(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174508
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241210BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/044 127
G06F3/044 122
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092365
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】中山 昌哉
(57)【要約】
【課題】タッチ検出に使用されない周辺領域を狭くできるタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネルは、第1金属細線(A1)からなる第1導電層、絶縁層および第2金属細線(A2)からなる第2導電層を積層した構成を有し、第1導電層は、第1検出電極(11)と、第1ダミー電極(14)と、第1ダミー電極(14)に配置された第2配線(22)とを有し、第2導電層は、第2検出電極(21)を有し、絶縁層を貫通し且つ第2検出電極(21)と第2配線(22)を互いに接続する接続部を有し、第1金属細線(A1)と第2金属細線(A2)が互いに組み合わされることによりメッシュパターン(P3)を構成し、第2配線(22)は、メッシュパターン(P3)の一部を構成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ領域と前記タッチ領域の外側にある周辺領域とを有するタッチパネルであって、
第1金属細線からなる第1導電層、絶縁層、および、第2金属細線からなる第2導電層を順次積層した構成を有し、
前記第1導電層は、前記タッチ領域に形成され、第1方向に沿って延び且つ前記第1方向と直交する第2方向において配列された複数の第1検出電極と、前記複数の第1検出電極間に配置され且つ前記複数の第1検出電極から絶縁された複数の第1ダミー電極と、前記周辺領域に形成され且つ前記第1検出電極に接続された複数の第1配線と、前記複数の第1ダミー電極に配置された複数の第2配線とを有し、
前記第2導電層は、前記タッチ領域に形成され、前記第2方向に沿って延び且つ前記第1方向において配列された複数の第2検出電極を有し、
前記絶縁層を貫通し且つ前記複数の第2検出電極と前記複数の第2配線を互いに接続する複数の接続部を有し、
平面視において、
前記複数の第1検出電極は、前記第1金属細線により形成された第1メッシュパターンを有し、
前記複数の第2検出電極は、前記第2金属細線により形成された第2メッシュパターンを有し、
前記タッチ領域において、前記第1メッシュパターンと前記第2メッシュパターンが平面視において互いに組み合わされることにより第3メッシュパターンを構成し、
前記第3メッシュパターンは、前記タッチ領域全体に配置され、
前記複数の第2配線は、前記第3メッシュパターンの一部を構成する
タッチパネル。
【請求項2】
前記複数の第1ダミー電極は、前記第1メッシュパターンを有し、
前記複数の第2配線は、平面視において前記第1メッシュパターンの一部を構成する
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記複数の第2配線は、それぞれメッシュ状の第2配線パターンを形成する
請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1メッシュパターンは、複数の第1基本メッシュセルにより構成され、
前記第2配線パターンの幅は、前記第1基本メッシュセルの幅の2倍以上である
請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記複数の第2配線は、それぞれメッシュ状の第2配線パターンを形成し、
前記複数の第2配線は、平面視において前記第3メッシュパターンに含まれ且つ前記第1メッシュパターンおよび前記第2メッシュパターンとは異なる第4メッシュパターンを有する
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第1メッシュパターンは、複数の第1基本メッシュセルにより構成され、
前記第2配線パターンの幅は、前記第1基本メッシュセルの幅の2倍以上である
請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記第2配線と、対応する前記第2検出電極とは、3つ以上の前記接続部により互いに接続されている
請求項1、2、5または6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記複数の接続部は、前記第1メッシュパターンと前記第2メッシュパターンとの平面視における交差部に配置されている
請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記第2配線の配線密度は、前記第1検出電極の配線密度より大きい
請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記接続部は前記第4メッシュパターンと前記第2メッシュパターンとの平面視における交差部に配置されている
請求項5または9に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記第4メッシュパターンは、前記第2メッシュパターンの交点において前記第2メッシュパターンと重なっており、
前記接続部は前記第2メッシュパターンの交点に配置されている
請求項5または9に記載のタッチパネル。
【請求項12】
