(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174490
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 241/02 20060101AFI20241210BHJP
C07D 231/38 20060101ALI20241210BHJP
C07C 243/18 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C07C241/02
C07D231/38 B
C07C243/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092342
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】林 祐希
(72)【発明者】
【氏名】安冨 弘樹
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB84
4H006AC59
4H006AD16
4H006BB14
4H006BB15
4H006BB25
4H006BC31
4H006BE27
(57)【要約】
【課題】 純度の高いベンジルヒドラジン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】 一側面によると、ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させて、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を得ることと、第1混合物と第1分離液とを接触させて、第1有機層及び第1水層に分離させることとを含む。第1混合物は、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体、ヒドラジン化合物、及び第1有機溶媒を含む。第1分離液は、水を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させて、下記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を得ることと、
前記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体、前記ヒドラジン化合物、及び第1有機溶媒を含む第1混合物と、水を含む第1分離液とを接触させて、第1有機層及び第1水層に分離させることと
を含む、ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法:
【化1】
前記式(I)において、
Xは、ハロゲン原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基であり、
Yは、ハロゲン原子、メシル基、又は、トシル基であり、
aは、0以上3以下の整数であり、
【化2】
上記式(II)において、
X、及びaは、前記式(I)におけるものと同義である。
【請求項2】
前記第1有機溶媒は、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、テトラヒドロフラン、及び2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
1gの前記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体に対する前記第1有機溶媒の量は、3mL以上16mL以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1分離液は、食塩水又は水である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ヒドラジン化合物は、ヒドラジン一水和物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
1モルの式(I)に表されるベンジル誘導体に対する前記ヒドラジン化合物の量は、5モル以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記式(I)に表されるベンジル誘導体と前記ヒドラジン化合物とを、前記第1有機溶媒存在下で接触させて前記第1混合物を得ることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記式(I)に表されるベンジル誘導体と前記ヒドラジン化合物とを、第3有機溶媒存在下で接触させて第2混合物を得ることと、前記第2混合物と前記第1有機溶媒とを混合して前記第1混合物を得ることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第3有機溶媒は、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1-プロパノール、2-プロパノール、t-ブタノール、及びテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法で得られた前記第1有機層と、下記式(III)に表される化合物とを接触させて、下記式(IV)に表されるピラゾール誘導体を得ることを含む、ピラゾール誘導体の製造方法:
【化3】
【化4】
前記式(IV)において、
X、及びaは、前記式(I)におけるものと同義である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N-(4,6-ジアミノ-2-{1-[(2-フルオロフェニル)メチル]-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-y}ピリミジン-5-イル)-N-メチルカルバメート(Methyl N-(4,6-diamino-2-{1-[(2-fluorophenyl)methyl]-1H-pyrazolo[3,4-b]pyridin-3- yl}pyrimidin-5-yl) -N-methylcarbamate)は、リオシグアト(Riociguat:ROC)とも呼ばれるグアニル酸シクラーゼ活性化薬及び刺激薬の一種である。リオシグアトは、下記式で表される。
