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特開2024-174046硬化膜付き基板の製造方法、硬化膜付き基板、感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜および硬化膜または硬化膜付き基板を有する表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174046
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】硬化膜付き基板の製造方法、硬化膜付き基板、感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜および硬化膜または硬化膜付き基板を有する表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241206BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20241206BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/027
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166760
(22)【出願日】2024-09-25
(62)【分割の表示】P 2020045162の分割
【原出願日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2019068554
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019068571
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新名 将司
(72)【発明者】
【氏名】今野 高志
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠樹
(57)【要約】
【課題】硬化膜付き基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の硬化膜付き基板の製造方法は、基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法であって、平均粒径が100~700nmである無機粒子を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、加熱して所定の硬化膜パターンを形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法であって、平均粒径が100~700nmである無機粒子を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、加熱して所定の硬化膜パターンを形成する、硬化膜付き基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化膜付き基板の製造方法、硬化膜付き基板、感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜および硬化膜または硬化膜付き基板を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、200℃以上の高温で使用可能なガラス基板やシリコンウエハーなどの耐熱性の高い基板だけでなく、デバイスのフレキシブル化やワンチップ化を目的として、耐熱性の低いPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などのプラスチック基板(プラスチックフィルム、樹脂製フィルム)、または有機ELデバイス、有機TFTなどの有機デバイス付き基板上に、光散乱機能を有する感光性樹脂組成物を用いたパターンを形成する検討がなされている。
【0003】
ここで、高温焼成によりパターンを形成するための感光性樹脂組成物を、基板の耐熱性に合わせて低温焼成を採用すると、プラスチック基板および有機デバイス付き基板に形成したパターンの膜強度が不十分となり、その後の工程(例えば、レジスト塗布時の耐溶剤性やアルカリ現像時の耐アルカリ性など)において、塗膜の膜減り、表面荒れ、パターン剥離等が生じやすいという不具合があった。
【0004】
そこで、高温および低温焼成の両方に用いることができる光散乱性を有する感光性樹脂組成物が求められている。
【0005】
たとえば、特許文献1には、TiOフィラー、光重合性(メタ)アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤から構成される、光散乱機能を有するパターンを形成するための感光性組成物が開示されている。上記感光性組成物は、表示装置に用いるのに好適なフォトリソグラフィー特性を有し、かつ、TiOフィラーによって青色光を入射角よりも広角度に散乱させる光散乱性を有するとされている。
【0006】
また、特許文献2には、少なくとも1種の樹脂(A)をバインダー材料として含み、光散乱粒子(B)としてフッ素を含み、金属酸化物微粒子(C)としてZrOおよびTiOからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含む、光散乱層用樹脂組成物が開示されている。上記光散乱層用樹脂組成物は、光取り出し効率向上率の波長依存性が小さく、広い波長領域で用いることができる光散乱層用樹脂組成物を提供することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-156304号公報
【特許文献2】特開2015-022794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献1に記載の感光性組成物は耐溶剤性が低く、特許文献2に記載の光散乱層用樹脂組成物は所望する光散乱性を有するパターンを得ることができなかった。また、特許文献1に記載の感光性組成物も特許文献2に記載の光散乱層用樹脂組成物も、硬化膜の密着性や直線再現性などを十分に満たしてはいなかった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、硬化膜付き基板の製造方法、硬化膜付き基板、基板の耐熱温度にかかわらず、直接基板に光散乱機能を有するとともに、密着性、直線性、耐溶剤性等に優れた硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、および硬化膜および硬化膜付き基板を有する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の硬化膜付き基板の製造方法は、基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法であって、平均粒径が100~700nmである無機粒子を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、加熱して所定の硬化膜パターンを形成する。
【0011】
本発明の硬化膜は、上記感光性樹脂組成物を硬化してなる。
【0012】
本発明の硬化膜付き基板は、上記硬化膜を有する。
【0013】
本発明の表示装置は、上記硬化膜または上記硬化膜付き基板を有する。
【0014】
本発明の硬化膜付き基板の製造方法は、耐熱温度が150℃以下の基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法であって、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、150℃以下で加熱して所定の硬化膜パターンを形成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、硬化膜付き基板の製造方法、硬化膜付き基板、基板の耐熱温度にかかわらず、直接基板に光散乱機能を有するとともに、密着性、直線性、耐溶剤性等に優れた硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、および硬化膜および硬化膜付き基板を有する表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本発明において、各成分の含有量について、小数第一位が0であるときは、小数点以下の表記を省略することがある。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂を含む。アルカリ現像性を付与するための酸価を有し、(B)成分の光重合性モノマーと組み合わせて適正な光硬化性を具備することができる樹脂であれば、特に限定なく用いることができる。それらの樹脂の中でも、一般的に、芳香族性の高い骨格を持つ樹脂は脂肪族系の樹脂よりも比重が大きくなる傾向にあり、同一の樹脂濃度の溶液とした場合に樹脂溶液の比重を大きくすることができる。これにより樹脂よりも比重が大きい金属酸化物微粒子の分散安定性を増す方向にできるものと推察される。したがって、一般式(1)で示す樹脂を用いることにより金属酸化物微粒子の十分な分散安定性を具備する感光性樹脂組成物を得ることができる。それらの中でも、一般式(1)に表されるXがフルオレン-9,9-ジイル基である、多環芳香族骨格を有する不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂(カルド樹脂)を用いた場合はその効果が大きくなるので、カルド樹脂中では金属酸化物微粒子の分散安定性が向上するものとみられる。このことにより、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜の光散乱性を高めることができる。また、カルド樹脂はフォトリソグラフィーによりパターン形成する場合に現像時の密着性に優れる特性を有しており、金属酸化物微粒子の充填材を共存させた場合にもこの特性を有効に生かすことができるものと推察される。
【0018】
本発明の感光性樹脂組成物における(A)成分の質量は、固形分の全質量に対して20~70質量%であることが好ましい。
【0019】
ここで、本発明の感光性樹脂組成物が150℃以下の低温で焼成する組成物である場合には、(A)成分の含有量は、固形分の全質量に対して20~60質量%であることがより好ましく、カルド樹脂を用いる場合は35~55質量%であることがより好ましい。また、その他アクリル共重合体などの樹脂を用いる場合は20~50質量%であることがより好ましい。(A)成分の質量が、固形分の全質量に対して20質量%以上であると金属酸化物微粒子を含有していてもアルカリ現像時に安定してパターンを形成することができる溶解現像となり、所望のパターンを残渣なく得るための感光性樹脂組成物の配合設計が可能になり、(A)成分の質量が、固形分の全質量に対して60質量%以下であると、硬化膜の精細性を向上させることができる。また、アルカリ現像時の生産プロセス適正が向上し、光硬化性を十分に担保することができる。
【0020】
また、本発明の感光性樹脂組成物が150℃超の高温で焼成する組成物である場合には、(A)成分の含有量は、固形分の全質量に対して35~70質量%であることが好ましく、カルド樹脂を用いる場合は45~60質量%であることがより好ましい。その他アクリル共重合体系などの樹脂を用いる場合は35~55質量%以下であることが好ましい。(A)成分の含有量が35質量%以上であると金属酸化物微粒子を含有していてもアルカリ現像時に溶解現像となり所望のパターンを残渣なく得ることができ、(A)成分の含有量が70質量%以下であると硬化膜の精細性を向上させることができる。また、アルカリ現像時の生産プロセス適正が向上し、光硬化性を十分に担保することができる。
【0021】
本発明の一般式(1)で表される1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A)は、1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a-1)と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物に対して、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)、およびテトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)を反応させることにより得られる。
