(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173674
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20241205BHJP
B42B 5/00 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060765
(22)【出願日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2023090506
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 晋太朗
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA44
(57)【要約】
【課題】液体供給部の基端部が液体に浸漬されているか否かを適切に検出する媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、媒体に液体を付与する液体付与部材を備えた液体付与手段と、液体付与手段で液体を付与された複数の媒体に処理を施す後処理手段と、液体付与手段が媒体に付与する液体を貯留する第1貯液部と、先端部が液体付与部材に接続され、基端部が第1貯液部に貯留されている液体に浸かるように配置された液体供給部と、第1液位検出部材、第2液位検出部材、及び第3液位検出部材を有する、第1貯液部に貯留されている液体の液位を検出する第1液位検出手段とを備える。第2液位検出部材及び第3液位検出部材の下端部は、上下方向において、液体供給部の基端部の位置を含む略同一範囲内に配置され、第1液位検出部材の下端部は、略同一範囲内より上方に配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を付与する液体付与部材を備えた液体付与手段と、
前記液体付与手段で液体を付与された複数の前記媒体に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段が前記媒体に付与する液体を貯留する第1貯液部と、
先端部が前記液体付与部材に接続され、基端部が前記第1貯液部に貯留されている前記液体に浸かるように配置された液体供給部と、
第1液位検出部材、第2液位検出部材、及び第3液位検出部材を有する、前記第1貯液部に貯留されている前記液体の液位を検出する第1液位検出手段と、を備え、
前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の下端部は、上下方向において、前記液体供給部の基端部の位置を含む略同一範囲内に配置され、
前記第1液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より上方に配置されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
媒体に液体を付与する液体付与部材を備えた液体付与手段と、
前記液体付与手段で液体を付与された複数の前記媒体に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段が前記媒体に付与する液体を貯留する第1貯液部と、
先端部が前記液体付与部材に接続され、基端部が前記第1貯液部に貯留されている前記液体に浸かるように配置された液体供給部と、
第1液位検出部材、第2液位検出部材、及び第3液位検出部材を有する、前記第1貯液部に貯留されている前記液体の液位を検出する第1液位検出手段と、を備え、
前記第2液位検出部材の下端部は、上下方向において、前記液体供給部の基端部の位置を含む略同一範囲内に配置され、
前記第1液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より上方に配置され、
前記第3液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より下方に配置されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
前記第1貯液部に供給される前記液体を貯留する第2貯液部と、
前記第2貯液部から前記第1貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、
前記液体供給動作を規定する動作モードに基づいて、前記液体供給手段に前記液体供給動作を実行させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記動作モードが充填供給動作であるとき、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できるまで、前記液体供給動作を継続させ、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できたときに、前記液体供給部を通じて前記液体付与部材に液体が供給される供給待ち時間が経過するまで、前記液体供給動作を停止させ、
前記供給待ち時間が経過した後に、前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できないときに、前記液体供給手段に再び前記液体供給動作を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記動作モードが継ぎ足し供給動作であるとき、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できるまで、前記液体供給動作を継続させ、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できたときに、前記液体供給動作を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の間で液体が検出さたか否かによって、前記供給待ち時間を変更する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記動作モードを前記充填供給動作とし、
前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の間で液体が検出された場合に、前記動作モードを前記継ぎ足し供給動作とする
ことを特徴とする請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記液体供給動作を開始してから供給時間が経過しても、前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記第1液位検出手段が異常であると判断して前記液体供給動作を停止する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記液体供給手段を介して前記第1貯液部に接続されると共に、前記第2貯液部が着脱される貯液固定部と、
前記貯液固定部に貯留されている液体の液位を検出する第2液位検出手段と、を備え、
前記第2液位検出手段は、少なくとも3本以上の液位検出部材で構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記第2液位検出手段は、前記液位検出部材として、第4液位検出部材と、第5液位検出部材と、第6液位検出部材とを有し、
前記第4液位検出部材の下端部は、前記第5液位検出部材の下端部及び前記第6液位検出部材の下端部よりも上方に配置され、
前記第5液位検出部材の下端部は、前記第6液位検出部材の下端部よりも上方又は同じ高さに配置される
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記第4液位検出部材は、前記第5液位検出部材及び前記第6液位検出部材よりも短く、
前記第5液位検出部材は、前記第6液位検出部材よりも短い又は同じ長さである
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
情報を報知する報知手段を備え、
前記制御手段は、前記第5液位検出部材及び前記第6液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記第2貯液部への液体の補充を前記報知手段により報知する
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記第2貯液部が前記貯液固定部にセットされたことを検出するセット検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第2貯液部が前記貯液固定部にセットされたことを、前記セット検知手段により検出した場合において、
前記第1液位検出手段で前記第1貯液部の液体が検出されない場合に、前記液体供給手段に前記液体供給動作を実行させ、
前記第1液位検出手段で前記第1貯液部の液体が検出された場合に、前記液体供給手段に前記液体供給動作を実行させない
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第4液位検出部材及び前記第5液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記第1貯液部から前記貯液固定部に向けて液体を排出する液体排出動作を前記液体供給手段に実行させる
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1に記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。また、媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着処理部を備えるものがある。
【0003】
圧着綴じには、用紙束を構成する用紙の枚数が多いほど用紙束に綴じ歯が食い込みにくくなって、綴じた用紙が剥がれ落ちるなど、綴じ状態を適切に維持するのが困難であるという課題がある。そこで、圧着綴じを行う媒体処理装置には、綴じ歯を用紙束に食い込み易くするために、綴じ枚数に応じた量の液体を綴じ歯が接触する位置(以下、「綴じ位置」と表記する。)に付与する液体付与処理部を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1には、媒体処理装置において、貯留容器内の液量を検知して液面高さを制御することで処理液の塗布量を一定にする目的で、貯留容器内に流入する処理液を検知する液面センサが配置されている。そして、液面センサは、複数の電極ピンに電圧を加えたときに流れる電流によって、液面高さを検知するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液面センサは、液体供給用ローラを収容する貯留容器と異なる容器内の液量を検出するので、貯留容器内の液体に液体供給用ローラが浸漬されているか否かを正確に検出できるとは言い難い。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、液体供給部を通じて液体が供給される液体付与部材を備えた液体付与手段により媒体に液体を付与する媒体処理装置において、液体供給部の基端部が液体に浸漬されているか否かを適切に検出する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体に液体を付与する液体付与部材を備えた液体付与手段と、前記液体付与手段で液体を付与された複数の前記媒体に処理を施す後処理手段と、前記液体付与手段が前記媒体に付与する液体を貯留する第1貯液部と、先端部が前記液体付与部材に接続され、基端部が前記第1貯液部に貯留されている前記液体に浸かるように配置された液体供給部と、第1液位検出部材、第2液位検出部材、及び第3液位検出部材を有する、前記第1貯液部に貯留されている前記液体の液位を検出する第1液位検出手段と、を備え、前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の下端部は、上下方向において、前記液体供給部の基端部の位置を含む略同一範囲内に配置され、前記第1液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より上方に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体供給部を通じて液体が供給される液体付与部材を備えた液体付与手段により媒体に液体を付与する媒体処理装置において、液体供給部の基端部が液体に浸漬されているか否かを適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与手段側から見た模式図。
【
図5】端綴じ処理部の圧着手段の構成を示す模式図。
【
図6】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図7】変形例としての針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図8】後処理装置において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成図。
【
図9】端綴じ処理部による綴じ処理のフローチャート。
【
図10】端綴じ処理部による綴じ処理中における液体付与手段及び圧着手段の位置を示す図。
【
図11】後処理装置における第2貯液タンクの配置及び構成例。
【
図12】後処理装置における第2貯液タンクが第2貯液タンク固定部に対して着脱自在である様子と、第2貯液タンクに対する液体を補充する様子とを例示した図。
【
図14】第1貯液部の液位変化と液位検出を示す図。
【
図15】第1貯液部の液位検出部材の配置を示す図。
【
図16】第1液体供給部の液体吸収有無と液位検出部材の構成を示す図。
【
図20】液位検出部材故障確認動作のフローチャート。
【
図21】第2貯液タンク固定部の液位検出部の構成を示す図。
【
図22】第2貯液タンクから第1貯液タンクへの液体供給制御のフローチャート。
【
図23】液体使用可否判定方法、及び判定に用いる閾値の設定方法を説明する図。
【
図26】給排液モードの一つである液体排出動作の概要を説明する図
【
図27】液体排出動作の制御の流れを例示するフローチャート。
【
図29】液体供給モードの選択入力画面の例を示す図。
【
図34】姿勢切替部材による姿勢切替レバーの切替動作説明図。
【
図35】圧着手段及び液体付与手段を「斜め綴じ姿勢」に変更する際の動作説明図。
【
図36】圧着手段及び液体付与手段を「平行綴じ姿勢」に変更する際の動作説明図。
【
図37】圧着手段及び液体付与手段による平行綴じの動作説明図。
【
図38】第2実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図39】第2実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
【
図40】第2実施形態に係る圧着手段を搬送方向の下流側から見た模式図。
【
図41】第2実施形態に係る液体付与手段を用紙の厚み方向から見た図。
【
図44】第2実施形態に係る後処理装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図45】第2実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
【
図46】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成システム1の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、シート状の媒体の一種としての用紙Pに画像を形成する画像形成機能、画像が形成された用紙Pに対して所定の後処理を施す後処理機能、などを有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成機能を有する画像形成装置2と、本発明に係る後処理機能を有する媒体処理装置としての後処理装置3と、を連携して動作するように構成されている。
【0011】
なお、本実施形態では、画像形成システム1において処理の対象とするシート状の媒体 として「紙」を前提にする表記を用いている。しかし、本実施形態に係る処理の対象は、紙に限定されるものではない。例えば、従来から知られている画像形成プロセスを利用して画像形成が可能な媒体であれば、その種類などは問わない。また、折り処理や綴じ処理の対象物となりうる媒体も、これに含むものとし、素材や仕様などを限定するものではない。
【0012】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容される収容トレイ211と、収容トレイ211に収容された用紙Pを搬送する搬送部212と、搬送部212によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部213とを備える。画像形成部213は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。また、画像形成装置2は、搬送部212及び画像形成部213の各種動作を制御する制御部100aを備える。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明を省略する。
【0013】
なお、シート状の媒体の例として紙が広く知られている。そこで本明細書では、処理対象としてのシート状の媒体に関する記載をするときは「用紙P」を用いることとする。また、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束Pb」を例に用いることとする。
【0014】
[後処理装置3の第1実施形態]
図2は、第1実施形態に係る後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに所体の後処理を施す機能を備える。第1実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、第1実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、用紙Pの束を媒体束としての「用紙束Pb」と表記する。
【0015】
なお、本実施形態においては、圧着綴じ処理を行う場合の液体付与処理に関する説明を主に行う。しかし、針綴じ処理に関連して行う液体付与処理も同様のものである。また、以下の説明において「綴じ処理」と表記する場合は、前記「圧着綴じ処理」及び前記「針綴じ処理」の両方を含むものを意味し、綴じを行う方法(綴じ針を用いるのか、加圧変形なのか)に限定しないものとする。
【0016】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、用紙束Pbの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)、重なり合う用紙Pの繊維同士を絡ませることで、用紙P相互を結束させる処理である。当該圧着綴じ処理によって、用紙P同士の重なり合う部分の一部が相互に結束し合う状態になり、一束の用紙束Pbをなす状態になる。この圧着綴じ処理について、以下、「圧着綴じ」と表記する。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理(圧着綴じ、及び、針綴じのいずれも含む)は、用紙束Pbの端部を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央部を綴じる中綴じ処理を含むものとする。
【0017】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)及び切替部材20などと、よいb(制御手段)を備える。制御部100bは、搬送ローラ対10~19(搬送部)及び切替部材20などの動作を制御する。なお、制御部100bの詳細については、後述する。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第1搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第2搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第3搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対10及び11により搬送される用紙Pにパンチ処理を行うパンチ孔穿設手段132が、搬送ローラ対10と11の間に配置されている。
【0018】
第1搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から第1排出トレイ21に至る経路である。第2搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を経由して第2排出トレイ26に至る経路である。第3搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、第3排出トレイ30に至る経路である。
【0019】
切替部材20は、第1搬送路Ph1及び第2搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替部材20は、第1搬送路Ph1を通じて用紙Pを第1排出トレイ21に排出する第1位置と、第1搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第2搬送路Ph2に導く第2位置とに切り替え可能に構成されている。また、第2搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第3搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検出する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、
図2において黒塗り三角形(▲)で示している。
【0020】
後処理装置3は、第1排出トレイ21を備える。第1搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pは、第1排出トレイ21に載置される。第1排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0021】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、端綴じ用エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部155と、第2排出トレイ26とを備える。内部トレイ22と、端綴じ用エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部155は、第2搬送路Ph2から内部トレイ22に搬送される複数の用紙Pからなる用紙束Pbに端綴じ処理を施す。第2排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0022】
