(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173804
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】受信装置及び送出装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/435 20110101AFI20241205BHJP
H04N 21/434 20110101ALI20241205BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20241205BHJP
H04H 60/02 20080101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N21/435
H04N21/434
H04H20/28
H04H60/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088120
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2023090232
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】井口 和久
(72)【発明者】
【氏名】岩村 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】根本 慎平
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164MA06S
5C164SB07S
5C164SB15S
5C164UB10P
5C164UB11P
(57)【要約】
【課題】番組の映像を邪魔することを抑制しつつ、番組の途中から視聴を開始した視聴者に対してより確実に上乗せ提示情報を提示することを可能とする。
【解決手段】受信装置は、番組の映像の符号化ストリームと、上乗せ提示情報を前記番組の映像に上乗せすることを示すフラグ情報とを含む放送信号を受信する受信手段と、前記番組と対応付けて前記フラグ情報を保持する保持手段と、前記番組の映像の再生が視聴者により選択されたことに応じて、前記符号化ストリームから前記番組の映像を再生する再生手段と、を備える。前記再生手段は、視聴者により映像の再生が選択された前記番組と対応する前記フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報を前記番組映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組の映像の符号化ストリームと、上乗せ提示情報を前記番組の映像に上乗せすることを示すフラグ情報とを含む放送信号を受信する受信手段と、
前記番組と対応付けて前記フラグ情報を保持する保持手段と、
前記番組の映像の再生が視聴者により選択されたことに応じて、前記符号化ストリームから前記番組の映像を再生する再生手段と、を備え、
前記再生手段は、視聴者により映像の再生が選択された前記番組と対応する前記フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せする
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記番組の映像の再生が視聴者により選択されていないことに応じて、前記フラグ情報を保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記受信手段は、前記上乗せ提示情報をさらに含む前記放送信号を受信し、
前記再生手段は、前記放送信号から前記上乗せ提示情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
サーバと通信する通信手段をさらに備え、
前記再生手段は、前記サーバから前記上乗せ提示情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記フラグ情報は、前記上乗せ提示情報を前記所定時間だけ強制的に提示することを示す第1フラグ情報であり、
前記再生手段は、前記番組の映像の再生が選択された際に前記第1フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に前記所定時間だけ且つ所定回数だけ強制的に上乗せする
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記受信手段は、前記所定時間を指定する情報をさらに含む前記放送信号を受信し、
前記再生手段は、前記番組の映像の再生が選択された際に前記第1フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に前記指定された時間だけ且つ前記所定回数だけ強制的に上乗せする
ことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記上乗せ提示情報を繰り返し提示する場合、前記所定時間を指定する情報は、前記上乗せ提示情報の1回当たりの提示時間、前記上乗せ提示情報の提示時間間隔、及び前記所定回数のうち、少なくとも1つを指定する情報を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記フラグ情報は、前記上乗せ提示情報を強制的に常時提示することを示す第2フラグ情報であり、
前記再生手段は、前記番組の映像の再生が選択された際に前記第2フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に強制的に常時上乗せする
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項9】
前記フラグ情報は、前記上乗せ提示情報を任意に提示することを示す第3フラグ情報であり、
前記再生手段は、前記番組の映像の再生が選択された際に前記第3フラグ情報が前記保持手段に保持されており、且つ、前記上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択された場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に上乗せする
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項10】
前記再生手段は、
前記番組の映像の再生が選択された際に前記第3フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報があることを示す通知情報を視聴者に提示し、
前記通知情報に基づき前記上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択された場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に上乗せする
ことを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
番組の映像の符号化ストリームと、前記番組の映像に上乗せ提示情報を上乗せすることを示すフラグ情報とを多重化して多重化ストリームを出力する多重化手段と、
前記多重化ストリームを含む放送信号を送出する送出手段と、を備え、
前記フラグ情報は、受信装置において前記番組と対応付けて保持され、
前記受信装置において映像の再生が選択された前記番組と対応する前記フラグ情報が保持されている場合、前記フラグ情報は、前記受信装置に、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せさせる
ことを特徴とする送出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送システムで用いる受信装置及び送出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送等の放送サービスにおいては、放送終了の時間が流動的な番組、例えば、過去の番組の再放送時や、スポーツ中継、国会中継等があり、このような番組の放送中又はその後の番組は放送時間が当初の予定から変更される場合がある。また、一部の番組は、放送プログラムを正常化するために放送休止になることもある。
【0003】
そのような場合において、送出側は、放送時間が変更されたことや番組が休止になったことを通知するための上乗せスーパーと呼ばれる(番組編成情報を告知するため編成スーパーとも呼ばれる)字幕を番組映像に上乗せする。このような編成スーパーは、番組放送中に継続して表示させると番組の映像(「番組映像」とも称する)の邪魔になり得るため、例えば番組冒頭において所定時間(数秒から数分)に限定されて上乗せが実施されることが一般的である。番組映像に上乗せされる編成スーパーのような情報を「上乗せ提示情報」と称する。
【0004】
図8は、従来の送出装置100の構成を示す図である。VTR等の映像再生装置から出力された番組映像信号は、上乗せ部101を介して映像符号化部110に入力されて圧縮符号化され、符号化された番組映像の符号化ストリームに音声の符号化ストリーム等が多重化部120で多重化され、多重化により得られた放送信号が送出部130から放送伝送路を介して送出される。上乗せ部101は、上乗せオフの場合は番組映像をそのまま通過させ、上乗せオンの場合は上乗せ提示情報を番組映像に上乗せして出力する。上乗せ部101は常時オンとせずに所定時間だけオンとして、所定時間が経過したらオフすることによって上乗せを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
