(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173762
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】マイクロ波源を使用する電力送達
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241205BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241205BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
H01L21/302 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024085540
(22)【出願日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】63/504,922
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イムラン・アハマド・ブッタ
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB14
2G084CC06
2G084CC14
2G084DD04
2G084DD25
2G084DD42
2G084HH08
2G084HH24
2G084HH27
2G084HH43
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB22
5F004BD04
5F004CA03
5F004CB05
5F045AA08
5F045AA09
5F045BB02
5F045DP02
5F045EH03
5F045EH14
5F045EH19
5F045EM05
5F045GB08
(57)【要約】
【課題】ウエハの表面にわたって堆積膜またはエッチングのより良好な均一性を提供する。
【解決手段】一実施形態では、本開示は、分配された電極上の電界の均一性を改善するために、分配された電極へと送達されるマイクロ波電力を制御するためのシステムを対象とする。システムは、少なくとも1つのRF発生器および複数のRF源回路出力を備えるRF源回路を含み、各RF源回路出力は、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力する。RF源回路出力の各々について、ソリッドステートインピーダンス整合回路は、RF源回路出力に動作可能に連結され、またRF源回路出力によってRF源信号出力を受信するように構成される。整合回路の各々について、システム出力は、整合回路へと動作可能に連結され、またRF源信号を負荷の分配された電極へと出力するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配された電極へと電力を提供するためのシステムであって、
無線周波数(RF)源回路であって、少なくとも1つのRF発生器および複数のRF源回路出力を備え、各RF源回路出力が、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力する、RF源回路を備え、
前記RF源回路出力の各々について、ソリッドステートインピーダンス整合回路が、前記RF源回路出力へと動作可能に連結され、かつ
前記RF源回路出力によって前記RF源信号出力を受信し、かつ
前記RF源回路出力と負荷との間のインピーダンス整合を可能にするために、そのインピーダンスを電子的に改変するように構成され、
前記整合回路の各々について、システム出力が、前記整合回路へと動作可能に連結され、かつ前記RF源信号を前記負荷の分配された電極へと出力するように構成される、システム。
【請求項2】
前記RF源回路が、少なくとも2つのRF発生器を備え、かつ各RF源信号が、前記RF発生器のうちの別個の1つによって生じる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記RF源回路が、前記少なくとも1つのRF発生器のうちの1つから信号を受信し、かつ前記信号を複数の位相調整器回路へと提供される多重信号へと分割する、スプリッタを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記RF源回路が、少なくとも2つのRF発生器を備え、かつ
前記少なくとも2つのRF発生器のうちの1つが、前記少なくとも2つのRF発生器のうちのもう一方に出力位相情報を提供して、位相制御を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各発生器が、受信したRF信号を増幅するように構成された増幅器を備え、かつ前記増幅器の各々が共通の制御回路によって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記RF源回路が、周波数源および位相調整器回路をさらに備え、前記周波数源が、信号を前記位相調整器回路へと送信するように構成され、前記位相調整回路が、前記少なくとも1つのRF発生器の各々に別個のRF信号を出力するように構成され、前記別個のRF信号の各々が異なる位相を有し、前記位相調整器回路が、前記少なくとも1つのRF発生器の上流にあり、かつ前記位相調整器回路が、各RF源信号の前記位相を位相ロックするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記位相調整器回路が、
前記分配された電極、
前記整合回路のうちの1つ以上の出力、
前記整合回路のうちの1つ以上の入力、
前記少なくとも1つのRF発生器のうちの1つ以上の出力、または
前記少なくとも1つのRF発生器のうちの1つ以上の入力、のいずれかから得た位相関連情報の各RF源信号の前記位相を調整するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記インピーダンス整合回路の各々が、少なくとも1つの電子可変リアクタンス素子(EVRE)を備え、前記EVREが、そのリアクタンスを電子的に変化させて、前記インピーダンス整合を可能にするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記インピーダンス整合回路の各々について、前記少なくとも1つのEVREが、
固定キャパシタと、
各固定キャパシタについて、前記固定キャパシタのインおよびアウトを切り替えて前記EVCの総静電容量を改変するように構成された対応するスイッチと、を備える少なくとも1つの電子可変キャパシタ(EVC)である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
