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特開2024-174844ラミネート処理装置、及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174844
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/06 20060101AFI20241210BHJP
   B65H 31/36 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 43/06 20060101ALI20241210BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H31/06
B65H31/36
B65H43/06
B29C63/02
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090012
(22)【出願日】2024-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2023092303
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024059609
(32)【優先日】2024-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田直広
(72)【発明者】
【氏名】赤石良介
(72)【発明者】
【氏名】木戸浦康宣
(72)【発明者】
【氏名】堀田浩史
(72)【発明者】
【氏名】久野悟志
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
3F048AB01
3F048AB05
3F048BA04
3F048BB02
3F048EA15
3F048EB32
3F054AA01
3F054AA06
3F054BA11
3F054BB08
3F054BB13
3F054BG02
3F054BG03
3F054BH02
3F054CA05
3F054CA12
3F108GA09
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA06
3F108HA11
4F211AC03
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH33
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SD08
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SP05
4F211SP36
(57)【要約】
【課題】2枚重ねシートの縦置き状態によるカールの悪化を防ぐとともに、シート表面に押さえ跡が付くことを防ぐラミネート処理装置を提供する。
【解決手段】本発明のラミネート処理装置は、2枚重ねシートを鉛直方向下向きに排出する排紙ローラ対と、排紙ローラ対の鉛直方向下側に配置された排紙トレイであって、排紙ローラ対から排出された2枚重ねシートを立位状態で受ける受け入れ側面と、受け入れ側面に対向する傾斜した積載面とを有する排紙トレイと、押さえ部材とを備える。
鉛直方向に直交する水平方向から見て、排紙ローラ対のニップ部の延長線は、積載面と交差しており、押さえ部材は、その先端を受け入れ側面から積載面に向けて、延長線を超える第1位置へ移動し、2枚重ねシートを積載面に積載する第1動作と、先端を第1位置から移動し、2枚重ねシートを積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行い、第1動作と第2動作の間で一時停止する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体を挟持する2枚重ねシートに熱と圧力を加えて熱定着するラミネート処理を行うラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを鉛直方向下向きに排出する排紙ローラ対と、
前記排紙ローラ対の鉛直方向下側に配置された排紙トレイであって、前記排紙ローラ対から排出された前記2枚重ねシートを立位状態で受ける受け入れ側面と、前記受け入れ側面に対向する傾斜した積載面とを有する排紙トレイと、
駆動手段によって駆動され、前記受け入れ側面にある前記2枚重ねシートを移動し、前記積載面に押し付ける押さえ部材と、を備え、
鉛直方向に直交する水平方向から見て、前記排紙ローラ対のニップ部の延長線は、前記積載面と交差しており、
前記押さえ部材は、その先端を前記受け入れ側面から前記積載面に向けて、前記延長線を超える第1位置へ移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に積載する第1動作と、
前記先端を前記第1位置から移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行うこと、及び
前記押さえ部材は、前記第1動作と前記第2動作の間で一時停止することを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
シート状媒体を挟持する2枚重ねシートに熱と圧力を加えて熱定着するラミネート処理を行うラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを鉛直方向下向きに排出する排紙ローラ対と、
前記排紙ローラ対の鉛直方向下側に配置された排紙トレイであって、前記排紙ローラ対から排出された前記2枚重ねシートを立位状態で受ける受け入れ側面と、前記受け入れ側面に対向する傾斜した積載面とを有する排紙トレイと、
駆動手段によって駆動され、前記受け入れ側面にある前記2枚重ねシートを移動し、前記積載面に押し付ける押さえ部材と、を備え、
鉛直方向に直交する水平方向から見て、前記排紙ローラ対のニップ部の延長線は、前記積載面と交差しており、
前記押さえ部材は、その先端を前記受け入れ側面から前記積載面に向けて、前記延長線を超える第1位置へ移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に積載する第1動作と、
前記先端を前記第1位置から移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行うこと、及び
