(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174625
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/52 20060101AFI20241210BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20241210BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241210BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20241210BHJP
B65H 37/00 20060101ALI20241210BHJP
B65H 31/04 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H43/04
B65H5/06 F
B41J11/42
B65H37/00
B65H31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092543
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
【テーマコード(参考)】
2C058
3F048
3F049
3F054
3F101
3F108
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AF25
2C058AF29
2C058AF35
2C058AF47
2C058AF61
2C058GA14
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
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3F048CC11
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3F048EB40
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3F049DB02
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3F049LB01
3F054AA01
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3F054BD02
3F101FB11
3F101FC12
3F101FC16
3F101FE04
3F101LA01
3F101LB01
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB03
3F108GB07
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
(57)【要約】
【課題】大量の媒体を積載可能なトレイを備えると共に、設置スペースの自由度が高い媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、搬送路の搬送方向の上流側の部分を画定する一対の第一画定部材と、搬送路の搬送方向の下流側の部分を画定する一対の第二画定部材と、一対の第一画定部材によって画定される搬送路内の媒体を搬送方向に搬送する第一搬送部と、一対の第二画定部材によって画定される搬送路内の媒体を搬送方向に搬送する第二搬送部と、一対の第二画定部材より搬送方向の下流側に配置されて、搬送路から排出された媒体を積載するトレイと、トレイを昇降させる昇降機構とを備える。一対の第一画定部材及び一対の第二画定部材は、搬送路を伸縮させるように、搬送方向に相対移動可能に構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路の搬送方向の上流側の部分を画定する一対の第一画定部材と、
前記搬送路の前記搬送方向の下流側の部分を画定する一対の第二画定部材と、
一対の前記第一画定部材によって画定される前記搬送路内の媒体を前記搬送方向に搬送する第一搬送部と、
一対の前記第二画定部材によって画定される前記搬送路内の前記媒体を前記搬送方向に搬送する第二搬送部と、
一対の前記第二画定部材より前記搬送方向の下流側に配置されて、前記搬送路から排出された前記媒体を積載するトレイと、
前記トレイを昇降させる昇降機構とを備え、
一対の前記第一画定部材及び一対の前記第二画定部材は、前記搬送路を伸縮させるように、前記搬送方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
一対の前記第二画定部材の前記搬送方向の上流側の端部には、前記搬送方向の上流側に向かって、互いの間隔が拡がる一対のガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
一対の前記第二画定部材及び前記第二搬送部を収容する筐体と、
前記筐体の一対の前記ガイド部材に対面する位置に設けられた開口を、閉塞する閉塞位置及び開放する開放位置に移動可能なカバーとを備えることを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
一対の前記ガイド部材の一方は、前記搬送方向の下流側の端部を回動中心として、一対の前記ガイド部材の他方から離れる向きに回動可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
一対の前記ガイド部材の間に前記媒体が存在するときに検知信号を出力するセンサと、
前記センサからの前記検知信号の出力が開始されてから前記第二搬送部が所定量だけ駆動されても前記検知信号の出力が停止しない場合に、前記搬送路内に前記媒体が詰まったことを報知する報知部とを備えることを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記第一搬送部及び前記第二搬送部それぞれは、
駆動ローラと、
前記搬送路を挟んで前記駆動ローラと対向配置され、前記駆動ローラに対して接離可能な従動ローラと、
前記駆動ローラを回転させる駆動力を発生させる駆動モータと、
前記従動ローラを前記駆動ローラに向けて押圧する押圧機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
一対の前記第一画定部材及び前記第一搬送部を収容する第一筐体を備える第一搬送ユニットと、
一対の前記第二画定部材、前記第二搬送部、及び前記昇降機構を収容すると共に、外側壁で前記トレイを支持する第二筐体を備える第二搬送ユニットとを備え、
前記第二筐体の内部に前記第一筐体が進入することによって、前記搬送路を縮小させることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を収容すると共に、胴内空間を有する筐体と、
前記胴内空間に着脱可能に取り付けられる請求項1に記載の媒体搬送装置とを備え、
