(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174379
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出システム、液体吐出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/015 20060101AFI20241210BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/01 401
B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092186
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】羽田 篤史
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB03
2C056EB58
2C056EC03
2C056EC08
2C056EC42
2C056EC72
2C057AF01
2C057AG14
2C057AG44
2C057AL32
2C057AM15
2C057AM21
2C057AM22
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】生産性の向上を図ることが可能な液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】液体吐出装置は、それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列NL1~NL4と、駆動信号を供給することにより、ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部と、を備え、駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、制御部は、複数のノズル列NL1~NL4ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、吐出動作を制御する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列と、
駆動信号を供給することにより、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部と、を備え、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数のノズル列は、
前記第1方向に並ぶ複数の第1ノズルを含む第1ノズル列と、
前記第2方向において前記第1ノズル列と異なる位置に配置され、前記第1方向に並ぶ複数の第2ノズルを含む第2ノズル列と、を有し、
前記制御部は、
前記複数の第1ノズルから液滴を吐出させる第1アクチュエータに第1駆動信号を供給し、
前記複数の第2ノズルから液滴を吐出させる第2アクチュエータに第2駆動信号を供給し、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号は、パルス幅および最大電圧の少なくとも一方が互いに異なる前記単一のパルス波形を有する、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記複数の第1ノズルから吐出される液滴と、前記複数の第2ノズルから吐出される液滴は、同色のインクである、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記複数の第1ノズル及び前記複数の第2ノズルは、前記第2方向に見て、互いに重なる位置に配置されている、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
記録媒体上で、前記第1ノズルから吐出された液滴と、前記第2ノズルから吐出された液滴とが重なるように、前記吐出動作を制御する請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は、同一の記録ヘッドに形成されている、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は、互いに異なる記録ヘッドに形成されている、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
複数の記録ヘッドを有し、
前記複数の記録ヘッドごとに異なる種類のインクを吐出する請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記記録ヘッドは、前記第2方向において異なる位置に配置された前記複数のノズル列を備え、
前記記録ヘッドにおいて、前記第2方向において異なる位置に配置された前記複数のノズル列に含まれる前記ノズルは、前記第1方向において、ずれて配置されている、請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列を備える液体吐出装置と、
駆動信号を供給することにより、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部と、を備え、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、液体吐出システム。
【請求項11】
液体吐出装置による液体吐出方法であって、
前記液体吐出装置は、
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列を備え、
制御部により、駆動信号を供給することによって、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御し、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、液体吐出方法。
【請求項12】
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列を備える液体吐出装置における液滴の吐出動作を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