前記押さえ部材の前記第2動作の動作速度は、前記第1動作の動作速度よりも遅いことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項3】
前記積載面上の前記2枚重ねシートの積載量が上限に達しているか検知する満杯検知手段を備え、
前記押さえ部材が、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付けている間に、前記満杯検知手段にて満杯検知を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項4】
前記2枚重ねシートの表面温度を検知する温度検知手段を備え、
前記押さえ部材は、前記第1動作を行った後、前記2枚重ねシートの前記表面温度が所定の設定温度以下となるまで、前記第2動作を行わないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項5】
前記設定温度は任意に設定できることを特徴とする、請求項4に記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記押さえ部材は、前記第1動作を行った後、所定の待機時間が経過するまで、前記第2動作を行わないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
前記押さえ部材は、次の2枚重ねシートの排出が開始されるまでの間、前記積載面に積載された前記2枚重ねシートを押し付けることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項8】
前記押さえ部材は、前記2枚重ねシートのシート厚さに応じて可動範囲を変更可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項9】
前記押さえ部材の前記可動範囲は、任意に設定できることを特徴とする、請求項8に記載のラミネート処理装置。
【請求項10】
前記押さえ部材の前記第1動作及び前記第2動作を行うタイミングは、任意に設定できることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項11】
前記排紙ローラ対の下流に、前記排紙ローラ対から排出される前記2枚重ねシートに風を当てて冷却する送風手段を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項12】
前記押さえ部材の前記駆動手段は、所定量以上の負荷が掛かると前記押さえ部材の駆動を停止することを特徴とする、請求項1又は2に記載のラミネート処理装置。
【請求項13】
画像形成装置と、
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
また、ラミネート処理装置において、ラミネート処理したシートを排紙ローラ対で鉛直下方に排出し、押さえ部材にて、排紙トレイの傾斜した側面に押し付けて積載する構成も知られている。これにより、熱を帯びたシートが自重によって湾曲(カール)することを抑制しつつ排紙トレイに積載できる。
【0004】
なお、シートが下向きに排出されてくる縦スタック形式の排紙トレイにおいて、積載されているシートを押さえる構成は、例えば特許文献1にも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のラミネート処理装置において、2枚重ねシートのラミネート処理後、直ぐに押さえ部材にてシートを排紙トレイに押し付けると、シート間の糊が完全には硬化していないため、シートに押さえ跡(凹み跡)が付くおそれがあった。その一方、押し付けるタイミングが遅すぎると、縦置き状態のシートは自重によりカールが悪化するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、2枚重ねシートの縦置き状態によるカールの悪化を防ぐとともに、シート表面に押さえ跡(凹み跡)が付くことを防ぐラミネート処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、シート状媒体を挟持する2枚重ねシートに熱と圧力を加えて熱定着するラミネート処理を行うラミネート処理装置であって、前記2枚重ねシートを鉛直方向下向きに排出する排紙ローラ対と、前記排紙ローラ対の鉛直方向下側に配置された排紙トレイであって、前記排紙ローラ対から排出された前記2枚重ねシートを立位状態で受ける受け入れ側面と、前記受け入れ側面に対向する傾斜した積載面とを有する排紙トレイと、駆動手段によって駆動され、前記受け入れ側面にある前記2枚重ねシートを移動し、前記積載面に押し付ける押さえ部材と、を備え、鉛直方向に直交する水平方向から見て、前記排紙ローラ対のニップ部の延長線は、前記積載面と交差しており、前記押さえ部材は、その先端を前記受け入れ側面から前記積載面に向けて、前記延長線を超える第1位置へ移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に積載する第1動作と、前記先端を前記第1位置から移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行うこと、及び前記押さえ部材は、前記第1動作と前記第2動作の間で一時停止することを特徴とするラミネート処理装置によって解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のラミネート処理装置は、押さえ部材が、2枚重ねシートを前記積載面に移動させる第1動作と、2枚重ねシートを積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行う。そして、押さえ部材は、第1動作が完了した時点で動作を停止し、所定時間が経過した後に第2動作を実行する。その結果、押さえ部材の第1動作により、2枚重ねシートの縦置き状態によるカールの悪化を防ぐとともに、押さえ部材の第2動作により、シート表面に押さえ跡(凹み跡)が付くことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の前提となるシート処理装置の全体構成図である。
図2図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
図10】剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
