(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173572
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置及びトナー回収方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20241205BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G03G15/02 103
G03G15/02 102
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141106
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2023090031
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】河崎 明博
(72)【発明者】
【氏名】松野 泰英
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】加來 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】松岡 興我
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200FA02
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA42
2H200GA49
2H200GA50
2H200GB22
2H200GB32
2H200GB37
2H200HA04
2H200HA29
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JC04
2H200LB03
2H200LB08
2H200LB12
2H200LB38
2H200LB39
2H200MA04
2H200MB01
2H200NA02
2H200NA03
2H200NA06
2H200NA09
2H200PA03
2H200PA10
2H200PA18
2H270KA09
2H270KA26
2H270LA76
2H270MA02
2H270MH13
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】帯電部材に付着したトナーを回収する回収部材からのトナー落ちや帯電部材の帯電不良による異常画像を抑制できるクリーナーレス方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体、帯電部材、回収部材、現像手段を有し、前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えない画像形成装置である。回収部材は、前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能である。前記現像手段は、前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収可能である。画像印字中、転写残トナーのうち画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記回収部材に移動させる第1の回収処理を行い、非画像印字中、前記回収部材に保持されたトナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記像担持体に移動させ、更にトナーを前記像担持体から前記現像手段に移動させる第2の回収処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な回収部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有する画像形成装置であって、
前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段は、前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記回収部材に移動させる第1の回収処理を行い、
非画像印字中、前記回収部材に保持されたトナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記像担持体に移動させ、更にトナーを前記像担持体から前記現像手段に移動させる第2の回収処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像印字中、前記第1の回収処理を行うとともに、前記像担持体上の前記正規帯電トナーを前記現像手段に回収させる処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の回収処理を所定の回数繰り返す
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の回収処理を繰り返す際、繰返し回数が増えるにつれて前記回収部材に印加する電圧の絶対値を増やしていく
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収部材は、導電性の繊維を有するブラシローラである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の回収処理において、トナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させる期間は、前記帯電部材の3回転以上の期間である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーは、非磁性一成分トナーであり、平均円形度が0.959以下の粉砕トナーである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回収部材に付着したトナー量が、9.0mg/cm2以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2の回収処理における前記回収部材の回転速度は、前記第1の回収処理における前記回収部材の回転速度よりも速い
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記回収部材は、少なくとも前記第2の回収処理において、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2の回収処理における前記帯電部材から前記像担持体に移動させたトナーのうち、前記正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記正規帯電トナーと同じ極性に帯電させる補助帯電部材を有し、
前記補助帯電部材は、前記像担持体の回転方向における前記帯電部材よりも下流側であって前記現像手段よりも上流側で、前記正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記正規帯電トナーと同じ極性に帯電させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1の回収処理において、前記回収部材に印加される電圧は、前記帯電部材に印加される電圧に対して-150V以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2の回収処理において、前記回収部材に印加される電圧は、前記帯電部材に印加される電圧に対して+50V以上である
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
下記のようにして測定されるトナーの付着量差が0.05mg/cm2以下となるように、前記第1の回収処理における、前記帯電部材に印加される電圧に対する前記回収部材に印加される電圧と、前記第2の回収処理における、前記帯電部材に印加される電圧に対する前記回収部材に印加される電圧とを定める
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
[測定]
縦帯部と白紙部を有する縦帯チャートを2000枚形成した後に、前記帯電部材における前記縦帯部に相当する部分のトナー付着量と、前記白紙部に相当する部分のトナー付着量との差を求める。
【請求項15】
画像形成装置が行うトナー回収方法であって、
前記画像形成装置は、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な導電性回転部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有するとともに、前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収させることが可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち、正規帯電トナーではない逆帯電トナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記導電性回転部材に移動させる第1の回収工程を行い、
非画像印字中、前記導電性回転部材に保持されたトナーを前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記像担持体にトナーを移動させ、更に前記像担持体から前記現像手段にトナーを移動させる第2の回収工程を行う
ことを特徴とするトナー回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びトナー回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、帯電ローラ等の帯電部材により感光体(像担持体)を帯電させ、現像手段によりトナーを感光体に供給し、感光体上のトナーを記録媒体又は中間転写体に転写することが知られている。
【0003】
従来の技術では、例えば感光体上に付着しているトナーをクリーニングブレード等のクリーニング手段で清掃することが知られている。近年、装置の小型化等の観点から、感光体のクリーニングを専用に行うクリーニング手段を備えない、いわゆるクリーナーレス方式が提案されている。
【0004】
特許文献1では、転写残トナーの回収性と帯電均一性を高水準で両立することを目的として以下のような電子写真装置を提案している。
特許文献1では、電子写真感光体に当接して直流電圧を印加し電子写真感光体を帯電する帯電ローラを用い、帯電ローラの周速が電子写真感光体の周速より速くなるようにする。また、現像手段は、トナーを供給することに加え、転写残トナーを回収する。また、電子写真感光体を所定の層構成にする。
特許文献1によれば、電子写真感光体と帯電ローラの間に周速差を設けることで、転写残トナーが現像手段で回収されやすくなり、均一な放電が可能になるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクリーナーレス方式の画像形成装置の場合、帯電ローラに付着した転写残トナーを除去する手段がない。帯電ローラが転写残トナーで汚れると帯電不良により異常画像が発生してしまう。これに対して、例えばブラシ清掃部材を設けて帯電ローラを清掃することが考えられる。しかし、ブラシ清掃部材を設けて帯電ローラを清掃するようにした場合、経時にてブラシ清掃部材にトナーが蓄積する。ブラシ清掃部材にトナーが蓄積すると、帯電ローラの清掃能力が低下し、帯電不良が生じる。この他にも、ブラシ清掃部材にトナーが蓄積すると、ブラシ清掃部材から感光体にトナーが落下するトナー落ちが発生する。帯電不良やトナー落ちが発生すると、異常画像が発生してしまう。
【0006】
そこで本発明は、帯電部材に付着したトナーを回収する回収部材からのトナー落ちや帯電部材の帯電不良による異常画像を抑制できるクリーナーレス方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な回収部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有する画像形成装置であって、
前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段は、前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記回収部材に移動させる第1の回収処理を行い、
非画像印字中、前記回収部材に保持されたトナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記像担持体に移動させ、更にトナーを前記像担持体から前記現像手段に移動させる第2の回収処理を行う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帯電部材に付着したトナーを回収する回収部材からのトナー落ちや帯電部材の帯電不良による異常画像を抑制できるクリーナーレス方式の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を説明するための概略図である。
【
図2】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための概略図である。
【
図3A】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための概略図である。
【
図3B】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための概略図である。
【
図4】実施例1を説明するためのタイムチャートである。
【
図5】実施例2を説明するためのタイムチャートである。
【
図6】実施例1、2、比較例1における回収ブラシの汚れ量の推移について評価を行った結果である。