ここでいう「端綴じ処理」とは、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155により行われる綴じ処理をいう。具体的には、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0023】
以下、搬送ローラ対15から端綴じ用エンドフェンス23に向かって用紙Pが搬送される方向を、「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置2から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、第2排出トレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によって方向を転換して、それまでとは異なる方向である、端綴じ用エンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0024】
第2搬送路Ph2を経由して順番に搬送される複数の用紙Pは、載置トレイとしての内部トレイ22に一時的に載置される。端綴じ用エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、端綴じ用エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbに対して端綴じ処理を実行する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを第2排出トレイ26に排出する。
【0025】
さらに、後処理装置3は、中綴じ用エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、第3排出トレイ30とをさらに備える。中綴じ用エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第3搬送路Ph3を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに中綴じ処理を施す。第3排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0026】
中綴じ用エンドフェンス27は、第3搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、中綴じ用エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置の中綴じ用エンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置の中綴じ用エンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを第3排出トレイ30に排出する。
【0027】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25に、液体付与部材501(液体付与手段の一部)と、液体供給部材50(液体供給部)と、第1貯液タンク44(第1貯液部)を備える。なお、第1貯液タンク44及び液体供給部材50は、
図3においては図示を省略している。そして、後処理装置3は、第1貯液タンク44に対して液体を補充するための構成として、液体供給経路45(液体供給手段の一部)と、液体供給ポンプ46(液体供給手段の一部)、第2貯液タンク47(第2貯液部の一部)と、第2貯液タンク固定部61(第2貯液部の一部)とを備えている。第2貯液タンク47に貯留されている液体は、第2貯液タンク固定部61と、液体供給ポンプ46と、液体供給経路45とを介して第1貯液タンク44へと供給される。
【0028】
[端綴じ処理部25の詳細説明]
図3は、
図2に示した液体付与処理と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部25を、搬送方向の上流側から見た模式図である。
図4は、端綴じ処理部25を主走査方向の液体付与手段31側から見た模式図である。
図3に示すように、端綴じ処理部25は、用紙P又は用紙束Pbに対して液体を付与する液体付与手段31と、後処理手段の一例であって用紙束Pbに対して圧着綴じを行う圧着手段32とを備える。液体付与手段31及び圧着手段32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0029】
図4に示すように、液体付与手段31は、第1貯液タンク44に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。以下、液体付与手段31が用紙P又は用紙束Pbに対して液体付与すること、及び当該液体付与する際の液体付与手段31の動作を、「液体付与」と表記する。また、制御処理を伴う液体付与手段31の液体付与動作を「液体付与処理」と表記する。
【0030】
ここで、液体付与に用いる液体として第1貯液タンク44に貯留される液体は、さらに詳しくは、化学式「H2O」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていてもよい。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0031】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いてもよい。
【0032】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。又、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0033】
[液体付与手段31の構成]
図3及び
図4に示すように、液体付与手段31は、端綴じ処理部移動モータ55の駆動力が伝達されることによって、圧着手段32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与手段31は、用紙P又は用紙束Pbの載置台としての下押圧板33と、上押圧板34と、液体付与手段移動機構35を備える。液体付与手段31の構成部品(下押圧板33、上押圧板34、液体付与手段移動機構35、液体付与部移動モータ42)は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0034】
また、液体付与手段31の構成品を保持する液体付与フレーム31aは、その底面に駆動伝達ギヤ562aを備えた液体付与手段回転軸562が固定されている。液体付与手段回転軸562及び駆動伝達ギヤ562aは、液体付与フレーム31aが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ562aは、液体付与手段回動モータ563の出力ギヤ563aに噛み合っている。そして、液体付与手段31は、液体付与手段回動モータ563の駆動力が、出力ギヤ563a及び駆動伝達ギヤ562aを介して液体付与手段回転軸562に伝達されることによって、ベース部材48上において、液体付与手段回転軸562を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0035】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbは、下押圧板33にも載置される。下押圧板33は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの対面する位置において、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動可能に構成されている。すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に取り付けられた保持部37を介して保持される液体付与部材501(液体付与手段の一部)に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。なお、液体付与部材501は、後述する液体供給部材50(吸液体)の一方の端部であって、先端部分に相当する。
【0036】
液体付与手段移動機構35は、上押圧板34と、ベースプレート40と、保持部37と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、第1貯液タンク44とを用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与手段移動機構35は、単一の液体付与部移動モータ42によって、上押圧板34と、ベースプレート40と、保持部37と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、第1貯液タンク44を連動して移動させる。液体付与手段移動機構35は、例えば、液体付与部移動モータ42と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを備える。
【0037】
液体付与部移動モータ42は、上押圧板34と、ベースプレート40と、保持部37と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、第1貯液タンク44とを移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されると共に、液体付与フレーム31aに正逆方向に回転可能に支持されている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ42の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ42の駆動力が伝達されて台形ネジ38が正逆方向に回転することによってナット39が台形ネジ38上を往復移動する。
【0038】
ベースプレート40は、上押圧板34に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート40は、液体付与部材501の先端部分をベースプレート40から上押圧板34に向けて突出させた状態で、液体付与部材501を保持している。さらに、ベースプレート40は、ナット39を介して台形ネジ38に接続されており、台形ネジ38が正逆方向に回転することによって台形ネジ38に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート40の用紙P又は用紙束Pbの厚み方向の位置は、移動センサ40a(
図8参照)によって検知される。
【0039】
柱状部材41a、41bは、液体付与部材501の先端部分の周囲において、ベースプレート40から上押圧板34に向かって突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下押圧板33側の先端部で上押圧板34を保持している。また、柱状部材41a、41bの下押圧板33と反対側の先端部には、柱状部材41a、41bがベースプレート40から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下押圧板33側に向かって付勢する。
【0040】
液体付与手段31は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与手段31は、液体付与部材501を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも一枚の用紙Pに液体付与する。
【0041】
液体付与手段31は、第1液位検出部43(第1液位検出手段)と、第1貯液タンク44と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、保持部37とを備える。第1貯液タンク44は、用紙P又は用紙束Pbに液体付与するための液体を貯留する。第1貯液タンク44に貯留された液体は、第1液位検出部43によって検知される。また、第1貯液タンク44は、保持部37を介してベースプレート40に連結されている。
【0042】
液体付与部材501は、第1貯液タンク44に貯留された液体を用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与部材501と、液体付与部材501に密着するよう設置された液体供給部材50(吸液体)、及び第1貯液タンク44は、共に保持部37に保持されている。また、保持部37は、ベースプレート40に保持されている。液体供給部材50は、一方の端部が液体付与部材501に接続され、他方の端部が第1貯液タンク44に貯留された液体に浸っている。すなわち、液体供給部材50の他方の端部は、液体を吸い上げて液体付与部材501へと供給する基端部502に相当する。液体付与部材501及び液体供給部材50は、例えば連続気泡で形成された弾性樹脂のように、吸液率の高い材料(例えば、スポンジや繊維など)で構成されている。ただし、液体付与部材501及び/又は液体供給部材50は、液体を吸い上げて保つことができる性質を有する素材であって、用紙Pに接触した状態で加えられる押圧力に応じて潰れる性質を備えるものであれば、その種類は問わない。つまり、毛細管現象により液体を吸い上げることができる素材で構成されていればよい。
【0043】
したがって、液体供給部材50の他方の端部(基端部502)が、第1貯液タンク44に貯留されている液体に浸ると、液体供給部材50は、毛細管現象により液体を吸い上げる状態になる。すなわち、第1貯液タンク44に貯留されている液体は、液体供給部材50の基端部502から吸い上げられ、その吸い上げられた液体が液体供給部材50を通じて先端に接続されている液体付与部材501へと供給されるように構成されている。そして、第1貯液タンク44に貯留されている液体が、液体供給部材50の一方の端部に密着している液体付与部材501へと吸い上げられたことで、第1液位検出部43によって検知される第1貯液タンク44に貯留されている液体の液位(貯液量)が低下する。その結果、液体供給ポンプ46による第2貯液タンク47から第1貯液タンク44への液体の供給が行われる。
【0044】
また、液体付与部材501及び液体供給部材50は、上述のように別体として構成されている。それにより、液体付与部材501を液体供給部材50に対して着可能に構成することができる。その結果、例えば液体付与部材501が液体付与動作の繰り返しにより変形が生じ、適切な量の液体を用紙P又は用紙束Pbに付与できない状態になった場合は、液体付与部材501のみを交換可能とすることができるので、ユーザのラニングコスト低減に寄与することができる。
【0045】
なお、上記において液体供給部材50と液体付与部材501が別体である場合について説明したが、液体供給部材50と液体付与部材501は、同様の性質をもった材料(例えば、吸液率の高い材料)により一体的に構成されていてもよい。つまり、液体付与部材501が液体供給部材50の一部となるように構成することもできる。その場合は、毛細管現象による液体供給部材50からの液体付与部材501への液体の供給をよりスムーズに行うことが可能になるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0046】
そして、液体付与部材501が第1貯液タンク44の液体を吸い上げることで、一時的に、第1貯液タンク44における液位が後述する基準液位を下回り、これをトリガーとして第2貯液タンク47から第1貯液タンク44への液体が送られる一連の液体供給動作が実行される。そして、この液体供給動作は、主に、後処理装置3の起動時や、後処理装置3において液体付与を伴う綴じ処理の実行開始時に行うものであり、液体付与部材501を用いた液体付与を実行可能な状態にするための液体供給動作に相当する。以下において、当該液体供給動作を「充填供給動作」と表記する。なお、充填供給動作の詳細については後述する。
【0047】
また、端綴じ処理部25又は後処理装置3には、第2貯液タンク47が設けられている。第2貯液タンク47は、端綴じ処理部25又は後処理装置3に設けられた第2貯液タンク固定部61(第2貯液部の一部)に対して着脱自在に構成されている(
図12参照)。第2貯液タンク47は、第2貯液タンク固定部61(第2貯液部の一部)に所定の姿勢で固定(セット)することで、貯留されている液体を第1貯液タンク44へ供給することができるように構成されている。
【0048】
液体供給ポンプ46により第2貯液タンク47から第1貯液タンク44へ液体を供給する動作は、主に、第1貯液タンク44における貯液量(液位)が後述する基準液位を低下したことをトリガーとして実行される。第1貯液タンク44の貯液量(液位)は、液体付与手段31による液体付与によって液体が消費されることで低下する。すなわち、第2貯液タンク47から第1貯液タンク44へ液体を供給する動作は、液体付与手段31による液体付与を含むジョブの実行によって必要となる液体供給動作に相当する。
【0049】
この液体供給動作は、第1貯液タンク44の貯液量(液位)が、後述する基準液位を下回る都度において、第1貯液タンク44に液体を継ぎ足すように補給する動作に相当する。以下において、当該液体供給動作を「継ぎ足し供給動作」と表記する。なお、継ぎ足し供給動作の詳細については後述する。
【0050】
第2貯液タンク47を第2貯液タンク固定部61にセットすると、第2貯液タンク47の液体が第2貯液タンク固定部61に一定量充填される。第2貯液タンク固定部61にはセット検知センサ51(セット検知手段)が設けられている(
図12(B)参照)。このセット検知センサ51が、第2貯液タンク47の第2貯液タンク固定部61へのセット状態(
図12(C)参照)を検知すると、それを知らせる信号が後述する制御部100bに通知される。これによって、制御部100bは、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされているか否かを検知できるように構成されている。
【0051】
第1貯液タンク44と第2貯液タンク47は、液体供給経路45によって接続されている。第2貯液タンク固定部61の近傍には、液体供給ポンプ46が設けられている。この液体供給ポンプ46が動作することで、第2貯液タンク47に貯留されている液体が、液体供給経路45を介して第2貯液タンク47から第1貯液タンク44へ供給(補給)される。したがって、第2貯液タンク固定部61は、第2貯液タンク47から第1貯液タンク44に液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段の構成品である。また、液体供給経路45は、可撓性を有する材料で形成されている。これにより、液体付与手段移動機構35により第1貯液タンク44が移動しても確実に第2貯液タンク47から第1貯液タンク44に液体を供給することができる。
【0052】
第2貯液タンク47から第1貯液タンク44への液体の補給量は、第1液位検出部43の検知結果に応じて制御することができる。すなわち、後述する制御部100bは、第1液位検出部43の検知結果に基づいて、第1貯液タンク44の貯液量(液位)を判定する。そして、後述する制御部100bは、判定された第1貯液タンク44の貯液量(液位)に応じて、液体供給ポンプ46の動作速度や動作時間を制御することで、第1貯液タンク44に補充される液体の量を調整し、第1貯液タンク44における貯液量(液位)を一定に保つように制御することができる。
【0053】
[圧着手段32の構成]
図3に示すように、後処理手段としての圧着手段32は、凹凸状の上圧着歯32a及び下圧着歯32bによって、用紙束Pbの液体付与手段31により液体付与された少なくとも一部分(すなわち、液体付与位置)に圧力を加えることで変形させ、この一部分の用紙P同士を圧着させることで、用紙束Pbを綴じる。すなわち、圧着手段32は、綴じ針を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着手段32の構成部品(上圧着歯32a、下圧着歯32b)は、圧着フレーム32cに設けられている。以下、圧着手段32によって用紙束Pbの所定の位置を加圧変形させて綴じることを単に「圧着綴じ」と表記する。また、制御処理を伴う圧着手段32の圧着綴じ動作を「圧着綴じ処理」と表記する。
【0054】
図5は、圧着手段32の構成を示す模式図である。
図5に示すように、圧着手段32は、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを備える。上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯32a及び下圧着歯32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32d(
図8参照)の駆動力によって接離する。
【0055】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図5(A)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、
図5(B)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32dの駆動力によって噛み合うことで用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、第2排出トレイ26に排出される。
【0056】
なお、圧着手段32の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されない。例えば、正転のみ又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であってもよいし、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するねじ機構により、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0057】
また、