【0003】
【0004】
下記式(IIa)に表される(2-フルオロベンジル)ヒドラジンと、下記式(III)に表される化合物とを反応させることにより、下記式(IVa)に表されるエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートが得られる。これらの化合物は、リオシグアトを合成するための中間体として用いられることがある。
【0005】
【0006】
【0007】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2017/025981号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第105237531号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J. Med. Chem., 1995, 38, 3884-3888
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、不純物の少ないベンジルヒドラジン誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面によると、ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、下記式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させて、下記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を得ることと、第1混合物と第1分離液とを接触させて、第1有機層及び第1水層に分離させることとを含む。第1混合物は、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体、ヒドラジン化合物、及び第1有機溶媒を含む。第1分離液は、水を含む。
【0012】
【0013】
式(I)において、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。Yは、ハロゲン原子、メシル基、又は、トシル基である。aは、0以上3以下の整数である。
【0014】
【0015】
式(II)において、X、及びaは、前記式(I)におけるものと同義である。
【0016】
他の実施形態によると、ピラゾール誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、実施形態に係る方法で得られた第1有機層と、下記式(III)に表される化合物とを接触させて、下記式(IV)に表されるピラゾール誘導体を得ることを含む。
【0017】
【0018】
【0019】
式(IV)において、X、及びaは、前記式(I)におけるものと同義である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、不純物の少ないベンジルヒドラジン誘導体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態によると、ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法が提供される。ベンジルヒドラジン誘導体は、リオシグアト等の原薬を合成するための中間体として用い得る。この製造方法は、式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させて、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を得ることと、第1混合物と第1分離液とを接触させて、第1有機層及び第1水層に分離させることとを含む。第1混合物は、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体、ヒドラジン化合物、及び第1有機溶媒を含む。第1分離液は、水を含む。
【0022】
この製造方法によると、不純物の少ないベンジルヒドラジン誘導体を製造できる。この理由は、以下のとおりであると考えられる。
【0023】
先ず、特許文献1に記載のとおり、上記式(IVa)に表されるエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートは以下の方法で得られる。先ず、ヒドラジン一水和物の水溶液に、2-フルオロベンジルクロリドを加えた後、得られた反応液にジメチルクロロエタンを加えて分液させる。得られた有機層に塩酸酢酸エチル溶液を加え、固体を析出させる。得られた固体をイソプロパノールに溶解させた後、これを冷却して固体を再析出させる。このようにして、上記式(IIa)に表される(2-フルオロベンジル)ヒドラジン塩酸の結晶を得る。得られた(2-フルオロベンジル)ヒドラジン塩酸の結晶と、シュウ酸ジエチル、メチルターシャリーブチルエーテル、及びナトリウムメトキシドの反応物である上記式(III)に表される化合物とを反応させることにより、上記式(IVa)に表されるエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得られる。
【0024】
このように、(2-フルオロベンジル)ヒドラジン塩酸の結晶を得た後、これと式(III)に表される化合物とを反応させる理由は、ヒドラジン一水和物と2-フルオロベンジルクロリドとの反応において、未反応のため残留したヒドラジン一水和物を除去するためと考えられる。すなわち、ヒドラジン一水和物は、(2-フルオロベンジル)ヒドラジンと式(III)に表される化合物との反応を阻害し得ることを本発明者らは見出している。したがって、(2-フルオロベンジル)ヒドラジン及びヒドラジン一水和物の混合物を、式(III)に表される化合物との反応に供すると、エチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを十分な収率で得られにくい。そこで、晶析処理により、(2-フルオロベンジル)ヒドラジン塩酸の結晶からヒドラジン一水和物を除去する必要があると考えられる。