前記トレイは、前記筐体の外側壁に沿って昇降することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記胴内空間に着脱可能に取り付けられて、前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体に後処理を施す後処理装置を備え、
前記媒体搬送装置は、前記後処理装置に着脱可能に接続されて、前記後処理が施された前記媒体を前記トレイに向けて搬送することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
一対の前記第一画定部材及び一対の前記第二画定部材は、前記胴内空間内において、前記画像形成手段及び前記後処理装置の間に接続されるオプション装置のサイズに合わせて、前記搬送路を伸縮させることを特徴とする請求項9に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
前記第一搬送部及び前記第二搬送部の間の前記搬送路の長さに応じて、前記第一搬送部及び前記第二搬送部の駆動タイミングを制御するコントローラを備えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートに後処理を施す後処理装置と、後処理が施されたシートを積載するトレイとを備える画像形成装置が知られている。また、画像形成装置に搭載されるトレイには、昇降することによって大量のシートを積載可能なものがある。
【0003】
このような画像形成装置の一例として、特許文献1には、省スペースで大量のシートを積載することを目的として、後処理装置と、昇降可能なトレイとをユニット化して、当該ユニットを画像形成装置の胴内空間に設置した構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、別の後処理(例えば、綴じ処理、パンチ孔穿設処理、折り処理)を施す後処理装置に交換したい場合、或いはオプション装置を胴内空間に設置したい場合に、ユニット全体を交換する必要がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、大量の媒体を積載可能なトレイを備えると共に、設置スペースの自由度が高い媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、搬送路の搬送方向の上流側の部分を画定する一対の第一画定部材と、前記搬送路の前記搬送方向の下流側の部分を画定する一対の第二画定部材と、一対の前記第一画定部材によって画定される前記搬送路内の媒体を前記搬送方向に搬送する第一搬送部と、一対の前記第二画定部材によって画定される前記搬送路内の前記媒体を前記搬送方向に搬送する第二搬送部と、一対の前記第二画定部材より前記搬送方向の下流側に配置されて、前記搬送路から排出された前記媒体を積載するトレイと、前記トレイを昇降させる昇降機構とを備え、一対の前記第一画定部材及び一対の前記第二画定部材は、前記搬送路を伸縮させるように、前記搬送方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大量の媒体を積載可能なトレイを備えると共に、設置スペースの自由度が高い媒体搬送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】綴じユニットの内部構成を示す側面図(A)及び平面図(B)。
【
図3】綴じユニットの綴じ手段の位置の平面図(A)及びスリットを示す側面図。
【
図4】シートが搬送ローラ対に到達するまでの綴じユニットの状態を示す図。
【
図5】綴じ処理を行う綴じユニットの状態を示す図。
【
図6】
図5(B)のときの綴じユニットをシートの厚み方向から見た図。
【
図7】綴じ処理が施されたシート束を排出トレイに排出する場合のユニットの状態を示す図。
【
図8】第一搬送部及び第二搬送部の間隔を拡げた状態の媒体搬送装置の側面図(A)及び要部平面図(B)。
【
図9】第一搬送部及び第二搬送部の間隔を狭めた状態の媒体搬送装置の側面図(A)及び要部平面図(B)。
【
図11】第二筐体に設けられたカバーの周辺を示す図。
【
図12】パンチ孔穿設ユニット(A)及び折りユニット(B)の概略構成図。
【
図15】オプション装置の種類と、第一搬送部及び第二搬送部の間隔との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置10について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成装置10の外観図である。画像形成装置10は、シート状の媒体の一例であるシートS(典型的には、用紙)に画像を形成する装置である。
図1に示すように、画像形成装置10は、筐体11と、画像形成手段12とを備える。
【0010】
筐体11は、画像形成装置10の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体11には、画像形成装置10の外部からアクセス可能な胴内空間13が形成されている。胴内空間13は、例えば、筐体11の上下方向の中央よりやや上方に位置している。また、胴内空間13は、筐体11の外側壁が切り欠かれて、外部に露出されている。さらに、胴内空間13には、綴じユニット30(後処理装置)と、第一搬送ユニット50及び第二搬送ユニット60(媒体搬送装置)と、パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80(オプション装置)とが設置可能になっている。
【0011】
より詳細には、
図1(A)は、綴じユニット30のみを胴内空間13に配置した状態を示す。また、
図1(B)は、綴じユニット30に加えて、第一搬送ユニット50及び第二搬送ユニット60を胴内空間13に配置した状態を示す。
図1(C)は、綴じユニット30、第一搬送ユニット50、第二搬送ユニット60に加えて、パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80の両方を胴内空間13に配置した状態を示す。さらに、胴内空間13には、綴じユニット30、第一搬送ユニット50、第二搬送ユニット60に加えて、パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80の一方を配置してもよい。
【0012】
画像形成手段12は、トレイに収容されたシートSに画像を形成し、画像を形成したシートSを、綴じユニット30、パンチ孔穿設ユニット70、または折りユニット80に排出する。画像形成手段12は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成手段12の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0013】
パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80は、画像形成手段12から綴じユニット30に至るシートSの搬送経路(