図3に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構57を備える。端綴じ処理部移動機構57は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構57は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ55と、端綴じ処理部移動モータ55の駆動力をベース部材48に伝達する駆動力伝達機構551と、待機位置センサ 540(
図8参照)を備える。
【0058】
液体付与手段31及び圧着手段32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。
図3及び
図4に示すように、案内軸49は、綴じ機構ベース116における搬送方向の上流側において、主走査方向に設けられ複数の案内軸ブラケット49a、49bにより保持されている。また、案内軸49は、綴じ機構ベース116上において主走査方向に延設されており、ベース部材48を主走査方向に移動可能に保持している。また、
図4に示すように、案内レール115は、綴じ機構ベース116における搬送方向の下流側において主走査方向に延設されている。また、案内レール115は、ベース部材48に回転可能に設けられた走査コロ48aと主走査方向に亘って嵌合する被嵌合部115aを備えている。つまり、ベース部材48は、案内軸49及び案内レール115によって、綴じ機構ベース116上において主走査方向に移動可能に保持される。
【0059】
端綴じ処理部移動モータ55は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構551は、端綴じ処理部移動モータ55の駆動力を、プーリ551a、551bと、タイミングベルト551cと、ベース部材48とタイミングベルト551cを締結する締結部48bと、を介してベース部材48に伝達する。これにより、ベース部材48によって一体化された液体付与手段31及び圧着手段32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。
【0060】
本実施形態に係る端綴じ処理部移動モータ55は、例えば、移動の度に原点位置(例えば、後述する待機位置HP)に端綴じ処理部25を戻さなくても、端綴じ処理部25を目標位置(後述する第1綴じ位置B1、第2綴じ位置B2)に停止させることができるサーボモータである。
【0061】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25が待機位置HP(
図10(A)参照)に到達したことを検知する待機位置センサ540(例えば、遮光型の光学センサである。
図8参照。)と、端綴じ処理部移動モータ55の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ541(
図8参照)とを備えている。そして、後述する制御部100bは、待機位置センサ540の検知結果に基づいて、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達したことを検知する。また、制御部100bは、エンコーダセンサ541から出力されるパルス信号をカウントすることによって、待機位置HPから移動した端綴じ処理部25の現在位置を把握する。
【0062】
ただし、端綴じ処理部25を待機位置HPに戻さずに目標位置に停止させる具体的な方法は、前述の例に限定されない。他の例として、後処理装置3は、予め定められた目標位置に端綴じ処理部25が到達したことを検知するセンサを備えてもよい。
【0063】
また、
図3に示すように、圧着手段32の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ54aを備えた圧着手段回転軸54が固定されている。圧着手段回転軸54及び駆動伝達ギヤ54aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ54aは、圧着手段回動モータ56の出力ギヤ56aに噛み合っている。そして、圧着手段32は、圧着手段回動モータ56の駆動力が、出力ギヤ56a及び駆動伝達ギヤ54aを介して圧着手段回転軸54に伝達されることによって、ベース部材48上において、圧着手段回転軸54を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0064】
なお、端綴じ処理部25は、圧着手段32と液体付与手段31が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧着手段32と液体付与手段31が、それぞれ別個独立に移動する構成であってもよい。
【0065】
[針綴じ処理部155の説明]
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部155の詳細について説明する。
図6は、針綴じ処理部155を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる針綴じ手段62を備える。針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部25に対して主走査方向に離間して配置されている。
【0066】
後処理手段としての針綴じ手段62は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ手段62は、針綴じ部62aを駆動する針綴じ部駆動モータ62d(
図8参照)を備えている。そして、針綴じ部62aは、針綴じ部駆動モータ62dの駆動力により針綴じ部62aに装填された綴じ針を、用紙束Pbに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0067】
また、
図6に示すように、針綴じ処理部155は、針綴じ処理部移動機構77を備える。針綴じ処理部移動機構77は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる。針綴じ処理部移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ処理部移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを備える。駆動力伝達機構81は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力を、プーリ81a、81bと、タイミングベルト81cと、ベース部材78とタイミングベルト81cを締結する締結部78aと、を介してベース部材78に伝達する。さらに、針綴じ手段62の構成品を保持する針綴じフレーム62bは、その底面に駆動伝達ギヤ83aを備えた針綴じ手段回転軸83が固定されている。
【0068】
針綴じ手段回転軸83及び駆動伝達ギヤ83aは、針綴じフレーム62bが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ83aは、針綴じ手段回動モータ82の出力ギヤ82aと噛み合っている。そして、針綴じ手段62は、針綴じ手段回動モータ82の駆動力が、出力ギヤ82a及び駆動伝達ギヤ83aを介して針綴じ手段回転軸83に伝達されることによって、ベース部材78上において、針綴じ手段回転軸83を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0069】
なお、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、端綴じ処理部移動機構57及び針綴じ処理部移動機構77は、共通の案内軸49に沿って端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる。さらに、端綴じ処理部移動機構57及び針綴じ処理部移動機構77は、端綴じ処理部25および針綴じ処理部155を独立して移動することができる。
【0070】
[針綴じ処理部155の変形例の構成]
図7は、針綴じ処理部155の変形例としての針綴じ処理部155´を示したものであり、針綴じ処理部155´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62だけではなく、第2液体付与手段612を備えている点で針綴じ処理部155と相違する。
図7に示すように、針綴じ処理部155´は、第2液体付与手段612と、針綴じ手段62とを備える。第2液体付与手段612及び針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0071】
第2液体付与手段612は、第3貯液タンク73に貯留された液体を、内部トレイ22に支持された用紙P又は用紙束Pbに付与する液体付与を実行する。第2液体付与手段612によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じ手段62が針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。
図7に示すように、第2液体付与手段612は、第2下押圧板63と、貫通口34aを備えた第2上押圧板64と、第2液体付与手段移動機構65と、第2液体付与機構66とを備える。第2液体付与手段移動機構65は、例えば、第2液体付与部移動モータ67と、第2台形ネジ68と、第2ナット69と、第2ベースプレート70と、第2柱状部材711a、711bと、第2コイルバネ721a、721bとを備える。
【0072】
第2液体付与機構66は、第3貯液タンク73と、第2液体供給部材75と、第2液体付与部材74と、第2ジョイント76とを備える。第2液体付与機構66の構成は、
図3及び
図4で説明した液体付与手段31の液体付与機構(第1貯液タンク44、液体供給部材50、液体付与部材501、保持部37)と共通するので、再度の説明は省略する。また、針綴じ手段62の構成は、
図6に示す針綴じ処理部155と同様なので詳細な説明は省略する。また、第2液体付与手段612の回動機構(液体付与手段回動モータ563、出力ギヤ563a、駆動伝達ギヤ562a、液体付与手段回転軸562)は、
図3に示した液体付与手段31の回動機構と共通するので再度の説明は省略する。
【0073】
図7で示した針綴じ処理部155´のように、針綴じ処理においても、用紙Pに液体付与を行うことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Pbの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0074】
[後処理装置3の制御ブロックの構成]
次に、後処理装置3の制御ブロック構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、後処理装置3における制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。
図8に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、I/F105とが共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0075】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0076】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101と、RAM102と、ROM103と、HDD104と、I/F105とは、後処理装置3の動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0077】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替部材20と、サイドフェンス24L、24Rと、接離モータ32dと、圧着手段回動モータ56と、液体付与部移動モータ42と、液体付与手段回動モータ563と、端綴じ処理部移動モータ55と、針綴じ部駆動モータ62dと、針綴じ手段回動モータ82と、針綴じ処理部移動モータ80と、液体供給ポンプ46と、移動センサ40aと、第1液位検出部43と、第2液位検出部58と、セット検知センサ51と、待機位置センサ540と、エンコーダセンサ541と、操作パネル110と、を共通バス109に接続するインタフェースである。
【0078】
制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替部材20と、サイドフェンス24L、24Rと、接離モータ32dと、圧着手段回動モータ56と、液体付与部移動モータ42と、液体付与手段回動モータ563と、端綴じ処理部移動モータ55と、針綴じ部駆動モータ62dと、針綴じ手段回動モータ82と、針綴じ処理部移動モータ80と、液体供給ポンプ46の動作を制御する。また、制御部100bは、移動センサ40aと、第1液位検出部43と、第2液位検出部58と、セット検知センサ51と、待機位置センサ540と、エンコーダセンサ541の検知結果を取得する。なお、
図8には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155に関する構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28に関する構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0079】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。また、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0080】
以上説明をしたとおり、後処理装置3は、制御部100bが備えるハードウェア資源を用いて、CPU101が実行するソフトウェア(制御プログラム)によって、液体付与に関連する動作制御を行う機能を実現する。
【0081】
なお、後処理装置3が実行する液体付与は、針綴じ処理部155には針綴じ手段62のみを備える形態とし、液体付与は端綴じ処理部25が備える液体付与手段31を利用する形態でもよい。また、逆に、端綴じ処理部25には圧着手段32のみを備える形態とし、液体付与は第2液体付与手段612を利用する形態でもよい。すなわち、綴じ処理の種類に関わらず、液体付与手段31か第2液体付与手段612が液体付与を行うように構成されていてもよい。
【0082】
また、針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62と第2液体付与手段612が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、針綴じ手段62と第2液体付与手段612が、それぞれ別個独立に移動する構成でもよい。
【0083】
[綴じ処理の説明]
次に、後処理装置3が備える端綴じ処理部25において実行される綴じ処理の流れについて説明する。
図9は、1箇所綴じ処理を実行する際のフローチャートである。
図10は、1箇所綴じ処理の実行中における端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)の位置の遷移を示す図である。なお、
図10では、液体付与手段31及び圧着手段32の姿勢の変化については図示を省略している。また、液体付与手段31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1、B2)を付して説明する。
【0084】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得したタイミングで、
図9に示す綴じ処理を開始する。
【0085】
綴じ処理指示は、例えば、用紙Pの種類(素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報を含む。)と、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの部数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、用紙束Pbの綴じ位置と、端綴じ処理部25の綴じ姿勢とを含む。また、液体付与手段31及び圧着手段32は、
図10(A)に示すように、綴じ処理の開始時点において、平行綴じ姿勢で、かつ内部トレイ22に載置された用紙Pから幅方向に外れた位置である待機位置HPに位置しているものとする。
【0086】
まず、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合は、制御部100bは、液体付与手段回動モータ563及び圧着手段回動モータ56を駆動して、端綴じ処理部25を構成する液体付与手段31及び圧着手段32を斜め綴じ姿勢に回転させる(S901)。なお、「斜め綴じ姿勢」である場合には、圧着手段32のみを斜め綴じ姿勢に回転させ、液体付与手段31は正逆方向に回転させないようにしてもよい。これにより、液体付与手段31及び圧着手段32を共に正逆方向に回転させる場合に比べて駆動機構を簡素化することができるので、コストダウン、装置の小型化、及び機器の故障の低減という効果を奏する。
【0087】
一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、制御部100bは、上述した端綴じ処理部25を構成する液体付与手段31及び圧着手段32を斜め綴じ姿勢に回転させる動作は省略される。
【0088】
制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、綴じ処理指示で指示された第1液体付与位置B1に液体付与手段31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S901)。なお、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、ステップS901の処理を実行する。
【0089】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S902)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを主走査方向に移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する(S902)。
【0090】
次に、制御部100bは、直前のステップS902で内部トレイ22に載置された用紙Pの第1液体付与位置B1に対して、事前に調整された液体付与制御データに基づいて、第1液体付与位置B1に対面する液体付与手段31に液体付与を実行させる(S903)。すなわち、制御部100bは、液体付与部移動モータ42を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの第1液体付与位置B1に液体付与部材501を接触させる(
図10(B)参照)。ステップS903における液体付与処理において、制御部100bは、綴じ処理指示に含まれる用紙Pの種類や、綴じ位置に応じて、液体付与部材501が用紙Pに対して液体を付与する位置を調整する。また、制御部100bは、液体付与部材501を用紙Pに押圧する量を調整する。すなわち、制御部100bは、調整された制御データに基づいて、液体付与部移動モータ42の駆動を制御して、内部トレイ22に載置された用紙Pの第1液体付与位置B1に対する液体付与部材501の移動量を調整する。
【0091】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙の枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S904)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達していないと判定した場合(S904:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達するまで(S904:Yes)、ステップS902~S904の処理を繰り返し実行する。すなわち、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS902~S904の処理を実行する。なお、液体付与手段31による液体付与は、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pの全てに対して行われる場合だけではなく、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pのうち一部の用紙Pのみに対して行われてもよい。
【0092】
そして、制御部100bは、内部トレイ22に収容された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達したと判定した場合(S904:Yes)、
図10(C)に示すように、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、圧着手段32が第1綴じ位置B1に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S905)。
【0093】
次に、制御部100bは、圧着手段32に、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに対して圧着綴じを実行させる(S906)。そして、制御部100bは、搬送ローラ対15に、圧着手段32により圧着綴じされた用紙束Pbを第2排出トレイ26に排出させる(S907)。すなわち、制御部100bは、接離モータ32dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第1綴じ位置B1を、上圧着歯32a及び下圧着歯32bに挟持させる。これにより、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの間で用紙束Pbを加圧変形させ圧着綴じを行う。その後、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを第2排出トレイ26に排出する。
【0094】
なお、内部トレイ22に支持された用紙束Pb上において、ステップS906で上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域(第1綴じ位置B1に相当)は、ステップS903で液体付与部材501の先端部が接触した液体付与領域(第1液体付与位置B1に相当)に重なる。換言すれば、圧着手段32は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbにおいて、液体付与手段31によって液体が付与された領域を圧着綴じする。なお、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域は、液体付与部材501の先端部が接触した液体付与領域に完全に重なっている必要はなく、部分的に重なっている場合でも充分な綴じ強度を得ることができる。
