(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173817
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】伸長されたサンプルの三次元断層撮影のための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20241205BHJP
H01J 37/26 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01N23/046
H01J37/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088531
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】23176703.9
(32)【優先日】2023-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】フランケン エリック ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァースロット トロンド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン バート ジョゼフ
【テーマコード(参考)】
2G001
5C101
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA11
2G001CA03
2G001HA14
2G001JA08
2G001JA09
2G001MA06
5C101AA04
5C101EE19
5C101EE22
5C101EE23
5C101FF22
5C101FF56
5C101FF57
5C101GG09
5C101GG19
5C101GG37
5C101HH25
5C101HH34
5C101HH35
5C101HH37
5C101HH44
5C101HH66
(57)【要約】
【課題】針形状のサンプル又はスラブ形状のサンプルの伸長された部分のいずれかの三次元(3D)断層撮影画像化のための新規の代替方法を提供する。
【解決手段】 3D断層撮影の方法は、伸長セクションを含むサンプルを提供することであって、伸長セクションの伸長は、軸長を有する伸長軸を画定する、提供することと、伸長セクションの複数の二次元(2D)合成画像を伸長セクションの軸長に沿って取得することであって、各2D合成画像が、それぞれのシリーズの画像フレームから生成され、伸長軸に平行である伸長セクションの投影を含み、各2D合成画像は、伸長軸と実質的に一致する回転軸を中心とした、サンプルの初期配向に対する、サンプルの異なるそれぞれの回転角度において取得される、取得することと、複数の投影画像を組み合わせて、サンプルの伸長セクションの3D断層撮影表現を得ることと、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3D)断層撮影の方法であって、
伸長セクションを含むサンプルを提供することであって、前記伸長セクションの伸長は、軸長を有する伸長軸を画定する、提供することと、
荷電粒子ビーム顕微鏡を使用して、前記伸長セクションの複数の二次元(2D)合成画像を前記伸長セクションの軸長に沿って取得することであって、各2D合成画像が、それぞれのシリーズの画像フレームから生成され、前記伸長軸に平行である前記伸長セクションの投影を含み、各2D合成画像は、前記伸長軸と実質的に一致する回転軸を中心とした前記サンプルの初期配向に対する前記サンプルの異なるそれぞれの回転角度において取得される、取得することと、
前記複数の2D合成画像を組み合わせて、前記サンプルの前記伸長セクションの3D断層撮影表現を得ることと、を含む、三次元(3D)断層撮影の方法。
【請求項2】
各シリーズの画像フレームの全ての画像フレームは、前記初期配向に対して、前記回転軸を中心とした前記サンプルの同じ回転角度に対応し、各シリーズの画像フレームの各画像フレームは、前記伸長セクションの長さの一部分に沿った前記伸長セクションの2D投影画像に対応する、請求項1に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項3】
各シリーズの画像フレームを前記取得することは、連続する画像フレームの取得の間に、前記サンプル上に向けられる荷電粒子の入射フラックスに対して前記サンプルの位置を変化させることを含む、請求項2に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項4】
各シリーズの各画像フレームは、同じシリーズの画像フレームの少なくとも1つの他の隣接する画像フレームと重複する、請求項3に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項5】
各シリーズ内に画像フレームの重複はなく、前記伸長セクションの長さにわたる前記伸長セクションの各2D画像は、隣接する画像フレーム間のサンプル特徴のデジタル再構築によって、対応するシリーズの画像フレームの重複しない画像フレームから生成される、請求項3に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項6】
前記サンプルの前記初期配向に対する前記サンプルの複数の回転角度は、90度~-90度の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項7】
前記入射フラックスに対する前記サンプルの相対移動の方向は、各シリーズの画像フレームの取得後に反転される、請求項3~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項8】
各シリーズの画像フレームの各画像フレームは、前記サンプルが前記入射フラックスの複数のパルスに露光されるそれぞれの時間増分に対応し、前記入射フラックスの前記パルスのタイミングは、擬似ランダムシーケンスに従う、請求項3~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項9】
各シリーズの画像フレームの各画像フレームは、検出器が前記サンプルから前記検出器への電子フラックスの複数のパルスに露光されるそれぞれの時間増分に対応し、前記電子フラックスの前記パルスのタイミングは、擬似ランダムシーケンスに従う、請求項3~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項10】
前記2D合成画像のうちの少なくとも1つに基づいて、前記サンプルの第2の伸長セクションを検出することであって、前記第2の伸長セクションの伸長は、第2の軸長を有する第2の伸長軸を画定する、検出することと、
前記荷電粒子ビーム顕微鏡を使用して、前記第2の伸長セクションの第2の複数の2D合成画像を前記第2の軸長に沿って取得することであって、前記第2の複数の2D合成画像の各々は、それぞれのシリーズの画像フレームから生成され、前記第2の伸長軸に平行である前記第2の伸長セクションの投影を含み、前記第2の複数の2D合成画像の各々は、前記第2の伸長軸と実質的に一致する第2の回転軸を中心とした、前記サンプルの初期配向に対する、前記サンプルの異なるそれぞれの回転角度において取得される、取得することと、
前記第2の伸長セクションの前記第2の複数の2D合成画像を組み合わせて、前記サンプルの前記第2の伸長セクションの3D断層撮影表現を得ることと、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項11】
前記伸長軸に垂直に取られた前記伸長セクションの厚さは、1マイクロメートル(μm)以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項12】
各2D合成画像を前記取得することは、前記サンプル上への電子又はイオンの衝突に応答して、前記サンプルからの光子の放出の少なくとも1つの画像を取得することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項13】
前記サンプルと前記入射フラックスとの相対位置は、各シリーズの画像フレームの取得中に連続的に変化する、請求項3~5のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【請求項14】
荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子源と、
前記荷電粒子源からの荷電粒子のビームを、回転可能かつ並進可能なサンプルステージ上に取り付けられたサンプルの伸長部分に向けるように構成された荷電粒子ビームカラムと、
前記サンプル上への前記荷電粒子のビームの衝突に応答して、前記サンプルを透過するか又は前記サンプルにおいて生成される荷電粒子又は光子のいずれかを検出器に移送するように構成された荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系であって、前記荷電粒子又は光子の移送は、前記伸長セクションの長さの一部分に沿った前記伸長セクションの投影である画像フレームの生成を含む、荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系と、
前記荷電粒子源、前記回転可能かつ並進可能なサンプルステージ、前記荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系、及び前記検出器のうちの1つ以上に電気的に結合されたコントローラ環境であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能であるプログラム命令を含む、コントローラ環境と、を備える、荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
3D断層撮影の画像化システムのコントローラ環境上で実行されるときに、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能であるプログラム命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの三次元断層撮影分析に関する。
【背景技術】
【0002】
断層撮影は、物体の内部を貫通するエネルギーを用いて、物体の多数の画像を撮影し、次いで、物体の画像を使用して、フィルタ補正逆投影又は反復再構築などの1つ以上の再構築アルゴリズムを用いて、物体の三次元再構築を生成することを伴う、画像化技法のセットである。断層撮影の例は、磁気共鳴画像化、CTスキャン、及び超音波断層撮影を含むが、多くの他の技法及び放射エネルギー源が存在する。電子断層撮影又は極低温電子断層撮影などの電子ベースの断層撮影もまた、断層撮影手法であり、一般に、画像化粒子の波長が短いことを考慮すると、例えば、ミクロンから原子スケールまでの小さいサンプルの断層撮影画像化に適用可能である。
【0003】
(一般的なスラブ形状のサンプルではなく)針形状のサンプルに対する透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy、TEM)断層撮影は、主に、そのようなサンプルを(例えば、極低温集束イオンビームミリングによって)迅速に製造するための新しいツールに起因して、ますます普及しつつある。現在利用可能な技術を使用して、針形状のサンプルをその伸長軸を中心として-90度~+90度の任意の角度に傾斜させることが可能であり、それによって、いわゆるミッシングウェッジ問題を有利に排除する。多くの場合、針の伸長された部分の3D体積情報を取得したい。より一般的には、任意の形状のサンプルに関して、TEM画像データが収集されるサンプル体積を拡大することが望まれ得る。現在、これは、いくつかの傾斜シリーズの画像取得を取得することによって、又は針に沿ってシフトもしながら(サンプルがそのように成形されている場合)傾斜させて、螺旋軌道を得ることを含む、螺旋断層撮影によって、達成される。得られた画像は、その後、再構築され、スティッチされる(又はその逆)。
【0004】
透過型電子顕微鏡(TEM)などの電子顕微鏡では、電子源が、例えば80~300keVの選択可能なエネルギーを有するエネルギー電子のビームを生成するが、より高い及びより低いエネルギーが使用されることが既知である。このビームは、光学素子(電子レンズ、偏向器、多重極)によって操作(集束、偏向)され、サンプルホルダに配置されたサンプルを照射する。サンプルホルダは、サンプルを位置決めし、ホルダは、典型的に、3つの並進自由度(x、y、z)と、1つの回転自由度(α)又はそれ以上の回転自由度と、を示す。サンプルは、一般に、電子に対して透明であるように十分に薄い。いくつかの電子は吸収されるが、多くの電子は、散乱又は非散乱のいずれかでサンプル内に入り、サンプルを通過する。典型的に、サンプルの厚さは、生体サンプルでは50nm~1μm(極低温サンプルでは50~200nm)であり、半導体サンプルでは100nm未満である。別の組の光学素子は、CMOSカメラ、CCDカメラ、蛍光スクリーン、又は光ファイバーを介して接続された蛍光スクリーンとカメラとの組み合わせなどの検出器上にサンプルの拡大画像を形成する。検出器上に形成される画像は、サンプルの二次元(two-dimensional、2D)投影である。