図1に破線の矢印で示す経路)のうち、画像形成手段12よりも下流側で且つ綴じユニット30よりも上流側において、画像形成装置10の胴内空間13に取り付けられる。すなわち、画像形成手段12によって画像が形成されたシートSは、パンチ孔穿設ユニット70によるパンチ孔穿設処理(後述)、及び折りユニット80による折り処理(後述)の一方または両方が施され、その後に綴じユニット30に引き渡されて後述する綴じ処理が施される。
【0014】
また、パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80は、画像形成装置10に着脱可能に構成されている。パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80が取り外されると、画像形成手段12によって画像が形成されたシートSは、直接綴じユニット30に引き渡されて綴じ処理が施される。さらに、胴内空間13のパンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80が取り外された位置には、液体付与ユニット等の他のオプション装置が着脱可能に構成されている。
【0015】
液体付与ユニットが取り付けられると、画像形成手段12によって画像が形成されたシートSは、まず液体付与ユニットに引き渡されて液体付与処理が施され、その後に綴じユニット30に引き渡されて綴じ処理が施される。液体付与処理とは、シートSの表面のうち、綴じユニット30で綴じられる予定の綴じ位置に液体を付与する処理である。なお、胴内空間13のパンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80が取り外された位置には、液体付与ユニットに限定されず、シートSに任意の処理を施すオプション装置を取り付け可能である。また、オプション装置は、省略することもできる。
【0016】
さらに、綴じユニット30、第一搬送ユニット50、第二搬送ユニット60、パンチ孔穿設ユニット70、折りユニット80、及び液体付与ユニットは、各々がユニット化されており、シートSの入出力インタフェースが接続可能になっている。すなわち、画像形成装置10は、綴じユニット30、パンチ孔穿設ユニット70、折りユニット80、及び液体付与ユニットは、画像形成装置10の用途に応じて交換可能に構成されている。
【0017】
より詳細には、画像形成手段12の出力インタフェースには、綴じユニット30、パンチ孔穿設ユニット70、折りユニット80、及び液体付与ユニットの入力インタフェースが接続可能である。また、綴じユニット30の入力インタフェースは、パンチ孔穿設ユニット70、折りユニット80、及び液体付与ユニットにも接続可能である。また、第一搬送ユニット50の入力インタフェースには、綴じユニット30の出力インタフェースが接続可能である。さらに、第一搬送ユニット50の出力インタフェースには、第二搬送ユニット60の入力インタフェースが接続可能である。そして、隣接するユニット同士は、メカニカルロックや磁石などによって着脱可能に接続される。また、胴内空間13に設置されたユニットは、各種信号を送受信するためのハーネスによってコントローラ100(
図13参照)に接続される。
【0018】
図2は、綴じユニット30の内部構成を示す側面図(A)及び平面図(B)である。
図3は、綴じユニット30の綴じ手段42の位置の平面図(A)及びスリット31aを示す側面図である。綴じユニット30は、画像形成手段12によって画像が形成された複数のシートS(シート束Sb)を束ねて綴じる綴じ処理(後処理)を施す。但し、後処理装置の具体例は、綴じユニット30に限定されない。
図2及び
図3に示すように、綴じユニット30は、綴じケース31と、排出トレイ32と、複数の搬送ローラ対33、34、35、36と、内部トレイ37と、叩きコロ38と、戻しコロ39と、エンドフェンス40L、40Rと、サイドフェンス41L、41Rと、綴じ手段42とを備える。
【0019】
綴じケース31は、綴じユニット30の構成部品(33~42)を収容する内部空間が形成された箱状である。また、綴じケース31の内部空間には、シートSが通過する空間である搬送路Ph1が形成されている。排出トレイ32は、綴じケース31の外側面に支持されている。排出トレイ32は、搬送ローラ対33~36によって搬送されたシートSまたはシート束Sbを積載する。
【0020】
搬送ローラ対33~36は、搬送路Ph1上に所定の間隔を隔てて配置されている。搬送ローラ対33~36は、搬送路Ph1に沿ってシートSを搬送する。搬送ローラ対33は、搬送路Ph1を挟んで対向配置された駆動ローラ33a及び従動ローラ33bで構成されている。駆動ローラ33a及び従動ローラ33bは、綴じケース31に回転可能に支持されている。駆動ローラ33aは、搬送モータの回転駆動力が伝達されて、シートSを搬送する方向(
図2の時計回り)に順回転する。従動ローラ33bは、搬送路Ph1を挟んで駆動ローラ33aに対向配置され、駆動ローラ33aの回転に伴って従動する。そして、駆動ローラ33a及び従動ローラ33bがシートSを挟持した状態で、搬送モータが駆動されることによって、シートSが搬送路Ph1に沿って搬送される。
【0021】
搬送ローラ対34~36の基本的な構成は、搬送ローラ対33と共通する。但し、搬送ローラ対36は、駆動ローラ36aと、駆動ローラ36aに接離可能な従動ローラ36bとで構成される。また、搬送ローラ対35は、シートSを幅方向にずらして排出トレイ32に排出するソート処理を実現するために、幅方向にスライド可能に構成されていてもよい。
【0022】
内部トレイ37は、搬送ローラ対36によって搬送される複数のシートSを一時的に支持(積載)する。叩きコロ38は、内部トレイ37の上方において、回動アームの先端に支持されている。叩きコロ38は、回動アームが回動することによって、搬送ローラ対36に挟持されたシートSを内部トレイ37に供給する。戻しコロ39は、内部トレイ37に支持されたシートSの上面に当接して回転することによって、シートSを搬送ローラ対36に向けて案内する。以下、搬送ローラ対36からエンドフェンス40L、40Rに向かう方向を「第一搬送方向」と表記し、第一搬送方向及び内部トレイ37に支持されたシートSの厚み方向に直交する方向を「主走査方向」と表記する。
【0023】
エンドフェンス40L、40Rは、内部トレイ37に支持されたシートSの第一搬送方向の下流側の端部に当接して、シートSの第一搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス41L、41Rは、内部トレイ37に支持されたシートSの幅方向の両端部に当接して、主走査方向の位置を揃える。
【0024】
綴じ手段42は、内部トレイ37に支持されたシート束Sbの第一搬送方向の下流側の端部に配置されている。また、綴じ手段42は、内部トレイ37に支持されたシート束Sbに沿って、第一搬送方向に直交する主走査方向に移動可能に構成されている。一例として、綴じ手段42は、シート束Sbを加圧変形させて綴じる圧着綴じ手段である。他の例として、綴じ手段42は、シート束Sbに綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ手段である。さらに他の例として、綴じユニット30は、圧着綴じ手段及び針綴じ手段の両方を備えていてもよい。
【0025】
また、