【0095】
次に、制御部100bは、第2排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S908)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mに達していないと判定した場合(S908:No)、ステップS902以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部100bは、第2排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mに達するまで(S908:No)、ステップS902~S908の処理を繰り返し実行する。
【0096】
一方、制御部100bは、第2排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mに達したと判定した場合(S908:Yes)、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、
図10(A)に示すように端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)を待機位置HPに移動させる(S909)。また、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、液体付与手段回動モータ563及び圧着手段回動モータ56を駆動して、液体付与手段31及び圧着手段32を平行綴じ姿勢に回転させる(S909)。一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与手段31及び圧着手段32を平行綴じ姿勢へ回転させる動作は省略される。これにより、端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)が
図10(A)の待機位置HPに戻る。なお、ステップS901、S909において、液体付与手段31及び圧着手段32を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0097】
[第2貯液タンク47の詳細]
次に、後処理装置3における第2貯液タンク47の配置及び構成について
図11及び
図12を用いて説明する。
図11はメインタンクとしての第2貯液タンク47の配置及び構成例である。
図11(A)は、後処理装置3の開閉カバー71を開放した状態を例示している。
図11(B)は、後処理装置3を側面から見た断面図であって、後処理装置3の開閉カバー71を閉じた状態を例示している。
図11(A)に示すように、第2貯液タンク47は後処理装置3の開閉カバー71を開けるとアクセスできる位置に設置されている。また、
図11(B)に示すように、第2貯液タンク47及び第2貯液タンク固定部61は、後処理装置3の奥行き方向(X方向)における手前側に配置されている。また、第1貯液タンク44等は、後処理装置3の奥行き方向(X方向)における奥側に配置されている。そして、第2貯液タンク47及び第2貯液タンク固定部61の配置位置と、第1貯液タンク44等の配置位置の間には、後処理装置3の本体側板72が設けられている。第2貯液タンク固定部61は、後処理装置3の本体側板72に取り付けられている。
【0098】
図12は、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61に対して着脱自在である様子と、第2貯液タンク47に対する液体Wを補充する様子を例示している。
図12(A)に示すように、第2貯液タンク47は、第1貯液タンク44に液体Wを補充できるようにするために第2貯液タンク固定部61に対して着脱可能に構成されている。そして、
図12(B)に示すように、第2貯液タンク固定部61には、第2貯液タンク固定部61に第2貯液タンク47がセットされたことを検知するセット検知センサ51(セット検知手段)が設けられている。
【0099】
このセット検知センサ51が、第2貯液タンク47の第2貯液タンク固定部61へのセット状態(
図12(C)参照)を検知すると、それを知らせる信号が制御部100bに通知される。これによって、制御部100bは、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされているか否かを検知できるように構成されている。
【0100】
また、第2貯液タンク固定部61には、貯められる液体Lの量を検出するための第2液位検出部58(第2液体検知手段)が設けられている。第2液位検出部58の出力値(電圧)は、制御部100bに通知される。そして、制御部100bは、第2液位検出部58の出力値(電圧)を判定することで、第2貯液タンク固定部61の貯液量が必要な液量であるかどうかを判定する。そして、制御部100bは、セット検知センサ51の出力信号によって、第2貯液タンク47がセット状態にあると判定したときに、第2液位検出部58を通電ONにして第2貯液タンク固定部61内の液体の有無(液位)を検知可能な状態にする。
【0101】
また、第2貯液タンク47は、第2貯液タンク固定部61にセットされていない状態(未セット状態)では、給液弁471により液体排出口471aが塞がれて液体Wが漏れない構造になっている。そして、
図12(C)に示すように、第2貯液タンク47を第2貯液タンク固定部61にセットすると給液弁471が押し上げられて、第2貯液タンク47の液体排出口471aが開放されるので、液体Wが第2貯液タンク47から第2貯液タンク固定部61に流れ出る状態になる。その結果、第2貯液タンク47に貯留されている液体Wが第2貯液タンク固定部61に流れ出ることになる。そして、第2貯液タンク47から流れ出た液体Wは、第2貯液タンク固定部61に貯まるようになっている。
【0102】
なお、後処理装置3のメンテナンス時や液体Wの凍結を防止するための対策として、後処理装置3内の液体Wを抜き取る「液抜き処理」を行う場合がある。液抜き処理では、第1貯液タンク44及び液体供給経路45に残っている液体Wを、液体供給ポンプ46により液体供給経路45を介して第2貯液タンク固定部61まで逆方向に給送する。そのため第2貯液タンク固定部61は、第1貯液タンク44及び液体供給経路45内の液体Wを貯められる容量に設定する。また、
図12(B)及び
図12(C)に示すように、第2貯液タンク固定部61には液抜き栓611が設けられている。液体供給ポンプ46により、第1貯液タンク44及び液体供給経路45に残っていた液体Wが第2貯液タンク固定部61まで逆方向に給送された後、液抜き栓611を開放することで第2貯液タンク固定部61に貯まった液体Wを後処理装置3の外部へ排出することができるようになっている。
【0103】
[液体付与手段31の構成]
次に、液体付与手段31の構成について説明する。
図13は、液体付与手段31の構成を示す図である。第2貯液タンク47に補給された液体は、液体供給手段としての液体供給ポンプ46によって、液体供給経路45を介して第1貯液タンク44に供給される。第1貯液タンク44内には、液体供給部材50(液体供給部)が配置されている。液体供給部材50の先端には、液体付与部材501が設けられている。液体供給部材50の基端部502は、第1貯液タンク44内の液体Wに浸漬されている。第1貯液タンク44内の液体Wは、液体供給部材50の基端部502から毛細管現象により吸い上げられ、液体付与部材501に送られる。
【0104】
第1貯液タンク44内には、液体Wの液位を検出する第1液位検出部43(第1液位検出手段)が配置されている。制御部100bは、この第1液位検出部43によって得られた信号を基に、液体供給ポンプ46の動作開始と停止の制御を行う。第1液位検出部43は、複数の第1~第3液位検出センサ431、432、433によって構成されている。第1~第3液位検出センサ431、432、433には、電極センサ、フロートセンサ、静電容量センサなどを液体Wの有無を検出可能なセンサを用いることを想定している。昨今、媒体処理装置及び画像形成システム1では機器の小型化が求められているため、以下では省スペースで液位検出が可能な電極センサを採用した場合の実施例について説明する。
【0105】
電極センサは、一対の電極間の通電による電気信号の変化を読み取るものを用いる。一対の電極が液体Wに接触して通電したときに、電気信号(抵抗、電圧、電流など)があらかじめ設定された閾値に達するか否かで液体Wの有無を検出する。液体Wの有無の検出をするためには、電極に通電した状態で一対の電極が液体Wに接触して電極間に電流が流れる必要があるため、液位を検出するには少なくとも一対の電極が必要である。そのため、第1貯液タンク44内の液体Wが“満量となった場合(満量状態)”と“枯渇した場合(枯渇状態)”との2パターンの液位の状態を検出したい場合には少なくとも3本の電極が必要となる。満量状態の検出を行いたい高さに電極を1本配置し、残りの2本は第1貯液タンク44の底面近くに配置することで液体Wが枯渇状態であることを検出することができる。上記においては、電極を3本として第1貯液タンク44内の液体Wの満量状態と枯渇状態の2パターンの液位の状態を検出する場合について説明したが、電極の3本以上に増やし、それら3本以上の電極の下端部をそれぞれ上下方向に位置をずらして配置することにより、第1貯液タンク44内の液体Wの満量状態と枯渇状態の間の状態、例えば第1貯液タンク44内の液体Wが50%や30%などの状態であることを検出できるようにしてもよい。
【0106】
第1~第3液位検出センサ431、432、433は、長尺棒状の電極から構成されている。また、第1~第3液位検出センサ431、432、433は、上下方向に延設されている。さらに、第1~第3液位検出センサ431、432、433の下端は、第1貯液タンク44内に配置されている。そして、第1~第3液位検出センサ431、432、433は、後述する制御部100bに電気的に接続されている。第1液位検出センサ431は第1液位検出部材の一例であり、第2液位検出センサ432は第2液位検出部材の一例であり、第3液位検出センサ433は第3液位検出部材の一例である。
【0107】
そして、第1液位検出センサ431の下端は、少なくとも第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433の下端より上方に配置されている。一例として、
図13に示すように、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433の下端は、略同一範囲内に配置されている。一方、第1液位検出センサ431の下端は、略同一範囲より上方に配置されている。「略同一範囲」とは、上下方向において、液体供給部材50の基端部502の位置を含む予め定められた範囲である。より詳細には、「略同一範囲」とは、液体供給部材50の基端部502と、第1~第3液位検出センサ431、432、433の下端部とが上下方向において実質的に同一の位置であると評価できる微小な範囲を指す。
【0108】
他の例として、
図14(D)に示すように、第2液位検出センサ432の下端部は、略同一範囲内に配置されていてもよい。また、第1液位検出センサ431の下端部は、略同一範囲より上方に配置されていてもよい。さらに、第3液位検出センサ433の下端部は、略同一範囲より下方に配置されていてもよい。
【0109】
[第1貯液タンク44の液位変化と液位検出]
次に、第1貯液タンク44内の液位変化による液位検出について説明する。
図14は、第1貯液タンク44の液位変化と液位検出を示す図である。
【0110】
図14(A)は、第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態の場合を示している。すなわち、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433の全てが液体Wに接触している。そのため、通電時に第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433の全ての間で液位検出が可能である。すなわち、第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433の下端より上方に配置されている第1液位検出センサ431と、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433とがいずれも液体Wに接触した状態で通電し、第1~第3液位検出センサ431~433の間に電流が流れると第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態であることが検出される。
【0111】
図14(B)は、第1貯液タンク44内に液体Wは存在しているが、満量状態ではない状態を示している。すなわち、第1液位検出センサ431のみ液体Wに接触しておらず、他の第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433は、液体Wに接触している。通電時、第1液位検出センサ431は、液体Wと接触しておらず電流が流れないので満量状態は検出されないが、他の第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433の間では電流が流れる。そのため、制御部100bは、第1貯液タンク44内に液体Wが満量でない状態で存在すると判定する。
【0112】
図14(C)は、第1貯液タンク44内の液体Wが枯渇状態の場合を示している。この場合、第1貯液タンク44内に液体Wは存在していない。その結果、全ての第1~第3液位検出センサ431~433は液体Wに接触していないため、通電したとしても第1~第3液位検出センサ431~433の間に電流が流れず、第1貯液タンク44内の液体Wの液位の検出がされない。そのため、制御部100bは、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しないと判定する。
【0113】
図14(D)は、
図14(C)と同様に第1貯液タンク44内の液体Wが枯渇状態の場合を示している。第3液位検出センサ433が液体Wに接触しているが、他の第1液位検出センサ431、及び第2液位検出センサ432が液体Wに接触していないため、通電しても第1~第3液位検出センサ431~433の間には電流が流れない。そのため、制御部100bは、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しないと判定する。
【0114】
[第1~第3液位検出センサ431~433の配置]
次に、第1貯液タンク44の第1~第3液位検出センサ431~433の配置について説明する。
図15は、第1貯液タンク44の第1~第3液位検出センサ431~433の配置を示す図である。一例として、第1液位検出部43は、
図15(A)に示すように、それぞれ異なる長さの第1~第3液位検出センサ431~433を備えてもよい。他の例として、第1液位検出部43は、
図15(B)に示すように、同じ長さの第1~第3液位検出センサ431~433を上下方向の位置をずらして配置してもよい。
【0115】
図15(A)において、第1液位検出センサ431は、第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433よりも短い。また、第2液位検出センサ432は、第3液位検出センサ433よりも短い又は同じ長さになっている。このように第1~第3液位検出センサ431~433の長さを調整することによって、液位検出の範囲を調整する。
【0116】
図15(B)において、第1液位検出センサ431は、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433よりも上方に配置されている。また、第2液位検出センサ432は、第3液位検出センサ433よりも上方又は同じ高さに配置されている。このように同じ長さの第1~第3液位検出センサ431~433の上下方向における設置高さを変更することで、同じ部品を流用できるため、コストを抑えることができる。
【0117】
[液体供給部材50の液体吸収有無の判別]
次に、液体供給部材50の液体吸収有無を判別する方法について説明する。
図16は液体供給部材50の液体吸収有無と液位検出部材の構成を示す図である。
【0118】
図16(A)及び
図16(C)は、第1貯液タンク44内に液体Wが満量状態ではない状態で存在しており、液体供給部材50が液体Wと接触して液体Wを吸収している状態である。この時、第1液位検出センサ431は液体Wに接触しておらず、第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433は液体Wに接触している。この状態で通電しても第1~第3液位検出センサ431~433の間には電流が流れない。そのため、制御部100bは、第1貯液タンク44内に液体Wが存在すると判定する。
【0119】
図16(B)は、第1貯液タンク44内に液体Wがほとんど存在しておらず、液体供給部材50は液体Wを吸収していない状態である。また、第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433の下端部は、液体供給部材50の基端部502と略同じ高さに配置されている。そのため、第1~第3液位検出センサ431~433は、全て液体Wに接触していない。この状態で通電しても第1~第3液位検出センサ431~433の間には電流が流れない。その結果、制御部100bは、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しないと判定すると共に、液体供給部材50に液体供給が行われていないことも検出できる。ここでいう略同じ高さとは、第1~第3液位検出センサ431~433の下端部が、液体供給部材50の基端部502よりも若干上方または若干下方に位置する高さも含まれる。
【0120】
図16(D)は、第1貯液タンク44内に液体Wがほとんど存在しておらず、液体供給部材50は液体Wを吸収していない状態である。また、第2液位検出センサ432の下端部は液体供給部材50の基端部502と略同じ高さに配置され、第3液位検出センサ433の下端部は液体供給部材50の基端部502よりも下方に配置されている。そのため、第1液位検出センサ431、及び第2液位検出センサ432は液体Wに接触しておらず、第3液位検出センサ433のみが液体Wに接触している。この状態で通電しても第1~第3液位検出センサ431~433の間には電流が流れない。その結果、制御部100bは、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しないと判定すると共に、液体供給部材50に液体供給が行われていないことも検出できる。
【0121】
[充填供給制御]
次に、液体供給部材50に液体Wが吸収された分の液体Wを、第1貯液タンク44に補給する充填供給動作の制御(「充填供給制御」という。)について説明する。
図17は、充填供給制御のフローチャートである。
図17に示す充填供給制御のフローチャート内では、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433を、それぞれ「液位センサ1」、「液位センサ2」、「液位センサ3」と表記する。
図17に示す充填供給制御は、例えば、後処理装置3の起動時や針無し綴じJOBの開始時に実行される。充填供給制御は、液位センサ1と液位センサ2の間で出力電圧が検出されるまで液体供給を行った後に、液体供給部材50が液体Wを吸収したことによって液面が下がり、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により液体Wが検出されなくなった場合に、再度第1貯液タンク44に液体Wの供給を行う制御である。
【0122】
後処理装置3が液体有無確認要求を行うと(S1501)、制御部100bは、液位センサ1~3に電力を供給(以下、「通電ON」と表記する。)し(S1502)、第1貯液タンク44内の液体W有無を確認する(S1503)。そして、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧が閾値Vs以上の場合に、第1貯液タンク44内に液体W存在すると判断する(S1503:Yes)。また、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧が閾値Vs以上の場合に、第1貯液タンク44内の液体Wは満量状態であると判断する(S1504:Yes)。このとき、制御部100bは、液位センサ1~3への電力の供給を停止(以下、「通電OFF」と表記する。)し(S1505)、液体付与準備完了を通知して(S1506)、充填供給制御を終了する。
【0123】
一方、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧が閾値Vs以上で(S1503:Yes)、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧が閾値Vs未満の場合に(S1504:No)、第1貯液タンク44内に液体Wは存在するが満量状態ではないと判定する。このとき、制御部100bは、液体供給ポンプ46を駆動して、第2貯液タンク47から第1貯液タンク44に液体Wを供給する液体供給動作を実施する(S1507)。そして、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態であると判定するまで、液体供給ポンプ46の駆動を継続する(S1508:No)。
【0124】
次に、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内に液体Wが満量状態であると判定した場合に(S1508:Yes)、液体供給ポンプ46を停止して(S1509)、液位センサ1~3を通電OFFする(S1510)。次に、制御部100bは、液体供給部材50への液体供給が完了するまでの供給待ち時間T1(sec)が経過するまで液体供給動作を停止し(S1511)、供給待ち時間T1経過後に再び液位センサ1~3を通電ONして(S1512)、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内に液体Wが満量状態であるか否かを確認する(S1513)。
【0125】