【0005】
三次元(three-dimensional、3D)画像を達成するために、いわゆる傾斜シリーズの投影画像が最初に取得される。断層撮影画像化電子顕微鏡法は、複数の露光角度におけるサンプル画像の取得に基づいている。これらの角度は、典型的に、回転軸が針の長手方向と本質的に一致する上昇角度のシリーズを通してサンプルの角度配向を段階的に進めることによって設定される。他の例では、角度はサンプルを前後に傾斜させることによって設定される。これらの従来の手法の1つの問題は、傾斜角度の範囲が限られていることである。3D画像を達成するために、異なる回転配向下でのサンプルのシリーズの画像が、いわゆる傾斜シリーズで取得される。典型的に、傾斜シリーズは、1又は2度の一定間隔で-70~+70度の傾斜範囲に及ぶ。次いで、傾斜シリーズの画像が互いに対して位置合わせされ、適切なソフトウェアを使用して3D再構築が作成され、その後、可視化が行われ得る。
【0006】
従来の傾斜シリーズの画像取得の一例として、
図1A及び
図1Bは、第1の端部153a及び第2の端部153bを有する仮想円筒152の軸117に本質的に平行に位置合わせされ、一致すると仮定される伸長サンプル(図示せず)の3つの異なる傾斜シリーズの電子顕微鏡画像の角度配向及び位置決めを概略的に例解する。第1、第2、及び第3のシリーズの傾斜画像は、それぞれp
1からp
m、p
m+1からp
2m、及びp
2m+1からp
3mとラベル付けされた影付きボックスのセットによって表される画像フレームの3つのセットによって概略的に描写されている。
図1Aにおけるそのような各影付きボックスは、透過型電子顕微鏡の電子ビームなどの入射荷電粒子ビームと、サンプルの単一画像の取得中に軸117においてサンプルを取り囲む仮想円筒152との交点を表す。
図1Bでは、影付きボックスは、円筒152の表面が平面上に平坦化されているかのように概略的に描写されており、
図1Bの水平軸は、回転角度を表し、垂直軸は、円筒152の長さに沿って測定された(すなわち、回転軸に平行に測定された)位置を表す。
【0007】
図1A及び
図1Bに描写される様々な画像フレームの取得中、サンプルは、軸117を中心として(上から第1の端部153aに向かって見た際に)時計回り方向に一方向に回転されると仮定され、封入円筒152は、サンプルとともに回転すると仮定され得る。これらの条件下では、回転によって、円筒を取り囲む矢印によって表されるシーケンスで画像フレームが取得される。影付きボックスp
1~p
mによって表される第1の傾斜シリーズの画像の取得後、影付きボックスp
m+1~p
2mによって表される第2の傾斜シリーズの画像の取得に備えて、サンプル及び/又は荷電粒子ビームのいずれかが軸117に平行な方向に並進される。
図2A及び
図2Bに概略的に描写されるように、(この例によれば)第2のシリーズの画像は、第1のシリーズの画像と同じサンプル回転角度及び同じ順序で取得されると仮定される。
【0008】
螺旋断層撮影は、一般に、サンプルの多数の画像を螺旋方式で、すなわちサンプルの周りの多数の角度又は投影場所で撮影することと、それらの画像を使用してサンプルの3D再構築を形成することとを伴う。
図2A~
図2Bは、螺旋断層撮影手順中に得られ得るような画像取得のグループの一例を例解する。
図2Aに描写される影付きボックスは、
図1Aに示される影付きボックスと類似しており、そのような各影付きボックスは、透過型電子顕微鏡の電子ビームなどの入射荷電粒子ビームと、サンプルの一部分の単一画像の取得中に円筒の軸117においてサンプルを取り囲む仮想円筒152との交点を表す。
図1Bの描写と同様に、影付きボックスは、円筒152の表面が平面上に平坦化されているかのように
図2Bに概略的に描写されている。螺旋断層撮影手順の画像取得は、複数のシリーズの画像取得(例えば、シリーズp、シリーズQ、及びシリーズr)を含み、そのような画像取得の各シリーズ中、サンプルは、シリーズの各画像が異なるそれぞれの回転角度において得られるように、伸長軸117(この例では、装置回転軸115と本質的に一致すると仮定される)を中心として漸進的に回転される。例えば、シリーズpは、影付きボックスp
1,p
2,...,p
i,...,p
m-1,p
mに対応する画像取得のセット{P}を含む。同様に、シリーズQは、影付きボックスQ
1,Q
2,...,Q
i,...,Q
n-1,Q
nに対応する画像取得のセット{Q}を含む。同様に、シリーズrは、影付きボックスr
1,r
2,...,r
i,...,r
s-1,r
sに対応する画像取得のセット{r}を含む。3つのそのようなシリーズが
図2Aに描写され、合計6つのそのようなシリーズ(そのうちの3つはラベル付けされていない)が
図2Bに描写されているが、任意の数の同様のシリーズの画像が単一の画像化手順中に取得され得る。m、n及びsの値は、互いに等しくても等しくない場合がある。
【0009】
図2A~
図2Bを
図1A~
図1Bと比較することによって、画像取得のシリーズp、Q、及びr(
図2A~
図2B)は、画像取得の傾斜シリーズT
1,T
2,T
3,...(
図1B)と同様であることが観察され得る。しかしながら、傾斜シリーズの取得中の連続する画像取得の間に入射ビームに対するサンプルの伸長軸117に平行である並進運動は本質的に存在しないが、螺旋断層撮影手順中のシリーズp、シリーズQ、シリーズrなどの連続する画像取得の間に入射ビームに対するサンプルの意図的な並進が存在する。
【0010】
そのような従来の断層撮影方法、例えば、傾斜シリーズ断層撮影及び螺旋断層撮影は、首尾よく採用されているが、画質及び画像再構築効率に影響を及ぼし得るいくつかの課題が残っている。例えば、画像の通常のスティッチング又は螺旋断層撮影のいずれかを使用するときに、サンプルの全てのエリアが等しい量の電子を受け取ることを保証することは困難であるが、これは、放射線感受性サンプルの場合、画像アーチファクト又は解像度の損失を防ぐために重要である。第二に、別個の3D再構築された体積又は別個の傾斜シリーズをスティッチングする手順は、周知のように困難な数学的問題であることが既知である。第三に、サンプル傾斜又は回転ステップが、通常の傾斜シリーズ又は螺旋画像取得などにおいて離散的に行われる画像化手順は、各傾斜又は回転ステップの間に実質的な位置安定化時間間隔を必要とする。追加的に、螺旋断層撮影の三次元構造再構築の品質は、一般的に貧弱であるか、又は変動する可能性があり、螺旋断層撮影手順は、必要とされる精度及び技術的要件を考慮すると、多くの困難に関連する可能性がある。例えば、画像取得プロセス中にサンプルの移動を実施した後のサンプルの位置ドリフトは、ぼけた画像をもたらす可能性がある。したがって、電子ベースの断層撮影手法に対する改善が依然として必要とされている。
【0011】
発明者Schoenmakersらの名における米国特許第8,912,491号は、荷電粒子のビームを提供することと、傾斜され得るサンプルホルダ上にサンプルを提供することと、画像化ステップにおいて、サンプルを通すビームを向けてサンプルを画像化することと、サンプル傾斜のシリーズの各々においてこの手順を繰り返して、画像のセットを取得することと、再構築ステップにおいて、当該セットからの画像を数学的に処理して合成画像を構築することであって、画像化ステップにおいて、所与のサンプル傾斜について、成分画像のシーケンスが対応する焦点設定のシーケンスにおいて捕捉され、当該再構築ステップにおいて、サンプル傾斜のシリーズのうちの少なくとも1つの要素について、成分画像のシーケンスのうちの複数の要素は、数学的画像処理において使用される、構成することと、を含む、サンプルの断層撮影画像化を実施する方法を開示している。そのような方法は、所与のサンプル傾斜において2D画像化シートではなく3D画像化キューブをレンダリングする。
【0012】
発明者van de Waterらの名における米国特許第7,884,326号は、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)で使用するためのマニピュレータを開示しており、当該マニピュレータは、サンプルホルダを回転及び並進させることができる。マニピュレータは、アクチュエータ上に取り付けられた2つの部材の間に円形サンプルホルダを留める。アクチュエータを同じ方向に移動させると、サンプルホルダの並進がもたらされる一方で、アクチュエータを反対方向に移動させると、サンプルホルダの回転がもたらされる。
【0013】
発明者Lueckenらの名における米国特許第9,147,551号は、サンプルを保持することができ、かつサンプルが荷電粒子ビーム又は他の放射線源に露光されている間にサンプルを単一方向に連続的に回転させることができるサンプルホルダを開示している。サンプルホルダは、サンプルが2回以上の完全に一周するよう回転させることができる。荷電粒子ビーム画像は、断層撮影再構築において使用され、場合によっては、相対回転角度は、絶対回転角度の入力を伴わずに再構築において使用される。サンプルを荷電粒子ビーム又は他の放射線源に露光する間にサンプルを単一方向にこのように連続的に回転させることに依存する断層撮影の方法は、「連続傾斜断層撮影」と称される。
【0014】
発明者Varslotらの名における米国特許第8,854,430号は、サンプルの画像データを処理するための方法を開示しており、この方法は、サンプルの少なくとも部分的に重複する空間領域の第1の画像及び第2の画像を位置合わせすることと、位置合わせされた画像からのデータを処理して、サンプルに関する情報を含む統合された画像データを得ることと、を含み、当該情報は、当該第1の画像及び第2の画像から利用可能なものに追加される。
【0015】
発明者Kingstonらの名における米国特許第10,254,419号は、異なる視軸シリーズに沿って検体をソース及び検出器が画像化することを可能にするように、検体に対するソースの相対運動を生成するためのステージを使用する断層撮影画像化装置と、検体の少なくとも一部の断層撮影画像を組み立てるための処理装置と、を使用して、検体を調査する方法である。調査は、検体を取り囲み、かつ実質的にその中心にある仮想基準面を考慮し、当該視軸の各々とこの基準面との交差の入射点を考慮し、それによって視軸のシリーズに対応するそのような交差点のセットを生成し、セットが実質的に均一な分布で基準面に位置する点の二次元格子を含むように、シリーズ中の離散的な視軸を選択することによって実施される。
【0016】
発明者Schoenmakersらの名における米国特許第9,618,460号は、サンプル傾斜のシリーズに対してサンプルを通して荷電粒子ビームを繰り返し向けて、対応する画像のセットを取得し、画像を数学的に組み合わせて合成画像を構築することを伴う断層撮影画像化を実施する方法を開示しており、数学的に組み合わせることは、サンプル傾斜の第2のシリーズの各々において、スペクトル検出器を使用して、当該サンプルのスペクトルマップを蓄積し、したがってスペクトルマップの集合を取得することと、当該スペクトルマップを分析してサンプルの組成データを導出することと、当該合成画像を構築する際に、当該組成データを採用することと、からなる。
【0017】
発明者Frankenらの名における米国特許第10,937,625号は、サンプルを画像化する方法であって、当該サンプルが、電子顕微鏡のサンプルホルダ上に取り付けられ、電子顕微鏡が、光軸に沿ってエネルギー電子のビームを発生させるための電子源と、サンプルに電子のビームを照射するようにビームを集束及び偏向させるための光学素子と、を備える、方法を開示している。サンプルホルダは、電子ビームに対してサンプルを位置決めし、かつ傾斜させることができる。この方法は、サンプルに電子のビームを照射することによって、画像の傾斜シリーズを取得するステップと、各画像が、関連付けられた一意の傾斜角度及び関連付けられた一意の位置で取得されるように、画像の取得中にサンプルの位置を並行に変更するステップと、を含む。ある実施形態では、サンプルの「ストロボ照明」が使用される。サンプルは、ストロボ方式で照明され、照明パルスの周波数は、カメラフレームの読み出しと同期化され得る。
【0018】