インピーダンス整合を可能にするための前記インピーダンスの前記電子的な改変が、
前記プラズマチャンバのインピーダンスを決定することと、
前記プラズマチャンバの前記インピーダンスに基づいて、前記少なくとも1つのEVCの各々に対する新しい静電容量値を決定することと、
前記少なくとも1つのEVCの各々を前記新しい静電容量値へと改変するための制御信号を生成することと、を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記分配された電極が、前記電極上の異なる場所において複数のフィードを備える電極を備え、前記フィードの各々が、前記RF源信号のうちの別個の1つを受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記分配された電極が、互いに隣接し、かつ誘電材料によって分離された、複数の電極セグメントを備え、前記複数の電極セグメントの各々が、RF源信号のうちの別個のものを受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記分配された電極が、前記システム出力へと動作可能に連結された導体を介して前記RF源信号を受信し、前記導体が、前記分配された電極へと直接的に物理的に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記分配された電極が、前記システム出力へと動作可能に連結された導体を介して前記RF源信号を受信し、前記導体が前記分配された電極に物理的に接触することなく前記分配された電極へと近接近して位置付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記負荷が、基材の上へと材料を堆積させるように、または前記基材から材料をエッチングするように構成されたプラズマチャンバであり、
前記プラズマチャンバが、2つの電極を備え、
前記分配された電極が、前記2つの電極のうちの1つであり、かつ
プラズマが、前記分配された電極によって受信される前記RF源信号によって前記2つの電極の間に生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
各RF源信号が、2GHz~3GHzの周波数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
各整合回路が、主電力線および前記主線に連結された線を備え、前記連結された線が、開回路、短絡、または特定されたインピーダンスのいずれかへと終端する、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記主電力線および前記連結された線が、前記主電力線と前記連結された線との間の連結係数が、前記連結された線に近接する磁界を変更することによって変化するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記連結された線へと近接した前記磁界の前記改変が、前記連結された線の各々に対する連結した点におけるインピーダンスを改変する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
各整合回路が、主電力線と、前記主線へと連結された線と、を備え、かつ
前記連結された線が、前記各連結された線の間の距離が前記RF源信号のうちのいずれかの波長より小さいように、前記主電力線の長さに沿って定置される、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体製造システムでは、膜堆積またはエッチング時間を低減するための1つのアプローチは、より高密度のプラズマ(HDP)を使用することである。HDPを作り出すための1つの方法は、RF源の周波数を増加させることである。しかしながら、RF源の周波数が増加するにつれて、その波長は減少し、そしてプラズマチャンバ内の寸法と同等になる可能性がある。2.45GHzで動作するものなどのマイクロ波HDP源は、真空中でおおよそ120mm、そしてプラズマ中で20~70mm(20~70mm)未満の波長を有する可能性がある。この波長にわたって、電界は非常に不均一になる可能性がある。300mmウエハでは、電極の上を覆う電界の変動、および結果としてプラズマにおける変動も、非常に不均一になる可能性がある。この電界をより均一にし、そしてそれ故にウエハの表面にわたって堆積膜またはエッチングのより良好な均一性を提供することに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、一態様では、無線周波数(RF)源回路を含むシステムを対象としてもよく、無線周波数(RF)源回路は、少なくとも1つのRF発生器と、複数のRF源回路出力を含み、各RF源回路出力は、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力し、RF源回路出力の各々について、ソリッドステートインピーダンス整合回路は、RF源回路出力へと動作可能に連結され、かつRF源回路出力によってRF源信号出力を受信するよう構成され、かつRF源回路出力と負荷との間のインピーダンス整合を可能にするようにそのインピーダンスを電子的に改変し、かつ整合回路の各々について、システム出力は、整合回路へと動作可能に連結され、かつRF源信号を負荷の分配された電極へと出力するように構成される。
【0003】
別の態様では、分配された電極へと送達されるマイクロ波電力を制御して、分配された電極上の電界の均一性を改善する方法が開示される。方法は、複数のRF源回路出力の各々において、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力するRF源回路を含み、RF源回路出力の各々に対して、ソリッドステートインピーダンス整合回路において、RF源信号を受信し、かつ整合回路のインピーダンスを電子的に改変して、RF源回路出力と負荷との間のインピーダンス整合を可能し、かつ整合回路は、RF源信号を負荷の分配された電極へと出力する。
【0004】
別の態様では、半導体プロセッシングシステムは、分配された電極を含み、電力送達システムは、無線周波数(RF)源回路を備え、無線周波数(RF)源回路は、少なくとも1つのRF発生器と、複数のRF源回路出力を備え、各RF源回路出力は、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力し、RF源回路出力の各々について、ソリッドステートインピーダンス整合回路は、RF源回路出力へと動作可能に連結され、かつRF源回路出力によってRF源信号出力を受信するよう構成され、かつRF源回路出力と負荷との間のインピーダンス整合を可能にするようにそのインピーダンスを電子的に改変し、分配された電極は負荷の一部を形成し、かつ整合回路の各々について、システム出力は、整合回路へと動作可能に連結され、かつRF源信号を負荷の分配された電極へと出力するように構成される。