次に、制御部100bは、第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態であると判定した場合に(S1513:Yes)、液位センサ1~3を通電OFF(S1505)し、液体付与準備完了を通知して(S1506)、充填供給制御を終了する。
【0126】
また、制御部100bは、供給待ち時間T1が経過し(S1511)、再び液位センサ1~3を通電ONしても(S1512)、第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態でないと判定した場合(S1513:No)は、再び液体供給ポンプ46を駆動して、液体供給動作を実施する(S1514)。そして、制御部100bは、第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態であると判定した場合に(S1515:Yes)、液体供給ポンプ46を停止し(S1516)、液位センサ1~3を通電OFF(S1505)し、液体付与準備完了を通知して(S1506)、充填供給制御を終了する。
【0127】
また、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧が閾値Vs未満だった場合に、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しないと判定して(S1503:No)、ステップS1507以降の処理を実行する。ただし、この場合、ステップS1511の供給待ち時間は、T1と異なるT2(sec)(T2>T1)とする。
【0128】
すなわち、
図16(A)及び
図16(C)の第1貯液タンク44内に液体Wが存在する状態か、
図16(B)及び
図16(D)の第1貯液タンク44内に液体Wが存在しない状態かによって、液体供給部材50が“液体を吸収している状態”か、“乾燥している状態”か、を判別する。そして、第1貯液タンク44内に液体Wが存在する場合(すなわちは液体供給部材50が“液体を吸収している状態”と判別した場合)は、供給待ち時間をT1(sec)に設定し、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しない場合(すなわちは液体供給部材50が“乾燥している状態”と判別した場合)は、供給待ち時間をT2(sec)に設定する。すなわち、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で液体Wが検出さたか否かによって、供給待ち時間T1、T2を変更する。
【0129】
液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により液体Wを検出しているときは、第1貯液タンク44内の液体Wは満量状態ではないが、液体Wが残っており、液体供給部材50が一定量を吸い上げて保持している状態である。そのため待機時間T1(sec)は、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により液体Wを検出していないとき(すなわち、第1貯液タンク44に液体Wがほとんど残っていないとき)の待機時間T2(sec)と比較して短くできる。例えば、T1=10(sec)、T2=30(sec)と設定する。
【0130】
さらに、制御部100bは、液体供給ポンプ46の駆動を開始してから(S1507/S1514)、供給時間T0(sec)を経過しても第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態にならない場合(S1508:Noの場合、かつS1518:Yesの場合、及びS1515:Noの場合、かつS1517:Yesの場合)、第1液位検出部43が故障していると判断して、液体供給ポンプ46の停止及び液位センサ1~3を通電OFFする処理とを行うエラー停止処理(S1519)を実行し、操作パネル110に第1液位検出部43が故障している旨の異常通知を表示して(S1520)、充填供給制御を終了する。
【0131】
[継ぎ足し供給制御]
次に、継ぎ足し供給動作の制御(「継ぎ足し供給制御」という。)について説明する。
図18は、継ぎ足し供給制御のフローチャートである。
図18に示す継ぎ足し供給制御のフローチャート内では、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433を、それぞれ「液位センサ1」、「液位センサ2」、「液位センサ3」と表記する。継ぎ足し供給制御は、例えば、後処理装置3の起動時や針無し綴じJOBの開始時、JOBの途中(例えば、X枚の液体付与を行ったら実行する)等で継ぎ足し供給制御を要求されたタイミングで実行される。
【0132】
後処理装置3が液体有無確認要求を行うと(S1601)、制御部100bは、液位センサ1~3を通電ONし(S1602)、第1貯液タンク44内の液体Wの残量を確認する(S1603)。次に、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが存在すると判定し(S1603:Yes)、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により液体Wが満量状態であると判定した場合に(S1604:Yes)、液位センサ1~3を通電OFF(S1605)し、液体付与準備完了を通知して(S1606)、継ぎ足し供給制御を終了する。
【0133】
また、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが存在すると判定し(S1603:Yes)、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態でないと判定した場合に(S1604:No)、液体供給ポンプ46を駆動して、液体供給動作を実施する(S1607)。そして、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態であると判定するまで、液体供給ポンプ46の駆動を継続する(S1608:No)。
【0134】
そして、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態であると判定した場合に(S1608:Yes)、液体供給ポンプ46を停止し(S1609)、液位センサ1~3を通電OFF(S1605)し、液体付与準備完了を通知して(S1606)、継ぎ足し供給制御を終了する。同様に、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが存在しないと判定した場合に(S1603:No)、ステップS1607以降の処理を実行する。
【0135】
さらに、制御部100bは、液体供給ポンプの駆動を開始してから(S1607)、供給時間T0(sec)を経過しても第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態にならない場合(S1608:Noの場合、かつS1610:Yesの場合)、第1液位検出部43が故障していると判断して、液体供給ポンプ46の停止及び液位センサ1~3を通電OFFする処理とを行うエラー停止処理(S1611)を実行し、操作パネル110に第1液位検出部43が故障している旨の異常通知を表示して(S1612)、継ぎ足し供給制御を終了する。
【0136】
[液体供給動作選択]
次に、液体供給動作選択方法について説明する。
図19は、液体供給動作選択のフローチャートである。液体供給動作選択は、例えば、後処理装置3の起動時や針無し綴じJOBの開始時に実行される。
図19に示す液体供給動作選択のフローチャート内では、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433を、それぞれ「液位センサ1」、「液位センサ2」、「液位センサ3」と表記する。
【0137】
まず、後処理装置3が液体有無確認要求を行うと(S1701)、制御部100bは、液位センサ1~3を通電ONし(S1702)、液体供給部材50への液体供給状況を確認する(S1703)。
【0138】
そして、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが存在すると判定した場合に、液体供給部材50の基端部502が液体Wに浸漬されていると判定して(S1703:Yes)、継ぎ足し供給制御を選択し(S1704)、液位センサ1~3を通電OFF(S1706)し、操作パネル110を通じて液体供給制御選択完了通知を実行して(S1707)、液体供給動作選択を終了する。すなわち、制御部100bは、液体供給動作を規定する動作モードを継ぎ足し供給動作に設定する。これにより、
図18のステップS1607~S1612の処理が実行される。
【0139】
一方、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧により第1貯液タンク44内の液体Wが存在しないと判定した場合に、液体供給部材50の基端部502が液体Wに浸漬されていないと判定して(S1703:No)、充填供給制御を選択し(S1705)、液位センサ1~3を通電OFF(S1706)し、操作パネル110を通じて液体供給制御選択完了通知を実行して(S1707)、液体供給動作選択を終了する。すなわち、制御部100bは、液体供給動作を規定する動作モードを充填供給動作に設定する。これにより、
図17のステップS1507~S1520の処理が実行される。
【0140】
[液位検出部材故障確認動作]
図20は、液位検出部材故障確認動作のフローチャートである。液位検出部材故障確認動作は、主に液体供給時に実施される。
図20に示す液位検出部材故障確認動作のフローチャート内では、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、及び第3液位検出センサ433を、それぞれ「液位センサ1」、「液位センサ2」、「液位センサ3」と表記する。
【0141】
液体供給ポンプ46の動作開始後、制御部100bは、待機時間T5(sec)待機した後(S1801)に、液位センサ1~3を通電ON(S1802)し、液位センサ1~3の液体検出の異常を判定する(S1803)。ここで、待機時間T5は、第1貯液タンク44内に溜まっている液体Wの液量が、液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧が閾値Vs以上となる液量になる時間を設定する。そして、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間の出力電圧が閾値Vs以上の場合に、第1液位検出部43による液体検出が正常と判定して(S1803:Yes)、液位センサ1~3を通電OFFして(S1805)、液位検出部材故障確認動作を終了する。
【0142】
一方、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間の出力電圧が閾値Vs未満の場合、すなわち、本来なら液位センサ2と液位センサ3の間で検出した出力電圧が閾値Vs以上となる液量だけ第1貯液タンク44内に液体Wが溜まっているにもかかわらず、そこまで第1貯液タンク44内に液体Wが溜まっていないと第1液位検出部43が判断している場合、そのまま液体供給を継続すると第1貯液タンク44から液体Wが溢れる可能性があるので、第1液位検出部43による液体検出が異常と判定する(S1803:No)。この場合、制御部100bは、第1~第3液位検出センサ431~433の一部または全部が故障していると判断し、液体供給ポンプ46の停止を行うエラー停止処理を実行し(S1804)、液位センサ1~3を通電OFFして(S1805)、液位検出部材故障確認動作を終了する。
【0143】
[第2液位検出部58の構成]
第2貯液タンク固定部61の第2液位検出部58(第2液位検出手段)の構成を説明する。
図21は、第2貯液タンク固定部61の第2液位検出部58の構成を示す図である。第2液位検出部58は、第2貯液タンク固定部61に貯留された液体Wの量を検出するセンサである。第2液位検出部58の具体的な構成及び配置は、第1貯液タンク44の第1液位検出部43と共通する。第2液位検出部58は、例えば、第4~6液位検出センサ581、582、583を備える。第4液位検出センサ581は第4液位検出部材の一例であり、第5液位検出センサ582は第5液位検出部材の一例であり、第6液位検出センサ583は第6液位検出部材の一例である。
【0144】
そして、第4液位検出センサ581は、第5液位検出センサ582、及び第6液位検出センサ583より上方に配置されている。また、第5液位検出センサ582は、第6液位検出センサ583より上方か同じ高さに配置されている。これにより、第4液位検出センサ581と第5液位検出センサ582の間で検出された出力電圧が閾値Vs以上になると、第2貯液タンク固定部61が満量状態であると判定され、第5液位検出センサ582、及び第6液位検出センサ583の間で検出された出力電圧が閾値Vs以上になると、第2貯液タンク固定部61に液体Wが存在すると判定される。
【0145】
一例として、第2液位検出部58は、
図21(A)のように、異なる長さの第4~6液位検出センサ581~583を備えてもよい。
図21(A)において、第4液位検出センサ581の長さは、第5液位検出センサ582、及び第6液位検出センサ583の長さよりも短い。また、第5液位検出センサ582の長さは、第6液位検出センサ583の長さよりも短い又は同じ長さになっている。このように第4~6液位検出センサ581~583の長さを調整することによって、第2液位検出部58による第2貯液タンク固定部61内の液体Wの液位検出の範囲を調整することができる。
【0146】
他の例として、第2液位検出部58は、
図21(B)のように、同じ長さの第4~6液位検出センサ581~583を上下方向にずらして配置してもよい。
図21(B)において、第4液位検出センサ581は、第5液位検出センサ582、及び第6液位検出センサ583よりも上方に配置されている。また、第5液位検出センサ582は、第6液位検出センサ583よりも上方又は同じ高さに配置されている。このように同じ長さの第4~6液位検出センサ581~583の上下方向における設置高さを変更することで、同じ部品を流用できるため、コストを抑えることができる。
【0147】
[第2貯液タンクから第1貯液タンク44への液体供給制御]
次に、第2貯液タンクから第1貯液タンク44への液体供給動作の制御(「液体供給制御」という。)について説明する。
図22は、液体供給制御のフローチャートである。液体供給制御では、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされた際に、使用可能な液体Wか否かの判別を行い、判別を行った後に第1貯液タンク44に液体供給を行う。
図22に示す液体供給制御のフローチャート内では、第4液位検出センサ581、第5液位検出センサ582、第6液位検出センサ583を、それぞれ「液位センサ4」、「液位センサ5」、「液位センサ6」と表記する。
【0148】
第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされたことがセット検知センサ51で検出されると、閾値設定要求が実行される(S2201)。これにより、制御部100bは、液位センサ4~6を通電ONして(S2202)、第2貯液タンク47から第2貯液タンク固定部61に供給された液体Wが使用可能か否かを判定する(S2203)。液体Wが使用可能な否かを判定するのは、液位センサ4~6に通電した際に、液体Wの導電度が低すぎると、液位センサ4~6が液体Wに接触する前後における、液位センサ4~6間で検出される出力電圧の差が少なくなり、その結果、第2貯液タンク固定部61内の液体Wの液位を正確に検出することができなくなるためです。そこで、
図22のステップS2203の液体使用可否の判定方法について
図23を使って説明する。
【0149】
図23に示すように、液位センサ4~6を通電ONした際に(S2202)、液位センサ4~6が液体Wに接触する前は、液位センサ4~6間には空気しか存在していないので、液位センサ5と液位センサ6の間で検出される出力電圧は、ほぼゼロに近い出力電圧V1となる。次に、例えば、導電度がAである液体Wが使用される場合は、液位センサ5、及び液位センサ6が第2貯液タンク固定部61に供給された液体Wに接触すると、液位センサ5と液位センサ6の間で検出される出力電圧は、
図23に示すようにV1からV2に変化する。そこで、出力電圧V1とV2に間に液体の有無を判定するための出力電圧として閾値Vaを設定する。そして、制御部100bは、この閾値Vaを上回る出力電圧が検出される導電度を有する液体Wのみを使用可能であると判定する。つまり、
図23に示すように、例えば、導電度がB(B<A)である液体Wが使用される場合は、液位センサ5と液位センサ6の間で検出される出力電圧は、V3となり閾値Vaを上回らない。その結果、制御部100bは、液体Wの導電度がBの場合は、液体Wは使用不可であると判定する。なお、閾値Vaは、液位センサ5、及び液位センサ6の検知精度(検知ばらつき)やノイズ等を考慮して出力電圧V1とV2に中間に設定するのが望ましい。
【0150】
そして、制御部100bは、液位センサ5と液位センサ6の間で検出される出力電圧が、閾値Vaを上回る場合に、液体Wが使用可能であると判定し(S2203:Yes)、このときの液体Wの導電度に対応する出力電圧(閾値Va)を閾値Vsとして設定する(S2204)。次に、制御部100bは、液位センサ4~6を通電OFFし(S2205)、第2貯液タンク固定部61に液体が充填されるまでの待機時間T4(sec)が経過するまで待機した後に(S2206)、
図17に示す液体供給動作(充填供給動作)を実施する(S2207)。
【0151】
ここで、第2貯液タンク47の取り換えにより、第2貯液タンク固定部61に供給される液体の種類(導電度)が変化した場合の閾値Vsの設定方法について、
図23を使って説明する。例えば、第2貯液タンク固定部61に貯留されている液体Wの導電度がAであって、第2貯液タンク固定部61から第1貯液タンク44への液体Wの供給により、第2貯液タンク固定部61の液体Wが枯渇したとする。この場合、第2貯液タンク固定部61にセットされている第2貯液タンク47を新しいものと交換して液体Wを補給することになる。そして、その新たに補給される液体Wの導電度がB(B<A)である場合は、液位センサ5と液位センサ6の間で検出される出力電圧は、V3となり閾値Vaを上回らないので、閾値Vsが閾値Vaのままでは液体Wの有無を検出できないことになる。そこで、
図23に示すように、液体Wの導電度がBに変化した場合は、制御部100bは、出力電圧V1とV3に間に液体の有無を判定するための出力電圧として閾値Vbを設定するとともに、新たに補給された液体Wの導電度に対応する出力電圧(閾値Vb)を閾値Vsとして設定する。
【0152】
一方、制御部100bは、待機時間T3(sec)を経過しても液位センサ5と液位センサ6の間で検出される出力電圧が閾値Vs以下の場合に、液体Wが使用不能と判定し(S2203:Noの場合、かつS2208:Yesの場合)、操作パネル110を通じて液体使用不可を通知し(S2209)、液位センサ4~6を通電OFFして(S2210)、ステップS2207の液体供給動作を実施せずに液体供給制御を終了する。
【0153】
[液体補充通知]
次に、第2貯液タンク固定部61の第2液位検出部58で液体Wの検出がされない場合の液体補充通知制御について説明する。
図24は、液体補充通知制御のフローチャートである。液体補充通知制御は、例えば、JOB終了時や第1貯液タンク44に液体供給を行った後に実施される。
図24に示す液体補充通知制御のフローチャート内では、第4液位検出センサ581、第5液位検出センサ582、及び第6液位検出センサ583を、それぞれ「液位センサ4」、「液位センサ5」、「液位センサ6」と表記する。
【0154】
制御部100bは、液位センサ4~6を通電ONし(S2401)、液位センサ5と液位センサ6との間で検出された出力電圧を確認する(S2402)。そして、制御部100bは、液位センサ5と液位センサ6との間で検出された出力電圧が閾値Vs以上の場合に、第2貯液タンク固定部61に液体Wが存在すると判定して(S2402:Yes)、液位センサ4~6を通電OFFして(S2404)、液体補充通知制御を終了する。
【0155】
一方、制御部100bは、液位センサ5と液位センサ6との間で検出された出力電圧が閾値Vs未満の場合に、第2貯液タンク固定部61に液体Wが存在しないと判定して(S2402:No)、操作パネル110を通じて第2貯液タンク47への液体Wの補充が必要であることを通知し(S2403)、液位センサ4~6を通電OFFして(S2404)、液体補充通知制御を終了する。
【0156】
[液体供給動作確認]
次に、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされた際に発生する第1貯液タンク44への液体供給動作確認について説明する。
図25は、液体供給動作確認のフローチャートである。
図25に示す液体供給動作確認のフローチャート内では、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433を、それぞれ「液位センサ1」、「液位センサ2」、「液位センサ3」と表記する。
【0157】
制御部100bは、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされたことがセット検知センサ51で検出された場合に(S2501:Yes)、液位センサ1~3を通電ONし(S2502)、第1貯液タンク44内の液体Wの有無を判定する(S2503)。次に、制御部100bは、液位センサ2と液位センサ3の間で検出された出力電圧が閾値Vs未満の場合に、第1貯液タンク44内に液体Wが存在しないと判定して(S2503:No)、液体供給ポンプ46の駆動を開始する(S2504)。そして、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出した出力電圧により液体Wが満量状態であると判定するまで、液体供給ポンプ46の駆動を継続する(S2505:No)。
【0158】
次に、制御部100bは、液位センサ1と液位センサ2の間で検出された出力電圧が閾値Vs以上になった場合に、第1貯液タンク44が満量状態になったと判定して(S2505:Yes)、液体供給ポンプ46を停止し(S2506)、液位センサ1~3を通電OFFして(S2507)、液体供給動作確認を終了する。
【0159】