制御部により、駆動信号を供給することによって、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御し、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置、液体吐出システム、液体吐出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置として、インクを吐出するインクジェット画像記録装置が知られている。インクジェット画像記録装置は、インクを吐出する記録ヘッドを備える。インクジェット画像記録装置では、記録ヘッドの駆動装置に供給する駆動波形により、記録ヘッドから吐出されるインクの吐出量を制御している(例えば、特許文献1参照)。記録ヘッドは、例えば、複数のパルス波形が1つの駆動波形に含まれる駆動波形を用いて、吐出量が異なる小滴(小ドット)、中滴(中ドット)、及び大滴(大ドット)を吐出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では、1つの駆動波形に複数のパルス波形が含まれていることにより、駆動波形の波形長(周期)が長くなっていた。そのため、液体吐出装置における生産性が上がらない場合があった。
【0004】
本開示は、生産性の向上を図ることが可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の液体吐出装置は、
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列と、
駆動信号を供給することにより、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部と、を備え、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、生産性の向上を図ることが可能な液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の画像形成部の斜視図である。
【
図3】
図2中の記録ヘッドのノズル板を示す底面図である。
【
図4】液体吐出装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【
図6】比較例に係るノズル列、及び記録媒体に吐出された液滴の配置を示す概略図である。
【
図7】記録ヘッドに供給される駆動波形を示す波形図である。
【
図8】第1実施形態に係る記録ヘッド、及び記録媒体に吐出された液滴の配置を示す概略図である。
【
図9】第2実施形態に係る記録ヘッド、及び記録媒体に吐出された液滴の配置を示す概略図である。
【
図10】第3実施形態に係る記録ヘッド、及び記録媒体に吐出された液滴の配置を示す概略図である。
【
図11】第4実施形態に係る液体吐出方法における手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0009】
[第1実施形態に係る液体吐出装置]
図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置500の画像形成部2の斜視図である。液体吐出装置500は、例えば記録媒体1に対してインク(液滴)を吐出するインクジェット方式の画像形成装置である。画像形成装置は、記録装置とも呼ばれる。また、各図において、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印が示されている場合がある。Y軸方向は、記録媒体1の搬送方向Cに沿う。Z軸方向は、上下方向に沿う。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、その他の方向でもよい。
【0010】
[ヘッドユニット]
図1に示す例では、液体吐出装置500は、ヘッドユニット17を含む画像形成部2を有する。ヘッドユニット17は、4色のヘッドモジュール(ヘッドアレイ)20Y,20M,20C,20K、駆動制御基板3、フラットケーブル19、およびアジャスタプレート18を備えている。ヘッドモジュール20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ複数の記録ヘッド40をもつ。
【0011】
駆動制御基板3は、記録ヘッド40が備える圧電素子(圧力発生素子)を駆動するための駆動波形を生成する回路(駆動波形生成回路)と、画像データ信号を生成するための回路と、を備えるリジッド基板である。フラットケーブル19は、駆動制御基板3と各記録ヘッド40とを電気的に接続するものである。アジャスタプレート18は、複数の各記録ヘッド40を高精度に配置し固定するものである。記録ヘッド40は、液体吐出ヘッドとも呼ばれる。
【0012】
ヘッドモジュール20Y,20M,20C,20Kにおける各記録ヘッド40は、圧電素子を内蔵している。そして、各記録ヘッド40において、駆動制御基板3から送信される駆動波形と画像データ信号に基づいて圧電素子を駆動し、記録媒体1にインクを吐出する。記録媒体1は、例えば用紙である。各記録ヘッド40のノズル面は、アジャスタプレート10の下面であるプラテン上に所定の隙間を保って支持されていることで、記録媒体1と所定の隙間を保って支持されている。記録媒体1は、搬送方向Cに搬送される。
【0013】
図2は、
図1中のヘッドユニット17の底面図である。
図2に示したヘッドユニット17は、4つのヘッドモジュール20Y,20M,20C,20Kの集合体を含む。4つのヘッドモジュール20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ異なるインク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を吐出する。ヘッドモジュール20Yは、イエローのインクを吐出する。ヘッドモジュール20Mは、マゼンタのインクを吐出する。ヘッドモジュール20Cは、シアンのインクを吐出する。ヘッドモジュール20Kは、ブラックのインクを吐出する。
【0014】
各ヘッドモジュール20Y,20M,20C,20Kは、記録媒体1の搬送方向Cと直交するX軸方向に延びている。このようにヘッドをアレイ化することにより広域な印刷領域幅を確保している。印刷領域幅は、X軸方向において、ヘッドモジュール20Y,20M,20C,20Kが配置されている領域の幅でもよい。
【0015】
ヘッドモジュール20Yは、複数の記録ヘッド40を有する。複数の記録ヘッド40は、X軸方向に並ぶ。同様に、ヘッドモジュール20M,20C,20Kは、それぞれ、複数の記録ヘッド40を有する。各ヘッドモジュール20M,20C,20Kに含まれる複数の記録ヘッド40は、X軸方向に並ぶ。
【0016】
ヘッドユニット17は、直線状に並ぶ複数の記録ヘッド40を有する。ヘッドユニット17において、複数の記録ヘッド40は、Y軸方向において、交互に配置されていてもよい。また、ヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド40を有するものに限定されず、1つの記録ヘッド40を備えるものでもよい。
