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特開2024-174801シート処理装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174801
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】シート処理装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B42B 5/00 20060101AFI20241210BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20241210BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030270
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2023092551
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA54
(57)【要約】
【課題】シートの整合精度の向上と綴じ強度の向上を兼ねつつ、小型化を可能とするシート処理装置を提供するである。
【解決手段】搬送されたシート状の媒体を積載するトレイと、トレイに積載された媒体の一部に液体付与を実行する液体付与ユニットと、トレイに積載された複数の媒体からなる媒体束の一部に圧着綴じを実行する圧着ユニットと、を備え、コントローラは、前記液体付与手段を、前記媒体の端部を押圧する端部押圧手段として動作させ、トレイに媒体が積載されている状態において、先に積載されている先行媒体に対し後続媒体が接触しながら第一方向に搬送されるとき、端部押圧手段により当該先行媒体の第二方向の下流側の端部を押圧させる、シート処理装置による。
【選択図】図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の複数の媒体を積載可能な排出トレイと、
前記排出トレイとは異なる位置において前記媒体を積載可能な内部トレイと、
前記媒体を排出トレイに排出する方向である第一方向に、当該媒体を搬送する第一搬送手段と、
前記内部トレイに積載された前記媒体に接離して、前記第一方向と異なる方向である第二方向に当該媒体を搬送する第二搬送手段と、
前記第二方向における前記内部トレイの下流側に配置され、当該内部トレイに積載された複数の前記媒体に圧着綴じを実行する圧着綴じ手段と、
前記第一搬送手段、前記第二搬送手段、及び前記圧着綴じ手段の動作を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記内部トレイに前記媒体が積載されている状態において、当該内部トレイに先に積載されている先行媒体に対し、後続の前記媒体である後続媒体が接触しながら前記第一方向に搬送されるとき、前記圧着綴じ手段により当該先行媒体の前記第二方向の下流側の端部を押圧させる、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
シート状の複数の媒体を積載可能な排出トレイと、
前記排出トレイとは異なる位置において前記媒体を積載可能な内部トレイと、
前記媒体を排出トレイに排出する方向である第一方向に、当該媒体を搬送する第一搬送手段と、
前記内部トレイに積載された前記媒体に接離して、前記第一方向と異なる方向である第二方向に当該媒体を搬送する第二搬送手段と、
前記第二方向における前記内部トレイの下流側に配置され、当該内部トレイに積載された複数の前記媒体に液体付与を実行する液体付与手段と、
前記第二方向における前記内部トレイの下流側に配置され、当該内部トレイに積載された複数の前記媒体に圧着綴じを実行する圧着綴じ手段と、
前記第一搬送手段、前記第二搬送手段、前記液体付与手段、及び前記圧着綴じ手段の動作を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記内部トレイに前記媒体が積載されている状態において、当該内部トレイに先に積載されている先行媒体に対し、後続の前記媒体である後続媒体が接触しながら前記第一方向に搬送されるとき、前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段により当該先行媒体の前記第二方向の下流側の端部を押圧させる、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記液体付与手段と共に前記圧着綴じ手段により当該先行媒体の前記第二方向の下流側の端部を押圧させる、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記後続媒体が前記第二方向に搬送されているときに、前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段は、前記端部への押圧を解除する、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
搬送中の前記媒体の位置を検知する媒体検知手段と、
前記後続媒体が、前記先行媒体に対して積載されるときに、当該後続媒体の端部を突き当てる基準フェンスと、を備え、
前記後続媒体を前記第二方向に搬送させるとき前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段による前記端部への押圧を解除する、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記媒体の位置を、主走査方向における移動をさせる媒体シフト手段を備え、
前記圧着綴じを実行せずに前記移動をさせるとき、
前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段により前記媒体の端部を押圧させる、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記液体付与手段は、前記液体付与における液体量を調整する液体量調整手段を備え、
前記端部を押圧するときには、前記液体量を減少させる、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記液体付与手段は、
前記液体付与を実行する液体付与ヘッドと、
前記押圧を実行する押圧部と、
を備え、
前記端部の押圧を実行中は、前記押圧部によって前記端部を押圧し、前記液体付与ヘッドの前記端部への接触を行わない、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記押圧の位置と、前記圧着綴じの位置が同一であるとき、前記押圧部及び前記液体付与ヘッドによって前記押圧を実行する、
請求項8に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記液体付与手段を主走査方向に移動させる液体付与移動手段を備え、
前記端部における、主走査方向の略中央において前記端部の押圧を実行する、
請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記圧着綴じ手段を主走査方向に移動させる圧着ユニット移動手段を備え、
前記媒体の端部における、主走査方向の異なる位置を前記液体付与手段と前記圧着綴じ手段で押圧する、
請求項10に記載のシート処理装置。
【請求項12】
筐体と、
前記筐体に収容されてシート状の媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体に対し圧着綴じを実行する請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された請求項1のいずれか一項に記載のシート処理装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置にて画像を形成されたシート状の媒体に所定の処理を行うシート処理装置が知られている。また、シート処理装置と画像形成装置とを連結させた画像形成システムも知られている。
【0003】
シート処理装置において実行される所定のシート処理(画像形成処理の後工程に該当するため「後処理」と称されることがある。)には、複数の処理が知られている。例えば、複数の媒体(シート)を積載して端部を整合させるシート整合処理、整合したシート束の端部を綴じる綴じ処理、シートを所定の形状(例えば、Z折り、外三つ折り、二つ折りなど)に折る折り処理などが知られている。
【0004】
後処理の一つである綴じ処理を行う場合に、綴じ強度を向上させる目的で、積載されるシートに液体を付与する液体付与機能を備え、かつ、液体が付与されたシートの整合性を向上させて不揃いにならないようにする後処理装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている装置は、シートを積載する部材としてのシートトレイの角度を、水平に対して45°前後に設定することでシートトレイに積載されたシートを傾斜によって端部揃え部材に突き当たるようにするものである。しかしながら、シート処理装置に相当する機能ユニットを画像形成装置の筐体内部に設けるような、いわゆる胴内型のシート処理装置の場合、シート端部を整合するためにシートトレイの載置面の角度を大きくすることができず、シートの端部の整合精度を向上させるには課題がある。
【0006】
また、シートトレイにすでに載置されているシートに対して新たに載置されるシートが載置されるとき、互いの摩擦などによって、すでに端部の整合がなされていたシート(先に載置されていたシート)がずれてしまい、整合精度が低下する、という課題もある。
【0007】
すなわち、従来技術では、シート処理装置が大型になりやすく、また、複数のシートを積載したときの端部の整合精度を向上させるには課題がある。
【0008】