また、制御部100bは、液体供給ポンプ46の駆動を開始してから(S2504)、供給時間T0(sec)を経過しても第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態にならない場合(S2505:Noの場合、かつ&S2508:Yesの場合)、第1液位検出部43が故障していると判断して、液体供給ポンプ46の停止を行うエラー停止処理(S2509)を実施し、液位センサ1~3を通電OFFして(S2507)、液体供給動作確認を終了する。
【0160】
さらに、制御部100bは、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされたことがセット検知センサ51で検出されない場合に(S2501:No)、操作パネル110を通じて第2貯液タンク47のセット要求を実行して(S2510)、液体供給動作確認を終了する。
【0161】
[液体排出動作及び液体排出動作の制御フローの概要]
次に、後処理装置3において実行可能な液体排出動作を制御するときの液体排出制御について説明する。
図26は、液体排出動作の概要を説明する図である。
図27は、液体排出動作の制御(「液体排出制御」という。)の流れを例示するフローチャートである。ここで、「液体排出動作」とは、液体供給ポンプ46により第1貯液タンク44に貯留されている液体Wを第2貯液タンク47に給送することである。つまり、上述の液体供給動作における液体Wの供給方向とは逆方向に液体Wを給送することである。
【0162】
使用時は第1貯液タンク44、液体供給部材50が液体Wで満たされている状態であるが、メンテナンス時に液体供給部材50を外して作業する場合の液体漏れ防止や、長期間使用しない場合の液体Wによる汚れ防止のために液抜きが必要になることがある。
【0163】
液体排出モードを選択すると、液体供給ポンプ46が逆回転して、第1貯液タンク44から液体Wを吸い上げる(
図26(A))。その結果、液体Wが第2貯液タンク固定部61に送られて第1貯液タンク44から液体Wが排出されて空の状態となる(
図26(B))。液体供給ポンプ46の動作時間Trは、第1貯液タンク44と液体供給部材50の内部にある液体Wが十分に排出することができる時間に設定する(S2701)。
【0164】
なお、液体排出制御は、
図29に例示するような操作パネル110の操作画面に対しユーザが任意に選択することにより実行してもよい。また、ユーザの任意において、操作パネル110を介して、充填供給制御の実行指令を行うこともできる。
【0165】
[液体排出動作の制御フローの詳細説明]
次に、液体排出動作の制御(「液体排出制御」という。)について説明する。
図28は、液体排出制御の詳細なフローチャートである。
図28に示す液体排出制御のフローチャート内では、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433、第4液位検出センサ581、第5液位検出センサ582、第6液位検出センサ583を、それぞれ「液位センサ1」、「液位センサ2」、「液位センサ3」、「液位センサ4」、「液位センサ5」、「液位センサ6」と表記する。
【0166】
液体有無確認要求が実行されると(S2801)、制御部100bは、液位センサ1~6を通電ONして(S2802)、第2貯液タンク固定部61内の液体Wが満量状態であるか否かを判定する(S2803)。そして、制御部100bは、液位センサ4と液位センサ5との間で検出された出力電圧が閾値Vs以上の場合に、第2貯液タンク固定部61内の液体Wが満量状態であると判定して(S2803:Yes)、液位センサ1~6を通電OFFし(S2804)、操作パネル110を通じて液体排出不可を通知して(S2805)、液体排出制御を終了する。
【0167】
また、制御部100bは、液位センサ4と液位センサ5との間で検出された出力電圧が閾値Vs未満の場合に、第2貯液タンク固定部61内の液体Wが満量状態でないと判定して(S2803:No)、液体供給ポンプ46の逆転駆動を開始する(S2806)。そして、制御部100bは、そして、制御部100bは、液位センサ4と液位センサ5との間で検出された出力電圧に基づいて第2貯液タンク固定部61内の液体Wが満量状態であると判定するまで、液体供給ポンプ46の逆転駆動(液体排出動作)を継続する(S2807:No)。
【0168】
また、制御部100bは、液位センサ4と液位センサ5との間で検出された出力電圧が閾値Vs以上になった場合に、第2貯液タンク固定部61内の液体Wが満量状態になったと判定して(S2807:Yes)、液体供給ポンプ46を停止し(S2808)、液位センサ1~6を通電OFFし(S2804)、操作パネル110を通じて液体排出不可を通知して(S2805)、液体排出制御を終了する。
【0169】
また、制御部100bは、液位センサ4と液位センサ5との間で検出された出力電圧が閾値Vs以上になる前に、液位センサ2と液位センサ3の間で検出された出力電圧が閾値Vs未満になった場合に、第1貯液タンク44内の液体Wが存在しない状態になったと判定して(S2807:Noの場合、かつS2811:Yesの場合)、液体供給ポンプ46を停止し(S2815)、液位センサ1~6を通電OFFし(S2816)、操作パネル110を通じて液体排出完了を通知して(S2817)、液体排出制御を終了する。
【0170】
さらに、制御部100bは、液体供給ポンプ46の駆動を開始してから(S2806)、供給時間T0(sec)を経過しても第2貯液タンク固定部61内の液体Wが満量状態にならず、かつ第1貯液タンク44内の液体Wも存在しない状態にならない場合(S2807:Noの場合、かつS2811:Noの場合、かつS2812:Yesの場合)、第1液位検出部43及び第2液位検出部58のいずれか一方、又は両方が故障していると判断して、液体供給ポンプ46の停止及び液位センサ1~6を通電OFFする処理とを行うエラー停止処理(S2813)を実行し、操作パネル110を通じて異常を通知して(S2814)、液体排出制御を終了する。
【0171】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0172】
上記の実施形態によれば、第1液位検出センサ431、第2液位検出センサ432の間で第1液位(例えば、満量状態)を検知できると共に、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433の間で第1液位より低い第2液位を検知することができる。また、第2液位検出センサ432、第3液位検出センサ433の下端部を、液体供給部材50の基端部502を含む略同一範囲に配置することによって、液体供給部材50の基端部502が液体Wに浸漬されているかを適切に検出することができる。
【0173】
また、液体供給部材50の基端部502が液体Wに浸漬されているかの検出は、第2液位検出センサ432の下端部を略同一範囲内に配置し、第3液位検出センサ433の下端部を略同一範囲より下方に配置することによっても実現できる。
【0174】
また、上記の実施形態によれば、ステップS1503の第1貯液タンク44内に液体Wが存在するか否かの判定結果に応じて、液体供給部材50が“液体を吸収している状態”か“乾燥している状態”を判別して、ステップS1511における供給待ち時間T1/T2を変更することによって、ダウンタイムを短縮しつつ、液体付与部材501まで液体Wを供給することができる。
【0175】
また、上記の実施形態によれば、液体供給部材50の基端部502が液体Wに浸漬されているか否かを判定するステップS1703の判定結果に応じて、充填供給動作及び継ぎ足し供給動作を選択することによって、ダウンタイムを短縮しつつ、液体付与部材501まで液体Wを供給することができる。
【0176】
また、上記の実施形態によれば、供給時間T0(sec)を経過しても第1貯液タンク44内の液体Wが満量状態にならない場合(S1508:Noの場合、かつS1518:Yesの場合)、第1液位検出部43が故障していると判断して液体供給ポンプ46の停止することによって、第1貯液タンク44から液体Wが溢れ出すのを防止できる。
【0177】
また、上記の実施形態によれば、第2貯液タンク固定部61にも第2液位検出部58を設けることによって、第2貯液タンク47への液体Wの補給タイミングを適切に判定できる。さらに、第4~6液位検出センサ581~583の構成及び配置を第1液位検出部43と同様にすることによって、第2液位検出部58で検出できる第2貯液タンク固定部61の液位のバリエーションを増加させることができる。
【0178】
また、上記の実施形態によれば、第2貯液タンク47が第2貯液タンク固定部61にセットされたときに(S2501:Yes)、第1貯液タンク44内の液体Wの液位を判定してから液体供給動作を実行するので(S2503:No→S2504)、第1貯液タンク44に対する液体Wの過供給を防止することができる。
【0179】
また、上記の実施形態によれば、液体排出制御を実行することによって、メンテナンス時などに第1貯液タンク44内の液体Wを空にすることができる。
【0180】
また、上述の説明において、後処理装置3の制御部100bは、
図1に示すように、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、
図47(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図47(B)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0181】
また、
図48(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3の制御部100b2のみを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図48(B)に示すように、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3の制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0182】
[端綴じ処理部25の他の実施形態]
図30は、
図3に示した端綴じ処理部25の他の実施形態の全体図である。
図30に示すように、圧着手段32は、圧着手段回動機構52を備える。圧着手段回動機構52は、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを備えた圧着手段32を、内部トレイ22に支持された用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転させる。圧着手段回動機構52は、圧着手段回転軸54と、圧着手段回動モータ56とを備える。また、液体付与手段31は、内部トレイ22に支持された用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されている液体付与手段回転軸53を中心に正逆方向に回転可能に構成される。液体付与手段回転軸53には、後述する液体付与手段回動機構126の構成部品である姿勢切替レバー111が一体的に取り付けられている。
【0183】
液体付与手段回転軸53及び圧着手段回転軸54は、主走査方向に離間した位置において、互いに平行に延設されている。液体付与手段回転軸53は、ベース部材48に対して、液体付与フレーム31a及び液体付与ベース部材122を正逆方向に回転可能に支持する。圧着手段回転軸54は、ベース部材48に対して圧着フレーム32cを正逆方向に回転可能に支持する。
【0184】
圧着手段回動モータ56は、圧着手段32を正逆方向に回転させるための駆動力を発生させる。圧着手段回動モータ56の駆動力は、図示しないプーリやタイミングベルトを介して圧着手段回転軸54に伝達される。これにより、圧着フレーム32cは、上圧着歯32a及び下圧着歯32bと共に、圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転する。
【0185】
図31及び
図32は、上述した液体付与手段31を正逆方向に回転させる液体付与手段回動機構126を説明する図である。液体付与手段回動機構126は、液体付与手段回転軸53と、液体付与手段回転軸53と一体的に回転可能に構成された姿勢切替レバー111とを備える。圧着手段32及び液体付与手段31は、ベース部材48に支持されている。このベース部材48が端綴じ処理部移動モータ55によって、案内軸49に沿って綴じ機構ベース116上を主走査方向に移動する。綴じ機構ベース116には姿勢切替部材114と、案内レール115とが設置されている。姿勢切替部材114は、主走査方向の付与姿勢切替位置Dにおいて、綴じ機構ベース116に回転可能に取り付けられており、端綴じ処理部移動モータ55によるベース部材48を介した液体付与手段31の主走査方向への移動により姿勢切替レバー111が回転動作されるように構成されている。
【0186】
姿勢切替レバー111、姿勢切替部材114、及び案内レール115は、液体付与手段31の主走査方向の移動に伴い、液体付与手段31の姿勢を切り替える液体付与手段回動機構126に含まれる。姿勢切替レバー111は、液体付与手段31と一体的に回転する姿勢切替部材の一例である。姿勢切替部材114及び案内レール115は、液体付与手段31の主走査方向の移動の際に、姿勢切替レバー111に当接し、姿勢切替レバー111の姿勢を切り替える姿勢切替手段の一例である。
【0187】
図33は、綴じ機構ベース116に設置されている姿勢切替部材114の構成を示す図である。また、
図34は、姿勢切替部材114による姿勢切替レバー111の動作を説明する図である。
【0188】
姿勢切替部材114は、綴じ機構ベース116に設けられた姿勢切替部材回転軸119により回転可能に保持されている。一方、姿勢切替部材114は、綴じ機構ベース116に取り付けられるとともに、他方端が姿勢切替部材114に取り付けられた付勢スプリング117により一方向(
図33における姿勢切替部材回転軸119の時計回り方向)に付勢されている。綴じ機構ベース116には、爪ストッパ118が設けられている。
図33(A)に示すように、姿勢切替部材114は、時計回り方向の回転が規制される一方、反時計回り方向(
図33(A)の矢印方向)の回転が許容されるように構成されている。
【0189】
液体付与手段31は、液体付与手段回動機構126によって、
図35(A)~(D)、(H)に示す「平行付与姿勢」と、
図35(E)~(G)に示す「斜め付与姿勢」とに切替可能に構成されている。「平行付与姿勢」は、液体付与手段31の短手方向(液体付与部材501の長手方向)が主走査方向に沿う液体付与手段31の姿勢である。「斜め付与姿勢」は、液体付与手段31の短手方向が主走査方向に対して傾斜する液体付与手段31の姿勢である。
【0190】
また、圧着手段32は、圧着手段回動機構52によって、
図35(A)~(C)に示す「平行綴じ姿勢」と、
図35(D)~(H)に示す「斜め綴じ姿勢」とに切替可能に構成されている。「平行綴じ姿勢」は、圧着手段32の短手方向(上圧着歯32a及び下圧着歯32bの長手方向)が主走査方向に沿う圧着手段32の姿勢である。「斜め綴じ姿勢」は、圧着手段32の短手方向が主走査方向に対して傾斜する圧着手段32の姿勢である。
【0191】
そして、平行付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、平行綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、長手方向が同一の方向を向く。同様に、斜め付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、斜め綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、長手方向が同一の方向を向く。すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32は、2つの姿勢の間を同一の角度だけ回転する。また、平行付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、平行綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、互いに重なり合う。同様に、斜め付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、斜め綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、互いに重なり合う。
【0192】
図35は、圧着手段32及び液体付与手段31を「斜め綴じ姿勢」および「斜め付与姿勢」に変更する際の動作手順を説明する図である。
【0193】
図35(A)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、用紙幅領域外の待機位置HPに位置している。また、姿勢切替レバー111は、案内レール115の上側に位置している。次に、
図35(B)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、姿勢切替部材114を押し開きながら左方向(
図35(B)の矢印の方向)に移動する。
【0194】
液体付与手段31を斜め付与姿勢に変更する際は、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、圧着手段32と液体付与手段31を保持するベース部材48ごと左方向に移動させる。姿勢切替部材114は反時計周り方向の回動は規制されていない為、姿勢切替レバー111で姿勢切替部材114を押しながら乗り越える(
図34(A)、(B)参照)。
【0195】
次に、
図35(C)に示すように、姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114を通過完了したら、端綴じ処理部移動モータ55の駆動を停止し、ベース部材48の主走査方向の左方向への移動を一時停止する。この際に姿勢切替部材114は付勢スプリングにより付勢されて回動規制姿勢に戻っている(
図34(C)参照)。
【0196】
次に、
図35(D)に示すように、圧着手段回動モータ56は、圧着手段32を正逆方向に回転させるための駆動力を発生させる。圧着手段回動モータ56の駆動力は、図示しないプーリやタイミングベルトを介して圧着手段回転軸54に伝達される。これにより、圧着フレーム32cは、上圧着歯32a、及び下圧着歯32bと共に、圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転する。その結果、圧着手段32が斜め綴じ姿勢に姿勢変化する。
【0197】
次に、
図35(E)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48が主走査方向の右方向(
図35(E)の矢印の方向)に移動する。姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114に接触すると、姿勢切替部材114は時計周り方向の回転は規制されている為、ベース部材48が右方向へ移動しても、姿勢切替レバー111は右方向への移動できず、斜め姿勢に向けて回転を始める(
図34(D)、(E)参照)。
【0198】
次に、
図35(F)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48が主走査方向の右方向に移動する。姿勢切替レバー111が回転しながら案内レール115の下側に向かって移動する。姿勢切替レバー111が、案内レール115の下側(姿勢切替レバー111の姿勢切替部材回転軸119よりも下側)に移動するとともに、主走査方向に移動する。これにより、姿勢切替部材114は、付勢スプリング117の付勢力に抗して反時計回りに回転させられる。さらに、ベース部材48が右方向に移動することにより、姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114を乗り越えながら右側に移動する(
図34(E)、(F)参照)。これにより、液体付与手段31の斜め姿勢への回転が完了する。
【0199】
すなわち、姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114を主走査方向の一方端側(左端側)から他方側(右側)に通過するときには、液体付与手段31が平行付与姿勢から斜め付与姿勢へと回転する。また、平行付与姿勢から斜め付与姿勢に回転する際には、圧着手段32が先に斜め綴じ姿勢に回転し、その後に液体付与手段31が斜め付与姿勢に回転する。
【0200】
次に、
図35(G)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を右方向に移動させる。斜め付与姿勢の液体付与手段31が液体付与位置に移動したら、液体付与部材501を用紙Pに対して接離させることで液体付与を実行する。
【0201】
次に、
図35(H)に示すように、所定枚数Nの用紙Pからなる用紙束Pbの積載が完了すると圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を左方向に移動させる。斜め綴じ姿勢の圧着手段32が圧着位置に移動したら、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを用紙束Pbに対して接離させることで圧着綴じ動作を実行する。
【0202】
図36は、圧着手段32及び液体付与手段31を「平行綴じ姿勢」および「平行付与姿勢」(待機位置HPでの姿勢でもある)に変更する際の動作手順を説明する図である。まず、
図36(A)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、「斜め綴じ姿勢」および「斜め付与姿勢」であるものとする。
【0203】
次に、
図36(B)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を左方向(
図36(B)の矢印方向)に移動させる。姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114に接触すると、姿勢切替部材114は時計周り方向の回転は規制されている為、ベース部材48が左向へ移動しても、姿勢切替レバー111は左方向への移動できず、
図36(B)の時計回りに回転を始める。
【0204】
次に、