図3に示すように、綴じケース31の綴じ手段42に対面する位置には、マニュアル綴じ用のスリット31aが設けられていてる。スリット31aを通じて綴じケース31の内部に挿入されたシート束Sbの角部は、綴じ手段42によるマニュアル綴じが可能になる。また、綴じケース31は、スリット31aを囲むように、ガイド壁31b、31cをさらに備える。ガイド壁31bは、マニュアル綴じされる(すなわち、角部がスリット31aに挿入される)シート束Sbを第一搬送方向に位置決めする。ガイド壁31cは、マニュアル綴じされる(すなわち、角部がスリット31aに挿入される)シート束Sbを主走査方向に位置決めする。
【0026】
次に、
図4~
図7を参照して、綴じ処理を説明する。
図4は、シートSが搬送ローラ対36に到達するまでの綴じユニット30の状態を示す図である。
図5は、綴じ処理を行う綴じユニット30の状態を示す図である。
図6は、
図5(B)のときの綴じユニット30をシートSの厚み方向から見た図である。
図7は、綴じ処理が施されたシート束Sbを排出トレイ32に排出する場合の綴じユニット30の状態を示す図である。
【0027】
綴じユニット30は、
図4に示すように、搬送ローラ対33~35を順回転させることによって、画像形成手段12から供給されたシートSを、搬送路Ph1に沿って搬送する。このとき、搬送ローラ対36は、駆動ローラ36aと従動ローラ36bとが離間した状態となっている。
【0028】
次に、綴じユニット30は、
図5に示すように、搬送ローラ対35を通過した後のシートSに叩きコロ38を当接させて回転させることによって、当該シートSを内部トレイ37に収容する。また、
図6に示すように、圧着綴じユニット30は、サイドフェンス41L、41Rを幅方向に移動させることによって、内部トレイ37に収容されたシートSの幅方向の位置を揃える。
【0029】
そして、綴じユニット30は、
図4~
図6に示す処理を繰り返すことによって、内部トレイ37上でシート束Sbを構成する。次に、綴じユニット30は、所定枚数のシートSが内部トレイ37上に積層されたことに応じて、シート束Sbの綴じ位置に綴じ手段42に対面させる。次に、綴じユニット30は、綴じ手段42を駆動することによって、内部トレイ37に支持されたシート束Sbを綴じる。
【0030】
次に、綴じユニット30は、
図7(A)に示すように、圧着綴じされたシート束Sbに戻しコロ39を当接させて回転させることによって、駆動ローラ36a及び従動ローラ36bにシート束Sbを挟持させる。そして、綴じユニット30は、
図7(B)に示すように、搬送ローラ対36を順回転させることによって、シート束Sbを排出トレイ32に排出する。
【0031】
次に、
図8~
図11を参照して、媒体搬送装置の構成を説明する。
図8は、第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔を拡げた状態の媒体搬送装置の側面図(A)及び要部平面図(B)である。
図9は、第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔を狭めた状態の媒体搬送装置の側面図(A)及び要部平面図(B)である。
【0032】
図8及び
図9に示すように、本実施形態に係る媒体処理装置は、第一搬送ユニット50と、第二搬送ユニット60とで構成されている。そこで、本明細書では、媒体搬送装置を「媒体搬送装置(50&60)」と表記する。第一搬送ユニット50は、第二搬送ユニット60より第二搬送方向の上流側に配置されている。以下、媒体搬送装置(50&60)の内部に形成された搬送路Ph2に沿って、第一搬送ユニット50から第二搬送ユニット60に向かう方向を、「第二搬送方向」と表記する。
【0033】
媒体搬送装置(50&60)は、胴内空間に着脱可能に設置することができる。また、媒体搬送装置(50&60)の入力インタフェースは、綴じユニット30の出力インタフェースに接続可能である。より詳細には、媒体搬送装置(50&60)は、排出トレイ32を取り外した綴じユニット30の出力インタフェースに接続される。そして、媒体搬送装置(50&60)は、綴じユニット30から排出された大量のシートSまたはシート束Sbを、排出トレイ67に積載する機能を有する。
【0034】
第一搬送ユニット50は、第一筐体51と、一対の第一画定部材52a、52bと、一対の第一ガイド部材53a、53bと、シートセンサ54と、第一搬送部55とを主に備える。第一筐体51は、第一搬送ユニット50の構成部品(52~55)を収容する内部空間が形成された箱状である。
【0035】
一対の第一画定部材52a、52bは、第一筐体51の内部において、上下方向に所定の間隔を隔てて配置されている。そして、一対の第一画定部材52a、52bの間には、搬送路Ph2の第二搬送方向の上流側の部分が形成されている。すなわち、一対の第一画定部材52a、52bは、搬送路Ph2の第二搬送方向の上流側の部分を画定する。
【0036】
一対の第一ガイド部材53a、53bは、一対の第一画定部材52a、52bの第二搬送方向の上流側の端部に設けられている。一対の第一ガイド部材53a、53bは、第二搬送方向の上流側に向かって、互いの間隔が拡がるように配置されている。そして、一対の第一ガイド部材53a、53bは、綴じユニット30から排出されたシートSまたはシート束Sbを、一対の第一画定部材52a、52bの間に案内する役割を担う。
【0037】
シートセンサ54は、一対の第一画定部材52a、52bによって画定される搬送路Ph2の第二搬送方向の上流側の端部(典型的には、一対の第一ガイド部材53a、53bの位置)に設置されている。シートセンサ54は、設置位置(すなわち、一対の第一ガイド部材53a、53b)にシートSが存在するときに検知信号をコントローラ100に出力し、設置位置にシートSが存在しないときに検知信号の出力を停止する。シートセンサ54は、例えば、反射型または透過型の光学センサを採用することができる。
【0038】
図10は、第一搬送部55の構成を示す模式図である。
図10に示すように、第一搬送部55は、シートセンサ54より第二搬送方向の下流側に配置されている。そして、第一搬送部55は、一対の第一画定部材52a、52bによって画定される搬送路Ph2内のシートSまたはシート束Sbを、第二搬送方向に搬送する。第一搬送部55は、例えば、駆動ローラ55aと、従動ローラ55bと、駆動モータ55cと、駆動力伝達機構55dと、アーム55eと、押圧機構55fとで構成される。
【0039】
駆動ローラ55aは、搬送路Ph2の厚み方向の一方側(本実施形態では、第一画定部材52a側)に配置されている。従動ローラ55bは、搬送路Ph2の厚み方向の他方側(本実施形態では、第一画定部材52b側)に配置されている。すなわち、駆動ローラ55a及び従動ローラ55bは、搬送路Ph2を挟んで対向配置されている。そして、駆動ローラ55a及び従動ローラ55bは、一対の画定部材52a、52bによって画定される搬送路Ph2内のシートSまたはシート束Sbを挟持して回転する。
【0040】
