(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017436
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】偽造防止印刷物及び偽造防止印刷物の作製方法
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20240201BHJP
B41M 1/16 20060101ALI20240201BHJP
B42D 25/337 20140101ALI20240201BHJP
【FI】
B41M3/14
B41M1/16
B42D25/337
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120067
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】大井 誠
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋平
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB02
2C005HB10
2C005JB22
2C005JB26
2H113AA01
2H113AA06
2H113BA05
2H113CA34
2H113CA36
2H113CA37
2H113CA39
2H113CA44
2H113FA10
(57)【要約】
【課題】色覚に障害のある者もない者も、容易に色相の変化を認識することができる印刷模様を有する偽造防止印刷物、及び偽造防止印刷物の作製方法を提供する。
【解決手段】印刷模様は、所定の方向に規則的に配列された複数の画線で構成されると共に、第1有彩色で構成される第1有彩色領域と、第1有彩色と補色関係にある第2有彩色で構成される第2有彩色領域とを含む、少なくとも2種類の有彩色領域を有する。また、印刷模様において、第1有彩色領域及び第2有彩色領域の境界領域は、連続的に色相が変化するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成された偽造防止のための印刷模様を備え、
前記印刷模様は、
所定の方向に規則的に配列された複数の画線で構成されると共に、第1有彩色で構成される第1有彩色領域と、前記第1有彩色と補色関係にある第2有彩色で構成される第2有彩色領域とを含む、少なくとも2種類の有彩色領域を有し、
前記第1有彩色領域及び第2有彩色領域の境界領域は、前記第1有彩色から前記2有彩色へ連続的に色相が変化するように構成された
偽造防止印刷物。
【請求項2】
前記印刷模様に重ねて配置した際に、前記画線に交わるように設けられた他の画線で構成されると共に、前記第1有彩色及び第2有彩色とは異なる色で形成された他の印刷模様を備え、
前記他の印刷模様は、前記印刷模様に重ねて配置されるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止印刷物。
【請求項3】
所定の方向に規則的に配列された複数の画線で構成されると共に、第1有彩色で構成される第1有彩色領域と、前記第1有彩色と補色関係にある第2有彩色で構成される第2有彩色領域とを含む、少なくとも2種類の有彩色領域を有し、
前記第1有彩色領域及び第2有彩色領域の境界領域は、前記第1有彩色から前記第2有彩色へ連続的に色相が変化するように構成された印刷模様を有する偽造防止印刷物の作製方法であって、
前記印刷模様は、レインボー印刷によって形成する偽造防止印刷物の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止印刷物及び偽造防止印刷物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポート、各種証明書等の貴重印刷物は、デザイン性と偽造防止策の観点から、多くの色を用いた印刷模様や、レインボー印刷等の特殊な印刷方式による印刷模様が付与される。多くの色を用いた印刷模様や、レインボー印刷など、特殊な印刷方法を用いた印刷模様において、連続的に変化する画線で印刷模様を構成することができる。このように、連続的に変化する画線で印刷模様を用いてデザインや色彩を表現することで、各印刷物の種類を見分けることが可能となり、偽造券か否かを目視で確認することができる。
【0003】
一方、偽造防止のための印刷模様は、色覚に障害のある者、ない者の双方が見分けやすい彩色が要求されると共に、デザイン上美観に優れた模様であることが要求される。
【0004】
特許文献1では、偽造防止に用いられる印刷模様であって、色覚に障害のある者とない者との双方が容易に認識可能な印刷模様を有するカラーユニバーサルデザイン印刷物が開示されている。
【0005】