【0005】
開示された発明は半導体製造システムに対して適用可能であるが、本発明はそのように限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、発明を実施するための形態および添付図面から、より完全に理解されることになる。
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態による半導体を製造するためのシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による、電力送達システムを利用する半導体を製造するためのシステムの概略図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による代替的なRF源回路の概略図である。
【
図4】
図4は、別の実施形態による信号発生器の概略図である。
【
図5】
図5は、異なる実施形態による、分配された電極の図面である。
【
図6】
図6は、異なる実施形態による、分配された電極の図面である。
【
図7】
図7は、一実施形態による可変キャパシタを利用して半導体を製造するためのシステムの概略図である。
【
図8】
図8は、一実施形態による電子可変キャパシタの概略図である。
【
図9】
図9は、一実施形態による、磁気カップリングを利用して半導体を製造するためのシステムの概略図である。
【0008】
図面は、本発明の1つ以上の実施形態を表し、また発明の範囲を限定しない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の以下の記述は、本質的に単に例示的なものであり、また本発明(複数可)をいかなるやり方でも限定することを意図しない。例示的実施形態の記述は、添付図面に関連して読まれることが意図され、これは書面による記述全体の一部と見なされる。本明細書の考察は、単独で、または他の特徴との組み合わせで存在する場合がある特徴のいくつかの可能な非限定的な組み合わせを記述および例示する。さらに、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、そのオペランドのうちの1つ以上が真である場合に、真をもたらす論理演算子として解釈される。さらに、本明細書で使用される場合、「に基づく」という語句は、「に少なくとも部分的に基づく」を意味するとして解釈され、したがって「に完全に基づく」という解釈に限定されない。さらに、「各々の」という用語は、複数のアイテムの各々に関して使用される時、システムまたは装置全体の各々のこうしたアイテムを指す必要はなく、その代わりに、システム内の列挙された1つ以上のこうしたアイテムの各々を単に指してもよい。
【0010】
全体を通して使用される場合、範囲は、範囲内のありとあらゆる値を記述するための簡潔な表現として使用される。範囲内の任意の値を、範囲の終端として選択することができる。加えて、本明細書に引用されたすべての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用された参照文献の定義との間に矛盾がある場合には、本開示が優先される。
【0011】
ブロック図または回路が示されかつ記述される以下の記述では、当業者であれば、明瞭のために、すべての周辺構成要素または回路が図に示されているわけではない、または明細書に記述されているわけではないことを認識するであろう。例えば、メモリデバイスおよび電源などの一般的な構成要素は、それらの役割が当業者によって簡単に理解されることになるため、本明細書では考察されない場合がある。さらに、「連結」および「動作可能に連結」という用語は、回路の2つの構成要素の直接的な連結または間接的な連結を指すことができる。
【0012】
類似の構成要素または特徴を記述するうえでの明瞭のためおよび便宜上、異なる実施形態または図にわたって同じまたは類似の参照番号が本明細書で使用される場合があることが留意される。これは、特定の参照番号によって識別される構成要素または特徴が、各実施形態または図にわたって同一であることを暗示するものではなく、構成要素または特徴が、一般的な機能または同一性において類似していることを示唆するに過ぎない。
【0013】
本発明の特徴は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実装されてもよい。本明細書に記述されるコンピュータプログラムは、任意の特定の実施形態に限定されず、またオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、フォアグラウンドプロセスまたはバックグラウンドプロセス、ドライバ、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。コンピュータプログラムは、単一のコンピュータもしくはサーバープロセッサ、または複数のコンピュータもしくはサーバープロセッサ上で実行されてもよい。
【0014】
本明細書に記述されるプロセッサは、コンピュータプログラム命令(例えば、コード)を実行するように構成された任意の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、コンピュータもしくはプログラマブル、デバイスもしくは回路であってもよい。様々なプロセッサは、任意の好適なタイプ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック、タブレット、携帯電話等)のコンピュータおよび/またはサーバーハードウェアで具体化されてもよく、またバス、ソフトウェア、ならびに揮発性メモリおよび不揮発性メモリなどのデータストレージ、入力/出力デバイス、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、リムーバブルデータストレージ、ならびにWi-Fi、Bluetooth、LAN等を含む有線および/または無線通信インターフェースデバイスなどが挙げられるがこれらに限定されない、機能的なデータプロセッシングデバイスを形成するために必要なすべての通常の補助的な構成要素を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、1つ以上のプロセッサを指してもよい。