駆動モータ55cは、駆動ローラ55aを回転させるための駆動力を発生させる。駆動モータ55cの駆動力は、駆動力伝達機構55dを介して駆動ローラ55aに伝達される。駆動力伝達機構55dは、ギヤ、プーリ、タイミングベルト、或いはこれらを組み合わせて構成される。これにより、駆動ローラ55aは、搬送路Ph2内のシートSまたはシート束Sbを第二搬送方向に搬送する向き(
図10の反時計回り)に回転する。また、従動ローラ55bは、駆動ローラ55aの回転に伴って従動する。そして、駆動ローラ55a及び従動ローラ55bは、搬送路Ph2内のシートSまたはシート束Sbを挟持して回転することによって、シートSまたはシート束Sbを第二搬送方向に搬送する。
【0041】
アーム55eは、従動ローラ55bを回転可能に支持する。また、アーム55eは、従動ローラ55bを駆動ローラ55aに接離させる向きに回動する。押圧機構55fは、従動ローラ55bを駆動ローラ55aに押圧する。押圧機構55fによる押圧力は、駆動ローラ55a及び従動ローラ55bの間に進入するシートSまたはシート束Sbの厚みに応じて、駆動ローラ55aに対して従動ローラ55bが接離可能で、且つ駆動ローラ55a及び従動ローラ55bがシートSまたはシート束Sbを挟持搬送できる程度の大きさに設定される。これにより、搬送路Ph2内のシートSまたはシート束Sbの厚みに応じて、駆動ローラ55a及び従動ローラ55bの間隔が調整される。すなわち、第一搬送部55は、異なる厚みのシートSまたはシート束Sbを搬送することができる。
【0042】
第二搬送ユニット60は、第二筐体61と、一対の第二画定部材62a、62bと、一対の第二ガイド部材63a、63bと、シートセンサ64と、第二搬送部65、66と、排出トレイ67と、昇降機構68とを主に備える。第二筐体61は、第二搬送ユニット60の構成部品(62~66、68)を収容する内部空間が形成された箱状である。また、第二筐体61は、外側壁で排出トレイ67を昇降可能に支持する。より詳細には、第二搬送ユニット60が胴内空間13に取り付けられると、
図1(B)及び
図1(C)に示すように、第二筐体61の排出トレイ67を支持する部分は、胴内空間13の外側において、筐体11の外側面に沿って配置される。
【0043】
一対の第二画定部材62a、62bは、第二筐体61の内部において、上下方向に所定の間隔を隔てて配置されている。そして、一対の第二画定部材62a、62bの間には、搬送路Ph2の第二搬送方向の下流側の部分が形成されている。すなわち、一対の第二画定部材62a、62bは、搬送路Ph2の第二搬送方向の下流側の部分を画定する。また、一対の第二画定部材62a、62bの間隔は、一対の第一画定部材52a、52bの間隔より広く設定されている。
【0044】
なお、一対の第一画定部材52a、52b及び一対の第二画定部材62a、62bは、搬送路Ph2の全体を完全に覆っている必要はなく、第二搬送方向に搬送されるシートSまたはシート束Sbを支持することができる程度に、搬送路Ph2を部分的に覆っていればよい。
【0045】
一対の第二ガイド部材63a、63bは、一対の第二画定部材62a、62bの第二搬送方向の上流側の端部に設けられている。一対の第二ガイド部材63a、63bは、第二搬送方向の上流側に向かって、互いの間隔が拡がるように配置されている。そして、一対の第二ガイド部材63a、63bは、第一搬送ユニット50から排出されたシートSまたはシート束Sbを、一対の第二画定部材62a、62bの間に案内する役割を担う。
【0046】
シートセンサ64は、一対の第二画定部材62a、62bによって画定される搬送路Ph2の第二搬送方向の上流側の端部(典型的には、一対の第二ガイド部材63a、63bの位置)に設置されている。シートセンサ64は、設置位置(すなわち、一対の第二ガイド部材63a、63b)にシートSが存在するときに検知信号をコントローラ100に出力し、設置位置にシートSが存在しないときに検知信号の出力を停止する。シートセンサ64は、例えば、反射型または透過型の光学センサを採用することができる。
【0047】
第二搬送部65、66は、シートセンサ64より第二搬送方向の下流側に配置されている。また、第二搬送部65、66は、第二搬送方向に離間して配置されている。さらに、第二搬送部65、66は、共通の駆動モータ56cによって連動して駆動(回転)する。そして、第二搬送部65、66は、一対の第二画定部材62a、62bによって画定される搬送路Ph2内のシートSまたはシート束Sbを、第二搬送方向に搬送する。第二搬送部65、66の構成は、例えば、
図10に示す第一搬送部55と同様であってもよい。
【0048】
排出トレイ67は、一対の第二画定部材62a、62bより第二搬送方向の下流側において、第二筐体61の外側面に支持されている。また、排出トレイ67は、搬送路Ph2の第二搬送方向の下流側の端部(出口)より下方に配置されている。さらに、排出トレイ67は、第二筐体61の外側面に沿って昇降可能に構成されている。そして、排出トレイ67は、第二搬送部65、66によって搬送路Ph2から排出されたシートSまたはシート束Sbを積載する。
【0049】
昇降機構68は、排出トレイ67を昇降させる。昇降機構68は、例えば、プーリ68a、68bと、無端環状のタイミングベルト68cと、昇降モータ68dとを備える。プーリ68a、68bは、上下方向に離間した位置において、各々が回転可能に第二筐体61に支持されている。タイミングベルト68cは、プーリ68a、68bに掛け渡されている。昇降モータ68dは、プーリ68aを回転(排出トレイ67を昇降)させる駆動力を発生させる。これにより、プーリ68a、68bの間を周回するタイミングベルト68cに接続された排出トレイ67が昇降する。
【0050】
図11は、第二筐体61に設けられたカバー61bの周辺を示す図である。
図11(B)に示すように、第二筐体61の側壁には、開口61aが形成されている。開口61aは、一対のガイド部材63a、63bに対面する位置において、第二筐体61の側壁を貫通している。そして、第二筐体61は、開口61aを閉塞する閉塞位置(
図11(A))と、開口61aを開放する開放位置(
図11(B))とに移動(本実施形態では、回動)可能なカバー61bを備える。
【0051】
また、一対のガイド部材53a、53bの一方(本実施形態では、下側のガイド部材53a)は、第二記搬送方向の下流側の端部を回動中心として、一対のガイド部材53a、53bの他方(本実施形態では、上側のガイド部材53b)から離れる向きに回動可能に構成されている。これにより、シートSまたはシート束Sbがガイド部材53a、53bの位置で搬送路Ph2に詰まった(以下、「ジャム」と表記する。)場合に、ガイド部材53aをガイド部材53bから離間する向きに回動させると共に、カバー61bを開放位置に移動させて、ジャムしたシートSまたはシート束Sbを取り除くことができる。
【0052】
図8(B)及び
図9(B)に示すように、第一搬送ユニット50の第一筐体51は、胴内空間13内を第二搬送方向に延びるガイドロッド56(スライド機構)にスライド可能に支持されている。すなわち、第一搬送部55は、ガイドロッド56に沿って、第二搬送方向にスライド可能に構成されている。より詳細には、第一搬送ユニット50は、構成部品(51~55)の相対位置を変更することなく、第二搬送ユニット60に対して接離する向きに移動する。また、綴じユニット30は、第一搬送ユニット50と共に、ガイドロッド56に沿って移動可能であってもよい。
