(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173956
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648A
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024163309
(22)【出願日】2024-09-20
(62)【分割の表示】P 2024524772の分割
【原出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2022089346
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023062590
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江村 智文
(72)【発明者】
【氏名】吉村 晶仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修平
(72)【発明者】
【氏名】井原 亨
(72)【発明者】
【氏名】福井 祥吾
(57)【要約】
【課題】基板の歩留まりを向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理方法は、液処理工程と、搬送工程と、超臨界工程と、を含む。液処理工程は、液処理部において基板に対して液処理を行い、基板の上面を濡らす。搬送工程は、上面が濡れた基板を液処理部から超臨界処理部に搬送する。超臨界工程は、超臨界処理部において上面が濡れた基板を超臨界流体で処理する。また、液処理工程は、基板の超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、基板への処理液の供給を継続する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液処理部において基板に対して液処理を行い、前記基板の上面を濡らす液処理工程と、
上面が濡れた前記基板を前記液処理部から超臨界処理部に搬送する搬送工程と、
前記超臨界処理部において上面が濡れた前記基板を超臨界流体で処理する超臨界工程と、
を含み、
前記液処理工程は、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板への処理液の供給を継続する
基板処理方法。
【請求項2】
前記液処理工程は、複数の前記液処理部で行われ、
前記超臨界工程は、複数の前記超臨界処理部で行われ、
前記液処理工程は、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板が属するプロジェクトが終了するまでの間、前記基板への処理液の供給を継続する
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記搬送工程は、前記プロジェクトが終了した際、搬送が不可であると判定された前記超臨界処理部とは異なる前記超臨界処理部に搬送が可能であると判定された場合、異なる前記超臨界処理部に前記基板を搬送する。
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
異なる前記超臨界処理部に搬送された前記基板は、後の処理において警告基板として扱われる
請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記液処理工程は、処理液の供給を開始してから供給を停止するまでの間に、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板への処理液の供給を継続する
請求項1~4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記液処理工程は、処理液の供給を停止した後に、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板への処理液の供給を再開する
請求項1~4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記基板の前記超臨界処理部への搬送が可能であると判定された場合、前記液処理工程における前記基板の上面を濡らす工程が行われ、次に前記搬送工程が行われる
請求項1~4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記液処理工程は、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板への処理液の供給を所与の時間継続して行い、前記所与の時間以上の時間が経過した場合は、前記基板への処理液の供給を中止する
請求項1~4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記液処理工程は、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板への処理液の供給を断続的に継続する
請求項1~4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記基板への処理液の供給を断続的に継続する場合、前記基板への処理液の供給が中断される時間は、前記基板の上面から揮発する量が前記基板の上面における液膜の量よりも少なくなる時間である
請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記搬送工程は、複数の前記超臨界処理部のうち、搬送が可能であると判定された前記超臨界処理部を選択して行われる
請求項1~4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項12】
基板に対して液処理を行う液処理部と、
前記基板を超臨界流体で処理する超臨界処理部と、
前記液処理部から前記超臨界処理部に前記基板を搬送する搬送部と、
各部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記液処理部において前記基板の上面を濡らし、
前記搬送部によって上面が濡れた前記基板を前記液処理部から前記超臨界処理部に搬送し、
前記超臨界処理部において上面が濡れた前記基板を超臨界流体で処理し、
前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記液処理部において前記基板への処理液の供給を継続する
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハと呼称する。)などの基板の上面に乾燥防止用の液膜を形成し、かかる液膜が形成された基板を超臨界状態の処理流体に接触させて乾燥処理を行う基板処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の歩留まりを向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理方法は、液処理工程と、搬送工程と、超臨界工程と、を含む。液処理工程は、液処理部において基板に対して液処理を行い、前記基板の上面を濡らす。搬送工程は、上面が濡れた前記基板を前記液処理部から超臨界処理部に搬送する。超臨界工程は、前記超臨界処理部において上面が濡れた前記基板を超臨界流体で処理する。