【0015】
本明細書に記述されるコンピュータ実行可能な命令またはプログラム(例えば、ソフトウェアまたはコード)およびデータは、本明細書に記述されるようにそれぞれのプロセッサにアクセス可能であり、かつそれによって読み出し可能な非一時的コンピュータ可読媒体の中へとプログラムされてもよく、かつ目に見える形で具体化されてもよく、これは媒体内にコード化された命令を実行することによって、所望の機能およびプロセスをプロセッサが実施するように構成および指示する。こうした非一時的コンピュータ実行可能な命令またはプログラムへと構成されたプログラマブルプロセッサを具体化するデバイスは、「プログラマブルデバイス」、または「デバイス」と呼ばれてもよく、また相互通信の状態にある複数のプログラマブルデバイスは、「プログラマブルシステム」と呼ばれてもよい。本明細書に記述されるような非一時的「コンピュータ可読媒体」としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびその様々なタイプを含む、任意の好適な揮発性または不揮発性メモリ、読み出し専用メモリ(ROM)およびその様々なタイプ、USBフラッシュメモリ、および媒体に動作可能に接続されたプロセッサへと書き込まれる場合がある、かつ/または媒体に動作可能に接続されたプロセッサによって読み取られる場合がある、磁気もしくは光学データストレージデバイス(例えば、内蔵/外付けハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、DVD-ROM、光ディスク、ZIP(登録商標)ドライブ、Blu-ray(登録商標)ディスク、およびその他のもの)が挙げられてもよいが、それらに限定されないことが留意されるべきである。
【0016】
ある特定の実施形態では、本発明は、プロセッサベースのデータプロセッシングおよび通信システム、またはそれらのプロセスを実施するためのコンピュータシステムなどのコンピュータ実装プロセスおよび装置の形態で具体化されてもよい。本発明はまた、非一時的コンピュータ可読記憶媒体内で具体化されるソフトウェアまたはコンピュータプログラムコードの形態で具体化されてもよく、これは、データプロセッシングおよび通信システムまたはコンピュータシステムへとロードされ、かつそれらによって実行される時、コンピュータプログラムコードセグメントは、プロセスを実装するために構成された特定の論理回路を作り出すようにプロセッサを構成する。
【0017】
[半導体プロセッシングシステム]
図1を参照すると、RF発生器15を利用する半導体デバイスプロセッシングシステム5を示す。システム85は、RF発生器15と、半導体プロセッシングツール86と、を含む。半導体プロセッシングツール86は、整合ネットワーク11と、プラズマチャンバ19と、を含む。他の実施形態では、発生器15または他の電源は、半導体プロセッシングツールの一部を形成することができる。その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、共同所有された米国特許第9,345,122号は、本明細書で考察される発生器へと適用されてもよい発生器の実施例を提供する。
【0018】
半導体デバイスは、マイクロプロセッサ、メモリチップ、または他のタイプの集積回路またはデバイスとすることができる。基材27(ウエハなどの)は、プラズマチャンバ19内に配置することができ、プラズマチャンバ19は、基材27上に材料層を堆積させるように、または基材27から材料層をエッチングするように構成されている。プラズマプロセッシングは、RFエネルギーをガス混合物へと導入することによって、エネルギーをガス分子に付与することによってガス混合物を活性化することを伴う。このガス混合物は典型的に、真空チャンバ(プラズマチャンバ19)内に収容され、またRFエネルギーは典型的に、電極を通してプラズマチャンバ19の中へと導入される。それ故に、プラズマは、堆積またはエッチングを実施するために、RF源15からのRF電力をプラズマチャンバ19の中へと連結することによって活性化することができる。
【0019】
典型的なプラズマプロセスでは、RF発生器15は、無線周波数で電力を発生し、またこの電力は、RFケーブルおよびネットワークを通してプラズマチャンバ19へと伝送される。好ましい実施形態では、周波数は、2.45GHz、または2~3GHz、または少なくとも300MHz、または少なくとも800MHzなどのマイクロ波周波数が使用される。
【0020】
RF発生器15からプラズマチャンバ19への電力の効率的な伝達を提供するために、RF発生器15の固定インピーダンスをプラズマチャンバ19の可変インピーダンスと整合させるように、中間回路が使用される。こうした中間回路は一般に、RFインピーダンス整合ネットワーク、またはより単純にRF整合ネットワークと称される。RF整合ネットワーク11の目的は、可変プラズマインピーダンスを、RF発生器15の固定インピーダンスにより厳密に整合する値へと変換することである。その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、共同所有された米国特許出願公開第2021/0183623号明細書および米国特許出願公開第2021/0327684号明細書は、こうした整合ネットワークの実施例を提供する。
【0021】
[マイクロ波電力送達システム]
図2は、一実施形態による、マイクロ波電力送達システムを利用する半導体を製造するためのシステムの概略図である。この実施形態では、システム85は、プラズマチャンバ19と、電力送達システム48と、を備える。プラズマチャンバ19は、第1の電極23および第2の電極25を含み、また当技術分野で周知のプロセスでは、第1の電極および第2の電極23、25は、適切な制御システム(図示せず)およびプラズマチャンバ内のプラズマと併せて、基材27の上への材料の堆積および/または基材27からの材料のエッチングを可能にする。
【0022】
電力送達システム48は、RF源回路46と、整合ネットワーク11と、を含む。電力送達システム48はまた、本明細書で考察されるもののようなプロセッサを含んでもよい制御回路45Aも含む。制御回路45Aは、RF源回路を制御し、また整合ネットワーク11も制御してもよい。この実施形態では、制御回路45は、周波数源42、位相調整器回路44、および発生器14の各々を制御し、一方で整合ネットワーク11は、独自の制御回路を有する。発生器14はまた、独自の制御回路を有してもよい。
【0023】
RF源回路46は、