特許文献1では、色彩模様領域を、4つの異なる色の色彩領域を組み合わせて構成している。4つの異なる色(緑、橙、青、紫)のうち、緑と橙、及び、青と紫は、それぞれ、色覚に障害のある者にとって等色に認識される。特許文献1では、緑と橙とで、第1のパターンを形成し、青と紫とで第2のパターンを形成し、第1のパターンと第2のパターンとを合成して色彩模様を形成している。このように構成することにより、色覚に異常のある者も第1のパターンの模様と第2のパターンの模様とを認識することができるため、デザインと色彩とによって色彩模様の種類を見分けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術により、色覚に障害のある者とない者の双方が認識可能な色彩を有する印刷模様を形成することが可能となった。
【0008】
一方、視覚に異常のある者にとって等色と認識される複数の色でレインボー印刷を行った場合、色覚に異常のある者にとって、一つの模様内で連続的に変化する色相を認識することが難しいという課題がある。したがって、一つの領域内において色相が連続的に変化する構成を有する印刷模様において、更なる改良が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、連続的に変化する色相を有する印刷模様であって、色覚に障害のある者もない者も、容易に色相の変化を認識することができる印刷模様を有する偽造防止印刷物、及び偽造防止印刷物の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の偽造防止印刷物は、基材上に形成された偽造防止のための印刷模様を備え、印刷模様は、所定の方向に規則的に配列された複数の画線で構成されると共に、第1有彩色で構成される第1有彩色領域と、第1有彩色と補色関係にある第2有彩色で構成される第2有彩色領域とを含む、少なくとも2種類の有彩色領域を有し、第1有彩色領域及び第2有彩色領域の境界領域は、第1有彩色から2有彩色へ連続的に色相が変化するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の偽造防止印刷物は、印刷模様に重ねて配置した際に、画線に交わるように設けられた他の画線で構成されると共に、第1有彩色及び第2有彩色とは異なる色で形成された他の印刷模様を備え、他の印刷模様は、印刷模様に重ねて配置されるように形成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の偽造防止印刷物の作製方法は、所定の方向に規則的に配列された複数の画線で構成されると共に、第1有彩色で構成される第1有彩色領域と、第1有彩色と補色関係にある第2有彩色で構成される第2有彩色領域とを含む、少なくとも2種類の有彩色領域を有し、第1有彩色領域及び第2有彩色領域の境界領域は、第1有彩色から第2有彩色へ連続的に色相が変化するように構成された印刷模様を有する偽造防止印刷物の作製方法であって、印刷模様は、レインボー印刷によって形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、色覚に障害のある者もない者も、容易に認識可能な印刷模様を有する偽造防止印刷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る偽造防止印刷物1の概略構成図である。
【
図2】
図2Aは、偽造防止印刷物1に設けられた印刷模様3の拡大図である。
図2Bは、
図2Aの印刷模様3において第1層目に形成される第1印刷模様3aの概略構成図である。
図2Cは、
図2Aの印刷模様3において第2層目に形成される第2印刷模様3bの概略構成図である。
【
図3】
図3Aは、第1層目に形成された第1印刷模様3aの全体構成図である。
図3Bは第1印刷模様3aの領域Aの拡大構成図である。
図3Cは、第1印刷模様3aの領域Bの拡大構成図である。
【
図4】レインボー印刷を実施するために用いられるインキ壺装置100の要部の概略構成図である。
【
図5】同心楕円状に形成される万線の一部の領域が第1印刷模様3a適用される場合のイメージ図を示す。
【
図7】
図7Aは、第1印刷模様3aと第2印刷模様3bを重ねて形成された印刷模様3の全体構成図である。
図7Bは
図7Aにおける領域Aの拡大構成図である。
図7Cは、
図7Aにおける領域Bの拡大構成図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る偽造防止印刷物に付与される印刷模様4を一部拡大して示した図である。
図8Bは、
図8Aに示した印刷模様4の第1層目に印刷された第1印刷模様4aを拡大して示した図である。
図8Cは、
図8Aに示した印刷模様4の第2層目に印刷された第2印刷模様4bを拡大して示した図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る偽造防止印刷物に付与される印刷模様5を一部拡大して示した図である。また、
図9Bは、