また、前記液処理工程は、前記基板の前記超臨界処理部への搬送が不可であると判定された場合、前記基板への処理液の供給を継続する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板処理システムを上方から見た模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る基板処理システムを側方から見た模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、液処理ユニットの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、乾燥ユニットの構成例を示す模式斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る基板処理システムにおいて実行される一連の基板処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る基板処理システムにおいて実行される液処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る基板処理システムにおいて実行される基板処理の別の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る基板処理システムにおいて実行される基板処理の別の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハと呼称する。)などの基板の上面に乾燥防止用の液膜を形成し、かかる液膜が形成された基板を超臨界状態の処理流体に接触させて乾燥処理を行う基板処理装置が知られている。
【0010】
しかしながら、上面に液膜が形成された基板が乾燥ユニットに搬送されるタイミングで、かかる搬送ユニットに不具合が生じていると、かかる不具合が復旧するまでそのまま待機しなければならない。
【0011】
そして、待機している間に液膜が乾燥するなどして、基板上面の液膜状態が変化した場合、その後の乾燥処理において基板上に形成されているパターンが倒れるなどの不具合が発生することから、基板の歩留まりが低下してしまう恐れがあった。
【0012】
そこで、上述の問題点を克服し、基板の歩留まりを向上させることができる技術の実現が期待されている。
【0013】
<基板処理システムの構成>
まず、実施形態に係る基板処理システム1(基板処理装置の一例)の構成について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システム1を上方から見た模式的な断面図である。また、
図2は、実施形態に係る基板処理システム1を側方から見た模式的な断面図である。なお、以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0014】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0015】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下、「ウェハW」とも記載する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。ウェハWは、基板の一例である。
【0016】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられる。搬送部12の内部には、搬送装置13と受渡部14とが配置される。
【0017】
搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0018】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送ブロック4と、複数の処理ブロック5とを備える。
【0019】
搬送ブロック4は、搬送エリア15と、搬送装置16とを備える。搬送エリア15は、たとえば、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に沿って延在する直方体状の領域である。搬送エリア15には、搬送装置16が配置される。
【0020】
搬送装置16は、搬送部の一例であり、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置16は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と複数の処理ブロック5との間でウェハWの搬送を行う。
【0021】
複数の処理ブロック5は、搬送エリア15の一方側において搬送エリア15に隣接して配置される。具体的には、複数の処理ブロック5は、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に直交する方向(Y軸方向)における搬送エリア15の一方側(図ではY軸負方向側)に配置される。
【0022】
また、
図2に示すように、複数の処理ブロック5は、鉛直方向に沿って多段に配置される。実施形態において、複数の処理ブロック5の段数は3段であるが、複数の処理ブロック5の段数は3段に限定されない。
【0023】
このように、実施形態に係る基板処理システム1において、複数の処理ブロック5は、搬送ブロック4の一方側において多段に配置される。そして、各段に配置された処理ブロック5と受渡部14との間で行われるウェハWの搬送は、搬送ブロック4に配置された共通の搬送装置16によって行われる。
【0024】
各処理ブロック5は、液処理ユニット17と、乾燥ユニット18とを備える。液処理ユニット17は液処理部の一例であり、乾燥ユニット18は超臨界処理部の一例である。
【0025】
液処理ユニット17は、ウェハWのパターン形成面である上面を洗浄する処理を行う。さらに、液処理ユニット17は、薬液処理後のウェハWの上面に液膜を形成する処理を行う。液処理ユニット17の構成については後述する。
【0026】
乾燥ユニット18は、液膜形成処理後のウェハWに対して超臨界乾燥処理を行う。具体的には、乾燥ユニット18は、液膜形成処理後のウェハWを超臨界状態の処理流体(以下、「超臨界流体」とも呼称する。)と接触させることによって、かかるウェハWを乾燥させる。
【0027】
なお、以下に説明する実施形態では、乾燥ユニット18で行われる処理として超臨界乾燥処理を行う例について示すが、乾燥ユニット18で行われる処理は超臨界乾燥処理に限られず、超臨界流体によってウェハWを改質する処理などであってもよい。乾燥ユニット18の構成については後述する。
【0028】
なお、
図1および
図2には図示していないが、基板処理システム1は、乾燥ユニット18に対して処理流体を供給する供給ユニットを有する。具体的には、かかる供給ユニットは、流量計、流量調整器、背圧弁、ヒータなどを含む供給機器群と、供給機器群を収容する筐体とを備える。実施形態において、供給ユニットは、処理流体としてCO
2を乾燥ユニット18に供給する。
【0029】
液処理ユニット17および乾燥ユニット18は、搬送エリア15に沿って(すなわち、X軸方向に沿って)並べられる。液処理ユニット17および乾燥ユニット18のうち、液処理ユニット17は、搬入出ステーション2に近い位置に配置され、乾燥ユニット18は、搬入出ステーション2から遠い位置に配置される。
【0030】
このように、各処理ブロック5は、液処理ユニット17および乾燥ユニット18をそれぞれ1つずつ備える。すなわち、基板処理システム1には、液処理ユニット17および乾燥ユニット18が同じ数だけ設けられる。
【0031】
図1に示すように、基板処理システム1は、制御装置6を備える。制御装置6は、たとえばコンピュータであり、制御部61と記憶部62とを備える。
【0032】
制御部61は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、搬送装置13、16、液処理ユニット17および乾燥ユニット18などの制御を実現する。