【0017】
[ノズル列]
図3は、
図2中の記録ヘッド40のノズル板41を示す底面図である。
図3に示されるように、記録ヘッド40は、ノズル板41を備える。ノズル板41には、複数のノズル列NL1~NL4が形成されている。ノズル板41は、ノズル面41aを含む。ノズル面41aは、ノズル板41の底面であり、Z軸方向において、記録媒体1と対向する面である。
【0018】
記録ヘッド40のノズル面41aには多数のノズルNが形成されている。複数のノズルNは、X軸方向に並ぶ。X軸方向は、第1方向の一例である。ノズル列NL1~NL4は、X軸方向に並ぶ複数のノズルNを含む。ノズル列NL1は、第1ノズル列の一例である。ノズル列NL2は、第2ノズル列の一例である。ノズル列NL1に含まれるノズルN1は、第1ノズルの一例である。ノズル列NL2に含まれるノズルN2は、第2ノズルの一例である。同一の記録ヘッド40において、ノズル列NL1~NL4に含まれるノズルN(N1~N4)から吐出される液滴は、同色のインクである。
【0019】
複数のノズル列NL1~NL4は、平行に並ぶ。X軸方向において同じ位置に配置されたノズル列NL1~NL4の複数のノズルN(N1~N4)は、記録媒体1の同じ解像度領域に、インクを着弾させることができる。ノズルN(N1~N4)は、記録媒体1にインクを吐出することにより、印字する。複数のノズルN(N1~N4)がX軸方向において同じ位置に配置されていることを、オーバーラップしているという。
【0020】
例えば、ノズル列NL1に含まれるノズルN1(第1ノズル)と、ノズル列NL2に含まれるノズルN2(第2ノズル)と、ノズル列NL3に含まれるノズルN3(第3ノズル)と、ノズル列NL4に含まれるノズルN4(第4ノズル)と、は、Y軸方向(第2方向)に見て、互いに重なる位置に配置されている。
【0021】
ノズルN1~N4から吐出された液滴は、記録媒体1上で重なってもよい。ノズルN1~N4から吐出された液滴は、記録媒体1上で重ならなくてもよい。
【0022】
ヘッドユニット17において、記録ヘッド40の数量及び配置は、適宜、変更されてもよい。ヘッドユニット17において、配色及びノズル列NL1~NL4の配置も、適宜、変更されてもよい。
【0023】
同一の記録ヘッド40において、ノズル列NL1~NL4に含まれるノズルNから吐出される液滴は、互いに異なる色のインクでもよい。
【0024】
[圧力発生素子]
図4は、液体吐出装置500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。記録ヘッド40は、
図4に示されるように、複数の圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxを有する。記録ヘッド40の内部には、複数のノズルNに対応する複数の圧力室が形成されている。例えば1つのノズルNに対して1つの圧力室が設けられている。複数の圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxは、ノズルN及び圧力室に対応して設けられている。圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxは、圧力室内のインクの圧力を上昇させる。圧力室内のインクは、圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxによって、昇圧されて、ノズルNから吐出される。圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxは、例えば圧電素子(ピエゾ素子)を含む。
【0025】
圧力発生素子45Paは、例えば、ノズル列NL1に含まれるノズルN(N1)から液滴を吐出させる。圧力発生素子45Pbは、例えば、ノズル列NL2に含まれるノズルN(N2)から液滴を吐出させる。圧力発生素子45Pcは、例えば、ノズル列NL3に含まれるノズルN(N3)から液滴を吐出させる。圧力発生素子45dは、例えば、ノズル列NL4に含まれるノズルN(N4)から液滴を吐出させる。圧力発生素子45Paは、第1アクチュエータの一例である。圧力発生素子45Pbは、第2アクチュエータの一例である。
【0026】
[液体吐出装置のハードウェア構成]
液体吐出装置500は、メイン制御基板100と、記録ヘッドドライバ210と、画像処理基板300とを備える。記録ヘッドドライバ210は、記録ヘッド40と電気的に接続されている。画像処理基板300は、画像処理部310を含む。画像処理部310は、画像データを処理して、メイン制御基板100に出力する。
【0027】
メイン制御基板100には、CPU101、FPGA102、RAM103、ROM104が実装されている。CPUは、「Central Processing Unit」の略称である。FPGAは、「field programmable gate array」の略称である。RAMは、「Random Access Memory」の略称である。ROMは、「Read Only Memory」の略称である。
【0028】
CPU101は、液体吐出装置500全体の制御を司り、FPGA102と通信しながら、各種動作制御を行う。
【0029】
FPGA102は、CPU制御部111、メモリ制御部112、I2C制御部113、センサ処理部114、モータ制御部115、及び記録ヘッド制御部116を含む。
【0030】
CPU制御部111は、CPU101と通信し、CPU101の動作を制御する。メモリ制御部112は、RAM103及びROM104にアクセスし、RAM103及びROM104の動作を制御する。I2C制御部113は、NVRAM105と通信し、NVRAM105の動作を制御する。センサ処理部114は、各種センサ130の処理を行う。モータ制御部115は、各種モータ140の動作を制御する。記録ヘッド制御部116は、ROM104に格納されているヘッド駆動データなどを、駆動波形生成回路217a,217b,217c,217xに供給して、駆動波形生成回路217a,217b,217c,217xに駆動波形を生成される。
【0031】
[記録ヘッドドライバ]
記録ヘッドドライバ210は、複数の駆動波形生成回路217a,217b,217c,…,217xを含む。駆動波形生成回路217a,217b,217c,…,217xの数量は、記録ヘッド40の複数の圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxの数量と同数である。記録ヘッドドライバ210は、複数の駆動波形生成回路217a,217b,217c,…,217xの動作を制御するドライバ制御部216を含む。記録ヘッドドライバ210は、ノズルNから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部の一例である。