視聴者がある番組の途中から視聴を開始する場合、編成スーパーのような上乗せ提示情報が視聴者の目に触れないことがある。例えば、ある番組を視聴中の視聴者が別の放送チャンネルを選局した場合、当該別の放送チャンネルの番組を途中から視聴することになり得る。しかしながら、番組の途中から視聴を開始した際に当該番組について上乗せ提示情報の提示タイミングが終了していれば、視聴者は当該上乗せ提示情報を把握できない。
【0007】
そこで、本発明は、番組の映像を邪魔することを抑制しつつ、番組の途中から視聴を開始した視聴者に対してより確実に上乗せ提示情報を提示することを可能とする受信装置及び送出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る受信装置は、番組の映像の符号化ストリームと、上乗せ提示情報を前記番組の映像に上乗せすることを示すフラグ情報とを含む放送信号を受信する受信手段と、前記番組と対応付けて前記フラグ情報を保持する保持手段と、前記番組の映像の再生が視聴者により選択されたことに応じて、前記符号化ストリームから前記番組の映像を再生する再生手段と、を備え、前記再生手段は、視聴者により映像の再生が選択された前記番組と対応する前記フラグ情報が前記保持手段に保持されている場合、前記上乗せ提示情報を前記番組の映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せする。
【0009】
第2の態様に係る送出装置は、番組の映像の符号化ストリームと、前記番組の映像に上乗せ提示情報を上乗せすることを示すフラグ情報とを多重化して多重化ストリームを出力する多重化手段と、前記多重化ストリームを含む放送信号を送出する送出手段と、を備え、前記フラグ情報は、受信装置において前記番組と対応付けて保持され、前記受信装置において映像の再生が選択された前記番組と対応する前記フラグ情報が保持されている場合、前記フラグ情報は、前記受信装置に、前記上乗せ提示情報を前記番組映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せさせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、番組の映像を邪魔することを抑制しつつ、番組の途中から視聴を開始した視聴者に対してより確実に上乗せ提示情報を提示することを可能とする受信装置及び送出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るデジタル放送システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る送出装置の構成例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る受信装置の構成例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る受信装置の動作の一例を示す図である。
【
図5】
図4のステップS4の動作の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るデジタル放送システムの変更例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る受信装置の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、実施形態に係る放送システムについて説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
(1)放送システム
まず、本実施形態に係る放送システムであるデジタル放送システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係るデジタル放送システム10の構成例を示す図である。デジタル放送システム10は、デジタルテレビ放送システムである。デジタル放送システム10は、送出装置1と、複数の受信装置2(図示の例では、受信装置2a乃至2c)とを有する。
【0014】
送出装置1は、番組映像信号を符号化して放送伝送路に送出する。放送伝送路は、放送電波若しくはネットワーク、又はこれらの組み合わせであってもよい。放送伝送路が放送電波を含むことを主として想定するが、放送伝送路がネットワーク上の通信路であってもよい。各受信装置2は、番組映像を受信して復号し、対応する表示装置3に出力する。受信装置2が復号映像を表示装置3に出力することで表示装置3が映像を表示する。なお、受信装置2が表示装置3と別体である一例を示しているが、受信装置2が表示装置3と一体に構成されていてもよい。
【0015】
(2)送出装置
次に、本実施形態に係る送出装置1について説明する。
図2は、本実施形態に係る送出装置1の構成例を示す図である。送出装置1は、映像符号化部11と、上乗せ情報取得部12と、制御情報生成部13と、多重化部14と、送出部15とを有する。