【0033】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されていたものであって、その記憶媒体から制御装置6の記憶部62にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0034】
記憶部62は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0035】
<液処理ユニットの構成>
次に、液処理ユニット17の構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、液処理ユニット17の構成例を示す図である。液処理ユニット17は、たとえば、スピン洗浄によりウェハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置として構成される。
【0036】
図3に示すように、液処理ユニット17は、処理空間を形成するアウターチャンバー23内に配置されたウェハ保持機構25にてウェハWをほぼ水平に保持し、このウェハ保持機構25を鉛直軸周りに回転させることによりウェハWを回転させる。
【0037】
そして、液処理ユニット17は、回転するウェハWの上方にノズルアーム26を進入させ、かかるノズルアーム26の先端部に設けられる薬液ノズル26aから薬液やリンス液を予め定められた順に供給することにより、ウェハW上面の洗浄処理を行う。
【0038】
また、液処理ユニット17には、ウェハ保持機構25の内部にも薬液供給路25aが形成されている。そして、かかる薬液供給路25aから供給された薬液やリンス液によって、ウェハWの下面も洗浄される。
【0039】
洗浄処理は、たとえば、最初にアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われる。次に、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:以下、「DIW」とも記載する。)によるリンス洗浄が行われる。
【0040】
次に、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:以下、「DHF」とも記載する。)による自然酸化膜の除去が行われ、次に、DIWによるリンス洗浄が行われる。
【0041】
上述の各種薬液は、アウターチャンバー23や、アウターチャンバー23内に配置されるインナーカップ24に受け止められて、アウターチャンバー23の底部に設けられる排液口23aや、インナーカップ24の底部に設けられる排液口24aから排出される。さらに、アウターチャンバー23内の雰囲気は、アウターチャンバー23の底部に設けられる排気口23bから排気される。
【0042】
液膜形成処理は、洗浄処理におけるリンス処理の後に行われる。具体的には、液処理ユニット17は、ウェハ保持機構25を回転させながら、ウェハWの上面および下面に液体状態のIPA(以下、「IPA液体」とも呼称する)を供給する。これにより、ウェハWの両面に残存するDIWがIPAに置換される。その後、液処理ユニット17は、ウェハ保持機構25の回転を緩やかに停止する。
【0043】
液膜形成処理を終えたウェハWは、その上面にIPA液体の液膜が形成された状態のまま、ウェハ保持機構25に設けられた不図示の受け渡し機構により搬送装置16に受け渡され、液処理ユニット17から搬出される。
【0044】
ウェハW上に形成された液膜は、液処理ユニット17から乾燥ユニット18へのウェハWの搬送中や、乾燥ユニット18への搬入動作中に、ウェハW上面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防止する。
【0045】
<乾燥ユニットの概要>
つづいて、乾燥ユニット18の構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、乾燥ユニット18の構成例を示す模式斜視図である。
【0046】
乾燥ユニット18は、本体31と、保持板32と、蓋部材33とを有する。筐体状の本体31には、ウェハWを搬入出するための開口部34が形成される。保持板32は、処理対象のウェハWを水平方向に保持する。蓋部材33は、かかる保持板32を支持するとともに、ウェハWを本体31内に搬入したときに、開口部34を密閉する。
【0047】
本体31は、たとえば直径300(mm)のウェハWを収容可能な処理空間が内部に形成された容器であり、その壁部には、供給ポート35、36と排出ポート37とが設けられる。供給ポート35、36および排出ポート37は、それぞれ、乾燥ユニット18に超臨界流体を流通させるための供給流路および排出流路に接続されている。
【0048】
供給ポート35は、筐体状の本体31において、開口部34とは反対側の側面に接続されている。また、供給ポート36は、本体31の底面に接続されている。さらに、排出ポート37は、開口部34の下方側に接続されている。なお、
図4には2つの供給ポート35、36と1つの排出ポート37が図示されているが、供給ポート35、36や排出ポート37の数は特に限定されない。
【0049】
また、本体31の内部には、流体供給ヘッダー38、39と、流体排出ヘッダー40とが設けられる。そして、流体供給ヘッダー38、39には複数の供給口がかかる流体供給ヘッダー38,39の長手方向に並んで形成され、流体排出ヘッダー40には複数の排出口がかかる流体排出ヘッダー40の長手方向に並んで形成される。
【0050】
流体供給ヘッダー38は、供給ポート35に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34とは反対側の側面に隣接して設けられる。また、流体供給ヘッダー38に並んで形成される複数の供給口は、開口部34側を向いている。
【0051】
流体供給ヘッダー39は、供給ポート36に接続され、筐体状の本体31内部における底面の中央部に設けられる。また、流体供給ヘッダー39に並んで形成される複数の供給口は、上方を向いている。
【0052】
流体排出ヘッダー40は、排出ポート37に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34側の側面に隣接するとともに、開口部34より下方に設けられる。また、流体排出ヘッダー40に並んで形成される複数の排出口は、上方を向いている。
【0053】
流体供給ヘッダー38、39は、超臨界流体を本体31内に供給する。また、流体排出ヘッダー40は、本体31内の超臨界流体を本体31の外部に導いて排出する。なお、流体排出ヘッダー40を介して本体31の外部に排出される超臨界流体には、ウェハWの上面から超臨界状態の超臨界流体に溶け込んだIPA液体が含まれる。
【0054】
かかる乾燥ユニット18内において、ウェハW上に形成されているパターンの間のIPA液体は、高圧状態(たとえば、16(MPa))である超臨界流体と接触することで、徐々に超臨界流体に溶解し、パターンの間は徐々に超臨界流体と置き換わる。そして、最終的には、超臨界流体のみによってパターンの間が満たされる。
【0055】
そして、パターンの間からIPA液体が除去された後に、本体31内部の圧力を高圧状態から大気圧まで減圧することによって、CO2は超臨界状態から気体状態に変化し、パターンの間は気体のみによって占められる。このようにしてパターンの間のIPA液体は除去され、ウェハWの乾燥処理が完了する。
【0056】