【0025】
実施形態に係る方法では、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体及びヒドラジン化合物を含む第1混合物を、第1分離液による分液処理に供する。これにより、ベンジルヒドラジン誘導体を含む有機層とヒドラジン化合物を含む水層とに分離させることができる。このようにして得られた有機層は、ベンジルヒドラジン誘導体を選択的に含み、ヒドラジン化合物の含有量が少ない。そのため、この有機層は、上記式(III)に表される化合物との反応に供することができ、高い収率で下記式式(IV)に表されるピラゾール誘導体を得られる。すなわち、実施形態に係る方法によると、晶析処理を省略し、分液処理によりベンジルヒドラジン誘導体とヒドラジン化合物とを分離できるため、不純物の少ないベンジルヒドラジン誘導体を効率的に得ることができる。更に、このベンジルヒドラジン誘導体は、不安定で分解し易い化合物である。実施形態に係る方法によると、この分液処理により得られた有機層を、式(III)に表される化合物との反応に用いることができるため、ベンジルヒドラジン誘導体の固体を長期間保管する必要がなく、次の反応を連続的に実施できる。したがって、この製造方法によると、ピラゾール誘導体を少ない工程数で効率的に製造できる。
【0026】
【0027】
式(IV)において、X、及びaは、式(I)におけるものと同義である。
【0028】
以下、実施形態に係る製造方法について、詳細を説明する。
【0029】
(ベンジルヒドラジン誘導体の製造)
この製造方法は、式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させて、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を得ることと、第1混合物と第1分離液とを接触させて、第1有機層及び第1水層に分離させることとを含む。
【0030】
第1混合物は、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体、ヒドラジン化合物、及び第1有機溶媒を含む。第1混合物は、例えば、第1有機溶媒存在下で式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させることにより得られる。
【0031】
式(I)に表されるベンジル誘導体は、公知の方法で合成できる。
【0032】
【0033】
式(I)において、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。Xは、ハロゲン原子であることが好ましく、ヨウ素、フッ素、又は臭素であることがより好ましく、フッ素であることが更に好ましい。
【0034】
Yは、ハロゲン原子、メシル基、又は、トシル基である。Yは、ハロゲン原子であることが好ましく、ヨウ素、フッ素、又は臭素であることがより好ましく、臭素であることが更に好ましい。
【0035】
aは、0以上3以下の整数である。aは、1であることが好ましい。
【0036】
ベンジル誘導体は、下記式(Ia)に表される2-フルオロベンジルブロミドであることが好ましい。この化合物は、リオシグアト合成のための中間体の原料としてより適切である。
【0037】
【0038】
ヒドラジン化合物としては、ヒドラジン(NH2-NH2)若しくはヒドラジン誘導体を用いる。ヒドラジン化合物としては、例えば、ヒドラジン一水和物(N2H4・H2O)、ヒドラジン一塩酸塩、及びヒドラジン二塩酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を用いる。ヒドラジン化合物としては、ヒドラジン一水和物を用いることが好ましい。
【0039】
1モルの式(I)に表されるベンジル誘導体に対するヒドラジン化合物の量は、例えば、5モル以上、すなわち、5モル当量以上である。ヒドラジン化合物の量が多いと、不純物の量が低下する傾向にある。1モルの式(I)に表されるベンジル誘導体に対するヒドラジン化合物の量は、7モル以上であることが好ましい。一方、ヒドラジン化合物は毒性及び引火性を有し得る。危険性の点からは、ヒドラジン化合物の量は、15モル以下であることが好ましく、12モル以下であることがより好ましい。
【0040】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、例えば、大気中で-10℃以上80℃以下の範囲内の温度で行われる。この反応温度は、-10℃以上40℃以下の範囲内で行われることが好ましく、-5℃以上20℃以下の範囲内で行われることがより好ましい。反応温度が高いと、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体の収率が高まる傾向にある。一方、反応温度が過剰に高いと、不純物が生じ易い傾向にある。
【0041】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、例えば、0.5時間以上12時間以下にわたって行われる。この反応時間は、1時間以上6時間以下とすることが好ましい。
【0042】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、第1有機溶媒中で行われる。第1有機溶媒は、ヒドラジン化合物を溶解可能で、かつ、水と不混和な溶媒を用いることが好ましい。第1有機溶媒としては、例えば、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、テトラヒドロフラン、及び2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を用いる。第1有機溶媒は、1-ブタノール、及び2-ブタノールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、2-ブタノールを含むことがより好ましい。これらの溶媒を用いると、ヒドラジン化合物を効率的に除去できる。