【0032】
駆動波形生成回路217aは、圧力発生素子45Paを駆動させるための駆動波形を生成し、駆動波形を圧力発生素子45Paに供給する。駆動波形生成回路217bは、圧力発生素子45Pbを駆動させるための駆動波形を生成し、駆動波形を圧力発生素子45Pbに供給する。駆動波形生成回路217cは、圧力発生素子45Pcを駆動させるための駆動波形を生成し、駆動波形を圧力発生素子45Pcに供給する。駆動波形生成回路217dは、圧力発生素子45Pdを駆動させるための駆動波形を生成し、駆動波形を圧力発生素子45Pdに供給する。駆動波形生成回路217xは、圧力発生素子45Pxを駆動させるための駆動波形を生成し、駆動波形を圧力発生素子45Pxに供給する。
【0033】
[比較例に係る駆動波形]
次に、
図5を参照して、比較例に係る駆動波形について説明する。
図5は、比較例に係る駆動波形P31を示す波形図である。
図5では、横軸に時間の経過を示し、縦軸に電位を示す。
【0034】
駆動波形P31は、複数のパルス波形P11,P12,P13を含む。例えば、比較例に係る記録ヘッドドライバは、小滴D11を打つ場合に、パルス波形P11を記録ヘッドに供給する。比較例に係る記録ヘッドドライバは、中滴D21を打つ場合に、駆動波形P21(パルス波形P11,12)を記録ヘッドに供給する。比較例に係る記録ヘッドドライバは、大滴D31を打つ場合に、駆動波形P31を記録ヘッドに供給する。比較例では、「液滴を打たない」、「小滴D11を吐出する」、「中滴D21を吐出する」、「大滴D31を吐出する」の4つのパターンを選択可能である。駆動波形P31は、例えば、4値波形とも呼ばれる。
【0035】
比較例に係る駆動波形P31は、複数のパルス波形P11,P12,P13を含むため、駆動波形P31の長さ(波形長、周期)が長くなり、駆動周波数に制限がかかってしまう。波形長は一般にμs(マイクロ秒)で表現され、その逆数が駆動周波数の上限となる。
【0036】
例えば波形長が20μsの場合、駆動周波数の上限は50kHzとなる。駆動周波数が高いほど、記録ヘッドからの吐出が速くなるため、液体吐出装置における生産性が上がる。一方、駆動周波数が低い場合、生産性が低下するほか、駆動波形を設計する上での余裕度がなくなり、液体吐出装置における液体の吐出安定性を確保できない可能性がある。
【0037】
図6は、比較例に係るノズル列、及び記録媒体に吐出された液滴の配置を示す概略図である。比較例では、1つのノズルNから小滴D11、中滴D21、大滴D31を吐出させることができる。比較例では、1つのノズルNに対応する圧力発生素子に対して、駆動波形P31が供給される。それぞれのノズルNが走査方向に滴種を打ち分けることにより、記録媒体1上に画像が形成される。
【0038】
[実施形態に係る駆動波形]
次に
図7を参照して記録ヘッド40に供給される駆動波形について説明する。
図7は、記録ヘッド40に供給される駆動波形P41,P51,P61,P71を示す波形図である。液体吐出装置500の記録ヘッドドライバ210では、
図7に示されるように複数の2値(打つ/打たない)波形を利用できる。
【0039】
駆動波形P41は、ドットA(D41)を打つ場合に利用される。駆動波形P51は、ドットB(D51)を打つ場合に利用される。駆動波形P61は、ドットC(D61)を打つ場合に利用される。駆動波形P71は、ドットD(D61)を打つ場合に利用される。駆動波形P51は、第1アクチュエータに供給される第1駆動信号の一例である。駆動波形P61は、第2アクチュエータに供給される第2駆動信号の一例である。
【0040】
駆動波形P41,P51,P61,P71は、互いに異なる単一のパルス波形を有する。駆動波形P41,P51,P61,P71は、1周期あたり1つの単一のパルス波形を有する。1周期とは、例えば、1度、基準電位Veとなったあと、再び、基準電位Veとなるまでの時間の長さでもよい。
【0041】
駆動波形P41,P51,P61,P71は、
図5に示される比較例に係る駆動波形P31のように複数のパルス波形P11,P12,P13を持たないことにより、比較例に係る駆動波形P31と比較して波形長が短い。そのため、駆動波形P41,P51,P61,P71を適用する場合には、駆動周波数の上限を高くすることができる。
【0042】
しかしながら、駆動波形P41,P51,P61,P71を適用する場合には、1つの駆動波形に、複数の滴種を打つための波形が含まれないため、記録媒体1上に形成される画質が低下するおそれがある。また、液体吐出装置500において、液滴を吐出させるための駆動波形を、画像形成中に切り替えることは困難である。
【0043】
[液滴の吐出動作の制御]
図4に示される記録ヘッドドライバ210は、ノズルNから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部である。
図8は、第1実施形態に係る記録ヘッド40、及び記録媒体1に吐出された液滴の配置を示す概略図である。
図7及び
図8に示されるように、記録ヘッド40から吐出される液滴は、ドットA(D41)と、ドットB(D51)と、ドットC(D61)と、ドットD(D71)と、を含む。液滴の吐出量は、ドットA(D41)、ドットB(D51)、ドットC(D61)、ドットD(D71)の順に多い。
【0044】
記録ヘッドドライバ210は、記録ヘッド40において、複数のノズル列NL1,NL2,NL3,NL4ごとに異なる吐出量の液滴を吐出するように吐出動作を制御する。例えば、ドットA(D41)は、ノズル列NL1から吐出される。ドットB(D51)は、ノズル列NL2から吐出される。ドットC(D61)は、ノズル列NL3から吐出される。ドットD(D71)は、ノズル列NL4から吐出される。
【0045】
記録ヘッドドライバ210は、記録媒体1上において、それぞれ異なる解像度領域に、異なる吐出量のドットA(D41)、ドットB(D51)、ドットC(D61)、及びドットD(D71)を吐出することができる。
【0046】
記録ヘッドドライバ210は、記録媒体1上において、同一の解像度領域に異なる吐出量のドットA(D41)、ドットB(D51)、ドットC(D61)、及びドットD(D71)を吐出することができる。例えば、記録ヘッドドライバ210は、同一の解像度領域に、ドットC(D61)、及びドットD(D71)を吐出することができる。例えば、記録ヘッドドライバ210は、同一の解像度領域に、ドットA(D41)、及びドットC(D61)を吐出することができる。