【0016】
映像符号化部11は、VTR等の映像再生装置から出力された番組映像信号を符号化し、番組映像の符号化ストリームを多重化部14に出力する。映像符号化の方式は特に限定されるものではないが、例えば、HEVC(High Efficiency Video Coding)又はVVC(Versatile Video Coding)等を利用できる。
【0017】
上乗せ情報取得部12は、番組映像に上乗せして提示する上乗せ提示情報を取得し、上乗せ提示情報を多重化部14に出力する。上乗せ提示情報は、例えば、放送時間が変更されたことや番組が休止になったことを通知するための編成スーパーを構成する文字情報である。例えば、当該文字情報は、「この番組は18:10まで延長します」といった文字情報である。上乗せ情報取得部12は、当該文字情報をそのまま多重化部14に出力してもよいし、当該文字情報を符号化した符号化ストリームを多重化部14に出力してもよい。上乗せ提示情報は、任意の上乗せ映像であってもよい。以下の実施形態では、上乗せ提示情報が文字情報である一例について主として説明する。
【0018】
制御情報生成部13は、受信装置2に伝送する制御情報を生成し、制御情報を多重化部14に出力する。本実施形態では、制御情報は、上乗せ提示情報の対象とする番組を示す情報と、当該番組と対応付けられたフラグ情報とを含む。当該フラグ情報は、対応する番組の映像に上乗せ提示情報を上乗せすることを示す情報であり、「上乗せフラグ情報」とも称する。
【0019】
本実施形態では、上乗せフラグ情報は、上乗せ提示情報を所定時間だけ強制的に提示することを示す第1フラグ情報、上乗せ提示情報を強制的に常時提示することを示す第2フラグ情報、及び上乗せ提示情報を任意に提示することを示す第3フラグ情報のいずれかである。上乗せフラグ情報が第1フラグ情報である場合、制御情報生成部13は、上乗せ提示情報を提示する所定時間(例えば、X秒又はX分等)を指定する情報を制御情報に含めて多重化部14に出力してもよい。
【0020】
上乗せフラグ情報は、複数ビットからなる情報であってもよい。例えば、上乗せフラグ情報の1ビット目は、上乗せ提示情報を上乗せする場合は真(“1”)、上乗せ提示情報を上乗せしない場合は偽(“0”)にセットされてもよい。また、上乗せフラグ情報の2ビット目及び3ビット目は、上乗せフラグ情報の1ビット目が真(“1”)である場合、第1フラグ情報乃至第3フラグ情報を識別する情報がセットされてもよい。例えば、上乗せ提示情報を所定時間だけ強制的に提示する場合(すなわち、第1フラグ情報の場合)は“01”、上乗せ提示情報を強制的に常時提示する場合(すなわち、第2フラグ情報の場合)は“10”、上乗せ提示情報を任意に提示する場合(すなわち、第3フラグ情報の場合)は“11”にセットされてもよい。
【0021】
第1フラグ情報がセットされた場合、制御情報生成部13は、所定時間を指定する情報を出力してもよい。所定時間を指定する情報は、上乗せ提示情報の提示が1回のみである場合、所定時間の時間長を示す情報であってもよい。一方、上乗せ提示情報を繰り返し提示する場合、所定時間を指定する情報は、上乗せ提示情報の1回当たりの提示時間、上乗せ提示情報の提示時間間隔、及び上乗せ提示情報の提示の繰り返し回数(所定回数)のうち、少なくとも1つを指定する情報を含んでもよい。これにより、例えば、30分ごとに所定時間だけ上乗せ提示情報を提示させることも可能になる。或いは、上乗せ提示情報の1回当たりの提示時間、上乗せ提示情報の提示時間間隔、及び上乗せ提示情報の提示の繰り返し回数(所定回数)は、技術仕様によって予め規定されてもよい。
【0022】
多重化部14は、映像符号化部11が出力する番組映像の符号化ストリーム、上乗せ情報取得部12が出力する上乗せ提示情報、制御情報生成部13が出力する制御情報、及び音声の符号化ストリーム等を多重化し、多重化ストリームを送出部15に出力する。
【0023】
多重化部14は、上乗せ情報取得部12が出力する上乗せ提示情報をService Information(SI)に含めて多重化してもよい。或いは、多重化部14は、上乗せ情報取得部12が出力する上乗せ提示情報を別個の符号化ストリームとして多重化してもよい。
【0024】
多重化部14は、制御情報生成部13が出力する制御情報をSIとして多重化してもよい。SIは、制御メッセージの形式で多重化される。例えば、多重化部14は、制御情報生成部13が出力する制御情報を周期的に(繰り返して)多重化ストリームに含めてもよい。多重化部14は、制御情報生成部13が出力する制御情報を、番組と対応付けられたSI(制御メッセージ)に含めてもよい。このようなSIは、例えば、デジタル放送の番組を視聴するために必要な情報やEIT(Event Information Table)と呼ばれる番組タイトルや放送時間、番組出演者等を含むテーブルであってもよい。このようにして、多重化部14は、制御情報生成部13が生成した制御情報をSIの一部として含む多重化ストリームを出力する。但し、多重化部14は、制御情報生成部13が出力する制御情報をSI以外のメッセージ又はテーブル等に含めてもよい。例えば、多重化部14は、制御情報生成部13が出力する制御情報をISOBMFF(ISO Base Media File Format)のメタデータに含めてもよい。このようなメタデータは、SIよりも頻繁に伝送される。