前記接続部は、前記第2検出電極および前記第2配線を構成する導電材料とは異なる導電材料により構成される
請求項1、2、5、6、8または9に記載のタッチパネル。
【請求項13】
前記接続部の前記導電材料は、透明導電材料である
請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記第1ダミー電極は、前記第1検出電極と前記第2配線との間に配置され且つ前記第1検出電極および前記第2配線に対して絶縁された第1グランド配線を有し、
前記第1グランド配線は、前記第1メッシュパターンの一部を構成する
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項15】
前記第1グランド配線は、メッシュ状のグランド配線パターンを形成する
請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項16】
前記グランド配線パターンの幅は、前記第2配線パターンの幅よりも小さい
請求項15に記載のタッチパネル。
【請求項17】
前記第1金属細線は、前記第2配線と前記第2配線に隣接する前記第1検出電極との間において、前記第1金属細線が延びる方向に互いに隣接する少なくとも2つ以上の断線部を有する
請求項1、2、5、6、8または9に記載のタッチパネル。
【請求項18】
前記第1金属細線は、前記第1グランド配線と前記第1グランド配線に隣接する前記第1検出電極との間、および、前記第1グランド配線と前記第1グランド配線に隣接する前記第2配線との間において、それぞれ、前記第1金属細線が延びる方向に隣接する少なくとも2つ以上の断線部を有する
請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項19】
前記絶縁層の厚さは、0.5μm以上5.0μm以下である
請求項1、2、5、6、8、9および14~16のいずれか一項に記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチ操作を検出するタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タブレット型コンピュータおよびスマートフォン等の携帯情報機器を始めとした各種の電子機器において、指、スタイラスペン等を画面に接触または近接させる、いわゆるタッチ操作を検出するタッチパネルが用いられている。
【0003】
このようなタッチパネルでは、例えば特許文献1に開示されるように、絶縁層上に、第1方向に沿って延び且つ第1方向に対して直交する第2方向において配列された複数の第1検出電極と、第2方向に沿って延び且つ第1方向において配列された複数の第2検出電極を互いに重なるように配置し、複数の第1検出電極の第1方向の端部から複数の第1配線を引き出し、複数の第2検出電極の第2方向の端部から複数の第2配線を引き出すことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチパネルにおいて、タッチ領域の外側に位置し且つタッチ検出に使用されない周辺領域を狭くする、いわゆる狭額縁化の要求が高まっている。特許文献1に開示されるタッチパネルのように、複数の第1検出電極の第1方向の端部および複数の第2検出電極の第2方向の端部から複数の第1配線および複数の第2配線を引き出す場合には、第1方向および第2方向の双方において引き出された複数の第1配線および複数の第2配線を配置するための領域を絶縁層上に確保する必要があるため、一定以上の狭額縁化が困難な場合があった。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、タッチ検出に使用されない周辺領域を狭くできるタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成によれば、上記目的を達成できる。
〔1〕 タッチ領域とタッチ領域の外側にある周辺領域とを有するタッチパネルであって、
第1金属細線からなる第1導電層、絶縁層、および、第2金属細線からなる第2導電層を順次積層した構成を有し、
第1導電層は、タッチ領域に形成され、第1方向に沿って延び且つ第1方向と直交する第2方向において配列された複数の第1検出電極と、複数の第1検出電極間に配置され且つ複数の第1検出電極から絶縁された複数の第1ダミー電極と、周辺領域に形成され且つ第1検出電極に接続された複数の第1配線と、複数の第1ダミー電極に配置された複数の第2配線とを有し、
第2導電層は、タッチ領域に形成され、第2方向に沿って延び且つ第1方向において配列された複数の第2検出電極を有し、
絶縁層を貫通し且つ複数の第2検出電極と複数の第2配線を互いに接続する複数の接続部を有し、
平面視において、
複数の第1検出電極は、第1金属細線により形成された第1メッシュパターンを有し、
複数の第2検出電極は、第2金属細線により形成された第2メッシュパターンを有し、
タッチ領域において、第1メッシュパターンと第2メッシュパターンが平面視において互いに組み合わされることにより第3メッシュパターンを構成し、
第3メッシュパターンは、タッチ領域全体に配置され、
複数の第2配線は、第3メッシュパターンの一部を構成する
タッチパネル。
〔2〕 複数の第1ダミー電極は、第1メッシュパターンを有し、
複数の第2配線は、平面視において第1メッシュパターンの一部を構成する
請求項1に記載のタッチパネル。
〔3〕 複数の第2配線は、それぞれメッシュ状の第2配線パターンを形成する
〔1〕または〔2〕に記載のタッチパネル。
〔4〕 第1メッシュパターンは、複数の第1基本メッシュセルにより構成され、
第2配線パターンの幅は、第1基本メッシュセルの幅の2倍以上である
〔3〕に記載のタッチパネル。
〔5〕 複数の第2配線は、それぞれメッシュ状の第2配線パターンを形成し、
