(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174825
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】窒化物半導体レーザ素子
(51)【国際特許分類】
H01S 5/028 20060101AFI20241210BHJP
H01S 5/343 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01S5/028
H01S5/343 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085261
(22)【出願日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2023092120
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森藤 瑛之
(72)【発明者】
【氏名】森住 知典
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA08
5F173AH22
5F173AL05
5F173AL06
5F173AL13
5F173AL14
5F173AL19
5F173AP73
5F173AP75
5F173AP76
5F173AR68
(57)【要約】
【課題】端面損傷の発生を低減した窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
【解決手段】第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている窒化物半導体レーザ素子。
【選択図】
図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、
前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、
前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている窒化物半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記第1Al含有膜及び前記第2Al含有膜は、アルミニウムを含む酸化膜である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記第1Al含有膜及び前記第2Al含有膜は、アモルファス構造の膜又はアモルファス構造と結晶構造とを含む膜である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記第1Al含有膜の厚さは、前記第2Al含有膜の厚さよりも大きく、
前記第1シリコン酸化膜の厚さは、前記第2シリコン酸化膜の厚さよりも小さい請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記第1膜及び前記第2膜は、結晶性の膜である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記第1膜の厚さが10nm未満である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項7】
前記第2膜の前記活性層と隣り合う領域における結晶の軸配向は、前記第2膜の前記第1窒化物半導体層と隣り合う領域及び/又は前記第2窒化物半導体層と隣り合う領域における結晶の軸配向と同じである請求項1~6のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体レーザ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体レーザなどを励起光源として備え、この励起光源から出射された励起光を利用して照明などを行う発光装置が種々提案されている。
このような発光装置において、共振器面に形成される保護膜の剥離を防止した窒化物系半導体レーザ素子が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特に高出力が求められる半導体レーザにおいて、端面損傷(COD:catastrophic optical damage)が高出力化の限界要因のひとつとして挙げられる。出力の更なる向上のために、端面損傷の発生の低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における一実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における一実施形態の窒化物半導体レーザ素子によれば、端面損傷の発生を低減した窒化物半導体レーザ素子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の一実施形態の窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。
【
図1D】光出射側端面の側の保護膜の一例を示す部分拡大図である。
【
図2】保護膜及びその付近の高分解能透過電子顕微鏡像である。
【
図3D】窒化物半導体積層体の電子線回折像である。
【
図4】本発明の窒化物半導体レーザ素子の別の例を示す断面図である。
【
図5】光反射側端面の側の保護膜の一例を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための方法を例示するものであって、本発明を以下の実施形態に特定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0009】
本実施形態に係る窒化物半導体レーザ素子(以下、半導体レーザ素子と記載することがある)を、
図1A~
図1Dに示す。
図1Aは、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。
図1Bは、
図1Aの正面図である。
図1Cは、
図1AのIC-IC線断面図である。
図1Dは、光出射側端面の側の保護膜の一例を示す部分拡大図である。
図1A及び
図1Bにおいて、保護膜30及び保護膜40は省略している。
窒化物半導体レーザ素子10は、端面発光レーザ素子である。窒化物半導体レーザ素子10は、第1窒化物半導体層11と、第2窒化物半導体層12と、第1窒化物半導体層11と第2窒化物半導体層12との間に配置される活性層13と、保護膜30とを備える。第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12は、活性層13の第2窒化物半導体層12の側の面と交わる面として、光出射側端面14及び光反射側端面15を有する。第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12を含む積層体を、窒化物半導体積層体と記載することがある。
