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特開2024-174524情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム
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  • 特開-情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174524
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/4401 20180101AFI20241210BHJP
【FI】
G06F9/4401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092390
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西崎 浩平
(72)【発明者】
【氏名】土佐 茂
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直弥
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AE25
5B376AE26
5B376AE44
5B376AE54
5B376DA20
(57)【要約】
【課題】システムの起動後に優先機能以外の機能を出来るだけ早く利用することができる、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、情報処理装置であって、優先機能である第1機能に必要な第1プログラムの起動後、前記第1機能以外の第2機能に必要な第2プログラムを起動するまでの遅延時間を取得する遅延時間管理モジュールと、前記情報処理装置の起動時に、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間分、前記第2プログラムの起動の遅延させる起動制御モジュールと、前記情報処理装置が有するリソースの利用状況を取得するリソース監視モジュールと、を備え、前記遅延時間管理モジュールは、前記リソース監視モジュールより取得した前記利用状況を基に、次回起動時の前記遅延時間を調整して更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
優先機能である第1機能に必要な第1プログラムの起動後、前記第1機能以外の第2機能に必要な第2プログラムを起動するまでの遅延時間を取得する遅延時間管理モジュールと、
前記情報処理装置の起動時に、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間分、前記第2プログラムの起動の遅延させる起動制御モジュールと、
前記情報処理装置が有するリソースの利用状況を取得するリソース監視モジュールと、を備え、
前記遅延時間管理モジュールは、前記リソース監視モジュールより取得した前記利用状況を基に、次回起動時の前記遅延時間を調整して更新する、情報処理装置。
【請求項2】
前記リソース監視モジュールは、前記リソースが含むCPUのCPU使用率を前記利用状況として取得し、
前記遅延時間管理モジュールは、前記CPU使用率毎に定義された遅延時間調整値を使用して前記遅延時間を調整する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記遅延時間管理モジュールは、前記第1機能または前記第2機能の起動時間が短縮されたか否かに基づいて前記遅延時間を調整する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記起動制御モジュールは、ユーザの機能の利用状況に基づいて、前記第2機能のうち最も優先される第3機能を選択し、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間の分、遅延後に、前記第3機能に必要なプログラムの起動を優先して起動する、請求項1から3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
画像形成装置であって、
優先機能である第1機能に必要な第1プログラムの起動後、前記第1機能以外の第2機能に必要な第2プログラムを起動するまでの遅延時間を取得する遅延時間管理モジュールと、
前記画像形成装置の起動時に、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間分、前記第2プログラムの起動の遅延させる起動制御モジュールと、
前記画像形成装置が有するリソースの利用状況を取得するリソース監視モジュールと、を備え、
前記遅延時間管理モジュールは、前記リソース監視モジュールより取得した前記利用状況を基に、次回起動時の前記遅延時間を調整して更新する、画像形成装置。
【請求項6】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
優先機能である第1機能に必要な第1プログラムの起動後、前記第1機能以外の第2機能に必要な第2プログラムを起動するまでの遅延時間を取得するステップと、
前記情報処理装置の起動時に、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間分、前記第2プログラムの起動の遅延させるステップと、
前記情報処理装置が有するリソースの利用状況を取得するステップと、
取得した前記利用状況を基に、次回起動時の前記遅延時間を調整して更新するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
情報処理装置が有する機能のうち優先機能である第1機能に必要な第1プログラムの起動後、前記第1機能以外の第2機能に必要な第2プログラムを起動するまでの遅延時間を取得する遅延時間管理モジュールと、