本発明は、シートの整合精度の向上と綴じ強度の向上を兼ねつつ、小型化を可能とするシート折り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、搬送されたシート状の媒体を積載するトレイと、前記トレイに積載された前記媒体の一部に液体付与を実行する液体付与ユニットと、前記トレイに積載された複数の前記媒体からなる媒体束の一部に圧着綴じを実行する圧着ユニットと、を備え、前記内部トレイに前記媒体が積載されている状態において、当該内部トレイに先に積載されている先行媒体に対し、後続の前記媒体である後続媒体が接触しながら第一方向に搬送されるとき、前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段、若しくは当該液体付与手段及び当該圧着綴じ手段の両方が、当該先行媒体の第二方向の先頭側の端部を押圧する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートの整合精度の向上と綴じ強度の向上を兼ねつつ、小型化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのMFPの例を示す外観図。
図2】本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのMFPの別例を示す外観図。
図3】本実施形態に係るMFPの機能ブロック図。
図4】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの機能ブロック図。
図5】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの断面構成図。
図6】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図7】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図8】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図9】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図10】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図11】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図12】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図13】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図14】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図15】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図16】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図17】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図18】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図19】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図20】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図21】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図22】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図23】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図24】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図25】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図26】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図27】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図28】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの動作工程の例を示す図。
図29】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの綴じ処理のフローチャート。
図30】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの綴じ処理のフローチャート。
図31】上記綴じ処理ユニットが備える液体付与ユニットの構成図。
図32】上記綴じ処理ユニットが備える液体付与ユニットの構成図。
図33】上記液体付与ユニットが備える液体付与ヘッドの斜視図。
図34】上記綴じ処理ユニットの動作工程図。
図35】上記綴じ処理ユニットの動作工程図。
図36】上記綴じ処理ユニットの動作工程図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[画像形成装置の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのMFP1について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本実施形態に係るMFP1の外観図である。MFP1は、シート状の媒体としてのシートS(典型的には、シートSである。)に画像を形成する画像形成機能と、画像が記録されたシートSに対して所定のシート処理(後処理)を実行する後処理機能と、を備える装置である。
【0013】
図1に示すように、MFP1は、主に、筐体31と、筐体31の内部において画像形成手段32と、を備える。筐体31は、MFP1の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状の部材である。また、筐体31には、MFP1の外部からアクセス可能な胴内空間33が形成されている。胴内空間33は、例えば、筐体31の上下方向の中央よりやや上方に位置している。また、胴内空間33は、筐体31の外側壁が切り欠かれて、外部に露出されている。
【0014】
さらに、胴内空間33には、パンチ孔穿設ユニット200、本発明に係るシート処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100が取り付け可能になっている。
【0015】
画像形成手段32は、シート収容トレイからピックアップして搬送されてきたシートSを、パンチ孔穿設ユニット200、綴じ処理ユニット100に排出する。画像形成手段32は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成手段32の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0016】
パンチ孔穿設ユニット200は、画像形成手段32から綴じ処理ユニット100に至るシートSの搬送経路(図1に破線の矢印で示す経路)のうち、画像形成手段32よりも下流側で且つ綴じ処理ユニット100よりも上流側において、MFP1の胴内空間33に取り付けられる。すなわち、画像形成手段32によって画像が形成されたシートSは、まずパンチ孔穿設ユニット200に引き渡されて所定のパンチ穴形成処理が実行され、その後に綴じ処理ユニット100に引き渡されて後述する綴じ処理が実行される。
【0017】
また、パンチ孔穿設ユニット200は、MFP1に着脱可能に構成されている。パンチ孔穿設ユニット200が取り外されると、図2に例示するように、画像形成手段32によって画像が形成されたシートSは、綴じ処理ユニット100に直接引き渡されて綴じ処理が施される。なお、胴内空間33のパンチ孔穿設ユニット200が取り外された位置には、シートSに任意の処理を施す他の処理ユニットを取り付け可能である。
【0018】
[画像形成装置を含むシート処理装置の制御構成]
次に、綴じ処理ユニット100を含むMFP1の制御構成について図3を用いて説明する。図3は、パンチ孔穿設ユニット200が取り外された状態のMFP1の制御構成を例示する図である。
【0019】
図3においてシートSの搬送経路(シートSの流れ)を破線矢印で表し、通信信号(制御信号)の経路(信号の流れ)を実線矢印で表している。
【0020】
MFP1は、ユーザに各種機器の状態や操作内容を知らせるための表示部301、ユーザがモードや部数等の設定操作を行うための操作部302、シートSをストックして一枚毎に分離給送する給紙部303と、を備える。また、MFP1は、図3において図示を省略している感光体に潜像を形成しシートSへ画像を転写させる作像部304、シートSに転写された画像を定着させる定着部305を備える。さらに、MFP1は、上記の各部の動作を制御する画像形成制御部306を備えている。
【0021】
シート処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100は、MFP1の画像形成制御部306から通信ライン307を通じて後処理制御部102に処理の指示がされ、後処理部101にてシートSに指定された処理を行う。
【0022】
各連結された画像形成制御部306及び後処理制御部102は通信ライン307で繋がり、情報のやり取りを可能になっている。これにより、後処理の動作モードに関する情報、シートSのサイズ、シートSの受け渡しタイミング等の情報がやり取りされシステム動作が可能となっている。
【0023】
[MFP1のハードウェア構成]