図1を参照しながら上述したような、RF源と同様のある特定の特徴を有してもよい。例示的な実施形態では、RF源回路46は、少なくとも1つのRF発生器14および複数のRF源回路出力15Aを含み、各々は、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力する。この実施形態では、4つのRF発生器14があるが、より多くても、またはより少なくてもよい。例示的な実施形態では、各RF源信号は、RF発生器14のうちの別個のものによって生じるが、本発明はそのように限定されない。各発生器14は、受信したRF信号を増幅するように構成された増幅器14-1を含んでもよい。これらの増幅器は、制御回路45Aなどの共通の制御回路によって制御されてもよい。
【0024】
RF源回路出力15Aの各々について、ソリッドステートインピーダンス整合回路11は、RF源回路出力に動作可能に連結され、またRF源回路出力によって出力されたRF源信号を受信し、そのインピーダンスを電子的に改変して、RF源回路出力と負荷との間のインピーダンス整合を可能にするように構成される。このインピーダンス整合プロセスは、下記により詳細に考察される。他の実施形態では、インピーダンス整合回路は、モータを利用する真空可変キャパシタを使用することによってなど、非電子的、非ソリッドステートな様態でインピーダンス整合することが可能である。さらに他の実施形態では、整合ネットワークのうちの1つ以上は、非可変または固定とすることが可能であり、これにより整合ネットワークは可変インピーダンスを提供しない。
【0025】
整合回路11の各々について、電力送達システム出力17は、整合回路11の出力へと動作可能に連結され、またRF源信号を負荷の分配された電極23へと出力するように構成される。システム出力17は、整合回路11の出力へと直接的に接続される必要はないことに留意されたい。
【0026】
電力送達システム48はまた、位相制御を可能にする場合もある。例示的なシステムでは、RF源回路46は、周波数源42および位相調整器回路44を含む。周波数源42は、信号を位相調整器回路へと送信するように構成される。位相調整器回路44(1つ以上の回路を備えてもよく、また周波数源と組み合わせられてもよい)は、少なくとも1つのRF発生器14の各々に対して別個のRF信号を出力するように構成される。例えば、位相調整器回路44は、第1のRF信号S1を第1の発生器へと、第2のRF信号S2を第2の発生器へと、第3のRF信号S3を第3の発生器へと、そして第4のRF信号S4を第4の発生器へと送信してもよい。例示的な実施形態では、別個のRF信号S1、S2、S3、S4の各々は、異なる位相を有し、また周波数源42および位相調整器回路44は、少なくとも1つのRF発生器の上流にある。位相調整器回路44は、各RF源信号の位相を位相ロックするように構成されてもよい。位相ロックは、例えば、Analog Devices社のADF4002BCPZまたはTexas Instrument社のCD74HCT7046AM96などの既製の集積回路を使用して実行されてもよい。こうした回路を使用して、システムは、基準信号およびサンプリングした信号を入力し、そして基準信号に対して位相ロックしたまま保持するエラー信号を出力してもよい。さらに、位相調整器回路44は、分配された電極23、整合回路17のうちの1つ以上の出力、整合回路17のうちの1つ以上の入力、少なくとも1つのRF発生器14のうちの1つ以上の出力、または少なくとも1つのRF発生器14のうちの1つ以上の入力のいずれかから得た位相関連情報に基づいて、各RF源信号の位相を調整するように構成されてもよい。この調整のために必要な通信/接続は当業者によって簡単に理解されることになるので、接続は図面には示されないことが留意される。本発明は、位相制御のための先行する実施形態に限定されないことがさらに留意される。
【0027】
[代替的なRF源回路]
図3は、一実施形態による代替的なRF源回路48の概略図である。このRF源回路48では、複数の発生器を有するのではなく、単一の発生器14のみがあり、これはRF信号をスプリッタ51へと提供する。スプリッタ51は、受信した信号を複数の信号(この実施形態では4つ)へと分割し、そしてこれらの信号を、本明細書で考察されるように受信した信号の位相を調整することができる位相調整回路44へと提供する。
【0028】
図4は、別の実施形態による信号発生器の概略図である。この実施形態は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許出願公開第2010/0123502号明細書の
図7に示すものと同様である。この実施形態では、RF源回路は、発生器14A、14Bを含む。発生器14Aは、出力位相情報をその他の発生器14Bへと提供して、位相信号14Cを介した位相制御を可能にする。それ故に、発生器14Aを、マスターと指定することができ、またその他の発生器14Bは、スレーブと指定することができる。位相情報は、機械コード、低レベルRF(共通励起発振器またはCEXとしても知られる)、2つの組み合わせ、または信号発生器間で位相情報を送信する何らかの他の構成要素もしくは信号とすることができる。マスター信号発生器14Aは、それらのそれぞれの出力が実質的に同じまたは異なる位相を有するように、その他の信号発生器14Bの位相制御を調整することができる。4つの信号発生器が示されているが、その数は例示に過ぎず、また限定することを意図するものではない。別の方法として、複数の出力を有する単一の信号発生器を、信号発生器14A、14Bの代わりに使用してもよい。
【0029】
示される実施形態では、マスター信号発生器14Aは、スレーブ信号発生器14Bと実質的に同様である。しかしながら、マスター信号発生器14Aは、例えば、おおよそ0°~おおよそ360°の位相シフト、おおよそ0.01°~おおよそ360°の位相の増分変化、およびおおよそ1マイクロ秒~おおよそ100分の位相の増分変化間の期間を調整することができる。スレーブ信号発生器14Bは、マスター信号発生器14Aに実質的に追従する。スレーブ信号発生器14Bの各々は、その独自の独立した制御ループおよび電力測定を有することができる。
【0030】
[分配された電極]
図5~
図6は、異なる実施形態による、分配された電極の図面である。
図5は、異なる場所における複数のフィード24(例えば、パッチアンテナまたは他の電極)を含む単一の電極で作製されたマルチフィードの分配された電極23Aを示し、フィードの各々は、RF源信号のうちの別個のものを受信する。フィードの数、サイズ、および場所は変化してもよい。この実施例では、フィード24は、分配された電極23Aの中心の周りで方位角方向に、60度離れて均等に離隔する。
【0031】
対照的に、