図36(C)に示すように、ベース部材48を左方向に移動させる。姿勢切替レバー111が回転しながら案内レール115の上側に向かって移動する。姿勢切替レバー111が上側に移動したら、姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114を乗り越えないタイミングで、ベース部材48を右方向に移動させ、液体付与手段31の平行付与姿勢への回転を完了する。
【0205】
すなわち、姿勢切替レバー111が姿勢切替部材114を主走査方向の他方端側(右端側)から一方側(左側)通過するときには、液体付与手段31が斜め付与姿勢から平行付与姿勢へと回転する。また、斜め付与姿勢から平行付与姿勢に回転する際には、液体付与手段31が先に平行付与姿勢に回転し、その後に圧着手段32が平行綴じ姿勢に回転する。
【0206】
上記の構成によれば、平行綴じ姿勢(平行付与姿勢)及び斜め綴じ姿勢(斜め付与姿勢)への回転を、姿勢切替レバー111及び姿勢切替部材114で実現することができる。また、液体付与手段31及び圧着手段32の回転タイミングをずらすことによって、一緒に回転させるよりも制御がシンプルになる。さらに、斜め綴じ姿勢および斜め付与姿勢への回転の際に圧着手段32の後に液体付与手段31を回転させ、平行綴じ姿勢および平行付与姿勢への回転の際に液体付与手段31の後に圧着手段32を回転させることによって、液体付与手段31及び圧着手段32の干渉を避けることができる。
【0207】
次に、
図36(D)に示すように、圧着手段回動モータ56を駆動することにより、圧着手段32を
図36(D)の時計回りに回転させ、圧着手段32の平行綴じ姿勢に移動を完了する。
【0208】
なお、上述した他の実施形態では、液体付与手段回転軸53は、姿勢切替レバー111と一体になって回転するように構成しているが、液体付与手段回転軸53は、姿勢切替レバー111からギヤ列やタイミングベルトを介して離れた場所で連動して回転するように構成してもよい。
【0209】
図37は、上圧着歯32a及び下圧着歯32b及び液体付与部材501それぞれの先端部の長手方向(すなわち、長辺)を、主走査方向に一致させた「平行綴じ姿勢」(第1綴じ姿勢)で用紙束Pbの幅方向の複数個所に平行綴じを行う場合を示したものである。
【0210】
まず、用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、液体付与手段31が第1液体付与位置B1に位置するように、端綴じ処理部25を
図37(A)の待機位置HPから
図37(B)に示す第1液体付与位置B1に移動させる。
【0211】
そして、内部トレイ22に支持された用紙Pの主走査方向及び搬送方向の位置揃えが完了すると、第1液体付与位置B1に位置する液体付与手段31が用紙Pに対して液体付与を実行する。第1液体付与位置B1における液体付与が完了すると、液体付与手段31は、
図37(C)に示すように、第2液体付与位置B2まで移動する。そして、移動が完了したら第2液体付与位置B2において用紙Pに対して液体付与を実行する。
【0212】
そして、上述した
図37(B)及び
図37(C)に示した液体付与処理を、内部トレイ22に収容された用紙Pの枚数が所定枚数N(用紙束Pbを構成する枚数)に達するまで繰り返し実行する。
【0213】
その後、内部トレイ22に収容された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達したら、
図37(D)に示すように、圧着手段32が第2綴じ位置B2に位置するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。そして、移動が完了したら圧着手段32は、第2綴じ位置B2において用紙束Pbに対して圧着綴じを実行する。第2綴じ位置B2における圧着綴じが完了すると、
図37(E)に示すように、圧着手段32が第1綴じ位置B1に位置するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。そして、移動が完了したら、圧着手段32は、第1綴じ位置B1において用紙束Pbに対して圧着綴じを実行する。
【0214】
そして、第1綴じ位置B1における圧着綴じ処理が完了すると、端綴じ処理部25を
図37(A)の待機位置HPに移動させて綴じ処理を終了する。
【0215】
また、上記の実施形態では、液体付与手段31及び圧着手段32を1つずつ設けた例を示したが、液体付与手段31及び圧着手段32の数はこれに限定されない。他の例として、2つの液体付与手段31L、31Rと、2つの圧着手段32L、32Rとを備えてもよい。
【0216】
以上説明をした実施形態によれば、後処理装置3における貯液部の状態に応じて液体供給制御を実施することで貯液部の液体を適切に保持する。すなわち、後処理装置3の動作状況に応じて、液体の補給動作を制御する。その結果、液体付与手段に液体を安定して供給することで綴じ品質を向上することができる。また、圧着綴じ動作にかかる時間を短縮することできるので、ユーザの待ち時間を最適化することによりユーザの利便性を向上することができる
【0217】
[後処理装置3の第2実施形態]
次に、
図38~
図46を参照して、第2実施形態に係る後処理装置3Aを説明する。なお、第1実施形態に係る後処理装置3と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0218】
第2実施形態に係る後処理装置3Aの端綴じ処理部251は、液体付与手段31と圧着手段32が併設された第1実施形態に係る後処理装置3の端綴じ処理部25とは異なり、圧着手段32´のみを備え、液体付与手段131を搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に用紙Pを所定枚数プレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部251の圧着手段32´へ搬送することができるので、圧着手段32´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0219】
また、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。また、液体付与手段131によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に対応する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1)を付して説明する。
【0220】
図38は、第2実施形態に係る後処理装置3Aの内部構造を示す図である。端綴じ処理部251は、
図39に示すように、圧着手段32´のみを備えている。
図38に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。
【0221】
さらに、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340及び針綴じ手段回転軸84を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。すなわち、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、コーナー斜め綴じ、平行1箇所綴じ、平行2箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0222】
また、圧着手段32´は、凹凸状の上圧着歯32a及び下圧着歯32bで用紙束Pbを加圧変形させることによって、用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。一方、針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Pbを針綴じすることができる。
【0223】
図39は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。
図40は、圧着手段32´を搬送方向の下流側から見た模式図である。
図39に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能に構成されている。そして、圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。
【0224】
また、針綴じ処理部156についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能に構成されている。そして、針綴じ処理部156は、用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸84を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。なお、針綴じ処理部156のその他の構成は、第1実施形態に係る後処理装置3の針綴じ処理部155(
図6参照)と同様なので詳細な説明は省略する。
【0225】
圧着手段32´は、
図40に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。圧着手段32´は、駆動源である圧着手段移動モータ238を備えている。また、圧着フレーム32cを支持するベース部材48は、その底部にタイミングベルト240cとの締結部48bを備えている。これにより、圧着手段移動モータ238の駆動力が、プーリ240a、240bと、タイミングベルト240cと、締結部48bとを備える駆動伝達機構240によりベース部材48に伝達されることによって、圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着手段32´の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ340aを備えた圧着手段回転軸340が固定されている。
【0226】
また、圧着手段回転軸340及び駆動伝達ギヤ340aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。駆動伝達ギヤ340aは、圧着手段回動モータ239の出力ギヤ239aと噛み合っている。そして、圧着手段32´は、圧着手段回動モータ239の駆動力が、出力ギヤ239a及び駆動伝達ギヤ340aを介して圧着手段回転軸340に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、ベース部材48上で正逆方向に回転する。ガイドレール337、圧着手段移動モータ238、圧着手段回動モータ239、圧着手段回転軸340、及び駆動伝達機構240は、圧着手段32´の駆動機構の一例を構成する。
【0227】
圧着手段32´は、
図39(A)に示す待機位置HPと、
図39(B)及び
図39(C)に示す第1綴じ位置B1に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HP2は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。第1綴じ位置B1は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。ただし、第1綴じ位置B1の具体的な位置は、
図39の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0228】
また、圧着手段32´は、
図39(B)に示す平行綴じ姿勢と、
図39(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢変化する。つまり、圧着手段32´は、圧着手段回転軸340を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着手段32´の姿勢である。また、斜め綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着手段32´の姿勢である。
【0229】
なお、斜め綴じ姿勢における回動角度(主走査方向に対する上圧着歯32a及び下圧着歯32bの角度)は、
図39(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに上圧着歯32a及び下圧着歯32bが対面していれば、任意の角度でよい。
【0230】
後処理装置3Aは、液体付与手段131と、パンチ孔穿設手段132(処理部)とを備える。液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。
【0231】
本実施形態に係る液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。ただし、液体付与手段131の配置は、
図38の例に限定されない。例えば、
図46に示すように画像形成装置2と後処理装置3Aの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与手段131を後処理装置3Aの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Aに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙または仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0232】
また、搬送ローラ対11は、
図41(A)に示すように、液体付与手段131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの第1液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、第1液体付与位置B1を押圧することにより第1液体付与位置B1の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与手段131よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着手段32´に到達した時点で、第1液体付与位置B1の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で第1液体付与位置B1(第1綴じ位置B1に相当)の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0233】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの第1液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0234】
なお、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの第1液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0235】
液体付与手段131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与手段131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0236】
図41は、第2実施形態に係る液体付与手段131を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図42は、
図41のXXV-XXVにおける断面図である。
図43は、
図41のXXVI-XXVIにおける断面図である。
図41~
図43に示すように、液体付与手段131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与手段移動モータ137と、待機位置センサ138(
図44参照)と、液体付与ユニット140とを備える。
【0237】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Aの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0238】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸線回りに回転可能に、後処理装置3Aのフレームに支持されている。
【0239】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与手段移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与手段移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0240】
液体付与手段移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与手段移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0241】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置HP1(
図41参照)に到達したことを検出し、検出結果を示す待機位置信号を後述する制御部100b(
図44参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、液体付与ユニット140は、待機位置HP1において発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。ただし、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0242】
図42に示すように、後処理装置3A内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0243】
図41~
図43に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、液体付与ヘッド移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151(
図44参照)と、待機角度センサ152(
図44参照)とを備える。
【0244】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を支持している。
【0245】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回動可能にベース部材141の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット142は、付与ヘッド回動モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを保持している。
【0246】
待機角度センサ152(
図44参照)は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検出し、検出結果を示す待機角度信号を制御部100bに出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。ただし、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0247】
なお、
図41(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が平行綴じする際の状態を示している。また、
図41(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が斜め綴じ(角綴じ)する際の状態を示している。
【0248】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。液体付与ヘッド移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に取り付けられている。また、液体付与ヘッド移動手段144は、付与ヘッド移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、液体付与ヘッド移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0249】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145から離間する方向に向かって付勢する。
【0250】
図42(A)及び
図43(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は、開口の位置又は開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの第1液体付与位置B1が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させる。これにより、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、第1液体付与位置B1とは、端綴じ処理部251(すなわち圧着手段32´)によって圧着綴じされる予定の位置(すなわち、第1綴じ位置B1)である。
【0251】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、
図42(B)及び
図43(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0252】
さらに、
図42(C)及び
図43(C)に示すように、付与ヘッド移動モータ151をさらに第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0253】
一方、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、
図42(A)及び
図43(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0254】
図44は、第2実施形態に係る後処理装置3Aの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図44に示すように、後処理装置3Aは、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、I/F105とが共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0255】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3A全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0256】