複数の第2配線は、平面視において第3メッシュパターンに含まれ且つ第1メッシュパターンおよび第2メッシュパターンとは異なる第4メッシュパターンを有する
〔1〕に記載のタッチパネル。
〔6〕 第1メッシュパターンは、複数の第1基本メッシュセルにより構成され、
第2配線パターンの幅は、第1基本メッシュセルの幅の2倍以上である
〔5〕に記載のタッチパネル。
〔7〕 第2配線と、対応する第2検出電極とは、3つ以上の接続部により互いに接続されている
〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタッチパネル。
〔8〕 複数の開口部は、第1メッシュパターンと第2メッシュパターンとの平面視における交差部に形成されている
〔2〕に記載のタッチパネル。
〔9〕 第2配線の配線密度は、第1検出電極の配線密度より大きい
〔4〕に記載のタッチパネル。
〔10〕 接続部は第4メッシュパターンと第2メッシュパターンとの平面視における交差部に配置されている
〔4〕または〔8〕に記載のタッチパネル。
〔11〕 第4メッシュパターンは、第2メッシュパターンの交点において第2メッシュパターンと重なっており、
接続部は第2メッシュパターンの交点に配置されている
〔5〕、〔9〕または〔10〕に記載のタッチパネル。
〔12〕 接続部は、第2検出電極および第2配線を構成する導電材料とは異なる導電材料により構成される
〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のタッチパネル。
〔13〕 接続部の導電材料は、透明導電材料である
〔12〕に記載のタッチパネル。
〔14〕 第1ダミー電極は、第1検出電極と第2配線との間に配置され且つ第1検出電極および第2配線に対して絶縁された第1グランド配線を有し、
第1グランド配線は、第1メッシュパターンの一部を構成する
〔1〕に記載のタッチパネル。
〔15〕 第1グランド配線は、メッシュ状のグランド配線パターンを形成する
〔14〕に記載のタッチパネル。
〔16〕 グランド配線パターンの幅は、第2配線パターンの幅よりも小さい
〔15〕に記載のタッチパネル。
〔17〕 第1金属細線は、第2配線と第2配線に隣接する第1検出電極との間において、第1金属細線が延びる方向に互いに隣接する少なくとも2つ以上の断線部を有する
〔1〕~〔13〕のいずれかに記載のタッチパネル。
〔18〕 第1金属細線は、第1グランド配線と第1グランド配線に隣接する第1検出電極との間、および、第1グランド配線と第1グランド配線に隣接する第2配線との間において、それぞれ、第1金属細線が延びる方向に隣接する少なくとも2つ以上の断線部を有する
〔14〕に記載のタッチパネル。
〔19〕 絶縁層の厚さは、0.5μm以上5.0μm以下である
〔1〕~〔18〕のいずれかに記載のタッチパネル。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1金属細線からなる第1導電層、絶縁層、および、第2金属細線からなる第2導電層を順次積層した構成を有し、第1導電層は、タッチ領域に形成され、第1方向に沿って延び且つ第1方向と直交する第2方向において配列された複数の第1検出電極と、複数の第1検出電極間に配置され且つ複数の第1検出電極から絶縁された複数の第1ダミー電極と、周辺領域に形成され且つ第1検出電極に接続された複数の第1配線と、複数の第1ダミー電極に配置された複数の第2配線とを有し、第2導電層は、タッチ領域に形成され、第2方向に沿って延び且つ第1方向において配列された複数の第2検出電極を有し、絶縁層を貫通し且つ複数の第2検出電極と複数の第2配線を互いに接続する複数の接続部を有し、平面視において、複数の第1検出電極は、第1金属細線により形成された第1メッシュパターンを有し、複数の第2検出電極は、第2金属細線により形成された第2メッシュパターンを有し、タッチ領域において、第1メッシュパターンと第2メッシュパターンが平面視において互いに組み合わされることにより第3メッシュパターンを構成し、第3メッシュパターンは、タッチ領域全体に配置され、複数の第2配線は、第3メッシュパターンの一部を構成するため、タッチ検出に使用されない周辺領域を狭くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るタッチパネルの部分断面図である。
【
図2】実施の形態1に係るタッチパネルの平面図である。
【
図3】実施の形態1において絶縁層に形成された開口部を拡大して示す部分断面図である。
【
図4】実施の形態1における第1導電層の一部を拡大して示す平面図である。
【
図5】実施の形態1における第1ダミー電極の一部を拡大して示す平面図である。
【
図6】実施の形態1における第2導電層の一部を拡大して示す平面図である。
【
図7】実施の形態1におけるタッチ領域の一部を拡大して示す平面図である。
【
図8】実施の形態2における第1導電層の一部を拡大して示す平面図である。
【
図9】実施の形態2におけるタッチ領域の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付の図面に示す好適な実施の形態に基づいて、この発明に係るタッチパネル用導電部材およびタッチパネルを詳細に説明する。
なお、以下において、数値範囲を示す表記「~」は、両側に記載された数値を含むものとする。例えば、「sが数値t1~数値t2である」とは、sの範囲は数値t1と数値t2を含む範囲であり、数学記号で示せばt1≦s≦t2である。
「直交」および「平行」等を含め角度は、特に記載がなければ、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