図11】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
図12】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その10)である。
図13】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その11)である。
図14】シート処理装置が備える剥離部材の模式図である。
図15】剥離部材の駆動構成の例を示す模式図である。
図16】剥離部材をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
図17図8における、剥離部材とシートSの状態を示す斜視図である。
図18図8における、剥離部材とシートSの状態を示す斜視図(その2)である。
図19】シート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図20】ラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図21】ラミネート処理装置を外部に備える画像形成装置を示す全体構成図である。
図22】本発明の第1実施例に係るラミネート処理装置の全体構成図である。
図23】排紙ローラ対と排紙トレイの積載面との位置関係を示す模式図である。
図24】ラミネート処理されたシートを、排紙トレイの受け入れ側面に排出する動作を示す模式図であり、(a)は排出開始、(b)は排出途中、(c)は排出完了を示す。
図25】排紙トレイ内のシートの状態示す模式図であり、(a)はシートにカールが生じた状態を示し、(b)はシートに押さえ跡が付いた状態を示す。
図26】受け入れ側面にあるシートを排紙トレイの積載面に移動する、押さえ部材の第1動作を示す模式図である。
図27】シートを排紙トレイの積載面に押し付ける、押さえ部材の第2動作を示す模式図である。
図28】第2動作の動作速度を第1動作の動作速度よりも遅くする、押さえ部材の第2実施例を示す模式図である。
図29】満杯検知センサを有する排紙トレイを示す模式図である。
図30】温度検知センサを有する排紙トレイを示す模式図である。
図31】シートの表面温度に応じた押さえ部材の動作制御を示すフローチャートである。
図32】第2動作の駆動を開始するシート表面温度を設定する、操作パネル画面の一例である。
図33】待機時間を設けた押さえ部材の動作制御を示すフローチャートである。
図34】シート厚によって押さえ部材の可動範囲を変更する制御を示すフローチャートである。
図35】押さえ部材の可動範囲を設定する、操作パネル画面の一例である。
図36】押さえ部材の駆動タイミングを設定する、操作パネル画面の一例である。
図37】ラミネート処理装置のハードウェア構成図である。
図38】押さえ部材の第2動作を示す模式図であり、(a)は第2動作開始、(b)は動作途中(待機)、(c)は動作完了を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、本発明の前提であるシート処理装置について説明する。図1は、シート処理装置の全体構成図である。シート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0011】
ここで、シートSとは、2枚のシートP1、P2が重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0012】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0013】
図1に示すように、シート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またシート処理装置100は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0014】
シートトレイ102には、シートSのサイズ(搬送方向長さ)を検出するシートサイズ検出手段であるサイズセンサC6が設けられ、給紙トレイ103には、中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)を検出する媒体サイズ検出手段であるサイズセンサC7が設けられている。
【0015】
これらサイズセンサC6及びサイズセンサC7はそれぞれ、搬送方向に並んで配置された複数のセンサを備える。積載されるシートS(又は中紙P)のサイズによってセンサの検出結果が変わるため、シートS(又は中紙P)の搬送方向長さを検出できる。
【0016】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0017】
なお、これら搬送センサC1、C2を用いて、シートS(又は中紙P)の搬送方向長さを検出してもよい。
【0018】
またシート処理装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離部材116を備える。
【0019】
入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ(巻付け部材)109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0020】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0021】
シート処理装置100の外装部には、シート処理装置100における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、シート処理装置100に別途設ける構成としてもよい。
【0022】
シート処理装置100は、シートSと中紙Pを別々のトレイ102、103に積載し、シートSを搬送しながら、シートSを2枚のシートP1、P2に剥離する。そして、剥離した2枚のシートP1、P2の非接合端部を開いた状態にし、非接合端部を開いた状態の2枚のシートP1、P2の間に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを、排紙トレイ104に排出して積載する。
【0023】
図2は、図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0024】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0025】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0026】