保護膜30は、光出射側端面14に設けられている。保護膜30は、光出射側端面14の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムと酸素とを含む第1膜31と、窒化膜からなる第2膜32と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜33と、第1シリコン酸化膜34と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜35と、第2シリコン酸化膜36と、を含む。第2シリコン酸化膜36は、保護膜30における最も外側に配置されている。
このような構成を備えることにより、窒化物半導体レーザ素子10の端面損傷の発生を低減することができる。この効果が得られる理由としては次のことが考えられる。まず、保護膜30における第1膜31が酸素を含む膜であるために、駆動時に抵抗が変化しにくく、抵抗の低下を避けることができる。また、第1Al含有膜33が酸素を含む膜であることにより、第1Al含有膜33の酸化が進行する可能性を低減することができる。また、窒化膜である第2膜32が、第1膜31と第1Al含有膜33との間に存在するために、第2膜32が大気中又は雰囲気中の酸素と反応して酸化し、膨張する可能性を低減することができる。さらに、第1シリコン酸化膜34と第2Al含有膜35と第2シリコン酸化膜36を含むことにより、それらが無い場合と比較して保護膜30を構成する膜の数が増える。これにより、窒化物半導体レーザ素子10の駆動によって発生し得る膜間の局所的な剥離を複数の膜によって抑え込むことができ、局所的な剥離の発生可能性を低減することができる。シリコン酸化膜はAl含有膜よりも、窒化物半導体レーザ素子10を封止する封止媒体と反応し難い傾向があるため、第2シリコン酸化膜36を最も外側に配置することで、保護膜30が封止媒体(例えば酸素を含む気体)と反応し変質する可能性を低減することができる。これらの結果、端面損傷(COD)の発生を有効に低減することができると考えられる。端面損傷の発生を低減することにより、窒化物半導体レーザ素子10の長寿命化を図ることが可能となる。このような効果は、特に高出力の窒化物半導体レーザ素子10において顕著である。
高出力の窒化物半導体レーザ素子10は、例えば、光密度が2MW/cm
2以上の素子である。窒化物半導体レーザ素子10の光密度は200MW/cm
2以下であってもよい。高出力の窒化物半導体レーザ素子10は、例えば、横モードがマルチモードの場合に出力が1W以上の素子であり、5W以上の素子であってもよい。高出力の窒化物半導体レーザ素子10は、例えば、横モードがシングルモードの場合に出力が0.1W以上の素子である。窒化物半導体レーザ素子10の出力は3W以下であってもよい。
【0010】
(第1窒化物半導体層11、活性層13、第2窒化物半導体層12)
第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12はこの順に積層されている。これらの半導体層を含む窒化物半導体積層体は、基板16上に形成することができる。窒化物半導体積層体は結晶性を有する。
第1窒化物半導体層11は、第1導電型を示し、第2窒化物半導体層12は、第2導電型を示す。第1導電型としては、n型又はp型のいずれでもよい。第2導電型は、第1導電型と異なる導電型を意味する。第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる半導体層によって形成することができる。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、n型不純物として、Si、Ge等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、p型不純物として、Mg、Zn等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。不純物は、例えば、5×1016/cm3~1×1021/cm3の範囲で含有することができる。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12には、アンドープ層が含まれていてもよい。アンドープ層とは、n型又はp型を示す不純物が意図的にドープされていない層を指す。アンドープ層は、二次イオン質量分析法(SIMS)等の分析結果において検出限界を越えない不純物濃度であるか、不純物濃度が1×1016/cm3未満である層であってもよい。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、いずれも半導体層を1層のみ有していてもよいが、2層以上有していることが好ましい。
第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12によって形成される半導体レーザの発振ピーク波長は、200nm以上700nm以下が挙げられる。
【0011】
(第1窒化物半導体層11)
第1窒化物半導体層11は、GaN、InGaN、AlGaN等の窒化物半導体からなる多層構造とすることができる。第1窒化物半導体層11としては、第1窒化物半導体層11が基板16上に形成される場合、下地層、クラッド層、クラック防止層、中間層、光ガイド層等を有するものが挙げられる。これら以外の半導体層を含んでいてもよい。
【0012】
(活性層13)
活性層13は、量子井戸構造を有する。活性層13は、多重量子井戸構造又は単一量子井戸構造のいずれでもよい。
活性層13は、GaN、InGaN等の窒化物半導体からなる多層構造とすることができる。活性層13が多重量子井戸構造である場合、第1窒化物半導体層11側から順に、井戸層、中間障壁層、井戸層を含むものが挙げられる。複数の井戸層及び複数の中間障壁層を有していてもよい。井戸層は例えばInGaN層である。中間障壁層は、例えばInGaN層またはGaN層である。活性層13は、例えばアンドープ層である。
活性層13は、得たい窒化物半導体レーザ素子の発振波長に応じて、その組成を適宜調整することができる。例えば、井戸層を、InxGa1-xN等からなる層とすることができる。In組成比xは、0.01から0.50の範囲から選択することができる。これによって、半導体レーザの発振ピーク波長を、360nmから700nmの範囲に設定することができる。井戸層は、GaN又はAlGaNからなる層であってもよい。
【0013】
(第2窒化物半導体層12)
第2窒化物半導体層12は、GaN、InGaN、AlGaN等の窒化物半導体からなる多層構造とすることができる。第2窒化物半導体層12としては、クラッド層、光ガイド層等を有するものが挙げられる。これら以外の半導体層を含んでいてもよい。
端面発光レーザ素子を構成する限り、第2窒化物半導体層12の表面、つまり上面は、リッジ12aを有していてもよいし、第2窒化物半導体層12の中に、当該分野で公知の電流狭窄層が配置されていてもよい。例えば、第2窒化物半導体層12がp型の半導体層であり、その上面にリッジ12aが形成されている。第2窒化物半導体層12がn型の半導体層であってもよい。
リッジ12aは、光導波路領域として機能するものであり、その幅は1μm以上30μm以下が挙げられる。リッジ12aの幅は、窒化物半導体レーザ素子10を高出力で駆動する場合には、1.5μm以上500μm以下とすることができる。リッジ12aの高さは、0.1μm以上2μm以下が挙げられる。第2窒化物半導体層12を構成する層の厚さ、材料等を調整することにより、光閉じ込めの程度を適宜調整することができる。リッジ12aは、共振器方向の長さが200μm以上5000μm以下とすることができる。リッジ12aは、共振器方向においてすべて同じ幅でなくてもよいし、その側面が垂直であっても、テーパー状であってもよい。この場合のテーパー角は45度以上90度未満が挙げられる。