「透明」とは、光透過率が、波長400nm~800nmの可視光波長域において、少なくとも40%以上のことであり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上のことである。光透過率は、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック--全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
【0011】
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るタッチパネルの構成を示す。
タッチパネルは、互いに表裏を形成する第1面1Aと第2面1Bを有する絶縁層1と、絶縁層1の第1面1A上に配置された第1導電層2Aと、絶縁層1の第2面1B上に配置された第2導電層2Bを備えている。絶縁層1は透明な材料により構成されている。
【0012】
タッチパネルは、第1導電層2A側の面に図示しないカバー部材が配置され且つ第2導電層2B側の面に図示しない表示モジュールが接着されて、図示しないタッチパネル表示装置として使用され得る。この際に、カバー部材に接触または近接した使用者の指、スタイラスペン等が検出されて、使用者によるタッチ操作が検出される。
【0013】
図2に、タッチパネルの平面図を示す。第1導電層2Aは、定められたY方向(第1方向)に沿って延び且つY方向に直交するX方向(第2方向)に沿って配列され、タッチ領域R1に配置された、タッチ操作を検出するための複数の第1検出電極11と、タッチ領域R1の外側にある周辺領域R2に配置され且つ複数の第1検出電極11のY方向の一端から引き出された第1配線12と、タッチ領域R1の外側にある周辺配線R2に配置され且つ複数の第1配線12に接続する複数の第1電極パッド13を有している。複数の第1電極パッド13は、図示しないタッチパネル駆動装置に電気的に接続するために用いられる。
【0014】
また、第1導電層2Aは、複数の第1検出電極11の間に配置され、Y方向に沿って延び且つX方向において配列され、タッチ領域R1に配置された複数の第1ダミー電極14を有している。複数の第1ダミー電極14は、複数の第1検出電極11に対して電気的に絶縁されている。
【0015】
また、第1導電層2Aは、複数の第1ダミー電極14内にそれぞれ配置された複数の第2配線22と、タッチ領域R1の外側にある周辺領域R2に配置され且つ複数の第2配線22に接続する複数の第2電極パッド23を有している。後述するが、複数の第2配線22は、絶縁層1に形成された開口部、すなわちいわゆるスルーホールを介して第2導電層2Bの第2検出電極21に接続している。複数の第2電極パッド23は、複数の第1電極パッド13と同様に、図示しないタッチパネル駆動装置に電気的に接続するために用いられる。
【0016】
第2導電層2Bは、X方向に沿って延び且つY方向に沿って配列され、タッチ領域R1に配置された、タッチ操作を検出するための複数の第2検出電極21を有している。また、第2導電層2Bは、複数の第2検出電極21の間に配置され、X方向に沿って延び且つY方向において配列された、複数の第2ダミー電極24を有することができる。複数の第2ダミー電極24は、複数の第2検出電極21に対して電気的に絶縁されている。
【0017】
タッチパネルは、複数の第1検出電極11と複数の第2検出電極21が互いに重なって配置された、使用者のタッチ操作を検出するタッチ領域R1と、タッチ領域R1の外側にある周辺領域R2を有している。周辺領域R2は、タッチ領域R1のY方向の一端側に延びる領域であり、周辺領域R2に、複数の第1配線12、複数の第1電極パッド13、複数の第2配線22の一部、および、複数の第2電極パッド23が配置されている。
【0018】
図3に示すように、絶縁層1は、複数の開口部Hと、複数の開口部H内に形成されることにより絶縁層1を貫通し且つ複数の第2検出電極21と複数の第2配線22を互いに電気的に接続する複数の接続部31を有している。接続部31の形態は特に限定されないが、例えば
図3に示すように開口部Hを埋める導電体により接続部31を構成できる。また、開口部Hの内壁に形成された導電層により接続部31を構成することもできる。
【0019】
ところで、一般的に、タッチパネルにおいては、複数の第1検出電極11のY方向の一端と複数の第2検出電極21のX方向の一端からそれぞれ複数の第1配線12および複数の第2配線22が引き出されることが多い。近年、タッチ検出に使用されない周辺領域R2を狭くする、いわゆる狭額縁化の要求が高まっているが、この場合には、少なくとも、タッチ領域R1のY方向の一端側およびX方向の一端側の双方において、複数の第1配線12および複数の第2配線22を配置する絶縁層1上の領域を確保する必要があり、一定以上の狭額縁化が困難な場合があった。
【0020】
実施の形態1のタッチパネルでは、絶縁層1に形成された複数の開口部Hを介して複数の接続部31により第2検出電極21が第1ダミー電極14内に配置された第2配線22に接続するため、タッチ領域R1のX方向の外側に絶縁層1上の周辺領域R2を確保する必要が無く、タッチ検出に使用されない周辺領域R2を狭くできる。
【0021】
また、一般的に、タッチパネル駆動装置をタッチパネルに接続しやすいように、絶縁層1の一端に複数の第1配線12の端子および複数の第2配線22の端子を集約することが多い。この場合に、通常、複数の第1配線12または複数の第2配線22を、タッチ領域R1の周囲に沿って配置する必要があるため、複数の第1配線12または複数の第2配線22が長くなることにより電気抵抗も高くなり、タッチ操作に対する検出感度が低下する場合があった。
【0022】