【
図7】実施例1、2におけるトナー落ちについて経時評価を行った結果である。
【
図8】実施例3に係る画像形成装置を説明するための概略図である。
【
図9】実施例4におけるブラシ汚れ量の評価を行った結果である。
【
図10】縦帯チャートを説明するための平面図である。
【
図11】回収ブラシの回収バイアスと吐き出しバイアスの一例を説明するためのタイムチャートの一例である。
【
図12】実施例5におけるブラシ汚れの評価を行った結果である。
【
図13】実施例6における帯電ローラの汚れ差の評価を行った結果である。
【
図14】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための概略図である。
【
図15】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための概略図である。
【
図16】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための概略図である。
【
図17】画像形成ユニットを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置及びトナー回収方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の画像形成装置は、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な回収部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有する画像形成装置であって、
前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段は、前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記回収部材に移動させる第1の回収処理を行い、
非画像印字中、前記回収部材に保持されたトナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記像担持体に移動させ、更にトナーを前記像担持体から前記現像手段に移動させる第2の回収処理を行う
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、クリーナーレス方式の画像形成装置が行うトナー回収方法が提供される。
本発明のトナー回収方法は、画像形成装置が行うトナー回収方法であって、
前記画像形成装置は、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な導電性回転部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有するとともに、前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収させることが可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち、正規帯電トナーではない逆帯電トナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記導電性回転部材に移動させる第1の回収工程を行い、
非画像印字中、前記導電性回転部材に保持されたトナーを前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記像担持体にトナーを移動させ、更に前記像担持体から前記現像手段にトナーを移動させる第2の回収工程を行う
ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、クリーナーレス方式の画像形成装置が行う画像形成方法が提供される。
本発明の画像形成方法は、画像形成装置が行う画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な導電性回転部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有するとともに、前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収させることが可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち、正規帯電トナーではない逆帯電トナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記導電性回転部材に移動させる第1の回収工程を行い、
非画像印字中、前記導電性回転部材に保持されたトナーを前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記像担持体にトナーを移動させ、更に前記像担持体から前記現像手段にトナーを移動させる第2の回収工程を行う
ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、クリーナーレス方式の画像形成装置において、帯電部材に付着したトナーを回収する回収部材からのトナー落ちや帯電部材の帯電不良による異常画像を抑制することができる。以下、主に第1の回収処理、第2の回収処理について説明しているが、第1の回収工程、第2の回収工程は、第1の回収処理、第2の回収処理と同様の工程とすることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置の一実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置では、像担持体上に残留した転写残トナーを現像手段により回収している。本実施形態の画像形成装置は、像担持体(静電潜像担持体、感光体などとも称する)をクリーニングするクリーニング手段(例えばクリーニングブレード)を用いない構成にしている。この場合、装置の小型化等の利点がある。
【0016】
以下、像担持体をクリーニングするクリーニング手段を用いない方式をクリーナーレス方式とも称することがある。ただし、帯電部材をクリーニングする手段、中間転写ベルトをクリーニングする手段を備えていてもよく、これらの手段を備える場合でもクリーナーレス方式に含まれるものとする。
【0017】
まず、クリーナーレス方式の画像形成装置の基本構成について
図1を用いて説明する。
図1は、画像を形成する処理の一例を説明する図である。なお、本発明の画像形成装置の各手段の詳細例は後述する。また、帯電部材としては、例えば帯電ローラを用いることができ、以下の説明では帯電ローラを例に挙げて説明している。
【0018】
まず帯電ローラ160は、像担持体としての感光体ドラム10を一様に帯電させる。本例の帯電ローラ160は、感光体ドラム10と当接するように配置され、例えば直流電圧を感光体ドラム10に印加する。本例における帯電は、接触式DC帯電方式としている。
【0019】
露光装置21は、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、感光体ドラム10に静電潜像を形成する。露光装置21としては、特に制限されるものではないが、例えばLEDを用いる。
【0020】
現像ローラ72は、現像装置61(現像手段)が備える現像剤担持体の一例である。現像ローラ72は、印加手段により現像バイアスが印加されて、トナー200を感光体ドラム10に供給する。これにより、感光体ドラム10上にトナー像(可視像とも称する)が形成される。印加手段としては、例えば制御部110により制御される電源111が挙げられる。
【0021】
現像装置61は、例えば攪拌ローラ73を有しており、現像装置61内でトナーを攪拌してもよい。攪拌ローラ73の回転方向は、適宜選択することができ、また現像ローラ72と接触してもよいし、非接触でもよい。
【0022】
転写ローラ62は、感光体ドラム10上のトナー像を記録紙105に転写する。除電ランプ64は、感光体ドラム10の電位を除電する。例えば除電光QLを照射して除電する。
【0023】
上記の構成がクリーナーレス方式の画像形成装置の基本構成である。このような装置では、転写工程の後に、感光体ドラム10をクリーニングするクリーニンググレード等のクリーニング手段を備えていない。
【0024】
特に制限されるものではないが、
図1に示す例では、例えば、現像ローラ72に-300Vが印加され、帯電ローラ160に-1200Vが印加される。例えば、感光体ドラム10は、除電されることで表面が-50V程度になり、帯電されることで表面が-500V程度になる。
【0025】
本実施形態の画像形成装置は、帯電ローラ160上のトナーを回収する回収ブラシ161(回収部材)を備えている。本実施形態で用いる回収ブラシ161は、導電性の繊維を有するブラシローラである。回収ブラシ161をブラシローラ、導電性ブラシなどと称することがある。本実施形態では、回収ブラシ161を導電性のブラシローラとしており、このようにすることでトナーを回収しやすくなり、またトナーの移動を制御しやすくなる。
【0026】
ここで、
図1に示す例におけるトナーの流れの一例について説明する。説明のために、トナーの位置や状態によって図中のトナーの符号(トナーの帯電極性)を変えている。現像ローラ72は、トナー200を担持し、現像ローラ72に担持されたトナー200が感光体ドラム10に供給される。感光体ドラム10に供給されたトナーは、静電潜像に応じてトナー像(可視像)を形成する(トナー201)。感光体ドラム10上のトナー201は、記録紙105に転写される。記録紙105に転写されたトナー202は、後の工程で記録紙105に定着される。
【0027】
転写工程で転写されなかったトナーは、転写残トナー203として感光体ドラム10上に残留する。除電工程を経た後、転写残トナー203は、感光体ドラム10と帯電ローラ160の当接箇所(もしくは近傍)で帯電ローラ160に付着する。転写残トナー203のうち、帯電ローラ160に付着しないトナー206も存在し、このトナー206は感光体ドラム10上に残留したままとなる。このトナー206は、後述のように、現像ローラ72により回収される。
【0028】
次に、クリーナーレス方式の画像形成装置における転写残トナーの回収方法の一例について
図2、
図3A、
図3Bを用いて説明する。
【0029】
図2は、
図1の後の状態を説明するための模式図であり、印字中(画像形成中、画像印字中とも言う)の処理の一例を模式的に説明するための図である。印字中としては、例えば、印字を行うための露光を行っている期間が挙げられ、この他にも、印字を行うための露光を開始してから転写を行うまでの期間が挙げられる。そのため、印字中には、例えば、記録紙にトナーを転写する準備を行う処理、記録紙にトナーを転写する処理が含まれる。また、印字とは、文字に限らず、記号や絵、パターンなどの画像を形成することを含む。
【0030】
図1で説明したように、転写工程で転写されなかったトナーは、転写残トナー203として感光体ドラム10上に残留する。
図2中、転写ローラ62の下流側に、感光体ドラム10上に転写残トナー203が残留していることが図示されている。
【0031】
前の記録紙105に対して転写を行った後、除電ランプ64により感光体ドラム10の表面が除電される。これにより、帯電ローラ160と感光体ドラム10との間の電位差が広がり、帯電前に帯電ローラ160と感光体ドラム10との間で放電が発生する。図中、放電を模式的に図示している。
【0032】
帯電前の放電により、転写残トナー203はマイナスに帯電する。転写残トナー203においては、帯電前の放電により、例えばマイナスに帯電するもの、微少なプラスに帯電したままのものが存在する。微少なプラスのままの転写残トナー203は、帯電ローラ160と感光体ドラム10が当接する箇所(もしくは近傍)で帯電ローラ160に付着する。帯電ローラ160に付着したトナーは、トナー204として図示している。
【0033】
なお、図中の矢印aは、感光体ドラム10上の転写残トナー203が帯電ローラ160に付着することを模式的に図示している。感光体ドラム10上の転写残トナー203が帯電ローラ160に付着することを、移動するなどと称してもよい。
【0034】
本例の画像形成装置は、帯電ローラ160に付着したトナーを回収する回収ブラシ161を有している。帯電ローラ160に付着したプラスのトナー204は、回収ブラシ161により回収される。図中の矢印bは、帯電ローラ160上のトナー204が回収ブラシ161により回収されることを模式的に図示している。帯電ローラ160上のトナー204が回収ブラシ161により回収されることを、移動するなどと称してもよい。
【0035】
回収ブラシ161には回収バイアスが印加される。回収バイアスの値としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。
【0036】
感光体ドラム10上の転写残トナー203のうち、マイナスに帯電したトナーは、帯電ローラ160に付着せず、感光体ドラム10上に残留したままとなる。このトナーは、トナー206として図示している。なお、トナー203とトナー206はどちらも転写残トナーである。
【0037】
感光体ドラム10上に残留したトナー206は、現像ローラ72により回収される。現像ローラ72により回収されたトナーは、トナー208として図示している。現像ローラ72により回収されることを、移動するなどと称してもよい。感光体ドラム10と現像ローラ72との間を通過するトナー206は、感光体ドラム10と現像ローラ72との電位差により現像ローラ72側に移動する。図中の矢印cは、感光体ドラム10上のトナー206が現像ローラ72により回収されることを模式的に図示している。
【0038】