発明者Janssenらの名における米国特許第11,257,656号は、断層撮影におけるランダム角度サンプリングのための回転サンプルホルダを開示している。サンプルホルダはサンプルを保持し、サンプルが荷電粒子ビーム又は他の放射線源に露光されている間、サンプルを単一方向に連続的に回転させることができる。典型的に、荷電粒子ビームは、ストロボ発光されて、ランダム又は任意の回転角度において荷電粒子ビーム画像のシリーズを生成する。サンプルホルダは、サンプルが2回以上の完全に一周するよう回転させることができる。荷電粒子ビーム画像は、断層撮影再構築において使用され、場合によっては、相対回転角度は、絶対回転角度の入力を伴わずに再構築において使用される。
【0019】
米国特許出願公開第2022/0310354(A1)号は、回転軸を中心として、サンプルを回転させるように構成された移動ステージでサンプルを保持することと、サンプルが回転軸を中心とした第1の回転位置にある状態で画像化ビームを第1のサンプル場所に向け、第1のUS透過画像化ビーム画像を検出することと、回転軸を中心として、移動ステージを使用して、サンプルを第2の回転位置まで回転させることと、画像化ビームの光軸に対して画像化ビームを偏向させ、第2の透過画像化ビーム画像を検出することによって、画像化ビームを第2のサンプル場所に向けることであって、第2のサンプル場所は、少なくとも光軸に対して第1のサンプル場所から離間している、向けることと、を含むか、これらを提供する方法、並びにシステム及び装置である。いくつかの例は、画像化ビームを1つ以上の追加の回転位置における1つ以上の追加のサンプル場所に向けることと、対応する透過画像化ビーム画像を検出することと、を更に含み、第1の回転位置における第1のサンプル場所、第2の回転位置における第2のサンプル場所、及び1つ以上の追加の回転位置における1つ以上の追加のサンプル場所は、サンプルに対する画像化ビーム螺旋画像化軌道を含む。
【発明の概要】
【0020】
本明細書では、針形状のサンプル又はスラブ形状のサンプルの伸長された部分のいずれかの三次元断層撮影画像化のための新規の代替方法が開示される。これらの新規な方法は、以下の特徴によって特徴付けられる。
・関心傾斜範囲内の各固有のサンプル傾斜は、一度だけ訪問され、各傾斜角度において、複数の画像フレーム又は「動画モード」における単一のカメラ取得のいずれかが、関心特徴の長さにわたって得られ、同時に、サンプル又はサンプル部分の伸長軸に平行である入射ビームに対してサンプルを並進させる。並進は、連続的かつ滑らかに、又は、代替的には、明確に定義された離散的ステップにおいて、実施され得る。並進移動は、光学調整(例えば、サンプルの画像化された部分を調整するためにビーム偏向器を使用する)、x、yアクチュエータを使用するサンプルステージ運動、又はその両方の組み合わせのいずれかを使用して生成され得る。
・任意選択的に、ストロボ画像化又は符号化露光画像化(光学写真から既知である技法)を使用して、高周波空間情報を強調し、それによってモーションブラーを低減又は排除する。ストロボ画像化の1つの方法によれば、入射ビームは、繰り返されるビームブランキングの結果として、周期的に又は別様に断続的にサンプル上に導入され得る。ストロボ画像化の第2の方法によれば、画像ビームは、サンプルと検出器(例えば、カメラ)との間のビームをブランキングすることによって、周期的又は別様に断続的に遮断され得る。ストロボ画像化のそのような形態は、モーションブラーを低減するのに有効であり得、特定の実施形態において採用され得る。しかしながら、ストロボ画像化は、カメラにおける荷電粒子の達成可能な線量レートを厳しく制限する可能性があり、それによって、ビームがほとんどの時間にわたってブランキングされるので、画像品質の低下につながる。上で述べられるストロボ画像化のいずれかの方法を利用する符号化露光画像化は、(擬似)ランダムビームブランキングタイミングパターンを使用することによって、利用可能な「線量バジェット」のより効率的な使用を可能にする代替案を提供する。得られたデータは、ぼけた画像から空間情報を回復するために確実に逆畳み込みされ得る。
・任意選択的に、サンプルの傾斜及び/又は湾曲は、動画フレーム又は複数の静止画像における針中心位置の分析によってほぼリアルタイムで追跡され得る。この情報を使用して、ビーム並進又はステージ移動の方向のほぼリアルタイムの補正並びにビーム焦点の補正を提供し得る。焦点補正は、z軸(すなわち、入射ビームの方向)に平行なステージ移動又は対物レンズ調整のいずれかによって達成され得る。この任意選択的な追跡特徴は、針が傾斜軸に対して非ゼロの角度において取り付けられている場合、又はサンプルが視野のサイズ又は焦点の最大許容変化のいずれかと比較して有意に破損又は屈曲しているときに重要である。
・任意選択的に、各傾斜角度について、入射ビームに対するサンプルの移動方向は、サンプルの長さに沿った前方移動と後方移動との間で交互になり、画像取得中の必要な移動を更に最小化し得る。
・各傾斜角度において複数の画像を取得した後(又は取得中)、それぞれの傾斜角度において取得された画像のデータを使用して、サンプルの二次元の伸長投影画像が構築される。得られた二次元画像のセット(各々が異なるそれぞれの傾斜角度に対応する)は、サンプルの構造の1つ以上の三次元断層撮影再構築への入力として使用され、これは既知の技法によって実施され得る。いくつかの事例では、例えば、追加の画像フレームが取得されるのと同時に、完全な又は部分的な3D再構築が得られ得る。いくつかの事例では、二次元合成画像の構築は、3D断層撮影再構築と交互に行われ得る。
【0021】
本教示の第1の態様によれば、三次元(3D)断層撮影の方法が提供され、本方法は、(a)伸長セクションを含むサンプルを提供することであって、伸長セクションの伸長は、軸長を有する伸長軸を画定する、提供することと、(b)伸長セクションの複数の二次元(2D)合成画像を伸長セクションの軸長に沿って取得することであって、各画像は、伸長軸に平行である伸長セクションの投影に対応し、各画像は、伸長軸と実質的に一致する回転軸を中心とした、サンプルの初期配向に対する、サンプルの異なるそれぞれの回転角度において取得される、取得することと、(c)複数の投影画像を組み合わせて、サンプルの伸長セクションの3D断層撮影表現を得ることと、を含む。
【0022】
本方法の様々な実施形態では、伸長セクションの長さにわたる伸長セクションの2D画像の各取得は、シリーズの画像フレームを取得することを含み、シリーズの全ての画像は、初期配向に対する、回転軸を中心としたサンプルの同じ回転角度に対応し、各画像フレームは、2D投影画像の長さの一部分に沿った伸長セクションの2D投影画像に対応する。各シリーズのそのような各画像フレームは、同じシリーズの少なくとも1つの他の隣接する画像フレームと重複し得る。そのような事例では、画像フレームの重複部分を使用して、画像フレームから対応する2D投影画像を生成するのに備えて、フレームを位置合わせし得る。代替的に、各シリーズ内に画像フレームの重複がない場合があり、そのような事例では、伸長セクションの長さにわたる伸長セクションの各2D画像は、隣接するフレーム間のサンプル特徴のデジタル再構築によって、対応するシリーズの画像フレームの重複しない画像フレームから生成され得る。追加的な代替として、非常に正確な画像位置決めの場合、画像の重複がない場合があり、連続する画像間のカバレッジの欠如もない場合がある。そのような状況では、2D合成画像を作成するためのスティッチングは、些細なことである。
【0023】
本方法の様々な実施形態では、各2D画像を取得することは、少なくとも1つの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を取得することを含む。伸長軸に垂直に取られた伸長セクションの厚さは、1マイクロメートル(μm)以下であり得る。様々な実施形態では、各2D画像を取得することは、サンプル上への荷電粒子の衝突に応答して、サンプルからの光子の放出の少なくとも1つの画像を取得することを含み得る。様々な実施形態では、サンプルの伸長セクションを提供することは、サンプルのイオンビームミリングによって伸長セクションを作成することを含み得る。様々な実施形態では、サンプルの初期配向に対する、サンプルの複数の回転角度は、90度~-90度の範囲であり得る。
【0024】
本方法の様々な実施形態では、各シリーズの画像フレームを取得することは、連続する画像フレームの取得の間に、サンプル上に向けられる光子、電子、又はイオンの入射フラックスに対してサンプルの位置を変化させることを含み得る。入射フラックスに対するサンプルの位置を変化させることは、サンプルの位置を変化させること、入射フラックスの位置を変化させること、又はサンプルの位置及び入射フラックスの両方を同時に変化させること、のいずれかを含み得る。相対移動の方向は、各2D画像の取得後に反転され得る。様々な実施形態では、サンプル及び入射フラックスの相対位置は、各シリーズの画像フレームの取得中に連続的に変化し得る。そのような連続する位置変化中に、入射フラックスはパルス化され得、それによって、各シリーズの画像フレームの各画像フレームはそれぞれのパルスに対応する。様々な実施形態では、入射フラックスのパルスのタイミングは、事前生成された擬似ランダムシーケンスに従い得る。
【0025】
バリエーションでは、本方法は、(d)2D画像のうちの少なくとも1つに基づいて、サンプルの第2の伸長セクションを検出することであって、第2の伸長セクションの伸長は、第2の軸長を有する第2の伸長軸を画定する、検出することと、(e)第2の伸長セクションの複数の2D画像を第2の軸長に沿って取得することであって、各画像は、第2の伸長軸に平行である第2の伸長セクションの投影に対応し、各画像は、第2の伸長軸と実質的に一致する第2の回転軸を中心とした、サンプルの初期配向に対する、サンプルの異なるそれぞれの回転角度において取得される、取得することと、(f)第2の伸長セクションの複数の投影画像を組み合わせて、サンプルの第2の伸長セクションの3D断層撮影表現を得ることと、を更に含み得る。
【0026】
本教示の第2の態様によれば、荷電粒子ビーム装置が開示され、本装置は、(a)荷電粒子源と、(b)荷電粒子源からの荷電粒子のビームを、回転可能かつ並進可能なサンプルステージ上に取り付けられたサンプルの伸長部分に向けるように構成された荷電粒子ビームカラムと、(c)サンプル上への荷電粒子のビームの衝突に応答して、サンプルを透過するか又はサンプルにおいて生成される荷電粒子又は光子のいずれかを検出器に移送するように構成された荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系であって、荷電粒子又は光子の移送は、伸長セクションの長さの一部分に沿った伸長セクションの投影である画像フレームの生成を含む、荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系と、(d)荷電粒子源、回転可能かつ並進可能なサンプルステージ、荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系、及び検出器のうちの1つ以上に電気的に結合されたコントローラ環境であって、本明細書に開示される方法のいずれかを実行するように動作可能かつ構成されているプログラム命令を含む、コントローラ環境と、を備える。
【0027】
本教示の第3の態様によれば、三次元断層撮影画像化システムのコントローラ環境上で実行されるときに、本明細書に開示される方法の実施形態を実行するように動作可能であるプログラム命令を含むコンピュータプログラムが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の教示の特徴及び利点を最良に理解するために、読者は添付の図面を参照し、添付の図面は、以下に提供される特定の例の詳細な説明と併せて見られるべきである。これらの図面は、本発明の例示的な実施形態を描写するに過ぎず、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではないと理解し、添付の図面を参照しながら例を説明及び解説する。
【
図1A】従来の傾斜シリーズ断層撮影分析の実施中に採用され得る画像取得のシーケンスの概略描写図である。
【
図1B】従来の傾斜シリーズ断層撮影分析の実施中に採用され得る画像取得のシーケンスの概略描写図である。
【
図2A】従来の螺旋断層撮影分析の実施中に採用され得る画像取得のシーケンスの概略描写図である。
【
図2B】従来の螺旋断層撮影分析の実施中に採用され得る画像取得のシーケンスの概略描写図である。
【
図3】本教示に従った方法を実施するために採用され得る例示的な荷電粒子顕微鏡画像化システムの概略描写図である。
【
図4A】本教示に従った三次元断層撮影分析の実践中に採用され得る画像取得のシーケンスの概略描写図である。
【
図4B】本教示に従った三次元断層撮影分析の実践中に採用され得る画像取得のシーケンスの概略描写図である。
【
図5】本教示に従った、画像フレームからの伸長合成画像の構築に備えて、伸長サンプルの長さにわたって重複する画像フレームのシーケンスの取得の概略描写図である。
【