図9Aに示した印刷模様5の第1層目に印刷された第1印刷模様5aを拡大して示した図である。また、
図9Cは、
図9Aに示した印刷模様5の第2層目に印刷された第2印刷模様5bを拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る偽造防止印刷物及び偽造防止印刷物の作製方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部分には同一の符号を付している。
【0016】
1.第1の実施形態
まず、本発明の第1の実施形態に係る偽造防止印刷物について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る偽造防止印刷物1の概略構成図である。また、
図2Aは、偽造防止印刷物1に設けられた印刷模様3の拡大図である。また、
図2Bは、
図2Aの印刷模様3において第1層目に形成される第1印刷模様3aの概略構成図であり、
図2Cは、
図2Aの印刷模様3において第2層目に形成される第2印刷模様3bの概略構成図である。
【0017】
本実施形態における偽造防止印刷物1は、例えば商品券であり、紙等で構成される基材2に、所定の文字と、偽造防止のための印刷模様3が形成されている。
【0018】
印刷模様3は、
図2Bに示すように、レインボー印刷によって複数(本実施形態では2つ)の色を所定の領域内で連続的に変化させて形成した第1層目の第1印刷模様3a(本発明の印刷模様に相当)を備える。さらに、印刷模様3は、
図2Cに示すように、所定の文字が浮かびあがるように構成された第2層目の第2印刷模様3b(本発明の他の印刷模様に相当)とで構成されている。印刷模様3は、第1層目の第1印刷模様3aを基材上に印刷した後、第1層目の第1印刷模様3aに重なるように、第2層目の第2印刷模様3bを印刷することで形成されている。
【0019】
本実施形態における第1印刷模様3aは、所定の幅の第1画線30a(本発明の画線に相当)が所定の方向に連続して形成された万線によって構成された地紋模様で構成されている(
図3B等参照)。また、本実施形態における第2印刷模様3bは、所定の幅の第2画線30b(本発明の他の画線に相当)が所定の方向に連続して形成された万線によって構成された地紋模様で構成されている(
図6B等参照)。
【0020】
以下に、第1層目の第1印刷模様3aの構成、及び、第2層目の第2印刷模様3bの構成について説明する。
【0021】
1-1.第1印刷模様
まず、第1層目に形成された第1印刷模様3aについて説明する。
図3Aは、第1層目に形成された第1印刷模様3aの全体構成図である。また、
図3Bは第1印刷模様3aの領域Aの拡大構成図であり、
図3Cは、第1印刷模様3aの領域Bの拡大構成図である。
【0022】
図3Aに示すように、一方の方向v1(
図3Aでは、紙面左右方向)において、第1印刷模様3aの一方の側から他方の側に架けて、第1有彩色領域34、第2有彩色領域35、第1有彩色領域34の順に配色されて刷り分けられている。本実施形態では、第1有彩色領域34には、青色のインキが用いられており、第2有彩色領域35には、橙色のインキが用いられている。また、第1印刷模様3aは、隣り合う第1有彩色領域34と第2有彩色領域35との境界領域を滲ませて形成したレインボー印刷で形成されている。すなわち、
図2Aの境界領域では、第1有彩色(青色)及び第2有彩色(橙色)が混ざった状態となる。ここで、レインボー印刷方法について説明する。
【0023】
[レインボー印刷方法]
図4は、レインボー印刷を実施するために用いられるインキ壺装置100の要部の概略構成図である。インキ壺装置100は、オフセット印刷に用いられる版胴(図示を省略する)の表面にインキを供給する装置である。
【0024】
インキ壺装置100は、底部101と複数(
図4では3つ)の中間インキ堰102とから構成されるインキ壺110と、ダクトローラー103と、練りローラー104及び振りローラー105を含むローラー群120とで構成されている。
【0025】
インキ壺110は、ダクトローラー103側に供給する複数のインキA、Bを収容する筐体であり、インキ壺110の底部101の長手方向の幅は、ダクトローラー103の軸方向における長さと略同じ長さに構成されている。底部101の長手方向における両端部には、インキを堰き止めるインキ堰(図示を省略する)が設けられている。
【0026】
複数の中間インキ堰102は、底部101の長手方向において、インキ壺110内を複数(
図4では、4つ)の区画領域101A、101B、101C、101Dに分離するために設けられた板状部材である。中間インキ堰102は、所定の間隔で底部101からダクトローラー103が配置される側に立設して設けられると共に、ダクトローラー103の円周方向に沿ってダクトローラー103に摺接するように配置されている。中間インキ堰102の設置される間隔及び数は、版デザインによって異なる。例えば、本実施形態のように、幅方向において第1有彩色領域34、第2有彩色領域35、及び第1有彩色領域34の3つの領域で刷り分けを行う場合には、2つの中間インキ堰102が所定の間隔で配置される。