上記のように現像ローラ72で回収するには、特に制限されるものではないが、例えば各部材の電位を調整する方法が挙げられる。一例としては例えば、除電後の感光体ドラム10の表面を-50V、帯電ローラ160を-1100V、回収ブラシ161を-1300V、帯電後の感光体ドラム10の表面を-500V、現像ローラ72を-300Vにすることが挙げられる。
図2では、この例となるように電位を図示しているが、これに限られるものではない。
【0039】
次に、
図3Aと
図3Bを用いて、装置立下げ時のトナーの動きと、トナー回収の一例について説明する。ここで、装置立下げ時とは、後述の非画像印字中の一部であり、印字(画像形成動作)の終了後に行う所定の動作を行う期間である。
【0040】
図2で説明したように、帯電前の放電時にマイナスにならかったプラスの転写残トナー203(トナー206も同様)は、帯電ローラ160に付着し、回収ブラシ161に回収される。印字中は、この回収が繰り返されるため、プラスに帯電したトナー207が回収ブラシ161に蓄積する。
【0041】
装置立下げ時には、回収ブラシ161と帯電ローラ160との電位差を調整し、微少なプラスに帯電したトナー207を帯電ローラ160側に移動させる。これを図中の矢印dで示している。
【0042】
帯電ローラ160に移動したトナー205は、帯電ローラ160と感光体ドラム10との電位差により、感光体ドラム10に移動する。これを図中の矢印eで示している。この移動したトナーは、図中、トナー209として示している。なお、装置立下げ時には、除電ランプ64による感光体ドラム10の除電が行われないため、これを考慮して帯電ローラ160と感光体ドラム10の電位差を調整する。
【0043】
感光体ドラム10上のプラスに帯電したトナー209は、現像ローラ72に回収されず、そのまま現像ローラ72を通過する。さらに、トナー209は転写ローラ62を通過する。このように、装置立下げ時には、感光体ドラム10上に、プラスに帯電したトナー209が存在することになる。
【0044】
図2、
図3A、
図3Bにおいて、感光体ドラム10上には、トナー203、206、209が図示されている。これらは全て転写残トナーとして考慮される。トナー209は、転写残トナー203が回収ブラシ161に回収された後、再度、感光体ドラム10上に移動したものであるが、このようなトナーも転写残トナーに含めてよい。
【0045】
図3Aに示す例のようにトナーが移動するには、特に制限されるものではないが、例えば各部材の電位を調整する方法が挙げられる。例えば、回収ブラシ161の電位を-150V、帯電ローラ160の電位を-350V、感光体ドラム10の表面の電位を-500V、現像ローラ72の電位を+250Vにすることが挙げられる。
図3Aでは、この例となるように電位を図示しているが、これに限られるものではない。
【0046】
次に、装置立下げにおいて、感光体ドラム10上のトナーが回収されることについて
図3Bを用いて説明する。
図3Bは
図3Aの続きである。
【0047】
図示するように、所定のタイミングで除電ランプ64により感光体ドラム10の除電を行う。除電を行うことにより、帯電ローラ160と感光体ドラム10との間の電位差が広がり、帯電ローラ160と感光体ドラム10との間で放電が発生する。図中、放電を模式的に図示している。なお、図示する除電は、画像形成のために行う除電ではなく、トナー回収のために行う除電である。
【0048】
上記の放電により、トナー209はマイナスに帯電する。なお、
図2と同様に、トナー209のうち、マイナスに帯電されず、プラスに帯電したままのトナーについては、帯電ローラ160に付着し、回収ブラシ161により回収される(図中の矢印g、h)。
【0049】
上記の放電によりマイナスに帯電したトナー209は、帯電ローラ160に移動せずに感光体ドラム10上に留まる。そして、マイナスに帯電したトナー209は、現像バイアスが印加された現像ローラ72により回収される(図中の矢印i)。現像ローラ72により回収されたトナーは、図中、トナー208として示している。
【0050】
図3Bに示す例のようにトナーが移動するには、特に制限されるものではないが、例えば各部材の電位を調整する方法が挙げられる。例えば、回収ブラシ161の電位を-1300V、帯電ローラ160の電位を-1100V、除電後の感光体ドラム10の表面を-50V、感光体ドラム10の表面の電位を500V、現像ローラ72の電位を-300Vにすることが挙げられる。
図3Bでは、この例となるように電位を図示しているが、これに限られるものではない。
【0051】
各部材の電位の調整は、例えば制御部110が行う。制御部110は、例えば電源111を制御し、感光体ドラム10、転写ローラ62、現像ローラ72、帯電ローラ160、回収ブラシ161などの電位を調整する。制御部110は、コントローラなどと称してもよく、CPU等を有する。なお、
図1では制御部110を図示しており、
図2等では制御部110の図示を省略している。
【0052】
転写残トナーを移動させるために各部材(少なくとも回収ブラシ161(回収部材))に印加する電圧は、直流電圧に限らず、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧としてもよい。このような重畳した電圧にする場合、転写残トナーが振動して移動しやすくなる効果が得られる。回収ブラシ161は、少なくとも第2の回収処理において、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加されることが好ましい。この場合、回収ブラシ161から転写残トナーをより移動させやすくなる。
【0053】
本実施形態の画像形成装置では、上記のようなクリーナーレス方式を採用することができる。上記のようなクリーナーレス方式は、トナーの帯電特性を制御し、各プロセスで電界にてトナーを移動させて回収する方法である。これにより、帯電ローラ160、及び回収ブラシ161のトナー汚れを防止している。
【0054】
(実施例1)
次に、本実施形態の実施例1について、上記の説明も参照しつつ更に説明する。
上記説明したように、現像装置61(現像手段)は、感光体ドラム10上に残留した転写残トナーを回収可能である。現像装置61がトナーを回収する際には、感光体ドラム10から現像ローラ72にトナーを移動させる。本実施形態では、現像装置61がトナーを回収すると記載する場合もあり、現像ローラ72がトナーを回収すると記載する場合もあるが、両者は同じ意味である。
【0055】
現像ローラ72によるトナーの回収は、画像印字中に行ってもよいし、非画像印字中に行ってもよい。現像ローラ72によるトナーの回収は、例えば
図2の矢印c、
図3Bの矢印iに示されている。
【0056】
本実施形態では、画像印字中、画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを感光体ドラム10から帯電ローラ160に移動させ、更にトナーを帯電ローラ160から回収ブラシ161に移動させる第1の回収処理を行う。第1の回収処理は、例えば
図2の矢印a、bに示されている。例えば制御部110が各部材を制御し、第1の回収処理が行われる。
【0057】
転写残トナーのうち画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーについて補足する。
図1に示すように、本実施形態では、画像印字に用いられる感光体ドラム10上のトナーは負に帯電している。図示するように、感光体ドラム10上のトナー201は負に帯電しており、負に帯電したトナー201が記録紙105に転写される。画像印字に用いられるトナーを正規帯電トナーと称したとき、本実施形態では、正規帯電トナーは負に帯電している。そのため、第1の回収処理において、感光体ドラム10から帯電ローラ160に移動するトナーは、正に帯電したトナーになる。
図1では、画像印字中、正に帯電したトナー204が感光体ドラム10から帯電ローラ160に移動することが図示されている。
【0058】
本実施形態では、正規帯電トナーは負に帯電されているが、正に帯電させてもよい。この場合、第1の回収処理では、負に帯電したトナーが感光体ドラム10から帯電ローラ160に移動し、更にトナーが帯電ローラ160から回収ブラシ161に移動することになる。
【0059】
第1の回収処理を行い、帯電ローラ160のトナーを回収ブラシ161で回収することにより、帯電ローラ160の汚れを防止し、帯電不良による異常画像を抑制することができる。
【0060】
本実施形態では、非画像印字中、回収ブラシ161に保持されたトナーを回収ブラシ161から帯電ローラ160に移動させ、更にトナーを帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させ、更にトナーを感光体ドラム10から現像ローラ72に移動させる第2の回収処理を行う。第2の回収処理は、例えば
図3Aの矢印d、e、
図3Bの矢印iに示されている。例えば制御部110が各部材を制御し、第2の回収処理が行われる。
【0061】
第2の回収処理を行い、回収ブラシ161からトナーを移動させることにより、回収ブラシ161に保持されるトナーを低減することができる。このため、回収ブラシ161を清浄な状態にすることができ、回収ブラシ161からトナーが感光体ドラム10に落ちること(トナー落ちとも称する)を抑制することができる。
【0062】
また、第2の回収処理では、回収ブラシ161から移動させたトナーを、帯電ローラ160、感光体ドラム10、現像ローラ72の順に移動させて回収している。これにより、回収ブラシ161から移動させたトナーが帯電ローラ160、感光体ドラム10に留まることを防止でき、帯電ローラ160、感光体ドラム10のトナー汚れを防止できる。
【0063】
従って、本実施形態によれば、上記のようにトナーの移動を制御することで、転写残トナーの回収、帯電ローラ160の帯電不良の防止、回収ブラシ161の清浄化、トナー落ちの防止などの効果が得られる。このため本実施形態では、クリーナーレス方式の実現により装置を小型化できるとともに、異常画像を抑制することができる。
【0064】
第2の回収処理を行うタイミングとしては、非画像印字中であればよく、適宜選択することができる。例えば、画像印字後に装置を停止させるまでの装置立下げ動作時に行うことができる。装置立下げ動作時に第2の回収処理を行う場合、第2の回収処理の後に画像印字を行わないため、ユーザが画像印字の終了を待たされることを防止できる。
【0065】
一方で、回収ブラシ161を十分に清掃するためには、第2の回収処理の時間が長くなる場合がある。このため、装置立下げ動作時に第2の回収処理を行う場合、第2の回収処理の時間が長いと、装置の立ち下げにかかる時間が長くなる場合がある。そのため、第2の回収処理を行うタイミングとしては、画像印字が長期に行われていない場合であり、かつ所定の間隔の間隔で行うようにしてもよい。
【0066】
また例えば、装置立下げ時に第2の回収処理を行う場合、装置立下げ時における第2の回収処理の処理時間を短くし、その他のタイミングで第2の回収処理を行う場合にはそのときの第2の回収処理の処理時間を長くするなどの制御を行ってもよい。なお、第2の回収処理の処理時間は、例えば後述の
図5における繰り返し回数の回数などにより処理時間が異なる。
【0067】
非画像印字中とは、画像印字中以外の期間をいう。本実施形態では、非画像印字中、第2の回収処理を行うとしているが、非画像印字中の全ての期間で第2の回収処理を行う必要はない。非画像印字中におけるどこかの一期間で第2の回収処理を行えばよい。第1の回収処理についても同様に、画像印字中の全ての期間で行う必要はなく、画像印字中におけるどこかの一期間で第1の回収処理を行えばよい。
【0068】
次に、本実施形態における制御の一例について、
図4のタイミングチャートを用いて説明する。
図4のタイミングチャートでは、横軸を時間としており、各部材を縦方向に並べている。また、各部材については、各部材の電位もしくはON/OFFを示している。各部材の制御については、例えば制御部110が行う。
【0069】
なお、(c)回収ブラシの電位において、表示される値は、帯電ローラ160に対する値であり相対値である。そのため、回収ブラシの「-200V」は、帯電ローラ160の電位よりも200V低いことを表す。
【0070】
図中、t1~t2のところでは、(a)露光をONにしている。つまり、t1~t2では、露光装置21により感光体ドラム10に対する露光が行われている。露光をONにする操作は、
図1でも説明している。
【0071】
本例では、t1~t2のところ、つまり、露光をONにしているところを印字中としている。この印字中とあるのは、上記の画像印字中に該当する。下記で説明するように、本例では、t1~t2のところで例えば
図2に示す第1の回収処理が行われる。なお、本実施形態において、印字中(画像印字中)はt1~t2に限られず、t1~t3等であってもよい。つまり、露光をONにしている期間だけでなく、転写工程を行う時点までを印字中(画像印字中)としてもよい。そのため、第1の回収処理が行われる期間は、t1~t2の期間に限られず、t1~t3の期間等であってもよい。
【0072】
再度説明する。画像印字中(印字中)としては、例えば、画像形成を行うための露光を行っている期間が挙げられ、この他にも、画像形成を行うための露光を開始してから転写を行うまでの期間が挙げられる。
【0073】
t1~t2の期間において、(c)回収ブラシは、(b)帯電ローラよりも200V低い電圧を印加する。この期間では、(b)帯電ローラを-1100Vの電位にしているため、回収ブラシ161の電位は-1300Vになる。
【0074】
このように、(b)帯電ローラの電位を-1100Vにし、(c)回収ブラシの電位を-1300Vにすることは、
図2にも図示されている。このため、転写残トナー203のうち、プラスに帯電したトナーが帯電ローラ160に回収され、更に回収ブラシ161に回収される。これは、
図2中、符号204、207のトナーとして表されており、図中の矢印a、bで表されている。このようにして第1の回収処理を行うことができる。なお、