後処理装置3Aは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Aの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Aに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Aの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101と、RAM102と、ROM103と、HDD104と、I/F105とは、後処理装置3Aの動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0257】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替部材20と、サイドフェンス24L、24Rと、圧着手段移動モータ238と、圧着手段回動モータ239と、接離モータ32dと、液体付与手段移動モータ137と、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151と、待機位置センサ138と、待機角度センサ152と、パンチ孔穿設手段132と、操作パネル110と、を共通バス109に接続するインタフェースである。
【0258】
制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替部材20と、サイドフェンス24L、24Rと、圧着手段移動モータ238と、圧着手段回動モータ239と、接離モータ32dと、液体付与手段移動モータ137と、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151と、パンチ孔穿設手段132の動作を制御する。また、制御部100bは、I/F105を通じて、待機位置センサ138と、待機角度センサ152の検知結果を取得する。
【0259】
なお、
図44には主に端綴じ処理を実行する端綴じ処理部251(圧着手段32´)及び液体付与手段131の構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28の構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0260】
図46に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。また、後処理装置3Aに上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0261】
図45は、第2実施形態に係る後処理装置3Aの後処理のフローチャートである。具体的には、
図45は、
図39に示す1箇所綴じ処理を実行する際のフローチャートである。
【0262】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、
図45に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数Np」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの部数(以下、「必要部数Mp」と表記する。)と、第1綴じ位置B1(第1液体付与位置B1に相当)と、第1綴じ位置B1の角度(第1液体付与位置B1の角度に相当)と、綴じ処理の種類(平行綴じ処理、斜め綴じ処理)と、液体付与処理と並行して実行される処理(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP1(
図41参照)に位置し、回転ブラケット142は待機角度(「平行綴じ姿勢」に相当)に保持されているものとする。
【0263】
まず、制御部100bは、液体付与手段移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140(液体付与手段に相当)を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HP1から第1液体付与位置B1(
図41(B)参照。
図39(B)及び
図39(C)の第1綴じ位置B1に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる(S4401)。液体付与ヘッド146が第1液体付与位置B1に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与手段移動モータ137及び付与ヘッド回動モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した回転ブラケット142を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット140は、回転ブラケット142を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0264】
また、制御部100bは、圧着手段移動モータ238を駆動することによって、
図39(A)、
図39(B)に示すように、圧着手段32´を待機位置HP2から第1綴じ位置B1に対面し得る位置に移動させる(S4401)。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、圧着手段回動モータ239を駆動することにより、圧着手段32´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する圧着綴じ角度に回転させる(S4401)。圧着手段32´が、第1綴じ位置B1に対面し得る位置、及び圧着綴じ角度に達したことは、圧着手段移動モータ238及び圧着手段回動モータ239のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した圧着手段32´を回転させる動作を省略する。すなわち、圧着手段32´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0265】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S4402)。そして、制御部100bは、用紙Pの第1液体付与位置B1が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面したか否かを判定する(S4403)。用紙Pの第1液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面していないと判定した場合(S4403:No)、制御部100bは、用紙Pの第1液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面するまで(S4403:Yes)、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を継続する。一方、用紙Pの第1液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面していると判定した場合(S4403:Yes)、制御部100bは、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を停止する(S4404)。用紙Pの第1液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0266】
制御部100bは、液体付与ユニット140によって用紙Pの第1液体付与位置B1に液体を付与する処理を実行する(S4405)。より詳細には、制御部100bは、付与ヘッド移動モータ151を第1方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの第1液体付与位置B1に当接させる。また、制御部100bは、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、付与ヘッド移動モータ151の回転量)を変更する。
【0267】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、制御部100bは、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ151の回転量は、付与ヘッド移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0268】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S4406)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを主走査方向に移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pb又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する(S4406)。
【0269】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が、後処理指示で指示された所定枚数Npに達したか否かを判定する(S4407)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Npに達していないと判定した場合(S4407:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Npに達するまで(S4407:Yes)、ステップS4402~S4407の処理を繰り返し実行する。
【0270】
一方、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が前記所定枚数Npに達したと判定した場合(S4407:Yes)、圧着手段32´に、液体付与ユニット140によって液体を付与された用紙Pを含む用紙束Pbの第1綴じ位置B1(用紙Pの第1液体付与位置B1に相当)を圧着綴じさせる(S4408)。さらに、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを第2排出トレイ26に排出する(S4408)。
【0271】
そして、制御部100bは、第2排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、後処理指示で示された必要部数Mpに達したか否かを判定する(S4409)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mpに達していないと判定した場合(S4409:No)、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mpに達するまで(S4409:Yes)、ステップS4402~S4409の処理を繰り返し実行する。
【0272】
一方、制御部100bは、第2排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mpに達したと判定した場合(S4409:Yes)、液体付与手段移動モータ137を駆動して液体付与ユニット140を待機位置HP1(
図41参照)に移動させるとともに、圧着手段移動モータ238を駆動して圧着手段32´を待機位置HP2(
図39参照)に移動させる(S4410)。また、後処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150及び圧着手段回動モータ239を駆動して、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)に回転させる(S4410)。一方、後処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)へ回転させる動作は省略される。なお、ステップS4401、S4410において、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0273】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25のみならず、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28にも適用することができる。
【0274】
また、
図38に示した第2実施形態に係る後処理装置3Aの制御部100bについても、
図1と同様に、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、
図47(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図47(B)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0275】
また、
図48(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図48(B)と同様に、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0276】
なお、上記に説明した制御部100bによる制御方法は、既に説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0277】
また、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0278】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1> 媒体に液体を付与する液体付与部材を備えた液体付与手段と、
前記液体付与手段で液体を付与された複数の前記媒体に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段が前記媒体に付与する液体を貯留する第1貯液部と、
先端部が前記液体付与部材に接続され、基端部が前記第1貯液部に貯留されている前記液体に浸かるように配置された液体供給部と、
第1液位検出部材、第2液位検出部材、及び第3液位検出部材を有する、前記第1貯液部に貯留されている前記液体の液位を検出する第1液位検出手段と、を備え、
前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の下端部は、上下方向において、前記液体供給部の基端部の位置を含む略同一範囲内に配置され、
前記第1液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より上方に配置されている
ことを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 媒体に液体を付与する液体付与部材を備えた液体付与手段と、
前記液体付与手段で液体を付与された複数の前記媒体に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段が前記媒体に付与する液体を貯留する第1貯液部と、
先端部が前記液体付与部材に接続され、基端部が前記第1貯液部に貯留されている前記液体に浸かるように配置された液体供給部と、
第1液位検出部材、第2液位検出部材、及び第3液位検出部材を有する、前記第1貯液部に貯留されている前記液体の液位を検出する第1液位検出手段と、を備え、
前記第2液位検出部材の下端部は、上下方向において、前記液体供給部の基端部の位置を含む略同一範囲内に配置され、
前記第1液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より上方に配置され、
前記第3液位検出部材の下端部は、前記略同一範囲内より下方に配置されている
ことを特徴とする媒体処理装置である。
<3> 前記第1貯液部に供給される前記液体を貯留する第2貯液部と、
前記第2貯液部から前記第1貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、
前記液体供給動作を規定する動作モードに基づいて、前記液体供給手段に前記液体供給動作を実行させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記動作モードが充填供給動作であるとき、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できるまで、前記液体供給動作を継続させ、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できたときに、前記液体供給部を通じて前記液体付与部材に液体が供給される供給待ち時間が経過するまで、前記液体供給動作を停止させ、
前記供給待ち時間が経過した後に、前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できないときに、前記液体供給手段に再び前記液体供給動作を実行させる
ことを特徴とする前記<1>または前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記制御手段は、前記動作モードが継ぎ足し供給動作であるとき、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できるまで、前記液体供給動作を継続させ、
前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出できたときに、前記液体供給動作を停止させる
ことを特徴とする前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5> 前記制御手段は、前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の間で液体が検出さたか否かによって、前記供給待ち時間を変更する
ことを特徴とする前記<3>または前記<4>に記載の媒体処理装置である。
<6> 前記制御手段は、
前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記動作モードを前記充填供給動作とし、
前記第2液位検出部材及び前記第3液位検出部材の間で液体が検出された場合に、前記動作モードを前記継ぎ足し供給動作とする
ことを特徴とする前記<4>に記載の媒体処理装置である。
<7> 前記制御手段は、前記液体供給動作を開始してから供給時間が経過しても、前記第1液位検出部材及び前記第2液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、第1液位検出手段が異常であると判断して前記液体供給動作を停止する
ことを特徴とする前記<3>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<8> 前記液体供給手段を介して前記第1貯液部に接続されると共に、前記第2貯液部が着脱される貯液固定部と、
前記貯液固定部に貯留されている液体の液位を検出する第2液位検出手段とを備え、
前記第2液位検出手段は、少なくとも3本以上の液位検出部材で構成される
ことを特徴とする前記<3>乃至前記<7>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<9> 前記第2液位検出手段は、前記液位検出部材として、第4液位検出部材と、第5液位検出部材と、第6液位検出部材とを有し、
前記第4液位検出部材の下端部は、前記第5液位検出部材の下端部及び前記第6液位検出部材の下端部よりも上方に配置され、
前記第5液位検出部材の下端部は、前記第6液位検出部材の下端部よりも上方又は同じ高さに配置される
ことを特徴とする前記<8>に記載の媒体処理装置である。
<10> 前記第4液位検出部材は、前記第5液位検出部材及び前記第6液位検出部材よりも短く、
前記第5液位検出部材は、前記第6液位検出部材よりも短い又は同じ長さである
ことを特徴とする前記<9>に記載の媒体処理装置である。
<11> 情報を報知する報知手段を備え、
前記制御手段は、前記第5液位検出部材及び前記第6液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記第2貯液部への液体の補充を前記報知手段により報知する
ことを特徴とする前記<9>に記載の媒体処理装置である。
<12> 前記第2貯液部が前記貯液固定部にセットされたことを検出するセット検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第2貯液部が前記貯液固定部にセットされたことを、前記セット検知手段により検出した場合において、
前記第1液位検出手段で前記第1貯液部の液体が検出されない場合に、前記液体供給手段に前記液体供給動作を実行させ、
前記第1液位検出手段で前記第1貯液部の液体が検出された場合に、前記液体供給手段に前記液体供給動作を実行させない
ことを特徴とする前記<8>乃至前記<11>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<13> 前記制御手段は、前記第4液位検出部材及び前記第5液位検出部材の間で液体が検出されない場合に、前記第1貯液部から前記貯液固定部に向けて液体を排出する液体排出動作を前記液体供給手段に実行させる
ことを特徴とする前記<9>乃至前記<11>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<14> 前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、前記<1>乃至前記<11>のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0279】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
3A :後処理装置
10-19 :搬送ローラ対
21 :第1排出トレイ
26 :第2排出トレイ
30 :第3排出トレイ
22 :内部トレイ
25 :端綴じ処理部
31 :液体付与手段
32 :圧着手段
43 :第1液位検出部
58 :第2液位検出部
44 :第1貯液タンク
46 :液体供給ポンプ
47 :第2貯液タンク
50 :第1液体供給部
51 :セット検知センサ
61 :第2貯液タンク固定部
100 :制御部
110 :操作パネル
431 :第1液位検出センサ
432 :第2液位検出センサ
433 :第3液位検出センサ
581 :第4液位検出センサ
582 :第5液位検出センサ
583 :第6液位検出センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0280】