図6A】本教示に従った、画像フレームからの伸長合成画像の構築に備えて、伸長サンプルの長さにわたって重複する画像フレームのシーケンスの取得の別の概略描写図である。
【
図6B】伸長サンプルの長さに沿って複数の画像を取得する第1の方法であって、サンプルが荷電粒子ビーム画像化システムの視野を通って連続的に移動する際に、荷電粒子ビームの短パルスのシリーズがサンプルに入射される第1の方法の概略描写図である。
【
図6C】伸長サンプルの長さに沿って複数の画像を取得する第2の方法の概略描写図であり、サンプルは、各画像取得中に入射荷電粒子ビームに対して静止して維持され、サンプル及び/又は荷電粒子ビームのいずれかは、取得中に互いに対して移動される。
【
図6D】物体の従来の単一露光を使用する画像化と、移動物体の符号化露光を使用する画像化との間の概略比較である。
【
図7】単一の伸長軸に沿わない、仮想的な略伸長針様サンプルの描写図である。
【
図8】本教示に従った、三次元断層撮影分析の第1の例示的な方法のフロー図である。
【
図9】本教示に従った、三次元断層撮影分析の第2の例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
典型的に、荷電粒子断層撮影によるサンプルの検査及び/又は分析の間、サンプルは、荷電粒子ビーム(charged particle beam、CPB)への反復露光のために荷電粒子顕微鏡の回転可能なサンプルステージ上に配置され得る。本明細書で使用される場合、「荷電粒子」という用語は、電子又はイオン(一般に、例えばガリウムイオン又はヘリウムイオンなどの陽イオンであるが、陰イオンも可能である)を包含する。それはまた、例えば、プロトンであり得る。「荷電粒子顕微鏡」という用語は、荷電粒子ビームを使用して、一般に小さすぎて人間の裸眼で十分に詳細に見ることができない物体、特徴、又は構成要素の拡大画像を作成する装置を指す。画像化機能性を有することに加えて、そのような装置は、加工機能性も有し得る。例えば、サンプルから材料を除去する(「ミリング」若しくは「アブレーション」)か、又はサンプルに材料を加える(「堆積」)ことによって、サンプルを局所的に修正するために使用され得る。当該画像化機能性及び加工機能性は、同じタイプの荷電粒子によって提供され得るか、又は異なるタイプの荷電粒子によって提供され得る。例えば、集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)顕微鏡は、加工目的のために(集束)イオンビームを採用し、画像化目的のために電子ビームを使用することができ(いわゆる「デュアルビーム」顕微鏡)、又は相対的に高いエネルギーのイオンビームで加工を実施し、相対的に低いエネルギーのイオンビームで画像化を実施し得る。
【0030】
本明細書において開示される断層撮影の例は、一般に、透過型電子顕微鏡法を参照して説明されているが、他のCPBを使用することができる。本明細書で使用される場合、「カラム」は、一般に、1つ以上のCPB光学素子、又はCPB光源、CPBレンズ、CPB偏向器、CPBアパーチャ、スティグメータ、又は他のCPB光学素子などの要素の組み合わせを指す。そのような光学素子を使用して、パルス露光を提供するために、サンプルに向けることができるパルスCPBを生成することができる。そのようなパルス露光は、一般に「ストロボ」露光と称され、有効露光時間が、検出可能な量だけサンプルを回転又は並進させるのに必要な時間と比較して十分に短く、好適な画像、すなわち、過度の運動によって生じるぼけのない画像の取得を可能にすることを示す。開示される例のいくつかでは、CPB又はCPBカラムは、ストロボCPB露光を生成するために通電され得る。「サンプルホルダ」という用語は、サンプルを取り付けて所定位置に保持することができる任意のタイプのテーブル、プラットフォーム、アームなどを指す。一般に、このようなサンプルホルダは、サンプルホルダステージアセンブリに含まれ、サンプルホルダステージアセンブリを用いて、例えば電気アクチュエータを用いて、サンプルホルダをいくつかの自由度で正確に位置決めすることができる。
【0031】
以下の説明及び特許請求の範囲において使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数形を含む。追加的に、「含む(includes)」という用語は、「備える(comprises)」を意味する。本明細書で使用される場合、「本質的に」という用語は、特定の物体、システム、変数、又はパラメータが、特定の形状、サイズ、配向、値、又は他の特性を「本質的に」有するか、それであるか、それを含むか、又はそれに等しいことを示すために使用されるときに、参照される特定の物体、システム、変数、又はパラメータが、記述された特定の形状、サイズ、配向、値、又は他の特性を有するか、それであるか、それを含むか、又は通常の実験誤差の範囲内であることを意味する。この意味では、通常の実験誤差は、当業者に既知であるように、参照された特定の物体、システム、変数又はパラメータの同一性及び技術的複雑性に依存する、慣習的かつ一般的に許容される誤差値として解釈される。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、特定の物体、システム、変数、又はパラメータが、特定の形状、サイズ、配向、値、又は他の特性を「実質的に」有するか、それであるか、それを含むか、又はそれに等しいことを示すために使用されるときに、参照される特定の物体、システム、変数、又はパラメータが、記述された特定の形状、サイズ、配向、値、又は他の特性に意図的に近似するだけであるか、又はそれか、又はそれに対する近似であることを意味する。
【0032】
本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、決して限定するものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、様々な開示される実施形態の全ての新規かつ非自明な特徴並びに態様を、単独で、並びに互いとの様々な組み合わせ及び部分的組み合わせで対象とする。
【0033】
本明細書で開示される方法のうちのいくつかの動作は、便宜的な提示のために特定の連続的な順序で説明されるが、この説明の様式は、特定の順序付けが以下に記載される具体的な文言によって必要とされない限り、並べ替えを包含することを理解されたい。例えば、連続して説明される動作は、場合によっては、並べ替えられ得るか、又は並行に実施され得る。更に、簡略化のために、添付の図面は、開示されるシステム、方法、及び装置が、他のシステム、方法、及び装置とともに使用され得る様々な方法を示していない場合がある。追加的に、説明は、開示される方法を説明するために「生成する」及び「提供する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装態様に応じて変化し、当業者によって容易に認識可能である。
【0034】
「画像」という用語は、本明細書では、コンピュータモニタなどに表示された画像、又は表示される画像を生成するために使用できるデジタル又はアナログ表現を指すために使用される。デジタル表現は、JPEG、TIFF、Medical Research Council(MRC)、Electron-Event Representation(EER)、又は他のフォーマットなどの様々なフォーマットで記憶され得る。画像信号は、サンプルの好適なスキャンとともに、アレイ検出器又は単一の元素検出器を使用して生成することができる。最も実用的な例では、画像は、二次元である。本明細書で使用される場合、「画像」という用語は、「画像フレーム」及び「合成画像」という用語、並びにそれらの複数形も包含する。言い換えれば、「画像フレーム」はまた、「画像」であり、そのように称され得る。同様に、「合成画像」はまた、「画像」であり、そのように称され得る。本明細書における具体的な使用では、「画像フレーム」は、光子又は荷電粒子(例えば、電子又はイオン)のいずれかへのサンプル部分への露光の結果として、関心領域よりも小さいサンプルの部分から取得される画像である。対照的に、「合成画像」は、その用語が本明細書で使用される場合、2つ以上の画像フレームの情報の組み合わせによって導出され、かつそれが導出される個々の画像フレームのうちのいずれか1つによって画像化されるサンプル面積又はサンプル体積よりも大きいサンプル体積又はサンプル面積に関係する画像である。したがって、これらの用語が本明細書で使用される場合、合成画像は、複数の画像フレームからのデータを含む。任意の個々のそのような画像フレームによって画像化されるサンプルの面積範囲は、任意の他のそのような画像フレームによって画像化されるサンプルの面積範囲と重複する場合又はしない場合がある。
【0035】
本明細書で考察されるサンプルステージの回転及び並進は、DCモータ、ステッピングモータ、回転式圧電モータ、ACモータ、又は他のデバイスを含む、様々な種類のモータ及びアクチュエータを用いて提供され得る。回転角度及び並進移動距離は、光学式エンコーダ、磁気式エンコーダ、又は他のデバイスを用いて検出され得る。「連続回転」及び「連続並進」という用語は、画像取得中に停止することなく進行することが可能な回転及び並進を指す。例えば、ステッピングモータに駆動信号を印加し回転又は並進移動を生成するシーケンスは、画像取得中に継続することができ、選択された画像化角度又は位置における待機時間は必要とされない。ステッピングモータを使用しているが、回転は連続的なものであると考えられる。他の例では、連続(すなわち、非ステッピング)モータがサンプルを自由に回転又は並進させることが可能とされ得る。画像はランダムな時間において取得することができる。
【0036】
図3は、本教示の方法を実行するために採用され得る例示的な荷電粒子顕微鏡画像化システム100、具体的には、透過型電子顕微鏡を示す。サンプル102は、様々な形状及び断面を有することができる。しかしながら、この考察の目的のために、サンプルは、針形状又は伸長スラブ形状などの伸長形状を有する少なくとも1つのセクションを含むと仮定される。画像化システム100は、光軸107(図に示されるように、装置のz方向と略位置合わされた軸)に沿ってビーム106を生成するように構成された電子ビーム源104を含む。画像化システム100はまた、荷電粒子ビームカラム180の電子光学系、例えば、サンプル102上に、かつそれを通ってビーム106を向けるように構成された1つ以上の対物レンズ素子108、110を含む。ビーム106は、典型的に、サンプル102を透過した後に電子画像化検出器112によって受け取られ、特定の配向においてサンプル102の画像を提供するようにする。好適な電子検出器は、CCD、CMOS、ピクセルアレイ、光電子増倍管などを含む、直接的及び間接的な検出器又はセンサを含むことができる。ビーム106は、サンプル又はその近傍を含め、検出器112によって受け取られる前に、1回以上、集束及び/又はコリメートされ得る。
【0037】
依然として
図3を参照すると、サンプル102の特定の配向は、軸115(図ではx方向に合わせて示される)を中心とした回転及び1つ以上の軸(例えば、x、y、及びz)に沿った並進によって、サンプル102の配向を保持及び変化させるように構成された移動ステージ114によって提供される。したがって、移動ステージ114は、並進ステージ構成要素及び回転ステージ構成要素の両方を備える。移動ステージ114は、サンプルを中心位置又はオフセット位置などに移動及び位置決めするように、又はドリフトを補償するように構成され得る。更なる例では、ビーム源104は、X線、超音波などの他のエネルギー源を含むことができ、光学系は、電子以外の画像化ビームを向けるように構成され得、検出器112は、電子以外の画像化ビーム(例えば、X線光子)を検出するように構成され得る。
【0038】
画像化システム100は、画像ビーム106を光軸107からオフセットされたサンプル102の一部分を通過させた後に、画像化検出器112上に向けるように構成された画像偏向器120を更に含む。任意選択的なビーム偏向器116は、ビーム106が軸107とサンプル102との交点に対して並進した位置で、例えばx方向又はx方向とy方向との両方に沿ってサンプル上に衝突するように、サンプル102上のその衝突前に、ビーム106を軸107から離れるように向けるように構成され得る。
図3の例解的な描写では、ビーム106は、任意選択的なビーム偏向器116によってx方向に並進されて示されている。いくつかの例では、ビーム偏向器116は、磁気又は静電コイル、DCコイル、ACコイル、高速走査コイルなどのビーム偏向コイル118を含む。画像偏向器120は、コイル118と同様のコイル122を備える。コイル122は、ビーム106を光軸107に向かって戻すように偏向させるために使用され得る。移動ステージ114の運動及び/又はビーム偏向器116(存在する場合)の動作のいずれかと併せて画像偏向器120を動作させることによって、様々な画像化シーケンスを効率的に収集することができ、例えば、断層撮影及び他の用途において、螺旋軌道、並びに二重螺旋、円形、蛇行、サドル、点の2D格子、3D格子などを含む追加の又は他の軌道又は形状を形成することができる。画像化システム100の例はまた、画像化時間の間、又はビーム偏向若しくはステージ移動中など、選択された持続時間にわたってビームを遮断するように構成されたビームブランキングユニット123を含むことができる。