図2中の矢印a~c等と、
図4中の(a)~(f)等は特に関連するものではない。
【0075】
t1~t2では、(d)現像ローラの電位を-300Vにしており、転写残トナーが現像ローラ72に回収される。これは、
図2中、矢印cで表されている。つまり、本例では、画像印字中、前記第1の回収処理を行うとともに、感光体ドラム10上の正規帯電トナーを現像ローラ72に回収させる処理を行っている。これにより、感光体ドラム10の転写残トナーを更に回収でき、より清浄な状態にすることができる。
【0076】
t2では、(a)露光をOFFにしており、印字のための露光が終了する。t2~t3では、感光体ドラム10上の正規帯電トナー(印字トナーなどと称してもよい)が記録紙105に転写される。なお、t2~t3は、露光された位置が転写の位置まで至る期間(距離としてもよい)である。
【0077】
t3の時点で転写が終了し、t3~t4では、転写クリーニングを実施する。転写クリーニングは、転写ローラ62のクリーニングを行う。なお、本実施形態において転写クリーニングは任意の工程である。転写クリーニングを行うことで、転写ローラ62に付着したトナーを除去することができ、異常画像をより抑制できる。また、本例におけるt3では、(e)転写ローラの電位を正から負に切り替えている。電位の値は、適宜選択できる。
【0078】
t4は、転写クリーニングが終了した時点である。転写クリーニングが終了した後、第2の回収処理を行う。以下、第2の回収処理の一例について説明する。
【0079】
転写クリーニングが終了した後、t6の時点で(f)除電ランプをOFFにする。除電ランプ64をOFFにすることで、感光体ドラム10の表面電位が除電されないことになるため、感光体ドラム10の表面電位が-500Vで維持される。
【0080】
なお、t4~t6の期間は、転写の位置から帯電ローラ160の位置まで移動する時間(距離)に相当する。
【0081】
t6では、除電ランプ64のOFFと同時に、(b)帯電ローラの電位を-350Vにする。本例では、(b)帯電ローラの電位を-350Vにする前に、(c)回収ブラシを(b)帯電ローラよりも高い電位にする。つまり、t5の時点で(c)回収ブラシの電位を+200V(相対値)にしており、その後のt6の時点で(b)帯電ローラの電位を-350Vにしている。
【0082】
本例では、t5(t6としてもよい)~t8(t9としてもよい)の区間において、感光体ドラム10の電位を-500Vとし、帯電ローラ160の電位を-350Vとし、回収ブラシ161の電位を-150Vとしている。この電位の関係は、
図3Aに示す例と同じである。これにより、
図3A中の矢印d、eに示すように、回収ブラシ161に保持されたトナーを回収ブラシ161から帯電ローラ160に移動させ、更にトナーを帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させることができる。
【0083】
t5のタイミング、つまり(c)回収ブラシの電位を変更するタイミングとしては、適宜選択することができる。図中、(c)回収ブラシを+200V(相対値)にする期間をc1~c2で示している。c1~c2の期間は、t6~t9の期間と同じ時間(距離)になる。
【0084】
回収ブラシ161と帯電ローラ160との接触部(ブラシニップとも称する)から、帯電ローラ160と感光体ドラム10との接触部(帯電ニップとも称する)まで移動する時間をT1とする。t5のタイミング、つまり(c)回収ブラシの電位を変更するタイミングは、t6の時点よりもT1分だけ速く実行することが好ましい。ただし、c1がt6であってもよいし、c2がt9であってもよい。
【0085】
t6~t9の期間、換言するとc1~c2の期間(t5~t8の期間)は、適宜選択することができる。本例では、帯電ローラ160の3周分にしている。つまり、帯電ローラを3回転させるのに要する時間としている。この場合、回収ブラシ161から帯電ローラ160に移動するトナー207を増やすことができ、回収ブラシ161を清浄な状態にすることができる。c1からc2の期間は、例えば帯電ローラ160の1周分でもよいが、1周である場合、回収ブラシ161に残ったままのトナーが生じる場合がある。
【0086】
このことについて再度記載する。
第2の回収処理において、トナーを回収ブラシ161から帯電ローラ160に移動させる期間は、帯電ローラ160の3回転以上の期間であることが好ましい。このようにすることで、回収ブラシ161に残るトナーを低減することができ、回収ブラシ161をより清浄な状態にすることができる。トナーを回収ブラシ161から帯電ローラ160に移動させる際における、帯電ローラ160の回転数の上限は特に制限されず、第2の回収処理を行える時間を考慮して定めればよい。このような制御は、例えば制御部110により制御する。
【0087】
また、第2の回収処理において、トナーを帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させる期間は、感光体ドラム10の1回転の期間(もしくは略1回転の期間)であることが好ましい。つまり、t6~t9の期間は、感光体ドラム10の1回転分(もしくは略1回転分)であることが好ましい。
【0088】
帯電ローラ160から感光体ドラム10にトナーを移動させる場合、感光体ドラム10上にトナーがすでに存在しているところでは、帯電ローラ160からトナーが移動しにくくなる。帯電ローラ160から感光体ドラム10にトナーを移動させる処理については、感光体ドラム10の回転数を2周分以上に増やしても、帯電ローラ160からのトナーの移動を増やしにくい。そのため、トナーを帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させる期間が感光体ドラム10の1周分であることにより、第2の回収処理が長くなり過ぎることを防止できる。
【0089】
上記を考慮すると本実施形態では、帯電ローラ160の3周分の時間が感光体ドラム10の1周分の時間に相当することが好ましく、本例ではそのようにしている。例えば、感光体ドラム10の直径を30mmとし、帯電ローラ160の直径を9.5mmとしている。帯電ローラ160の3周分の時間と感光体ドラム10の1周分の時間とが略等しいことで、上記のような制御がしやすくなる。
【0090】
感光体ドラム10周速と帯電ローラ160の周速は、同じであることを要するものではない。しかし、本例では感光体ドラム10周速と帯電ローラ160の周速とが同じになるようにしているため、帯電ローラ160の3周分の時間と、感光体ドラム10の1周分の時間とが同じになりやすい。
【0091】
ただし、t6~t9の期間は、感光体ドラム10の1周分の時間よりも短くてもよいし、長くてもよい。
【0092】
本例では、t7の時点で(d)現像ローラの電位を+250Vにしている。これにより、感光体ドラム10上のプラスに帯電したトナー209は、現像ローラ72に回収されずに現像ローラ72の位置を通過する。
【0093】
t6~t9のところで、感光体ドラム10の1周分をプラストナーが帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動したタイミングで除電ランプ64をONにする。つまり、t9の時点で(f)除電ランプをONにする。これにより、感光体ドラム10の除電を実施する。
【0094】
(f)除電ランプのONと同時に、つまりt9の時点で、(b)帯電ローラを-1100Vに切り替えて感光体ドラム10を放電させる。これにより、感光体ドラム10上のプラスに帯電したトナー209がマイナスに反転する。これは、マイナストナー化などと称してもよい。
【0095】
次いで、t10の時点で(d)現像ローラを-300Vにする。これにより、放電・帯電された感光体ドラム10の表面電位と、現像ローラ72の電位との電位差で感光体ドラム10上のマイナスに帯電したトナー209が現像ローラ72に回収される。
図3Bではプラスに帯電したトナー209がマイナスに反転していることが図示されており、マイナスに反転したトナー209が現像ローラ72に回収されていることが図示されている(矢印i)。
【0096】
現像ローラ72へのトナーの回収は、感光体ドラム10上のプラス帯電トナーが全てマイナスに反転して現像ローラ72に回収された時点で終了する。
【0097】
上記で説明したように、本例における第2の回収処理では、回収ブラシ161、帯電ローラ160、感光体ドラム10の順にトナーを移動させる工程と、感光体ドラム10に移動したトナーの帯電を反転させる工程と、感光体ドラム10上のトナーを現像ローラ72に移動させる工程とを行っている。なお、後述の実施例3のように、感光体ドラム10に移動したトナーの帯電を反転させる処理は、省くことができる。
【0098】
本実施形態では、転写残トナーを現像ローラ72で回収することができるとともに、帯電ローラ160上のトナーを回収ブラシ161で回収でき、更に回収ブラシ161で回収したトナーを帯電ローラ160、感光体ドラム10、現像ローラ72の順に移動させて回収することができる。
【0099】
本実施例1では、回収ブラシ161の回転速度を適宜変更してもよい。第2の回収処理における回収ブラシ161の回転速度は、第1の回収処理における回収ブラシ161の回転速度よりも速いことが好ましい。換言すると、帯電ローラ160から回収ブラシ161にトナーを移動させるときの回収ブラシ161の回転速度よりも、回収ブラシ161から帯電ローラ160にトナーを移動させるときの回収ブラシ161の回転速度を速くすることが好ましい。
【0100】
印字中(画像印字中)に回収ブラシ161の回転速度を上げると、トナーが撒き散らされてしまう場合があるが、第2の回収処理における回収ブラシ161の回転速度を上げる場合、回収ブラシ161からトナーを移動させやすくなる。後述の実施例2、3も同様である。回収ブラシ161の回転速度は、例えば制御部110により制御する。
【0101】
(実施例2)
次に、本実施形態の実施例2について説明する。
上記実施例1では、第2の回収処理ができるだけ長くならないようにしており、ユーザの待ち時間の増加をできるだけ抑えることができる。一方、本実施例2では、長期に使用した場合などの経時においても回収ブラシ161を清浄に保つことができる。
【0102】
図5は、実施例2のタイミングチャートである。
図4と共通する部分についての説明は省略する。
図5では、第1の回収処理の図示を省略している。
図5は、画像印字後のタイミングチャートを図示したものであり、
図4のt4の後のタイミングチャートを図示したものであるといえる。
【0103】
実施例2では、第2の回収処理を所定の回数繰り返す。図示するように、t4~t10の処理を繰り返す。
図5のt4~t10は、
図4のt6~t12と同様の処理である。
【0104】
第2の回収処理を繰り返すことにより、回収ブラシ161を経時においても清浄に保つことができる。本実施例2では、経時で徐々に回収ブラシ161内にトナーが溜まっていくことを防止でき、回収ブラシ161のトナー落ちをより抑制することができる。また、経時においても帯電ローラ160に付着したトナーを回収することができる。
【0105】
なお、
図5のt4~t10を繰り返す処理のことを、第2の回収処理を繰り返す清掃処理とも称することがある。
【0106】
本実施例2では、第2の回収処理を繰り返す際、繰返し回数が増えるにつれて回収ブラシ161に印加する電圧(バイアス)の絶対値を増やしていくことが好ましい。つまり、第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行う際、繰返しの動作において、1回目、2回目、3回目・・・と徐々に回収ブラシ161へ印加する電圧(バイアス)を上昇させることが好ましい。このようにすることで、先に回収ブラシ161のブラシ先端に付着しているトナーを吐き出し、徐々にブラシの奥に入り込んでいるトナーを吐き出すことができる。
【0107】
また下記の評価で説明するように、回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量が9.0mg/cm2を超えるとトナー落ちが発生しやすくなる。そのため、回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量が9.0mg/cm2以下であることが好ましく、例えば、実施例2のように、第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行うことで、9.0mg/cm2以下に保つことができる。
【0108】
第2の回収処理を繰り返す回数は、適宜選択することができ、例えば、3回以上5回以下であることが好ましい。この場合、回収ブラシ161内のトナーを清浄に保つことができるとともに、処理の時間が長くなり過ぎることを防止できる。
【0109】
なお、実施例1と同様に、第2の回収処理において、トナーを回収ブラシ161から帯電ローラ160に移動させる期間(
図5中のc1~c2)を、帯電ローラ160の3回転以上の期間にすることが好ましい。また実施例1と同様に、第2の回収処理において、トナーを帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させる期間(
図5中のt4~t7)を、感光体ドラム10の1回転の期間(もしくは略1回転の期間)にすることが好ましい。このようにすることで、回収ブラシ161に残るトナーをより低減することができ、第2の回収処理が長くなり過ぎることを防止できる。
【0110】
図5中、t10~t16は、装置立下げ時に行う第2の回収処理である。