次に、MFP1に含まれる綴じ処理ユニット100のハードウェア構成について、図4を用いて説明する。図に示すように、綴じ処理ユニット100はコントローラとしてのCPU110を備え、I/F(インターフェース)120を介して各機構の動作のための動力源となる複数のモータに接続されている。CPU110は演算手段であり、綴じ処理ユニット100全体の動作を制御している。
【0024】
綴じ処理ユニット100内のCPU110はI/F120を介してMFP1の画像形成制御部306と接続され、MFP1からの処理信号に応じて綴じ処理ユニット100の制御を行っている。綴じ処理ユニット100もオプション装置であるため、着脱が可能なハード構成となっている。
【0025】
各モータはモータの駆動量をパルス数で検知できるエンコーダが付いていて、特定のタイミングを起点に特定の駆動量の位置で停止させることができる。また搬送路上のセンサをONまたはOFFしたタイミングを基準に、各モータの駆動量をエンコーダパルスに基づいて算出し、その駆動量に基づいて、搬送しているシートSの端の位置を検出できるようになっている。
【0026】
図4に例示するように、綴じ処理ユニット100は、I/F120を介して、搬送モータ151、排出モータ152、綴じユニット移動モータ153、液体付与ユニット移動モータ154、液体付与モータ155、圧着モータ156、搬送センサ157、排出センサ158、綴じユニット位置センサ159、液体付与ユニット位置センサ160、昇降センサ161、液体量センサ162、シフトローラ13を主走査方向に移動(シフト)させるためのシフトモータ163、叩きコロ15を上下移動・回転駆動する叩きコロ駆動モータ164、戻しコロ14を駆動する戻しコロ駆動モータ165、ジョガーフェンス22を主走査方向に移動するジョガーモータ166が接続されている。
【0027】
[綴じ処理ユニット100の搬送路構成]
次に、本発明に係るシート処理装置の一実施形態としての綴じ処理ユニット100が備えるシートSの搬送路の構成について説明する。図5は、綴じ処理ユニット100が備える搬送路の断面図を示している。綴じ処理ユニット100は、複数の動作モードを設定可能であって、設定された動作モードに基づいて適宜動作するように構成されている。綴じ処理ユニット100が備える動作モードとして、例えば、上流(画像形成手段32)から排出トレイ20に至るまで、シートSに対する綴じ処理を行わずに搬送し排出する「シフト排出モード」と、圧着ユニット19によりシートSに圧着綴じを行う「圧着綴じモード」がある。
【0028】
シフト排出モードの場合は、MFP1から搬送されたシートSを入口ローラ11で受け入れて、排出ローラ16まで搬送し、排出トレイ20に排出する。入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16は、第一搬送手段を構成する。すなわち、入口ローラ11から排出ローラ16に向けてシートSを搬送するとき、その搬送方向が第一方向に相当する。
【0029】
圧着綴じモードの場合は、MFP1から搬送されたシートSを入口ローラ11で受け入れ、シフトローラ13まで第一方向に向けて搬送をして、シフトローラ13をシートSが抜けたとき、叩きコロ15を駆動させて内部トレイとしての積載トレイ17にシートSを載置する状態にする。その後、第二搬送手段としての叩きコロ15及び戻しコロ14の動作によって、第一方向とは異なる第二方向へシートSを搬送する。このときの第二方向は、シートSの端部を整合させるための基準フェンス18に向けての搬送であって、第一方向との反対方向に相当する搬送であるから「スイッチバック搬送」に相当する。
【0030】
また、圧着綴じモードの場合、上記のシートSの第二方向への搬送動作(積載トレイ17に沿って基準フェンス18まで搬送する動作)を綴じ枚数に至るまで繰り返して実行する。そして、最終のシートSが基準フェンス18に搬送されたところで、圧着手段としての圧着ユニット19によりシートSの束(シート束Sb)の端部を加圧変形させて、綴じ部材を用いることのない圧着綴じ処理を実行する。綴じられたシート束Sbは、第一搬送手段を構成する排出ローラ16によって、第一方向へ搬送されて、排出トレイ20へと排出される。
【0031】
なお、排出トレイ20に排出されたシートS又はシート束Sbは、エンドフェンス21に、シートS又はシート束Sbの端部を突き当てることで整合される。
【0032】
[シフト排出モードの動作工程]
次に、複数の図面を参照しながら、綴じ処理ユニット100におけるシートSの搬送処理、綴じ処理のうち、シフト排出モードの動作工程について説明する。まず、図6に例示するように、シートSが綴じ処理ユニット100に受け入れられて第一方向へ搬送されるところから開始される。この状態は、動作モードに関わらず同様である。
【0033】
続いて、図7の状態に至る。図7(a)は、綴じ処理ユニット100を厚み方向から見た図であって、搬送経路の平面図である。図7(b)は、綴じユニットを主走査方向から見た図であって、同搬送経路の側面図である。なお、主走査方向とは、第一方向と交差する方向であって、シートSが第一方向に搬送されているときの、シートSの幅方向に相当する。すなわち、図7(a)において主走査方向は、図面上下方向であるし、図7(b)において主走査方向は、図面奥側と手前側の方向である。
【0034】
図7に示すように、シートSが第一方向に搬送されて排出ローラ16の位置に搬送方向の先端が至る頃には、排出従動ローラ16bが、排出駆動ローラ16aに接近しているニップ状態から、排出駆動ローラ16aから離間しているニップ圧解除状態に遷移する。そして、シートSの後端が搬送ローラ12を抜けている状態で、シフトローラ13をシートSの幅方向(主走査方向)、に移動させることで、シートSの搬送位置を主走査方向においてシフトさせながら搬送する。
【0035】
図7(a)では、搬送中央から奥側(図7における上側)へシフト搬送させている。媒体シフト手段としてのシフトローラ13は、手前側(図7における下側)、奥側のどちらにもシフト搬送を行うことができ、一枚毎や複数枚毎にシフト方向を切り替えることで、シート束Sbの部毎に排出位置をシフトさせるソート処理という排出処理が行える。
【0036】
続いて、図8に示すように、シートSのシフトが完了したところで排出従動ローラ16bをニップ位置に移動させて、シートSを排出トレイ20に向けて搬送する。
【0037】
続いて、図9に示すように、排出ローラ16により排出トレイ20にシートSが排出される。
【0038】
以上のように、綴じ処理ユニット100においてシフト排出モードにて動作をするときは、シートSは第一方向にのみ搬送される。
【0039】
[圧着綴じモードの動作工程]
次に、複数の図面を参照しながら、綴じ処理ユニット100におけるシートSの搬送処理、綴じ処理のうち、圧着綴じモードの動作工程について説明する。まず、図10は、すでに説明をした図6と同様であって、シートSが綴じ処理ユニット100に受け入れられる状態を示している。
【0040】
続いて、図11に示すように、圧着綴じモードでは、シートSをシフトさせずに搬送するので、排出従動ローラ16bはニップ圧解除位置のままであり、シートSは第一方向へと搬送される。
【0041】
続いて、図12に示すように、シフトローラ13から後端部が抜けたシートSは自重により内部トレイとしての積載トレイ17へと落下する。そして、積載トレイ17に載置されたシートSに対して叩きコロ15が接触して第二方向へとシートSを搬送する。その結果、シートSは、積載トレイ17に載置された状態で基準フェンス18の方向へとスイッチバック搬送される。
【0042】
続いて、図13に示すように、叩きコロ15および戻しコロ14によるスイッチバック搬送により、シートSの端部(第二方向への搬送における先頭に相当する端部)が基準フェンス18に突き当たるまで搬送される。シートSの端部が基準フェンス18に突き当たった後、ジョガーフェンス22によって、シートSの側方(幅方向)の端部を突き当てるようにして、シートSを挟みこむ。この動作によって、積載トレイ17に積載されたシートSの幅方向の端部の整合が行われる。
【0043】
図10から図13を繰り返して実行することで、積載トレイ17に複数のシートSが積載された状態になる。ここで、繰り返し回数は、シート束Sbを形成するためのシートSの枚数に相当する。続いて、図14に示すように、シートSを積載トレイ17上で重ね合わせた後、圧着ユニット19を用いて、シート束Sbの一部分(端部の一部分)に対し圧着綴じを実行する。圧着綴じを実行する際、排出従動ローラ16bはニップ位置に移動する。
【0044】
続いて、図15に示すように、排出ローラ16により排出トレイ20にシート束Sbが排出される。
【0045】
[シート処理装置の実施形態]
次に、本発明に係るシート処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100についてより詳細に説明する。まず、綴じ処理ユニット100が備える圧着綴じ手段としての圧着ユニット19と液体付与手段としての液体付与ユニット26の動作概要について説明する。液体付与ユニット26は、圧着ユニット19によって綴じ処理が行われるシート束Sbの一部分(綴じ部分)に対して、液体付与ユニット26が備える貯液タンクに貯留された液体(例えば、水)を付与する。以下、綴じ部分に対して液体を付与することを「液体付与」と表記する。
【0046】
ここで、「液体付与」するための貯液タンクに貯留された液体とは、さらに詳しくは、化学式H2Oで表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていても良い。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0047】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いても良い。