【0039】
画像化システム100の様々な構成要素は、1つ以上のコントローラ、コンピューティングデバイス、プロセッサ、メモリ、及び/又は他の構成要素を備えて構成されたコントローラ環境128に結合され、ビーム106をサンプル102に向けること、移動ステージ114によるサンプル102の配向及び移動、及びビーム偏向器116を用いたビーム106の偏向を協調させることができる。コントローラ環境128はまた、レンズ要素108、110、ビーム104の放出、ビームブランカ123を用いたブランキング、極低温体積124の温度及び/若しくは圧力、及びサンプルの移動(すなわち、回転及び並進)、ビームブランキング及びパルス化、並びに/又は画像データ取得のいずれかとの検出器112の信号タイミング及び/又は同期を制御するように構成され得る。制御環境128は、本明細書に開示される新しい断層撮影方法を実行するように、画像化システム100の様々な構成要素を協調して自動的に動作させるコンピュータ可読命令で構成され得る。
【0040】
コントローラ環境128の制御構成要素は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、タブレット、ロジックコントローラなどを含むことができる。プロセッサは、様々なデータ処理又は制御及び/又はデータ処理などの、コントローラ環境128と関連付けられたI/O機能を実施することができるCPU、GPU、ASIC、PLC、FPGA、PLD、CPLDなどを含むことができる。メモリは、揮発性又は不揮発性(例えば、RAM、ROM、フラッシュ、ハードドライブ、光ディスクなど)、固定又は取り外し可能であり、プロセッサに結合されている。メモリは、1つ以上のコンピュータ可読媒体にストレージ容量を提供することができる。コントローラ環境128はまた、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってアプリケーション及びタスクが実施されるように、分散された形態で位置することができる。プログラムモジュール及びロジックは、ローカルメモリストレージデバイス及びリモートメモリストレージデバイスの両方に位置され得る。いくつかの例では、コントローラ環境128内の構成要素は、他の構成要素とリンクされる必要はない。
【0041】
図4A~
図4Bは、本明細書に説明される3D断層撮影の方法に従って実施され得る画像取得のシーケンスを概略的に例解する。
図4Aに描写される影付きボックスは、
図1A及び
図2Aに示される影付きボックスと類似しており、そのような各影付きボックスが、サンプルの一部分の単一画像の取得に関係し、サンプルホルダの回転軸115上に少なくともほぼ配設されたサンプル(図示せず)を取り囲む仮想円筒152と入射荷電粒子ビームとの交点を表し、回転軸115が、円筒軸117と一致する。回転軸は、計装に依存するが、円筒軸117は、サンプルの特定の幾何形状に基づいて定義又は選択され得る。
図4Bに描写される影付きボックスは、
図1B及び
図2Bの影付きボックスの描写と同様であり、見やすくするために、
図4Aと同じ影付きボックスを概略的に表しているが、円筒152の表面は平面上に平坦化されている。
【0042】
本教示に従った方法は、伸長の方向又は軸が軸117、115にほぼ平行であるサンプルの伸長部分の構造の断層撮影再構築に関係する。好ましくは、必須ではないが、サンプルの伸長部分は、回転軸115と本質的に平行であり、かつ本質的に一致する伸長軸117を含む。そのような条件は、伸長部分がそれ自体円筒形又はほぼ円筒形(すなわち、伸長針又は柱)であるか、又はその交点が対称軸を画定する対称面を含む(例えば、スラブ形状のサンプル)場合、本質的に満たされる。このようなサンプル形状は、例えば、イオンビームミリングによる分析前サンプル調製中に製造され得る。それにもかかわらず、実際の伸長サンプルは、それらの長さに沿って厚さの変化を含み得るか、又は軸対称に完全に沿わない様々な突起又はピットを有する表面などの不規則的な形状の表面を含み得る。そのような事例では、本教示に従った方法は、サンプル又はサンプルの伸長セクションの伸長軸を、サンプル若しくは伸長セクションを通る最大長の線として画定するか、又は選択するかのいずれかを行うステップを含み得、この線は、回転軸115と一致させられるか、そこで位置合わせされるか、又はそれに平行であり得る。更に、実際の針様又はスラブ形状のサンプルは、完全に直線ではないことがあり、代わりに曲線又は屈曲部を含むことがある。そのようなサンプルを画像化するための方法が、本文書において後で説明される。
【0043】
図4A~
図4Bの考察に戻ると、各影付きボックスは、単一のそれぞれの画像フレームの取得を表すことに留意されたい。最初の5つの取得された画像フレームは、それらの取得の順序で、影付きボックスf
1、f
2、f
3、f
4、及びf
5によって表される。例示の目的で、サンプルの関心領域の軸115に平行に測定される全長Wを画像化するために、4つのそのような画像フレーム(例えば、画像フレームf
1、f
2、f
3、及びf
4)のみが必要とされると仮定する。
図4Aでは、この長さWは、単に例示の目的で、垂直配向に示されている。軸115に平行に取られた画像フレームの長さは、w
1、w
2、w
3、及びw
4として示される。これらの画像フレーム長は、多くの事例において、互いに等しくあり得る。したがって、
図4A及び
図4Bに示されるように、w
1=w
2=w
3=w
4である。しかしながら、画像フレーム長が全て互いに等しい必要はない。描写を容易にするために、画像フレームは、図面において軸115、117に平行に伸長しているものとして例解される。実際には、画像フレームは、伸長でない場合がある。例えば、TEMカメラによって捕捉されるカメラフレームは、正方形又はほぼ正方形であり得る(例えば、
図5を参照)。
【0044】
図4A~
図4Bに更に示されるように、連続するフレームは、互いに重複し得る。そのような領域は、
図4Bにおいて、重複する領域o
1、o
2、o
3、及びo
4として暗い影付きで示されている。例えば、重複する領域o
1は、画像フレームf
1と画像フレームf
2との重複によって形成される。同様に、
図4Bに描写される残りの重複は、後の画像フレームによって画像化されたエリアが、前の画像フレームによって画像化されたエリアの一部分と重複する領域である。重複する領域は、本明細書において以下で更に考察されるように、複数の画像フレームから合成画像を生成するのに備えて、画像フレームを互いに対して適切に位置合わせし、画像のセットの露光を均等化するために使用され得る共通画像特徴の認識を可能にする。
【0045】
図4A及び
図4Bに示されるように、画像フレームf
1、f
2、f
3、及びf
4は全て、回転ステージの介在回転を伴わずに取得される。すなわち、画像フレームf
1、f
2、f
3、及びf
4は全て、
図4Bに描写されるように0度として定義され得る回転ステージの初期角度設定において取得される。画像フレームのこのセットは、全て0度の回転ステージ設定で得られ、
図4Bにおいて画像フレームセットC
1としてラベル付けされる。これらの画像フレーム取得の各々は、伸長サンプルの異なるそれぞれの部分又は伸長サンプル部分の投影画像を、異なる部分の間にいくらかの重複を伴って生成する。各画像フレームは、画像化されているサンプル102の部分の第1の側(例えば、「上部」側、
図3を参照)上に荷電粒子のビームを向け、サンプル上へのビームの衝突に応答して、サンプルの部分の反対側(例えば、「下部」側)から、出現する荷電粒子及び/又は光子のいずれかを検出することによって取得される。
【0046】
画像フレームセットC
1の取得中にサンプルの1つの部分から別の部分に(例えば、画像フレームf
1から画像フレームf
2に)画像化される場所を再位置決めするために、(a)入射ビームが、画像フレームf
1の場所から画像フレームf
2の意図された場所に向かって、第1の方向に(例えば、
図4Aの図面の下部に向かって)回転軸115に平行に移動されるか、(b)サンプルステージ及びそこに取り付けられたサンプルが、回転軸に平行に、第1の方向とは反対の第2の方向に(例えば、
図4Aの図面の上部に向かって)並進されるか、又は(c)aとbとの組み合わせ、すなわち、入射ビームが第1の方向に移動され、サンプルステージが第2の方向に移動される。回転軸115に平行な入射ビームの移動は、
図3に例解されるように、ビーム偏向ユニット118の電極及び/又は荷電粒子ビームカラム180の他の電極に印加される電圧を調整することによって制御され得、この調整は、おそらくはデスキャニングユニット122及び/又はサブステージ画像転送アセンブリ182の他の電極の相補的な調整によって補足される。サンプルステージの並進移動は、当技術分野で既知であるように、圧電アクチュエータなどのアクチュエータによって制御され得る。
【0047】
画像フレームセットC
1の全ての画像フレームの取得が完了した後に、回転ステージ機構は、
図4Bに例解されるように、30度などの既定の角度増分だけ伸長サンプル又はサンプル部分を回転させるように動作される。次に、回転ステージが30度の角度設定に固定されたままで、第2のセットの画像フレームが取得される。
図4Bに示されるように、取得された第2のセットの画像フレームは、画像フレームセットC
2としてラベル付けされ、これは、例示的なシステムによれば、画像フレームf
5~f
8からなる。一般に、様々な傾斜角度が、実験の要件に応じて、任意の順序で訪問され得る。例えば、傾斜角度のいくつかのシーケンスは、サンプルの特定の部分によって受け取られる電子の線量を最小化する目的で好ましくあり得る。いくつかのシーケンスでは、正の傾斜角度が負の傾斜角度と交互し得、傾斜角度の大きさは、時間とともに増加する。このタイプのシーケンスの例は、0、+3、-3、-6、+6、+9、-9、-12、+12などの順序の傾斜角度(全て度単位)である。代替的には、粗い傾斜角度増分(例えば、30度刻み)のシーケンスの後に、より小さい傾斜角度増分(例えば、10度刻み)のシーケンスを採用する洗練化が続き得る。この後者の技法によって、最も有益な構造情報を提供する傾斜角度を使用して、全受信される電子線量がまだ低いときの画像化シーケンスの相対的に早期にデータを得ることが可能である。
【0048】
画像化された場所をサンプルのある部分から別の部分に(例えば、画像フレームf
5に対応する場所から画像フレームf
8に対応する場所に向かって)再位置決めするために、入射ビーム及び/又は並進ステージは、先で説明されるように、回転軸115に平行に移動される。しかしながら、データ収集の効率のために、画像フレームセットC
2の取得中に、サンプルと入射ビームとの間の相対運動の方向が、画像フレームセットC
1の取得中に利用される相対運動の方向と反対である場合があり得る。画像フレームセットの間の方向のこの変更は、
図4Aにおいて湾曲した破線矢印によって示される。このような動作モードによれば、C
2の画像フレームは、画像フレームf
5から画像フレームf
8までの順序で、全て回転ステージのいかなる回転を伴わずに取得される。画像フレームセットC
2の画像フレームf
8の取得後に、回転ステージ機構は、伸長サンプル又はサンプル部分を新しい傾斜角度に回転させるように動作される。回転後に、次の画像フレームセットの画像フレームf
9~f
12が、入射ビーム及び/又は並進ステージの並進中に順に取得される。上記のように、傾斜角度は、任意の好適な順序で訪問され得る。例えば、サンプルは、別の既定の角度増分だけ回転され得、この角度増分は、先行する回転で採用された角度増分に等しくあり得る。代替的に、サンプルは、先行する段落で述べたように、全体的な電子線量を最小化するか、又は画像化シーケンスにおいて早期に有用な構造情報を提供する傾斜角度を利用するかのいずれかのために選択される、具体的な傾斜角度シーケンスに従って回転され得る。更に、入射荷電粒子ビームに対するサンプルの移動方向は、次に取得される画像フレームセットごとに、直前の先行する画像フレームセットの取得中の移動方向に対して反転され得る。例えば、そのような相対移動の変更は、
図4Aの破線矢印によって示される。
【0049】
図5。本教示の方法によれば、各画像フレームセット(C
1,C
2,...,C
j,...,C
z)の画像フレームの一部又は全部は、単一のそれぞれの合成画像に組み合わされる。このような各合成画像は、サンプルの伸長領域の一部分の、単一の回転角度に対応する投影を表す。例えば、