前記情報処理装置の起動時に、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間分、前記第2プログラムの起動の遅延させる起動制御モジュールと、
前記情報処理装置が有するリソースの利用状況を取得するリソース監視モジュールと、して機能させ、
前記遅延時間管理モジュールは、前記リソース監視モジュールより取得した前記利用状況を基に、次回起動時の前記遅延時間を調整して更新する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Function Peripheral)およびPC(Personal Computer)等の電子機器の起動時間は、カタログ等で公表する性能(カタログスペック)として扱われることから、短縮することが重要な項目となっている。電子機器の起動時間を短縮する手段として、優先機能に設定された機能に関連するプログラムを他の機能を実現するプログラムより先に起動する技術が提案されている。しかし、当該技術では、例えば、先に、コピー機能を実現するためのプログラムが起動されたことを受けてコピーを実行したときに、そのプログラム以外のプログラムが次々に起動しているため、コピー動作が遅くなるという問題がある。
【0003】
そういった背景より、優先して起動したプログラムにより実現される機能の動作が遅延することを防止することができる電子機器、起動制御方法および起動制御プログラムを提供することを目的として、優先して起動したプログラム以外のプログラムの起動を一定時間遅延させる技術が提案されている。特許文献1には、優先して起動したプログラムにより実現される機能の動作が遅延することを防止することを目的で、優先機能を実行完了までの間に他のプログラムが起動しないようにする構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、優先機能以外の機能の起動を一定時間遅延されることにより、ユーザが指示した優先機能以外の機能の利用に遅延が発生してしまうといった問題がある。ユーザが起動時に優先機能以外の機能を使用する場合、出来るだけ優先機能以外の機能も利用できるまでの時間を短縮できることが求められる。また、特許文献1記載の技術でも、優先機能以外の機能がすぐに利用できない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、システムの起動後に優先機能以外の機能を出来るだけ早く利用することができる、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置であって、優先機能である第1機能に必要な第1プログラムの起動後、前記第1機能以外の第2機能に必要な第2プログラムを起動するまでの遅延時間を取得する遅延時間管理モジュールと、前記情報処理装置の起動時に、前記第1プログラムの起動後、前記遅延時間分、前記第2プログラムの起動の遅延させる起動制御モジュールと、前記情報処理装置が有するリソースの利用状況を取得するリソース監視モジュールと、を備え、前記遅延時間管理モジュールは、前記リソース監視モジュールより取得した前記利用状況を基に、次回起動時の前記遅延時間を調整して更新する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、システムの起動後に優先機能以外の機能を出来るだけ早く利用することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の一例であるMFPのハードウェア構成図である。
図2図2は、本実施の形態にかかるMFPのソフトウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、本実施の形態にかかるMFPにおける遅延時間の調整処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の一例であるMFPのハードウェア構成図である。図1に示されているように、MFP(Multi-Function Peripheral/Product/Printer)9(画像形成装置および情報処理装置の一例)は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0011】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、および、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0012】
これらのうち、CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0013】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムおよびデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムおよびデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0014】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェース、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしても良い。