【0022】
【化1】
【0023】
(式(1)中、R、R2、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、Rは、水素原子またはメチル基であり、Xは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合であり、Yは4価のカルボン酸残基であり、Zは、それぞれ独立して、水素原子または一般式(2)で表される置換基である。ただし、Zのうち1個以上は一般式(2)で表される置換基であり、nは1~20の整数である。)
【0024】
【化2】
【0025】
(ただし、Wは2価または3価のカルボン酸残基であり、mは1または2である。)
【0026】
一般式(1)で表される、1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、単に、「一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂」ともいう)の製造方法について詳細に説明する。
【0027】
先ず、一般式(3)で表される1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a-1)(以下、単に「一般式(3)で表されるエポキシ化合物(a-1)」ともいう)に不飽和基含有モノカルボン酸(例えば(メタ)アクリル酸)を反応させ、エポキシ(メタ)アクリレートを得る。
【0028】
【化3】
【0029】
(式(3)中、R、R2、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、Xは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合である。)
【0030】
一般式(3)で表されるエポキシ化合物(a-1)は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られる2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物である。
【0031】
エポキシ化合物(a-1)の原料として使用されるビスフェノール類の例には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン、4,4’-ビフェノール、3,3’-ビフェノール等が含まれる。これらは、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記不飽和基含有モノカルボン酸化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸以外に、アクリル酸やメタクリル酸に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸一無水物を反応させた化合物などが含まれる。
【0033】
一般式(3)で表されるエポキシ化合物(a-1)と(メタ)アクリル酸との反応は、公知の方法を使用することができる。たとえば、特開平4-355450号公報には、2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物1モルに対し、約2モルの(メタ)アクリル酸を使用することにより、重合性不飽和基を含有するジオールが得られることが記載されている。本発明において、上記反応で得られる化合物は、重合性不飽和基を含有するジオールであり、一般式(4)で表される重合性不飽和基を含有するジオール(d)(以下、単に「一般式(4)で表されるジオール(d)」ともいう)である。
【0034】
【化4】
【0035】
(式(4)中、R、R2、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、Rは、水素原子またはメチル基であり、Xは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合である。)
【0036】
一般式(4)で表されるジオール(d)の合成、およびそれに続く多価カルボン酸またはその無水物の付加反応、さらにカルボキシ基との反応性を有する重合性不飽和基を有する単官能エポキシ化合物等を反応させて、一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂の製造においては、通常、溶媒中で必要に応じて触媒を用いて反応を行う。
【0037】
溶媒の例には、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒;ジグライム、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の高沸点のエーテル系もしくはエステル系の溶媒;シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒等が含まれる。なお、使用する溶媒、触媒等の反応条件に関しては特に制限されないが、例えば、水酸基を持たず、反応温度より高い沸点を有する溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
【0038】
また、カルボキシ基とエポキシ基との反応においては触媒を使用することが好ましく、特開平9-325494号公報には、テトラエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類等が記載されている。
【0039】
次に、一般式(3)で表されるエポキシ化合物(a-1)と(メタ)アクリル酸との反応で得られる一般式(4)で表されるジオール(d)と、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸無水物(b)、およびテトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)とを反応させて、一般式(1)で表される1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
【0040】
【化5】
【0041】
(式(1)中、R、R2、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、Rは、水素原子またはメチル基であり、Xは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合であり、Yは4価のカルボン酸残基であり、Zは、それぞれ独立して、水素原子または一般式(2)で表される置換基である。ただし、Zのうち1個以上は一般式(2)で表される置換基であり、nは1~20の整数である。)
【0042】
【化6】
【0043】
(式(2)中、Wは2価または3価のカルボン酸残基であり、mは1または2である。)
【0044】
一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂を合成するために使用される酸成分は、一般式(4)で表されるジオール(d)分子中の水酸基と反応し得る多価の酸成分であり、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)とテトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)とを併用することが必要である。上記酸成分のカルボン酸残基は、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基のいずれでもよい。また、これらのカルボン酸残基には-O-、-S-、カルボニル基等のヘテロ元素を含む結合を含んでいてもよい。
【0045】
ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)としては、鎖式炭化水素ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、脂環式炭化水素ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、芳香族炭化水素ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、またはそれらの酸一無水物等を用いることができる。
【0046】
鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の例には、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の酸一無水物、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物等が含まれる。また、脂環式ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の例には、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルナンジカルボン酸等の酸一無水物、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物等が含まれる。また、芳香族ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の例には、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の酸一無水物、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物が含まれる。
【0047】
ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の中では、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、フタル酸、トリメリット酸が好ましく、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸であることがより好ましい。また、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸においては、それらの酸一無水物を用いることが好ましい。上述したジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
また、テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)としては、鎖式炭化水素テトラカルボン酸、脂環式炭化水素テトラカルボン酸、芳香族炭化水素テトラカルボン酸、またはそれらの酸二無水物等を用いることができる。
【0049】
鎖式炭化水素テトラカルボン酸の例には、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸、および脂環式炭化水素基、不飽和炭化水素基等の置換基が導入された鎖式炭化水素テトラカルボン酸等が含まれる。また、上記脂環式テトラカルボン酸の例には、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸、および鎖式炭化水素基、不飽和炭化水素基等の置換基が導入された脂環式テトラカルボン酸等が含まれる。また、芳香族テトラカルボン酸の例には、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等が含まれる。
【0050】
テトラカルボン酸またはその酸二無水物の中では、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸であることが好ましく、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸であることがより好ましい。また、テトラカルボン酸またはその酸二無水物においては、その酸二無水物を用いることが好ましい。なお、上述したテトラカルボン酸またはその酸二無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