【0047】
[第1実施形態に係る液体吐出装置の作用効果]
第1実施形態に係る液体吐出装置500は、それぞれがX軸方向(第1方向)に並ぶ複数のノズルNを有し、X軸方向と交差するY軸方向(第2方向)に異なる位置に配置された複数のノズル列NL1~NL4と、駆動信号を供給することにより、ノズルNから吐出される液滴の吐出動作を制御する記録ヘッドドライバ(制御部)210と、を備える。駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有する。記録ヘッドドライバ210は、複数のノズル列NL1~NL4ごとに異なる吐出量の液滴(ドットA,ドットB,ドットC,ドットD)を吐出するように、吐出動作を制御する。
【0048】
このような液体吐出装置500によれば、複数のパルス波形P11~P13を含む駆動波形P31を用いないため、波形長を短くすることができる。これにより、液体吐出装置500における生産性の向上を図ることができる。液体吐出装置500では、駆動波形の波形長を短くすることにより、吐出安定性を確保することができる。かつ、複数のノズル列NL1~NL4ごとに異なる吐出量の液滴を吐出することにより、異なる吐出量の液滴により画像形成することができる。
【0049】
また、液体吐出装置500において、複数のノズル列NL1~NL4は、X軸方向に並ぶ複数のノズル(第1ノズル)N1を含むノズル列(第1ノズル列)NL1と、Y軸方向においてノズル列NL1と異なる位置に配置され、X軸方向に並ぶ複数のノズル(第2ノズル)N2を含むノズル列(第2ノズル列)NL2と、を有する。記録ヘッドドライバ210は、複数のノズルN1からドットA(液滴)を吐出させる圧力発生素子(第1アクチュエータ)45Paに駆動波形(第1駆動信号)P41を供給し、複数のノズルN2からドットB(液滴)を吐出させる圧力発生素子(第2アクチュエータ)45Pbに駆動波形(第2駆動信号)P51を供給する。駆動波形P41,P51は、互いに異なる単一のパルス波形を有する。駆動波形P41,P51,P61,P71は、パルス幅および最大電圧の少なくとも一方が互いに異なる単一のパルス波形を有する。
【0050】
液体吐出装置500によれば、駆動波形P41,P51は、互いに異なる単一のパルス波形を有することにより、駆動波形P41,P51における波形長を従来の駆動波形P31における波形長よりも短くできる。これより、液体吐出装置500における生産性の向上を図ることができる。液体吐出装置500によれば、波形長を短くすることができるので、吐出安定性を確保することができる。駆動波形P41,P51における波形長を短くすることにより、駆動波形を設計する上での余裕度を確保することができる。
【0051】
また、液体吐出装置500において、複数のノズル列NL1~NL4は、Y軸方向においてノズル列NL1,NL2と異なる位置に配置され、X軸方向に並ぶ複数のノズルN3を含むノズル列NL3と、Y軸方向においてノズル列NL1~NL3と異なる位置に配置され、X軸方向に並ぶ複数のノズルN4を含むノズル列NL4と、を有する。記録ヘッドドライバ210は、複数のノズルN2からドットCを吐出させる圧力発生素子45Pcに駆動波形P61を供給し、複数のノズルN4からドットDを吐出させる圧力発生素子45Pdに駆動波形P71を供給する。駆動波形P41,P51,P61,P71は、パルス幅および最大電圧の少なくとも一方が互いに異なる単一のパルス波形を有する。
【0052】
液体吐出装置500によれば、駆動波形P41,P51,P61,P71は、互いに異なる単一のパルス波形を有することにより、駆動波形P41,P51,P61,P71における波形長を従来の駆動波形P31における波形長よりも短くできる。これより、液体吐出装置500における生産性の向上を図ることができる。液体吐出装置500によれば、波形長を短くすることができるので、吐出安定性を確保することができる。駆動波形P41,P51,P61,P71における波形長を短くすることにより、駆動波形を設計する上での余裕度を確保することができる。液体吐出装置500では、駆動波形P41,P51,P61,P71の波形長を短くすることができるので、同一のノズルNにおいて、液滴を吐出してから次の液滴を吐出するまでに、メニスカスが形成される時間を確保することができる。そのため、液体吐出装置500によれば、吐出安定性を確保することができる。
【0053】
また、液体吐出装置500において、駆動波形(第1駆動信号及び第2駆動信号)P41,P51,P61,P71は、1周期あたり1つの単一のパルス波形を有する。これにより、駆動波形P41,P51,P61,P71における波形長を短くすることができ、生産性の向上を図り、吐出安定性を確保することができる。液体吐出装置500では、1つの駆動波形P41,P51,P61,P71を用いて、それぞれ1つの滴種の液滴を打つことができる。液体吐出装置500では、駆動波形P41を用いてドットA(D41)を打つことができ、駆動波形P51を用いてドットB(D51)を打つことができ、駆動波形P61を用いてドットC(D61)を打つことができ、駆動波形P71を用いてドットD(D71)を打つことができる。
【0054】
また、液体吐出装置500において、複数のノズルN1から吐出されるドットAと、複数のノズルN2から吐出されるドットBと、複数のノズルN3から吐出されるドットCと、複数のノズルN4から吐出されるドットDとは、同色のインクである。これにより、Y軸方向において異なる位置に配置された複数のノズル列NL1~NL4のノズルN1~N4から同色のインクを吐出することができる。
【0055】
また、液体吐出装置500において、複数のノズルN1~N4は、Y軸方向に見て、互いに重なる位置に配置されている。換言すると、複数のノズルN1~N4は、X軸方向において、同じ位置に配置されている。これより、記録媒体1において、同一の解像度領域に、異なる吐出量の複数のドットA、ドットB、ドットC、及びドットDを打つことができる。
【0056】
また、液体吐出装置500において、記録ヘッドドライバ210は、記録媒体1上で、ノズルN1から吐出されたドットAと、ノズルN2から吐出されたドットBと、ノズルN3から吐出されたドットCと、ノズルN4から吐出されたドットDとが重なるように、吐出動作を制御する。液体吐出装置500では、異なる吐出量の液滴を、同一の解像度領域に打つことができることにより、画像の品質を向上させることができる。液体吐出装置500では、重ね合わせるドットA、ドットB、ドットC、及びドットDを適宜、選択することができる。そのため、画像の品質のさらなる向上を図ることができる。