【0015】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御に従ってHD909に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0016】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0017】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値および選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931またはプリンタ部932には、誤差拡散およびガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。
【0018】
なお、MFP9は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0019】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0020】
図2は、本実施の形態にかかるMFPのソフトウェア構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかるMFP9は、図2に示すように、複数のプログラムP1~Pnと、起動制御Md201と、遅延時間管理Md202と、リソース監視Md203と、OS(Operating System)204と、ブートプログラム205と、を有する。本実施の形態では、起動制御Md201、遅延時間管理Md202、およびリソース監視Md203を、画像形成装置の一例であるMFP9に適用した例について説明するが、複数の機能を有する情報処理装置であれば、PC(Personal Computer)およびタブレット等にも適用可能である。
【0021】
ブートプログラム205は、情報処理装置の一例であるMFP9の電源ボタンが押下された場合に最初に起動するプログラムである。OS204は、ブートプログラム205の起動後にシステム全体を管理する。プログラムP1~Pnは、MFP9が有する各機能を実現するために必要なプログラムの一例である。
【0022】
起動制御Md201は、プログラムP1~Pnの起動を管理する起動制御モジュールの一例である。具体的には、起動制御Md201は、MFP9の起動時に、優先機能(第1機能の一例)に必要なプログラム(第1プログラム)の起動後、後述する遅延時間管理Md202により取得される遅延時間分、優先機能以外の機能に必要なプログラム(第2プログラムの一例)の起動の遅延させる起動制御モジュールの一例である。
【0023】
また、起動制御Md201は、ユーザの機能の利用状況に基づいて、優先機能以外の機能のうち最も優先される機能(第3機能の一例)を選択し、優先機能に必要なプログラムの起動後、遅延時間の分、遅延後に、当該選択された機能に必要なプログラムの起動を優先して起動する。これにより、優先機能以外でユーザが利用頻度の高い機能を出来るだけ早く利用できるようになる。
【0024】
遅延時間管理Md202は、起動制御Md201で優先機能以外の機能に必要なプログラムの起動を遅延させる際の用いる遅延時間を管理(取得)する遅延時間管理モジュールの一例である。ここで、遅延時間は、優先機能に必要な第1プログラムの起動後、優先機能以外の機能に必要なプログラムを起動するまでの時間である。
【0025】
また、遅延時間管理Md202は、後述するリソース監視Md203より取得したリソースの利用状況を基に、次回起動時の遅延時間を調整して更新する。これにより、起動時のハードウェアのリソースの利用状況を取得し、リソースを最適に利用できるように遅延時間を調整することで優先機能以外の機能もできるだけ利用できるようになる。
【0026】
また、遅延時間管理Md202は、MFP9が有するリソース(例えば、ハードウェアのリソース)が含むCPU901の使用率(CPU使用率)毎に定義された遅延時間調整値を使用して遅延時間を調整しても良い。これにより、CPU901のリソースを最適に利用することが可能となる。
【0027】
また、遅延時間管理Md202は、優先機能、または、当該優先機能以外の機能の起動時間が短縮されたか否かに基づいて、遅延時間を調整しても良い。これにより、実際に起動が早くなったか否かで遅延時間の調整を行うことで、システム全体のリソースを最適に利用できているかを判断することができる。
【0028】
リソース監視Md203は、MFP9のハードウェア(リソース)を監視するリソース監視モジュールの一例である。具体的には、リソース監視Md203は、MFP9が有するリソースの利用状況を取得する。すなわち、リソース監視Md203は、遅延時間管理Md202で管理している遅延時間の調整のために用いる情報として、MFP9のハードウェア(リソース)のリソース情報を用いるために追加されているモジュールである。ここで、MFP9が有するリソースは、MFP9が有する機能に必要なプログラムの起動に用いるCPU901等のリソースである。本実施の形態では、リソース監視Md203は、MFP9のリソースが含むCPU901の使用率(CPU使用率)を、リソースの利用状況として取得しても良い。
【0029】
図3は、本実施の形態にかかるMFPにおける遅延時間の調整処理の流れの一例を示すシーケンス図である。起動制御Md201は、起動時に遅延時間調整Md202を起動し、リソース監視Md203にリソースの利用状況(以下、リソース利用状況という)の取得を依頼して、優先機能の実行終了までのリソース利用状況を取得する。また、起動制御Md201は、優先機能に必要なプログラムの起動後、遅延時間管理Md202から取得した遅延時間分待機し、その後、他のプログラムの起動を行う。
【0030】
遅延時間管理Md202は、リソース監視Md203から取得したリソース利用状況より次回の遅延時間の調整を行う。これにより、次回起動時に、より最適な遅延時間で優先機能以外のプログラムの起動が可能となり、優先機能以外の機能の利用までの時間を短縮することができる。なお、起動時に優先機能が実行されなかった場合、遅延時間の調整は行わないものとする。
【0031】