また、シート処理装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、剥離部材116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0027】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。可動の把持手段110は、ローラ部材111とともにシートSの先端を把持することを特徴とする。この把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体に成形してもよいし、別部品として構成してもよい。
【0028】
続いて、図1図13を用いて、シート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から、剥離されたシートSの間に中紙Pを挿入するまでの動作を説明する。なお、図3図13において、図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0029】
図1において、シートトレイ102上のシートSは、2枚のシートP1、P2の接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、シート処理装置100は、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0030】
次いで、図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでシート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0031】
続いて図3に示すように、シート処理装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0032】
次に、図4に示すように、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0033】
続いて、図5に示すように、シート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0034】
次いで、図6に示すように、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートP1、P2の接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0035】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシートP1、P2間に空間Cが生じる。この生じた空間Cに剥離部材116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシートP1、P2間の空間Cを確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0036】
ここで、剥離部材116について補足説明する。
【0037】
図14は、シート処理装置が備える剥離部材116の模式図である。また、図15は、剥離部材116の駆動構成の例を示す模式図である。また、図16は、剥離部材116をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【0038】
図14に示すように、剥離部材116は、シートSの厚さ方向と略同方向を厚さ方向(板厚方向)とする第1板状部116bと、第1板状部116bに対して厚さ方向に交差する第2板状部116cと、が一体的に形成されたものである。すなわち、シートSの空間Cに向けて図14(a)の白矢印方向に移動する剥離部材116は、Y視方向にみたときに、図14(c)に示すように、左右方向(シートSの搬送方向である)に延在する第1板状部116bと、上下方向(空間Cが形成される方向である)に延在する第2板状部116cと、で略十字状に形成されている。
【0039】
このように、シートSの厚さ方向(空間Cが形成される方向)に延びる第2板状部116cを設けることで、図18に示すように、2枚のシートP1、P2の間に剥離部材116が入り込んだときに、少なくとも第2板状部116cの上下方向の長さの分だけ2枚のシートP1、P2の間隔を広げることができる。
【0040】
また、図14(d)に示すように、剥離部材116は、シートSの厚さ方向と略同方向(上下方向である)の厚さが、シートSの幅方向の中央側から外側に向けて漸増するテーパ部116c1が形成されている。具体的には、シートSの幅方向中央に近い、第2板状部116cの端部には、図14(d)の左方から右方に向けて上下方向の長さが漸増するテーパ部116c1が形成されている。
【0041】
このように第2板状部116c(剥離部材116)にテーパ部116c1を設けることで、図16に示すように、剥離部材116が待機位置からシートSの空間Cに挿入されるときに、剥離部材116がシートP1、P2に引っ掛かってしまう不具合が生じにくくなる。すなわち、剥離部材116がシートSの空間Cにスムーズに挿入されて、第2板状部116cによって2枚のシートP1、P2が充分な間隔で分離(剥離)されることになる。
【0042】
また、図14(b)等に示すように、剥離部材116は、シートSの搬送方向と略同方向(左右方向である)の厚さが、シートSの幅方向の中央側から外側に向けて漸増するテーパ部116b1が形成されている。具体的には、第1板状部116bは、図14(b)に示すように、その先端部が略V字状に形成されている。このように第1板状部116b(剥離部材116)にテーパ部116b1を設けることで、剥離部材116がシートSの空間Cの幅を広げつつスムーズに挿入されて、2枚のシートP1、P2が分離(剥離)されることになる。
【0043】
また、図15に示すように、本実施形態では、2つの剥離部材116を互いに対向させて配置し、それぞれを接近/離間する構成としている。図15(a)は、2つの剥離部材116をベルト駆動により互いに接近/離間する場合の移動機構76を示している。また、図15(b)は、2つの剥離部材116をラック&ピニオンなどにより互いに接近/離間する場合の移動機構81を示している。
【0044】