【0025】
なお、多重化部14における多重化方式は、特に限定されるものではないが、例えば、MPEG-2やMPEG-4のTransport stream(TS)、MPEG Media Transport(MMT)、又はCMAF(Common Media Application Format)等、複数のストリームを同期して伝送できる多重化方式であればよい。MMTを利用する場合、上述のSIは、MMT-SIであってもよい。
【0026】
送出部15は、多重化部14が出力する多重化ストリームに対して伝送路符号化等を施し、放送信号として放送伝送路に送出する。
【0027】
このように、本実施形態に係る送出装置1は、番組映像の符号化ストリームと、番組映像に上乗せ提示情報を上乗せすることを示す上乗せフラグ情報とを多重化して多重化ストリームを出力する多重化部14と、多重化ストリームを含む放送信号を送出する送出部15とを有する。
【0028】
上乗せフラグ情報は、受信装置2において番組と対応付けて保持される。受信装置2において映像の再生が選択された番組と対応する上乗せフラグ情報が保持されている場合、当該上乗せフラグ情報は、受信装置2に、上乗せ提示情報を当該番組の映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せさせる。例えば、上乗せフラグ情報は、受信装置2において当該番組映像の再生が選択されていないことに応じて受信装置2で保持されてもよい。受信装置2において当該番組映像の再生が選択された際に上乗せフラグ情報が保持されている場合、上乗せフラグ情報は、受信装置2に、上乗せ提示情報を当該番組映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せさせてもよい。
【0029】
これにより、番組の映像を邪魔することを抑制しつつ、番組の途中から視聴を開始した視聴者に対してより確実に上乗せ提示情報を提示することが可能である。
【0030】
(3)受信装置
次に、本実施形態に係る受信装置2について説明する。
【0031】
(3.1)受信装置の構成
図3は、本実施形態に係る受信装置2の構成例を示す図である。受信装置2は、受信部21と、選局部22と、再生部23と、保持部24とを有する。
【0032】
受信部21は、放送伝送路を介して放送信号を受信し、復調等を行って多重化ストリームを再生部23に出力する。多重化ストリームには、番組映像の符号化ストリーム、上乗せ提示情報、制御情報(SI)、及び音声の符号化ストリーム等が多重化されている。上乗せ提示情報は、SI(制御メッセージ)に含まれていてもよいし、個別の符号化ストリームとして構成されてもよい。
【0033】
選局部22は、視聴者からの操作に基づいて放送チャンネルを選択(すなわち、選局)し、選局情報を再生部23に出力する。選局部22は、視聴者からの操作を受け付けるリモコンを含んでもよい。なお、「番組映像の再生が視聴者により選択される」とは、当該番組を伝送する放送チャンネルが選局されたことを意味してもよい。一方、「番組映像の再生が視聴者により選択されていない」とは、当該番組を伝送する放送チャンネルと異なる放送チャンネルが選局されていることを意味してもよいし、受信装置2がスタンバイ状態であっていずれの放送チャンネルも選局されていないことを意味してもよい。
【0034】
再生部23は、受信部21が出力する多重化ストリームから、選局部22により選局された放送チャンネルの番組を再生し、映像信号(及び音声信号)を表示装置3に出力する。再生部23は、番組の再生を制御する制御部23aと、番組映像の符号化ストリームから番組映像信号を再生(復号)する映像処理部23bとを含む。
【0035】
再生部23は、多重化ストリームから制御情報(SI)を取得する。上乗せフラグ情報が制御情報(SI)に含まれない場合、再生部23は、選局部22により選局された放送チャンネルに対応する映像符号化ストリームを多重化ストリームから取得し、取得した映像符号化ストリームを復号して出力する。
【0036】