図6は、互いに隣接し、かつ誘電材料26-1によって分離された複数の電極セグメント26から作製されたセグメント化された分配された電極23Bを示し、複数の電極セグメントの各々は、フィード24Bを介してRF源信号のうちの別個のものを受信する。フィードおよび電極の数、サイズ、ならびに場所は変化してもよい。
【0032】
図2を参照しながら上記で考察したように、例示的な負荷は、基材27からの材料の堆積および/またはエッチングを可能にする第1の電極23および第2の電極25を含むプラズマチャンバ19である。これらの電極23、25の一方または両方は、RF源信号を受信する、本明細書で考察される分配された電極であってもよい。これは、電極23へと連結されたシステム出力17とともに、
図2に示される。この実施形態では、電極25は、基材27を保持するため、および/または静電(ESC)機能を提供するためのチャックである。セグメントおよびフィードならびに電極の数、サイズ、および場所は変化してもよい。
【0033】
一実施例では、誘電体プレートは、分配された電極の上を覆って位置して、受信したエネルギーを電極へと分配する。誘電体プレートは、円形状面と、誘電体プレートの中心から等しい距離において位置付けられたN個の受信エリアと、を含む。N個の受信エリアは、誘電体プレートの中心の周りに方位角方向で均等に離隔する。受信エリアの場所は、
図5に示すフィード24の場所と同様である。マイクロ波エネルギーは、導波路から誘電体プレートの受信エリアへと方向付けられ、そしてその後、分配された電極へと分配されてもよい。
【0034】
ある特定の実施形態では、分配された電極は、システム出力17へと動作可能に連結された導体17A(
図2を参照のこと)を介してRF源信号を受信してもよく、導体17Aは、分配された電極23、23A、23Bへと直接的に物理的に接続される。他の実施形態では、分配された電極は、システム出力へと動作可能に連結されるが、導体が分配された電極(または誘電体プレート)に物理的に接触することなく、分配された電極に近接近して(または分配された電極の上を覆う上記で考察した誘電体プレートなどの誘電体プレートに近接近して)位置付けられる、導体17Aと同様の導体を介してRF源信号を受信してもよく、これにより、RF電力は、導体からフィード24、24B(または誘電体プレートの受信エリア)へと発射されてもよい。こうした近接近は、図面には示されないが、
図2および図示した導体17Aを含む本開示の残りの部分を考慮すると、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0035】
[可変リアクタンス素子を使用するインピーダンス整合]
図2の整合回路11は、可変キャパシタまたは可変インダクタなどの可変リアクタンス素子を使用してインピーダンス整合を実施してもよい。
図7は、L構成RFインピーダンス整合ネットワーク11を含むプロセッシングツール86を有する半導体プロセッシングシステム85の一実施形態のブロック図である。以下でさらに詳細に考察するように、例示的な整合ネットワーク11は、分路可変キャパシタ33と直列可変キャパシタ31との両方に対して電子可変キャパシタ(EVC)を利用する。本発明はそのように限定されないことが留意される。例えば、EVCのうちの1つ(例えば、分路EVC33)は、機械的可変VVCであってもよく、または可変インダクタで置き換えられてもよい。
【0036】
例示的な整合ネットワーク11は、RF源15へと接続されたRF入力13と、プラズマチャンバ19へと接続されたRF出力17と、を有する。RF入力センサ21は、RFインピーダンス整合ネットワーク11とRF源15の間に接続することができる。RF出力センサ49は、RFインピーダンス整合ネットワーク11とプラズマチャンバ19との間に接続することができ、そのためインピーダンス整合ネットワークからのRF出力、およびプラズマチャンバ19によって提示されるプラズマインピーダンスは、モニターされる場合がある。ある特定の実施形態は、入力センサ21および出力センサ49のうちの1つのみを含んでもよい。これらのセンサ21、49の機能は、下記により詳細に記述される。
【0037】
上述したように、RFインピーダンス整合ネットワーク11は、RF入力13におけるインピーダンスをRF源15の固定インピーダンスへと整合させることによって、RF源15からプラズマチャンバ19へと伝達されるRF電力の量を最大化するのに役立つように機能する。整合ネットワーク11は、RF源15およびプラズマチャンバ19への電気接続のために設計された単一のハウジング内の単一のモジュールから成ることができる。他の実施形態では、整合ネットワーク11の構成要素は、異なるハウジング内に位置することができ、一部の構成要素は、ハウジングの外側にあることができ、そして/または一部の構成要素は、整合ネットワークの外側の構成要素とハウジングを共有することができる。
【0038】
当技術分野で知られているように、プラズマチャンバ19内のプラズマは典型的に、動作制御をはみ出る特定の変動を受け、そのためプラズマチャンバ19によって提示されるインピーダンスは、可変インピーダンスである。プラズマチャンバ19の可変インピーダンスを完全に制御することはできないので、インピーダンス整合ネットワークを使用して、プラズマチャンバ19とRF源15との間にインピーダンス整合を作り出してもよい。さらに、RF源15のインピーダンスは、特定のRF源15の設計によって設定値において固定されてもよい。RF源15の固定インピーダンスは、例えば、温度または他の環境的な変動に起因して、使用中にわずかな変動を受ける場合があるが、変動は元の設定されたインピーダンス値から固定インピーダンスを著しく変化させないため、RF源15のインピーダンスは、依然としてインピーダンス整合の目的のために固定インピーダンスと考えられる。他のタイプのRF源15は、RF源15のインピーダンスが、使用時または使用中に設定されてもよいように設計されてもよい。こうしたタイプのRF源15のインピーダンスは、ユーザーによって制御される(または少なくともプログラマブルコントローラによって制御される)場合があり、またインピーダンスの設定値は、動作中の任意の時点で既知である場合があるため、依然として固定されていると考えられ、それ故に設定値を事実上、固定インピーダンスとする。
【0039】
RF源15は、プラズマチャンバ19内で実施されるプロセスに対して適切な周波数および電力にてRF信号を生成する。RF源15は、同軸ケーブルを使用してRFインピーダンス整合ネットワーク11のRF入力13へと電気的に接続されてもよく、これはインピーダンス整合の目的のために、RF源15と同じ固定インピーダンスを有することになる。