ここで、超臨界流体は、液体(たとえばIPA液体)と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。これにより、超臨界流体を用いた乾燥処理では、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。したがって、実施形態によれば、乾燥処理の際にパターンが倒れることを抑制することができる。
【0057】
なお、実施形態では、乾燥防止用の液体としてIPA液体を用い、処理流体として超臨界状態のCO2を用いた例について示しているが、IPA以外の液体を乾燥防止用の液体として用いてもよいし、超臨界状態のCO2以外の流体を処理流体として用いてもよい。
【0058】
<基板処理フロー>
次に、上述した基板処理システム1におけるウェハWの処理フローについて、
図5~
図8を参照しながら説明する。
図5は、実施形態に係る基板処理システム1において実行される一連の基板処理の手順を示すフローチャートである。
図5~
図8に示す一連の基板処理は、制御部61の制御に従って実行される。
【0059】
また、ここでは、一例として、1枚のウェハWについて実行される一連の基板処理の手順を示している。基板処理システム1では、
図5~
図7に示す一連の基板処理が複数のウェハWに対して並列に実行される。
【0060】
基板処理システム1では、まず、搬送装置13がキャリアCからウェハWを取り出して受渡部14へ載置する(ステップS101)。具体的には、搬送装置13は、ウェハ保持機構を用いてキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14へ載置する。
【0061】
つづいて、基板処理システム1では、第1搬送処理が行われる(ステップS102)。第1搬送処理は、搬送装置16がウェハWを受渡部14から取り出して液処理ユニット17に搬送する処理である。
【0062】
具体的には、搬送装置16は、ウェハ保持機構を用いて受渡部14からウェハWを取り出し、取り出したウェハWを処理ブロック5の液処理ユニット17に搬送する。
【0063】
つづいて、基板処理システム1では、液処理ユニット17において液処理が行われる(ステップS103)。具体的には、液処理ユニット17は、たとえば、ウェハWのパターン形成面である上面に各種の薬液やリンス液を供給することにより、ウェハWの上面からパーティクルや自然酸化膜などを除去する。
【0064】
つづいて、液処理ユニット17は、たとえば、洗浄処理後のウェハWの上面にIPA液体を供給することにより、ウェハWの上面にIPA液体による液膜を形成する(すなわち、ウェハWの上面をIPA液体で濡らす)。かかる液処理の詳細については後述する。
【0065】
つづいて、基板処理システム1では、第2搬送処理が行われる(ステップS104)。かかる第2搬送処理は、搬送装置16が上面に液膜が形成されたウェハWを液処理ユニット17から取り出して乾燥ユニット18に搬送する処理である。
【0066】
具体的には、搬送装置16は、ウェハ保持機構を用いて液処理ユニット17から取り出し、取り出したウェハWを処理ブロック5の対応する乾燥ユニット18に搬送する。
【0067】
つづいて、基板処理システム1では、乾燥ユニット18において乾燥処理が行われる(ステップS105)。かかる乾燥処理において、乾燥ユニット18は、上面に液膜が形成されたウェハWを超臨界流体と接触させることによってウェハWを乾燥させる。
【0068】
つづいて、基板処理システム1では、第3搬送処理が行われる(ステップS106)。かかる第3搬送処理は、搬送装置16が乾燥処理後のウェハWを乾燥ユニット18から取り出して受渡部14に搬送する処理である。
【0069】
具体的には、搬送装置16は、ウェハ保持機構を用いて乾燥ユニット18からウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。
【0070】
つづいて、基板処理システム1では、搬送装置13が受渡部14からウェハWを取り出してキャリアCへ搬出する(ステップS107)。具体的には、搬送装置13は、ウェハ保持機構を用いて受渡部14からウェハWを取り出し、取り出したウェハWをキャリアCへ載置する。かかる搬出処理を終えると、1枚のウェハWについての一連の基板処理が終了する。
【0071】
図6は、実施形態に係る基板処理システム1において実行される液処理(ステップS103)の手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、実施形態に係る液処理では、まず、制御部61が、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aから薬液をウェハWに供給する薬液処理を行う(ステップS201)。
【0072】
かかるステップS201の処理では、たとえば、ウェハWの上面および下面にSC1液が供給されることで、ウェハWからパーティクルや有機性の汚染物質が除去される。
【0073】
次に、制御部61は、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aからリンス液をウェハWに供給するリンス処理を行う(ステップS202)。かかるステップS202の処理では、たとえば、ウェハWの上面および下面にDIWが供給されることで、ウェハWに付着するSC1液などが洗い流される。
【0074】
次に、制御部61は、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aから薬液をウェハWに供給する薬液処理を行う(ステップS203)。かかるステップS203の処理では、たとえば、ウェハWの上面および下面にDHFが供給されることで、ウェハWの自然酸化膜が除去される。
【0075】
次に、制御部61は、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aからリンス液をウェハWに供給するリンス処理を行う(ステップS204)。かかるステップS204の処理では、たとえば、ウェハWの上面および下面にDIWが供給されることで、ウェハWに付着するDHFなどが洗い流される。
【0076】
次に、制御部61は、液処理ユニット17で液処理されるウェハWが、対応する乾燥ユニット18(例えば、ウェハWが処理される液処理ユニット17と同じ処理ブロック5に位置する乾燥ユニット18)に搬送可能であるか否かを判定する(ステップS205)。
【0077】
そして、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能である場合(ステップS205,Yes)、制御部61は、薬液ノズル26aからIPA液体をウェハWに供給して、ウェハWの上面にIPA液体の液膜を形成する液盛り処理を行う(ステップS206)。これにより、ウェハWの上面がIPA液体によって濡れた状態となる。
【0078】
次に、制御部61は、液処理ユニット17で液処理されるウェハWが、対応する乾燥ユニット18に搬送可能であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0079】
そして、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能である場合(ステップS207,Yes)、制御部61は、一連の液処理を終了し、
図5に示した第2搬送処理(ステップS104)に移行する。
【0080】
一方で、上述のステップS205の処理において、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合(ステップS205,No)、例えば対応する乾燥ユニット18が不具合等で動作できない場合、制御部61は、液供給処理を行う(ステップS208)。
【0081】