一方、上乗せフラグ情報が制御情報(SI)に含まれる場合、再生部23は、上乗せフラグ情報と対応付けられた番組の再生が視聴者により選択されているか否かを確認する。上乗せフラグ情報と対応付けられた番組の再生が視聴者により選択されている場合、制御部23aは、放送信号(多重化ストリーム)から上乗せ提示情報を取得し、上乗せフラグ情報に基づいて上乗せ提示情報を番組映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せするよう映像処理部23bを制御する。本実施形態では、上乗せフラグ情報は、第1フラグ情報乃至第3フラグ情報のいずれかである。
【0037】
なお、文字情報である上乗せ提示情報がSI(制御メッセージ)に含まれる場合、制御部23aは、SIから上乗せ提示情報を取得し、当該上乗せ提示情報を番組映像に上乗せするよう映像処理部23bを制御する。一方、上乗せ提示情報が別個の符号化ストリーム(文字符号化ストリーム又は映像符号化ストリーム)に符号化されている場合、制御部23aは、当該符号化ストリームから上乗せ提示情報を復号し、復号した上乗せ提示情報を番組映像に上乗せする。
【0038】
上乗せフラグ情報が制御情報(SI)に含まれる場合、保持部24は、番組と対応付けて上乗せフラグ情報を保持する。例えば、当該上乗せフラグ情報と対応付けられた番組の再生が視聴者により選択されていない場合、再生部23は、当該上乗せフラグ情報を保持部24に保持させてもよい。また、当該上乗せフラグ情報と対応付けられた番組の再生が視聴者により選択されている場合も、再生部23は、当該上乗せフラグ情報を保持部24に保持させてもよい。保持部24は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリを含んで構成されている。再生部23は、当該上乗せフラグ情報が第1フラグ情報である場合、上乗せフラグ情報に加えて、所定時間を指定する情報(シンタックス)を保持部24に保持させる。再生部23は、上乗せフラグ情報と対応付けて上乗せ提示情報を保持部24に保持させてもよい。
【0039】
再生部23は、視聴者により映像の再生が選択された番組と対応する上乗せフラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報を当該番組の映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せする。例えば、再生部23(制御部23a)は、当該上乗せフラグ情報と対応付けられた番組の再生が視聴者により選択された際に、当該上乗せフラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報を番組映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せするよう映像処理部23bを制御する。また、上乗せ提示情報を複数回繰り返し提示する場合、制御部23aは、上乗せ提示情報の提示回数を保持部24に保持させ、上乗せ提示情報を提示した回数をカウントする。制御部23aは、上乗せ提示情報を所定回数だけ提示した場合に、提示終了したことを記憶する。なお、「所定回数」は、上乗せ提示情報の提示の繰り返し回数に相当し、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。上乗せ提示情報を常時提示してもよい。また、選局した時には必ず最初は上乗せ提示情報を提示するとしてもよい。
【0040】
このように、本実施形態に係る受信装置2は、番組映像の符号化ストリームと、上乗せ提示情報を当該番組映像に上乗せすることを示す上乗せフラグ情報とを含む放送信号を受信する受信部21と、当該上乗せフラグ情報や上乗せ提示情報の提示回数(カウント値)などを保持する保持部24と、当該番組映像の再生が視聴者により選択されたことに応じて、当該符号化ストリームから番組映像を再生する再生部23と、を有する。
【0041】
再生部23は、番組映像の再生が視聴者により選択された際に、当該上乗せフラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報を番組映像に少なくとも所定時間にわたって上乗せする。これにより、番組の映像を邪魔することを抑制しつつ、番組の途中から視聴を開始した視聴者に対してより確実に上乗せ提示情報を提示することが可能である。
【0042】
上乗せフラグ情報は、上乗せ提示情報を所定時間だけ強制的に提示することを示す第1フラグ情報であってもよい。再生部23は、番組映像の再生が選択された際に第1フラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報を番組映像に所定時間だけ強制的に上乗せする。ここで、受信部21は、所定時間を指定する情報をさらに含む放送信号を受信してもよい。再生部23は、番組映像の再生が選択された際に第1フラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報を、指定された時間だけ番組映像に強制的に上乗せしてもよい。