を見ている時間における脳波の大きさ)は、図11(B)が示す脳波の大きさ(対象画面SC1を見ている時間における脳波の大きさ)よりも判断結果ごとの差異が大きい。そのため、以下、図11(A)における脳波の大きさを参照する場合について説明を行う。
【0085】
図11(A)において、グラフG1は、第3部分図形OB3における振動の大きさが第1結果(振動していない)であると判断された場合の被験者の脳波の大きさを示している。また、図11(A)において、グラフG2は、第3部分図形OB3における振動の大きさが第2結果(小さく振動している)であると判断された場合の被験者の脳波の大きさを示している。さらに、図11(A)において、グラフG3は、第3部分図形OB3における振動の大きさが第3結果(大きく振動している)である判断された場合の被験者の脳波の大きさを示している。
【0086】
すなわち、図11(A)は、例えば、第1結果に対応する被験者のアルファ波の強さ(10Hz近辺の脳波の強さ)が、第2結果に対応する被験者のアルファ波の強さよりも大きいことを示している。また、図11(A)は、例えば、第2結果に対応する被験者のアルファ波の強さが、第3結果に対応する被験者のアルファ波の強さよりも大きいことを示している。
【0087】
言い換えれば、図11(A)は、例えば、被験者によるジター錯視が小さいほど被験者のアルファ波が大きくなることを示している。
【0088】
そのため、情報処理装置1は、S14の処理において、例えば、S13の処理で入力を受け付けた判断結果が示す振動の大きさが大きいほど、対象者Tのアルファ波の強さとして小さい値を推定するものであってよい。また、情報処理装置1は、S14の処理において、例えば、S13の処理で入力を受け付けた判断結果が示す振動の大きさが小さいほど、対象者Tのアルファ波の強さとして大きい値を推定するものであってよい。
【0089】
具体的に、情報処理装置1は、例えば、S13の処理で入力を受け付けた判断結果が第1結果である場合、対象者Tのアルファ波の強さが第1の値であることを示す情報を推定結果として特定し、S13の処理で入力を受け付けた判断結果が第2結果である場合、対象者Tのアルファ波の強さが第1の値よりも小さい第2の値であることを示す情報を推定結果として特定するものであってよい。さらに、情報処理装置1は、例えば、S13の処理で入力を受け付けた判断結果が第3結果である場合、対象者Tのアルファ波の強さが第2の値よりも小さい第3の値であることを示す情報を推定結果として特定するものであってよい。
【0090】
[第1の実施の形態における妥当性判定処理]
次に、第1の実施の形態において対象者Tによる判断結果の妥当性の判定する処理(以下、妥当性判定処理とも呼ぶ)について説明を行う。
【0091】
例えば、対象者Tがアルファ波推定処理におけるジター錯視の測定(第3部分図形OB3についての振動の大きさの判断)に十分な時間をかけることができない場合、アルファ波推定処理(S13の処理)では、妥当性を欠く判断結果が対象者Tによって入力される可能性がある。そのため、情報処理装置1は、例えば、妥当性判定処理をアルファ波推定処理と併せて実行するものであってもよい。
【0092】
これにより、情報処理装置1は、例えば、アルファ波推定処理(S14の処理)において推定されたアルファ波の強さの推定結果のうち、妥当性が欠くと判断可能な推定結果を除外することが可能になる。また、情報処理装置1は、例えば、対象者Tによって入力された判断結果が妥当性を欠くものであることを対象者Tに通知することが可能になる。以下、妥当性判定処理を説明するフローチャート図について説明を行う。
【0093】
[第1の実施の形態における妥当性判定処理のフローチャート図]
図12は、第1の実施の形態における妥当性判定処理を説明するフローチャート図である。また、図13は、第1の実施の形態における妥当性判定処理を説明する図である。
【0094】
画面出力部111は、図12に示すように、例えば、判定タイミングになるまで待機する(S21のNO)。判定タイミングは、例えば、図6において説明した推定タイミングのうちの所定割合のタイミングであってよい。
【0095】
そして、判定タイミングになった場合(S21のYES)、画面出力部111は、例えば、情報格納領域130に記憶された対象画面SC2を出力装置に出力する(S22)。
【0096】
具体的に、画面出力部111は、この場合、例えば、図13(A)に示すように、対象画面SC3を出力装置に数秒間(例えば、2秒間)表示する。そして、情報処理装置1は、図13(B)に示すように、例えば、対象画面SC2(以下、第2画面とも呼ぶ)を出力装置に数秒間(例えば、4秒間)表示する。なお、対象画面SC2に含まれる第4部分図形OB3aは、この場合、振動していないものであってよい。その後、情報処理装置1は、図13(C)に示すように、例えば、対象画面SC3を出力装置に数秒間(例えば、2秒間)表示する。
【0097】
続いて、入力受付部112は、例えば、画面出力部111が出力した対象画面SC2を見た対象者Tが判断結果(以下、第2判断結果とも呼ぶ)を入力するまで待機する(S23のNO)。
【0098】
そして、対象者Tが入力した判断結果を受け付けた場合(S23のYES)、妥当性判定部115は、例えば、S23の処理で入力を受け付けた判断結果についての妥当性を判定する(S24)。