【0057】
液体吐出装置500によれば、複数のドットA、ドットB、ドットC、及びドットDを記録媒体1上で重ね合わせることができるので、ノズルNから吐出されるドットA、ドットB、ドットC、及びドットDにおける1回の吐出量を従来と比較して少なくしてもよい。液体吐出装置500では、従来と比較して小さいドットA、ドットB、ドットC、及びドットDを吐出してもよい。この場合において、駆動波形P41,P51,P61,P71における基準電位Veを低く抑えることにより、圧力発生素子45Pへの負荷を低減することができる。
【0058】
また、液体吐出装置500において、複数のノズル列NL1~NL4は、同一の記録ヘッド40に形成されている。これにより、1つの記録ヘッド40において、異なる吐出量の液滴を吐出する複数のノズル列NL1~NL4を配置することができる。
【0059】
[第2実施形態に係る液体吐出装置]
次に、
図9を参照して、第2実施形態に係る液体吐出装置について説明する。
図9は、第2実施形態に係る記録ヘッド40A,40B、及び記録媒体1に吐出された液滴の配置を示す概略図である。第2実施形態に係る液体吐出装置500が、第1実施形態に係る液体吐出装置500と違う点は、ドットA(D41)、ドットB(D51)、ドットC(D61)、及びドットD(D71)を吐出するノズル列NL11~NL14,NL21~N24が複数の記録ヘッド40A,40Bに別れて配置されている点である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。記録ヘッド40A,40Bは、記録ヘッド40と同じ構成でもよい。
【0060】
第2実施形態に係る液体吐出装置500のヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド40A,40Bを備える。記録ヘッド40A,40Bは、Y軸方向に並んで配置されている。記録ヘッド40Aは、複数のノズル列NL11~NL14を有する。記録ヘッド40Bは、複数のノズル列NL21~NL24を有する。
【0061】
記録ヘッド40Aのノズル列NL11は、ドットA(D41)を吐出する。記録ヘッド40Aのノズル列NL12は、ドットC(D61)を吐出する。記録ヘッド40Bのノズル列NL21は、ドットB(D51)を吐出する。記録ヘッド40Bのノズル列NL24は、ドットD(D71)を吐出する。
【0062】
記録ヘッド40Aのノズル列NL11,NL12、及び記録ヘッド40Bのノズル列NL21,NL24は、同色のインクを吐出する。
【0063】
また、記録ヘッド40Aのノズル列NL13は、ドットA(D41)を吐出する。記録ヘッド40Aのノズル列NL14は、ドットC(D61)を吐出する。記録ヘッド40Bのノズル列NL22は、ドットB(D51)を吐出する。記録ヘッド40Bのノズル列NL23は、ドットD(D71)を吐出する。
【0064】
記録ヘッド40Aのノズル列NL13,NL14、及び記録ヘッド40Bのノズル列NL22,NL23は、同色のインクを吐出する。記録ヘッド40Aのノズル列NL13,NL14、及び記録ヘッド40Bのノズル列NL22,NL23は、記録ヘッド40Aのノズル列NL11,NL12、及び記録ヘッド40Bのノズル列NL21,NL24とは、異なる色のインクを吐出する。
【0065】
記録ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路217a,217b,217c,…,217xは、駆動波形P41,P51,P61,P71を生成する。駆動波形生成回路217a,217b,217c,…,217xは、対応する圧力発生素子45Pa,45Pb,45Pc,…,45Pxに、駆動波形P41,P51,P61,P71を供給する。
【0066】
[第2実施形態に係る液体吐出装置の作用効果]
第2実施形態に係る液体吐出装置においても、上記の第1実施形態に係る液体吐出装置と同様の作用効果を奏する。
【0067】
液体吐出装置において、ドットAを吐出するノズル列NL11と、ドットBを吐出するノズル列NL21とは、互いに異なる記録ヘッド40A,40Bに形成されている。同様に、液体吐出装置において、ドットCを吐出するノズル列NL12と、ドットDを吐出するノズル列NL24とは、互いに異なる記録ヘッド40A,40Bに形成されている。このように、同色のインクであるドットA、ドットB、ドットC、及びドットDは、同一の記録ヘッド40から吐出されなくてもよい。
【0068】
液体吐出装置において、同色のインクであるドットA、ドットB、ドットC、及びドットDは、3つ以上の複数の記録ヘッド40から吐出されてもよい。
【0069】
[第3実施形態に係る液体吐出装置]
次に、
図10を参照して、第3実施形態に係る液体吐出装置について説明する。
図10は、第3実施形態に係る記録ヘッド40A,40B、及び記録媒体1に吐出された液滴の配置を示す概略図である。第3実施形態に係る液体吐出装置500が、第2実施形態に係る液体吐出装置500と違う点は、記録ヘッド40A,40Bに代えて、記録ヘッド40C,40Dを備える点である。記録ヘッド40C,40Dにおけるノズル列の配置は、記録ヘッド40A,40Bにおけるノズル列の配置と異なる。なお、第3実施形態の説明において、第1,2実施形態と同様の説明は省略する。
【0070】
第3実施形態に係る液体吐出装置500のヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド40C,40Dを備える。記録ヘッド40C,40Dは、Y軸方向に並んで配置されている。記録ヘッド40Cは、複数のノズル列NL31~NL34を有する。記録ヘッド40Dは、複数のノズル列NL41~NL44を有する。
【0071】
記録ヘッド40Cのノズル列NL31,NL33は、X軸方向において、ノズル列NL32,NL34と異なる位置に配置されている。記録ヘッド40Dのノズル列NL41,43は、X軸方向において、ノズル列NL42,NL44と異なる位置に配置されている。
【0072】
記録ヘッド40Cのノズル列NL31,NL33は、X軸方向において、記録ヘッド40Dのノズル列NL41,NL43と、同じ位置に配置されている。Y軸に見て、ノズル列NL31,NL33,NL41,NL43に含まれるノズルNは、互いに同じ位置に配置されている。
【0073】
記録ヘッド40Cのノズル列NL32,NL34は、X軸方向において、記録ヘッド40Dのノズル列NL42,NL44と、同じ位置に配置されている。Y軸に見て、ノズル列NL32,NL34,NL42,NL44に含まれるノズルNは、互いに同じ位置に配置されている。