図5に示す例は、t4~t10の第2の回収処理を複数回繰り返した後、t10~t16で装置立下げ時の第2の回収処理を行う。装置立下げ時の第2の回収処理は、t4~t10の第2の回収処理と同様の処理とすることができる。装置立下げ時の第2の回収処理を行う場合、第2の回収処理を繰り返す回数は、装置立下げ時の第2の回収処理も含めた回数である。つまり、例えばt4~t10の処理を4回行った後、t10~t16の処理を1回行った場合、第2の回収処理は合計で5回繰り返し行ったことになる。
【0111】
図5に示す例では、装置立下げ時の前に第2の回収処理を繰り返した場合の例としているが、実施例2はこれに限られない。第2の回収処理を繰り返す清掃処理を装置立下げ制御に組み込んでもよいが、このようにする場合、ユーザの待ち時間が増加する場合がある。そのため、画像印字の要求がなく、所定の間隔閾値を超えていた場合に、第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行うようにしてもよい。
【0112】
所定の間隔閾値は、適宜選択することができる。例えば、印字ドットカウントによる累積ドット数で定めてもよい。累積ドット数が所定の値を超えており、画像印字の要求がない場合に第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行うようにしてもよい。
【0113】
所定の間隔閾値は、この他にも、走行距離で現像での逆極性トナーの累積かぶり量を加算した値により定めてもよい。所定の間隔閾値は、この他にも、累積印刷枚数などでもよい。
【0114】
本実施例2においても、回収ブラシ161の回転速度を適宜変更してもよい。本実施例2においても、第2の回収処理における回収ブラシ161の回転速度は、第1の回収処理における回収ブラシ161の回転速度よりも速いことが好ましい。つまり、第1の回収処理における回収ブラシ161の回転速度よりも、第2の回収処理を繰り返す清掃処理における回収ブラシ161の回転速度を速くすることが好ましい。第2の回収処理における回収ブラシ161の回転速度を大きくすることで、回収ブラシ161からトナーを移動させやすくなる。回収ブラシ161の回転速度は、例えば制御部110により制御する。
【0115】
(評価)
次に、本発明の評価について説明する。
【0116】
<評価1:回収部材のトナー量とトナー落ちとの関係>
まず、回収ブラシ161に保持されるトナー量とトナー落ちとの関係について調べた。
図1等に示す装置を用い、
図4に示す清掃制御を行った。評価では、非磁性一成分トナーであり、平均円形度が0.953の粉砕トナーを用いた。
印字率が高い画像を形成した後、回収ブラシ161を清掃せずに記録紙を通紙し、回収ブラシ161中のトナー量を測定した。トナー量の測定は、所定の幅を有する回収ブラシ161において、回収ブラシ161の全幅とブラシ全周に対してトナーの吸引を行った。吸引したトナーに対して重量測定を行い、回収ブラシ161のブラシ周長とブラシ幅から、ブラシ中の単位面積当たりのトナー量を求めた。
【0117】
また、感光体ドラム10にトナー落ちが発生しているかどうかを調べた。トナー落ちの発生の有無は、画像形成後に通紙した記録紙にトナー落ちによる異常画像が生じていないかどうかを目視で判定した。記録紙において、トナー落ちによる異常画像が生じていない場合を○とし、トナー落ちによる異常画像が生じている場合を×とした。
このような評価を複数回繰返し、回収ブラシ中の単位面積当たりのトナー量とトナー落ちの発生有無の関係を調べた。結果を表1に示す。ブラシ中のトナー量とあるのは、回収ブラシ中の単位面積当たりのトナー量を意味する。
【0118】
【0119】
表1に示すように、回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量が9.0mg/cm2を超えるとトナー落ちが発生することがわかる。そのため、回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量は9.0mg/cm2以下であることが好ましい。
【0120】
回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量を9.0mg/cm2以下に保つには、例えば、実施例2のように、第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行う。また、前述のように、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加したり、回収ブラシ161の速度を速くしたりすることで、繰り返し数を少なくしたり、トナー量を更に減らしたりすることができる。また、後述の実施例で説明するように、回収バイアス等を適宜調整することにより、回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量を9.0mg/cm2以下に保つことができる。
【0121】
評価に用いた回収ブラシ161は、導電性の繊維を有するブラシローラとした。繊維長は1.5mmであり、繊維径は6デニールであり、繊維抵抗は7.5logΩである。これらは平均値である。回収ブラシ161の繊維抵抗は、8.0logΩ以下が好ましい。8.0logΩを越えると、電圧が十分に印加されない場合があり、トナーの移動がしにくくなり、帯電不良やトナー落ちが発生しやすくなる場合がある。
【0122】
<評価2:回収部材のトナー量の推移>
次に、回収ブラシ161に保持されるトナー量の推移について調べた。
結果を
図6に示す。
図6では、比較例1、実施例1(
図4)、実施例2(
図5)のそれぞれについて、総印刷枚数(累積印刷枚数)に対する回収ブラシ161のトナー量をプロットしている。比較例1は、第1の回収処理及び第2の回収処理を行わず、像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備えない装置とした。
【0123】
評価2において、評価1と同じトナーを用いた。回収ブラシ中の単位面積当たりのトナー量は、評価1と同じ測定方法とした。実施例1、2では、評価1と同じ装置構成とした。
【0124】
評価2では、各種印字率、ジョブ枚数(P/J)、印刷枚数を変化させて、回収ブラシ161の単位面積当たりのトナー量の推移を測定した。実施例2において、第2の回収処理を繰り返す清掃処理(
図5のt4~t10を繰り返す処理)を実施する間隔は、印字率5%で1枚間欠にて1000枚印刷した時と同等になるようにした。例えば、印字率5%で1枚間欠にて1000枚の印刷を行う場合を基準とすると、印字率20%で1枚間欠であれば、印字率が4倍のため印刷枚数は250枚とした。
【0125】
印字率は1%、5%、20%から選択し、ジョブ枚数は1P/J、3P/Jから選択した。1枚間欠とあるのは、評価1と同様に、評価用に記録紙を通紙させることを意味する。
図6中の数字1~11は、印字率、ジョブ枚数、印字枚数の条件を表しており、図中の数字1~11の条件を表2にまとめている。実施例2において、第2の回収処理(
図5のt4~t10)は5回繰り返した。ただし、評価2における実施例2では、装置立下げ時の第2の回収処理は行っていない。
【0126】
【0127】
図6に示すように、実施例1、2では、印字率やジョブ枚数を変化させても回収ブラシ161内のトナー量を抑えることができる。
実施例1、2と比較例1とを比べると、初期では回収ブラシ161にトナーが機械的に付着する分があるため、総印刷枚数が1000枚程度であると違いが出にくい。実施例1、2の場合、経時ではトナーを静電的に制御することができるため、回収ブラシ161内のトナー量を低く抑えることができ、2.0mg/cm
2以下に抑えることができる。2.0mg/cm
2以下は、高レベルの水準であり、優れた結果である。
比較例1の場合、印刷を続けていくと、回収ブラシ161内のトナー量は増え続けてしまう。また、比較例1ではトナー量の増加量が大きい。
【0128】
<評価3:回収部材のトナー量の経時評価>
次に、実施例1と実施例2について、長期耐刷の評価を行った。結果を
図7に示す。
評価3では、評価2と同じ装置構成とし、同じトナーを用いた。評価3では、印字率5%で1枚間欠にて1000枚印字ごとに実施例1と実施例2を比べた。実施例2では、評価2と同様に、第2の回収処理を5回繰り返した。
【0129】
図7において、縦軸はトナー落ちランク(トナー落ちRank)であり、横軸は総印刷枚数である。トナー落ちランクは、評価用に通紙した記録紙において、トナー落ちに起因するトナーの大きさと個数を1~5の段階に分類して評価した。ただし、図示するように、ランク1.5、ランク2.5、ランク3.5、ランク4.5も評価結果として選択できるようにした。トナー落ちランクは、トナー落ちがまったくない場合をランク5とした。ランク4以上を合格とした。
【0130】
図7に示すように、第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行っていない実施例1は、10k枚を超えたあたりからトナー落ちが発生し、許容できないレベルに徐々に推移した。一方、第2の回収処理を繰り返す清掃処理を行っている実施例2は、評価を行った38k枚までトナー落ちの発生はなかった。ただし、実施例1は実施例2よりも長期耐刷の観点では劣るが、実施例1でも13k枚程度まではランク4以上であり、実用上問題はない。
【0131】
また、実施例2において、
図7の耐刷後に回収ブラシ161中のトナー量を測定したところ、2.1mg/cm
2であった。表1と照らして考慮すると、この値は、トナー落ちが発生しない量である9.0mg/cm
2以下に対して大幅に少ない。そのため、実施例2では非常に優れた結果が得られており、38k枚以降もトナー落ちを抑えられると予想される。
【0132】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。実施例3は、補助帯電部材を用いた例である。補助帯電部材は、正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを正規帯電トナーと同じ極性に帯電させるものであり、本実施例では、トナーをマイナスに帯電させるため、マイナス帯電部材と称する。上記実施例1、2と同様の事項については説明を省略する。
【0133】
上記の実施例1、2の第2の回収処理では、帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動したプラストナーに対して、帯電ローラ160と感光体ドラム10の間での放電によるマイナストナー化を行っていた。実施例1では、例えば
図4のt9で除電をONにして感光体ドラム10の除電を行い、感光体ドラム10上のプラス帯電トナーをマイナスに反転させている。この場合、
図4のt9~t10のところで、放電によりプラス帯電トナーをマイナスに反転させ、その後に、t10の時点で現像ローラの電位を-300Vにして現像ローラ72でトナーを回収している。実施例2においても同様に、例えば
図5のt7~t8のところで、放電によりマイナストナーにしている。
【0134】
本実施例3の第2の回収処理では、帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させたトナーに対して、帯電ローラ160と感光体ドラム10の間での放電によるマイナストナー化を行わず、マイナス帯電部材を用いてトナーをマイナスに帯電させる。これにより、帯電ローラ160と感光体ドラム10間での放電によるマイナストナー化は不要となり、立下げ動作のシーケンスを短くできる。
【0135】
図8は、マイナス帯電部材の一例を説明するための図である。図示するように、マイナス帯電部材162は、第2の回収処理における帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させたトナーをマイナスに帯電させている。マイナス帯電部材162によりマイナストナーにされたトナーを符号210で表している。
【0136】
また図示するように、マイナス帯電部材162によりマイナストナーにされたトナー210は、現像ローラ72の位置にきたときに、すぐに現像ローラ72に回収される。現像ローラに回収されたトナーを符号211で表しており、感光体ドラム10から現像ローラ72にトナー210が移動することを矢印jで表している。このため、帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動したトナーが感光体ドラム10上に担持される時間を短くすることができる。
【0137】
マイナス帯電部材162の配置は、図示するように、感光体ドラム10の回転方向における帯電ローラ160よりも下流側であり、現像ローラ72よりも上流側である。このようにすることで、マイナス帯電部材162によりマイナストナー化されたトナーをすぐに現像ローラ72で回収することができ、第2の回収処理の処理時間を短くできる。
【0138】
本実施例3について再度記載する。
本実施例3に係る画像形成装置は、第2の回収処理における帯電ローラ160から感光体ドラム10に移動させたトナーのうち、正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを正規帯電トナーと同じ極性に帯電させる補助帯電部材(例えばマイナス帯電部材162)を有している。補助帯電部材は、感光体ドラム10の回転方向における帯電ローラ160よりも下流側であって現像ローラ72よりも上流側で、正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを正規帯電トナーと同じ極性に帯電させる。
【0139】
マイナス帯電部材162によりトナーをマイナスに帯電させる方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。例えば、マイナス帯電部材162によりプラストナーを摩擦帯電させてマイナストナー化する方法が挙げられる。この他にも、マイナス帯電部材162にバイアスを印加して、放電ないし電荷注入を行い、プラストナーをマイナストナー化する方法が挙げられる。トナーをプラスに帯電させる方法についても同様に行うことができる。