【0027】
そして、各区画領域101A、101B、101C、101Dには、それぞれ異なる色相のインキ(
図4ではインキA~D)が収容される。
図2Bに示す第1印刷模様3aを形成する場合には、3つに区画されたインキ壺110の各区画領域に、青色、橙色、青色のインキが底部101の長手方向に順に収容される。
【0028】
ダクトローラー103は、軸方向の長さがインキ壺110の長手方向の長さよりも若干長い円筒形状のローラーで構成され、インキ壺110の底部101に当接するように配置されている。ダクトローラー103の回転によってインキ壺110の底部101とダクトローラー103との隙間にあるインキがダクトローラー103表面に付着する。これにより、インキ壺110のインキが、ローラー群120側に供給される。そして、この時、インキ壺110には、複数の区切られた区画領域101A、101B、101C、101Dに異なる色相のインキが収容されている。このため、ダクトローラー103には、その軸方向に異なる色相のインキA~Dの膜が形成される。
【0029】
練りローラー104は、その軸方向の長さがダクトローラー103の軸方向における長さと略等しい長さに構成されたローラーで構成されている。練りローラー104は、ダクトローラー103と、その軸方向において平行になるように配置されると共に、練りローラー104の表面がダクトローラー103の表面と接するように配置される。ダクトローラー103と練りローラー104とが回転することにより、ダクトローラー103の表面に付着したインクが練りローラー104に転移する。
【0030】
ところで、ダクトローラー103には、その軸方向において、色相の異なるインキA~インキDの膜が所定の領域毎に形成されている。したがって、練りローラー104の表面には、その軸方向において、所定の領域毎に異なる色相のインキA~Dの膜が形成され、隣り合って形成される色相の異なるインキの膜の境界領域106では、混色が発生する。
【0031】
振りローラー105は、その軸方向の長さがダクトローラー103及び練りローラー104の軸方向における長さと略等しい長さに構成されたローラーで構成される。振りローラー105は、その軸方向において、練りローラー104と平行になるように配置されると共に、振りローラー105の表面が練りローラー104の表面と接するように配置される。また、振りローラー105は、軸方向に摺動移動するように構成されている。
【0032】
振りローラー105は、練りローラー104と共に回転し、軸方向における両側に所定の幅だけ摺動する。これにより、練りローラー104の表面に形成された色相の異なるインキは、その境界領域106において、混ざり合わされながら振りローラー105側に転移する。これにより、振りローラー105の表面には、色相の異なるインキの境界領域106において、異なる色相のインキが滲んだ状態(連続的に色合いが変化した状態)のインク膜が形成される。
【0033】
このようなレインボー印刷用のインキ壺装置100を備えるオフセット印刷装置において、インキ供給方向の下流側には、図示を省略するが、版胴とブランケット胴が設けられる。レインボー印刷が可能なオフセット印刷装置では、
図4に示すインキ壺装置100における練りローラー104及び振りローラー105を含むローラー群120から版胴にインキが供給され、版胴からブランケット胴に所望の画像が転写される。その後、ブランケット胴から所定の基材(紙等)に画像が転移される。版胴には、色相の異なるインキの境界領域において、互いの色が混ざり合った状態のインキの膜が形成され、そのインキ膜で形成される画像がブランケット胴を介して基材に転移される。この結果、所定の方向において徐々に色相が異なるように為されたレインボー画像(印刷模様)を形成することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態の偽造防止印刷物1を構成する第1印刷模様3aは、
図4に示すようにインキ壺装置100によって複数色(本実施形態では2色)のレインボーカラーに形成される。
【0035】
本実施形態では、第1有彩色領域34に用いられるインキとして、青色のインキを用い、第2有彩色領域35に用いられるインキとして橙色のインキを用いる例としたが、これに限られるものではない。第1印刷模様3aにおいて、第1有彩色領域34と第2有彩色領域35とに用いられるインキは、互いに補色関係にある2色のインキであればよく、種々の変更が可能である。
【0036】