【0014】
第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12は、それぞれ、積層面の結晶面は特に限定されず、C面{0001}、M面{1-100}、A面{11-20}、R面{1-102}のいずれでもよく、これら以外の面であってもよい。例えば、第2窒化物半導体層12の上面はC面である。なお、結晶面及び方向を表す場合に、結晶学の記法によれば1の逆方向は1の上にバーを記載するところを、便宜上「-1」と表記する。また、個別方位は[]、集合方位は<>、個別面は()、集合面は{}でそれぞれ示す。
【0015】
(光出射側端面14及び光反射側端面15)
光出射側端面14及び光反射側端面15は、活性層13の光導波路領域又はNFP(ニア・フィールド・パターン)に対応する領域の両側の光出射面14a及び光反射面を少なくとも含む半導体層の端面である。光出射側端面14及び光反射側端面15は、第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12の積層面(
図1AのX-Y面)に対して交差する面である。光出射側端面14及び光反射側端面15は、半導体層の積層方向(
図1Aの矢印Zの方向)に対して傾斜していてもよいが、平行であることが好ましい。また、半導体層の積層面(
図1AのX-Y面)に対して垂直に交わっていることが好ましい。光出射側端面14及び光反射側端面15は、互いに対向する面であり、平行に配置していることが好ましい。光出射側端面14と光反射側端面15との間に共振器が形成されている。ここでの平行は、±5度以内の差を含む。ここでの垂直は、±5度以内の差を含む。
光出射側端面14及び光反射側端面15は、M面{1-100}、A面{11-20}、C面{0001}、R面{1-102}のいずれでもよく、これ以外の面であってもよい。例えば、光出射側端面14はM面である。光出射側端面14及び光反射側端面15がM面である場合、劈開によってこれらの面を得てもよい。劈開は、例えば、レーザ加工によって凹部を形成した後、押圧することによって行うことができる。レーザ加工の走査方向と劈開の進行方向は同じでもよく異なっていてもよい。光出射側端面14は、厳密なM面でなくてもよい。
【0016】
(保護膜30)
保護膜30(第1保護膜)は、光出射側端面14上において、光出射側端面14の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムと酸素とを含む第1膜31と、窒化膜からなる第2膜32と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜33と、第1シリコン酸化膜34と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜35と、第2シリコン酸化膜36と、を含む。保護膜30は、これら以外の膜を含んでいてもよい。保護膜30は、例えばこれらの膜のみで構成される。
光出射側端面14に設けられた保護膜30は、半導体層に形成された共振器面を被覆するものであるが、必ずしも光出射側端面14の全面を被覆しなくてもよい。保護膜30は、少なくとも、共振器面の光導波路領域又はNFPに対応する領域、つまり、活性層13及びその上下層の一部に及ぶ領域の端面である光出射面14aを被覆する。保護膜30は、光出射側端面14の全面を被覆してもよい。保護膜30の一部が、共振器面以外の面、例えば、半導体層の上面、側面等に配置されていてもよい。保護膜30を構成する各膜は、それぞれ、窒化物半導体レーザ素子10の発振波長に対して透光性の材料で形成される。
【0017】
(第1膜31)
第1膜31は、光出射側端面14に接触して配置されている膜である。「接触」とは、第1膜31が共振器面に直接接触しているのみならず、本発明の効果を有する程度に、共振器面に薄膜が形成された上に第1膜31が形成されていてもよい。例えば、共振器面への前処理、成膜開始時の雰囲気等により形成された薄膜が存在してもよい。このような薄膜の厚さは、例えば第1膜31の厚さ未満である。このような薄膜の厚さは、例えば3nm以下であってもよく、1nm以下であってもよい。このような薄膜は、例えばガリウム(Ga)と酸素(O)を含む。
第1膜31は、アルミニウム(Al)を含む酸化膜、Gaを含む酸化膜、AlとGaを含む酸化膜のいずれかであってよい。Alを含む酸化膜としては、酸化アルミニウムからなる膜が挙げられ、例えばAl2O3からなる膜である。Gaを含む酸化膜としては、酸化ガリウムからなる膜が挙げられ、例えばGa2O3からなる膜である。AlとGaを含む酸化膜としては、酸化アルミニウムガリウムからなる膜が挙げられ、例えばAlGaOからなる膜である。このような膜とすることで、半導体レーザ素子の駆動時に抵抗の変化を抑制することができる。また、第1膜31がAlを含む酸化膜であることにより、結晶性を有する膜を容易に形成することができる。第1膜31は、例えばAl2O3からなる膜である。第1膜31は、絶縁膜であってよい。
第1膜31は結晶性の膜であることが好ましい。第1膜31が結晶性の膜であることで、第2膜32を結晶性の膜として形成しやすく、また、第1膜31と光出射側端面14との酸化反応が起こりにくい。第1膜31が結晶性を有する場合、第1膜31は、単結晶、多結晶、またはそれらが混ざった膜である。単結晶は、材料中で格子定数の変動がほとんどなく、格子面傾斜がほとんどない。つまり、材料中で原子配列が規則的に並び、長距離的な秩序が保たれている。多結晶とは、多数の微小な単結晶、つまり微結晶から構成されている。このような膜の結晶性は、電子線による回折像によって判定することができる。膜に電子線を入射することによって、格子定数の大きさ及び面方向に対応して、電子線回折像が表れる。例えば、単結晶の場合は、規則正しく回折点が並んで観察される。多結晶の場合は、微結晶から構成されるため、それぞれの格子面の向きがそろっておらず、回折点が複雑に合わさった状態で見られたり、デバイリングが見られたりする。一方、アモルファスの場合、原子配列が長距離に周期的な構造をもたないため、電子線回折が起こらない。従って、回折像に回折点がない状態で観察される。電子線回折像の観察は、膜が形成されている端面に対して膜の断面が露出するように切断し、電子線を当てて行うことができる。結晶性が異なることは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等による断面観察、酸又はアルカリ溶液等の適当なエッチャントでのエッチングレートの差異からも確認することができる。高分解能透過電子顕微鏡法(high-resolution transmission electron microscopy:HRTEM)による像によって、原子配列を確認してもよい。
【0018】
図2に、保護膜30及びその付近の高分解能透過電子顕微鏡像の例を示す。
図2の図中右下の線は5nmを示す線である。
図2に示す窒化物半導体積層体は活性層13を含む。
図3Aは、
図2のAで示す円における電子線回折像であり、第1Al含有膜33の電子線回折像である。