【0048】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、圧着綴じとして機能させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。又、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりもシート束Sbの綴じ強度を向上させることができる。
【0049】
図16図17図18は、綴じ処理ユニット100の平面図である。図16に示すように、積載トレイ17にシートSが搬送されて基準フェンス18に後端部が突き当てられた状態において、シートSの一部分(綴じ部分)に対して、液体付与ユニット26が液体付与を実行する。このとき圧着ユニット19は、液体付与ユニット26よりも、綴じ処理ユニット100における奥側(図面上方)に位置している。
【0050】
液体付与の後、図17に例示するように、液体付与ユニット26は手前側(図面下方)に移動する。そして、圧着ユニット19が綴じ位置に移動して、圧着綴じ処理を実行する。なお、圧着ユニット19が綴じ位置に移動するときに、図18に例示するように液体付与ユニット26を手前(図面下方)の、綴じ位置とは反対側の端部まで移動させてもよい。
【0051】
なお、圧着ユニット19と液体付与ユニット26の位置関係は、図16図17図18に例示したものに限定されず、これらが入れ替わって配置されてもよい。すなわち、図16のように、液体付与ユニット26が液体付与位置(綴じ位置)に位置するとき、圧着ユニット19が図面下方(手前側)に退避するように制御されてもよい。
【0052】
なお、図19は、綴じ処理ユニット100の断面図である。図19に例示するように、綴じ処理ユニット100を主走査方向から見たとき、圧着ユニット19と液体付与ユニット26は、基準フェンス18によって端部が整合されたシートSの後端に沿って移動可能な位置にあって、それぞれが主走査方向に移動可能になっている。したがって、液体付与を行うときには、圧着ユニット19は液体付与ユニット26の動作を邪魔しない位置に退避する。また、圧着綴じ処理を行うときには、液体付与ユニット26は圧着ユニット19の動作を邪魔しない位置に退避する。すなわち、それぞれにおいて、互いに干渉しない位置に退避する。
【0053】
以下の説明においても、綴じ処理ユニット100は、圧着ユニット19と液体付与ユニット26を備えたものではあるが、説明の便宜を考慮して、一部の図においては、圧着ユニット19又は液体付与ユニット26の図示を省略することがある。
【0054】
[圧着綴じモード時の動作工程]
次に、複数の図面を参照しながら、綴じ処理ユニット100において圧着綴じモードの動作を行うときの動作工程につい説明する。まず、すでに説明をした図10から図14に至る動作は、本実施形態においても同様であるから詳細な説明を省略する。
【0055】
図20は、図14に示した状態と同様に、MFP1から搬送されてきたシートSを積載トレイ17で揃えた後の工程である。液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27を閉じて、シートSの後端に接触して押圧する状態(押圧状態)の様子を例示している。この状態において、シート束Sbの後端の押圧は、図16を用いて説明したように、液体付与ユニット26をシート束Sbの端部の位置に配置し、その位置において液体付与ヘッド27を動作させてシート束Sbを積載トレイ17との間で挟持する方法がある。
【0056】
または、図17を用いて説明したように、液体付与ヘッド27をシート束Sbの幅方向中央近傍に移動させて、その位置において液体付与ヘッド27を動作させてシート束Sbを積載トレイ17との間で挟持する方法がある。
【0057】
さらに別の方法としては、図18を用いて説明したように、液体付与ヘッド27をシート束Sbの別の端部に移動させて、その位置において液体付与ヘッド27を動作させてシート束Sbの端部を積載トレイ17との間で挟持する。且つ、他方の端部を圧着ユニット19によって挟持することで、複数の箇所においてシート束の端部を押圧する方法がある。
【0058】
図20の状態に続いて、図21に示すように、積載トレイ17に積載されたシート束Sbの端部(後端)を押圧した状態で次のシートSが搬送されてくる。以下の説明において、すでに積載トレイ17に載置されているシートSのうち、最上位面に相当するシートSを「先行シートSf」と表記し、先行シートSfに載置されるために新たに搬送されてくるシートSを「後続シートSr」と表記する。
【0059】
先行媒体としての先行シートSfに対し、後続媒体としての後続シートSrが第一方向に搬送されてくると、後続シートSrが先行シートSfに接触しながら第一方向に移動する状態になる。このように後続シートSrが先行シートSfと接触しながら移動するときに、先行シートSfと後続シートSrの間で生ずる摩擦や静電気によって、後続シートSrの搬送方向である第一方向に先行シートSfが押されて移動してしまうことがある。先行シートSfは、すでにシート束Sbにおいて端部が整合されている状態から、第一方向に移動することで、端部がズレる状態になってしまう。
【0060】
そこで、後続シートSrが先行シートSfに接触するタイミングに応じて、シート束Sbの端部(後端)を液体付与ヘッド27によって押圧して押さえるようにする。この押圧により、先行シートSfが後続シートSrにつられて第一方向に押し出されることを抑制できる。すなわち、後続シートSrの搬送タイミングに応じて先行シートSfの端部を液体付与ヘッド27により押さえる(押圧する)ことで、先行シートSfの整合の乱れを抑止できる。
【0061】
続いて、図22に示すように、シート束Sbの後端部を、液体付与ユニット26による押圧状態を解除した状態で、後続シートSrを積載トレイ17に向けて排出する。そして、叩きコロ15の作用によって、後続シートSrが叩かれて、基準フェンス18の方向へとスイッチバック搬送される。
【0062】
スイッチバック搬送を行うときには、液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27を離間状態にし、シート束Sbの端部の押圧を解除することで、先行シートSfと後続シートSrの間に摩擦や静電気が生じても、後続シートSrのスイッチバック搬送(第二方向への搬送)により、先行シートSfも第二方向に搬送される。その結果、後続シートSrは先行シートSfとともに、後端が基準フェンス18に当接するところまで搬送されて整合される。
【0063】
液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27を離間させるタイミングは、スイッチバック搬送の開始と同時でもよいし、スイッチバック搬送の開始直後には上昇させずに、後続シートSrが基準フェンス18に当接する直前でもよい。なお、基準フェンス18に当接する直前のタイミングは、排出ローラ16を駆動している排出モータ152のエンコーダを媒体検知手段として用いればよい。また、叩きコロ15及び戻しコロ14を駆動するモータのエンコーダからの出力を検知してシートSの位置を算出するように構成してもよい。
【0064】
このエンコーダの出力パルスを常に検知しておき、スイッチバック搬送における後続シートSrの搬送距離を算出する。この場合の搬送距離は、スイッチバック搬送を開始するタイミングでの計算上のシートSの端(綴じトレイの基準フェンス側の端)の位置から基準フェンス18までのメカ構成上の距離を用いる。そして、この距離から、液体付与ユニット26にスイッチバックしたシートSが衝突しないようマージンを設けた距離を引いた距離に相当する搬送距離に至ったか否かをエンコーダパルスに基づいて算出して、液体付与ヘッド27を離間状態にするタイミングを判定する。
【0065】
続いて、図23に示すように、後続シートSrを、叩きコロ15及び戻しコロ14の作用によって、基準フェンス18に突き当たるまでスイッチバック搬送する。基準フェンス18に、後続シートSrが突き当たった後は、ジョガーフェンス22を動作させて、シート束Sbの幅方向の端部を整合する。
【0066】
続いて、図20から図23の動作を繰り返すことで、所定の枚数からなるシート束Sbを形成することができる。所定枚数の積載及び整合が終了した後、図24に示すように、圧着ユニット19を綴じ処理ユニット100の奥側(図24における奥方)に移動させて、液体付与ユニット26を綴じ位置に移動させる(図16を参照)。すなわち、液体付与ユニット26を主走査方向に移動させて綴じ位置に相当する位置まで移動をした後に、液体付与ヘッド27を駆動して液体付与を実行する。
【0067】
その後、液体付与ユニット26を手前側に移動させ(図17又は図18を参照)、圧着ユニット19を綴じ位置まで移動させる。すなわち、圧着ユニット19を主走査方向に移動させた後、圧着綴じ処理を実行する。圧着綴じ処理を実行するときには、排出従動ローラ16bをニップ位置に移動させて、シート束Sbが圧着綴じによってズレないように保持する。
【0068】
圧着綴じ処理が終了した後、図25に示すように、シート束Sbを排出ローラ16によって、排出トレイ20上に排出する。
【0069】
図21に例示した工程において、仮に、液体付与ヘッド27がシート束Sbの端部を押圧せずに、後続シートSrが先行シートSfに突き当たったときに、摩擦や静電気などの影響で先行シートSfが第一方向にずれた場合、図26乃至図28に例示する状態になりうる。
【0070】
すなわち、先行シートSfの第一方向へのズレが解消されずに、後続シートSrとともに、基準フェンス18へとスイッチバック搬送されてしまう。そして、その状態で圧着綴じが実行されて、排出トレイ20へと搬送される(第一方向へ搬送される)。
【0071】
その結果、図28に例示するように、搬送方向の端部が不整合な状態のシート束Sbが排出されることになる。
【0072】
すなわち、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100によれば、複数のシートSを積載してシート束Sbを形成するときに、複数のシートSが摩擦や静電気で搬送方向にずれる可能性があるタイミングにおいて、液体付与ユニット26がシートSの端部を押圧する。これによって、シート束Sbの整合のずれを抑制することができる。