なお、上乗せ提示情報を繰り返し提示する場合、所定時間を指定する情報は、上乗せ提示情報の1回当たりの提示時間、上乗せ提示情報の提示時間間隔、及び上乗せ提示情報の提示の繰り返し回数(所定回数)のうち、少なくとも1つを指定する情報を含んでもよい。制御部23aは、このような提示(すなわち、上乗せ提示情報の強制的な提示)が行われたことを示す状態を保持部24に保持させてもよい。ザッピングにより当該番組の選局を終了し、再度当該番組を選局した際に、制御部23aは、保持部24が保持している状態の情報に基づき、上乗せ提示情報を再度提示することを抑制してもよい。また、制御部23aは、上乗せ提示情報の強制的な提示後に、上乗せ提示情報をリモコンなどを介して視聴者が任意に提示可能な状態にしてもよい。但し、第2フラグ情報(強制提示フラグかつ常時)のケースでは、任意に提示可能な状態にしてはならない。
【0043】
上乗せフラグ情報は、上乗せ提示情報を強制的に常時提示することを示す第2フラグ情報であってもよい。再生部23は、番組映像の再生が選択された際に第2フラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報を当該番組映像に強制的に常時上乗せする。
【0044】
上乗せフラグ情報は、上乗せ提示情報を任意に提示することを示す第3フラグ情報であってもよい。再生部23は、番組映像の再生が選択された際に第3フラグ情報が保持部24に保持されており、且つ、上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択された場合、上乗せ提示情報を番組映像に上乗せする。具体的には、再生部23は、番組映像の再生が選択された際に第3フラグ情報が保持部24に保持されている場合、上乗せ提示情報があることを示す通知情報を視聴者に提示してもよい。再生部23は、通知情報に基づき上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択された場合、上乗せ提示情報を番組映像に上乗せしてもよい。
【0045】
(3.2)受信装置の動作の一例
図4は、本実施形態に係る受信装置2の動作の一例を示す図である。
【0046】
受信部21が放送信号の受信を開始すると、ステップS1において、再生部23は、上乗せフラグ情報が放送信号(多重化ストリーム)に含まれているか否かを確認する。上乗せフラグ情報が放送信号に含まれていない場合(ステップS1:NO)、ステップS2において、再生部23は、現在選局中の放送チャンネルの番組を再生する。
【0047】
上乗せフラグ情報が放送信号に含まれている場合(ステップS1:YES)、ステップS3において、再生部23は、上乗せフラグ情報が現在選局中の放送チャンネルの番組と対応付けられているか否かを確認する。上乗せフラグ情報が現在選局中の番組と対応付けられている場合(ステップS3:YES)、ステップS4において、再生部23は、上乗せフラグ情報に基づいて、上乗せ提示情報を番組映像に上乗せして再生する。
【0048】
上乗せフラグ情報が現在選局中の放送チャンネルの番組と対応付けられていない場合(ステップS3:NO)、ステップS5において、保持部24は、上乗せ提示情報を提示する対象の番組と対応付けて上乗せフラグ情報を保持する。ここで、上乗せフラグ情報が第1フラグ情報である場合、保持部24は、所定時間を指定する情報(シンタックス)をさらに保持してもよい。フラグ情報が保持されると、処理がステップS6に進む。
【0049】
ステップS6において、再生部23は、現在選局中の放送チャンネルの番組を再生する。
【0050】
ステップS7において、再生部23は、視聴者が選局部22を用いて他の放送チャンネルを選局したか否かを確認する。他の放送チャンネルが選局されていない場合(ステップS7:NO)、処理がステップS6に戻る。
【0051】
他の放送チャンネルが選局された場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、再生部23は、選局された放送チャンネルの番組と対応付けて上乗せフラグ情報が保持部24に保持されているか否かを確認する。選局された放送チャンネルの番組と対応付けて上乗せフラグ情報が保持部24に保持されていない場合(ステップS8:NO)、処理がステップS6に戻る。
【0052】
選局された放送チャンネルの番組と対応付けて上乗せフラグ情報が保持部24に保持されている場合(ステップS8:YES)、処理がステップS4に進む。ステップS4において、再生部23は、保持されている上乗せフラグ情報に基づいて、上乗せ提示情報を番組映像に上乗せして再生する。
【0053】
図5は、
図4のステップS4の動作の一例を示す図である。
【0054】
ステップS41において、再生部23は、上乗せフラグ情報が第1フラグ情報であるか否かを確認する。上乗せフラグ情報が第1フラグ情報である場合(ステップS41:YES)、ステップS42において、再生部23は、上乗せ提示情報を番組映像に所定時間・回数だけ強制的に上乗せする。ここで、所定時間と回数は、所定時間と回数を指定する情報(シンタックス)により指定されてもよい。