【0053】
図8に示すように、第一搬送ユニット50が第二搬送ユニット60から離れる向きにスライドすると、搬送路Ph2(換言すれば、第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔)が伸長する。これにより、
図1(B)に示すように、画像形成手段12の出力インタフェースに綴じユニット30の入力インタフェースが接続可能になる。なお、第一搬送ユニット50と第二搬送ユニット60とが最も離れているとき、一対の第一画定部材52a、52bの第二搬送方向の下流側の端部と、一対の第二画定部材62a、62b(より詳細には、一対の第二ガイド部材63a、63b)の第二搬送方向の上流側の端部とは、第二搬送方向に離間している。
【0054】
一方、
図9に示すように、第一搬送ユニット50が第二搬送ユニット60から近づく向きにスライドすると、搬送路Ph2(換言すれば、第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔)が縮小する。このとき、第一筐体51は第二筐体61内に進入し、一対の第一画定部材52a、52bは一対の第二画定部材62a、62bの間に進入する。これにより、
図1(C)に示すように、画像形成手段12の出力インタフェースと、綴じユニット30の入力インタフェースとの間に、パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80の一方または両方を設置可能なスペースが形成される。なお、第一搬送ユニット50は、画像形成装置10のユーザによって手動でスライドされてもよいし、スライドモータ(図示省略)の駆動力によってスライドされてもよい。
【0055】
なお、本実施形態では、第二搬送ユニット60を固定して、第一搬送ユニット50を第二搬送方向にスライドさせる例を説明した。他の例として、第一搬送ユニット50を固定して、第二搬送ユニット60を第二搬送方向にスライドさせてもよい。さらに他の例として、第一搬送ユニット50及び第二搬送ユニット60の両方を第二搬送方向にスライドさせてもよい。すなわち、第一搬送ユニット50及び第二搬送ユニット60(より詳細には、一対の第一画定部材52a、52b及び一対の第二画定部材62a、62b)は、搬送路Ph2を伸縮させるように、第二搬送方向に相対移動可能に構成されていればよい。
【0056】
次に、
図12を参照して、パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80の構成を説明する。
図12は、パンチ孔穿設ユニット70(A)及び折りユニット80(B)の概略構成図である。パンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略するが、例えば以下の構成が考えられる。
【0057】
図12(A)に示すように、パンチ孔穿設ユニット70は、筐体71と、シートセンサ72と、穿孔ピン73と、パンチ屑ホッパ74とを備える。筐体71は、パンチ孔穿設ユニット70の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体71の内部空間には、画像形成手段12によって画像が形成されたシートSが通過する搬送路Ph3が形成されている。シートセンサ72は、画像形成手段12から供給されたシートSが所定の位置に到達したことを検知する。穿孔ピン73は、シートセンサ72によって検知されたシートSにパンチ孔を穿つ。シートSから脱落したパンチ屑は、パンチ屑ホッパ74内に落下する。これにより、シートSにパンチ孔を穿設する穿設処理が実現される。
【0058】
折りユニット80は、画像形成手段12によって画像が形成されたシートSを所定の形状(例えば、Z折り、外三つ折り、二つ折り)に折る折り処理を実行する。
図12(B)に示すように、折りユニット80は、筐体81と、搬送ローラ対82と、第一折りローラ83と、第二折りローラ84と、第三折りローラ85とを備える。
【0059】
筐体81は、折りユニット80の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体81の内部空間には、シートSが通過する空間である主搬送路Ph4及び還流搬送路Ph5が形成されている。搬送ローラ対82は、主搬送路Ph4に沿ってシートSを搬送する。第一折りローラ83は、主搬送路Ph4に対面する位置において、筐体81に回転可能に支持されている。第二折りローラ84は、主搬送路Ph4及び還流搬送路Ph5の両方に対面する位置において、筐体81に回転可能に支持されている。第三折りローラ85は、還流搬送路Ph5に対面する位置において、筐体81に回転可能に支持されている。
【0060】
折りユニット80は、搬送ローラ対82、第一折りローラ83、及び第二折りローラ84を順回転させる。次に、折りユニット80は、搬送ローラ対82を順回転させ、第一折りローラ83、第二折りローラ84、及び第三折りローラ85を逆回転させる。これにより、シートSは、折り位置を先頭にして還流搬送路Ph5に進入して、第二折りローラ84及び第三折りローラ85に挟持される。その結果、シートSは、折り位置で折られる。次に、折りユニット80は、シートSの後端が第二折りローラ84及び第三折りローラ85の挟持位置を通過したタイミングで、搬送ローラ対82、第一折りローラ83、及び第二折りローラ84を順回転させる。これにより、シートSは、折り位置を先頭にして折りユニット80から排出される。
【0061】
図13は、画像形成装置10のハードウェア構成図である。
図13に示すように、画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0062】
CPU101は演算手段であり、画像形成装置10全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0063】
画像形成装置10は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成装置10の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成装置10に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成装置10の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、画像形成装置10の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0064】
I/F105は、画像形成手段12、綴じユニット30、第一搬送ユニット50、第二搬送ユニット60、パンチ孔穿設ユニット70、折りユニット80、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、画像形成手段12、綴じユニット30、第一搬送ユニット50、第二搬送ユニット60、パンチ孔穿設ユニット70、折りユニット80、及び操作パネル110を動作させる。