同様に、上述のステップS207の処理において、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合(ステップS207,No)、制御部61は、液供給処理を行う(ステップS208)。
【0082】
かかる液供給処理は、液処理ユニット17において、ウェハWへの処理液の供給を継続する処理である。これにより、対応する乾燥ユニット18に搬送できず、液処理ユニット17で待機状態にあるウェハWにおいて、上面の乾燥を抑制することができる。
【0083】
したがって、実施形態によれば、ウェハW上に形成されているパターンが倒れるなどの不具合を抑制できるため、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0084】
この液供給処理においてウェハWに供給される処理液は、たとえば、DIW、IPAおよび希釈IPA(すなわち、DIWとIPAとの混合液)のいずれかであるとよい。これにより、ウェハWの上面の状態を変化させることなく、上面の乾燥を抑制することができる。したがって、実施形態によれば、ウェハWの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0085】
また、この液供給処理においてウェハWに供給される処理液を、コストが安くかつ乾燥しにくいDIWにすることで、処理液の使用量を減らすことができるため、液供給処理におけるコストを低減することができる。
【0086】
なお、本開示において、液供給処理にてウェハWに供給される処理液は、DIW、IPAおよび希釈IPAに限られず、ウェハWの上面の状態を変化させない処理液であればどのような処理液であってもよい。
【0087】
また、この液供給処理では、処理液をウェハWの上面に連続して供給してもよいし、断続的に供給してもよい。たとえば、液供給処理において処理液を連続して供給することで、ウェハW上面の乾燥をより確実に防止することができる。
【0088】
また、液供給処理において処理液を断続的に供給することで、処理液の使用量を減らすことができるため、液供給処理におけるコストを低減することができる。
【0089】
さらに、ウェハWの上面への処理液の供給を断続的に継続する場合、ウェハWへの処理液の供給が中断される時間は、ウェハWの上面から揮発する量がウェハWの上面における液膜の量よりも少なくなる時間であるとよい。これにより、ウェハW上面の乾燥をより確実に防止することができる。
【0090】
図6の説明に戻る。ステップS208の処理につづいて、制御部61は、液処理ユニット17で処理液の供給が継続されるウェハWが、対応する乾燥ユニット18に搬送可能であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0091】
そして、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能である場合(ステップS209,Yes)、ステップS206の処理に移行する。
【0092】
一方で、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合(ステップS209,No)、制御部61は、ウェハWへの処理液の供給の継続時間が、所与の時間経過したか否かを判定する(ステップS210)。
【0093】
そして、ウェハWへの処理液の供給の継続時間が所与の時間経過していない場合(ステップS210,No)、ステップS208の処理に戻る。
【0094】
一方で、ウェハWへの処理液の供給の継続時間が所与の時間経過している場合(ステップS210,Yes)、制御部61は、乾燥ユニット18の復旧の目処が立たないとみなし、待機するウェハWを強制的に基板処理システム1から搬出する(ステップS211)。これにより、無駄な処理液の使用を抑制することができる。
【0095】
そして、待機するウェハWを強制的に基板処理システム1から搬出し、一連の液処理が終了する。なおこの場合、ウェハWに対する乾燥処理(ステップS105)は行われなくてもよい。
【0096】
また、実施形態では、上述のステップS209の処理において、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合、ウェハWが待機する液処理ユニット17と対応しない乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能であるか否かを判定してもよい。
【0097】
たとえば、1つのキャリアCに収容される複数枚(たとえば、25枚)のウェハWは、複数の処理ブロック5のそれぞれに紐付けられ、各処理ブロック5において順番に処理される。
【0098】
そして、実施形態では、不具合等が生じていない処理ブロック5において全てのウェハWの処理が完了した後に、不具合等が生じている処理ブロック5の液処理ユニット17に待機するウェハWを、別の処理ブロック5の乾燥ユニット18に搬送してもよい。
【0099】
これにより、ある処理ブロック5の乾燥ユニット18について復旧の目処が立っていない場合でも、液処理ユニット17に待機するウェハWを問題無く乾燥処理することができる。したがって、実施形態によれば、ウェハWの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0100】
この基板処理の手順の詳細について、
図7および
図8を参照しながら説明する。
図7は、実施形態に係る基板処理システム1において実行される基板処理の別の一例を説明するための図である。
【0101】
図7に示すように、別の一例に係る液処理では、まず、制御部61が、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aから薬液をウェハWに供給する薬液処理を行う(ステップS301)。
【0102】
次に、制御部61は、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aからリンス液をウェハWに供給するリンス処理を行う(ステップS302)。
【0103】
次に、制御部61は、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aから薬液をウェハWに供給する薬液処理を行う(ステップS303)。
【0104】
次に、制御部61は、液処理ユニット17において、薬液ノズル26aおよび薬液供給路25aからリンス液をウェハWに供給するリンス処理を行う(ステップS304)。
【0105】
次に、制御部61は、液処理ユニット17で液処理されるウェハWが、対応する乾燥ユニット18(例えば、ウェハWが処理される液処理ユニット17と同じ処理ブロック5に位置する乾燥ユニット18)に搬送可能であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0106】
そして、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能である場合(ステップS305,Yes)、制御部61は、薬液ノズル26aからIPA液体をウェハWに供給して、ウェハWの上面にIPA液体の液膜を形成する液盛り処理を行う(ステップS306)。
【0107】
次に、制御部61は、液処理ユニット17で液処理されるウェハWが、対応する乾燥ユニット18に搬送可能であるか否かを判定する(ステップS307)。
【0108】
そして、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能である場合(ステップS307,Yes)、制御部61は、一連の液処理を終了し、
図5に示した第2搬送処理(ステップS104)に移行する。
【0109】