【0073】
[綴じ処理の第一実施形態]
次に、本発明に係るシート処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100において実行可能な綴じ処理について、図29のフローチャートを用いて説明する。なお、すでに説明をした図20から図28の動作は、図29のフローチャートで示す処理によって実現可能な動作の例である。
【0074】
画像形成制御部306は、所定のユーザ入力インターフェースを介して画像形成指示が入力されたことに応じて、シートSに対して画像形成手段32に画像を形成させ、画像を形成したシートSを綴じ処理ユニット100に出力する。より詳細には、画像形成制御部306は、綴じ処理ユニット100の入口ローラ11に到達するまでシートSを排出させる。画像形成指示には、画像を形成するシートSの枚数(以下、「所定枚数」と表記する。)と、シート束Sbの綴じ位置とが含まれる。そこで、画像形成制御部306は、所定枚数のシートSに順番に画像を形成する。
【0075】
また、CPU110は、画像形成指示が入力されたことに応じて、画像形成制御部306による画像形成手段32の処理と並行して、図24に示す綴じ処理を実行する。なお、綴じ処理の開始時点において、排出駆動ローラ16a及び排出従動ローラ16bは離間している。また、圧着ユニット19及び液体付与ユニット26は開いた状態であって、且つ、初期位置(ホームポジション)に配置されているものとする。
【0076】
まず、CPU110は、液体付与移動手段としての液体付与ユニット移動モータ154を駆動することによって、積載トレイ17に積載されるシートS、又はシート束Sbの主走査方向の中央を含む位置に対面し得るように、液体付与ユニット26を主走査方向に移動させる(S2901)。なお、液体付与ユニット26の移動先の位置を主走査方向における略中央とするのではなく、後段の綴じ処理において、圧着ユニット19が加圧変形させる綴じ位置に相当する位置でもよい。
【0077】
ステップS2901の処理は、画像形成手段32から供給される一枚目のシートSが入口ローラ11に到達する前に実行される。そして、CPU110は、シートSの先端が入口ローラ11に到達するまで(S2902:No)、ステップS2903以降の処理の実行を待機する。
【0078】
なお、CPU110は、液体付与ユニット26の位置を検知する液体付与ユニット位置センサ160、液体付与ユニット移動モータ154のロータリエンコーダ、或いはこれらを組み合わせて、液体付与ユニット26の主走査方向の位置を特定することができる。
【0079】
次に、CPU110は、図10に示したように、一枚目のシートSが入口ローラ11に到達したことに応じて(S2902:Yes&S2903:Yes)、液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27がシートSに接触する押圧状態ではなく、シートSから離間する離間状態を維持して(S2905)、第一搬送手段としての入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16を回転させる(S2906)。これにより、図21にて示したように、シートSが第一方向に向けて搬送される。
【0080】
また、入口ローラ11に到達したシートSが一枚目ではなければ(S2902:Yes&S2903:NO)、液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27の位置を、シートS又はシート束Sbの端部を接触させる位置(押圧位置)とする(S2904)。このとき、液体付与ヘッド27によってシート束Sbの端部を押圧して、後続シートSrの影響によるズレを防止するように押さえると同時に、液体付与を並行して行ってもよい。以下、シートSが一枚目ではない場合(S2902:Yes&S2903:NO)を想定して説明を続ける。
【0081】
続いて、複数の搬送ローラ対によって構成される第一搬送手段としての入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16を回転させて、シートSを搬送する(S2906)。これにより、図21にて示したように、シートSが第一方向に向けて搬送される。
【0082】
次に、CPU110は、シートSが積載トレイ17に載置(換言すれば、シートSの後端がシフトローラ13を通過)したことに応じて、第一搬送手段としての入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16の動作を停止する。これらの停止と共に、シートSに叩きコロ15を当接させて回転させる(S2907)。これにより、図22に示したように、シートSが積載トレイ17に沿って第二方向に搬送される(スイッチバック搬送される)。
【0083】
続いて、積載トレイ17に載置された(搬送された)シートSが、現在実行中の綴じ処理における一枚目に相当しないか否かを再度判定し(S2908)、シートSが一枚目であれば(S2908:Yes)、処理をS2911へ移行する。シートSが一枚目でなければ(S2908:No)、液体付与ヘッド27を押圧状態から離間状態に移動させるタイミングに相当するか否かの判定処理を実行する(S2909)。
【0084】
S2909において、液体付与ヘッド27を離間状態に遷移させるタイミングに至れば、液体付与ヘッド27を押圧状態から離間状態に遷移させて(S2910)、積載トレイ17に新たに載置されたシートS(後続シートSr)の積載完了判定に移行する(S2911)。
【0085】
なお、液体付与ヘッド27がシート束Sbの端部を押圧する期間は、遅くとも後続シートSrが先行シートSfに接触する前を始期とする。終期については、幾つかのバリエーションを想定できる。一つは、後続シートSrが液体付与ヘッド27に到達する所定時間前である。この場合の所定時間は短ければ短いほど液体付与ヘッド27がシート束Sbの端部を押圧する期間が長くなるので、シート束Sbのズレ防止効果が高まる。衝突する直前までとすればよい。このような、液体付与ヘッド27を押圧状態から離間状態へ遷移させるタイミングは、予め規定する叩きコロ15を駆動させるモータの駆動パルスの数とシートSのスイッチバック搬送における移動距離との相関による導出可能なタイミングに基づけばよい。そして、後続シートSrの位置を駆動パルスの数に基づいて算出できるように予め規定しておき、駆動パルス数が、後続シートSrが液体付与ヘッド27に衝突する数に相当したときを、液体付与ヘッド27を押圧位置から離間位置に遷移させるタイミングとすればよい。
【0086】
又は、叩きコロ15の動作を開始して(S2907)、スイッチバック搬送をしているシートSがシート束Sbに対する一枚目のシートSでないと判定されたタイミング(S2908:No)を、液体付与ヘッド27を離間状態に遷移させるタイミングとしてもよい。
【0087】
続いてCPU110は、図23(b)に示したように、シートS(後続シートSr)の後端が基準フェンス18に到達するまで(S2911:No)、処理をループする。
【0088】
なお、CPU110は、綴じ処理ユニット100内でシートSを検知するシートセンサ、入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16及び叩きコロ15を回転させるモータのロータリエンコーダ、或いはこれらを組み合わせて、シートSの位置を特定することができる。したがって、S2909におけるタイミング判定はシートセンサの出力に基づいて行ってもよい。
【0089】
次に、CPU110は、シートSの後端が基準フェンス18に到達したことに応じて(S2911:Yes)、図23(a)に示すように、ジョガーフェンス22を主走査方向に移動させる。この移動によって、積載トレイ17に収容されたシートSの主走査方向の位置を位置決めする(S2912)。
【0090】
次に、CPU110は、所定枚数のシートSが積載トレイ17に収容されたか否かを判定する(S2913)。そして、CPU110は、所定枚数のシートSが積載トレイ17に収容されていないと判定した場合に(S2913:No)、次のシートSに対するステップS2902以降の処理を実行する。
【0091】
CPU110は、所定枚数のシートSが積載トレイ17に収容されたと判定した場合に(S2913:Yes)、図17にて示したように、圧着ユニット移動手段としての綴じユニット移動モータ153を駆動する。この駆動によって、積載トレイ17に積載されたシート束Sbの綴じ位置に対面する位置に、圧着ユニット19を移動させる(S2914)。次に、CPU110は、図24に例示するように、圧着モータ156を駆動させて圧着ユニット19を閉じて、シート束Sbの端部の一部を加圧変形させて圧着綴じを実行する。
【0092】
次に、CPU110は、図25に示すように、綴じ処理が終了したシート束Sbに戻しコロ14を当接させて回転させることによって、排出駆動ローラ16a及び排出従動ローラ16bの間にシート束Sbを進入させる。また、CPU110は、排出駆動ローラ16a及び排出従動ローラ16bにシート束Sbを挟持させる。さらに、CPU110は、排出ローラ16を回転させることによって、シート束Sbを排出トレイ20に排出する(S2916)。
【0093】
以上説明をした本実施形態に係る綴じ処理ユニット100によれば、積載トレイ17に複数のシートS(シート束Sb)が積載されている状態において、後続シートSrが搬送されてきた場合、先行シートSfに対して後続シートSrが搬送されながら(移動しながら)接触したときに生ずるシート束Sbの不整合を防止できる。すなわち、既に整合されている先行シートSfに対して後続シートSrが移動しながら接触した場合に、先行シートSfと後続シートSrとの摩擦や静電気が生じたときに、すでに整合されている状態の先行シートSfが後続シートSrの移動方向にズレてしまうことを防止することができる。これによって、シート束Sbの整合精度を維持することができる点が本実施形態の特徴の一つである。