一般式(4)で表されるジオール(d)と酸成分(b)および(c)との反応については、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。たとえば、特開平9-325494号公報には、反応温度が90~140℃でエポキシ(メタ)アクリレートとテトラカルボン酸二無水物を反応させる方法が記載されている。
【0052】
ここで、化合物の末端がカルボキシ基となるように、式(4)で表されるジオール(d)、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)、テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)とのモル比が(d):(b):(c)=1:0.01~1.0:0.2~1.0となるように反応させることが好ましい。
【0053】
たとえば、酸一無水物(b)、酸二無水物(c)を用いる場合には、式(4)で表されるジオール(d)に対する酸成分の量〔(b)/2+(c)〕のモル比[(d)/〔(b)/2+(c)〕]が0.5~1.0となるように反応させることが好ましい。ここで、モル比が1.0以下である場合には、未反応の重合性不飽和基を含有するジオールの含有量を増大させることがないのでアルカリ可溶性樹脂組成物の経時安定性を高めることができる。一方、モル比が0.5を超える場合には、式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂の末端が酸無水物とならないので、未反応酸二無水物の含有量が増大することを抑制できることから、アルカリ可溶性樹脂組成物の経時安定性を高めることができる。なお、式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂の酸価、分子量を調整する目的で、(d)、(b)および(c)の各成分のモル比は、上述の範囲で任意に変更することができる。
【0054】
また、一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂の酸価の好ましい範囲は20~180mgKOH/gであることが好ましく、40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であることがより好ましく、80mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が20mgKOH/g以上である場合には、アルカリ現像時に残渣が残りにくくなり、180mgKOH/g以下である場合には、アルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎないので、剥離現像を抑制することができる。なお、酸価は、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めることができる。
【0055】
一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定(HLC-8220GPC、東ソー株式会社製)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1000~100000であり、2000~20000であることが好ましく、2000~6000であることがより好ましい。重量平均分子量が1000以上の場合には、アルカリ現像時のパターンの密着性の低下を抑制することができる。また、重量平均分子量が100000未満である場合には、塗布に好適な感光性樹脂組成物の溶液粘度に調整しやすく、アルカリ現像に時間を要しすぎることがない。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物(B)は少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーを含む。(B)成分は、硬化膜の密着性をより高くし、また、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性を高くして硬化物の直線再現性をより高くする。ただし、硬化膜を脆くしにくくし、かつ、組成物の酸値の低下を抑制してアルカリ現像液に対する未露光部の溶解性を高めて、硬化物の直線再現性をより高くするためには、(B)成分の量は多すぎないことが好ましい。
【0057】
ここで、本発明の感光性樹脂組成物が150℃以下の低温で焼成する組成物である場合には、(B)成分の含有量は、固形分の全質量に対して5~40質量%であることが好ましい。(A)成分としてカルド樹脂を用いる場合には、(B)成分の質量は、固形分の全質量に対して5~20質量%であることが好ましい。また、(A)成分としてその他アクリル共重合体の樹脂等を用いる場合には、(B)成分の質量は、固形分の全質量に対して10~35質量%であることが好ましい。
【0058】
また、本発明の感光性樹脂組成物が150℃超の高温で焼成する組成物である場合には、(B)成分の質量は、固形分の全質量に対して10~40質量%であることが好ましく、(A)成分としてカルド樹脂を用いる場合には、(B)成分の質量は、固形分の全質量に対して10~35質量%であることが好ましい。(A)成分としてその他アクリル共重合体の樹脂等を用いる場合には、(B)成分の質量は、固形分の全質量に対して20~40質量%であることが好ましい。
【0059】
(B)成分の質量を固形分の全質量に対して5~40質量%とすることにより、所望の特性を有する感光性樹脂組成物の配合設計が可能になり、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜の直線性および精細度を向上させることができる。
【0060】
(B)少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーの例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、エチレン性二重結合を有する化合物として(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマー等が含まれる。なお、これらは、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
上記エチレン性二重結合を有する化合物として(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマーの例には、多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基の中の炭素-炭素二重結合の一部に多価メルカプト化合物を付加して得られる樹枝状ポリマーが含まれる。具体的には、一般式(5)で表される多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基と一般式(6)で表される多価メルカプト化合物のチオール基とを反応させて得られる樹枝状ポリマーがある。
【0062】
【化7】
【0063】
(式(5)中、Rは水素原子またはメチル基であり、RはR(OH)のk個のヒドロキシル基の内l個のヒドロキシル基を式中のエステル結合に供与した残り部分である。好ましいR(OH)としては、炭素数2~8の非芳香族の直鎖または分枝鎖の炭化水素骨格に基づく多価アルコールであるか、当該多価アルコールの複数分子がアルコールの脱水縮合によりエーテル結合を介して連結してなる多価アルコールエーテルであるか、またはこれらの多価アルコールまたは多価アルコールエーテルとヒドロキシ酸とのエステルである。kおよびlは独立に2~20の整数であり、k≧lである。)
【0064】
【化8】
【0065】
(式(6)中、Rは単結合または2~6価のC1~C6の炭化水素基であり、pはRが単結合であるときは2であり、Rが2~6価の基であるときは2~6の整数である。)
【0066】
一般式(5)で表される多官能(メタ)アクリレートの例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アルコキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
一般式(6)で表される多価メルカプト化合物の例には、1,2-ジメルカプトエタン、1,3-ジメルカプトプロパン、1,4-ジメルカプトブタン、ビスジメルカプトエタンチオール、トリメチロールプロパントリ(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリ(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メルカプトプロピオネート)などが含まれる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
また、上記樹枝状ポリマーの合成に際しては、必要に応じて重合防止剤を加えてよい。重合防止剤の例には、ヒドロキノン系化合物、フェノール系化合物が含まれる。これらの具体例には、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、p-tert-ブチルカテコール、クレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール(BHT)などが含まれる。
【0069】
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)エポキシ化合物を含む。(C)成分の含有量は、固形分に対して8~24質量%であることが好ましい。感光性樹脂組成物が十分な量の(C)成分を含むと、硬化物の耐溶剤性を十分に高めることができる。ただし、硬化物の密着性および直線再現性を十分に高めるためには、(C)成分の量は多すぎないことが好ましい。
【0070】
たとえば、本発明の感光性樹脂組成物が150℃以下の低温で焼成する組成物であるときには、感光性樹脂組成物はより多量の(C)成分を含むことが好ましい。このときの(C)成分の質量は、固形分に対して8~24質量%であることが好ましく、固形分に対して12~24質量%であることがより好ましい。
【0071】
また、本発明の感光性樹脂組成物が150℃超の高温で焼成する組成物であるときには、(C)成分が十分に硬化しやすいため、感光性樹脂組成物はより少量の(C)成分を含むことが好ましい。このときの(C)成分の質量は、固形分に対して8~20質量%であることが好ましく、固形分に対して8~18質量%であることがより好ましい。
【0072】
(C)エポキシ化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリル基を有するモノマーの共重合体、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートに代表される脂環式エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
【0073】
(C)成分のエポキシ化合物のエポキシ当量は100~300g/eqであることが好ましく、100~200g/eqであることがより好ましい。また、(C)成分のエポキシ化合物の数平均分子量(Mn)は100~5000であることが好ましい。なお、これらの化合物は、その1種類の化合物のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
なお、(C)成分のエポキシ化合物のエポキシ当量は、樹脂溶液をジオキサンに溶解させた後に臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液を加え、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-過塩素酸溶液で滴定して求めることができる。また、(C)成分のエポキシ化合物の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定(HLC-8220GPC、東ソー株式会社製)を用いてポリスチレン換算として求めることができる。
【0075】
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)成分として、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。上記金属酸化物微粒子としては、平均粒径が100~700nmである無機粒子であることが好ましく、平均粒径が100~700nmであるTiOであることがより好ましい。
【0076】