ここで、補色について説明する。色彩には、赤、青、黄色などの色みを持つ有彩色と、白、黒、そのグラデーション上に位置するグレーといった色みの無い無彩色があり、本発明においては、有彩色を用いる。有彩色において、補色は色相環で正反対に位置する関係の色の組合せであり、例えば、赤の補色は緑であり、青の補色は橙色である。本実施形態のように、第1印刷模様3aを、補色関係にある2色で構成することにより、色覚に障害のある人も、色覚に障害がない人と同様、第1印刷模様3aを2色として認識しやすいという効果を奏する。なお、補色関係にある2色においては、明度や色相のずれによっては、見えづらい構成(例えば、色相環において赤と緑の2色は明度を上げる又は下げた場合、判別しにくくなる)となることため、用いるインキにより適宜設定する。また、偽造防止印刷物1が紙幣や商品券の場合、1万円、5千円及び1千円のように、複数の券種が存在する。この場合、各券種で異なる2色を組み合わせて補色とするのが好ましい。例えば、1万円を茶色と緑の2色とし、5千円を紫と青の2色とし、1千円を黄土色とくすんだ青色の2色とする。これらの構成とすることで、色覚に障害のある者でも2色に分かれて視認でき、さらに他の券種と区別して視認することが可能となる。
【0037】
また、第1印刷模様3aは、
図3B及び
図3Cに示すように、同心円状(実際には、同心の楕円状)に形成された複数の第1画線30a(万線)で構成された、いわゆる地紋模様である。
図5に、同心楕円状に形成される万線の一部の領域が第1印刷模様3a適用される場合のイメージ図を示す。
図5に示すように、本実施形態では、同心楕円状に形成された万線の領域の中に、矩形状とされた第1印刷模様3aの領域が収まるようにレイアウトされている。
図5では、万線の中心が、印刷模様3の中心に重なるように配置されているが、必ずしも重なるように配置されていなくてもよい。
【0038】
図3Aに示す領域Aは、第1印刷模様3aにおいて、第1有彩色領域34と第2有彩色領域35との境界領域に位置し、混色が発生している領域である。本実施形態では、領域Aにおける第1画線30aのピッチ(第1画線30aと第1画線30aとの間隔)は、例えば、280~300μmで構成されている。また、領域Aにおける画線面積率は、38.87%に設定されている。領域Aは、第1有彩色領域34と第2有彩色領域35とが混合した領域であるため、画線幅が細すぎると、色調の変化が大きくなりすぎるという問題がある。したがって、領域Aにおける第1画線30aの画線幅は、色調の変化が滑らかに見える程度に設定されるのが好ましく、例えば、40~125μmで構成されている。
【0039】
一方、領域Bは、第1印刷模様3aにおいて、主に第2有彩色領域35に位置し、ほとんど混色が無い領域である。領域Bにおける第1画線30aのピッチは、280~350μmで構成されている。また、領域Bにおける画線面積率は、領域Aにおける画線面積率よりも小さく、23.52%に設定されている。さらに、領域Bでは、中央部分に行くにしたがって、第1画線30aの画線幅が小さくなるように構成されている。
【0040】
ところで、領域Bは、第2有彩色領域35で構成され、混色がほとんどない領域である。この場合、第1画線30aの画線幅の太さは、色合いの視認性にほとんど影響がない。しかしながら、第1印刷模様3aを、同心楕円状に配列された万線の中心部分で構成した場合、中央部分に、画線が形成されない領域ができてしまう。したがって、第1印刷模様3aにおいて、全体が同じピッチ、同じ画線幅の第1画線30aで構成される場合、中央部分が視覚的に濃く重い印象になる。また、中央部分に画線が形成されないことから、中央部分で色調が急激に変化し、模様が切れた印象になるおそれがある。
【0041】
したがって、領域Aと領域Bとで画線面積率を同一にした場合、その画線面積率によっては、中心部分において視覚的に濃淡の違いが大きくなり、きれいなグラデーションに見えなくなる恐れがある。
【0042】
本実施形態のように、領域Bの画線面積率を、領域Aの画線面積率よりも小さくすることにより、第1印刷模様3a全体の色調の変化を視覚的に滑らかにすることができる。さらに、領域Bにおいて、中央部分に行くにしたがって第1画線30aの画線幅を細くすることで、中央部分における色調の変化もより滑らかにするこができる。これにより、第1印刷模様3aが、視覚的により滑らかなレインボー模様として視認される効果がある。
【0043】
また、第1画線30aは、
図5に示すように、同心の楕円状に形成された万線で構成されているが、領域Bに示されるように、一部の第1画線30aが分離された分離画線36を有する。この分離画線36は、後述する第2層目に形成される文字や模様に寄与する部分である。文字や模様に寄与する分離画線36が形成される場合も、分離画線36は、第1画線30aと同様の曲率で形成される。
【0044】
なお、本実施形態では、領域Aと領域Bとで、第1画線30aの画線幅、ピッチ、画線面積率を異なる値に設定しているが、印刷模様3の構成によっては、同じ値に設定されていてもよく、種々の変更が可能である。
【0045】