【0074】
記録ヘッド40Cのノズル列NL31は、ドットA(D41)を吐出する。記録ヘッド40Cのノズル列NL33は、ドットC(D61)を吐出する。記録ヘッド40Dのノズル列NL41は、ドットB(D51)を吐出する。記録ヘッド40Dのノズル列NL43は、ドットD(D71)を吐出する。
【0075】
記録ヘッド40Cのノズル列NL31,NL33、及び記録ヘッド40Dのノズル列NL41,NL43は、同色のインクを吐出する。
【0076】
記録ヘッド40Cのノズル列NL32は、ドットA(D41)を吐出する。記録ヘッド40Cのノズル列NL34は、ドットC(D61)を吐出する。記録ヘッド40Dのノズル列NL42は、ドットB(D51)を吐出する。記録ヘッド40Dのノズル列NL44は、ドットD(D71)を吐出する。
【0077】
記録ヘッド40Cのノズル列NL32,NL34、及び記録ヘッド40Dのノズル列NL42,NL44は、同色のインクを吐出する。記録ヘッド40Cのノズル列NL32,NL34、及び記録ヘッド40Dのノズル列NL42,NL44は、記録ヘッド40Cのノズル列NL31,NL33、及び記録ヘッド40Dのノズル列NL41,NL43とは、異なる色のインクを吐出する。
【0078】
[第3実施形態に係る液体吐出装置の作用効果]
第3実施形態に係る液体吐出装置においても、上記の第1実施形態に係る液体吐出装置と同様の作用効果を奏する。
【0079】
液体吐出装置において、記録ヘッド40Cは、Y軸方向において異なる位置に配置された複数のノズル列NL31,NL33と、ノズル列NL32,NL34とを備える。記録ヘッド40Cにおいて、Y軸方向において異なる位置に配置された複数のノズル列NL31,NL33に含まれるノズルNと、ノズル列NL32,NL34に含まれるノズルNとは、X軸方向においてずれて配置されている。
【0080】
液体吐出装置において、記録ヘッド40Dは、Y軸方向において異なる位置に配置された複数のノズル列NL41,NL43と、ノズル列NL42,NL44とを備える。記録ヘッド40Dにおいて、Y軸方向において異なる位置に配置された複数のノズル列NL41,NL43に含まれるノズルNと、ノズル列NL42,NL44に含まれるノズルNとは、X軸方向においてずれて配置されている。
【0081】
液体吐出装置500において、記録ヘッド40C,40DにおけるノズルNは、X軸方向において、同一でなくてもよい。
【0082】
[第4実施形態に係る液体吐出方法]
次に、
図11を参照して、第4実施形態に係る液体吐出方法について説明する。
図11は、第4実施形態に係る液体吐出方法における手順を示すフローチャートである。第4実施形態に係る液体吐出方法は、例えば、第1実施形態に係る液体吐出装置500によって実行することができる。なお、第4実施形態の説明において、上記の第1~第3実施形態に係る液体吐出装置と同様の説明は省略する。
【0083】
図11に示す液体吐出方法では、まず、ノズル列NL1のノズルN1からドットA(D41)を吐出する(ステップS11)。ステップS11では、記録ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路217aは、駆動波形P41を生成し、圧力発生素子45Paに駆動波形P41を供給する。圧力発生素子45Paは、駆動波形P41に応じて駆動され、ノズルN1からドットA(D41)を吐出させる。吐出したドットAは、記録媒体1上に付着する。
【0084】
次に、液体吐出方法では、ノズル列NL2のノズルN2からドットB(D51)を吐出する(ステップS12)。ステップS12では、記録ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路217bは、駆動波形P51を生成し、圧力発生素子45Pbに駆動波形P51を供給する。圧力発生素子45Pbは、駆動波形P51に応じて駆動され、ノズルN2からドットB(D51)を吐出させる。吐出したドットBは、記録媒体1上に付着する。
【0085】
次に、液体吐出方法では、ノズル列NL3のノズルN3からドットC(D61)を吐出する(ステップS13)。ステップS13では、記録ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路217cは、駆動波形P61を生成し、圧力発生素子45Pcに駆動波形P61を供給する。圧力発生素子45Pcは、駆動波形P61に応じて駆動され、ノズルN3からドットC(D61)を吐出させる。吐出したドットCは、記録媒体1上に付着する。
【0086】
次に、液体吐出方法では、ノズル列NL4のノズルN4からドットD(D71)を吐出する(ステップS14)。ステップS14では、記録ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路217dは、駆動波形P71を生成し、圧力発生素子45Pdに駆動波形P71を供給する。圧力発生素子45Pdは、駆動波形P71に応じて駆動され、ノズルN4からドットD(D71)を吐出させる。吐出したドットDは、記録媒体1上に付着する。
【0087】
本実施形態に係る液体吐出方法は、X軸方向に複数のノズルNが並び、X軸方向と交差するY軸方向に異なる位置に配置された複数のノズル列NLのノズルNから液体を吐出する液体吐出方法であって、複数のノズル列NLごとに異なる吐出量の液滴を吐出する。
【0088】
このような液体吐出方法によれば、複数のパルス波形P11~P13を含む駆動波形P31を用いないため、波形長を短くすることができる。これにより、液体吐出方法における生産性の向上を図ることができる。液体吐出方法では、駆動波形の波形長を短くすることにより、吐出安定性を確保することができる。かつ、複数のノズル列NL1~NL4ごとに異なる吐出量の液滴を吐出することにより、異なる吐出量の液滴により画像形成することができる。
【0089】
なお、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0090】
[シリアルヘッド]
液体吐出装置500は、ノズル列NL1~NL4が記録媒体1の搬送方向Cと交差する方向に延在するラインヘッドを備えるものに限定されない。液体吐出装置500は、記録ヘッド40を搭載するキャリッジを有するシリアルヘッドを備えるものでもよい。液体吐出装置500は、記録ヘッド40を搭載するキャリッジを搬送方向Cと交差する方向に移動させることができる。キャリッジに搭載された記録ヘッド40のノズル列NL1~NL4は、搬送方向Cに沿って配置されていてもよい。
【0091】
[処理回路]
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0092】