上記TiOは、形成された硬化膜(塗膜)が光散乱機能を発揮することができれば粒径や形状は、特に限定されない。TiOの平均粒径は、100~700nmであり、200~600nmであることがより好ましい。TiOの平均粒径が100nm以上であると硬化物による光散乱性を十分に高めることができ、TiOの平均粒径が700nm以下であると硬化物の密着性および直線再現性を十分に高めることができる。
【0077】
なお、上記TiOの平均粒径は、動的光散乱法の粒度分布計「粒径アナライザーFPAR-1000」(大塚電子株式会社製)を用い、キュムラント法により求めることができる。
【0078】
また、(D)成分として、平均粒径が100~700nmであるTiOの代わりに、屈折率が1.9~2.3である金属酸化物微粒子を含んでもよい。上記屈折率が1.9~2.3である金属酸化物微粒子は、形成された硬化膜(塗膜)が光散乱機能を発揮することができれば粒径や形状は、特に限定されない。
【0079】
上記屈折率が1.9~2.3である金属酸化物微粒子の例には、ZnO、ZrOなどが含まれる。一般的に金属酸化物の屈折率が高い程光散乱性は高くなるが、一方で光散乱性が強すぎる場合は直進光の透過率が低くなる。なお、上記金属酸化物微粒子の屈折率は、アッベ屈折率計で589nmの波長の光で測定することができる。
【0080】
なお、上記ZnO、ZrOの平均粒径は、150~500nmであることが好ましく、150~400nmであることがより好ましい。金属酸化物の平均粒径が150nm以上であると硬化膜による光散乱性を十分に高めることができ、金属酸化物の平均粒径が500nm以下であると硬化膜の密着性および直線再現性を十分に高めることができる。
【0081】
なお、上記金属酸化物微粒子の平均粒径は、動的光散乱法の粒度分布計「粒径アナライザーFPAR-1000」を用い、キュムラント法により求めることができる。
【0082】
(D)成分は、硬化膜の光散乱性を高めることができる。ただし、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる(D)成分の量が多すぎると、硬化膜の密着性、直線再現性、精細度および耐溶剤性が低下し、かつ透過膜の光透過性も低下してしまう。そのため、(D)成分の質量は、固形分の全質量に対して1質量%以上35質量%以下とすることが好ましい。
【0083】
また、本発明の感光性樹脂組成物が150℃以下の低温で焼成する組成物である場合には、(D)成分の含有量は、固形分の全質量に対して1質量%以上35質量%未満であることが好ましく、2質量%以上25質量%未満であることがより好ましく、2質量%以上20質量%未満であることがさらに好ましい。
【0084】
一方で、本発明の感光性樹脂組成物が150℃超の高温で焼成する組成物である場合には、(D)成分の含有量は、固形分の全質量に対して1質量%以上35質量%未満であることが好ましく、2質量%以上25質量%未満であることがより好ましい。
【0085】
本発明の感光性樹脂組成物は、(E)光重合開始剤を含む。
【0086】
(E)成分の例には、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2、4,5-トリアリールビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類;2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾ-ル、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルジアゾール化合物類;2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル-s-トリアジン系化合物類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾア-ト、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセタート等のO-アシルオキシム系化合物類;ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2-イソプロピルチオキサンソン等のイオウ化合物;2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンなどが含まれる。なお、これらの光重合開始剤は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0087】
特に、金属酸化物の添加量が多い場合や光重合開始剤の添加量を少なくしたい場合、あるいは150℃といった高温での加熱硬化プロセスを取れないため光硬化をより有効に実施したい場合等、高感度の光重合開始剤を必要とする場合には、O-アシルオキシム系化合物類(ケトオキシムを含む)を用いることが好ましい。それらの中でも、一般式(7)や一般式(8)で表される化合物群はより高感度の光重合開始剤として適用することができる。それらの中でも、低温硬化対応で光硬化をより有効に実施したい場合には、365nmにおけるモル吸光係数が10000L/mol・cm以上であるO-アシルオキシム系光重合開始剤を用いることがより好ましい。なお、本発明でいう「光重合開始剤」とは、増感剤を含む意味で使用される。
【0088】
【化9】
【0089】
(式(7)中、R10、R11は、それぞれ独立に、炭素数1~15のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~20のアリールアルキル基または炭素数4~12の複素環基を表し、R12は炭素数1~15のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~20のアリールアルキル基を表す。ここで、アルキル基およびアリール基は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルカノイル基、ハロゲンで置換されていてもよく、アルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合を含んでいてもよい。また、アルキル基は直鎖、分岐、または環状のいずれのアルキル基であってもよい。)
【0090】
【化10】
【0091】
(式(8)中、R13およびR14はそれぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるか、炭素数4~10のシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基もしくはアルキルシクロアルキル基であるか、または炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。R15は独立して炭素数2~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアルケニル基であり、当該アルキル基またはアルケニル基中の-CH-基の一部が-O-基で置換されていてもよい。さらに、これらR13~R15の基中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0092】
ここで、(E)成分の質量は、(A)成分と(B)成分の全質量に対して0.1~30質量%であることが好ましく、1~25質量%であることが好ましい。(E)成分の質量が、(A)成分と(B)成分の全質量に対して0.1質量%以上である場合には、適度な光重合の速度を有するので、感度の低下を抑制できる。また、(E)成分の質量が、(A)成分と(B)成分の全質量に対して30質量%以下である場合には、組成物の露光に対する感度が高すぎないため、マスクに対して忠実な線幅を再現できるとともにパターンエッジをシャープにすることができる。
【0093】
本発明の感光性樹脂組成物は、(F)溶剤を含む。
【0094】
(F)感光性樹脂組成物に含まれる溶剤の例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-ヒドロキシ-2-ブタノン、ジアセトンアルコール等のアルコール類;α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-ブチルアセテート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等が含まれる。これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。これらの溶剤は、塗布性等の必要特性とするためにこれらを単独または2種以上を併用してもよい。
【0095】
(F)成分の含有量は目標とする粘度によって変化するが、感光性樹脂組成物溶液中において60~90質量%であることが好ましい。
【0096】
本発明の感光性樹脂組成物は、(G)エポキシ化合物の硬化剤および/または硬化促進剤を含んでいてもよい。本発明の感光性樹脂組成物が150℃以下の低温で焼成する組成物であるときは(C)成分の硬化が不足しやすいため、感光性樹脂組成物は、(C)成分を十分に硬化させるために(G)成分を含むことが好ましい。
【0097】
(G)成分であるエポキシ化合物の硬化剤の例には、アミン系化合物、多価カルボン酸化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等が含まれる。本発明においては多価カルボン酸化合物を好ましく用いることができる。
【0098】
多価カルボン酸化合物の例には、多価カルボン酸、多価カルボン酸の無水物、および多価カルボン酸の熱分解性エステルが含まれる。多価カルボン酸とは1分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物をいい、例えば、コハク酸、マレイン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキセン-4,5-ジカルボン酸、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、フタル酸、3,6-ジヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸等が含まれる。多価カルボン酸の無水物の例には、上記化合物の酸無水物が含まれる。これは分子間酸無水物でもよいが、一般には分子内で閉環した酸無水物が用いられる。多価カルボン酸の熱分解性エステルの例には、上記化合物のt-ブチルエステル、1-(アルキルオキシ)エチルエステル、1-(アルキルスルファニル)エチルエステル(ただし、アルキルは炭素数1~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基は分岐構造や環構造を有していてもよく、任意の置換基で置換されていてもよい)等が含まれる。また、多価カルボン酸化合物としては2つ以上のカルボキシ基を有する重合体または共重合体も用いることができ、そのカルボキシ基は無水物または熱分解性エステルであってもよい。
【0099】
また、上記重合体または共重合体の例には、(メタ)アクリル酸を構成成分として含む重合体または共重合体、無水マレイン酸を構成成分として含む共重合体、テトラカルボン酸二無水物をジアミンやジオールと反応させて酸無水物を開環させた化合物等が含まれる。これらのうち、フタル酸、3,6-ジヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸の各無水物を用いることが好ましい。多価カルボン酸化合物をエポキシ化合物の硬化剤として用いる場合の配合比率としては、エポキシ化合物のエポキシ基の1モルに対して、多価カルボン酸化合物のカルボキシ基が0.5~1.5モル、より好ましくは0.6~1.2モルになるように配合するのがよい。
【0100】
(G)成分であるエポキシ化合物の硬化促進剤としては、エポキシ化合物の硬化促進剤、硬化触媒、潜在性硬化剤等として知られる公知の化合物を利用することができる。エポキシ化合物の硬化促進剤の例には、三級アミン、四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、イミダゾール類等が含まれる。上記硬化促進剤の中では、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンもしくは1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンまたはそれらの塩であることが好ましい。