図15(a)に示すように、剥離部材116の移動機構76は、モータ77、ギア・プーリ78、プーリ79、タイミングベルト80等で構成されている。ギア・プーリ78は、モータ77のモータ軸に設置されたモータギアに噛合するギアと、プーリ79とともにタイミングベルト80を張架・支持するプーリと、が段状に形成されている。一対の剥離部材116のうち、一方の剥離部材116の固定部116dはタイミングベルト80の一方のベルト面(図15(a)の上方のベルト面である)に固定されていて、他方の剥離部材116の固定部116eはタイミングベルト80の他方のベルト面(図15(a)の下方のベルト面である)に固定されている。
【0045】
このように構成された移動機構76によって、モータ77のモータ軸が図15(a)の矢印方向(時計回り方向)に回転駆動されると、ギア・プーリ78が反時計回り方向に回転され、タイミングベルト80が反時計回り方向に回転され、一対の剥離部材116がシートSの幅方向外側からシートSの幅方向中央部に向けて移動することになる(一対の剥離部材116が互いに近づく方向への移動である)。これに対して、モータ77のモータ軸が図15(a)の矢印方向に対して逆方向に回転駆動されると、一対の剥離部材116はシートSの幅方向中央側からシートSの幅方向外側に向けて移動することになる(一対の剥離部材116が互いに遠ざかる方向への移動である)。
【0046】
また、図15(b)に示すように、移動機構81は、モータ82、ギア・ピニオン84、ラック83A、83B等で構成されている。ギア・ピニオン84は、モータ82のモータ軸に設置されたモータギアに噛合するギアと、一対のラック83A、83Bのラックギアにそれぞれ噛合するピニオンギアと、が段状に形成されている。一対の剥離部材116のうち、一方の剥離部材116の固定部116dは一方のラック83Aに固定されていて、他方の剥離部材116の固定部116eは他方のラック83Bに固定されている。
【0047】
このように構成された移動機構81によって、モータ82のモータ軸が図15(b)の矢印方向(時計回り方向)に回転駆動されると、ギア・ピニオン84が反時計回り方向に回転され、一対の剥離部材116がシートSの幅方向外側からシートSの幅方向中央部に向けて移動することになる(一対の剥離部材116が互いに近づく方向への移動である)。これに対して、モータ82のモータ軸が図15(b)の矢印方向に対して逆方向に回転駆動されると、一対の剥離部材116はシートSの幅方向中央側からシートSの幅方向外側に向けて移動することになる(一対の剥離部材116が互いに遠ざかる方向への移動である)。
【0048】
剥離部材116は、図14(a)~(d)に示した上記形状を有し、シートSの幅方向に移動可能な構成であるため、図16に示すようにシートSに生じた空間Cにスムーズに挿入できる。
【0049】
シート処理装置100の一連の動作説明に戻る。シート処理装置100は、シートSに生じた空間Cに剥離部材116を挿入した状態で(図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、図8に示すように、シートSの剥離した空間CをシートSの正搬送方向(矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0050】
この状態で、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離部材116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0051】
図17は、図8における、剥離部材116とシートSの状態を示す斜視図である。剥離部材116は、剥離したシートSをそれぞれ異なる方向へと案内する分岐爪の形状(機能)も有するため(図14参照)、シートSの2枚のシートP1、P2は、それぞれ別の経路に搬送可能な姿勢となる。
【0052】
また、剥離部材116は幅方向に移動可能な構成(図15参照)であるため、図18に示すように、シートSの姿勢を支えるのに適した位置に配置できる。したがって、シートSのサイズや腰の強さが変わっても、シートSを所望の分岐方向へ案内できる。これは、搬送路幅全域に亘るシート分岐用部材、及び分岐爪の駆動装置が不要になるため、従来と比較して低コストにできる。
【0053】
続いて図9に示すように、シート処理装置100は、シートSの後端の全域を剥離した状態から、今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。すなわち、シートSの剥離された2枚のシートP1、P2は、剥離部材116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシートP1、P2全体が互いに剥離される。
【0054】
そして、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0055】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0056】
(変形例)
図10は、剥離した2枚のシートP1、P2の案内経路についての変形例である。先の図9では、図10(a)に示すように、シートSの接合部から2枚のシートP1、P2を同方向に案内する経路を示した。これ以外にも、図10(b)に示すように、シートSが逆S字を描くように2枚のシートP1、P2を案内する経路や、図10(c)に示すように、シートSがS字を描くように2枚のシートP1、P2を案内する経路など、2枚のシートP1、P2をそれぞれ反対方向に案内してもよい。
【0057】
次いで、図11に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(図1参照)から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0058】
続いて、図12に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0059】
次いで、図13(a)に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートP1、P2を再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113、又はそれ以降に配置されたローラなど(不図示)により、排紙トレイ104に排出・積載する(図1参照)。
【0060】