【0043】
1gの式(I)に表されるベンジル誘導体に対する第1有機溶媒の量は、例えば、1mL以上50mL以下である。第1有機溶媒の量は、3mL以上16mL以下であることが好ましく、5mL以上12mL以下であることがより好ましい。
【0044】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、第1有機溶媒にヒドラジン化合物を溶解させて得られたヒドラジン溶液に、式(I)に表されるベンジル誘導体を滴下することにより行われることが好ましい。なお、式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、第1有機溶媒に式(I)に表されるベンジル誘導体を溶解させて得られたベンジル誘導体溶液に、ヒドラジン化合物を滴下することにより行われてもよい。
【0045】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、第1有機溶媒及び水の混合溶媒中で行われてもよい。第1有機溶媒の体積V1と水の体積V3との体積比V1/V3は、一例によると、0.1以上5以下であり、他の例によると、0.5以上2以下である。
【0046】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との反応により、下記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体及び第1有機溶媒を含む第1混合物が得られる。この第1混合物には、式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との反応において、未反応のために残留したヒドラジン化合物が、不純物の1種として更に含まれる。
【0047】
【0048】
式(II)において、X、及びaは、式(I)におけるものと同義である。
【0049】
上記2-フルオロベンジルブロミド等、Xがフッ素であるベンジル誘導体を用いた場合、上記式(IIa)で表される(2-フルオロベンジル)ヒドラジンが得られる。(2-フルオロベンジル)ヒドラジンは、リオシグアトを合成するための中間体として有用である。
【0050】
第1混合物には、ヒドラジン化合物以外の不純物が更に含まれ得る。この不純物としては、例えば、下記式(III)に表される第1二量体、下記式(IV)に表される第2二量体、原料である式(I)に表されるベンジル誘導体、その他の化合物が挙げられる。
【0051】
【0052】
式(III)において、X、及びaは、式(I)におけるものと同義である。
【0053】
【0054】
式(IV)において、X、及びaは、式(I)におけるものと同義である。
【0055】
なお、原料として式(Ia)に表される2-フルオロベンジルブロミド等、Xがフッ素であるベンジル誘導体を用いた場合、下記式(IIIa)に表される第1二量体及び下記式(IVa)に表される第2二量体が得られると考えられる。
【0056】
【0057】
【0058】
第1混合物は、式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを、第3有機溶媒存在下で接触させて第2混合物を得た後、この第2混合物と第1有機溶媒とを混合することにより得られてもよい。第2混合物は、第3有機溶媒を含み、第1有機溶媒を含まないこと以外は、第1混合物と同じ化合物を含む。
【0059】
第3有機溶媒は、第1水溶性有機溶媒であってもよく、上述した第1有機溶媒と同種の有機溶媒であってもよい。
【0060】
第1水溶性有機溶媒は、第1有機溶媒とは異なる構造を有する化合物である。第1水溶性有機溶媒は、ヒドラジン化合物を溶解可能で、かつ、第1分離液と均一に混和可能な溶媒を用いることが好ましい。第1水溶性有機溶媒としては、例えば、1-プロパノール、2-プロパノール、及びt-ブタノールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を用いる。
【0061】
1gの式(I)に表されるベンジル誘導体に対する第1水溶性有機溶媒の量は、例えば、1mL以上20mL以下である。第1水溶性有機溶媒の量は、2mL以上15mL以下であることが好ましく、3mL以上10mL以下であることがより好ましい。
【0062】
第2混合物に加える第1有機溶媒の量は、例えば、2mL以上40mL以下である。第1有機溶媒の量は、4mL以上30mL以下であることが好ましく、6mL以上20mL以下であることがより好ましい。
【0063】
第1有機溶媒の体積V1と、第1水溶性有機溶媒の体積V2との比V1/V2は、例えば、1以上10以下であり、1.5以上4以下であることが好ましい。
【0064】
式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触条件等は、上述した第1有機溶媒存在下での接触と同様である。式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物との接触は、第1水溶性有機溶媒にヒドラジン化合物を溶解させて得られたヒドラジン溶液に、式(I)に表されるベンジル誘導体を滴下することにより行われることが好ましい。なお、第1水溶性有機溶媒に式(I)に表されるベンジル誘導体を溶解させて得られたベンジル誘導体溶液に、ヒドラジン化合物を滴下することにより行われてもよい。
【0065】