図4Bを参照すると、画像フレームf
1、f
2、f
3及びf
4の画像データは、0度のサンプルの角度回転で得られた(すなわち、基準配向で得られた)サンプルの特徴及び/又は構造の投影である第1の伸長合成画像(
図4A~
図4Bに図示せず)に組み合わされる。同様に、画像フレームf
5~f
8の画像データは、基準角回転に対して30度のサンプルの角回転で得られたサンプルの特徴及び/又は構造の投影である第2の伸長合成画像に組み合わされる。
【0050】
必ずしも必要ではないが、好ましくは、個々の画像フレームセットの取得中の入射荷電粒子ビームに対するサンプルの移動は、サンプルの少なくとも一部分が2つ以上の画像フレームで画像化されるようなものである。別の言い方をすれば、相対移動は、第1の画像フレームにおいて画像化されるサンプルの第1の領域と、第2の画像フレームにおいて画像化されるサンプルの同一でない領域との間に重複が存在するようなものである。例えば、このような重複する領域は、
図4A~
図4Bにおいて、暗い影付き領域によって示されており、それらのうちのいくつかは、重複する領域o
1、o
2、及びo
3として示される。重複する領域は、画像フレーム長w
1、w
2、w
3及びw
4を示すフレーム長寸法マーカによって示されるように、画像フレームの境界によっても示される。このような重複する領域は、合成画像の後続の再構築中に画像フレームの位置合わせをする際に有益であり得る。十分な画質の再構築を提供するために、しばしば、画像間の位置合わせが必要とされ得る。一般に、位置合わせは、画像がサンプルに対してどの方向及びどの位置から取得されたかを判定することを伴う。高品質の移動ステージ、ビーム精度、及び他の高品質の機器を用いても、断層撮影再構築においてオングストローム分解能を得るためには、オングストローム位置決め分解能が必要とされるであろうが、このようなレベルの移動精度は、実用的ではない。したがって、位置合わせは、特定の状況下では、取得された画像投影がどこに属するかを判定し、他の画像投影と位置合わせするために、必要とされ得る。非常に正確な画像位置決めの場合、画像の重複がない場合があり、連続する画像間にギャップもない場合がある。そのような状況では、位置合わせは必要でないことがある。
【0051】
図5は、重複する画像フレームのより複雑な例を概略的に描写する。
図5では、伸長サンプル102は、軸117に平行に位置合わせされ、サンプルホルダ114hによって保持され、このサンプルホルダは、軸117に実質的に平行であり、かつ実質的に一致する回転軸115を中心としてサンプル102を回転させる能力を少なくとも有する移動ステージアセンブリ114(
図3)の構成要素である。移動ステージアセンブリはまた、少なくとも軸117に実質的に平行な移動方向に沿ってサンプルを並進させる能力を有し得る。また、
図5には、画像フレームf
1~f
33として示される33個の異なる画像フレームの表現が描写されている。純粋に視覚化の目的で、画像フレームは異なる影付けで描写されており、異なる影付けには他の意味はない。例示の目的で、描写された画像フレームの全ては、軸117に平行に取られた共通の画像長さw
0を有する。しかしながら、一般に、画像長さは同一である必要はない。画像フレームf
33を除いて、各画像フレームの一部分(すなわち、8分の1)のみが、例解された例において描写されているが、全ての後続の画像フレームが、それぞれの先行する画像フレームに重なるように描写されているためである。
【0052】
図5において長さWを有するものとして示されているサンプル102の「中央」部分内で、各サンプル点は8つの別個の画像フレームによって画像化される。特定のサンプル点が現れる画像フレームの数は、この中央サンプル部分の「左」及び「右」(図に描写されるように)の両方に向かって徐々に減少する。サンプルの中央部分の合成画像の作成は、画像を位置合わせするか、欠陥画像を廃棄するか、又はサンプルに適切な量の電子を供給するかのいずれかの目的で、最大の重複から利益を得る。したがって、いくつかの事例では、その後に構築される合成画像の長さは、幅Wを有するものとして示されているサンプル102の中央部分のみに限定され得る。それでもなお、サンプルホルダ114に最も近いサンプルの部分を除いて、サンプル上の全ての点が少なくとも2つの画像フレームで画像化される。
【0053】
図6Aは、8つの重複する画像フレームf
1~f
8のセット600の概略描写図であり、長さw
0の各々は、サンプルが回転され得る軸に平行又は実質的に平行に測定され、各先行する画像フレームの長さの半分が、それぞれの後続の画像フレームと重複する。画像フレームの異なる陰影パターンは、フレーム間を区別する手段として以外には何の意味も有しない。
図6B、
図6C及び
図6Dは、本教示による画像データ取得の3つの別個のモードによるイベントの時間シーケンスを概略的に描写する。
【0054】
第1の動作モード(
図6B)によれば、サンプルは、荷電粒子のパルス602がサンプルに衝突させられる装置位置に対して、速度ベクトル605に従って連続的に移動させられ、各パルスは、画像フレームセットのそれぞれの画像フレームを生成する露光に対応する。そのような反復露光は、本明細書では「ストロボ画像化」と称され、そのような各パルスのサンプル上への衝突は、本明細書では、光学写真と同様に「露光」と称される。本教示によれば、ベクトル605(
図6A)は、サンプルが回転され得る軸に平行であることか、又は実質的に平行であることのいずれかである。一般に、露光は、t
fの一定の時間間隔で繰り返され、これは、本明細書では、画像フレーム時間と称される。
図6Bに描写される動作モードによれば、画像フレーム時間t
fは、(a)次の露光に備えて、サンプルを距離(w
0/2)だけ並進させるためにサンプルの連続移動に必要な時間、又は(b)前の露光の画像データを検出器からコンピュータメモリに読み出すのに必要な時間のうちの大きいほうである。一般に、画像ぼけを回避するために、各露光の持続時間t
eは、t
fよりもはるかに短くされ得る。
【0055】
第2の動作モード(例えば、
図6C)によれば、サンプルは、各露光中に静止状態に維持され、入射荷電粒子ビームへの露光の間にのみ移動させられる。このような手順は、例えば、画像コントラストを改善するために相対的に長い露光が必要とされる状況において、又は画像倍率が非常に大きく、露光中のサンプルの任意の移動が許容不能なぼけを引き起こすときに採用され得る。
【0056】
図6Cは、このような手順中の時間の関数として、回転軸及び/又はサンプル伸長軸に平行に測定された伸長サンプルの位置を描写する。この図では、サンプルが静止している時間が平坦域603として示され、サンプルが後続の露光に備えて並進される時間が勾配604として示されている。
図6Cにおいてt
eとして示される露光の持続時間(すなわち、「露光時間」)は、サンプルが移動しない平坦域603に対応する。露光時間t
eは、一般に、画像フレームセットに対応する、又は所与のサンプルに対応する全ての露光に対して同一であるが、いくつかの状況では、様々な露光時間が、画像フレームセット内で、又は画像フレームセットにわたって変化し得ることが企図される。
図6Cの勾配604に対応する、画像フレームセットの連続する露光間の持続時間(すなわち、「露光間時間」)は、t
rmとして示される。持続時間t
rmの各露光間期間の間、サンプルは、後続の露光に備えて、機器回転軸又はサンプル回転軸に本質的に平行に並進される。この同じ時間期間の間、前の露光に対応する画像データがセンサからコンピュータメモリに読み出され得、荷電粒子ビームがブランキングされ得る。露光間時間は、先行する移動に関連する任意の残留位置ドリフトが静まることが可能とされるいくらかのデッドタイムを組み込み得る。したがって、画像フレーム時間t
fは、露光時間t
eと露光間時間t
rmとの和である。全体的な効率のために、露光間時間t
rmは可能な限り短いことが好ましい。したがって、サンプルが画像化される装置の荷電粒子顕微鏡ステージは、速い応答時間及び短い持続時間の安定化時間を有するステージ並進アクチュエータを備えるべきである。
【0057】
前述の考察において説明したように、本教示に従った三次元(3D)断層撮影方法は、複数の二次元画像ストリップから伸長されたサンプル又はサンプル部分の3D構造表現を構築することを採用し、その各々は、サンプルを回転させることなく、サンプルを伸長軸又は回転軸に本質的に平行又は実質的に平行に移動させながら、複数の画像フレームを最初に取得することによって構築される。上で説明される第1及び第2の方法によれば、サンプル移動から潜在的に生じ得る画像フレーム内の任意の潜在的なモーションブラーは、最小化される(すなわち、説明された第1の動作モードのように短い持続時間のパルス化露光を使用することによって)か、又は本質的に完全に除去される(すなわち、説明された第2の動作モードのように露光間にサンプルを移動させるだけであることによって)。
【0058】
本教示による第3の動作モードによれば、画像フレーム取得の間に停止することなく、サンプルが連続的に並進される間に、モーションブラーが原画像フレームにおいて生じることが許容される。更に、この第3の動作モードによれば、モーションブラーは、従来の光学写真に関してRaskarら(Raskar,Ramesh,Amit Agrawal,and Jack Tumblin.「Coded exposure photography:motion deblurring using fluttered shutter.」In Acm Siggraph 2006 Papers,pp.795-804.2006)によって説明されているようなデジタルぼけ除去技法によってその後に除去される。デジタルぼけ除去技法は、原画像フレームの各セット内の追加情報の符号化を必要とし、符号化は、画像化された物体の運動に関係する。Raskarらによって説明されているように、符号化は、通常は単一の従来の露光614(例えば、シャッタの単一の開閉)に対応する時間期間te内に、短い持続時間の画像624のシリーズを取得することによって、カメラの視野内で移動する際の物体の画像の取得の間に実施され、そのタイミング及び持続時間は、バイナリ擬似ランダムシーケンスに従って判定される。Raskarらは、このプロセスをカメラのシャッタの「フラッタリング」と称している。しかしながら、本開示に関して、これらのより短い持続時間の露光624は、本明細書では「部分画像フレーム露光」と称される。
【0059】
Raskarらによって説明されたフラッタリングシャッタ画像取得手順を使用すると、そのような部分画像フレーム露光のセット中に検出器において信号(ピクセル強度)を蓄積した結果として得られる単一画像フレーム内でぼけが観察されるだろう。それにもかかわらず、そのようなぼけた画像内では、運動の方向におけるピクセル強度の認識可能な変化として、詳細がぼけパターン内で符号化されるだろう。Raskarらによれば、この手順は、詳細の後続の逆畳み込み再構築がうまく設定された問題であるように、ぼけた画像内の高周波空間詳細を保存する広帯域フィルタを提供する。
【0060】
荷電粒子ビーム顕微鏡は、光学写真で一般に採用されるような従来の機械式シャッタを必ずしも備える必要はない。しかしながら、サンプルがビームに対して連続的に運動している間にサンプル上に入射する荷電粒子ビーム(例えば、
図3のビーム106)をバイナリ擬似ランダムシーケンスに従って周期的にブランキングすることによって、Raskarらによって説明されているようなシャッタ「フラッタリング」と同じ効果が得られ得る。代替的には、フラッタリング効果は、サンプルと検出器との間に配設されたサブステージアセンブリ(例えば、対物レンズシステム110又はデスキャニングユニット122の要素)に、擬似ランダムシーケンスに従って適切な電圧を印加することによって、サンプル(例えば、サンプル102)を通過した荷電粒子を検出器(例えば、検出器112)から周期的に逸らすことによって達成され得る。代替的には、データ読み出しが十分に速い場合には、擬似ランダムシーケンスに従って検出器からデータを読み出すことによって同じ効果が得られ得る。
【0061】
本教示の方法によれば、単一の画像フレームセット(例えば、
図4Bに示される画像フレームセットC
1、C
2などのうちの1つ)の個々の画像フレームの全てが取得された後に、セットの画像フレームの全てからの情報を含む単一の合成画像が構築される。各合成画像は、回転軸及び/又はサンプル伸長軸に対するサンプルの特定の角配向(すなわち、画像フレームセットを構成する全ての画像フレームが取得された共通の角配向)で取られたサンプルの一部分の特徴及び/又は構造の伸長された投影である。合成画像の構築は、次の画像フレームセット(もしあれば)に対応する画像フレームの後続の取得の前又は間に実施され得る。代替的には、全ての合成画像(各々がそれぞれの画像フレームセットに対応する)の構築は、サンプルの関心領域の全ての画像フレームセットの全ての画像フレームが取得された後にのみ生じ得る。