【0101】
上記硬化促進剤の添加量は、エポキシ化合物100質量部に対して0.05質量部以上2質量部以下であることが好ましい。硬化促進剤の添加量を0.05質量部以上とすると、熱硬化後の樹脂膜パターンの耐薬品性の発現状況等により添加量を調整することができる。また、硬化促進剤の添加量を2質量部以下とするとエポキシ化合物の硬化速度を適正な範囲とすることができる。
【0102】
本発明の感光性樹脂組成物が150℃以下の低温で焼成する組成物である場合には、(C)成分および(G)成分の合計質量は、固形分の全質量に対して15質量%以上35.質量%以下であることが好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。(C)成分および(G)成分の合計質量が、固形分の全質量に対して15質量%以上であると、150℃以下の低温で硬化させた際の硬化性が十分に担保される。また、(C)成分および(G)成分の合計質量が、固形分の全質量に対して35質量%以下であると、アルカリ現像時のパターニング性や直線性および耐溶剤性に悪影響を及ぼすことなく硬化性を向上させることができる。
【0103】
本発明の感光性樹脂組成物が150℃超の高温で焼成する組成物である場合には、(G)成分はなくても良く、(C)成分および(G)成分の合計質量は、固形分の全質量に対して8~25質量%であることが好ましい。
【0104】
次に、本発明の複数の硬化膜付き基板を製造する方法について説明する。本発明の硬化膜(塗膜)は、本発明の感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。
【0105】
本発明の基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法は、平均粒径が100~700nmである無機粒子を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、加熱して所定の硬化膜パターンを形成する、製造方法である。
【0106】
本発明の耐熱温度が150℃以下の基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法は、上述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、150℃以下で加熱して所定の硬化膜パターンを形成する、製造方法である。
【0107】
本発明の耐熱温度が150℃超の基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法は、上述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、150℃超で加熱して所定の硬化膜パターンを形成する、製造方法である。
【0108】
本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する方法は、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度および加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば60~110℃の温度(基板の耐熱温度を超えないように設定)で1~3分間行われる。
【0109】
プリベーク後に行われる露光は、紫外線露光装置によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分のレジストのみを感光させる。露光装置およびその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、塗膜中の感光性樹脂組成物を光硬化させる。好ましくは、波長365nmの光を一定量照射することにより光硬化させる。
【0110】
露光に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、放射線の波長の範囲は、250~450nmであることが好ましい。また、このアルカリ現像に適した現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の水溶液を用いることができる。これらの現像液は、樹脂層の特性に合わせて適宜選択できるが、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。現像温度は、20~35℃であることが好ましく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗される。現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0111】
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分のレジストを除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05~3.0質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23~28℃の温度で現像することが好ましく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。
【0112】
耐熱温度が150℃以下の基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成している場合には、現像後、80~140℃の温度(基板の耐熱温度を超えないように設定)および20~90分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われることが好ましく、温度90~120℃、加熱時間30~60分の条件で行われることがより好ましい。上記ポストベークは、パターニングされた硬化膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされた硬化膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
【0113】
耐熱温度が150℃超の基板上に光散乱性を有する硬化膜パターンを形成している場合には、現像後、80~250℃の温度(基板の耐熱温度を超えないように設定)および20~90分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われることが好ましく、温度180~230℃、加熱時間30~60分の条件で行われることがより好ましい。上記ポストベークは、パターニングされた硬化膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされた硬化膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
【0114】
上記方法により、上述した(D)成分として平均粒径が100~700nmであるTiOを含む感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、および可視光領域の透過率が70%以上であり、硬化膜付基板に対して垂直に白色光を照射したとき、散乱せずに直進した直接透過光の角度を0°とした場合、60°における散乱光の強度が5°おける散乱光の強度に対して20%以上である硬化膜付基板を得ることができる。よって、光散乱層用として表示装置に好適に用いることができる。
【0115】
上記方法により、上述した(D)成分として屈折率が1.9~2.3の金属酸化物(ZnO、ZrO)を含む感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、および可視光領域の透過率が80%の角度を0°とした場合、45°における散乱光の強度が5°おける散乱光の強度に対して15%以上である硬化膜付基板を得ることができる。よって、光散乱層用として表示装置に好適に用いることができる。
【実施例0116】
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0117】
まず、一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂の合成例から説明するが、これらの合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。各種測定機器について、同一の機種を使用した場合には、2か所目から機器メーカー名を省略している。また、実施例1および実施例2において、測定用硬化膜付き基板の作製に使用しているガラス基板は、全て同じ処理を施したガラス基板を使用している。
【0118】
[固形分濃度]
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W(g)〕に含浸させて秤量し〔W(g)〕、160℃にて2時間加熱した後の重量〔W(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W-W)/(W-W
【0119】
[エポキシ当量]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させた後に臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液を加え、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-過塩素酸溶液で滴定して求めた。
【0120】
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置「COM-1600」を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
【0121】
[分子量]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuperH-2000(2本)+TSKgelSuperH-3000(1本)+TSKgelSuperH-4000(1本)+TSKgelSuperH-5000(1本)(東ソー株式会社製)、温度:40℃、速度:0.6ml/min)にて測定し、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS-オリゴマーキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0122】
[平均粒径]
動的光散乱法の粒度分布計「粒径アナライザーFPAR-1000」を用い、キュムラント法により求めた。
【0123】
また、合成例で使用する略号は次のとおりである。
DCPMA :ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
St :スチレン
AA :アクリル酸
SA :無水コハク酸
BPFE :ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物)
BPDA :3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA :テトラヒドロ無水フタル酸
PTMA :ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)
DPHA :ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物
TEAB :臭化テトラエチルアンモニウム
AIBN :アゾビスイソブチロニトリル
TDMAMP:トリスジメチルアミノメチルフェノール
HQ :ハイドロキノン
TEA :トリエチルアミン
BzDMA :ベンジルジメチルアミン
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0124】