図3Bは、
図2のBで示す円における電子線回折像であり、第2膜32の電子線回折像である。
図3Cは、
図2のCで示す円における電子線回折像であり、第1膜31の電子線回折像である。
図3Dは、
図2のDで示す円における電子線回折像であり、窒化物半導体積層体の電子線回折像である。
図3Cから、第1膜31は結晶質であり、すなわち第1膜31は結晶性を有する膜であることが確認された。
図3Dから、窒化物半導体積層体は結晶質であり、すなわち窒化物半導体積層体は結晶性を有することが確認された。
【0019】
第1膜31の結晶構造としては、例えば、立方晶系、正方晶系又は六方晶系等が挙げられる。第1膜31の材料、結晶性、配向性等は、第1膜31を形成する光出射側端面14の材料、結晶性、配向性等に応じて選択することができる。結晶性を有する膜としては、単結晶及び/又は多結晶を一部に含む膜、又は、単結晶及び/又は多結晶のみにより構成される膜が挙げられる。つまり、第1膜31は、必ずしも厳密に単結晶又は多結晶となっていなくてもよく、これらに近い結晶構造又はこれらの結晶構造の特性を示す程度の結晶構造を有しているものであってもよい。第1膜31は、光導波路領域又はNFPに対応する領域と、活性層13の側面側、第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12の厚さ方向における活性層13から遠い側との間で結晶性が異なっていてもよい。第1膜31は、光導波路領域又はNFPに対応する領域において、厚さ方向では、実質的に全域において結晶性であることが好ましい。厚さ方向において実質的に全域とは、隣接する膜等との間におけるそれらの境界が判別し難い領域を除いた残りの領域の全体を指す。例えば、第1膜31は、多結晶を少なくとも一部に含む膜である。第1膜31は、活性層13の主面に対して交差し且つ光出射側端面14に対して交差する方向(例えば、それぞれ垂直に交差する方向)に切断した断面の観察において、活性層13と隣り合う領域の半分以上が多結晶で構成されている膜であってよい。
第1膜31の厚さは、1nm以上100nm以下が挙げられ、1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。第1膜31の厚さが小さいほど、結晶性の良好な膜として形成し易い傾向がある。第1膜31の厚さは、5nm以上又は6nm以上とすることができ、8nm以上であってもよい。第1膜31の厚さが5nm以上であることにより、窒化物半導体レーザ素子10のさらなる長寿命化が可能である。これは、第2膜32の結晶性が向上するためと考えられる。第1膜31の厚さは、50nm以下、20nm以下、10nm以下又は10nm未満であってもよい。例えば、第1膜31の厚さは、5nm以上10nm以下とすることができる。第1膜31の厚さは、10nm未満であってもよく、5nm以上10nm未満であってもよい。第1膜31の厚さとは、活性層13の主面と平行な方向における長さを指す。第2膜32の厚さ及び第1Al含有膜33の厚さについても同様に、活性層13の主面と平行な方向における長さを指す。
【0020】
第1膜31は、当該分野で公知の方法によって形成することができる。例えば、パルススパッタ法、電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance:ECR)スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法、レーザアブレーション法、化学気相蒸着(chemical vapor deposition:CVD)法又はこれらの方法の2種以上を組み合わせる方法を用いることができる。あるいはこれらの方法と、全体又は部分的な前処理を組み合わせてもよい。前処理としては、例えば、不活性ガス(Ar、He、Xe等)又はプラズマの照射、酸素もしくはオゾンガスの照射、酸化処理(熱処理)、露光処理のいずれか1種以上を用いることができる。
第1膜31は、なかでも、パルススパッタ法またはECRスパッタ法によって成膜することが好ましい。例えば、ECRスパッタ装置を用いて成膜することができる。これにより、第1膜31を良好な結晶性の膜として得ることができる。第1膜31を、ECRスパッタ装置を用いて形成する場合、形成時の酸素流量は1.33×10-7m3/s以上が好ましい。第1膜31を形成する前に前処理を行ってもよい。前処理としては、光出射側端面14を酸素プラズマで処理することが挙げられる。パルススパッタ法としては、酸化物のターゲットを用いる方法、非酸化物のターゲットを用いて酸素ガス又はプラズマ等を照射しながら又は酸素雰囲気中で間欠的にスパッタする方法等が挙げられる。ECRスパッタ法は、パルススパッタ法よりも、成膜時の温度を低くすることができる傾向がある。これによって、後述する電極の特性劣化を抑制することができる。
【0021】
このように、第1膜31を、酸素を含む膜として、光出射側端面14に接触させて形成することにより、窒化物半導体レーザ素子10を駆動させた場合に、抵抗の変化を抑制することができる。また、第1膜31を、結晶性の膜として形成することにより、第2膜32を結晶性の膜として形成し易い。また、第1膜31の厚さが比較的小さいこと、例えば第1Al含有膜33より薄いことにより、光出射側端面14において、窒化物半導体レーザ素子10の駆動時に、駆動による熱に起因する応力を緩和することが可能であると考えられる。また、光出射側端面14と保護膜30との密着性を向上させることができる。
【0022】
(第2膜32)
第2膜32は、第1膜31に接触して配置されている膜である。第2膜32は、窒化膜である。窒化膜としては、具体的には、AlN、GaN、AlGaN等からなる膜が挙げられる。なかでも、AlN膜が好ましい。AlN膜はECRスパッタ法により形成することができるため、例えば、第1膜31と第2膜32を共にECRスパッタ装置を用いて形成することができる。第1膜31と第2膜32は、連続して成長させることができる。
第2膜32は結晶性を有する膜であることが好ましい。これにより、酸素のバリア膜としての作用を効果的に果たすことができる。これにより、第1Al含有膜33又は窒化物半導体レーザ素子10の外からの酸素によって光出射側端面14が酸化する可能性を低減することができる。第2膜32の配向としては、厚さ方向において、M軸<1-100>、A軸<11-20>、C軸<0001>及びR軸<1-102>配向のいずれかであってよく、これ以外の配向であってもよい。例えば、窒化物半導体積層体のM軸に対して第2膜32がC軸配向している。この場合、窒化物半導体積層体のM軸と第2膜32のC軸が平行である。第2膜32の活性層13と隣り合う領域における結晶の軸配向は、第2膜32の第1窒化物半導体層11と隣り合う領域及び/又は第2窒化物半導体層12と隣り合う領域における結晶の軸配向と同じであってよい。これにより、第2膜32を良好な結晶性で形成し易い。例えば、第2膜32において、活性層13と隣り合う領域と、第1窒化物半導体層11及び/又は第2窒化物半導体層12と隣り合う領域とは共にC軸配向している。例えば、第2膜32の活性層13と隣り合う領域におけるC軸と、第2膜32の第1窒化物半導体層11及び/又は第2窒化物半導体層12と隣り合う領域のC軸とは、平行である。第2膜32の特定の層(例えば活性層13)と隣り合う領域とは、第2膜32のうち、その層の一方の主面を延長した延長面(仮想面)と他方の主面を延長した延長面(仮想面)とに挟まれた領域を指す。第2膜32は、その全体に亘って、結晶の軸配向が同じであってよい。第2膜32の各領域の結晶性は、活性層13の主面に対して交差する方向(例えば垂直な方向)に切断した断面を用いて評価することができる。