【0140】
補助帯電部材は、感光体ドラム10に接触していることが好ましい。この場合、プラストナー(又はマイナイストナー)を摩擦帯電させやすくなる。補助帯電部材を感光体ドラム10に接触させて配置する場合、補助帯電部材を接触部材などと称してもよい。
【0141】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について説明する。実施例4は、第1の回収処理における回収部材に印加する電圧、帯電部材に印加する電圧等についての例である。上記実施例と同様の事項については説明を省略する。
【0142】
上記実施例1、2では、第1の回収処理における、回収ブラシに印加する電圧として、帯電ローラに対して-200Vを一例として説明した。例えば
図4のt1~t2の期間では、回収ブラシの電圧を帯電ローラに対して-200Vとしている。以下説明するように、本発明はこれに限られず、適宜選択可能である。
【0143】
第1の回収処理において、回収ブラシに印加される電圧は、帯電ローラに印加される電圧に対して-150V以下であることが好ましい。以下、第1の回収処理における、帯電ローラ(帯電部材)に印加される電圧に対する回収ブラシ(回収部材)に印加される電圧(相対値)を、回収ブラシの回収バイアスなどと称する。回収ブラシの回収バイアスを単に回収バイアスと称する場合もある。
【0144】
回収ブラシの回収バイアスが0に近い場合、回収ブラシの回収性が不足し、帯電ローラに汚れが発生してしまう場合がある。帯電ローラ汚れにより、転写残トナーのマイナス化が減少し、回収ブラシへのプラストナーの回収が増える。その結果、回収ブラシからのトナー落ちが発生しやすくなる。これに対して、回収ブラシの回収バイアスが-150V以下であることにより、回収ブラシの回収性が不足することを防止でき、トナー落ちを抑制することができる。
【0145】
<評価4:回収バイアスを変えたときの回収部材のトナー量の評価>
図9は、回収ブラシの回収バイアスを変えたときの回収ブラシの汚れについて評価を行った場合の結果の一例を示す図である。
図10は、
図9の評価を行うにあたり、使用した縦帯チャートを示す図である。図示する縦帯チャート230は、A4縦用紙とし、縦帯部231と白紙部232を有し、縦帯部231と白紙部232が用紙幅方向に交互に並ぶ画像である。縦帯チャート230には、用紙の上下にわずかに余白部がある。縦帯部231は、用紙の上下余白部を除き、5mm幅とした。白紙部232の幅(縦帯部231の間隔)は、約80mmとした。
【0146】
図9に示す評価結果の例について説明する。評価は、上記の評価1と同様の装置を用い、
図10の縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字した。印字終了後、回収ブラシに対して吸引を行い、回収ブラシ中のトナー量を測定した。トナー量の測定では、縦帯チャートの縦帯部に相当する回収ブラシの部分に対して吸引を行い、同様に、縦帯チャートの白紙部に相当する回収ブラシの部分に対して吸引を行い、それぞれトナー量を測定した。このため、
図9に示すように、縦帯部のプロットと白紙部のプロットが示されている。
【0147】
評価では、回収ブラシの回収バイアスを変えてそれぞれ測定を行っている。回収ブラシの回収バイアスとして、例えば-300V、-200V、-150V、-100V、0Vを選択して評価を行っている。
図11は、回収ブラシの回収バイアスを説明するための補足図であり、
図4に示すタイミングチャートの要部を示す図である。回収ブラシの回収バイアスは、例えばt1~t2の期間において、帯電ローラに印加する電圧に対する回収ブラシに印加する電圧の値(相対値)であり、図中、X[V]として図示している。X[V]として例えば-300V、-200V、-150V、-100V、0Vを選択して評価した。
【0148】
その結果、
図9に示すように、回収ブラシの回収バイアスが-150Vより大きい場合、縦帯部に相当する回収ブラシの汚れ(トナー量)が9.0mg/cm
2を超える。9.0mg/cm
2(図中の破線)は、トナー落ちが生じる閾値であり、回収ブラシの回収バイアスが-150Vより大きい場合、縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字すると、回収ブラシにおける縦帯部に相当する部分が9.0mg/cm
2を超えてトナー落ちが発生する。このようなトナー落ちは、回収ブラシの転写残トナーの回収性が不足し、帯電ローラの汚れが発生したことにより生じる。帯電ローラの汚れが生じることで、転写残トナーの帯電放電によるトナーのマイナス化が減少し、プラストナーの回収が増え、トナー落ちが発生した。
なお、回収ブラシにおける白紙部に相当する部分は、カブリトナーのみであるため、回収ブラシの汚れは少ない。
【0149】
このように、回収ブラシの回収バイアスは、-150V以下であることが好ましく、この場合、回収ブラシの汚れ量を閾値以下にすることができ、トナー落ちを抑制できる。また、回収ブラシの回収バイアスは、-200V以下であることがより好ましく、この場合、回収ブラシの汚れ量をより抑えることができ、トナー落ちをより抑制することができる。
【0150】
なお、上記の評価は、
図10に示すような縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字した場合の評価とした。この縦帯チャートよりも印字する部分が多い画像、例えば全面ベタ画像を形成する場合であっても、
図9に示す評価結果のように、回収バイアスが-150V以下であるとトナー落ちの閾値を下回る結果になる。縦帯チャートの縦帯部と全面ベタ画像の印字部は、トナー付着が同じになるからである。
【0151】
一方、縦帯チャートなどを印字する印字枚数を3P/Jや2000枚よりも多くする場合、例えば、第2の回収処理を繰り返したり、重畳した電圧を印加したりすることで、回収ブラシのトナー量を抑えることができる。印字枚数を多くする場合でも、回収バイアスが-150V以下であることで、回収ブラシのトナー付着を抑えることができ、トナー落ちを抑えることができる。
【0152】
(実施例5)
次に、本発明の実施例5について説明する。実施例5は、第2の回収処理における回収部材に印加する電圧、帯電部材に印加する電圧等についての例である。また、実施例5は、実施例4の更に好ましい例であり、回収バイアスが-150V以下である場合における好ましい例を説明するものである。上記実施例と同様の事項については説明を省略する。
【0153】
上記実施例1、2では、第2の回収処理における、回収ブラシに印加する電圧として、帯電ローラに対して+200Vを一例として説明した。例えば
図4のt5~t8の期間(t6~t9の期間などとしてもよい)では、回収ブラシの電圧を帯電ローラに対して+200Vとしている。以下説明するように、本発明はこれに限られず、適宜選択可能である。
【0154】
第2の回収処理において、回収ブラシに印加される電圧は、帯電ローラに印加される電圧に対して+50V以上であることが好ましい。以下、第2の回収処理における、帯電ローラ(帯電部材)に印加される電圧に対する回収ブラシ(回収部材)に印加される電圧(相対値)を、回収ブラシの吐き出しバイアスなどと称する。回収ブラシの吐き出しバイアスを単に吐き出しバイアスと称する場合もある。
【0155】
なお、第1の回収処理では、トナーを帯電ローラから回収ブラシ側に移動させる処理を行うため、上記のように回収バイアスなどと称している。第2の回収処理では、トナーを回収ブラシから帯電ローラ側に移動させる(吐き出すと称してもよい)処理を行うため、上記のように吐き出しバイアスなどと称している。
【0156】
回収ブラシの吐き出しバイアスが0に近い場合、回収ブラシから帯電ローラ側にトナーが移動しにくくなり、回収ブラシ中のトナー量が閾値を超えてトナー落ちが発生する場合がある。これに対して、回収ブラシの吐き出しバイアスが+50V以上であることにより、第2の回収処理において、回収ブラシから帯電ローラ側にトナーを移動させやすくなり、トナー落ちを抑制することができる。
【0157】
<評価5:吐き出しバイアスを変えたときの回収部材のトナー量の評価>
図12は、回収ブラシの吐き出しバイアスを変えたときの回収ブラシの汚れについて評価を行った場合の結果の一例を示す図である。本評価においても、実施例4の評価4と同様の装置を用い、
図10の縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字した。トナー量の測定は、実施例4の評価4と同様の測定を行った。縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字した後、縦帯チャートの縦帯部に相当する回収ブラシの部分に対して吸引を行い、トナー量を測定した。同様に、縦帯チャートの白紙部に相当する回収ブラシの部分に対して吸引を行い、トナー量を測定した。
【0158】
評価では、回収ブラシの吐き出しバイアスを変えてそれぞれ測定を行っている。回収ブラシの回収バイアスとして、例えば0V、+100V、+200V、+300V、+400Vを選択して評価を行っている。このことについて、
図11の補足図を用いて再度説明する。回収ブラシの吐き出しバイアスは、例えばt5~t8の期間(t6~t9の期間などとしてもよい)において、帯電ローラに印加する電圧に対する回収ブラシに印加する電圧の値(相対値)であり、図中、Y[V]として図示している。Y[V]として例えば0V、+100V、+200V、+300V、+400Vを選択して評価した。
【0159】
評価では、回収ブラシの回収バイアスとして-200Vを選択し、縦帯チャートを印字した。つまり、
図11中のX[V]を-200Vとしている。また、評価を行う際の第2の回収処理は、装置の立ち下げ時とした。ただし、第2の回収処理は、装置の立ち下げ時に行われる場合に限られず、ジョブの割り込み時などに行われてもよい。
【0160】
なお、
図11中のt8又はt9以降の回収ブラシに印加するバイアス、つまり、図中のZ[V]は、回収バイアス(X[V])と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよいが、同じであることが好ましい。
【0161】
図12に示すように、回収ブラシの吐き出しバイアスが0Vの場合、縦帯部に相当する回収ブラシの汚れ(トナー量)が9.0mg/cm
2を超える。9.0mg/cm
2(図中の破線)は、トナー落ちが生じる閾値であり、回収ブラシの吐き出しバイアスが+50Vより小さい場合、縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字すると、回収ブラシにおける縦帯部に相当する部分が9.0mg/cm
2を超えてトナー落ちが発生する。
【0162】
このように、回収ブラシの吐き出しバイアスは、+50V以上であることが好ましく、この場合、回収ブラシの汚れ量を閾値以下にすることができ、トナー落ちを抑制できる。
【0163】
なお、回収ブラシにおける白紙部に相当する部分は、カブリトナーのみであるため、回収ブラシの汚れは少ない。
また、回収ブラシの吐き出しバイアスを大きくできない場合、例えば+50Vに近くにしかできない場合、装置立ち下げ時における第2の回収処理の時間を長くすることが好ましい。この他にも、割り込み時における第2の回収処理の繰り返し回数を増やすことが好ましい。
【0164】
(実施例6)
次に、本発明の実施例6について説明する。実施例6は、縦帯チャートを印字したときの帯電ローラにおけるトナーの付着量差についての例である。また、実施例6は、実施例4、5の更に好ましい例であり、回収バイアスが-150V以下であり、吐き出しバイアスが+50V以上である場合における好ましい例を説明するものである。上記実施例と同様の事項については説明を省略する。
【0165】
上記実施例4、5では、回収ブラシの回収バイアスが-150V以下であり、吐き出しバイアスが+50V以上である場合、優れた効果が得られるとしている。本実施例6は、回収ブラシの単位面積当たりのトナー量が9.0mg/cm2を下回るための条件についての例である。
【0166】
下記のようにして測定されるトナーの付着量差が0.05mg/cm2以下となるように、第1の回収処理における、帯電ローラに印加される電圧に対する回収ブラシに印加される電圧と、第2の回収処理における、帯電ローラに印加される電圧に対する回収ブラシに印加される電圧とを定めることが好ましい。
[測定]
縦帯部と白紙部を有する縦帯チャートを2000枚形成した後に、帯電ローラにおける縦帯部に相当する部分のトナー付着量と、白紙部に相当する部分のトナー付着量との差を求める。
【0167】
帯電ローラにおけるトナー付着量の測定では、上記の
図10に示す縦帯チャートを用いる。帯電ローラのトナー付着量は、例えば下記の評価のようにして測定する。トナーの付着量差が0.05mg/cm
2以下となるように回収ブラシの回収バイアスと吐き出しバイアスを調整することで、回収ブラシの単位面積当たりのトナー量を9.0mg/cm
2未満に保つことができる。これにより、トナー落ちをより抑制することができる。
【0168】
<評価6:帯電ローラにおけるトナーの付着量差の評価>
図13は、帯電ローラにおけるトナーの付着量差について評価を行った場合の結果の一例を示す図である。本評価においても、実施例4の評価4と同様の装置を用い、
図10の縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字した。縦帯チャートを3P/Jで2000枚印字した後、帯電ローラにおける縦帯部に相当する部分のトナーの付着量と、白紙部に相当する部分のトナーの付着量とを測定し、引き算(縦帯部に相当する部分のトナーの付着量-白紙部に相当する部分のトナーの付着量)により、帯電ローラのトナーの付着量差を求めた。帯電ローラのトナー付着量差は、帯電ローラ汚れ付着量差などとも称する。