実施の形態1のタッチパネルでは、絶縁層1に形成された複数の開口部Hを介して複数の接続部31により第2検出電極21が第1ダミー電極14内に配置された第2配線22に接続するため、複数の第1配線12と複数の第2配線22を同一の方向に向かって引き出すことができ、複数の第1配線12および複数の第2配線22を比較的短くして、電気抵抗を低下させ、タッチ操作に対する検出感度を向上できる。
【0023】
ここで、絶縁層1の厚さが0.5μm未満の場合には、絶縁層1の変形等により接続部31にひび割れまたは断線等が生じると接続部31に導通不良が生じるリスクが高くなることがある。また、絶縁層1の厚さが5.0μmよりも厚い場合には、接続部31が正常に形成されないことにより接続部31に導通不良が生じるリスクが高くなることがある。そのため、絶縁層1の厚さは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
【0024】
また、接続部31は、第2検出電極21および第2配線22との導通性を良くするために、第2検出電極21および第2配線22を構成する導電材料とは異なる導電材料により構成されることが好ましい。接続部31は、さらに、使用者が接続部31を視認しにくくするために透明導電材料により構成されることが好ましい。接続部31に透明導電材料を使用することにより、視認性の影響が無くすなわち接続部31が目立たなくなるため、絶縁層1の開口部Hを大きくすることができる。
【0025】
図4に第1導電層2Aを部分的に拡大した平面図を示す。複数の第1検出電極11および複数の第1ダミー電極14は、平面視において、第1金属細線A1により形成された第1メッシュパターンP1を有している。第1メッシュパターンP1は、X方向およびY方向とは異なる第1伸長方向D1および第2伸長方向D2に沿って延びる4辺により形成された、ひし形の複数の第1基本メッシュセルC1により構成されている。
なお、本発明でのメッシュパターンは、必ずしも金属細線による連続線でなくてもよく、メッシュパターンに不連続部分(断線部分)を有するパターンであってもよい。
【0026】
開口部Hを介して接続部31により第2検出電極21に接続される第2配線22は、複数の第1基本メッシュセルC1が連結することにより構成されるメッシュ状の第2配線パターンM1を形成しており、第1ダミー電極14内で第1メッシュパターンP1の一部を構成している。第2配線パターンM1のX方向における幅W1は、第2配線22の一部に断線が生じた場合でも第2検出電極21と第2電極パッド23間の電気的な接続が保たれるように、第1基本メッシュセルC1のX方向における幅WC1の2倍以上であることが好ましい。
【0027】
また、
図4に示すように、第1ダミー電極14は、第1検出電極11と第2配線22との間に配置され且つ第1検出電極11および第2配線22に対して絶縁された第1グランド配線G1を有している。第1グランド配線G1は、第2配線22を伝導する電気信号と第1検出電極11における電気信号との電気的な干渉を防止する、いわゆる電磁シールドの機能を有する。そのため、第1グランド配線G1により、電気的な干渉に起因するタッチ操作の誤検出を防止し、タッチ操作に対する検出感度を向上できる。
【0028】
第1グランド配線G1は、複数の第1基本メッシュセルC1により構成されるメッシュ状のグランド配線パターンM2を形成している。これにより、第1グランド配線G1の一部に断線が生じた場合でも、第1検出電極11と第2配線22との間を電磁気的に遮蔽できる。また、第1グランド配線G1が第1検出電極11と第2配線22との間に配置されていればグランド配線パターンM2のX方向の幅W2に関わらず、第1検出電極11と第2配線22との間を電磁気的に遮蔽できるため、第2配線パターンM1のX方向における幅W1を十分に確保する観点から、グランド配線パターンM2のX方向における幅W2は、第2配線パターンM1のX方向における幅W1よりも狭いことが好ましい。
【0029】
また、
図5に示すように、第1金属細線A1は、第2配線22と、第2配線22に隣接する第1検出電極11との間において、第1金属細線A1が延びる方向、すなわち、第1伸長方向D1および第2伸長方向D2に互いに隣接する少なくとも2つ以上の断線部Bを有する。これにより、第1検出電極11と第2配線22は互いに電気的に絶縁される。
【0030】
また、第1金属細線A1は、第1グランド配線G1と、第1グランド配線G1に隣接する第1検出電極11との間、および、第1グランド配線G1と、第1グランド配線G1に隣接する第2配線22との間において、それぞれ、第1伸長方向D1および第2伸長方向D2に互いに隣接する少なくとも2つ以上の断線部Bを有する。これにより、第1検出電極11と第1グランド配線G1、および、第2配線22と第1グランド配線G1は、それぞれ互いに電気的に絶縁される。
【0031】
図6に、第2導電層2Bの一部を拡大した平面図を示す。複数の第2検出電極21および複数の第2ダミー電極24は、平面視において、第2金属細線A2により形成された第2メッシュパターンP2を有している。第2メッシュパターンP2は、第1伸長方向D1および第2伸長方向D2に沿って延びる4辺により形成された、ひし形の複数の第2基本メッシュセルC2により構成されている。ここで、第2金属細線A2は、第1金属細線A1と同一の導電材料により構成できる。また、第2基本メッシュセルC2は、第1基本メッシュセルC1と同一であってもよく、異なっていてもよいが、後述するように、第1導電層2Aと第2導電層2Bを重ね合わせることにより、メッシュセルが規則的に配列した第3メッシュパターンを形成するために、第2基本メッシュセルC2は第1基本メッシュセルC1と同一の形状および同一の大きさ(面積)を有することが好ましい。
【0032】