一方で、上述のステップS305の処理にて、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合(ステップS305,No)、例えば対応する乾燥ユニット18が不具合等で動作できない場合、制御部61は、液供給処理を行う(ステップS308)。
【0110】
同様に、上述のステップS307の処理において、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合(ステップS307,No)、制御部61は、液供給処理を行う(ステップS308)。
【0111】
ここまで説明したステップS301~S308の処理は、上述のステップS201~S208の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0112】
ステップS308の処理につづいて、制御部61は、液処理ユニット17で処理液の供給が継続されるウェハWが、対応する乾燥ユニット18に搬送可能であるか否かを判定する(ステップS309)。
【0113】
そして、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能である場合(ステップS309,Yes)、ステップS306の処理に移行する。
【0114】
一方で、対応する乾燥ユニット18にウェハWが搬送可能でない場合(ステップS309,No)、制御部61は、かかるウェハWが属するプロジェクトが終了したか否かを判定する(ステップS310)。
【0115】
ここで、ウェハWが属するプロジェクトの概念を含め、基板処理システム1において複数のウェハWが処理される際の流れの一例について、
図8も参照しながら説明する。
図8は、実施形態の基板処理システム1において実行される基板処理の別の一例を説明するための図である。
【0116】
なお、
図8の例では、1つの基板処理システム1に液処理ユニット17および乾燥ユニット18が3つずつ設けられ、それぞれ液処理ユニットA~Cおよび乾燥ユニットA~Cと呼称される。
【0117】
そして、
図8に示すように、「液処理ユニットA」と「乾燥ユニットA」とが互いに対応し、「液処理ユニットB」と「乾燥ユニットB」とが互いに対応し、「液処理ユニットC」と「乾燥ユニットC」とが互いに対応する。互いに対応する液処理ユニット17および乾燥ユニット18は、たとえば、同じ処理ブロック5(
図2参照)に位置する。
【0118】
また、
図8の例では、理解を容易にするため、1つのキャリアCに収容されるウェハWの枚数を9枚とする(図では、ウェハA1~A9と記載される)。そして、制御部61(
図1参照)は、たとえば、1つのキャリアCごとに1つのプロジェクトを設定して、かかるプロジェクトの中で対応するキャリアCに収容される9枚のウェハWをまとめて処理する。
【0119】
図8の例では、1つのプロジェクトが立ち上がると、制御部61(
図1参照)は、搬送装置16(
図1参照)を制御して、ウェハA1を液処理ユニットAに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットAでウェハA1に液処理を行う(ステップS103)。
【0120】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA2を液処理ユニットBに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットBでウェハA2に液処理を行う(ステップS103)。
【0121】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA3を液処理ユニットCに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットCでウェハA3に液処理を行う(ステップS103)。
【0122】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA1を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットAから乾燥ユニットAに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットAでウェハA1に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0123】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA2を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットBから乾燥ユニットBに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットBでウェハA2に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0124】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA3を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットCから乾燥ユニットCに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットCでウェハA3に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0125】
このように、実施形態では、制御部61が、液処理ユニット17で液処理を行ったウェハWを、対応する乾燥ユニット18に搬送して、かかる乾燥ユニット18で乾燥処理を行う。
【0126】
これにより、複数のウェハWの間で液処理ユニット17から乾燥ユニット18までの搬送時間がばらつくことを低減できる。したがって、実施形態によれば、複数のウェハWの間で乾燥処理を開始する際の液膜状態を揃えることができるため、基板処理システム1における基板処理の歩留まりを向上させることができる。
【0127】
図8の説明に戻る。次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA4を液処理ユニットAに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットAでウェハA4に液処理を行う(ステップS103)。
【0128】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA5を液処理ユニットBに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットBでウェハA5に液処理を行う(ステップS103)。
【0129】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA6を液処理ユニットCに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットCでウェハA6に液処理を行う(ステップS103)。
【0130】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA4を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットAから乾燥ユニットAに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットAでウェハA4に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0131】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA7を液処理ユニットAに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットAでウェハA7に液処理を行う(ステップS103)。