第2膜32の厚さは、5nm以上500nm以下が挙げられ、5nm以上200nm以下であってもよく、5nm以上100nm以下であってもよく、5nm以上50nm以下であってもよい。第2膜32をこのような範囲の厚さとすることにより、結晶性の良好な膜を得ることができ、酸素のバリア膜としての作用を効果的に果たすことができる。第2膜32の厚さが50nm以下であることで、クラックの発生を抑制しやすいと考えられる。保護膜30の反射率を調整するために、第2膜32の厚さは50nmより大きくてもよい。第2膜32の厚さは、20nm以上であってよく、40nm以上であってもよい。これにより、さらに長寿命化を図ることができる。第2膜32の厚さは、20nm以上100nm以下であってもよく、40nm以上100nm以下であってもよく、40nm以上50nm以下であってもよい。これにより、窒化物半導体レーザ素子10のさらなる長寿命化が可能である。
第2膜32は、スパッタ法、ECRスパッタ法等の公知の方法によって成膜することができる。スパッタ法としては、窒化物のターゲットを用いる方法、非窒化物のターゲットを用いて窒素ガス又はプラズマ等を照射しながら又は窒素雰囲気中でスパッタする方法等が挙げられる。
図2に示す第2膜32の例について、
図3Bから、第2膜32は結晶質であり、すなわち第2膜32は結晶性を有する膜であることが確認された。
【0023】
(第1Al含有膜33)
第1Al含有膜33は、第2膜32に接触して配置することができる。第1Al含有膜33は、AlとOとを含む膜である。第1Al含有膜33は、Alを含む酸化膜又はAlを含む酸窒化膜であってよい。第1Al含有膜33は、酸化アルミニウムからなる膜であってよい。このような膜とすることで、第1Al含有膜33が酸化する可能性を低減することができるため、窒化物半導体積層体に酸素が到達する可能性を低減することができる。Alを含む酸化膜は、Alを含む酸窒化膜よりも、窒化物半導体レーザ素子10の駆動時に第1Al含有膜33の酸化が進行しにくいと考えられる。その結果、窒化物半導体レーザ素子10のさらなる長寿命化を図ることが可能となる。第1Al含有膜33は、例えばAl2O3からなる膜である。
【0024】
第1Al含有膜33は、結晶性を有する膜であってもよいし、アモルファス構造を含む膜であってもよい。アモルファス構造は、結晶における原子配列のような周期的構造をもたないもの、つまり原子配列が不規則、長距離秩序がないものを意味する。第1Al含有膜33は、アモルファス構造の膜又はアモルファス構造と結晶構造とを含む膜であることが好ましく、なかでもアモルファス構造のみからなる膜であることが好ましい。これにより、第1Al含有膜33の厚さを第1膜31及び/又は第2膜32の厚さよりも大きくし易い。第1Al含有膜33がアモルファス構造を含む場合に、窒化物半導体レーザ素子10の駆動によって、第1Al含有膜33の一部、例えば、活性層13側の一部が結晶性を有する膜となってもよい。これにより、窒化物半導体レーザ素子10のさらなる長寿命化を図ることができると考えられる。例えば第1Al含有膜33がAl2O3からなる膜である場合に、このような結晶化が生じ得る。
【0025】
第1Al含有膜33の厚さは、第1膜31の厚さよりも大きいことが好ましい。第1Al含有膜33の厚さは、第2膜32の厚さよりも小さくてもよいが、大きいことが好ましい。これにより、保護膜30としての総厚さを増大させることができる。第1Al含有膜33の厚さは、第1膜31の厚さの3倍以上が挙げられ、10倍以上であってもよい。第1Al含有膜33の厚さは、10nm以上1000nm以下が好ましく、50nm以上500nm以下がより好ましい。第1Al含有膜33をこのような範囲の厚さとすることにより、保護膜30としての総厚さを増大させることができるために、窒化物半導体レーザ素子10の外からの酸素が保護膜30を通過して窒化物半導体積層体に到達する可能性を低減することが可能である。これにより、長寿命化に有利に作用させることができると考えられる。特に、第1膜31及び第2膜32がそれらの機能を果たすために第1Al含有膜33よりも薄い膜として形成された場合に、より顕著な効果を得ることができる。また、第1Al含有膜33がアモルファス構造を含む場合の駆動による結晶化は、薄すぎる厚みでは生じにくいため、この観点からも第1Al含有膜33は上述の範囲の厚さであることが好ましい。また、この観点から、第1Al含有膜33の厚さは、第2Al含有膜35の厚さよりも大きいことが好ましい。第1Al含有膜33の厚さは、(λ/2n
3)×2の±25%の範囲内の厚さとしてよい。λは窒化物半導体レーザ素子10の発振波長であり、n
3は発振波長λにおける第1Al含有膜33の屈折率である。これにより、第1Al含有膜33の厚さをそれより小さくする場合と比較して、窒化物半導体レーザ素子10の長寿命化が可能となる。これは、保護膜30の厚さを大きくすることにより、窒化物半導体レーザ素子10の内部から進行する破壊が保護膜30の外表面に到達するまでの時間を長くできるためと考えられる。
図4に示すように、保護膜30の一部は窒化物半導体積層体の上面側および/または下面側に設けられていてもよい。
図4は、窒化物半導体レーザ素子10の別の例を示す断面図である。このように保護膜30を設けることにより、窒化物半導体積層体の上面側および/または下面側において保護膜30の厚みの分だけ破壊が窒化物半導体レーザ素子10の外表面に到達するまでの距離を長くすることができると考えられる。したがって、窒化物半導体レーザ素子10の長寿命化が可能である。
【0026】
第1Al含有膜33は、スパッタ法、ECRスパッタ法等の公知の方法によって形成することができる。例えば、ECRスパッタ装置を用いて形成することができる。第1膜31及び第1Al含有膜33をECRスパッタ装置を用いて形成する場合、第1Al含有膜33の形成時の酸素流量は、第1膜31の形成時の酸素流量よりも少ない。これにより、第1膜31を結晶性の膜として形成し、第1Al含有膜33をアモルファス構造の膜として形成することができる。
図2に示す第1Al含有膜33の例について、
図3Aから、第1Al含有膜33は非晶質であり、すなわち第1Al含有膜33はアモルファス構造の膜であることが確認された。
【0027】
(第1シリコン酸化膜34)
第1シリコン酸化膜34は、第1Al含有膜33の第2膜32とは反対の側に設けられている。第1シリコン酸化膜34は、第1Al含有膜33に接触して配置することができる。第1シリコン酸化膜34を設けることで、設けない場合と比較して、窒化物半導体レーザ素子10の内部から進行する破壊が保護膜30の外表面に到達するまでの距離を長くすることができる。
例えば、第1シリコン酸化膜34の発振波長λにおける屈折率n4は、第1Al含有膜33の発振波長λにおける屈折率n3よりも小さい。第1シリコン酸化膜34としては、例えば酸化シリコン(例えばSiO2)からなる膜が挙げられる。これにより、光吸収による初期特性の悪化や発熱を抑えることができるという利点がある。