【0040】
プラズマチャンバ19は、第1の電極23および第2の電極25を含み、また当技術分野で周知のプロセスでは、第1の電極および第2の電極23、25は、適切な制御システム(図示せず)およびプラズマチャンバ19内のプラズマと併せて、基材27の上への材料の堆積および基材27からの材料のエッチングのうちの一方または両方を可能にする。
【0041】
例示的な実施形態では、RFインピーダンス整合ネットワーク11は、「L」タイプ整合ネットワークを形成するために、直列可変キャパシタ31、分路可変キャパシタ33、および直列インダクタ35を含む。分路可変キャパシタ33は、直列可変キャパシタ31と直列インダクタ35との間の基準電位(この場合、接地40)へと分路して示され、当業者であれば、RFインピーダンス整合ネットワーク11が、RF入力13またはRF出力17において基準電位へと分路する分路可変キャパシタ33を用いて構成されてもよいことを認識するであろう。
【0042】
別の方法として、RFインピーダンス整合ネットワーク11は、
図3に示す通り、「T」タイプ構成または「Π」すなわち「パイ」タイプ構成などの他の整合ネットワーク構成で構成されてもよい。ある特定の実施形態では、後述する可変キャパシタおよびスイッチング回路は、RFインピーダンス整合ネットワークのために適切な任意の構成内に含まれてもよい。
【0043】
例示的な実施形態では、直列可変キャパシタ31および分路可変キャパシタ33の各々は、米国特許第7,251,121号明細書に記述されるように、電子可変キャパシタ(EVC)であってもよく、EVCは事実上、複数の個別のキャパシタによって形成されたキャパシタアレイとして形成される。直列可変キャパシタ31は、RF入力13とRF出力17との間に直列に連結される。分路可変キャパシタ33は、RF入力13と接地40との間に連結される。他の構成では、分路可変キャパシタ33は、RF出力19と接地40との間に連結されてもよい。他の構成はまた、RF整合ネットワークの機能性から逸脱することなく実装されてもよい。さらに他の構成では、分路可変キャパシタ33は、基準電位とRF入力13およびRF出力19のうちの一つとの間に連結されてもよい。
【0044】
直列可変キャパシタ31は、直列RFチョークおよびフィルタ回路37へと、また直列ドライバ回路39へと接続される。同様に、分路可変キャパシタ33は、分路RFチョークおよびフィルタ回路41へと、また分路ドライバ回路43へと接続される。直列ドライバ回路39および分路ドライバ回路43の各々は、制御回路45へと接続され、制御回路45は、直列ドライバ回路39および分路ドライバ回路43を制御するための入力信号を提供するために、適切なプロセッサおよび/または信号生成回路を有して構成される。電源47は、RF入力センサ21、直列ドライバ回路39、分路ドライバ回路43、および制御回路45の各々へと接続されて、設計された電流および電圧で、これらの構成要素の各々へと動作電力を提供する。電源47によって提供される電圧レベル、そしてそれ故にRF入力センサ21、直列ドライバ回路39、分路ドライバ回路43、および制御回路45の各々によって採用されるそれぞれの指定されたタスクを実施するための電圧レベルは、設計上の選択に関する問題である。他の実施形態では、制御回路45が可変キャパシタへと命令を送信することを可能にするために、様々な電子構成要素を使用することができる。さらに、ドライバ回路ならびにRFチョークおよびフィルタは、制御回路45とは別個に示されている一方で、これらの構成要素は、制御回路45を形成する部分であると考えることもできる。
【0045】
例示的な実施形態では、制御回路45はプロセッサ(図示せず)を含む。プロセッサは、コンピュータプログラム命令(例えば、コード)を実行するために構成された、コンピュータまたはマイクロプロセッサなどの任意のタイプの適切にプログラムされたプロセッシングデバイス(または一緒に機能する2つ以上のプロセッシングデバイスの収集)であってもよい。プロセッサは、任意の好適なタイプ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック、タブレット、携帯電話等)のコンピュータおよび/またはサーバーハードウェアで具体化されてもよく、またバス、ソフトウェアおよび揮発性メモリおよび不揮発性メモリなどのデータストレージ、入力/出力デバイス、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、リムーバブルデータストレージ、およびWi-Fi、Bluetooth、LANを含む有線および/または無線通信インターフェースデバイス等を含むがこれらに限定されない、機能データプロセッシングデバイスを形成するために必要なすべての通常の補助的な構成要素を含んでもよい。例示的な実施形態のプロセッサは、整合ネットワークが本明細書に記述される機能を実施することを可能にする特定のアルゴリズムで構成される。
【0046】
直列可変キャパシタ31と分路可変キャパシタ33との組み合わせを用いて、RFインピーダンス整合ネットワーク11とプラズマチャンバ19との組み合わせられたインピーダンスは、制御回路45、直列ドライバ回路39、分路ドライバ回路43を使用して、RF源15の固定インピーダンスを整合するように、または少なくとも実質的に整合するように制御されてもよい。
【0047】
制御回路45は、インピーダンス整合を作り出すために、RF入力センサ21ならびに直列可変キャパシタ31および分路可変キャパシタ33などのソースから複数の入力を受信し、直列可変キャパシタ31および分路可変キャパシタ33への変化を決定するのに必要な計算を行い、そして直列可変キャパシタ31および分路可変キャパシタ33へとコマンドを送達するため、制御回路45は、RFインピーダンス整合ネットワーク11の頭脳である。インピーダンス整合を作り出すためにキャパシタを変更するためのこうしたコマンドを生成するための例示のアルゴリズムが下記に提供される。制御回路45は、半導体製造プロセスで一般に使用される制御回路のタイプであり、したがって当業者に知られている。先行技術の制御回路と比較した場合に、制御回路45の何らかの差異は、RFインピーダンス整合ネットワーク11が可変キャパシタ31、33の切り換えおよびインピーダンス整合を実施することができるスピードを理由に、プログラミングの差異において生じる。
【0048】
直列RFチョークおよびフィルタ回路37と、分路RFチョークおよびフィルタ回路41との各々は、DC信号が直列ドライバ回路39および分路ドライバ回路43と、それぞれの直列可変キャパシタ31および分路可変キャパシタ33との間を通過してもよいように構成され、一方で同時にRF源15からのRF信号は遮断されて、RF信号が直列ドライバ回路39および分路ドライバ回路43の出力および制御回路45の出力へと漏れるのを防止する。直列RFチョークおよびフィルタ回路37と、分路RFチョークおよびフィルタ回路41は、当業者に知られているタイプである。