【0132】
ここで、
図8の例では、ウェハA4を乾燥処理中の乾燥ユニットAにトラブルが発生したとする。この場合、制御部61は、この乾燥ユニットAに対応する液処理ユニットAで液処理中のウェハA7が、乾燥ユニットAに搬送できないと判定する(ステップS305、No)。
【0133】
そこで、制御部61は、このウェハA7に対して、液処理ユニットAにおいて所定の液供給処理を行う(ステップS308)。たとえば、
図8の例では、所定の液処理(ステップS301~S304)が終了したウェハA7に対して、液供給処理としてDIWを供給する。
【0134】
また、ウェハA7に対する各種の処理と並行して、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA5を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットBから乾燥ユニットBに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットBでウェハA5に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0135】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA6を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットCから乾燥ユニットCに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットCでウェハA6に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0136】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA8を液処理ユニットBに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットBでウェハA8に液処理を行う(ステップS103)。
【0137】
次に、制御部61は、搬送装置16を制御して、ウェハA9を液処理ユニットCに搬送する(ステップS102)。そして、制御部61は、かかる液処理ユニットCでウェハA9に液処理を行う(ステップS103)。
【0138】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA8を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットBから乾燥ユニットBに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットBでウェハA8に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0139】
次に、制御部61は、所与の液処理が完了したウェハA9を、搬送装置16を制御して、液処理ユニットCから乾燥ユニットCに搬送する(ステップS104)。そして、制御部61は、かかる乾燥ユニットCでウェハA9に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0140】
そして、乾燥処理が終了したウェハA9が搬送装置16によって乾燥ユニットCから搬出されたところで、ウェハA1~A9に対する1つのプロジェクトが終了する。
【0141】
ここで、
図8の例では、このプロジェクトが終了した時点においても、乾燥ユニットAのトラブルが継続している。そこで、
図7に示すように、制御部61は、液処理ユニットAに位置するウェハA7が、対応する乾燥ユニットAに搬送できないと判定する(ステップS309,No)と共に、ウェハA7が属するプロジェクトが終了したと判定する(ステップS310,Yes)。
【0142】
次に、制御部61は、液処理ユニットAに位置するウェハA7が、対応する乾燥ユニットAとは別の乾燥ユニットBまたは乾燥ユニットCに搬送できるか否かを判定する(ステップS311)。
【0143】
そして、別の乾燥ユニットBまたは乾燥ユニットCに搬送できると判定された場合(ステップS311,Yes)、制御部61は、ウェハA7の上面にIPA液体の液膜を形成する液盛り処理を行う(ステップS312)。そして、制御部61は、一連の液処理を終了し、
図5に示した第2搬送処理(ステップS104)に移行する。
【0144】
図8の例では、ステップS311の処理において、別の乾燥ユニットBに搬送できると判定されたため、プロジェクトが終了した時点から、制御部61は、ウェハA7に対して液盛り処理を行う。
【0145】
そして、制御部61は、搬送装置16を制御して、液盛り処理が終了したウェハA7を乾燥ユニットBに搬送し(ステップS104)、かかる乾燥ユニットBでウェハA7に乾燥処理を行う(ステップS105)。
【0146】
これにより、複数の乾燥ユニット18のうち、1台がトラブルなどで動作できない場合でも、かかる乾燥ユニット18で処理予定のウェハWを救済することができる。したがって、実施形態によれば、ウェハWの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0147】
また、実施形態では、液処理ユニットA1で待機するウェハA7とは異なるウェハA8、A9をウェハA7よりも先に処理することで、ウェハA7が別の乾燥ユニットBで先に処理されることによって、ウェハA8、A9の処理時間が乱れることを抑制できる。したがって、実施形態によれば、ウェハWの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0148】
なお、実施形態では、上述のように対応する乾燥ユニットAとは別の乾燥ユニットB、Cで乾燥処理されたウェハA7を警告基板として扱ってもよい。これにより、他のウェハWとは異なるプロセス処理をこの警告基板に対して行うことができるため、ウェハWの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0149】
図7の説明に戻る。ステップS311の処理において、別の乾燥ユニットB、Cに搬送できないと判定された場合(ステップS311,No)、制御部61は、すべての乾燥ユニットA~Cの復旧の目処が立たないとみなす。そして、制御部61は、液処理ユニットAで待機するウェハA7を強制的に基板処理システム1から搬出する(ステップS313)。これにより、無駄な処理液の使用を抑制することができる。
【0150】
また、実施形態では、ユーザがステップS209およびステップS311の処理を目視で行い、ステップS211およびステップS313の処理を手動で行ってもよい。一方で、ステップS209の処理やステップS211の処理およびステップS313を制御部61が自動的に実施することで、ユーザが基板処理システム1から離れている場合でも、無駄な処理液の使用を抑制することができる。
【0151】
実施形態では、
図5に示した第2搬送処理の最中に、搬送予定の乾燥ユニット18にウェハWが搬送できないと判定された場合、搬送中のウェハWを液処理ユニット17に戻して、かかるウェハWに液供給処理(ステップS208、S308)を実施してもよい。
【0152】
これにより、ウェハWの上面の乾燥を抑制できるため、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0153】
