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特開2024-174755二次電池の金属負極およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174755
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】二次電池の金属負極およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20241210BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241210BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20241210BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20241210BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/1395
H01M4/38 Z
H01G11/06
H01G11/26
H01G11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092761
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(71)【出願人】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】秋山 達也
(72)【発明者】
【氏名】種村 眞幸
(72)【発明者】
【氏名】川崎 晋司
(72)【発明者】
【氏名】石井 陽祐
【テーマコード(参考)】
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AA15
5E078AB06
5E078BA07
5E078BA30
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA11
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA20
5H050CA17
5H050CB11
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】製造プロセスを簡素化することができるとともに、正極に向かって成長するデンドライトを抑制することができる二次電池の金属負極およびその製造方法を提供する。
【解決手段】充電および放電可能な二次電池1の金属負極3において、突端3aaに向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状3aが表面Hに一体形成されるとともに、微小突出形状3aは、突端3aaが鋭角若しくは湾曲した円錐または角錐から成り、底面の寸法aと高さ方向の寸法bとの比が1:3以上とされたものが全体の微小突出形状3aの50%以上を占めるものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電および放電可能な二次電池の金属負極において、
突端に向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状が表面に一体形成されたことを特徴とする二次電池の金属負極。
【請求項2】
前記微小突出形状は、突端が鋭角若しくは湾曲した円錐または角錐から成ることを特徴とする請求項1記載の二次電池の金属負極。
【請求項3】
前記微小突出形状は、底面の寸法と高さ方向の寸法との比が1:3以上とされたものが全体の微小突出形状の50%以上を占めることを特徴とする請求項2記載の二次電池の金属負極。
【請求項4】
前記微小突出形状を含む表面は、前記微小突出形状が形成されない平面に対して少なくとも2倍以上の表面積とされたことを特徴とする請求項1記載の二次電池の金属負極。
【請求項5】
亜鉛、銅、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムおよびカルシウム、並びにこれらの金属を成分に含むもしくは合金のいずれかからなる群より選ばれる材質から成ることを特徴とする請求項1記載の二次電池の金属負極。
【請求項6】
充電および放電可能な二次電池の金属負極の製造方法において、
表面に中性原子若しくは中性分子などの粒子線またはレーザ光若しくはイオンビームなどの量子線やプラズマを照射する乾式表面加工、溶液による化学エッチングを含む湿式表面加工、並びに乾式および湿式の成膜法を含む表面加工により、突端に向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状を表面に一体形成することを特徴とする二次電池の金属負極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電および放電可能な二次電池の金属負極およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や電動バイクなどのEV(Electric Vehicle)は、航続距離の延長が重要な課題とされており、その課題を解決するためには、車両が搭載する二次電池の高容量化と高電圧化が必要とされている。このような二次電池の高容量化と高電圧化を図る上で、種々の問題があり、そのうちの一つに二次電池の金属負極に生じるデンドライトの問題が挙げられる。