【0049】
図8は、電子可変キャパシタの個別の固定キャパシタのインおよびアウトを切り換えるための可変静電容量システム155の概略図である。可変静電容量システム155は、変化する静電容量を提供するための可変キャパシタ151を備える。この可変キャパシタ151は、
図7の可変キャパシタ31、33と同様であってもよい。可変キャパシタ151は、入力113および出力130を有する。可変キャパシタ151は、並列に動作可能に連結された複数の個別の固定キャパシタ153を含む。複数のキャパシタ153は、第1の(微細)キャパシタ151aおよび第2の(粗い)キャパシタ151bを含む。さらに、可変キャパシタ151は、複数のスイッチ161を含む。スイッチ161のうち、1つのスイッチは、複数のキャパシタの各々へと直列に動作可能に連結され、各キャパシタのインおよびアウトを切り換え、それによって可変キャパシタ151が、変化する総静電容量を提供することを可能にする。可変キャパシタ151は、個別のキャパシタ153がインに切り換えられる時に増大し、かつ個別のキャパシタ153がアウトに切り換えられる時に減少する可変総静電容量を有する。
【0050】
スイッチ161は、スイッチをオンおよびオフに駆動するために、スイッチドライバ回路139へと連結することができる。可変静電容量システム155は、可変キャパシタ151へと動作可能に連結された制御ユニット145をさらに含むことができる。具体的には、制御ユニット145は、スイッチ161のうちの1つ以上を切り換えるようにドライバ回路139に命令し、それによってキャパシタ153のうちの1つ以上をオンまたはオフにするために、ドライバ回路139へと動作可能に連結することができる。一実施形態では、制御ユニット145は、可変キャパシタを制御する制御ユニット(インピーダンス整合を達成するために静電容量を変化させるように整合ネットワークの可変キャパシタに命令する制御ユニットなど)の一部を形成することができる。ドライバ回路139および制御ユニット145は、
図4を参照しながら上記で考察したものと同様の特徴を有することができ、そしてそれ故に上記で考察したようにRFチョークおよびフィルタも利用することができる。
【0051】
制御回路は、インピーダンス整合を可能にするために様々なアルゴリズムを使用してもよいことが留意される。一例として、インピーダンスの改変は、プラズマチャンバのインピーダンスを決定することと、プラズマチャンバのインピーダンスに基づいて、少なくとも1つのEVCの各々に対する新しい静電容量値を決定することと、少なくとも1つのEVCの各々を新しい静電容量値へと改変するための制御信号を生成することと、を含んでもよい。このプロセスおよび他のプロセスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許第11,521,833号明細書(例えば、
図6および7の考察を参照のこと)で考察される。
【0052】
[磁気カップリングを使用するインピーダンス整合]
他の実施形態では、インピーダンス整合は、磁気カップリングを使用することによってなどの、他の手段によって実施されてもよい。
図9は、磁気カップリングを使用する整合を図示する。整合回路60は、主電力線61と、主線へと連結された線63、64とを備える。連結された線63は、開回路へと終端され、また連結された線64は短絡へと連結される。別の方法として、連結された線は、特定されたインピーダンスで終端されてもよい。主電力線および連結された線は、主電力線と連結された線との間の連結係数が、連結された線に近接する磁界を変更することによって変化するように構成されてもよい。磁界は、例えば、示されるような隣接するDC磁石69によって提供および変更されてもよい。連結された線へと近接した磁界の改変は、連結された線の各々に対する連結した点62、65におけるインピーダンスを改変し、これはインピーダンス整合の有効化を引き起こす。連結された線63、64は、各連結された線の間の距離Dが、RF源信号のいずれかの波長未満(例えば、その一部)となるように、主電力線61の長さに沿って定置されてもよい。本発明は、これらの実施形態のいずれにも限定されないことが留意される。
【0053】
インピーダンス整合はまた、RF源信号のうちの1つ以上の周波数を変更することによっても可能になる場合があることが留意される。これは、時として周波数調整と称される。周波数調整は、単独で、または整合ネットワークと併せて生じる場合がある。他の実施形態では、周波数は、実質的に固定される(わずかな変動を妨げる)場合があり、またその代わりにインピーダンス整合は、周波数調整に依存することなく、整合ネットワークによって実施される場合がある。
【0054】
[マイクロ波電力を制御する方法]
最終的に、別の態様では、本発明は、分配された電極へと送達されるマイクロ波電力を制御して、分配された電極上の電界の均一性を改善する方法として理解される場合がある。方法は、複数のRF源回路出力の各々において、少なくとも300MHzの周波数を有するRF源信号を出力するRF源回路を含む。別の動作では、RF源回路出力の各々について、ソリッドステートインピーダンス整合回路は、RF源信号を受信し、かつRF源回路出力と負荷との間のインピーダンス整合を可能にするように、整合回路のインピーダンスを電子的に改変する。また別の動作では、整合回路は、RF源信号を負荷の分配された電極へと出力する。
【0055】
本明細書で考察される実施形態は、いくつかの利点を提供する。最も意義深いことに、特にマイクロ波信号などのより高い周波数のRF信号が使用される場合、これらは分配された電極上の電界の均一性を改善する。より高周波のRF源に対してより良好な電界均一性を引き起こすことによって、半導体製造は、膜堆積およびエッチング時間の低減を可能にするために、これらのより高い周波数を使用することができる。
【0056】
本発明は、本発明の現在の好ましい実行のモードを含む特定の実施例に関して記述してきたが、当業者であれば、上述のシステムおよび技法の数多くの変形および並べ替えがあることを理解するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、また構造的および機能的修正がなされてもよいことが、理解されるべきである。それ故に、本発明の趣旨および範囲は、添付の特許請求の範囲に記載のように広く解釈されるべきである。
【外国語明細書】