本実施形態のように、レインボー印刷において、隣り合う第1有彩色領域34と第2有彩色領域35を、それぞれ、補色関係にあるインキで形成している。これより、色覚に障害のある者もない者も、一つの印刷模様3内で、連続的に変化する色相を認識することができる。
【0046】
本実施形態では、2色の補色関係にある有彩色のインキを用いて、第1有彩色領域34と第2有彩色領域35とを形成する例としたが、補色関係にある組み合わせのインキを複数種類用いる例としてもよい。この場合には、補色関係にある2種類の色、又は、補色関係に近い2種類の色を隣り合わせて配置すればよい。
【0047】
1-2.第2印刷模様
次に、第2層目に形成された第2印刷模様3bについて説明する。
図6Aは、第2印刷模様3bの全体構成図である。また、
図6Bは
図6Aにおける領域Aの拡大構成図であり、
図6Cは、
図6Aにおける領域Bの拡大構成図である。
図7Aは、第1印刷模様3aと第2印刷模様3bを重ねて形成された印刷模様3の全体構成図である。また、
図7Bは
図7Aにおける領域Aの拡大構成図であり、
図7Cは、
図7Aにおける領域Bの拡大構成図である。なお、
図6Aに示す領域A及び領域Bと、
図7Aに示す領域A及び領域Bは、それぞれ、
図3Aに示した領域A及び領域Bに重なる領域である。
【0048】
第2印刷模様3bは、文字、記号、及び、線等の各種有意味情報を表示するものであり、本実施形態では、
図6Aに示すように、「ABC」からなる文字模様31と、線模様32が視認可能に構成されている。第2印刷模様3bは、
図6B及び
図6Cの拡大図に示すように、文字模様31及び線模様32以外の背景領域が、複数の第2画線30b(万線)で構成されている。第2画線30bは、第1印刷模様3aを構成する有彩色とは異なる色のインキで構成され、文字模様31、及び、線模様32は、第2画線30bが形成されない領域(万線内で白抜きされた領域)によって形成されている。また、文字模様31の輪郭の視認性を高めるため、文字模様31の陰影部を構成する陰影画線30cが形成されている。このように、本実施形態では、第2画線30bが形成されない領域によって、文字模様31、線模様32が視認可能に形成されている。
【0049】
第2層目の第2印刷模様3bは、第1層目の第1印刷模様3aに重ねて印刷される。したがって、第1印刷模様3aと第2印刷模様3bとを重ねて印刷した場合に、第1画線30aと第2画線30bとが干渉することで、モアレが発生し、印刷模様3が滲むように視認される等、意匠性が低下する恐れがある。モアレの発生を抑制するため、第2画線30bと第1画線30aとの交わる角度が、75°~95°、より好ましくは、90°になるように設定されることが好ましい。
【0050】
本実施形態では、
図7B及び
図7Cに示すように、第2画線30bは、第1層目に形成された第1画線30aに略直交するように配設されている。第1画線30aは、同心楕円状に形成されているため、第2画線30bは、第1画線30aを構成する同心楕円状の中心から放射線状に延在するように形成された画線で構成されている。これにより、本実施形態では、第1画線30aと第2画線30bとの間でモアレの発生を抑制することができる。
【0051】
また、第2画線30bは、第1印刷模様3aを構成する有彩色とは色相が異なるインキで構成されている。第2画線30bを構成するインキの色は、第1画線30aと異なる色であればよく、種々の変更が可能である。
【0052】
第2印刷模様3bにおいて、領域Aにおける第2画線30bのピッチは、例えば、370~410μmで構成されている。また、第2印刷模様3bにおいて、領域Aにおける画線面積率は、ピッチを375μmに設定した場合、21.91%に設定されている。
【0053】
一方、第2印刷模様3bにおいて、領域Bにおける第2画線30bのピッチは、例えば、260~310μmで構成されている。また、領域Bにおける画線面積率は、ピッチを285μmに設定した場合、25.49%に設定されている。
【0054】
本実施形態では、第2画線30bは、同心楕円形状に形成された第1画線30aに直交するように、第2印刷模様3bの中心位置から外側に向けて放射線状に配設されている。このため、領域Aと領域Bとで画線幅を同じに構成した場合には、中心位置に近い領域Bのピッチが小さくなり、単位面積あたりの画線密度が高くなる。そうすると、中心部分で、色合いが濃くなり、滑らかな色調の変化を表現できなくなる可能性がある。本実施形態では、
図6Cの領域Bに示すように、第2印刷模様3bの中心位置に近づくにしたがって、第2画線30bの画線幅が小さくなるように構成することで、色調の変化をより滑らかに表現することができる。
【0055】
また、本実施形態では、領域Aは第1有彩色領域34と第2有彩色領域35との境界領域であり、混色が発生している領域である。この場合、例えば、領域Aにおける第2画線30bの画線幅を、混色が発生していない領域Bに比較して大きく形成する。これにより、領域Aにおいて、視覚的に文字模様31及び線模様32をより強調して示すことができ、第1印刷模様3aにおける色変化をより滑らかなレインボーカラーとして視認させることができる。