【0003】
かかるデンドライトは、二次電池の充電および放電を行うことにより金属負極に発生する針状の突起部から成り、充電および放電の繰り返しにより成長するものである。このようなデンドライトが成長すると、セパレータを貫通し、突端が正極に接触して短絡させてしまう虞がある。そこで、従来、例えば特許文献1にて開示されるように、金属負極表面に粒子を融合して突起部を予め形成してデンドライトの成長を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-187895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、リチウムイオン二次電池の金属負極表面に粒子を融合して突起部を形成しているため、母材とは別個の粒子が必要とされ、製造プロセスが複雑となって製造コストが嵩んでしまうとともに、正極に向かって成長するデンドライトを抑制するには不十分とされ、その結果、二次電池の充電および放電を長期にわたって繰り返し行った場合、成長したデンドライトの突端が正極に接触して短絡してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、製造プロセスを簡素化することができるとともに、正極に向かって成長するデンドライトを抑制することができる二次電池の金属負極およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、充電および放電可能な二次電池の金属負極において、突端に向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状が表面に一体形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の二次電池の金属負極において、前記微小突出形状は、突端が鋭角若しくは湾曲した円錐または角錐から成ることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の二次電池の金属負極において、前記微小突出形状は、底面の寸法と高さ方向の寸法との比が1:3以上とされたものが全体の微小突出形状の50%以上を占めることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の二次電池の金属負極において、前記微小突出形状を含む表面は、前記微小突出形状が形成されない平面に対して少なくとも2倍以上の表面積とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の二次電池の金属負極において、亜鉛、銅、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムおよびカルシウム、並びにこれらの金属を成分に含むもしくは合金のいずれかからなる群より選ばれる材質から成ることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、充電および放電可能な二次電池の金属負極の製造方法において、表面に中性原子若しくは中性分子などの粒子線またはレーザ光若しくはイオンビームなどの量子線やプラズマを照射する乾式表面加工、溶液による化学エッチングを含む湿式表面加工、並びに乾式および湿式の成膜法を含む表面加工により、突端に向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状を表面に一体形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、突端に向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状が表面に一体形成されたので、製造プロセスを簡素化することができるとともに、正極に向かって成長するデンドライトを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る金属負極が適用される二次電池を示す模式図
図2】同二次電池の金属負極を示す模式図
図3】同金属負極に形成された微小突出形状(デンドライト形成前)を示す模式図
図4】同微小突出形状にデンドライトが形成された状態を示す模式図
図5】同微小突出形状(デンドライト形成前)を示す顕微鏡写真
図6】同微小突出形状(デンドライト形成前)を示す拡大した顕微鏡写真
図7】同微小突出形状(デンドライト形成後)を示す顕微鏡写真
図8】同微小突出形状(デンドライト形成後)を示す拡大した顕微鏡写真
図9】本発明に係る微小突出形状が形成された金属負極(凹凸処理)と微小突出形状が形成されない金属負極(未処理)とを比較した容量と電位との関係を示すグラフ
図10】本発明に係る微小突出形状が形成された金属負極(凹凸処理)に対して充電および放電させた場合の実験結果を示すグラフ
図11】微小突出形状が形成されない金属負極(未処理)に対して繰り返し充電および放電させた実験結果を示すグラフ
図12】本発明の他の実施形態に係る微小突出形状(突端が湾曲した円錐形状)を示す模式図
図13】本発明の他の実施形態に係る微小突出形状(突端が鋭角の角錐形状)を示す模式図
図14】本発明の他の実施形態に係る微小突出形状(突端が湾曲した角錐形状)を示す模式図