第3有機溶媒として第1有機溶媒を用いる場合、第1分離液を加える前に、第1混合物に第1有機溶媒を更に追加してもよい。すなわち、第1有機溶媒は、段階的に分割して加えてもよい。例えば、半量の第1有機溶媒でヒドラジン化合物を溶解させてヒドラジン溶液を得た後、このヒドラジン溶液に式(I)に表されるベンジル誘導体を加え、得られた第1混合物に残りの第1有機溶媒を加え、その後第1分離液を加えてもよい。この際、ヒドラジン化合物を溶解させる第1有機溶媒と、第1混合物に加えられる第1有機溶媒、すなわち、第2有機溶媒とは、異なる種類であっても同一種類であってもよい。
【0066】
以上の方法で得られた第1混合物に、第1分離液を加えることにより、第1混合物を第1有機層及び第1水層に分離させることができる。第1水層には、水溶性のヒドラジン化合物が選択的に含まれる。第1有機層には、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体が含まれる。第1有機層には、第1二量体及び第2二量体等の不純物も含まれると考えられる。
【0067】
第1分離液は、水を含み、第1混合物を分液可能な溶媒を用いる。第1分離液は、第1有機溶媒と不混和な溶媒であることが好ましい。第1分離液は、水のみを含んでいてもよく、食塩水であってもよい。水としては、純水、超純水、及びイオン交換水からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。食塩水の濃度は、10質量%以上26質量%以下であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
【0068】
1gの式(I)に表されるベンジル誘導体に対する第1分離液の量は、例えば、1mL以上10mL以下である。第1分離液の量は、1mL以上8mL以下であることが好ましく、2mL以上6mL以下であることがより好ましい。
【0069】
第1混合物と第1分離液との接触は、例えば、大気中で0℃以上50℃以下の範囲内の温度で行われる。この反応温度は、10℃以上30℃以下の範囲内で行われることが好ましい。
【0070】
この分液処理は、複数回行ってもよい。すなわち、第1水層を破棄した後、第1有機層に更に第1分離液を加えて第1有機層及び第1水層に分離し、第1水層を破棄してもよく、この操作を更に繰り返し行ってもよい。
【0071】
以上の方法で得られた第1有機層について、洗浄処理を行ってもよい。洗浄処理は、水、又は、食塩水により行われる。洗浄処理は複数回行ってもよい。
【0072】
(ピラゾール誘導体の製造方法)
以上の方法で得られた、式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を含む第1有機層と、下記式(III)に表される化合物とを接触させることにより、下記式(IV)に表されるピラゾール誘導体を含む第3混合物が得られる。
【0073】
【0074】
【0075】
式(IV)において、X、及びaは、式(I)におけるものと同義である。
【0076】
1モルの式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体に対する式(III)に表される化合物の量は、例えば、0.4モル以上2モル以下である。式(III)に表される化合物の量は、0.6モル以上1.8モル以下であることが好ましく、0.8モル以上1.6モル以下であることがより好ましい。
【0077】
第1有機層と下記式(III)に表される化合物との反応は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、又はこれらの混合ガスを用いることが好ましい。この反応温度は、20℃以上120℃以下の範囲内で行われることが好ましく、40℃以上100℃以下の範囲内で行われることがより好ましい。この接触は、例えば、0.5時間以上12時間以下にわたって行われる。この反応時間は、1時間以上8時間以下とすることが好ましい。この接触は、加熱還流下で行われることが好ましい。
【0078】
第1有機層と式(III)に表される化合物との反応は、第2有機溶媒存在下で行われることが好ましい。第2有機溶媒としては、例えば、2-ブタノール、1-ブタノール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、及び2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種を用いる。第2有機溶媒は、2-ブタノール、1-ブタノール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、及び2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。1gの式(III)に表される化合物に対する第2有機溶媒の量は、例えば、1mL以上20mL以下である。第2有機溶媒の量は、1mL以上15mL以下であることが好ましく、2mL以上10mL以下であることがより好ましい。
【0079】
この接触は、酸触媒存在下で行われてもよい。酸触媒としては、例えば、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸、リン酸、酢酸、ギ酸、及び硫酸からなる群より選択される少なくとも1種を用いる。酸触媒としては、TFAを用いることが好ましい。1モルの式(I)に表される化合物に対する酸触媒の量は、例えば、0.5モル以上3モル以下である。酸触媒の量は、1モル以上1.8モル以下であることが好ましい。
【0080】
有機層と式(III)に表される化合物との接触は、不活性雰囲気下で、第2有機溶媒、酸触媒、及び式(III)に表される化合物を混合して得られた混合液と、有機層とを混合することにより行われることが好ましい。
【0081】
式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を含む第1有機層と、下記式(III)に表される化合物との反応は、例えば、食塩水等を加え、反応温度を低下させることによりクエンチしてもよい。
【0082】
以上の方法で得られた式(IV)に表されるピラゾール誘導体を含む第3混合物を、酢酸エチル等を用いた分液処理や洗浄処理に供してもよい。