実施形態に係る基板処理方法は、液処理工程(ステップS103)と、搬送工程(ステップS104)と、超臨界工程(ステップS105)と、を含む。液処理工程(ステップS103)は、液処理部(液処理ユニット17)において基板(ウェハW)に対して液処理を行い、基板(ウェハW)の上面を濡らす。搬送工程(ステップS104)は、上面が濡れた基板(ウェハW)を液処理部(液処理ユニット17)から超臨界処理部(乾燥ユニット18)に搬送する。超臨界工程(ステップS105)は、超臨界処理部(乾燥ユニット18)において上面が濡れた基板(ウェハW)を超臨界流体で処理する。また、液処理工程(ステップS103)は、基板(ウェハW)の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、基板(ウェハW)への処理液の供給を継続する。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0154】
また、実施形態に係る基板処理方法において、液処理工程(ステップS103)は、複数の液処理部(液処理ユニット17)で行われ、超臨界工程(ステップS105)は、複数の超臨界処理部(乾燥ユニット18)で行われる。また、液処理工程(ステップS103)は、基板(ウェハW)の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、基板(ウェハW)が属するプロジェクトが終了するまでの間、基板(ウェハW)への処理液の供給を継続する。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0155】
また、実施形態に係る基板処理方法において、搬送工程(ステップS104)は、プロジェクトが終了した際、搬送が不可であると判定された超臨界処理部とは異なる超臨界処理部に搬送が可能であると判定された場合、異なる超臨界処理部に基板を搬送する。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0156】
また、実施形態に係る基板処理方法において、異なる超臨界処理部(乾燥ユニット18)に搬送された基板(ウェハW)は、後の処理において警告基板として扱われる。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0157】
また、実施形態に係る基板処理方法において、液処理工程(ステップS103)は、処理液の供給を開始してから供給を停止するまでの間に、基板の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、基板への処理液の供給を継続する。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0158】
また、実施形態に係る基板処理方法において、液処理工程(ステップS103)は、処理液の供給を停止した後に、基板(ウェハW)の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、基板(ウェハW)への処理液の供給を再開する。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0159】
また、実施形態に係る基板処理方法において、基板の超臨界処理部への搬送が可能であると判定された場合、液処理工程(ステップS103)における基板の上面を濡らす工程(ステップS206)が行われ、次に搬送工程(ステップS105)が行われる。これにより、無駄な処理液の使用を抑制することができる。
【0160】
また、実施形態に係る基板処理方法において、液処理工程(ステップS103)は、基板(ウェハW)の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、基板(ウェハW)への処理液の供給を所与の時間継続して行う。そして、所与の時間以上の時間が経過した場合は、基板(ウェハW)への処理液の供給を中止する。これにより、無駄な処理液の使用を抑制することができる。
【0161】
また、実施形態に係る基板処理方法において、液処理工程(ステップS103)は、基板(ウェハW)の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、基板(ウェハW)への処理液の供給を断続的に継続する。これにより、液供給処理におけるコストを低減することができる。
【0162】
また、実施形態に係る基板処理方法において、基板(ウェハW)への処理液の供給を断続的に継続する場合、基板(ウェハW)への処理液の供給が中断される時間は、基板の上面から揮発する量が基板の上面における液膜の量よりも少なくなる時間である。これにより、ウェハW上面の乾燥をより確実に防止することができる。
【0163】
また、実施形態に係る基板処理方法において、搬送工程(ステップS105)は、複数の超臨界処理部(乾燥ユニット18)のうち、搬送が可能であると判定された超臨界処理部(乾燥ユニット18)を選択して行われる。これにより、ウェハWの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0164】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、液処理部(液処理ユニット17)と、超臨界処理部(乾燥ユニット18)と、搬送部(搬送装置16)と、制御部61と、を備える。液処理部(液処理ユニット17)は、基板(ウェハW)に対して液処理を行う。超臨界処理部(乾燥ユニット18)は、基板(ウェハW)を超臨界流体で処理する。搬送部(搬送装置16)は、液処理部(液処理ユニット17)から超臨界処理部(乾燥ユニット18)に基板(ウェハW)を搬送する。制御部61は、各部を制御する。また、制御部61は、液処理部(液処理ユニット17)において基板(ウェハW)の上面を濡らし、搬送部(搬送装置16)によって上面が濡れた基板(ウェハW)を液処理部(液処理ユニット17)から超臨界処理部(乾燥ユニット18)に搬送する。また、制御部61は、超臨界処理部(乾燥ユニット18)において上面が濡れた基板(ウェハW)を超臨界流体で処理する。また、制御部61は、基板(ウェハW)の超臨界処理部(乾燥ユニット18)への搬送が不可であると判定された場合、液処理部(液処理ユニット17)において基板(ウェハW)への処理液の供給を継続する。これにより、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0165】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、搬送装置16が1つ設けられる基板処理システム1について示したが、搬送装置16の数は1つに限られない。たとえば、複数ペアの液処理ユニット17および乾燥ユニット18ごとに共通に設けられれば、搬送装置16は複数であってもよい。
【0166】
また、上記の実施形態では、1つのキャリアCごとに1つのプロジェクトが設定されて、かかるプロジェクト単位で複数のウェハWを処理する例について示したが、本開示はかかる例に限られない。たとえば、複数のキャリアCに対して1つのプロジェクトが設定されてもよいし、1つのキャリアCに対して複数のプロジェクトが設定されてもよい。
【0167】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0168】
W ウェハ(基板の一例)
1 基板処理システム(基板処理装置の一例)
16 搬送装置(搬送部の一例)
17 液処理ユニット(液処理部の一例)
18 乾燥ユニット(超臨界処理部の一例)
61 制御部