【0056】
1-3.効果
本実施形態の偽造防止印刷物1では、印刷模様3を構成する第1印刷模様3aにおいて、補色関係にある異なる2色を用いてレインボーカラーが構成されている。このため、色覚に異常がある者も、色覚に異常がない者も、印刷模様3の色相の変化を容易に認識することができる。さらに、本実施形態では、第1印刷模様3aは同心楕円状に並ぶ複数の第1画線30a(万線)で構成されている。これにより、第1印刷模様3aで表現されるレインボーカラーを視覚的により滑らかに見えるように調整することができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、印刷模様3において、第1印刷模様3aに重ねて印刷される第2印刷模様3bが、第1画線30aに略直交するように配置された複数の第2画線30b(万線)で構成されている。これにより、第1印刷模様3aと第2印刷模様3bとを重ねて印刷することによって発生し得るモアレを抑制することができる。また、第2印刷模様3bを、第1印刷模様3aとは異なる色相のインキで構成するともに、所定の方向(本実施形態では、放射状)に規則的に並べられた複数の第2画線30bで構成することで、文字模様31及び線模様32をよりはっきりと表現することができる。これにより、色覚に異常のある者も、ない者も、印刷模様3に付された文字模様31や線模様32をよりはっきりと視認することができる。これにより、色覚に障害がある者も、ない者も、偽造防止印刷物1の印刷模様3をデザインと色彩との違いで見分けることができるため、偽造券か否かの確認が容易になる。
【0058】
なお、本実施形態では、第2印刷模様3bにおいて、文字模様31及び線模様32を付す構成としたが、文字、記号、線等で構成される模様は必ずしも必要ではなく、また、種々の変更が可能である。第2印刷模様3bにおいて、文字、記号、線等で構成される模様を付加しない場合には、第2印刷模様3bは、第1印刷模様3aを構成する第1画線30aに直交するように構成された放射線状の第2画線30bのみで構成とすることができる。
【0059】
また、本実施形態では、印刷模様3を、第1印刷模様3aと第2印刷模様3bとを重ね合わせて形成したが、第1印刷模様3aのみで、本発明の印刷模様3を構成する例としてもよい。この場合にも、色覚に障害があるか否かに関わらず、色相の変化を視認可能な印刷模様3を有する偽造防止印刷物1を提供することができる。さらなる効果として、第2層目を重ねることで、レインボー印刷の色変化の境界が、仮に、作製工程上に若干印刷不良等が生じて色が滑らかに変化せず、色の段差のように視認された場合でも、第1層の上に形成する第2層目が、カモフラージュのような効果を創出することで、色の段差を抑止し滑らかな色変化として視認することが可能となる。併せて、第2印刷模様3bにおいて、文字模様31及び線模様32を付す構成とした場合は、人の目には、文字模様31や線模様32が優位に視認される。よって、第1印刷模様3aの色変化は、より滑らかに人の目には視認することが可能となる。
【0060】
本実施形態では、第1印刷模様3aを、同心楕円状に配列した第1画線30aで構成し、第2印刷模様3bを、第1画線30aに略直交するように放射状に配列した第2画線30bで構成した。しかしながら、第1印刷模様3a及び第2印刷模様3bを構成する万線の形状はこれに限られるものではない。以下に、第2の実施形態及び第3の実施形態として、第1印刷模様3aを構成する第1画線30a、及び、第2印刷模様3bを構成する第2画線の他の構成例について説明する。
【0061】
2.第2の実施形態
図8Aは、本発明の第2の実施形態に係る偽造防止印刷物に付与される印刷模様4を一部拡大して示した図である。また、
図8Bは、
図8Aに示した印刷模様4の第1層目に印刷された第1印刷模様4aを拡大して示した図である。また、
図8Cは、
図8Aに示した印刷模様4の第2層目に印刷された第2印刷模様4bを拡大して示した図である。
【0062】
図8A~
図8Cに示す印刷模様4は、例えば、
図7Aに示す領域Aを拡大して示した図である。第2の実施形態に係る印刷模様4は、第1印刷模様4aの第1画線40aの構成と、第2印刷模様4bの第2画線40bの構成とが、第1の実施形態と異なる例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、同一部分には同一符号を付すと共に、第1画線40a及び第2画線40bの構成以外の説明は省略する。
【0063】
図8Bに示すように、第1印刷模様4aは、所定の方向に規則的に配列された複数の第1画線40a(万線)で構成されている。第1画線40aは、所定の間隔で設けられたそれぞれの点を中心として設けられた四角形状の基準画線41と、その基準画線41と同心状に形成された複数の四角形状の同心画線42とで構成されている。第1画線41aを構成する基準画線41及び同心画線42は、それぞれ隣り合う画線と平行になるように構成されている。第1画線40aの画線幅や、画線面積率の構成は、第1の実施形態と同様の構成を採ることができる。