図15】本発明の他の実施形態に係る微小突出形状(突端が接切した円錐形状)を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る金属負極は、充電および放電可能な二次電池に適用された金属製板状部材から成るもので、適応される二次電池1は、図1に示すように、金属正極2と、金属負極3と、セパレータ4と、プラス極側集電体5と、マイナス極側集電体6と、アルカリ性の電解液(アルカリ電解液E)を収容したケースCとを具備して構成されている。
【0016】
金属正極2は、ニッケル(Ni)から成るシート状部材(ニッケル箔)から成り、プラス極側集電体5の表面に取り付けられるとともに、金属負極3及びセパレータ4と対向した状態にてケースCに取り付けられるよう構成されている。セパレータ4は、例えば不織布から成り、ケースCにおける金属正極2と金属負極3との間の位置に取り付けられるよう構成されている。
【0017】
金属負極3は、亜鉛(Zn)から成るシート状部材(亜鉛箔)から成り、マイナス極側集電体6の表面に取り付けられるとともに、金属正極2及びセパレータ4と対向した状態にてケースCに取り付けられるよう構成されている。かかる金属負極3は、亜鉛の他、銅(Cu)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)およびカルシウム(Ca)、並びにこれらの金属を成分に含むもしくは合金のいずれかからなる群より選ばれる材質から成るものとしてもよい。
【0018】
そして、金属正極2と接触したプラス極側集電体5と金属負極3と接触したマイナス極側集電体6との間にバッテリ等の電源またはモータ等の負荷を接続することにより二次電池1の充電または放電が可能とされている。すなわち、二次電池1によれば、放電時と逆方向に電流を流すことにより、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄積(充電)することが可能とされているのである。
【0019】
ここで、本実施形態に係る金属負極3は、図2、3に示すように、突端3aaに向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状3aが表面Hに一体形成されている。具体的には、本実施形態に係る金属負極3は、その表面Hに突端3aaが鋭角の円錐から成る微小突出形状3aが複数形成されており、底面3abの寸法a(径寸法)と高さ寸法b(突端3aaから底面3abまでの寸法)との比が1:3とされたものが全体の微小突出形状3aの50%以上を占めるものとされている。
【0020】
かかる微小突出形状3aは、例えば表面Hに中性原子若しくは中性分子などの粒子線またはレーザ光などの量子線を照射する乾式表面加工(スパッタリング加工)で得ることができ、図5、6の顕微鏡写真に示すように、多数の微小突出形状3aが群を成して形成されている。また、本実施形態に係る金属負極3の微小突出形状3aを含む表面Hは、微小突出形状3aが形成されない平面に対して少なくとも2倍以上の表面積とされている。
【0021】
そして、本実施形態に係る二次電池1を充電または放電すると、図4に示すように、微小突出形状3aの側面3acにデンドライトDが発生することとなる。具体的には、金属負極である亜鉛(Zn)が電解質(アルカリ電解液E等)中に溶解し、Zn+4OH→Zn(OH) 2-+2eの化学反応が生じる。そして、二次電池1の充電時には、充電時の電気エネルギーによって更にZn(OH) 2-→ZnO+HO+2OHの化学反応が生じ、デンドライト種として知られているZnOが析出する(図7、8参照)。
【0022】
デンドライトDは、二次電池1の放電時は、ZnO+HO+2OH→Zn(OH) 2-なる化学反応により金属負極表面に生じたZnOが溶解(図5、6参照)するものであるが、二次電池1の充電および放電を繰り返す事でZnOの析出が続き、次第に局所的に成長する事となる。
【0023】
このように、デンドライトDが成長すると、その突端がセパレータ4を突き破って金属正極2に達してしまう可能性があり、デンドライトDの突端が金属正極2に接触すると短絡して二次電池1の機能を喪失することとなる。また、本実施形態において析出されるデンドライトDは、絶縁性の酸化物(ZnO)を含むため、導電性に優れた初期の表面状態(Zn)と比べて金属負極3の導電性に悪影響を及ぼし、電池性能を劣化させる虞がある。
【0024】
これに対し、本実施形態に係る金属負極3は、その表面Hに微小突出形状3aが形成されており、当該微小突出形状3aは、図4に示すように、表面Hに対して垂直方向αに向かって延設された錘状(円錐状)とされているため、側面3acに発生したデンドライトDは、垂直方向αから所定角度ずれた方向に向かって成長することとなる。一方、二次電池1のセパレータ4および金属正極2は、金属負極3の表面Hに対して垂直方向αに取り付けられるため、成長したデンドライトDの突端がセパレータ4および金属正極2に到達するのは困難となり、二次電池1の短絡を抑制することができる。
【0025】
しかるに、金属負極3は、その表面Hに微小突出形状3aが複数形成されているので、表面積が増加することとなり、絶縁性の酸化物(ZnO)を含むデンドライトDが発生しても金属負極3の導電性の劣化を比較的抑制することができる。また、本実施形態に係る微小突出形状3aは、金属負極3の表面Hに表面加工(イオンビーム照射加工(スパッタリング加工とも称される))により形成されるため、より直接的に表面が形成されることとなり、母材とは別個となる材料もしくは加工による粒子等を不要とすることができ、製造プロセス及び材料を簡素化することができる。
【0026】