第1シリコン酸化膜34の厚さは、第1Al含有膜33の厚さよりも小さくてもよい。例えば、第1シリコン酸化膜34の厚さをλ/4n4の±5%の範囲内の厚さとすることができる。
第1シリコン酸化膜34は、アモルファス構造を含む膜であることが好ましい。これにより、第1Al含有膜33との密着性を向上させることができる。また、第1Al含有膜33がアモルファス構造を含む膜であって駆動により結晶化する場合に、過剰または不足する酸素を第1シリコン酸化膜34で調整することができると考えられる。すなわち、第1Al含有膜33の結晶化にとって過剰な酸素を第1シリコン酸化膜34に逃がすことが可能であり、また、第1Al含有膜33の結晶化に不足する酸素を第1シリコン酸化膜34から供給することが可能であると考えられる。
第1シリコン酸化膜34は、スパッタ法、ECRスパッタ法等の公知の方法によって形成することができる。
【0028】
(第2Al含有膜35)
第2Al含有膜35は、第1シリコン酸化膜34の第1Al含有膜33とは反対の側に設けられている。第2Al含有膜35は、第1シリコン酸化膜34に接触して配置することができる。第2Al含有膜35を設けることで、設けない場合と比較して、窒化物半導体レーザ素子10の内部から進行する破壊が保護膜30の外表面に到達するまでの距離を長くすることができる。
第2Al含有膜35は、第1Al含有膜33と同じ材料から構成されていてよい。第2Al含有膜35は、例えばAl2O3からなる膜である。
第2Al含有膜35は、アモルファス構造を含む膜であることが好ましい。これにより、第1シリコン酸化膜34との密着性を向上させることができる。第1Al含有膜33が窒化物半導体レーザ素子10の駆動により結晶化する場合において、第2Al含有膜35は、窒化物半導体レーザ素子10の駆動により結晶化しなくてもよい。
第2Al含有膜35の厚さによって保護膜30の反射率を調整することができる。例えば、第2Al含有膜35の厚さは、第1Al含有膜33の厚さよりも小さい。第2Al含有膜35の厚さは、λ/4n5の±5%の範囲内の厚さとすることができる。n5は発振波長λにおける第2Al含有膜35の屈折率である。
第2Al含有膜35は、スパッタ法、ECRスパッタ法等の公知の方法によって形成することができる。例えば、ECRスパッタ装置を用いて形成することができる。
【0029】
(第2シリコン酸化膜36)
第2シリコン酸化膜36は、第2Al含有膜35の第1シリコン酸化膜34とは反対の側に設けられている。第2シリコン酸化膜36は、第2Al含有膜35に接触して配置することができる。第2シリコン酸化膜36を設けることで、設けない場合と比較して、窒化物半導体レーザ素子10の内部から進行する破壊が保護膜30の外表面に到達するまでの距離を長くすることができる。保護膜30が吹き飛ぶことが窒化物半導体レーザ素子10の頓死の発生要因の1つであるが、第2シリコン酸化膜36を設けることで設けない場合と比較して保護膜30の全体の厚さを増大させることができるため、それを抑制できる可能性がある。
第2シリコン酸化膜36は、保護膜30における最も外側に配置されている。第2シリコン酸化膜36は、光出射側端面14の側の面である第1面と、第1面とは反対の側に位置する面である第2面とを有する。第2シリコン酸化膜36の第2面は、窒化物半導体レーザ素子10を封止する封止媒体に接している。封止媒体は例えば酸素を含む気体である。第2シリコン酸化膜36の第1面は、例えば、第2Al含有膜35と接する面である。
図4に示すように、保護膜30の一部は窒化物半導体積層体の上面側および/または下面側に設けられる場合、保護膜30を構成する膜のうち第2シリコン酸化膜36以外の膜を、第2シリコン酸化膜36によって覆うことができる。これにより、窒化物半導体レーザ素子10の駆動による保護膜30が劣化する可能性をより低減することができる。保護膜30を構成する膜において窒化物半導体レーザ素子10を封止する封止媒体に接しているのは第2シリコン酸化膜36のみとしてもよい。
第2シリコン酸化膜36は、第1シリコン酸化膜34と同じ材料から構成されていてよい。第2シリコン酸化膜36は、例えばSiO
2からなる膜である。
第2シリコン酸化膜36は、アモルファス構造を含む膜であることが好ましい。これにより、第2Al含有膜35との密着性を向上させることができる。
第2シリコン酸化膜36の厚さは、第1シリコン酸化膜34の厚さよりも大きくすることができる。これにより第2シリコン酸化膜36による保護性能をより向上させることができる。第2シリコン酸化膜36の厚さは、第1Al含有膜33の厚さよりも大きくてよい。例えば、第2シリコン酸化膜36の厚さをλ/2n
6の±5%の範囲内の厚さとすることができる。n
6は発振波長λにおける第2シリコン酸化膜36の屈折率である。
第2シリコン酸化膜36は、スパッタ法、ECRスパッタ法等の公知の方法によって形成することができる。
【0030】
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子10は、このような構成を備えることにより、端面損傷が発生する確率を低減することができ、長寿命化を図ることが可能となる。
【0031】
(保護膜40)
光反射側端面15には、保護膜40(第2保護膜)が設けられている。保護膜40は、光出射側端面14側の保護膜30と異なる又は同じ膜構造を有する。窒化物半導体レーザ素子10の発振波長に対する保護膜40の反射率は、窒化物半導体レーザ素子10の発振波長に対する保護膜30の反射率よりも高い。
光反射側端面15側の保護膜40は、上述した第1膜31、第2膜32及び第1Al含有膜33の多層膜と同じ膜を有してもよい。保護膜40は、Si、Mg、Al、Hf、Nb、Zr、Sc、Ta、Ga、Zn、Y、B、Ti等の酸化物(特に、Al2O3、SiO2、Nb2O5、TiO2、ZrO2等)、窒化物(特に、AlN、AlGaN、BN等)又はフッ化物及びこれらの2種以上の組み合わせ等による膜であってもよい。第1膜31、第2膜32及び第1Al含有膜33の多層膜と同じ膜を形成する場合、光出射側端面14側の保護膜30とは、異なる厚さ等で形成してもよい。保護膜40は、窒化物半導体レーザ素子10の発振波長に対して透光性の材料及び/又は反射する材料により形成されることが好ましい。保護膜40は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0032】
例えば、光反射側端面15上の保護膜40としては、Siの酸化物とZrの酸化物との積層膜、Alの酸化物とZrの酸化物との積層膜、Siの酸化物とTiの酸化物との積層膜、Alの酸化物とSiの酸化物とZrの酸化物との積層膜、Siの酸化物とTaの酸化物とAlの酸化物の積層膜等が挙げられる。所望の反射率に合わせて適宜その積層周期等を調整することができる。
このような保護膜40の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、100nm以上4000nm以下、さらに、300nm以上3000nm以下、500nm以上2000nm以下が挙げられる。例えば、保護膜40の厚さは保護膜30の厚さよりも大きい。
【0033】