[合成例1]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にBPFE(114.4g、0.23モル)、AA(33.2g、0.46モル)、PGMEA(157g)及びTEAB(0.48g)を仕込み、100~105℃で20時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA(35.3g、0.12モル)、THPA(18.3g、0.12モル)を仕込み、120~125℃で6時間撹拌し、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂(A)-1を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は56.1質量%、酸価(固形分換算)は103mgKOH/g、GPC分析による重量平均分子量(Mw)は3600であった。
【0125】
[合成例2]
還留冷却器付き1Lの四つ口フラスコ中に、PGMEA(300g)を入れ、フラスコ系内を窒素置換した後120℃に昇温した。このフラスコ中にモノマー混合物(DCPMA(77.1g、0.35モル)、GMA(49.8g、0.35モル)、St(31.2g、0.30モル)にAIBN(10g)を溶解した混合物を滴下ロートから2時間かけて滴下し、さらに120℃で2時間撹拌し、共重合体溶液を得た。
【0126】
次いで、フラスコ系内を空気に置換した後、得られた共重合体溶液にAA(24.0g(グリシジル基の95%))、TDMAMP(0.8g)およびHQ(0.15g)を添加し、120℃で6時間撹拌し、重合性不飽和基含有共重合体溶液を得た。さらに、得られた重合性不飽和基含有共重合体溶液にSA(30.0g(AA添加モル数の90%))、TEA(0.5g)を加え120℃で4時間反応させ、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性共重合体樹脂溶液(A)-2を得た。樹脂溶液の固形分濃度は41.7質量%であり、酸価(固形分換算)は76mgKOH/gであり、GPC分析による重量平均分子量(Mw)は5300であった。
【0127】
[合成例3]
1Lの4つ口フラスコ内に、PTMA(20g、メルカプト基0.19モル)、DPHA(212g、アクリル基2.12モル)、PGMEA(58g)、HQ(0.1g)、およびBzDMA(0.01g)を加え、60℃で12時間反応させて、樹枝状ポリマー溶液(B)-3(固形分濃度:80質量%)を得た。ヨードメトリー法にて、得られた樹枝状ポリマーのチオール基の消失を確認した。得られた樹枝状ポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。
【0128】
表1、2、4、5、7、8、10、11に示される各略号は次のとおりである。
【0129】
(重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂)
(A)-1:上記合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.1質量%)
(A)-2:上記合成例2で得られた樹脂溶液(固形分濃度41.7質量%)
【0130】
(光重合性モノマー)
(B)-1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物(DPHA(アクリル当量96~115)、日本化薬株式会社製)
(B)-2:ペンタエリスリトールトリアクリレートとテトラアクリレートとの混合物(M-450(アクリル当量88)、東亜合成株式会社製)
(B)-3:上記合成例3で得られた樹枝状ポリマー
【0131】
(エポキシ化合物)
(C)-1:3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸(3’,4’-エポキシシクロヘキシル)メチル(セロキサイド2021P(エポキシ当量135)、株式会社ダイセル製)
(C)-2:2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(EHPE3150(エポキシ当量180)、株式会社ダイセル製)
(C)-3:ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(エポリードGT401(エポキシ当量220)、株式会社ダイセル製)
【0132】
[金属酸化物の分散液]
(チタニア分散液)
(D)-1:チタニア分散液(平均粒径50nm)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のチタニア分散体
(D)-2:チタニア分散液(平均粒径120nm)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のチタニア分散体
(D)-3:チタニア分散液(平均粒径270nm)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のチタニア分散体
(D)-4:チタニア分散液(平均粒径410nm)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のチタニア分散体
(D)-5:チタニア分散液(平均粒径620nm)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のチタニア分散体
(D)-6:チタニア分散液(平均粒径970nm)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のチタニア分散体
【0133】
(ZnO分散液及びZrO分散液)
(D)-7:ZnO分散液(平均粒径200nm、屈折率2.0)濃度20質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のZnO分散体
(D)-8:ZnO分散液(平均粒径350nm、屈折率2.0)濃度20質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のZnO分散体
(D)-9:ZrO分散液(平均粒径170nm、屈折率2.2)濃度20質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のZrO分散体
(D)-10:ZrO分散液(平均粒径240nm、屈折率2.2)濃度20質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のZrO分散体
(D)-11:TiO分散液(平均粒径400nm、屈折率2.5)濃度75質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のTiO分散体
(D)-12:Al分散液(平均粒径300nm、屈折率1.77)濃度20質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤のAl分散体
【0134】
(光重合開始剤)
(E):1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)(IrgacureOXE-01、BASF社製、「Irgacure」は同社の登録商標)
【0135】
(溶剤)
(F)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(F)-2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)
(F)-3:3メトキシ-3メチル-1-ブチルアセテート(MMBA)
(F)-4:3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP)
(F)-5:シクロヘキサノン(ANON)
【0136】
(硬化剤および硬化促進剤)
(G)-1:ベンゼン1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物
(G)-2:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU(R))を2.0質量%含有するPGMEA溶液、サンアプロ株式会社製)
【0137】
(その他添加剤)
(H)-1:界面活性剤(メガファックF-447、DIC株式会社製、「メガファック」は同社の登録商標)
(H)-2:界面活性剤(DOWSIL SH3775、ダウ社製、「DOWSIL」は同社の登録商標)
(H)-3:酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、Irganox1010、BASF社製、「Irganox」は同社の登録商標)
(H)-4:カップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
【0138】
[実施例1]
(D)成分として、チタニア分散液を用いた感光性樹脂組成物を実施例1~16および比較例1~4として調製した。その配合成分を表1、2に示す。表1、2の数値はすべて質量%を表す。なお、(B)-3は溶剤を含まない樹枝状ポリマーの量である。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
[評価]
実施例1~16、比較例1~4の感光性樹脂組成物を用いて、現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0142】
(現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表1、2に示した感光性樹脂組成物を、予め低圧水銀灯で波長254nmの照度1000mJ/cmの紫外線を照射して表面を洗浄した、125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、上記硬化膜(塗膜)上にライン/スペース=20μm/20μmのネガ型フォトマスクを被せ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0143】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.04%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から20秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて90℃で60分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例1~16、および比較例1~4に係る現像特性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0144】
上記現像特性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0145】
[現像特性評価]
(パターン密着性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡で観察した。なお、△以上を合格とした。
【0146】
(評価基準)
○:全く剥離していない
△:一部が剥離している
×:大部分が剥離している
【0147】
(パターン直線性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡で観察した。なお、△以上を合格とした。
【0148】
(評価基準)
○:パターンエッジ部分のギザつきが認められない
△:パターンエッジ部分のギザつきが一部に認められる
×:パターンエッジ部分のギザつきが大部分に認められる
【0149】
(パターン精細度)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の10~50μmマスクパターンを光学顕微鏡観察した。なお、△以上を合格とした。
【0150】
(評価基準)
◎:10~15μmのパターンが形成されている
○:16~24μmのパターンが形成されている
△:25~50μmのパターンが形成されている
×:パターンが形成されていない
【0151】
実施例1~16、比較例1~4の感光性樹脂組成物を用いて、耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0152】
(耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表1、2に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、上記硬化膜(塗膜)上にライン/スペース=20μm/20μmのネガ型フォトマスクを被せ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0153】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.05%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて60秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて90℃で60分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例1~16、および比較例1~4に係る耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0154】
上記耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0155】
[耐溶剤性評価]
(評価方法)
ガラス基板上に作製した硬化膜(塗膜)の表面をPGMEAに浸漬したウエスで連続して20往復擦った。なお、△以上を合格とした。
【0156】
(評価基準)
○:硬化膜(塗膜)の表面に溶解が見られず、傷も付いていない
△:硬化膜(塗膜)の表面のごく一部に溶解が見られ、ごく一部に傷も付いている
×:硬化膜(塗膜)の表面が軟化しており、大部分に傷が付いている
【0157】
[透過率の評価]
(評価方法)
紫外可視近赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、上記硬化膜付き基板の可視光領域(380nm~780nm)の透過率を測定した。なお、△以上を合格とした。
【0158】
(評価基準)
○:透過率が70%以上
△:透過率が60%以上70%未満
×:透過率が60%未満
【0159】
[光散乱性の評価]
上記硬化膜付き基板に対し、垂直に白色光を照射し、ゴニオフォトメータ「GP-1」(ニッカ電測株式会社製)を用いて透過散乱光を測定した。なお、△以上を合格とした。
【0160】
(評価基準)
○:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、60°における散乱光の強度の評価を行い、60°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し20%超のもの
△:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、60°における散乱光の強度の評価を行い、60°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%超20%以下のもの
×:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、60°における散乱光の強度の評価を行い、60°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%以下のもの
【0161】
上記で得られた実施例1~16および比較例1~4の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜付き基板について、上記項目について評価した結果を表3に示す。
【0162】
【表3】
【0163】
上記実施例1~16、比較例1~4の結果から明らかなように、本発明の一般式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂およびTiOを含む感光性樹脂組成物を用いることにより、光散乱性に優れるとともに、精細なパターン形成をすることができる硬化膜付き基板を作製できることがわかった。
【0164】
[実施例2]
(D)成分として、チタニア分散液を用いた感光性樹脂組成物を実施例17~30、比較例5~9として調製した。その配合成分を表4、5に示す。表4、5の数値はすべて質量%を表す。なお、(B)-3は溶剤を含まない樹枝状ポリマーの量である。
【0165】
【表4】
【0166】
【表5】
【0167】
[評価]
実施例17~30、比較例5~9の感光性樹脂組成物を用いて、現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0168】
(現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表4、5に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、露光ギャップを100μmに調整し、上記硬化膜(塗膜)上に10~50μm(5μm刻み)のネガ型フォトマスクを被せ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0169】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.04%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から20秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例17~30、および比較例5~9に係る現像特性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0170】
上記現像特性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0171】
[現像特性評価]
(パターン密着性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡で観察した。なお、△以上を合格とした。
【0172】
(評価基準)
○:全く剥離していない
△:一部が剥離している
×:大部分が剥離している
【0173】
(パターン直線性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡観察した。なお、△以上を合格とした。
【0174】
(評価基準)
○:パターンエッジ部分のギザつきが認められない
△:パターンエッジ部分のギザつきが一部に認められる
×:パターンエッジ部分のギザつきが大部分に認められる
【0175】
(パターン精細度)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の10~50μmマスクパターンを光学顕微鏡観察した。なお、△以上を合格とした。
【0176】
(評価基準)
◎:10~15μmのパターンが形成されている
○:16~24μmのパターンが形成されている
△:25~50μmのパターンが形成されている
×:パターンが形成されていない
【0177】
[透過率の評価]
(評価方法)
紫外可視近赤外分光光度計「UH4150」を用いて、上記硬化膜付き基板の可視光領域(380nm~780nm)の透過率を測定した。なお、○以上を合格とした。
【0178】
(評価基準)
○:透過率が70%以上
△:透過率が60%以上70%未満
×:透過率が60%未満
【0179】
実施例17~30、比較例5~9の感光性樹脂組成物を用いて、光散乱性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0180】
(光散乱性評価用の硬化膜付き基材の作製)
表4、5に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、ネガ型フォトマスクを被せることなく、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0181】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.05%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から20秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例17~30、および比較例5~9に係る光散乱性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0182】
上記光散乱性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0183】
(評価方法)
上記硬化膜付き基板に対し、垂直に白色光を照射し、ゴニオフォトメータ「GP-1」を用いて透過散乱光を測定した。なお、△以上を合格とした。
【0184】
(評価基準)
○:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、60°における散乱光の強度の評価を行い、60°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し20%超のもの
△:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、60°における散乱光の強度の評価を行い、60°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%超20%以下のもの
×:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、60°における散乱光の強度の評価を行い、60°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%以下のもの
【0185】
上記で得られた実施例17~30および比較例5~9の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜付き基板について、上記項目について評価した結果を表6に示す。
【0186】
【表6】
【0187】
上記実施例17~30、及び比較例5~9の結果から明らかなように、本発明の式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂およびTiOを含む感光性樹脂組成物を用いることにより、光散乱性に優れるとともに、精細なパターン形成をすることができる硬化膜付き基板を作製できることがわかった。
【0188】
[実施例3]
(D)成分として、ZnO分散液及びZrO分散液を用いた感光性樹脂組成物を実施例31~45、比較例10~12として調製した。その配合成分を表7、8に示す。表7、8の数値はすべて質量%を表す。なお、(B)-3は溶剤を含まない樹枝状ポリマーの量である。
【0189】
【表7】
【0190】
【表8】
【0191】
[評価]
実施例31~45、及び比較例10~12の感光性樹脂組成物を用いて、現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0192】
(現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表7、8に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、上記硬化膜(塗膜)上にライン/スペース=20μm/20μmのネガ型フォトマスクを被せ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0193】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.04%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から20秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて90℃で60分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例31~45、及び比較例10~12に係る現像特性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0194】
上記現像特性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0195】
[現像特性評価]
(パターン密着性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡で観察した。なお、△以上を合格とした。
【0196】
(評価基準)
○:全く剥離していない
△:一部が剥離している
×:大部分が剥離している
【0197】