なお、本実施形態に係る微小突出形状3aは、図3に示すように、突端3aaが鋭角の円錐形状とされているが、図12に示すように、突端3aaが湾曲した円錐形状、図13に示すように、突端3aaが鋭角の角錐形状、図14に示すように、突端3aaが湾曲した角錐形状としてもよい。また、図15に示すように、円錐形状の突端3aaが切欠かれて面状(突端面)に形成された接切形状の微小突出形状3aとしてもよい。
【0027】
本実施形態に係る金属負極3の微小突出形状3aは、表面に中性原子若しくは中性分子などの粒子線またはレーザ光若しくはイオンビームなどの量子線やプラズマを照射する乾式表面加工にて形成されているが、これに限定されるものではなく、溶液による化学エッチングを含む湿式表面加工、並びに乾式および湿式の成膜法を含む表面加工により、突端3aaに向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状3aを表面Hに一体形成するようにしてもよい。
【0028】
次に、本実施形態に係る金属負極3の技術的優位性を示す実験結果について説明する。
縦1cm、横1cm及び厚さ50μmの亜鉛箔(Zn)の表面にスパッタリング加工を施して微小突出形状3aを形成した実施例(凹凸処理)と、縦1cm、横1cm及び厚さ50μmの亜鉛箔(Zn)の表面に加工を施さず平坦な面とされた比較例(未処理)とを用意し、それぞれに0.1mA/cmの電流を流して二次電池1の充電時に発生する化学反応Zn(OH) 2-→ZnO+HO+2OHと電圧の関係を観察した。
【0029】
その結果、図9に示すように、実施例は、比較例と比べて化学反応に必要な電圧が大きい。すなわち、デンドライト種であるZnO発生の過電圧は実施例の方が小さい。これは、実施例が比較例に比べて凹凸処理を形成した事に起因して表面積が大きいため、単位面積あたりの過電圧が小さくなったと考えられる。したがって、実施例は、比較例と比べて電極表面上の抵抗が少ないことが分かり、金属負極3に電流を流した際に付与される負荷を低減できることが分かった。
【0030】
続いて、実施例と比較例とに対し、繰り返し放電および充電を繰り返し、都度、電圧を測定する実験を行った。その結果、実施例は、図10で示すように、放電および充電を200回程度繰り返しても所定の電圧が測定されるのに対し、比較例は、図11で示すように、放電および充電を10回程度繰り返した時点で所定の電圧が測定されなくなった。これにより、実施例は、比較例に比べて電池特性の寿命が著しく向上することが分かった。
【0031】
本実施形態によれば、突端3aaに向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状3aが表面Hに一体形成されたので、製造過程にて別個の粒子等を不要とすることができ、製造プロセスを簡素化することができるとともに、金属正極2に向かって成長するデンドライトDを抑制することができる。特に、微小突出形状3aは、突端3aaが鋭角若しくは湾曲した円錐または角錐から成るので、金属正極2に向かって成長するデンドライトDを確実に抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る微小突出形状3aは、底面3abの寸法aと高さ方向の寸法bとの比が1:3以上とされたものが全体の微小突出形状3aの50%以上を占めるので、表面積を向上させつつ金属正極2に向かって成長するデンドライトDを確実に抑制することができる。さらに、本実施形態の如く微小突出形状3aを含む表面Hは、微小突出形状3aが形成されない平面に対して少なくとも2倍以上の表面積とされることにより、より一層表面積を向上させることができる。
【0033】
またさらに、本実施形態に係る金属負極3は、亜鉛、銅、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムおよびカルシウム、並びにこれらの金属を成分に含むもしくは合金のいずれかからなる群より選ばれる材質から成るので、汎用的な二次電池1に適用することができる。また、表面Hに中性原子若しくは中性分子などの粒子線またはレーザ光などの量子線を照射する乾式表面加工、溶液による化学エッチングを含む湿式表面加工、並びに乾式および湿式の成膜法を含む表面加工により、突端3aaに向かって連続的に縮径した錘状の微小突出形状3aを表面に一体形成するので、母材の表面を変形させて微小突出形状3aを形成することができ、製造過程で別個の粒子等を不要とすることができる。
【0034】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば適用される二次電池1は、亜鉛空気二次電池、亜鉛ニッケル二次電池、亜鉛銀二次電池、リチウム空気二次電池、リチウム硫黄二次電池、マグネシウム空気二次電池、ナトリウム硫黄二次電池、カリウム二次電池、カルシウム二次電池、多価イオン二次電池等のロッキングチェア型の二次電池に限らず、リチウムイオンキャパシタなど正極にレドックス反応を利用しない系いずれか一つとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明と同様の趣旨であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 二次電池
2 金属正極
3 金属負極
3a 微小突出形状
3aa 突端
3ab 底面
3ac 側面
4 セパレータ
5 プラス極側集電体
6 マイナス極側集電体
C ケース
H 表面
D デンドライト
E 電解液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15