【0065】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてオペレータから情報を取得し、ディスプレイを通じてオペレータに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0066】
コントローラ100は、シートセンサ54、64から出力される検知信号と、駆動モータ55c、65cのロータリエンコーダとに基づいて、シートSまたシート束Sbの搬送を制御する。まず、コントローラ100は、シートセンサ54から検知信号の出力が開始されたことに応じて、駆動モータ55cを回転させる。これにより、綴じユニット30から供給されたシートSまたはシート束Sbが第一搬送部55に挟持されて、第二搬送方向に搬送され、第二搬送ユニット60に供給される。また、コントローラ100は、シートセンサ64から検知信号の出力が開始されたことに応じて、駆動モータ65cを回転させる。これにより、シートSまたはシート束Sbが第二搬送部65、66に挟持されて、第二搬送方向に搬送され、排出トレイ67に排出される。
【0067】
また、コントローラ100は、シートセンサ54からの検知信号の出力が開始されたことに応じて、駆動モータ55cのロータリエンコーダから出力されるパルス信号のカウントを開始する。そして、コントローラ100は、カウントしたパルス信号の数が所定値に達しても(すなわち、第一搬送部55が所定量だけ駆動されても)シートセンサ54からの検知信号の出力が停止しない場合に、シートSまたはシート束Sbが一対の第一画定部材52a、52bの間に詰まったと判定して、操作パネル110を通じてジャムの発生を報知する。
【0068】
同様に、コントローラ100は、シートセンサ64からの検知信号の出力が開始されたことに応じて、駆動モータ65cのロータリエンコーダから出力されるパルス信号のカウントを開始する。そして、コントローラ100は、カウントしたパルス信号の数が所定値に達しても(すなわち、第二搬送部65が所定量だけ駆動されても)シートセンサ64からの検知信号の出力が停止しない場合に、シートSまたはシート束Sbが一対の第二画定部材62a、62bの間に詰まったと判定して、操作パネル110を通じてジャムの発生を報知する。
【0069】
次に、胴内空間13に設置されたオプション装置の種類に応じたコントローラ100の搬送制御について説明する。
図14は、オプションテーブルのデータ例である。
図15は、胴内空間13に設置されたオプション装置の種類と、第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔との関係を示す図である。
【0070】
HDD104には、
図14に示すオプションテーブルが記憶されている。オプションテーブルは、胴内空間13に設置されたオプション装置と、第一装着信号及び第二装着信号の状態と、距離情報との関係が設定されている。第一装着信号は、パンチ孔穿設ユニット70が設置されたときにH(High)状態となり、パンチ孔穿設ユニット70が設置されていないときにL(Low)状態となる。第二装着信号は、折りユニット80が設置されたときにH(High)状態となり、折りユニット80が設置されていないときにL(Low)状態となる。距離情報は、胴内空間13にオプション装置を設置するために、画像形成手段12の出力インタフェースと、綴じユニット30の入力インタフェースとの間に必要なサイズ(第二搬送方向の長さ)を指す。
【0071】
一例として、
図15(A)に示すように、オプション装置としてパンチ孔穿設ユニット70のみを設置した場合、第一装着信号がH状態となり、第二装着信号がL状態となる。このとき、オプション装置を設置するために、搬送路Ph2を長さX1だけ縮小する必要がある。そして、搬送路Ph2を長さX1だけ縮小すると、第二搬送方向における第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔は、L1となる。そのため、コントローラ100は、シートセンサ54からの検知信号の出力が開始されてから、駆動モータ55cのロータリエンコーダから出力されるパルス信号の数が第一所定数(搬送距離L1に相当する数)に達したことに応じて、駆動モータ65cの駆動を開始してもよい。
【0072】
他の例として、
図15(B)に示すように、オプション装置としてパンチ孔穿設ユニット70及び折りユニット80の両方を設置した場合、第一装着信号及び第二装着信号がH状態となる。このとき、オプション装置を設置するために、搬送路Ph2を長さX1+X2だけ縮小する必要がある。そして、搬送路Ph2を長さX1+X2だけ縮小すると、第二搬送方向における第一搬送部55及び第二搬送部65の間隔は、L2(<L1)となる。そのため、コントローラ100は、シートセンサ54からの検知信号の出力が開始されてから、駆動モータ55cのロータリエンコーダから出力されるパルス信号の数が第二所定数(搬送距離L2に相当する数)に達したことに応じて、駆動モータ65cの駆動を開始してもよい。
【0073】
このように、コントローラ100は、第一搬送部55及び第二搬送部65の間の搬送路Ph2の長さに応じて、第一搬送部55及び第二搬送部65の駆動タイミングを制御してもよい。この場合、シートセンサ64は省略可能である。
【0074】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0075】
上記の実施形態によれば、胴内空間13に設置するオプション装置のサイズに応じて、搬送路Ph2の長さを調整することができる。これにより、シートSまたはシート束Sbを大量に積載可能な排出トレイ67を備える媒体搬送装置(50&60)において、設置スペースの自由度を向上させることができる。
【0076】
また、上記の実施形態によれば、第二画定部材62a、62bの先端に第二ガイド部材63a、63bを設けることによって、第一画定部材52a、52bと第二画定部材62a、62bとの間を通過するシートSまたはシート束Sbが詰まるのを防止することができる。
【0077】
また、上記の実施形態によれば、媒体搬送装置(50&60)の中で最もジャムが発生しやすい第二ガイド部材63a、63bに対面してカバー61bを設けることによって、ジャム処理の作業性が向上する。なお、開口及びカバーは、第一筐体51の第一ガイド部材53a、53bに対面する位置に設けられてもよい。
【0078】
また、上記の実施形態によれば、第二ガイド部材63aを第二ガイド部材63bから離間する向きに回動可能にすることによって、さらにジャム処理の作業性が向上する。なお、第二ガイド部材63aを回動可能にすることに代えて、マイラのような柔軟性が高い材料で第二ガイド部材63aを構成してもよい。
【0079】
また、上記の実施形態によれば、シートセンサ64によってジャム発生を検知し、操作パネル110を通じて報知することによって、画像形成装置10のダウンタイムを短縮することができる。
【0080】
また、上記の実施形態によれば、押圧機構55fによって駆動ローラ55a及び従動ローラ55bの間隔を調整することによって、様々な厚みのシートSまたはシート束Sbに対応することが可能になる。