上記の実施形態において、記録ヘッドドライバ210における処理の一部又は全部は、メイン制御基板100によって実行してもよい。同様に、メイン制御基板100による処理の一部は、記録ヘッドドライバ210によって実行してもよい。
【0093】
[液体吐出装置]
上記の実施形態では、液体吐出装置の一例として、画像形成装置である液体吐出装置について説明しているが、液体吐出装置は、画像形成装置に限定されない。液体吐出装置は、液滴としてインクを吐出するものに限定されず、その他の液体を吐出するものでもよい。液体吐出装置は、複数の色のインクを吐出するカラープリンターでもよく、単一の色のインクを吐出するプリンターでもよい。
【0094】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
【0095】
<1>
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列と、
駆動信号を供給することにより、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部と、を備え、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、液体吐出装置。
【0096】
<2>
前記複数のノズル列は、
前記第1方向に並ぶ複数の第1ノズルを含む第1ノズル列と、
前記第2方向において前記第1ノズル列と異なる位置に配置され、前記第1方向に並ぶ複数の第2ノズルを含む第2ノズル列と、を有し、
前記制御部は、
前記複数の第1ノズルから液滴を吐出させる第1アクチュエータに第1駆動信号を供給し、
前記複数の第2ノズルから液滴を吐出させる第2アクチュエータに第2駆動信号を供給し、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号は、パルス幅および最大電圧の少なくとも一方が互いに異なる前記単一のパルス波形を有する、上記<1>に記載の液体吐出装置。
【0097】
<3>
前記複数の第1ノズルから吐出される液滴と、前記複数の第2ノズルから吐出される液滴は、同色のインクである、上記<2>に記載の液体吐出装置。
【0098】
<4>
前記複数の第1ノズル及び前記複数の第2ノズルは、前記第2方向に見て、互いに重なる位置に配置されている、上記<2>又は<3>に記載の液体吐出装置。
【0099】
<5>
前記制御部は、
記録媒体上で、前記第1ノズルから吐出された液滴と、前記第2ノズルから吐出された液滴とが重なるように、前記吐出動作を制御する上記<2>~<4>のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
【0100】
<6>
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は、同一の記録ヘッドに形成されている、上記<2>~<5>のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
【0101】
<7>
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は、互いに異なる記録ヘッドに形成されている、上記<2>~<6>のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
【0102】
<8>
複数の記録ヘッドを有し、
前記複数の記録ヘッドごとに異なる種類のインクを吐出する上記<2>~<7>のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
【0103】
<9>
前記記録ヘッドは、前記第2方向において異なる位置に配置された複数のノズル列を備え、
前記記録ヘッドにおいて、前記第2方向において異なる位置に配置された前記複数のノズル列に含まれるノズルは、前記第1方向において、ずれて配置されている、上記<6>~<8>のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
【0104】
<10>
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列を備える液体吐出装置と、
駆動信号を供給することにより、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御する制御部と、を備え、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、液体吐出システム。
【0105】
<11>
液体吐出装置による液体吐出方法であって、
前記液体吐出装置は、
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列を備え、
制御部により、駆動信号を供給することによって、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御し、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、液体吐出方法。
【0106】
<12>
それぞれが第1方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向における異なる位置に配置された複数のノズル列を備える液体吐出装置における液滴の吐出動作を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
制御部により、駆動信号を供給することによって、前記ノズルから吐出される液滴の吐出動作を制御し、
前記駆動信号は、1周期内に単一のパルス波形を有し、
前記制御部は、前記複数のノズル列ごとに異なる吐出量で液滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0107】
500 液体吐出装置
1 記録媒体
17 ヘッドユニット
20Y,20M,20C,20K ヘッドモジュール
40,40A,40B 記録ヘッド
45Pa,45Pb,45Pc,45Pd 圧力発生素子
210 記録ヘッドドライバ(制御部)
N ノズル
N1 ノズル(第1ノズル)
N2 ノズル(第2ノズル)
NL1~NL4 ノズル列
NL11~NL14 ノズル列
NL21~NL24 ノズル列
NL31~NL34 ノズル列
NL41~NL44 ノズル列
X X軸方向(第1方向)
Y Y軸方向(第2方向)
Z Z軸方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】