【0094】
上記にて説明したような、整合された状態のシート束Sbに対する後の事象の影響により生ずる整合ズレを防止するために、後続シートSrが先行シートSfに接触する前に(S2906よりも前に)、先行シートSfを含むシート束Sbの端部を液体付与ヘッド27が押圧する。この押圧によって、端部を押さえられた先行シートSfは後続シートSrの接触による外力への抗力を得ることができ、シート束Sbのズレを防止できる。
【0095】
なお、圧着綴じモードとともにシフト排出モードが併用された場合、S2906において後続シートSrが先行シートSfに対して搬送されると、後続シートSrは先行シートSfに対して相対的に、第一方向に移動しながら、さらに主走査方向に移動することになる。したがって、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100は、シート束Sbの整合ズレを防止するにあたり、第一方向に向けて生ずるズレ、主走査方向の向けて生ずるズレも防止できる。
【0096】
[綴じ処理の第二実施形態]
次に、本発明に係るシート処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100において実行可能な別の綴じ処理について、図30のフローチャートを用いて説明する。
【0097】
CPU110は、所定のユーザ入力インターフェースを介して画像形成指示が入力されたことに応じて、シートSに対して画像形成手段32に画像を形成させ、画像を形成したシートSを綴じ処理ユニット100に出力する。より詳細には、CPU110は、綴じ処理ユニット100の入口ローラ11に到達するまでシートSを排出させる。画像形成指示には、画像を形成するシートSの枚数(以下、「所定枚数」と表記する。)と、シート束Sbの綴じ位置とが含まれる。そこで、CPU110は、所定枚数のシートSに順番に画像を形成する。
【0098】
また、CPU110は、画像形成指示が入力されたことに応じて、画像形成手段32の処理と並行して、図26に示す綴じ処理を実行する。なお、綴じ処理の開始時点において、排出駆動ローラ16a及び排出従動ローラ16bは離間している。また、圧着ユニット19及び液体付与ユニット26は開いた状態であって、且つ、初期位置(ホームポジション)に配置されているものとする。
【0099】
まず、CPU110は、液体付与移動手段としての液体付与ユニット移動モータ154を駆動することによって、積載トレイ17に積載されるシートSまたはシート束Sbの一端の位置に対面し得るように、液体付与ユニット26を主走査方向に移動させる(S3001)。
【0100】
また、CPU110は、綴じユニット移動モータ153を駆動することによって、積載トレイ17に積載されるシートSまたはシート束Sbの他端の位置に対面し得るように、圧着ユニット19を主走査方向に移動させる(S3001)。
【0101】
なお、液体付与ユニット26及び圧着ユニット19の移動先の位置を、主走査方向における端部とするのではなく、その他の位置でもよい。例えば、圧着ユニット19と干渉しない位置であれば、後段の綴じ処理において、圧着ユニット19が加圧変形させる綴じ位置に相当する位置に液体付与ユニット26を位置させてもよい。
【0102】
ステップS3001及びステップS3002の処理は、画像形成手段32から供給される一枚目のシートSが入口ローラ11に到達する前に実行される。そして、CPU110は、シートSの先端が入口ローラ11に到達するまで(S3003:No)、ステップS3004以降の処理の実行を待機する。
【0103】
なお、CPU110は、液体付与ユニット26の位置を検知する液体付与ユニット位置センサ160、液体付与ユニット移動モータ154のロータリエンコーダ、或いはこれらを組み合わせて、圧着ユニット19及び液体付与ユニット26の主走査方向の位置を特定することができる。
【0104】
次に、CPU110は、一枚目のシートSが入口ローラ11に到達したことに応じて(S3003:Yes&S3004:Yes)、液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27がシートSに接触する押圧状態ではなく、シートSから離間する離間位置を維持する状態にする(S3007)。また、圧着ユニット19は、シートSを加圧変形させない程度の押圧状態ではなく、綴じ歯を開いた状態(開放状態)にする(S3008)。
【0105】
続いて、第一搬送手段としての入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16を回転させる(S3009)。これにより、シートSが第一方向に向けて搬送される。
【0106】
また、入口ローラ11に到達したシートSが一枚目ではなければ(S3003:Yes&S3004:NO)、液体付与ユニット26の液体付与ヘッド27を、シートS又はシート束Sbの端部に接触させる状態(押圧状態)にする(S3005)。このとき、液体付与ヘッド27によってシート束Sbの端部を押圧して、後続シートSrの影響によるズレを防止するように押さえると同時に、液体付与を並行して行ってもよい。
【0107】
また、圧着ユニット19の綴じ歯を閉じて、加圧変形させない程度にシート束Sbの端部を押圧する状態(押圧状態)にする(S3006)。以下、シートSが一枚目ではない場合(S3003:Yes&S3004:NO)を想定して説明を続ける。
【0108】
続いて、複数の搬送ローラ対によって構成される第一搬送手段としての入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16を回転させて、シートSを搬送する(S3009)。これにより、シートSが第一方向に向けて搬送される。
【0109】
次に、CPU110は、シートSが積載トレイ17に載置(換言すれば、シートSの後端がシフトローラ13を通過)したことに応じて、第一搬送手段としての入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16の動作を停止する。これらの停止と共に、シートSに叩きコロ15を当接させて回転させる(S3010)。これにより、シートSが積載トレイ17に沿って第二方向に搬送される(スイッチバック搬送される)。
【0110】
続いて、積載トレイ17に載置された(搬送された)シートSが、現在実行中の綴じ処理における一枚目に相当しないか否かを再度判定し(S3011)、シートSが一枚目であれば(S3011:No)、処理をステップS3014へ移行する。シートSが一枚目でなければ(S3011:Yes)、液体付与ヘッド27及び圧着ユニット19を押圧状態から離間状態又は開放状態に遷移させるタイミングに相当するか否かの判定処理を実行する(S3012)。
【0111】
ステップS3012において、液体付与ヘッド27を離間状態に遷移させるタイミング及び圧着ユニット19を開放状態にするタイミングに至れば、液体付与ヘッド27を押圧状態から離間状態に遷移させて、且つ、圧着ユニット19を押圧状態から開放状態に遷移させて(S3013)、積載トレイ17に新たに載置されたシートS(後続シートSr)の積載完了判定に移行する(S3014)。
【0112】
なお、液体付与ヘッド27及び圧着ユニット19がシート束Sbの端部を押圧する期間は、後続シートSrが先行シートSfに接触する前であって、遅くとも、後続シートSrに対するスイッチバック搬送の開始時点を始期とする。また、液体付与ヘッド27及び圧着ユニット19がシート束Sbの端部を押圧する期間の終期については、幾つかのバリエーションを想定できる。一つは、後続シートSrが液体付与ヘッド27及び圧着ユニット19に衝突する直前までとすればよい。このような、液体付与ヘッド27を押圧状態から離間状態へ遷移させるタイミング、及び圧着ユニット19を押圧状態から開放状態へ遷移させるタイミングは、予め規定する叩きコロ15を駆動させるモータの駆動パルスの数とシートSのスイッチバック搬送における移動距離との相関に基づけばよい。そして、後続シートSrの位置を駆動パルスの数に基づいて算出できるように予め規定しておき、後続シートSrが液体付与ヘッド27に衝突する数に駆動パルス数が達したときを、液体付与ヘッド27を押圧状態から離間状態に遷移させ、且つ、圧着ユニット19を押圧状態から開放状態に遷移させるタイミングとすればよい。
【0113】
又は、叩きコロの動作を開始して(S3010)、スイッチバック搬送をしているシートSがシート束Sbに対する一枚目のシートSでないと判定されたタイミング(S3011:Yes)を、液体付与ヘッド27を離間状態に遷移させるタイミングとし、及び圧着ユニット19を開放状態とするタイミングとしてもよい。
【0114】
続いてCPU110は、シートS(後続シートSr)の後端が基準フェンス18に到達するまで(S3014:No)、処理をループする。
【0115】
なお、CPU110は、綴じ処理ユニット100内でシートSを検知するシートセンサ、入口ローラ11、搬送ローラ12、シフトローラ13、排出ローラ16及び叩きコロ15を回転させるモータのロータリエンコーダ、或いはこれらを組み合わせて、シートSの位置を特定することができる。したがって、S3012におけるタイミング判定はシートセンサの出力に基づいて行ってもよい。
【0116】
次に、CPU110は、シートSの後端が基準フェンス18に到達したことに応じて(S3014:Yes)、ジョガーフェンス22を主走査方向に移動させることによって、積載トレイ17に収容されたシートSの主走査方向の位置を位置決めする(S3015)。
【0117】
次に、CPU110は、所定枚数のシートSが積載トレイ17に収容されたか否かを判定する(S3016)。そして、CPU110は、所定枚数のシートSが積載トレイ17に収容されていないと判定した場合に(S3016:No)、次のシートSに対するステップS3003以降の処理を実行する。
【0118】