【0064】
また、
図8Cに示すように、第2印刷模様4bは、文字模様以外の背景領域が、所定の方向に規則的に配列された複数の第2画線40b(万線)で構成されている。第2印刷模様4bでは、文字模様31(
図8Cでは、アルファベットの「C」)が、第2画線40bが形成されない領域(万線内で白抜きされた領域)によって形成されている。また、文字模様の輪郭の視認性を高めるため、文字模様31の陰影部を構成する陰影画線30cが形成されている。このように、本実施形態では、第2画線40bが形成されない領域によって、文字模様31が視認可能に形成されている。
【0065】
第2画線40bは、所定の間隔に設定されたそれぞれの点を中心とした四角形状の基準画線43と、その基準画線43と同心状に形成された複数の四角形状の同心画線44とで構成されている。第2画線40bを構成する基準画線43及び同心画線44は、それぞれ隣り合う画線と平行になるように構成されている。第2画線40bの画線幅や、画線面積率の構成は、第1の実施形態と同様の構成を採ることができる。
【0066】
また、
図8Aに示したように、第1印刷模様4aと第2印刷模様4bと重ねた場合に、第2画線40bが第1画線40aと直交するように、それぞれの基準画線41,43と同心画線42、44とが構成されている。これにより、印刷模様4において、モアレの発生を抑制することができる。
【0067】
第2の実施形態のように、第1画線40a及び第2画線40bを、所定の規則で配列された閉図形(平面上の点を順に直線で結んでできる閉領域からなる図形)で構成した場合にも、第2画線40bを第1画線40aと直交するように配列することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
そして、第2の実施形態においても、第1印刷模様4aを補色関係にある2つの色を用いたレインボーカラーで構成し、第2印刷模様4bを第1印刷模様4aとは異なる色で構成することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
3.第3の実施形態
図9Aは、本発明の第3の実施形態に係る偽造防止印刷物に付与される印刷模様5を一部拡大して示した図である。また、
図9Bは、
図9Aに示した印刷模様5の第1層目に印刷された第1印刷模様5aを拡大して示した図である。また、
図9Cは、
図9Aに示した印刷模様5の第2層目に印刷された第2印刷模様5bを拡大して示した図である。
【0070】
第3の実施形態に係る印刷模様5は、第1印刷模様5aの第1画線50aの形状と、第2印刷模様5bの第2画線50bの形状とが、第1の実施形態と異なる例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、第1画線50a及び第2画線50bの構成以外の説明は省略する。
【0071】
図9Bに示すように、第1印刷模様5aは、所定の方向に規則的に配列された複数の第1画線50a(万線)で構成されている。第3の実施形態では、第1画線50aは、所定の点を囲む波型の線で構成された画線で構成され、第1印刷模様5aでは、大きさの異なる波型の第1画線50aが複数個、同心状に配列されている。また、
図9Cに示すように、第2印刷模様5bは、第1画線50aの中心と重なる点を中心として放射状に配列された複数の第2画線50bで構成されている。
【0072】
第3の実施形態では、第1画線50a及び第2画線50bは、第1印刷模様5aに第2印刷模様5bを重ねて配置した際に、モアレの発生を抑制できるようにそれぞれの画線の延在方向が設定されている。これにより、第3の実施形態においても、モアレの発生を抑制しながら、色彩の視認性が向上された印刷模様5を得ることができる。また、第3の実施形態においても、第1印刷模様5aを補色関係にある2つの色を用いたレインボーカラーで構成し、第2印刷模様5bを第1印刷模様5aとは異なる色で構成することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…偽造防止印刷物、2…基材、3…印刷模様、3a…第1印刷模様、3b…第2印刷模様、4…印刷模様、4a…第1印刷模様、4b…第2印刷模様、5…印刷模様、5a…第1印刷模様、5b…第2印刷模様、30a…第1画線、30b…第2画線、30c…陰影画線、31…文字模様、32…線模様、34…第1有彩色領域、35…第2有彩色領域、36…分離画線、100…インキ壺装置、101…底部、101A~101D…区画領域、102…中間インキ堰、103…ダクトローラー、104…練りローラー、105…振りローラー、106…境界領域、110…インキ壺、120…ローラー群