図7に、タッチパネルにおけるタッチ領域R1の一部を拡大した平面図を示す。タッチ領域R1において、第1導電層2Aの複数の第1金属細線A1と第2導電層2Bの複数の第2金属細線A2が平面視において互いに組み合わされて、第3メッシュパターンP3が構成される。
図7の例では、第1メッシュパターンP1を構成する第1基本メッシュセルC1と第2メッシュパターンP2を構成する第2基本メッシュセルC2が、互いに同一の形状および大きさを有し、第1メッシュパターンP1と第2メッシュパターンP2が、X方向において、第1基本メッシュセルC1および第2基本メッシュセルC2の幅WC1の半分だけ(第1基本メッシュセルC1および第2基本メッシュセルC2の半ピッチ分)互いにずれて配置されている。そのため、第3メッシュパターンP3は、第1基本メッシュセルC1および第2基本メッシュセルC2と同一形状で且つ1/4の大きさ(面積)を有する複数の第3基本メッシュセルC3により構成されている。
【0033】
第1ダミー電極14内に配置された複数の第2配線22は、平面視で、第3メッシュパターンP3の一部を構成しているため、使用者がタッチパネルを視認した場合に第2配線22の存在が目立たない。また、第1ダミー電極14内に配置された第1グランド配線G1も、第3メッシュパターンP3の一部を構成しているため、使用者がタッチパネルを視認した場合に第1グランド配線G1の存在が目立たない。
【0034】
また、
図7の例では、第1メッシュパターンP1と第2メッシュパターンP2との平面視における交差部に開口部Hにおける接続部31が配置されている。そのため、第2配線22と第2検出電極21との導通が良くなり、開口部Hおよび接続部31の存在が目立ちにくい。
【0035】
以上から、本発明の実施の形態1のタッチパネルによれば、絶縁層1が、絶縁層1を貫通し且つ複数の第2検出電極21と複数の第2配線22を互いに接続する複数の接続部31を有し、複数の第1配線12および複数の第2配線22の双方が同一の方向に引き出されるため、複数の第1配線12および複数の第2配線22を配置する周辺領域R2を狭くして、タッチパネルを狭額縁化できる。また、複数の第2配線22が、第1導電層2Aの第1金属細線A1と第2導電層2Bの第2金属細線A2により構成される第3メッシュパターンP3の一部を構成するため、使用者がタッチパネルを視認した場合に、第1ダミー電極14内に配置された第2配線22を目立たせないことができる。
【0036】
なお、絶縁層1が、1つの第2検出電極21に対して複数の接続部31を有していることが説明されているが、1つの第2検出電極21に対して1つの接続部31を有することもできる。しかしながら、接続部31にひび割れまたは断線等が生じても第2検出電極21と第2配線22との電気的な接続が保たれるように、絶縁層1が1つの第2検出電極21に対して複数の接続部31を有することが好ましい。具体的には、第2配線22と、対応する第2検出電極21とが、3つ以上の接続部31により互いに接続されることが好ましい。
【0037】
実施の形態2
第2配線22により形成される第2配線パターンM1が複数の第1基本メッシュセルC1により形成されて、第1メッシュパターンP1の一部を構成することが説明されているが、第2配線パターンM1は、平面視で第3メッシュパターンP3の一部を構成していれば特に限定されない。
【0038】
図8に、実施の形態2における第1導電層2Aの一部を拡大した平面図を示す。第2配線22により形成される第2配線パターンM3は、複数の第1基本メッシュセルC1と、第1基本メッシュセルC1と同一の形状を有し且つ第1基本メッシュセルC1の1/4の大きさを有する複数の第3基本メッシュセルC3により形成されている。そのため、第2配線パターンM3は、第1メッシュパターンP1および第2メッシュパターンP2とは異なる第4メッシュパターンP4を有する。後述するが、第4メッシュパターンP4は、第3メッシュパターンP3に含まれるパターンである。
【0039】
また、第1グランド配線G1により形成されるグランド配線パターンM4は、複数の第1基本メッシュセルC1と複数の第3基本メッシュセルC3により形成されており、第1メッシュパターンP1、第2メッシュパターンP2および第4メッシュパターンP4とは異なる第5メッシュパターンP5を有する。後述するが、第5メッシュパターンP5も第4メッシュパターンP4と同様に第3メッシュパターンP3に含まれるパターンである。
【0040】
ここで、第2配線パターンM3は、複数の第1基本メッシュセルC1と複数の第3基本メッシュセルC3により形成されるため、第2配線パターンM3における第2配線22の配線密度は、第1検出電極11の配線密度よりも大きい。これにより、第2配線22に断線が生じた場合でも第2検出電極21と第2電極パッド23との間の電気的な接続を保つことができ、且つ、第2配線パターンM3の電気抵抗が低く、タッチ操作に対する検出感度が向上する。また、グランド配線パターンM4における第1グランド配線G1の配線密度も、第2配線パターンM3と同様に、第1検出電極11の配線密度よりも大きい。これにより、第1グランド配線G1の低抵抗化が可能となり、第1検出電極11と第2配線22との間をより効果的に電磁気的に遮蔽できる。ここで、配線密度とは、平面視での、ある領域の面積における金属細線の占有面積の割合のことを指す。例えば、第2配線22の配線密度は、平面視での第2配線22の占有領域の面積における第1金属細線A1の占有面積の割合を示し、第1検出電極11の配線密度は、平面視での第1検出電極11の占有領域の面積における第1金属細線A1の占有面積の割合を示す。
【0041】
図9に、タッチパネルのタッチ領域R1の一部を拡大した平面図を示す。タッチ領域R1において、第1導電層2Aの複数の第1金属細線A1と第2導電層2Bの複数の第2金属細線A2が平面視において互いに組み合わさることにより、複数の第3基本メッシュセルC3により形成された第3メッシュパターンP3が構成される。