【0081】
また、上記の実施形態によれば、第一搬送ユニット50及び第二搬送ユニット60をユニット化すると共に、第一搬送ユニット50全体を第二搬送方向にスライドさせることによって、第一搬送ユニット50の構成部品(51~55)を個別にスライドさせるのと比較して、構成をシンプルにできる。また、各構成部品(51~55)の相対位置が変化しないので、搬送精度の低下を防止できる。
【0082】
また、上記の実施形態の媒体搬送装置(50&60)を胴内空間13に設置することによって、様々なオプション装置を設置可能な画像形成装置10を得ることができる。また、オプション装置のサイズに合わせて媒体搬送装置(50&60)を交換する必要がないので、画像形成装置10のダウンタイムを最小限にすることができる。
【0083】
さらに、上記の実施形態によれば、伸縮される搬送路Ph2の長さに合わせて、第一搬送部55及び第二搬送部65の駆動タイミングを制御することによって、シートSまたはシート束Sbを検知するセンサを削減することができると共に、省エネに寄与する。
【0084】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0085】
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1> 搬送路の搬送方向の上流側の部分を画定する一対の第一画定部材と、
前記搬送路の前記搬送方向の下流側の部分を画定する一対の第二画定部材と、
一対の前記第一画定部材によって画定される前記搬送路内の媒体を前記搬送方向に搬送する第一搬送部と、
一対の前記第二画定部材によって画定される前記搬送路内の前記媒体を前記搬送方向に搬送する第二搬送部と、
一対の前記第二画定部材より前記搬送方向の下流側に配置されて、前記搬送路から排出された前記媒体を積載するトレイと、
前記トレイを昇降させる昇降機構とを備え、
一対の前記第一画定部材及び一対の前記第二画定部材は、前記搬送路を伸縮させるように、前記搬送方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とする媒体搬送装置である。
<2> 一対の前記第二画定部材の前記搬送方向の上流側の端部には、前記搬送方向の上流側に向かって、互いの間隔が拡がる一対のガイド部材が設けられていることを特徴とする前記<1>に記載の媒体搬送装置である。
<3> 一対の前記第二画定部材及び前記第二搬送部を収容する筐体と、
前記筐体の一対の前記ガイド部材に対面する位置に設けられた開口を、閉塞する閉塞位置及び開放する開放位置に移動可能なカバーとを備えることを特徴とする前記<2>に記載の媒体搬送装置である。
<4> 一対の前記ガイド部材の一方は、前記搬送方向の下流側の端部を回動中心として、一対の前記ガイド部材の他方から離れる向きに回動可能に構成されていることを特徴とする前記<3>に記載の媒体搬送装置である。
<5> 一対の前記ガイド部材の間に前記媒体が存在するときに検知信号を出力するセンサと、
前記センサからの前記検知信号の出力が開始されてから前記第二搬送部が所定量だけ駆動されても前記検知信号の出力が停止しない場合に、前記搬送路内に前記媒体が詰まったことを報知する報知部とを備えることを特徴とする前記<3>または前記<4>に記載の媒体搬送装置である。
<6> 前記第一搬送部及び前記第二搬送部それぞれは、
駆動ローラと、
前記搬送路を挟んで前記駆動ローラと対向配置され、前記駆動ローラに対して接離可能な従動ローラと、
前記駆動ローラを回転させる駆動力を発生させる駆動モータと、
前記従動ローラを前記駆動ローラに向けて押圧する押圧機構とを備えることを特徴とする前記<1>乃至前記<5>のいずれか1つに記載の媒体搬送装置である。
<7> 一対の前記第一画定部材及び前記第一搬送部を収容する第一筐体を備える第一搬送ユニットと、
一対の前記第二画定部材、前記第二搬送部、及び前記昇降機構を収容すると共に、外側壁で前記トレイを支持する第二筐体を備える第二搬送ユニットとを備え、
前記第二筐体の内部に前記第一筐体が進入することによって、前記搬送路を縮小させることを特徴とする前記<1>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体搬送装置である。
<8> 媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を収容すると共に、胴内空間を有する筐体と、
前記胴内空間に着脱可能に取り付けられる前記<1>乃至前記<7>のいずれか1つに記載の媒体搬送装置とを備え、
前記トレイは、前記筐体の外側壁に沿って昇降することを特徴とする画像形成装置である。
<9> 前記胴内空間に着脱可能に取り付けられて、前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体に後処理を施す後処理装置を備え、
前記媒体搬送装置は、前記後処理装置に着脱可能に接続されて、前記後処理が施された前記媒体を前記トレイに向けて搬送することを特徴とする前記<8>に記載の画像形成装置である。
<10> 一対の前記第一画定部材及び一対の前記第二画定部材は、前記胴内空間内において、前記画像形成手段及び前記後処理装置の間に接続されるオプション装置のサイズに合わせて、前記搬送路を伸縮させることを特徴とする前記<9>に記載の媒体搬送装置である。
<11> 前記第一搬送部及び前記第二搬送部の間の前記搬送路の長さに応じて、前記第一搬送部及び前記第二搬送部の駆動タイミングを制御するコントローラを備えることを特徴とする前記<10>に記載の画像形成装置である。
【符号の説明】
【0086】
10 :画像形成装置
11,71,81 :筐体
12 :画像形成手段
13 :胴内空間
30 :ユニット
31 :ケース
31a :スリット
31b,31c :ガイド壁
32,67 :排出トレイ
33-36 :搬送ローラ対
33a,36a,55a :駆動ローラ
33b,36b,55b :従動ローラ
38 :叩きコロ
39 :戻しコロ
40L,40R :エンドフェンス
41L,41R :サイドフェンス
42 :綴じ手段
50 :第一搬送ユニット
51 :第一筐体
52a,52b :第一画定部材
53a,53b :第一ガイド部材
54,64,72 :シートセンサ
55 :第一搬送部
55c,65c :駆動モータ
55d :駆動力伝達機構
55e :アーム
55f :押圧機構
56 :ガイドロッド
60 :第二搬送ユニット
61 :第二筐体
61a :開口
61b :カバー
62a,62b :第二画定部材
63a,63b :第二ガイド部材
65,66 :第二搬送部
68 :昇降機構
68a,68b :プーリ
68c :タイミングベルト
68d :昇降モータ
70 :パンチ孔穿設ユニット
73 :穿孔ピン
74 :パンチ屑ホッパ
80 :折りユニット
82 :搬送ローラ対
83 :第一折りローラ
84 :第二折りローラ
85 :第三折りローラ
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】