【実施例0083】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制
限されるものではない。
【0084】
<実施例1>
((2-フルオロベンジル)ヒドラジンの製造)
3.2gのヒドラジン一水和物と、4mLの1-ブタノールとを混合して、ヒドラジン溶液を得た。攪拌中のこのヒドラジン溶液に、1.0gの2-フルオロベンジルブロミド(RC-A01)を滴下した。滴下後の溶液を、0℃温度で2時間にわたって攪拌して、第1混合物を得た。得られた第1混合物に、3mLの20質量%食塩水を加えて第1有機層及び第1水層に分離させた後、第1水層を廃棄した。この分液処理を更に2回行った。このようにして、(2-フルオロベンジル)ヒドラジンを含む第1有機層を得た。
【0085】
(エチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートの製造)
第1有機層に、0.7gの式(III)に表される化合物及び1.7gのトリフルオロ酢酸を混合して室温で攪拌し、次いで80℃で2時間攪拌した。得られた反応液に3mLの10%炭酸ナトリウム水溶液を加えて有機層及び水層に分離させた後、水層を3mLのトルエンで抽出した。トルエンで抽出した有機層と、先の有機層とを合わせて得られた混合有機層を3mLの水で2回洗浄した後、混合有機層を濃縮した。濃縮残渣に2mLの酢酸エチルを加えて加熱溶解させた後、4mLのt-ブチルメチルエーテルを加え10℃以下で4時間攪拌した。析出した固体をろ取、乾燥して4.2gのエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0086】
<実施例2>
((2-フルオロベンジル)ヒドラジンの製造)
1-ブタノールの代わりに2-ブタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で第1混合物を得た。第1混合物に、3mLの20質量%食塩水を加えて有機層及び水層に分離させた後、水層を4mLの1-ブタノールで抽出した。1-ブタノールで抽出した有機層と、先の有機層とを合わせて得られた混合有機層に、硫酸ナトリウムを加えて攪拌した後、ろ過して固体を除去し(2-フルオロベンジル)ヒドラジンを含む第1有機層を得た。
【0087】
(エチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートの製造)
第1有機層に4mLのトルエン、0.7gの式(III)に表される化合物、1.7gのトリフルオロ酢酸を混合して室温で攪拌し、次いで80℃で2時間攪拌した。反応液に3mLの10%炭酸ナトリウム水溶液を加えて有機層及び水層に分離させた後、水層を3mLのトルエンで抽出した。トルエンで抽出した有機層と先の有機層とを合わせて得られた混合有機層を、3mLの水で2回洗浄した後、混合有機層を濃縮した。濃縮残渣に2mLの酢酸エチルを加えて加熱溶解させた後、4mLのt-ブチルメチルエーテルを加え10℃以下で4時間攪拌した。析出した固体をろ取、乾燥して7.1gのエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0088】
<実施例3>
4mLの1-ブタノールの代わりに12mLのエタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0089】
<実施例4>
4mLの1-ブタノールの代わりに8mLのエタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0090】
<実施例5>
1-ブタノールの量を8mLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0091】
<実施例6>
4mLの1-ブタノールの代わりに8mLの2-ブタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0092】
<実施例7>
4mLの1-ブタノールの代わりに4mLのテトラヒドロフラン及び4mLの水の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0093】
<実施例8>
4mLの1-ブタノールの代わりに4mLのエタノール及び4mLの水の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0094】
<実施例9>
RC-A01滴下後の溶液を、0℃温度で2時間にわたって攪拌した後、4mLの2-ブタノールを更に混合して第1混合物を得たこと以外は、実施例2と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0095】
<実施例10>
4mLの1-ブタノールの代わりに4mLのエタノールを用いたこと、RC-A01滴下後の溶液を、及び0℃温度で2時間にわたって攪拌した後、4mLの2-ブタノールを更に混合して第1混合物を得たこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0096】
<実施例11>
3.2gのヒドラジン一水和物の代わりに4.8gのヒドラジン一水和物を用いたことと、1-ブタノールの代わりに4mLの1-ブタノール及び4mLの水の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。
【0097】
<比較例1>
(2-フルオロベンジル)ヒドラジンの製造)
301.5gのヒドラジン一水和物と、500mLの水とを混合して、ヒドラジン溶液を得た。攪拌中のこのヒドラジン溶液に、100gの2-フルオロベンジルブロミド(RC-A01)を滴下した。滴下後の溶液を、25~30℃温度で4時間にわたって攪拌して、第1混合物を得た。得られた第1混合物に、ジクロロメタンを加えて第1有機層及び第1水層に分離させた後、第1水層を廃棄した。第1有機層に260mLの塩酸/酢酸エチル溶液を加えて析出晶をろ取した。析出晶を2-プロパノールから再結晶して56.2gの(2-フルオロベンジル)ヒドラジン塩酸塩を得た。
(エチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートの製造)
50gのシュウ酸ジエチルと250mLのt-ブチルメチルエーテルとを混合してシュウ酸ジエチル混合液を得た。窒素雰囲気下、得られたシュウ酸ジエチル混合液に28gのナトリウムメトキシドを加え、50~55℃で3時間攪拌した。減圧下、溶媒を完全に留去して250mLのテトラヒドロフラン、39.0gのトリフルオロ酢酸、60.4gの(2-フルオロベンジル)ヒドラジン塩酸塩を加え、70~75℃で4時間攪拌した。25~30℃に冷却した後、水と酢酸エチルを加え、さらに炭酸ナトリウム水溶液を加えセライトろ過した。得られた有機層と水層とを分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ水、及び食塩水で洗浄し、減圧下、完全に留去した。濃縮残渣をt-ブチルメチルエーテルから再結晶して析出した固体をろ取、乾燥して32.0gのエチル 5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレートを得た。収率は35.5%であった。
【0098】
<評価試験>
(ヒドラジン化合物、A02、A03の純度測定)
以下の条件で、実施例で得られたヒドラジン化合物、(2-フルオロベンジル)ヒドラジン(A02)、5-アミノ-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(A03)の純度を測定した。その結果を表2に示す。
装置:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)。
機種:2695-2489-2998(Waters社製)。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)。
カラム:COSMOSIL C18、内径4.6mm、長さ25cm(粒子径5μm)(ナカライテスク社製)。
カラム温度:40℃一定。
サンプル温度:15℃一定。
移動相A:0.4%過塩素酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A,Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
【0099】
【0100】
流速:1.0mL/分。
測定時間:52分。
【0101】
上記条件おいて、液体クロマトグラフィーによるピーク位置は下記のとおりであった。
RC-A03:17.1分
RC-A02:3.6分
RC-A01:39.9分
ヒドラジン化合物:3.2分
【0102】
【0103】
以下に、発明の好ましい側面を付記する。
[1]
下記式(I)に表されるベンジル誘導体とヒドラジン化合物とを接触させて、下記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体を得ることと、
前記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体、前記ヒドラジン化合物、及び第1有機溶媒を含む第1混合物と、水を含む第1分離液とを接触させて、第1有機層及び第1水層に分離させることと
を含む、ベンジルヒドラジン誘導体の製造方法:
【0104】
【0105】
前記式(I)において、
Xは、ハロゲン原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基であり、
Yは、ハロゲン原子、メシル基、又は、トシル基であり、
aは、0以上3以下の整数であり、
【0106】
【0107】
上記式(II)において、
X、及びaは、前記式(I)におけるものと同義である。
[2]
前記第1有機溶媒は、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、テトラヒドロフラン、及び2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、[1]に記載の製造方法。
[3]
1gの前記式(II)に表されるベンジルヒドラジン誘導体に対する前記第1有機溶媒の量は、3mL以上16mL以下である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記第1分離液は、食塩水又は水である、[1]乃至[3]の何れかに記載の製造方法。
[5]
前記ヒドラジン化合物は、ヒドラジン一水和物を含む、[1]乃至[4]の何れかに記載の製造方法。
[6]
1モルの式(I)に表されるベンジル誘導体に対する前記ヒドラジン化合物の量は、5モル以上である、[1]乃至[5]の何れかに記載の製造方法。
[7]
前記式(I)に表されるベンジル誘導体と前記ヒドラジン化合物とを、前記第1有機溶媒存在下で接触させて前記第1混合物を得ることを含む、[1]乃至[6]の何れかに記載の製造方法。
[8]
前記式(I)に表されるベンジル誘導体と前記ヒドラジン化合物とを、第2有機溶媒存在下で接触させて第2混合物を得ることと、前記第2混合物と前記第1有機溶媒とを混合して前記第1混合物を得ることを含む、[1]乃至[6]の何れかに記載の製造方法。
[9]
前記第2有機溶媒は、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1-プロパノール、2-プロパノール、及びt-ブタノールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、[8]に記載の製造方法。
[10]
[1]乃至[9]の何れかに記載の方法で得られた前記第1有機層と、下記式(III)に表される化合物とを接触させて、下記式(IV)に表されるピラゾール誘導体を得ることを含む、ピラゾール誘導体の製造方法:
【0108】
【0109】
【0110】
前記式(IV)において、
X、及びaは、前記式(I)におけるものと同義である。