【0042】
第2配線22により形成される第4メッシュパターンP4および第1グランド配線G1により形成される第5メッシュパターンP5は、いずれも第3メッシュパターンP3の一部を構成している。そのため、使用者がタッチパネルを視認した場合に、第2配線22および第1グランド配線G1の存在が目立たない。
【0043】
また、
図9の例では、第4メッシュパターンP4と第2メッシュパターンP2の平面視における交差部であり、且つ、第2メッシュパターンP2の交点に開口部Hの接続部31が配置されている。そのため、第2配線22と第2検出電極21との導通が良好で且つ開口部Hおよび接続部31の存在が目立ちにくい。また、一般的に、金属細線により形成されたメッシュパターンの交点はメッシュパターンのその他の箇所と比較して線幅が広い傾向がある。そのため、第2メッシュパターンP2の交点に接続部31を配置することにより、第2検出電極21の第2金属細線A2と接続部31との電気的な接続の信頼性を向上できる。
【0044】
以上から、実施の形態2のタッチパネルによれば、第2配線22により形成される第2配線パターンM3の第4メッシュパターンP4および第1グランド配線G1により形成されるグランド配線パターンM4の第5メッシュパターンP5が第3メッシュパターンP3の一部を構成するため、タッチパネルを狭額縁化しながら、第2配線22および第1グランド配線G1の存在を目立たなくできる。また、第2配線パターンM3が第4メッシュパターンP4を有することにより、第2配線パターンM3を低抵抗化し、タッチ操作に対する検出感度を向上できる。
【0045】
以下、タッチパネルを構成する各部材について説明する。
<絶縁層>
絶縁層1は、透明で電気絶縁性を有し、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bを支持することができれば、特に限定されるものではないが、絶縁層1を構成する材料として、例えば、ガラス、強化ガラス、無アルカリガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)、シクロオレフィンポリマー(COP:cyclo-olefin polymer)、環状オレフィン・コポリマー(COC:cyclic olefin copolymer)、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリスチレン(PS:polystylene)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:polyvinylidene chloride)、トリアセチルセルロース(TAC:cellulose triacetate)等を使用できる。絶縁層1の全光線透過率は、40%~100%であることが好ましい。全光透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック--全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
【0046】
<金属細線>
第1導電層2Aにおける第1金属細線A1および第2導電層2Bにおける第2金属細線A2は、線幅0.5μm~10μmの金属細線である。第1金属細線A1および第2金属細線A2のさらに好ましい線幅は、1.0μm~5.0μmである。第1金属細線A1および第2金属細線A2の好ましい材料としては、銀、銅、アルミニウム、金、モリブデン、クロム等があり、それらの合金、酸化物またはそれらの積層体で使用できる。特に抵抗値の観点から銀または銅が好ましく、例えば、モリブデン/アルミニウム/モリブデン、モリブデン/銅/モリブデン、酸化銅/銅/酸化銅等の積層構成の金属細線が使用できる。
【0047】
第1金属細線A1および第2金属細線A2の膜厚は0.05μm~10μmであり、好ましくは0.1μm~1μmである。第1金属細線A1および第2金属細線A2の視認性を改善する目的で、第1金属細線A1上および第2金属細線A2上、もしくは第1金属細線A1と絶縁層1との間、および、第2金属細線A2と絶縁層1との間に黒化層を設けてもよい。黒化層としては、酸化銅、酸化モリブデン等を使用できる。
【0048】
また、必要に応じてタッチパネルに追加で以下の層を設けることができる。
<保護層>
第1金属細線A1および第2金属細線A2を保護する目的で、これらを覆う保護層を設けることができる。保護層として、ゼラチン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜、および、二酸化シリコン等の無機膜を使用することができ、膜厚は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。また、保護層上に透明コート層を形成できる。透明コート層としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜が使用され、膜厚は1μm以上100μm以下が好ましい。
【0049】
<下塗層>
絶縁層1と第1導電層2Aとの間、または、絶縁層1と第2導電層2Bとの間に、密着性を強化する為に下塗層を設けることができる。下塗層としては、ゼラチン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエルテル樹脂等の有機膜、および、二酸化シリコン等の無機膜を使用することができ、膜厚は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0050】
<平坦化層>