【0062】
画像フレームのセットから合成画像を構築するプロセスは、非点収差及び/又は他の画像歪みに対して個々の画像フレームのうちの1つ以上を補正することを含み得る。合成画像を構築するプロセスは、必要に応じて、個々の画像フレームのうちの1つ以上のぼけ除去を含み得る。合成画像を構築するプロセスは、好ましくは任意の画像歪み及び/又はぼけ除去ステップの後に、サンプルの同じ領域に対応する1つ以上の重複する画像の各々の部分を位置合わせすることによって、様々な画像フレームを互いに位置合わせすることを含み得る。隣接する画像フレームの対の間、又は隣接する画像フレームのいくつかの対の間に重複する領域がない場合、それらのフレームを含む合成画像は、それでもなお、画像の取得中のサンプルステージの移動中にセンサによって記録される近似機械変位ベクトルに基づいて、重複しない画像間の変位を推定することによって構築し得る。そのような場合に、サンプルの画像化されていない部分に対応する合成画像内には、ギャップが存在し得る。それでもなお、そのような不完全な合成画像は、サンプルの構造についての有用な情報を伝え得る。いくつかの事例では、欠けている構造的特徴は、境界画像フレームからギャップ内に特徴を外挿することによって、二次元合成画像内で再構築され得る。
【0063】
いくつかの事例では、略伸長されたサンプルは、それでもなお、単一の伸長軸に沿わないことがある。本教示によるいくつかの方法によれば、本明細書で先で説明されるように、サンプルの長さに沿って複数の画像を取得する手順を採用して、そのような非線形及びサンプル形状の他の不規則性を検出し得る。例えば、
図7は、x軸を中心としてサンプルを回転させる能力と、x軸に平行にサンプルを並進させる能力と、を有する、移動ステージ114上に取り付けられた、仮想的な略伸長針様サンプル102を描写する。描写されるように、針様サンプルは、領域702内で屈曲され、この領域は、そうでなければ、一致しない伸長軸117及び117bをそれぞれ有する直線状の伸長領域701及び703を分離し、ここで、軸117は、サンプルが回転され得る回転軸(例えば、ステージ装置のx軸)でもある。
【0064】
本明細書で説明される様々な動作モードによれば(
図5及び
図6A~
図6C並びに関連する考察を参照)、本教示に従った方法は、画像フレームf
1から開始して画像フレームf
2に進む複数の重複する画像フレームの取得を開始するなどをし得る。これらの方法のいくつかのバリエーションによれば、自動化ソフトウェアは、品質制御目的で、サンプルの形状における潜在的な不規則性を判定するためのエッジ検出分析を含む、画像が取得されているときの画像の特定の態様の初歩的な分析を実施し得る。監視されたパラメータの値は、後に取得された画像を前の画像と比較するために、時間に対して記録され得る。好ましくは、このような比較はリアルタイムで自動的に実施される。
【0065】
したがって、
図7の例に関して、ソフトウェアは、画像フレームf
14において開始すると、針の画像の見かけの中心(すなわち、エッジ検出によって判定される針画像708aの「最上」境界と針画像708bの「最下」境界との間の中間点)が、軸117から負のy軸方向に逸脱していると判定し得る。次いで、ソフトウェアは、軸117からの更なる逸脱の速度が画像フレームf
15~画像フレームf
21で漸進的に増加し、それによって、針の湾曲を示すことを検出し得る。いくつかの事例では、ソフトウェアは、線形性からの逸脱をユーザに警告し、ユーザに警告を送信するか、又は画像化手順を中止し得る。代替的に、移動ステージ114がy軸に平行に並進されることを可能にするアクチュエータを用いて、移動ステージ114が構成される場合、ソフトウェアは、サンプルの画像の見かけの中心を視野の中心にするように、正のy軸の方向に移動ステージ114の並進を開始し得る。この手順は、画像フレームf
22~f
31を取得し続けるために継続され得る。
【0066】
図7に示される線形性からの極端な逸脱を考えると、サンプルの全長にわたって追加の合成画像を得るために、軸117を中心として、サンプルを回転させることは、軸117を中心としたそのような必要な回転がサンプル102の部分を焦点から外すことになるので、非実用的であり得る。
図7に示されるサンプル形状に関して、移動ステージに最も近いサンプル部分の完全な3D断層撮影分析を実施することのみが可能であろう。それでもなお、自動エッジ検出を自動並進調整と組み合わせて利用して非線形性を補償することによって、少なくとも1つの完全な二次元合成画像を生成することが依然として可能であり得る。線形性からの極端な逸脱が少ない状態では、軸117を中心にとしてサンプルを回転させることによって追加の二次元合成画像を得るのを継続することによって、本明細書で説明される完全な3D断層撮影方法を進めることが可能であり得る。
【0067】
代替的には、移動ステージが2つ以上の独立した回転軸を備える場合、サンプル伸長軸117及び117bの各々を装置回転軸115と別個に位置合わせすることが可能であり得る。例えば、装置回転軸115が装置基準フレームに対して固定されていると仮定され、移動ステート114が、z軸に平行であり、かつ装置基準フレームに対して固定されていると仮定される第2の回転軸(図示せず)を中心としてサンプルを回転させる能力を更に有する場合、z軸を中心としたサンプルの回転は、第2の伸長軸117bを固定回転軸115と一致させることができる。その後、上で説明されるように、本教示に従った方法を使用して、サンプル領域703に対して断層写真が構築され得る。好ましくは、移動ステージ(及び/又はビーム偏向器)はまた、荷電粒子ビームに対して、y軸に平行にサンプルを並進させる能力を有する。
【0068】
図8は、本教示に従った、伸長サンプル又は伸長サンプル部分の三次元断層撮影分析の第1の例示的な方法のフロー図である。方法800は、入射荷電粒子ビームに対するサンプルの位置が連続的に移動している間の画像フレーム収集に関係する。入射荷電粒子ビームに対するサンプルの移動は、(a)サンプルが取り付けられた移動ステージの移動、及び(b)入射荷電粒子ビームの移動のうちの一方又は両方を含み得る。後者のタイプの移動は、ビーム偏向器116によるビームの偏向及び/又はサブステージデスキャニングユニット120(
図3)によるビームの再位置決めを含み得る。
【0069】
方法800の第1のステップであるステップ802では、サンプルの長さに沿った関心領域が判定されるか、又は選択されるかのいずれかが行われる。更に、採用される傾斜角度の範囲、及び画像フレームのセットの取得中に傾斜角度が訪問される順序が選択される。このステップは、基準角度位置に対する初期傾斜角度を選択することを含み得、また、画像フレームのセットの取得の間にサンプルを回転させる角度増分を選択することを含み得る。これらの選択は、光学顕微鏡又は荷電粒子ビーム顕微鏡のいずれかによるサンプルの事前検査に基づいて行われ得る。
【0070】
ステップ802におけるサンプルの関心領域の判定又は選択は、画像化されるサンプルの領域の判定に影響がある。画像化される領域は、画像化される領域と必ずしも同一である必要はない。後者の領域の判定は、所望の関心領域が十分な冗長性を有して画像化されるべきかどうかに依存する。例えば、
図5において寸法Wによって指定されるサンプル102の全長の部分内のサンプル点のみが、8つの別個の画像フレームの各々において捕捉される。実際には、サンプルの所与の部分が画像化される画像フレームの実際の数は、任意の具体的な数に限定又は制限されない。多くの場合に、画像フレームの寸法W
0は、画像化システムの視野によって判定される。このような場合に、寸法Wによって指定されるサンプルの部分が実際に関心領域であり、関心領域内の各点が少なくとも8つの画像フレーム内に取り込まれることが望ましいことが起きた場合、追加の画像フレームf
1~f
7も画像化されなければならない。
【0071】
方法800(
図8)のステップ806では、サンプルは、第1の傾斜角度まで回転される。以下の5つのステップ、すなわち、ステップ808、809、810、812、及び814は、方法800によれば、傾斜角度が固定されたままの状態で画像フレームが繰り返し取得され(ステップ810)、一方、繰り返された取得と同時に、サンプルの位置が荷電粒子ビームに対して回転軸に実質的に平行である方向に連続的に並進される(ステップ808)ので、並列に実行されるものとして示されている。ステップ808はまた、(ステップ806の先の実行における)傾斜角度の設定後、固定された傾斜角度での画像フレーム取得の前に、伸長サンプルの長さに沿った開始位置へのサンプルの初期並進を包含する。各画像フレーム取得は、露光(ステップ809)の開始で始まり、同じ又は異なる露光(ステップ809)の終了で終わり、
図6Dに描写される複数の部分画像フレーム露光624などの付加的な露光(ステップ809)を含み得る。複数の露光の取得中に、視野の中心に対するサンプルの位置が追跡され得(ステップ812)、入射荷電粒子ビームに対するサンプル位置に行われる調整によって、又はビーム焦点の調整によって、逸脱に対する適切な補正が行われ得る。各露光の後に、最後に取得された画像フレームの位置が、ステップ802において選択された関心領域(region of interest、ROI)の境界と比較され、したがって、ステップ808、809、810、812及び814の実行は、比較がROIの全長が画像化されたことを示すまで継続する。露光の制御(ステップ809)は、(a)サンプル上への荷電粒子ビームの透過をブランキング又は非ブランキングすることと、(b)サンプルから検出器への荷電粒子又は光子の透過を遮断又は非遮断することと、のうちの1つ以上を含み得る。ブランキング、非ブランキング、遮断、及び非遮断のうちのいずれか1つは、電子シャッタ又は機械シャッタのいずれかを備え得るシャッタを動作させることを含み得る。
【0072】
依然として方法800(
図8)を参照すると、ステップ814において判定されるように、関心領域の全長が画像化された後に、少なくともステップ819が実行される。追加的に、ステップ815及び817は、ステップ819の実行の前に実行され得る。しかしながら、ステップ815及び817は画像処理ステップであるので、全ての傾斜角度における全ての画像フレームが取得された後にステップ815及び817が実行されるように、実行の順序を変えることが可能である。したがって、ステップ815及び817が、決定ステップ819を出た後にその「はい」の分岐に沿って、かつ必ずではないが一般にステップ821の実行前に代替的に実行され得ることを示すために、破線で描写されている。更に、ステップ815、817、及び821は、最適な二次元画像再構築又は三次元断層撮影再構築を得るために、スワップ、交換、又は反復され得る。説明の目的で、ステップ815及び817は、
図8に示される順序で実行されるかのように以下で考察される。
【0073】
任意選択的なステップ815は、特定の傾斜角度(例えば、ステップ806において設定された、最も最近採用された傾斜角度)において画像フレームを取得するために使用される露光のシーケンス中にサンプルの連続的な運動によって引き起こされる画像ぼけを除去するために必要とされ得る。ぼけ除去手順は、運動の方向に平行に取られたピクセル強度の変化内で符号化された空間詳細の復号化を含み得る。全ての画像フレームが最も最近に設定された傾斜角度で取得され、何らかの必要とされるぼけ除去動作が実施された後に、合成二次元画像が、その傾斜角度で取得されたフルセット画像フレームから構築される(ステップ817)。合成画像の構築は、非点収差及び他の歪みについて画像フレームをデジタル的に補正するステップと、2つ以上の画像フレームに共通である画像化された特徴を認識することによって、画像フレームセットの画像フレームを位置合わせするステップと、位置合わせの後に、画像フレームのセットの画像強度をピクセルごとに共加算又は平均化するステップと、のうちの1つ以上を含み得る。共加算又は平均化手順は、サンプルにわたる画像の重複の程度の変化を説明するための適切な補正を含み得る(
図5及びその考察を参照)。
【0074】
方法800の実行は、800~819のステップのセットを通して繰り返しループし、ループの各反復は、(a)新しい傾斜角度を設定することと、(b)その後、サンプルの長さに沿って複数の画像フレームを取得することと、を含み、画像フレームの全ては、その同じ傾斜角度で取得される。採用される傾斜角度の数及び傾斜角度が訪問される順序は、方法800の実行前に既定され得るが、いくつかの傾斜角度は、以前の画像取得中に観察された結果に基づいて、方法の実行中に判定され得る。任意選択的に、ループの各反復は、画像データ処理ステップ815及び817を含み得、その場合、画像フレームの最も最近に取得されたセットのデータが、任意選択的にぼけ除去され、最も最近に設定された傾斜角度に対応する二次元(2D)画像を構築するために使用される。そうでなければ、ステップ815及び817は、ループの外側で、かつステップ821の前に移動され得、その場合、それらは、全ての傾斜角度において取得された全ての画像フレームの任意選択的なぼけ除去と、各々がそれぞれの傾斜角度に対応する複数の2D画像の構築と、を含む。得られた複数の伸長2D合成画像は、単純な傾斜シリーズを含み、これは、その後、ステップ821において、従来の断層撮影技法を採用して、関心領域内のサンプルの構造の三次元モデルを生成するために使用され得る。