【0099】
具体的に、S21の処理で出力した比較図形OBaに含まれる第4部分図形OB3aが振動していない場合、妥当性判定部115は、例えば、S23の処理で入力を受け付けた判断結果が第1結果であるか否かを判定する。
【0100】
そして、妥当性出力部116は、例えば、S24の処理で判定した判定結果を他の情報処理装置に出力する(S25)。
【0101】
具体的に、S21の処理で出力した比較図形OBaに含まれる第4部分図形OB3aが振動していない場合において、S13の処理で入力を受け付けた判断結果が第1結果であると判定した場合、妥当性出力部116は、例えば、対象者Tが入力した判断結果が妥当であることを示す判定結果を出力する。一方、S21の処理で出力した比較図形OBaに含まれる第4部分図形OB3aが振動していない場合S13の処理で入力を受け付けた判断結果が第1結果でないと判定した場合、妥当性出力部116は、例えば、対象者Tが入力した判断結果が妥当でないことを示す判定結果を出力する。
【0102】
すなわち、対象者Tが見た第4部分図形OB3aが振動していない場合であって、かつ、対象者Tによるジター錯視の測定が適切に行われている場合、対象者Tは、第4部分図形OB3aが振動していないと判断するものと考えられる。そのため、妥当性判定部115は、例えば、S21の処理において対象画面SC2が出力された場合において、S23の処理で入力を受け付けた判断結果が第1結果である場合、対象者Tによるジター錯視の測定が適切に行われていると判定する。一方、妥当性判定部115は、例えば、S21の処理において対象画面SC2が出力された場合において、S23の処理で入力を受け付けた判断結果が第1結果以外の判断結果(第2結果や第3結果)である場合、対象者Tによるジター錯視の測定が適切に行われていないと判定する。
【0103】
これにより、情報処理装置1は、例えば、アルファ波推定処理とともに、対象者Tによるジター錯視の測定が適切に行われているか否かについての判定についても行うことが可能になる。
【0104】
なお、上記の例では、S22の処理において、第4部分図形OB3aが振動していない比較図形OBaを含む対象画面SC2を出力装置に出力する場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、画面出力部111は、例えば、第4部分図形OB3aが振動している比較図形OBaを含む対象画面SC2(以下、第3画面とも呼ぶ)を出力装置に出力するものであってもよい。そして、妥当性判定部115は、この場合、例えば、S23の処理で入力を受け付けた判断結果(以下、第3判断結果とも呼ぶ)が第2結果または第3結果であるか否かを判定するものであってよい。
【0105】
このように、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、第1色の部分図形OB3を一部に含む図形であって部分図形OB3以外の部分が第1色と異なる第2色である対象図形OBが、所定の円の円周の少なくとも一部に沿って移動する対象画面SC1を生成する。そして、情報処理装置1は、例えば、生成した対象画面SC1を情報処理装置1の出力装置(図示せず)に出力する。
【0106】
その後、情報処理装置1は、例えば、対象者Tによる部分図形OB3の振動状況についての判断結果の入力を受け付ける。そして、情報処理装置1は、例えば、入力を受け付けた判断結果に基づいて、対象者Tのアルファ波の振動状況を推定する。さらに、情報処理装置1は、例えば、推定したアルファ波の振動状況を示す情報を出力する。
【0107】
すなわち、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、非特許文献1における場合(対象図形が水平に移動する場合)と異なり、対象画面上において対象図形が円を描くように移動する。そのため、情報処理装置1は、例えば、対象図形が描く円の中心を注視点として設定することにより、注視点から対象図形(部分図形)までの距離を常に一定にすることが可能になる。そのため、情報処理装置1は、例えば、部分図形における振動の見易さを向上させることが可能になり、部分図形において振動が発生していると対象者Tが認識するまでに要する時間を短縮(安定化)させることが可能になる。
【0108】
これにより、情報処理装置1は、例えば、ジター錯視の測定を効率的に行うことが可能になり、アルファ波の周波数の推定を効率的に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0109】
1:情報処理装置
10:情報処理システム
101:CPU
102:メモリ
103:通信インタフェース
104:記憶媒体
105:バス
110:プログラム
111:画面出力部
112:入力受付部
113:振動推定部
114:結果出力部
115:妥当性判定部
116:妥当性出力部
130:情報格納領域
OB:対象図形
OBa:対象図形
OB1:第1部分図形
OB2:第2部分図形
OB3:第3部分図形
OB3a:第4部分図形
SC1:対象画面
SC1a:対象画面
SC1b:対象画面
SC2:対象画面
IN1:入力画面
IN2:入力画面
IN3:入力画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13