絶縁層1と第1導電層2Aとの間、または、絶縁層1と第2導電層2Bとの間に、絶縁層1の表面を平坦化するために平坦化層を設けることができる。平坦化層としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエルテル樹脂等の有機膜が使用することができ、膜厚は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。特に絶縁層1に加飾層を設ける場合は、平坦化層を設けることが好ましい。
【0051】
<カバー部材>
前述したカバー部材には、透明で電気絶縁性を有するものが使用される。カバー部材の材料としては、例えば、ガラス、強化ガラス、無アルカリガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)、シクロオレフィンポリマー(COP:cyclo-olefin polymer)、環状オレフィン・コポリマー(COC:cyclic olefin copolymer)、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリスチレン(PS:polystylene)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:polyvinylidene chloride)、トリアセチルセルロース(TAC:cellulose triacetate)等を使用できる。カバー部材を第1導電層2Aおよび第2導電層2Bを支持するもの(基板)として使用することができ、タッチパネルの構成としては、カバー部材/第1導電層2A/絶縁層1/第2導電層2Bを順次積層する構成、または、カバー部材/第2導電層2B/絶縁層1/第1導電層2Aを順次積層する構成とすることもできる。
【0052】
次に、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bの形成方法について説明する。これらの形成方法として、例えば、スパッタ法、めっき法、銀塩法等が適宜利用可能である。
スパッタ法による第1導電層2Aおよび第2導電層2Bの形成方法について説明する。まず、スパッタにより、銅箔層を形成し、フォトリソグラフィの方法により銅箔層から銅配線を形成することにより、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bを形成できる。なお、スパッタの代わりに、いわゆる蒸着により銅箔層を形成することもできる。銅箔層は、スパッタ銅箔または蒸着銅箔以外にも、電解銅箔が利用可能である。より具体的には、特開2014-29614号公報に記載の銅配線を形成する工程を利用できる。
【0053】
めっき法による第1導電層2Aおよび第2導電層2Bの形成方法について説明する。例えば、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bは、無電解めっき下地層に無電解めっきを施すことにより下地層上に形成される金属めっき膜を用いて構成できる。この場合、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bは、少なくとも金属微粒子を含有する触媒インクを基材上にパターン状に形成した後に、基材を無電解めっき浴に浸漬し、金属めっき膜を形成することにより形成される。より具体的には、特開2014-159620号公報に記載の金属被膜基材の製造方法を利用できる。
【0054】
また、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bは、少なくとも金属触媒前駆体と相互作用し得る官能基を有する樹脂組成物を基材上にパターン状に形成した後、触媒または触媒前駆体を付与し、基材を無電解めっき浴に浸漬し、金属めっき膜を形成することにより形成される。より具体的には、特開2012-144761号公報に記載の金属被膜基材の製造方法を応用できる。
【0055】
銀塩法による第1導電層2Aおよび第2導電層2Bの形成方法について説明する。まず、ハロゲン化銀が含まれる銀塩乳剤層に、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bとなる露光パターンが形成され且つ局所的に露光量の異なるガラスマスクを配置した状態で露光処理を施し、その後現像処理を行うことで、第1導電層2Aおよび第2導電層2Bを形成できる。より具体的には、特開2012-6377号公報、特開2014-112512号公報、特開2014-209332号公報、特開2015-22397号公報、特開2016-192200号公報および国際公開第2016/157585号に記載の金属細線の製造方法を利用できる。
【0056】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上において、本発明のタッチパネルについて詳細に説明したが、本発明は、上述の実施態様に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0057】
1 絶縁層、1A 第1面、1B 第2面、2A 第1導電層、2B 第2導電層、11 第1検出電極、12 第1配線、13 第1電極パッド、14 第1ダミー電極、21 第2検出電極、22 第2配線、23 第2電極パッド、24 第2ダミー電極、31 接続部、A1 第1金属細線、A2 第2金属細線、B 断線部、C1 第1基本メッシュセル、C2 第2基本メッシュセル、C3 第3基本メッシュセル、D1 第1伸長方向、D2 第2伸長方向、G1 第1グランド配線、H 開口部、M1,M3 第2配線パターン、M2,M4 グランド配線パターン、P1 第1メッシュパターン、P2 第2メッシュパターン、P3 第3メッシュパターン、P4 第4メッシュパターン、P5 第5メッシュパターン、R1 タッチ領域、R2 周辺領域、W1,W2,WC1 幅。