CPU110は、所定枚数のシートSが積載トレイ17に収容されたと判定した場合に(S3016:Yes)、圧着ユニット移動手段としての綴じユニット移動モータ153を駆動することによって、積載トレイ17に積載されたシート束Sbの綴じ位置に対面する位置に、圧着ユニット19を移動させる(S3017)。次に、CPU110は、圧着モータ156を駆動させて圧着ユニット19を閉じて、シート束Sbの端部の一部を加圧変形させて圧着綴じを実行する(S3018)。
【0119】
次に、CPU110は、綴じ処理が終了したシート束Sbに戻しコロ14を当接させて回転させることによって、排出駆動ローラ16a及び排出従動ローラ16bの間にシート束Sbを進入させる。また、CPU110は、排出駆動ローラ16a及び排出従動ローラ16bにシート束Sbを挟持させる。さらに、CPU110は、排出ローラ16を回転させることによって、シート束Sbを排出トレイ20に排出する(S3019)。
【0120】
以上説明をした本実施形態に係る綴じ処理ユニット100によれば、積載トレイ17に複数のシートS(シート束Sb)が積載されている状態において、後続シートSrが搬送されてきたとき、先行シートSfに対して後続シートSrが搬送されながら(移動しながら)接触することで生ずる不整合を防止できる。すなわち、既に整合されている先行シートSfに対して後続シートSrが移動しながら接触することで、後続シートSrとの摩擦や静電気により先行シートSfが整合されている状態から後続シートSrの移動方向にズレることを防止する。これによって、シート束Sbの整合精度を維持することができる点が本実施形態の特徴の一つである。
【0121】
この整合された状態のシート束Sbに対して後の事象の影響でずれが生ずることを防止するために、後続シートSrが先行シートSfに接触する前に(S3009よりも前に)、先行シートSfを含むシート束Sbの端部を液体付与ヘッド27と圧着ユニット19が押圧する。この押圧によって、端部を押さえられた先行シートSfは後続シートSrの接触による外力への抗力を得ることができ、シート束Sbのズレを防止できる。
【0122】
なお、圧着綴じモードとともにシフト排出モードが併用された場合、S3009において後続シートSrが先行シートSfに対して搬送されると、後続シートSrは先行シートSfに対して相対的に、第一方向に移動しながら、さらに主走査方向に移動することになる。したがって、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100は、シート束Sbの整合ズレを防止するにあたり、第一方向に向けて生ずるズレ、主走査方向の向けて生ずるズレも防止できる。
【0123】
上記において説明したように、シート束Sbの端部の押圧は、液体付与ユニット26のみで行ってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、液体付与ヘッド27ではなく、圧着ユニット19の綴じ歯(圧着部)を用いて、端部を圧着せずに、端部の移動を阻止する程度の強度で押圧してもよい。また、液体付与ユニット26と圧着ユニット19の両方を用いてシート束Sbの端部を押圧してもよい。
【0124】
すなわち、本実施形態に係るコントローラとしてのCPU110は、液体付与ユニット26及び圧着ユニット19を、シート束Sbの端部の整合ずれを抑制するための端部押圧手段として動作させる。
【0125】
以上説明をした、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100によれば、複数のシートSを積載してシート束Sbを形成するときに、新たに積載されるシートS(後続シートSr)の搬送によって、すでに積載されて整合されているシート(先行シートSf)が摩擦や静電気によって整合ずれを起こすタイミングに応じて、端部押圧手段により、シートSの端部を押圧し、整合ずれを抑制することができる。そして、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100は、液体付与ユニット26のみを端部押圧手段として動作させてもよいし、又は圧着ユニット19のみを端部押圧手段として動作させてもよい。若しくは、液体付与ユニット26及び圧着ユニット19の両方を用いて端部押圧手段として動作させてもよい。
【0126】
[液体付与ユニット26の実施形態]
次に、液体付与ユニット26の詳細について説明する。図31は、液体付与ユニット26の内部を搬送方向の上流側から見た模式図である。図32は、液体付与ユニット26の内部を主走査方向の側から見た模式図である。
【0127】
液体付与ユニット26は、貯液タンク143に貯留された液体(例えば、水)を、積載トレイ17に支持されたシートSに塗布(以下、「液体付与」と表記する。)する。液体付与ユニット26は、液体付与モータ155(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、主走査方向に移動可能に構成されている。
【0128】
図31及び図32に示すように、液体付与ユニット26は、下押圧板133と、上押圧板134(押圧部)と、昇降機構135と、液体付与機構136を主に備える。それらをまとめたものから下押圧板133を除いた部分を液体付与ヘッド27とする。
【0129】
下押圧板133及び上押圧板134は、積載トレイ17より搬送方向の下流側に配置されている。下押圧板133は、積載トレイ17に支持されたシート束Sbの下側から支持する。上押圧板134は、積載トレイ17に支持されたシート束Sbの上方において、昇降可能に構成されている。すなわち、下押圧板133及び上押圧板134は、積載トレイ17に支持されたシート束Sbを挟んで、シート束Sbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板134には、ベースプレート140に支持された液体付与部材144の先端に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口134aが形成されている。
【0130】
昇降機構135は、上押圧板134、ベースプレート140(ベース部材)、及び液体付与部材144をシート束Sbの厚み方向に昇降させる。本実施形態に係る昇降機構135は、単一の昇降モータ137(駆動源)によって、上押圧板134、ベースプレート140、及び液体付与部材144を連動して昇降させる。昇降機構135は、例えば、昇降モータ137と、台形ネジ138と、ナット139と、ベースプレート140と、柱状部材141a、141bと、コイルバネ142a、142b(付勢部材)とを主に備える。
【0131】
昇降モータ137は、上押圧板134、ベースプレート140、及び液体付与部材144を昇降させる駆動力を発生させる。台形ネジ138は、上下方向に延設される。また、台形ネジ138は、プーリやベルト等を介して昇降モータ137の出力軸に接続されている。ナット139は、台形ネジ138に螺合されている。そして、昇降モータ137の駆動力が伝達されて台形ネジ138が回転することによってナット139が昇降する。
【0132】
ベースプレート140は、積載トレイ17に支持されたシート束Sbと平行な平板である。また、ベースプレート140は、上押圧板134より上方に配置されている。また、ベースプレート140は、液体付与部材144の先端を下方に突出させた状態で、液体付与部材144を支持している。さらに、ベースプレート140は、台形ネジ138に接続されて、台形ネジ138と共に昇降可能に構成されている。そして、ベースプレート140の上下方向の位置は、昇降センサ140aによって検知される。
【0133】
柱状部材141a、141bは、液体付与部材144の先端の周囲において、ベースプレート140から下方に突出している。また、柱状部材141a、141bは、ベースプレート140に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材141a、141bは、下端で上押圧板134を支持している。コイルバネ142a、142bは、ベースプレート140と上押圧板134との間において、柱状部材141a、141bに外挿されている。そして、コイルバネ142a、142bは、上押圧板134及び柱状部材141a、141bを、ベースプレート140に対して下方に付勢する。
【0134】
液体付与機構136は、内部トレイとしての積載トレイ17に支持されたシート束Sbに液体付与をする。より詳細には、液体付与機構136は、液体付与部材144の先端をシート束Sbに接触させることによって、シート束Sbを構成する少なくとも一枚のシートSに液体付与をする。液体付与機構136は、貯液タンク143と、液体付与部材144と、供給部材145と、ジョイント146とを主に備える。
【0135】
図33は、液体付与部材144を斜め下から見たときの図である。液体付与部材144の下面には、噴霧口149を備えた構成を示している。
【0136】
貯液タンク143は、シート束Sbに供給するための水を貯留する。貯液タンク143に貯留された水の量は、水量センサ143aによって検知される。液体付与部材144は、貯液タンク143に貯液された液体(例えば「水」)をシート束Sbに噴霧する。液体付与部材144は、先端が下方を向けてベースプレート140に支持されている。液体を噴霧することで、広範囲に微量の液体付与を行うことができる。
【0137】
供給部材145は、基端が貯液タンク143に貯留された水に浸漬され、先端が液体付与部材144に接続された長尺の部材である。また、供給部材145は、吸水率の高い材料で構成されている。これにより、供給部材145の基端から吸収された水が、毛細管現象によって液体付与部材144に供給される。保護部材145aは、供給部材145に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、供給部材145が吸収した水が漏れ出したり、蒸発したりするのを防止できる。
【0138】