保護膜40は、例えば、多層膜である。多層膜は、屈折率が相対的に低い膜と高い膜とを交互に積層した構造を有することができる。多層膜のうち光反射側端面15と接する膜は、屈折率が相対的に低い膜であってもよく、屈折率が相対的に高い膜であってもよい。
図5に示すように、保護膜40は、光反射側端面15と接触して配置されている第1部分41と、第1部分41と接触して配置されている第2部分42と、を有することができる。
図5は、光反射側端面15側の保護膜40の一例を示す部分拡大図である。保護膜40の厚さは、λ/4nの奇数倍の±5%であることが好ましく、λ/4nの奇数倍であることがさらに好ましい。これにより、窒化物半導体レーザ素子10を駆動した際に光反射側端面15で発生する光学損傷の発生確率を低減することができる。なお、λは窒化物半導体レーザ素子10の発振波長であり、nは発振波長λにおける各膜の屈折率である。保護膜40における厚さとは、活性層13の主面と平行な方向における長さを指す。第2部分42は、高屈折率膜424と低屈折率膜425とが交互に配置されてなる。第1部分41は、1以上の膜からなる。第1部分41における第2部分42と接する膜は、高屈折率膜424および低屈折率膜425のいずれの屈折率とも異なる屈折率を有する。第1部分41と第2部分42とを組み合わせることで、第1部分41と第2部分42との界面で光を反射させることができ、保護膜40の反射率を向上させることができる。これにより、窒化物半導体レーザ素子10の光出力を向上させることができる。光反射側端面15から第1部分41と第2部分42との界面までの距離は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。これにより、保護膜40の反射率をより向上させることができ、窒化物半導体レーザ素子10の光出力をより向上させることができる。なお、ここでの距離とは最短距離を指す。保護膜40は、第1部分41と第2部分42のみから構成されてもよく、さらに別の膜を有していてもよい。
【0034】
第1部分41は、屈折率が相対的に低い膜と高い膜とを有する多層構造であることが好ましい。これにより、保護膜40の反射率をさらに向上させることができる。例えば、第1部分41における屈折率が相対的に低い膜と第2部分42の高屈折率膜424とが接する。もしくは、第1部分41における屈折率が相対的に高い膜と第2部分42の低屈折率膜425とが接していてもよい。第2部分42のうち第1部分41と接する膜は、第1部分41のうち第2部分42と接する膜の屈折率よりも高い屈折率を有する膜であることが好ましく、第1部分41を構成するいずれの膜の屈折率よりも高い屈折率を有する膜であることがより好ましい。これにより、保護膜40の反射率をさらに向上させることができる。第2部分42の低屈折率膜425は、例えばシリコン酸化膜(例えばSiO2膜)とすることができる。第2部分42の高屈折率膜424は、例えばタンタル酸化膜(例えばTa2O5)とすることができる。
【0035】
第1部分41は、第1膜411、第2膜412及び第3膜413を有してよい。第1部分41は、光反射側端面15の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムと酸素とを含む結晶性の第1膜411と、窒化膜からなる結晶性の第2膜412と、アルミニウムと酸素とを含む第3膜413とを有していてよい。第1膜411は、第1膜31について述べた材料、厚さ、形成方法などを採用することができる。第2膜412は、第2膜32について述べた材料、厚さ、形成方法などを採用することができる。第3膜413は、第1Al含有膜33について述べた材料、厚さ、形成方法などを採用することができる。第1部分41は光反射側端面15と接する部分であるので、このような第1膜411、第2膜412及び第3膜413を有することにより、保護膜30と同様の効果を期待できる。第1膜411は、光反射側端面15と接触して配置してよい。第1膜411、第2膜412及び第3膜413の厚さは、それぞれ、λ/4n以下であってよい。これにより、第1部分41と第2部分42との界面を光反射側端面15の比較的近くに配置することができ、保護膜40の反射率をより向上させることができ、窒化物半導体レーザ素子10の光出力をより向上させることができる。例えば、第1部分41は、第1膜411、第2膜412及び第3膜413のみからなる。
【0036】
(基板16)
基板16は、絶縁性基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。基板16としては、例えばGaN等からなる窒化物半導体基板を用いることができる。基板16の半導体層形成面である第1主面は、C面、R面、M面等が挙げられ、例えばC面である。第1主面及び/又は第1主面の反対側の第2主面に0°以上10°以下のオフ角を有していてもよい。基板16の厚さは、10μm以上10mm以下が挙げられる。
【0037】
(埋込膜18、第1電極17、第2電極19、パッド電極20)
窒化物半導体レーザ素子10は、第2窒化物半導体層12の上面、例えば、リッジ12aの側面とリッジ12aの側面から連続する第2窒化物半導体層12の上面に埋込膜18を設けることができる。
埋込膜18は、第2窒化物半導体層12よりも屈折率が小さな材料によって形成されていることが好ましい。埋込膜18は、Zr、Si、V、Hf、Ta、Al、Ce、In、Sb、Zn等の酸化物、窒化物、酸化窒化物等の絶縁膜の単層膜又は多層膜が挙げられる。埋込膜18は、第1膜31の成膜方法として例示した当該分野で公知の方法によって形成することができる。
【0038】
第1窒化物半導体層11の下面、例えば、基板16がある場合には、基板16の下面に第1電極17を設けることができる。基板16が半導体基板である場合は、基板16は第1窒化物半導体層11と同じ導電型を有する。第1電極17は、例えば、基板16の下面のほぼ全域に設けられる。
第2窒化物半導体層12の上面、例えば、リッジ12aの上面には、第2電極19を設けることができ、さらにその上にパッド電極20を設けることができる。
第1電極17及び第2電極19は、Ni、Rh、Cr、Au、W、Pt、Ti、Al、Pd等の金属又は合金、Zn、In、Snから選択される少なくとも1種を含む導電性酸化物等の単層膜又は多層膜によって形成することができる。導電性酸化物の例としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)等が挙げられる。電極の厚さは、通常、半導体レーザ素子の電極として機能し得る厚さであればよい。例えば、0.1μm以上2μm以下が挙げられる。
【0039】
第1電極17及び第2電極19は、窒化物半導体積層体の第1主面側と第2主面側にそれぞれ設けられていてもよく、第1主面側または第2主面側のいずれか一方に両方が設けられていてもよい。
埋込膜18、第1電極17、第2電極19、パッド電極20は、上述した保護膜30と離間していてもよいし、接していてもよい。埋込膜18、第1電極17、第2電極19、パッド電極20は、保護膜30を被覆していてもよく、保護膜30に被覆されていてもよい。埋込膜18及び第2電極19は、保護膜30に被覆されていることが好ましい。これにより、埋込膜18及び第2電極19の剥がれを抑制することができる。
【0040】
(実施例)
図1A~