具体的には、MFP9は、ユーザにより電源ONが指示されると、電源ユニットはブートプログラム205を起動させる(ステップS211)。次に、ブートプログラム205は、OS204を起動させる(ステップS212)。次に、OS204は、起動制御Md201を起動させる(ステップS213)。さらに、起動制御Md201は、遅延時間管理Md202を起動させる(ステップS214)。
【0032】
遅延時間管理Md202は、リソース監視Md203に対して、MFP9のリソースの利用状況の取得を依頼する(ステップS215)。また、起動制御Md201は、MFP9が有する機能のうち優先機能を確認する(ステップS216)。リソース監視Md203は、OS204から、リソースの利用状況を取得する(ステップS217)。
【0033】
次に、起動制御Md201は、優先機能に必要なプログラムP1,P2を起動させる(ステップS218)。下記の表1は、MFP9が有する優先機能(第1機能の一例)、および当該優先機能に必要な優先プログラム(第1プログラムの一例)の例を示す表である。対象がMFP9等の画像形成装置の場合、優先機能として選択する機能は、コピー機能、スキャン機能、ファックス機能、ネットワーク機能等があり、それによって優先して起動するプログラムが、図1に示すプログラムP1,P2に該当する。そのため、起動制御Md201は、プログラムP1,P2を起動させる。
【表1】
【0034】
また、起動制御Md201は、遅延時間管理Md202から、遅延時間を取得する(ステップS219)。そして、起動制御Md201は、優先機能に必要なプログラムの起動後、遅延時間管理Md202により取得される遅延時間分、優先機能以外の機能に必要なプログラムの起動の遅延させる(ステップS220)。遅延時間管理Md202は、リソース監視Md203から、リソースの利用状況を取得する(ステップS221)。
【0035】
次に、起動制御Md201は、優先機能以外の機能に必要なプログラムP3,P4を起動させる(ステップS222)。また、遅延時間管理Md202は、リソースの利用状況に基づいて、次回起動時の遅延時間を調整して更新する(ステップS223)。
【0036】
下記の表2は、遅延時間調整値テーブルの一例である。遅延時間調整テーブルは、表2に示すように、リソース利用状況の一例であるCPU使用率と、当該CPU使用率に対応する遅延時間の調整値と、を対応付けるテーブルである。遅延時間管理Md202は、例えば、CPU使用率に応じた遅延時間調整値テーブルを用いて、現在保持している遅延時間に調整値を加えた遅延時間を次回起動時に適用しても良い。
【表2】
【0037】
下記の表3は、遅延時間調整テーブルの他の例である。遅延時間管理Md202は、表3に示す遅延時間調整テーブルを持っており、電源ON後の各機能の起動までの起動時間を測定し保持しておく。そして、遅延時間管理Md202は、各機能の起動時間が前回の電源ON時の起動時間と比較し、起動の短縮に成功したか否かによって、遅延時間調整テーブルの調整値に基づいて遅延時間の調整を行っても良い。
【表3】
【0038】
下記の表4は、優先機能判定用テーブルの一例である。第2優先機能判定用テーブルは、表4に示すように、MFP9が有する優先機能以外の機能(利用機能)と、当該利用機能に必要なプログラム(優先プログラム)と、当該利用機能の利用回数と、を対応付けるテーブルである。起動制御Md201は、ユーザが優先機能以外の利用機能のうち、どの利用機能を最も利用しているかを確認し、利用回数に基づいて、優先機能に必要なプログラムの後で起動する優先プログラムの順番を決める。優先機能判定テーブルは、起動制御Md201が保有しており、起動制御Md201は、利用回数が最も多い利用機能(優先機能以外の機能のうち最も優先される機能)に必要な優先プログラムを優先して起動することで、ユーザが利用したい機能をできるだけ早く利用できるようにする。
【表4】
【0039】
このように、本実施の形態にかかるMFP9によれば、起動時のハードウェアのリソースの利用状況を取得し、リソースを最適に利用できるように遅延時間を調整することで優先機能以外の機能もできるだけ利用できるようになる。
【0040】
なお、本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムは、ROM902a等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0041】
さらに、本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0042】
本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムは、上述した各部(起動制御Md201、遅延時間管理Md202、およびリソース監視Md203)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU901等のプロセッサが上記ROM902aからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、起動制御Md201、遅延時間管理Md202、およびリソース監視Md203が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0043】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
9 MFP
201 起動制御Md
202 遅延時間管理Md
203 リソース監視Md
204 OS
205 ブートプログラム
901 CPU
902a ROM
902b RAM
P1,P2,P3,P4 プログラム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2017-138700号公報
図1
図2
図3