(パターン直線性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡で観察した。なお、△以上を合格とした。
【0198】
(評価基準)
○:パターンエッジ部分のギザつきが認められない
△:パターンエッジ部分のギザつきが一部に認められる
×:パターンエッジ部分のギザつきが大部分に認められる
【0199】
(パターン精細度)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の10~50μmマスクパターンを光学顕微鏡観察した。なお、△以上を合格とした。
【0200】
(評価基準)
◎:10~15μmのパターンが形成されている
○:16~24μmのパターンが形成されている
△:25~50μmのパターンが形成されている
×:パターンが形成されていない
【0201】
実施例31~45、及び比較例10~12の感光性樹脂組成物を用いて、耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0202】
(耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表7、8に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、上記硬化膜(塗膜)上にライン/スペース=20μm/20μmのネガ型フォトマスクを被せ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0203】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.05%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて60秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて90℃で60分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例31~45、及び比較例10~12に係る耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0204】
上記耐溶剤性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0205】
[耐溶剤性評価]
(評価方法)
ガラス基板上に作製した硬化膜(塗膜)の表面をPGMEAに浸漬したウエスで連続して20往復擦った。なお、△以上を合格とした。
【0206】
(評価基準)
○:硬化膜(塗膜)の表面に溶解が見られず、傷も付いていない
△:硬化膜(塗膜)の表面のごく一部に溶解が見られ、ごく一部に傷も付いている
×:硬化膜(塗膜)の表面が軟化しており、大部分に傷が付いている
【0207】
[透過率の評価]
(評価方法)
紫外可視近赤外分光光度計「UH4150」を用いて、上記硬化膜付き基板の可視光領域(380nm~780nm)の透過率を測定した。なお、△以上を合格とした。なお、△以上を合格とした。
【0208】
(評価基準)
○:透過率が80%以上
△:透過率が70%以上80%未満
×:透過率が70%未満
【0209】
[光散乱性の評価]
上記硬化膜付き基板に対し、垂直に白色光を照射し、ゴニオフォトメータ「GP-1」を用いて透過散乱光を測定した。なお、△以上を合格とした。
【0210】
(評価基準)
○:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、45°における散乱光の強度の評価を行い、45°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し15%超のもの
△:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、45°における散乱光の強度の評価を行い、45°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%超15%以下のもの
×:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、45°における散乱光の強度の評価を行い、45°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%以下のもの
【0211】
上記で得られた実施例31~45、及び比較例10~12の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜付き基板について、上記項目について評価した結果を表9に示す。
【0212】
【表9】
【0213】
上記実施例31~45、及び比較例10~12の結果から明らかなように、本発明の一般式(1)の不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂および金属酸化物(ZnO、ZrO)を含む感光性樹脂組成物を用いることにより、光散乱性に優れるとともに、精細なパターン形成をすることができる硬化膜を作製できることがわかった。
【0214】
[実施例4]
(D)成分として、ZnO分散液及びZrO分散液を用いた感光性樹脂組成物を実施例46~60、比較例13~15として調製した。その配合成分を表10、11に示す。表10、11の数値はすべて質量%を表す。なお、(B)-3は溶剤を含まない樹枝状ポリマーの量である。
【0215】
【表10】
【0216】
【表11】
【0217】
[評価]
実施例46~60、及び比較例13~15の感光性樹脂組成物を用いて、現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0218】
(現像特性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表10、11に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、露光ギャップを100μmに調整し、上記硬化膜(塗膜)上に10~50μm(5μm刻み)のネガ型フォトマスクを被せ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0219】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.04%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から20秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例46~60、及び比較例13~15に係る現像特性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0220】
上記現像特性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0221】
[現像特性評価]
(パターン密着性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡で観察した。なお、△以上を合格とした。
【0222】
(評価基準)
○:全く剥離していない
△:一部が剥離している
×:大部分が剥離している
【0223】
(パターン直線性)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の20μmマスクパターンを光学顕微鏡観察した。なお、△以上を合格とした。
【0224】
(評価基準)
○:パターンエッジ部分のギザつきが認められない
△:パターンエッジ部分のギザつきが一部に認められる
×:パターンエッジ部分のギザつきが大部分に認められる
【0225】
(パターン精細度)
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の10~50μmマスクパターンを光学顕微鏡観察した。なお、△以上を合格とした。
【0226】
(評価基準)
◎:10~15μmのパターンが形成されている
○:16~24μmのパターンが形成されている
△:25~50μmのパターンが形成されている
×:パターンが形成されていない
【0227】
[透過率の評価]
(評価方法)
紫外可視近赤外分光光度計「UH4150」を用いて、上記硬化膜付き基板の可視光領域(380nm~780nm)の透過率を測定した。なお、△以上を合格とした。
【0228】
(評価基準)
○:透過率が80%以上
△:透過率が70%以上80%未満
×:透過率が70%未満
【0229】
実施例46~60、及び比較例13~15の感光性樹脂組成物を用いて、光散乱性評価用の硬化膜付き基板の作製を行った。
【0230】
(光散乱性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表10、11に示した感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで、ネガ型フォトマスクを被せることなく、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射して、光硬化反応を行った。
【0231】
次いで、露光した上記硬化膜(塗膜)を25℃、0.05%水酸化カリウム溶液により1kgf/cmのシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から20秒間、現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、上記硬化膜(塗膜)の未露光部分を除去してガラス基板上に硬化膜パターンを形成し、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、実施例46~60、及び比較例13~15に係る光散乱性評価用の硬化膜付き基板を得た。
【0232】
上記光散乱性評価用の硬化膜付き基板を用いて以下の評価を行った。
【0233】
[光散乱性の評価]
(評価方法)
耐溶剤性評価用に作製した硬化膜(塗膜)と同様の硬化膜(塗膜)に対し、垂直に白色光を照射し、透過散乱光についてゴニオフォトメータを用いて測定した。なお、△以上を合格とした。
【0234】
(評価基準)
○:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、45°における散乱光の強度の評価を行い、45°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し15%超のもの
△:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、45°における散乱光の強度の評価を行い、45°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%超15%以下のもの
×:直進した直接透過光の角度を0°とした場合の5°、45°における散乱光の強度の評価を行い、45°における光散乱強度が5°における光散乱強度に対し10%以下のもの
【0235】
上記で得られた実施例46~60、及び比較例13~15の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜付き基板について、上記項目について評価した結果を表12に示す。
【0236】
【表12】
【0237】
上記実施例実施例46~60、及び比較例13~15の結果から明らかなように、本発明の一般式(1)の不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂および金属酸化物(ZnO、ZrO)を含む感光性樹脂組成物を用いることにより、光散乱性に優れるとともに、精細なパターン形成をすることができる硬化膜を作製できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0238】
本発明の硬化膜付き基板の製造方法によれば、光散乱性に優れた硬化膜付き基板を得ることができる。そのため、例えば、表示装置などに有用である。すなわち、フォトリソグラフィーでパターン形成できることから、既存のフォトリソグラフィー工程で形成できる利点が有る。また、低温においても膜強度を得ることができるため、耐熱性の低い基板を用いるタッチパネル、カラーフィルターの作製に好適である。