図1Dに示す窒化物半導体レーザ素子10として、発振波長のピークが445nm程度の窒化ガリウム系の半導体レーザ素子を作製した。
窒化物半導体レーザ素子10となるエピタキシャルウエハーの作製にはMOCVD装置を用いた。原料には、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)、アンモニア(NH
3)、シランガス、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp
2Mg)を適宜用いた。
C面を成長面とするn型GaN基板(基板16)上に、第1窒化物半導体層11としてn側半導体層と、活性層13と、第2窒化物半導体層12としてp側半導体層とを成長させ、p側半導体層の表面に、共振器長に平行な方向における長さが1200μmのストライプ状のリッジ12aを形成した。
次いで、p側半導体層の上の表面に第2電極19としてITO(200nm)からなるp電極を形成し、リッジ12aの側面及びその外側のp側半導体層の上面に、SiO
2からなる埋込膜18を形成した。埋込膜18は、その一部がp電極を部分的に覆うように形成した。
p電極上に連続して、Ni(8nm)/Pd(200nm)/Au(400nm)/Pt(200nm)/Au(700nm)で、パッド電極20を形成した。
その後、基板16を、厚さが80μmになるように第1窒化物半導体層11の成長面と反対側の面から研磨し、研磨した面に、第1電極17としてTi(8nm)/Pt(100nm)/Au(300nm)よりなるn電極を形成した。続いて、基板16のn電極の形成面側からバー状に劈開し、劈開面を共振器面、つまり、光出射側端面14及び光反射側端面15とした。
得られたバーの光出射側端面14及び光反射側端面15を、ECRスパッタ装置を用いて、酸素プラズマに晒して表面処理を行った。この際、例えば、O
2の流量を3.33×10
-7m
3/sとし、マイクロ波500Wにて、10分間処理した。
その後、光出射側端面14に、Alターゲットを用い、Arの流量が5×10
-7m
3/s、酸素の流量が1.67×10
-7m
3/s、マイクロ波500Wで、Al
2O
3からなる第1膜31を形成した。酸素ガスを窒素ガスに変更して、同様に、AlNからなる第2膜32を形成し、続いて、窒素ガスを酸素ガスに変更して、同様に、Al
2O
3からなる第1Al含有膜33を形成した。さらに続けて、SiO
2からなる第1シリコン酸化膜34と、Al
2O
3からなる第2Al含有膜35と、SiO
2からなる第2シリコン酸化膜36を形成した。これにより、保護膜30を形成した。
第1膜31の形成時の酸素流量は1.67×10
-7m
3/sとし、第1Al含有膜33の形成時の酸素流量は8.33×10
-8m
3/sとした。光反射側端面15には、SiO
2とTa
2O
5とを交互に複数積層した多層構造を含む保護膜40を形成した。
その後、劈開面に垂直な方向でバーを割断することで、実施例の窒化物半導体レーザ素子10とした。
実施例の窒化物半導体レーザ素子10と、比較例及び参考例1~4の窒化物半導体レーザ素子において、保護膜30は、それぞれ表1に示す構成で形成した。これらの窒化物半導体レーザ素子において、窒化物半導体レーザ素子10の発振波長に対する保護膜30の反射率はいずれも15%程度だった。
【0041】
【0042】
実施例の窒化物半導体レーザ素子10と、比較例及び参考例1~4の窒化物半導体レーザ素子をそれぞれ8個作製し、光密度:約50MW/cm2にて約7か月連続発振させることにより、ライフ試験を行い、頓死個数を測定した。それぞれ、頓死個数が半数より多くなったことが確認された時点で、すなわち少なくとも5個の頓死が確認された時点で、試験を終了した。
その結果、試験期間の満了まで試験が継続されたのは実施例及び参考例4であり、比較例、参考例1、参考例2、参考例3は、この順に、試験期間満了よりも前に半数超の頓死が確認され、試験を終了した。試験期間満了時点の頓死個数は、実施例では1個であり、参考例4では2個であった。実施例の窒化物半導体レーザ素子10と、比較例及び参考例1~4の窒化物半導体レーザ素子のそれぞれにおいて、ライフ試験開始から最初の1個が頓死するまでの時間は、実施例の窒化物半導体レーザ素子10が最も長かった。
【0043】
このような結果から、第1膜31と第2膜32と第1Al含有膜33と第1シリコン酸化膜34と第2Al含有膜35と第2シリコン酸化膜36とを備えることにより、窒化物半導体レーザ素子10の端面損傷の発生を低減することができることが確認された。また、これにより、窒化物半導体レーザ素子10の長寿命化を図ることが可能となることが確認された。
【0044】
本明細書でこれまで説明してきた内容を通し、以下の技術事項が開示される。
(項1) 第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、
前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、
前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている窒化物半導体レーザ素子。
(項2)
前記第1Al含有膜及び前記第2Al含有膜は、アルミニウムを含む酸化膜である項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(項3)
前記第1Al含有膜及び前記第2Al含有膜は、アモルファス構造の膜又はアモルファス構造と結晶構造とを含む膜である項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(項4)
前記第1Al含有膜の厚さは、前記第2Al含有膜の厚さよりも大きく、
前記第1シリコン酸化膜の厚さは、前記第2シリコン酸化膜の厚さよりも小さい項1~3のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(項5)
前記第1膜及び前記第2膜は、結晶性の膜である項1~4のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(項6)
前記第1膜の厚さが10nm未満である項1~5のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(項7)
前記第2膜の前記活性層と隣り合う領域における結晶の軸配向は、前記第2膜の前記第1窒化物半導体層と隣り合う領域及び/又は前記第2窒化物半導体層と隣り合う領域における結晶の軸配向と同じである項1~6のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【符号の説明】
【0045】
10 窒化物半導体レーザ素子
11 第1窒化物半導体層
12 第2窒化物半導体層
12a リッジ
13 活性層
14 光出射側端面
14a 光出射面
15 光反射側端面
16 基板
17 第1電極
18 埋込膜
19 第2電極
20 パッド電極
30 保護膜
31 第1膜
32 第2膜
33 第1Al含有膜
34 第1シリコン酸化膜
35 第2Al含有膜
36 第2シリコン酸化膜
40 保護膜
41 第1部分
42 第2部分
411 第1膜
412 第2膜
413 第3膜
424 高屈折率膜
425 低屈折率膜