【0075】
図9は、本教示に従った、伸長サンプル又は伸長サンプル部分の三次元断層撮影分析の第2の例示的な方法のフロー図である。
図9の方法900は、入射荷電粒子ビームに対するサンプルの不連続移動中の画像フレーム収集に関係し、それによって、サンプルと入射ビームとの間に相対運動がないとき(例えば、サンプルが静止しているとき)にのみ画像フレーム取得が生じ、そのような運動は画像フレーム取得の間にのみ生じる。方法900のステップ902、906、914、917、919、及び921は、それぞれ、方法800のステップ802、806、814、817、819、及び821と同一又は同様のいずれかであり、したがって、これらのステップは、本明細書で更に説明されない。方法900のステップ908~912は、方法800のステップ808~812と同様である。しかしながら、ステップ800~812は繰り返し並列して実行されるが、ステップ908~912は適切なシーケンスで実行される。したがって、次の視野へのサンプル及び/又はビームの移動(ステップ908)は、必然的に、シャッタの開放又はサンプル上への荷電粒子ビームの導入(ステップ909)の前に生じる。同様に、シャッタ開放又はビーム導入のステップ(ステップ909)は、必然的に、画像フレームの取得(ステップ910)の前に生じ、当然、シャッタ閉鎖又はビームブランキング(ステップ911)及びサンプル位置追跡(ステップ912)が続く。ステップ817と同様に、ステップ917は、画像データの処理のみに関連し、したがって、決定ステップ919を出た後にその「はい」分岐に沿って、ステップ921の実行前に実行され得る。
【0076】
本明細書で述べられるように、本明細書で開示される方法の特定のステップは、断層撮影再構築を含む画像データ処理に関係する。特定の例では、断層撮影再構築及び他のデータ処理ステップは、処理速度を改善するために、又は面倒なコンピューティング負荷に対処するために、遠隔で、例えば分散コンピューティング環境で実施され得る。反復手法、検索、期待値最大化、加重逆投影などを含む、様々な断層再構築技術を採用することができる。画像は、取得した画像シーケンスが標準再構築技術に合わせられる、又は適応されるように、必要に応じて、記憶及びリゾートされ得る。
【0077】
ビーム偏向、ビーム遮断、ビームブランキング、検出器シャッタリングなどを活用する画像取得アルゴリズムは、荷電粒子ビーム(CPB)顕微鏡システムにローカルなデジタルコンピュータによって実行されるソフトウェア又はファームウェア命令として具現化され得る。例えば、開示された技術のいずれも、透過型電子顕微鏡(TEM)システム又はスキャン電子顕微鏡(scanning electron microscope、STEM)システムなど、CPB顕微鏡システムの一部であるか、又はそれに結合されているコンピュータ又は他のコンピューティングハードウェアによって実施され得る。例えば、開示された実施形態のいずれかを実施するためのソフトウェアは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに開示された技術のいずれかを実施させるコンピュータ実行可能命令として、1つ以上の揮発性の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され得る。画像の取得、コンピューティング、又は再構築の結果は、1つ以上の有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得(例えば、好適なデータ構造又はルックアップテーブルを使用して)、及び/又は、例えば、データ、画像、断層撮影画像スライス、3D再構築などをディスプレイ上に表示することによって、ユーザにも出力され得る。
【0078】
本明細書で説明される三次元断層撮影方法は、傾斜シリーズ又は螺旋画像取得のいずれかに依存する従来の断層撮影方法を上回るいくつかの利点を提供する。第一に、放射線感受性サンプルに関して、本明細書に開示される方法は、画像取得中に、関心領域全体にわたって、又はサンプル全体にわたって荷電粒子の等しい線量を保証することができる。これは、画像アーチファクトを防止するために重要な条件である、サンプルの全てのエリアが等しい量の荷電粒子を受け取ることを保証することが困難である、通常の傾斜シリーズ又は螺旋断層撮影を採用する画像取得とは対照的である。第二に、開示された方法は、スティッチング問題の簡略化を可能にする。別個の三次元再構築体積又は別個の傾斜シリーズをスティッチングする行為は、困難であることが知られている。本明細書に開示される新規な方法を採用することによって、必要とされ得る唯一の画像スティッチングは、大きい重複を有する隣接する二次元画像をスティッチングするそれほど困難ではない手順である。場合によっては(例えば、画像フレーム場所の正確な記録を維持する十分に較正された画像ビームシフト光学系を使用するとき)、スティッチングは全く必要とされない場合がある。第三に、本明細書に開示される方法は、より多くの傾斜ステップが必要とされる螺旋又は通常の断層撮影取得と比較して、より迅速な画像取得を容易にする。最後に、本明細書に開示される方法は、各傾斜角度において画像化しながら、伸長サンプル又はサンプルの位置の追跡を可能にし、これは、サンプル又はサンプル部分の傾斜位置及び曲率に関するほぼリアルタイムの情報を提供し、それによって、ステージ移動補正がほぼリアルタイムで適用されることを可能にする。そのような情報はまた、三次元再構築アルゴリズムを制約するために使用され得る有用な追加のメタデータを提供することができる。
【0079】
追加の実施例
前述の説明に加えて、本開示に従った方法は、以下に列挙される項目のうちのいずれか1つ又はいくつかに適合し得る。
【0080】
項目1.三次元(3D)断層撮影の方法であって、
伸長セクションを含むサンプルを提供することであって、伸長セクションの伸長は、軸長を有する伸長軸を画定する、提供することと、
荷電粒子ビーム顕微鏡を使用して、伸長セクションの複数の二次元(2D)合成画像を伸長セクションの軸長に沿って取得することであって、各2D合成画像が、それぞれのシリーズの画像フレームから生成され、伸長軸に平行である伸長セクションの投影に対応し、各2D合成画像は、伸長軸と実質的に一致する回転軸を中心としたサンプルの初期配向に対するサンプルの異なるそれぞれの回転角度において取得される、取得することと、
複数の2D合成画像を組み合わせて、サンプルの伸長セクションの3D断層撮影表現を得ることと、を含む、3D断層撮影の方法。
【0081】
項目2.各シリーズの画像フレームの全ての画像は、初期配向に対して、回転軸を中心としたサンプルの同じ回転角度に対応し、各シリーズの画像フレームの各画像フレームは、伸長セクションの長さの一部分に沿った伸長セクションの2D投影画像に対応する、項目1に記載の3D断層撮影の方法。
【0082】
項目3.各シリーズの各画像フレームは、同じシリーズの少なくとも1つの他の隣接する画像フレームと重複する、項目2に記載の3D断層撮影の方法。
【0083】
項目4.各シリーズ内に画像フレームの重複はなく、伸長セクションの長さにわたる伸長セクションの各2D合成画像は、連続するフレーム間のサンプル特徴のデジタル再構築によって、対応するシリーズの画像フレームの重複しない画像フレームから生成される、項目2に記載の3D断層撮影の方法。
【0084】
項目5.各シリーズの画像フレームの各画像フレームは、サンプルの一部分への入射電子又はイオンのビームのパルスに対するサンプルの応答の検出によって生成され、サンプルとビームとの相対位置は、連続するパルス間で変化する、項目2~4のいずれか1つに記載の3D断層撮影の方法。
【0085】
項目6.各2D合成画像を取得することは、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を使用して、少なくとも1つの画像フレームを取得することを含む、項目5のいずれか1つに記載の3D断層撮影の方法。
【0086】
項目7.伸長軸に垂直に取られた伸長セクションの厚さは、1マイクロメートル(μm)以下である、任意の先行する項目に記載の3D断層撮影の方法。
【0087】
項目8.各2D画像を取得することは、サンプル上への電子又はイオンの衝突に応答してサンプルからの光子の放出の少なくとも1つの画像を取得することを含む、任意の先行する項目に記載の3D断層撮影の方法。
【0088】
項目9.伸長セクションを含むサンプルを提供することは、サンプルのイオンビームミリングによって伸長セクションを作成することを含む、項目1~8のいずれか1つに記載の3D断層撮影の方法。
【0089】
項目10.サンプルの初期配向に対する、サンプルの複数の回転角度は、90度~-90度の範囲である、項目1~9のいずれか1つに記載の3D断層撮影の方法。
【0090】
項目11.各シリーズの画像フレームを取得することは、連続する画像フレームの取得の間に、サンプル上に向けられる光子、電子、又はイオンの入射フラックスに対してサンプルの位置を変化させることを含む、項目2~4のいずれか1つに記載の3D断層撮影の方法。
【0091】
項目12.サンプルと入射フラックスとの相対位置は、各シリーズの画像フレームの取得中に連続的に変化する、項目11に記載の3D断層撮影の方法。
【0092】
項目13.各シリーズの画像フレームの各画像フレームは、サンプルが入射フラックスに露光されるそれぞれの時間増分に対応し、入射フラックスのパルスのタイミングは、擬似ランダムシーケンスに従う、項目12に記載の3D断層撮影の方法。
【0093】
項目14.入射フラックスに対するサンプルの移動は、各シリーズの画像フレームの取得後に反転される、項目11に記載の3D断層撮影の方法。
【0094】
項目15.
2D画像のうちの少なくとも1つに基づいて、サンプルの第2の伸長セクションを検出することであって、第2の伸長セクションの伸長は、第2の軸長を有する第2の伸長軸を画定する、検出することと、
荷電粒子ビーム顕微鏡を使用して、第2の軸長に沿った第2の伸長セクションの第2の複数の2D合成画像を取得することであって、第2の複数の2D合成画像の各々は、第2の伸長セクションの投影に対応する第2のものから生成される、取得することと、を含む、任意の先行する項目に記載の3D断層撮影の方法。
【0095】
項目16.各画像フレームを取得することは、複数の部分画像フレーム露光からの画像データを蓄積することを含み、各部分画像フレーム露光のタイミングは、既定のバイナリ擬似ランダムシーケンスによって制御される、請求項2~4のいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【0096】
項目17.画像フレームのぼけを除去することを更に含む、請求項2、3、4及び16のうちのいずれか一項に記載の3D断層撮影の方法。
【0097】
項目18.荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子源と、
荷電粒子源からの荷電粒子のビームを、回転可能かつ並進可能なサンプルステージ上に取り付けられたサンプルの伸長部分に向けるように構成された荷電粒子ビームカラムと、
サンプル上への荷電粒子のビームの衝突に応答して、サンプルを透過するか又はサンプルにおいて生成される荷電粒子又は光子のいずれかを検出器に移送するように構成された荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系であって、荷電粒子又は光子の移送は、伸長セクションの長さの一部分に沿った伸長セクションの特徴及び/又は構造の投影である画像フレームの生成を含む、荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系と、
荷電粒子源、回転可能かつ並進可能なサンプルステージ、荷電粒子ビーム光学系又はフォトニック光学系、及び検出器のうちの1つ以上に電気的に結合されたコントローラ環境であって、項目1~17のいずれか1つに記載の方法を実行するように動作可能であるプログラム命令を含む、コントローラ環境と、を備える、荷電粒子ビーム装置。
【0098】
項目19.3D断層撮影の画像化システムのコントローラ環境上で実行されるときに、項目1~17のいずれか1つに記載の方法を実行するように動作可能であるプログラム命令を含むコンピュータプログラム。
【外国語明細書】