【0055】
上乗せフラグ情報が第1フラグ情報でない場合(ステップS41:NO)、ステップS43において、再生部23は、上乗せフラグ情報が第2フラグ情報であるか否かを確認する。上乗せフラグ情報が第2フラグ情報である場合(ステップS43:YES)、ステップS44において、再生部23は、上乗せ提示情報を番組映像に強制的に常時上乗せする。
【0056】
上乗せフラグ情報が第2フラグ情報でない場合(ステップS43:NO)、すなわち、上乗せフラグ情報が第3フラグ情報である場合、ステップS45において、再生部23は、上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択された否かを確認する。ここで、再生部23は、上乗せ提示情報があることを示す通知情報を視聴者に提示してもよい。例えば、再生部23は、上乗せ提示情報があることを示すメッセージアイコンを表示装置3に出力して表示させてもよい。再生部23は、上乗せ提示情報を提示することを示す操作を選局部22(リモコン)が視聴者から受け付けたことに応じて、上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択されたと判定してもよい。上乗せ提示情報の提示が視聴者により選択された場合(ステップS45:YES)、ステップS46において、再生部23は、上乗せ提示情報を番組映像に上乗せする。
【0057】
(4)変更例
次に、上述の実施形態の変更例について説明する。
図6は、デジタル放送システム10の変更例を示す図である。
【0058】
本変更例では、各受信装置2がネットワーク5に接続されている。各受信装置2は、ネットワーク5を介して、送出装置1と協調して動作するサーバ4と通信可能である。サーバ4は、上乗せ提示情報を各受信装置2に配信する。なお、放送伝送路が電波ではなく通信で構成される場合、放送伝送路は、ネットワーク5と一体化されていてもよい。
【0059】
上述の実施形態では、送出装置1は、上乗せ提示情報を放送信号(多重化ストリーム)に含めていた。これに対し、本変更例では、送出装置1は、上乗せ提示情報へのポインタ情報を放送信号に含める。受信装置2は、当該ポインタ情報に基づき上乗せ提示情報をサーバ4から取得する。
【0060】
【0061】
本変更例に係る受信装置2は、ネットワーク5を介してサーバ4と通信する通信部25をさらに有する。再生部23は、受信部21が出力する多重化ストリームから、上乗せ提示情報へのポインタ情報を取得する。再生部23は、当該ポインタ情報に基づいて、上乗せ提示情報をサーバ4から通信部25を介して取得し、取得した上乗せ提示情報を番組映像に上乗せする。
【0062】
(5)他の実施形態
上述の実施形態では、第2フラグ情報がセットされた場合、制御情報生成部13が所定時間を指定する情報を生成して出力する一例について説明した。しかしながら、デジタル放送システム10の技術仕様で予め所定時間が規定されているような場合、制御情報生成部13は、所定時間を指定する情報を生成して出力しなくてもよい。
【0063】
上述の実施形態における動作フローは、必ずしもフロー図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0064】
送出装置1が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、受信装置2が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0065】
送出装置1が行う各処理を実行する回路を集積化し、送出装置1を半導体集積回路(チップセット、SoC)により構成してもよい。また、受信装置2が行う各処理を実行する回路を集積化し、受信装置2を半導体集積回路(チップセット、SoC)により構成してもよい。
【0066】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」等の呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0067】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 :送出装置
2 :受信装置
3 :表示装置
4 :サーバ
5 :ネットワーク
10 :デジタル放送システム
11 :映像符号化部
12 :上乗せ情報取得部
13 :制御情報生成部
14 :多重化部
15 :送出部
21 :受信部
22 :選局部
23 :再生部
23a :制御部
23b :映像処理部
24 :保持部
25 :通信部
100 :送出装置
101 :上乗せ部
110 :映像符号化部
120 :多重化部
130 :送出部