【0169】
帯電ローラにおけるトナーの付着量について補足説明する。
実際の評価を行う前に、あらかじめ、種類の異なる所定の画像を形成する処理を複数回行い、帯電ローラにおけるトナーの付着量をそれぞれ測定する。このときのトナーの付着量の測定は、帯電ローラにおける所定の面積に対してトナーを吸引することで測定する。同じようにして所定の画像を形成する処理を行い、帯電ローラを透明テープで剥離し、濃度を計測する。このようにすることで、吸引により測定されたトナーの付着量と、透明テープで剥離して濃度を計測したときの値との相関関係を求めることができる。このような相関関係から相関式を求める。これにより、帯電ローラに対して透明テープで剥離し、濃度を計測することで、トナーの付着量を逆算により求めることができる。
なお、帯電ローラに付着するトナーの量が多い場合、透明テープで一度に剥離しきれないため、複数回剥離を行い、透過濃度を合算する。これにより、濃度を計測することができる。
従って、評価6における帯電ローラのトナーの付着量は、縦帯チャートを印字した後、帯電ローラにおける縦帯部に相当する部分と、白紙部に相当する部分とのそれぞれに対して透明テープの剥離を行い、濃度を計測し、トナー付着量を逆算して求めた。
【0170】
評価では、下記の表3のように、回収ブラシの回収バイアスと吐き出しバイアスをそれぞれ変更して縦帯チャートを2000枚印字し、帯電ローラのトナー付着量差を求める。また、回収ブラシの回収バイアスと吐き出しバイアスを変更したときのそれぞれの印字において、縦白帯Rankを官能評価により求めた。縦白帯Rankは、形成された縦帯チャートの画像を官能評価するものであり、0.5刻みでRank1~5に分類する。許容できるレベルは、Rank3以上である。
【0171】
縦白帯Rankの評価基準は、以下のようにした。官能評価で分類した白紙部と縦帯部の画像反射濃度差(ΔI.D.)は以下であった。
Rank5:縦白帯が発生しない
Rank4:画像反射濃度差が0.01以下
Rank3:画像反射濃度差が0.01より大きく0.02以下
Rank2:画像反射濃度差が0.02より大きく0.03以下
Rank1:画像反射濃度差が0.03より大きく0.04以下
【0172】
下記の表3は、評価で選択した回収ブラシの回収バイアスと吐き出しバイアスの組み合わせである。表3中、「-」は、未評価を意味する。なお、上述したように、回収ブラシの回収バイアスは、例えば
図11におけるX[V]に相当し、回収ブラシの吐き出しバイアスは、例えば
図11におけるY[V]に相当する。
【0173】
【0174】
図13では、帯電ローラのトナー付着量差とそのときの縦白帯Rankとをプロットし、近似式を求めている。図示するように、帯電ローラのトナー付着量差が0.05mg/cm
2以下である場合、縦白帯Rankが3以上になる。縦白帯Rankが3未満になる理由としては、回収ブラシのトナー付着量が9.0mg/cm
2より大きくなり、トナー落ちが発生したことによる。そのため、帯電ローラのトナー付着量差が0.05mg/cm
2以下にすることで、回収ブラシのトナー付着量が9.0mg/cm
2以下に保つことができる。帯電ローラのトナー付着量差が0.05mg/cm
2以下にするには、例えば表3のように、回収バイアスが-150V以下であり、吐き出しバイアスが+50V以上であることが好ましい。
【0175】
(トナー)
本発明に用いられるトナーは、適宜選択することができる。中でも、非磁性一成分トナーであり、平均円形度が0.959以下の粉砕トナーであることが好ましい。平均円形度が0.959以下の非磁性一成分トナーである場合、トナーの帯電極性を制御しやすくなることに加え、粉砕トナーを用いることができる。粉砕トナーとすることで、画像形成装置に搭載するトナーのコストを下げることができる。
【0176】
一方、平均円形度が0.959以下の場合、平均円形度が低いため、転写効率が低くなり、転写残トナーが増加し、回収ブラシ161に保持される転写残トナーが増加する。本実施形態では、上記のような清掃制御を行っているため、このようなトナーを用いた場合でも、回収ブラシ161を清浄な状態にすることができ、転写残トナーによる帯電不良やトナー落ちによる異常画像を抑制できる。
【0177】
本発明に用いられるトナーは、例えば母体粒子と、外添剤とを含む。母体粒子は、トナー母体粒子などと称されてもよい。
【0178】
本発明に用いられるトナーの好適な例について説明する。
本例において、外添剤は、無機微粒子を含むことが好ましい。外添剤に含まれる無機微粒子は、一次粒子の粒度分布において、粒径が5nm以上50nm以下の範囲にピークを複数有する。前記ピークの中で、最も高いピークをn1、二番目に高いピークをn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記式(1)~式(3)をすべて満たすことが好ましい。
n1d>n2d 式(1)
10<(n1d+n2d) 式(2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 式(3)
【0179】
上記式(1)~(3)は、外添剤である無機微粒子が、小粒径と大粒径の2種を少なくとも含み、該外添剤において、大粒径の無機微粒子が小粒径の無機微粒子よりも多く含まれていることを意味している。従来技術では、小粒径の無機微粒子に耐ストレス性付与の役割を担わせ、そこに大粒径の無機微粒子をスペーサーとして添加して小粒径の無機微粒子がトナー表面に埋没するのを防止していた。そのため、小粒径の無機微粒子は大粒径の無機微粒子よりも多く添加される。しかし小粒径の無機微粒子の埋没を十分に抑制するのは従来技術では困難であった。
【0180】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、大粒径の無機微粒子であっても、その添加量を特定の範囲に設定すれば、トナーの耐ストレス性を向上でき、かつ静電潜像担持体への汚染を十分に抑制できる知見を得た。大粒径の無機微粒子は、トナー表面に埋没しにくく、当該効果を十分に発揮することが可能である。そこで、上記式(1)~(3)を満たすことで、トナーの耐ストレス性を向上でき、かつ静電潜像担持体への汚染を十分に抑制できる。
【0181】
本発明で言う無機微粒子の粒度分布とは、その一次粒子を対象とする個数基準の粒度分布であって、以下の工程(1)~(3)を順次経ることにより測定することができる。
(1)トナー表面に無機微粒子が付着した状態で、走査型電子顕微鏡 SU8200シリーズ(株式会社日立ハイテクノロジーズ社)を用いてトナーの画像を得る。
(2)得られた画像を画像処理ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社)で二値化し、無機微粒子の円相当径を算出する。無機微粒子の円相当径は1000粒子分測定する。
(3)次に下記の式に従い階級の数を決定し、ヒストグラムを作成し粒度分布を得る。
階級の数=1+log2n(nは無機微粒子の円相当径のデータ数を示す)
【0182】
本発明に使用される無機微粒子として、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)であるn1dは、15nm~50nmが好ましく、20nm~40nmがさらに好ましい。また、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)であるn2dは、5nm~50nmが好ましく、10nm~20nmがさらに好ましい。
【0183】
また、n1dとn2dの差は、10nm~45nmが好ましく、13nm~30nmがさらに好ましい。
【0184】
また、本発明の効果向上の観点から、前記式(2)および式(3)のさらに好ましい形態は、下記式(20)および式(30)で表される。
20<(n1d+n2d) 式(20)
40<{(n2h/n1h)×100}<90 式(30)
【0185】
本発明において、無機微粒子の一次粒子の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、かつ前記式(1)~(3)をすべて満たすようにするための手段としては、例えば、平均粒径の異なる2種以上の無機微粒子を用意し、当該条件を満たすようにその配合量を調整する等の手段が挙げられる。なお、無機微粒子は、同種であることが好ましい。
【0186】
本発明で使用される無機微粒子の種類としては、とくに制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。中でも耐ストレス性の向上の観点から、シリカ(疎水性シリカを含む)、アルミナおよびチタニアから選択された少なくとも1種が好ましい。
【0187】
無機微粒子は、疎水化処理することもできる。疎水化処理は、例えば、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。また無機微粒子をシリコーンオイルで熱処理し、疎水化処理することもできる。
【0188】
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0189】
無機微粒子は、市販されているものを利用することができる。例えばシリカとして、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル社製)などが挙げられる。また、チタニアとしては、例えばP-25(日本アエロジル社製)、STT-30、STT-65C-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-140(富士チタン工業株式会社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。疎水化処理されたチタニア微粒子としては、例えば、T-805(日本アエロジル株式会社製)、STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT-S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0190】
無機微粒子のBET法による比表面積は、耐ストレス性向上の観点から、20m2/g~500m2/gであることが好ましく、30m2/g~400m2/gであることがさらに好ましい。
【0191】
なお、外添剤としては前記無機微粒子以外にも、例えば脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、フルオロポリマー等を併用することもできる。
【0192】
外添剤の体積平均粒子径としては、5nm以上50nm以下であることが好ましい。
【0193】
本発明における母体粒子(トナー母体粒子とも称する)は、例えば結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤等を含む。トナー母体粒子の材料に関しては公知のものが使用可能である。
【0194】
結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独又は混合して使用することができる。
【0195】
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物を使用することができる。その使用量は、一般に結着樹脂100質量部に対し、0.1~50質量部である。
【0196】
帯電制御剤としても公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等を挙げることができる。
【0197】
本発明における荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一律に決定されるものではないが、好ましくは、結着樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲で用いられ、好ましくは、2~5質量部の範囲である。また、必要に応じて、複数の帯電制御剤と併用してもよい。
【0198】
本発明では、トナーに離型性を付与するために離型剤を用いてもよい。用いられる離型剤の軟化点は70~100℃が好ましい。
【0199】
離型剤としては、低分子量のポリエチレンやポリプロピレン、それらの共重合体等の合成ワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバワックス等の植物ワックス、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう等の動物ワックス、モンタンワックスやオゾケライト等の鉱物ワックス、硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステル等の油脂ワックス等が挙げられる。
【0200】
ワックスを化学構造の点からみると、炭化水素系のワックス、エステル系のワックス、アミド系のワックス等が知られているが、エステル系のワックスが、保存性や画像品質、定着温度幅等から評価すると好適である。
【0201】
離型剤の量は、トナー全体に対して、1~6質量部が好適である。
【0202】
本発明におけるトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、トナー原材料の混合、混練、圧延冷却、粉砕、分級の各工程を経る製造方法が挙げられ、例えば、原材料混合後、これを2軸混練機で混練、ベルト式冷却機にて冷却、ジェットミルで粉砕し、分級してトナーが得られる。
【0203】
トナーの重量平均粒径は、4μm~10μmが好ましく、5μm~8μmがさらに好ましい。
【0204】