また、供給部材145及び保護部材145aは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント146は、液体付与部材144をベースプレート140に固定するものである。これにより、液体付与部材144は、昇降機構135によって昇降されても、ベースプレート140から下方に突出すると共に、先端が下方を向いた状態が維持される。
【0139】
[液体付与ユニット26のよる端部押圧動作]
次に、図34乃至図36を用いて、液体付与ユニット26によるシート束Sbの端部を押圧する動作について詳細に説明する。
【0140】
図34は、液体付与ユニット26でシート束Sbの端部を押圧する前の状態を例示している。すなわち、図34において、上押圧板134はシート束Sbと接触接していない。
【0141】
図35は、液体付与ユニット26でシート束Sbの端部を押圧している状態を例示している。すなわち、図35において、上押圧板134はシート束Sbとは接触していて押圧している。一方、液体付与部材144および噴霧口149はシートSに接することなく押さえ動作を行うことで、押さえ時に液体付与をしてしまう量を減らすことや、全く液体付与をせずに押圧するといったことが可能となっている。すなわち、液体付与部材144をシートSに接触させずに上押圧板134のみを接触させるように動作を制御する一連の構成が、液体量調整手段に相当する。これによって、液体量の減少を抑制することができる。
【0142】
図36は、液体付与ユニット26でシート束Sbを押圧しながら、同時に液体付与も行っている状態を例示している。図36において、液体付与部材144および噴霧口149をシートSに接触する状態(押圧状態)にし、噴霧口149から液体を噴霧することで液体付与を行う。
【0143】
以上説明をした本発明に係る実施形態によれば、複数のシートSを積載してシート束Sbを形成する際、シートS同士の摩擦や静電気の影響による端部の整合の乱れを防止するための部材として、シート処理に用いる液体付与ユニット26を利用可能とする。これによって、シート束を押さえる部材を別途設ける必要がなくなり、部品点数を低減することができる。
【0144】
また、コロなどの駆動機構を用いてシートSの端部を整合させることができるので、積載トレイ17の傾斜角度を大きくする必要がない。すなわち、小型可が可能であって、胴内型のユニットにも適用可能となる。
【0145】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0146】
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>
シート状の複数の媒体を積載可能な排出トレイと、
前記排出トレイとは異なる位置において前記媒体を積載可能な内部トレイと、
前記媒体を排出トレイに排出する方向である第一方向に、当該媒体を搬送する第一搬送手段と、
前記内部トレイに積載された前記媒体に接離して、前記第一方向と異なる方向である第二方向に当該媒体を搬送する第二搬送手段と、
前記第二方向における前記内部トレイの下流側に配置され、当該内部トレイに積載された複数の前記媒体に圧着綴じを実行する圧着綴じ手段と、
前記第一搬送手段、前記第二搬送手段、及び前記圧着綴じ手段の動作を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記内部トレイに前記媒体が積載されている状態において、当該内部トレイに先に積載されている先行媒体に対し、後続の前記媒体である後続媒体が接触しながら前記第一方向に搬送されるとき、前記圧着綴じ手段により当該先行媒体の前記第二方向の下流側の端部を押圧させる、
ことを特徴とするシート処理装置である。
<2>
シート状の複数の媒体を積載可能な排出トレイと、
前記排出トレイとは異なる位置において前記媒体を積載可能な内部トレイと、
前記媒体を排出トレイに排出する方向である第一方向に、当該媒体を搬送する第一搬送手段と、
前記内部トレイに積載された前記媒体に接離して、前記第一方向と異なる方向である第二方向に当該媒体を搬送する第二搬送手段と、
前記第二方向における前記内部トレイの下流側に配置され、当該内部トレイに積載された複数の前記媒体に液体付与を実行する液体付与手段と、
前記第二方向における前記内部トレイの下流側に配置され、当該内部トレイに積載された複数の前記媒体に圧着綴じを実行する圧着綴じ手段と、
前記第一搬送手段、前記第二搬送手段、前記液体付与手段、及び前記圧着綴じ手段の動作を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記内部トレイに前記媒体が積載されている状態において、当該内部トレイに先に積載されている先行媒体に対し、後続の前記媒体である後続媒体が接触しながら前記第一方向に搬送されるとき、前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段により当該先行媒体の前記第二方向の下流側の端部を押圧させる、
ことを特徴とするシート処理装置である。
<3>
前記コントローラは、前記液体付与手段と共に前記圧着綴じ手段により当該先行媒体の前記第二方向の下流側の端部を押圧させる、
前記<2>に記載のシート処理装置である。
<4>
前記後続媒体が前記第二方向に搬送されているときに、前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段は、前記端部への押圧を解除する、
前記<2>に記載のシート処理装置である。
<5>
搬送中の前記媒体の位置を検知する媒体検知手段と、
前記後続媒体が、前記先行媒体に対して積載されるときに、当該後続媒体の端部を突き当てる基準フェンスと、を備え、
前記後続媒体を前記第二方向に搬送させるとき前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段による前記端部への押圧を解除する、
前記<2>乃至前記<4>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<6>
前記媒体の位置を、主走査方向における移動をさせる媒体シフト手段を備え、
前記圧着綴じを実行せずに前記移動をさせるとき、
前記液体付与手段又は前記圧着綴じ手段により前記媒体の端部を押圧させる、
前記<2>乃至前記<5>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<7>
前記液体付与手段は、前記液体付与における液体量を調整する液体量調整手段を備え、
前記端部を押圧するときには、前記液体量を減少させる、
前記<2>乃至前記<6>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<8>
前記液体付与手段は、
前記液体付与を実行する液体付与ヘッドと、
前記押圧を実行する押圧部と、
を備え、
前記端部押圧手段として前記端部の押圧を実行中は、前記押圧部によって前記端部を押圧し、前記液体付与ヘッドの前記端部への接触を行わない、
前記<2>乃至前記<7>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<9>
前記押圧の位置と、前記圧着綴じの位置が同一であるとき、前記押圧部及び前記液体付与ヘッドによって前記押圧を実行する、
前記<8>に記載のシート処理装置である。
<10>
前記液体付与手段を主走査方向に移動させる液体付与移動手段を備え、
前記端部における、主走査方向の略中央において前記端部の押圧を実行する、
前記<2>乃至前記<9>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<11>
前記圧着綴じ手段を主走査方向に移動させる圧着ユニット移動手段を備え、
前記媒体の端部における、主走査方向の異なる位置を前記液体付与手段と前記圧着綴じ手段で押圧する、
前記<10>に記載のシート処理装置である。
<12>
筐体と、
前記筐体に収容されてシート状の媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体に対し圧着綴じを実行する前記<1>乃至前記<11>のいずれか一つに記載のシート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
<13>
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された前記<1>乃至前記<11>のいずれか一つに記載のシート処理装置と、
を備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0147】
1 :MFP
11 :入口ローラ
12 :搬送ローラ
13 :シフトローラ
14 :戻しコロ
15 :コロ
16 :排出ローラ
16a :排出駆動ローラ
16b :排出従動ローラ
17 :積載トレイ
18 :基準フェンス
18b :排出従動ローラ
19 :圧着ユニット
20 :排出トレイ
26 :液体付与ユニット
27 :液体付与ヘッド
31 :筐体
32 :画像形成手段
33 :胴内空間
100 :綴じ処理ユニット
101 :後処理部
102 :後処理制御部
110 :CPU
149 :噴霧口
151 :搬送モータ
152 :排出モータ
153 :ユニット移動モータ
154 :液体付与ユニット移動モータ
155 :液体付与モータ
156 :圧着モータ
157 :搬送センサ
158 :排出センサ
159 :ユニット位置センサ
160 :液体付与ユニット位置センサ
161 :昇降センサ
162 :液体量センサ
163 :シフトモータ
164 :コロ駆動モータ
165 :戻しコロ駆動モータ
166 :ジョガーモータ
306 :画像形成制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0148】
【特許文献1】特開2015-101009号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36