本発明に用いられるトナーは、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法などが可能である。本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤としても、キャリアと組み合わせて二成分現像剤としても用いることができるが、非磁性一成分トナーとして特に好適に使用できる。非磁性一成分トナーとした場合、定着特性に加えて、耐ストレス性や耐汚染性などが向上できる。また、トナーの帯電極性を制御しやすくなり、トナーが回収しやすくなる。
【0205】
乾式二成分現像剤として使用する場合、キャリアとトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、例えば、その表面積の30~90%を占める程度に両粒子を混合するのが好ましい。
【0206】
使用されるキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等の従来知られているものを用いることができる。なお、これらキャリアは樹脂により被覆したものであってもよい。この場合、使用される樹脂は、ポリ弗化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコーン樹脂等である。
【0207】
いずれの場合でも、トナーとキャリアとの混合割合は、キャリア100質量部に対し、トナー0.5~6.0質量部程度が適当である。
【0208】
(画像形成装置の詳細例)
次に、本発明の画像形成装置について、他の例を示しつつ詳細例を説明する。
【0209】
図14に、本発明の画像形成装置の第一例を示す。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、除電ランプ70とを備える。
【0210】
図14の画像形成装置100Aにおいて、感光体ドラム10が像担持体に該当し、帯電ローラ20が帯電部材に該当し、回収ブラシ161が回収部材に該当し、現像装置40が現像手段に該当する。なお、
図15の画像形成装置100Aにおいても、
図1に示す制御部110と電源111とを有するが図示を省略している。
【0211】
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。また、中間転写ベルト50の近傍に、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。また、中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が、中間転写ベルト50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
【0212】
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、各色の現像ユニット45は、現像剤収容部42、現像剤供給ローラ43及び現像ローラ(現像剤担持体)44を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
【0213】
現像ベルト41を用いる場合でも、感光体ドラム10上の転写残トナーを回収することができる。上記の例で説明したように、現像ローラ72を用いた装置構成であることが好ましい。
【0214】
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置を用いて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、除電ランプ70により除電される。
【0215】
図15に、本発明で用いられる画像形成装置の第二例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
【0216】
図15の画像形成装置100Bにおいて、感光体ドラム10が像担持体に該当し、帯電ローラ20が帯電部材に該当し、回収ブラシ161が回収部材に該当し、現像ユニット45K,45Y,45M,45Cそれぞれが現像手段に該当する。なお、
図15の画像形成装置100Bにおいても、
図1に示す制御部110と電源111とを有するが図示を省略している。
【0217】
図16に、本発明で用いられる画像形成装置の第三例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。なお、
図16の画像形成装置100Bにおいても、
図1に示す制御部110と電源111とを有するが図示を省略している。
【0218】
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。
【0219】
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
【0220】
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0221】
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
【0222】
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、例えば
図17に示すような構成にできる。各色の画像形成ユニット120は、それぞれ画像形成手段18を有し、例えば、感光体ドラム10、帯電ローラ160、現像装置61、転写ローラ62、除電ランプ64を備える。
【0223】
図17の画像形成ユニット120において、感光体ドラム10が像担持体に該当し、帯電ローラ160が帯電部材に該当し、回収ブラシ161が回収部材に該当し、現像装置61が現像手段に該当する。
【0224】
帯電ローラ160は、感光体ドラム10を一様に帯電させる。現像装置61は、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する。転写ローラ62は、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させる。また、画像形成手段18の外部に設けられた露光装置は、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する。
【0225】
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
【0226】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0227】
次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
【0228】
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0229】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な回収部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有する画像形成装置であって、
前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段は、前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち画像印字に用いられる正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記回収部材に移動させる第1の回収処理を行い、
非画像印字中、前記回収部材に保持されたトナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させ、更にトナーを前記帯電部材から前記像担持体に移動させ、更にトナーを前記像担持体から前記現像手段に移動させる第2の回収処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
<2>
画像印字中、前記第1の回収処理を行うとともに、前記像担持体上の前記正規帯電トナーを前記現像手段に回収させる処理を行う
ことを特徴とする<1>に記載の画像形成装置。
<3>
前記第2の回収処理を所定の回数繰り返す
ことを特徴とする<1>又は<2>に記載の画像形成装置。
<4>
前記第2の回収処理を繰り返す際、繰返し回数が増えるにつれて前記回収部材に印加する電圧の絶対値を増やしていく
ことを特徴とする<3>に記載の画像形成装置。
<5>
前記回収部材は、導電性の繊維を有するブラシローラである
ことを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置。
<6>
前記第2の回収処理において、トナーを前記回収部材から前記帯電部材に移動させる期間は、前記帯電部材の3回転以上の期間である
ことを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置。
<7>
前記トナーは、非磁性一成分トナーであり、平均円形度が0.959以下の粉砕トナーである
ことを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置。
<8>
前記回収部材に付着したトナー量が、9.0mg/cm2以下である
ことを特徴とする<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置。
<9>
前記第2の回収処理における前記回収部材の回転速度は、前記第1の回収処理における前記回収部材の回転速度よりも速い
ことを特徴とする<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置。
<10>
前記回収部材は、少なくとも前記第2の回収処理において、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される
ことを特徴とする<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成装置。
<11>
前記第2の回収処理における前記帯電部材から前記像担持体に移動させたトナーのうち、前記正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記正規帯電トナーと同じ極性に帯電させる補助帯電部材を有し、
前記補助帯電部材は、前記像担持体の回転方向における前記帯電部材よりも下流側であって前記現像手段よりも上流側で、前記正規帯電トナーとは逆の極性に帯電したトナーを前記正規帯電トナーと同じ極性に帯電させる
ことを特徴とする<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置。
<12>
前記第1の回収処理において、前記回収部材に印加される電圧は、前記帯電部材に印加される電圧に対して-150V以下である
ことを特徴とする<1>から<11>のいずれかに記載の画像形成装置。
<13>
前記第2の回収処理において、前記回収部材に印加される電圧は、前記帯電部材に印加される電圧に対して+50V以上である
ことを特徴とする<12>に記載の画像形成装置。
<14>
下記のようにして測定されるトナーの付着量差が0.05mg/cm2以下となるように、前記第1の回収処理における、前記帯電部材に印加される電圧に対する前記回収部材に印加される電圧と、前記第2の回収処理における、前記帯電部材に印加される電圧に対する前記回収部材に印加される電圧とを定める
ことを特徴とする<13>に記載の画像形成装置。
[測定]
縦帯部と白紙部を有する縦帯チャートを2000枚形成した後に、前記帯電部材における前記縦帯部に相当する部分のトナー付着量と、前記白紙部に相当する部分のトナー付着量との差を求める。
<15>
画像形成装置が行うトナー回収方法であって、
前記画像形成装置は、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材に接触するとともにトナーを保持可能な導電性回転部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、を有するとともに、前記像担持体上の転写残トナーをクリーニングする手段を備えず、
前記現像手段に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収させることが可能であり、
画像印字中、転写残トナーのうち、正規帯電トナーではない逆帯電トナーを前記像担持体から前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記導電性回転部材に移動させる第1の回収工程を行い、
非画像印字中、前記導電性回転部材に保持されたトナーを前記帯電部材に移動させ、更に前記帯電部材から前記像担持体にトナーを移動させ、更に前記像担持体から前記現像手段にトナーを移動させる第2の回収工程を行う
ことを特徴とするトナー回収方法。
【符号の説明】
【0230】
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
40 現像装置
41 現像ベルト
50 中間転写ベルト
61 現像装置
62 転写ローラ
64 除電ランプ
70 除電ランプ
72 現像ローラ
73 攪拌ローラ
74 規制ブレード
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100A、100B、100C 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電装置
103 露光装置からの露光
104 現像装置
105 記録紙
110 制御部
111 電源
120 画像形成ユニット
150 複写装置本体
160 帯電ローラ
161 回収ブラシ
162 マイナス帯電部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0231】