代替例として、シート処理装置がシートSを加熱及び加圧可能な熱加圧装置を備える場合、図13(b)に示すように、分岐爪118にて経路を切り替えて、熱加圧装置へ搬送してもよい。
【0061】
このようにシート処理装置100は、シートSの2枚のシートP1、P2を大きく開いた状態とし、その2枚のシートP1、P2の間に中紙Pを挿入して挟持させることができる。
【0062】
続いて、シート処理装置を備えるラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムについて説明する。
【0063】
図19は、シート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。ラミネート処理装置200は、先に説明したシート処理装置100と、シートSの搬送経路を切り替える分岐爪118と、シートSを加熱及び加圧可能な熱加圧部材である熱加圧ローラ対120と、熱加圧ローラ対120の下流に設けられた排紙ローラ対121とを備える。
【0064】
このラミネート処理装置200は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0065】
図20は、ラミネート処理装置を備える画像形成システムの一例を示す全体構成図である。この画像形成システム3001は、画像形成装置300の胴内排紙部に、ラミネート処理装置部としてのラミネート処理装置200aを備える。ラミネート処理装置200aは、画像形成装置300の胴内排紙部に対して着脱することができるように構成されている。また、画像形成装置300の外装部には、画像形成装置300における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。
【0066】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0067】
画像形成装置300の本体構成を具体的に説明する。図20に示すように、画像形成装置300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0068】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0069】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0070】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0071】
用紙搬送路164は、画像形成装置300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ対170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0072】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ対170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ対170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0073】
続いて、画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0074】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0075】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ対170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0076】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送られる。
【0077】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送る。
【0078】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをラミネート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0079】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、ラミネート処理装置200aにより、ラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0080】
図21は、ラミネート処理装置を外部に備える画像形成システムを示す全体構成図である。なお、図21において、図19、20と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0081】
図21の画像形成システム4001は、画像形成装置400の本体の外側にラミネート処理装置200bを備える点で、図20の画像形成システム3001と異なる。
【0082】
ラミネート処理装置200bは、鉛直方向に2枚重ねシートを搬送し、ラミネート処理を行う構成となっている。ラミネート処理装置200bは、シートSを積載するシートトレイ102を備え、中紙Pが画像形成装置400から中継器Rを介して給紙可能な構成である。したがって、コピーやプリンタ(画像形成装置400)を用いて、中紙Pに任意の画像をインラインで挿入できる。
【0083】
また、中紙挿入が完了したシートSは、出口ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ対等で排紙トレイ104に排出・スタックする。排紙トレイ104は、ラミネート処理装置200bの筐体内部に配置されている。これにより、排紙トレイ104に向かうシートSの垂直搬送が容易化される。
【0084】
具体的には、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ対等により、熱加圧ローラ対120を有する定着部へ搬送する。
【0085】
熱加圧ローラ対120の通過時にシートSが熱加圧され、定着される。シートSは熱加圧ローラ対120の通過後に排紙トレイ104に向かって鉛直下方に搬送され続け、排紙トレイ104に積載される。
【0086】
このように熱加圧ローラ対120の通過後に圧着されたシートSが鉛直下方に排出されるため、熱を帯びたシートSが外力によって湾曲することを抑制しつつシートSを排紙トレイ104に積載することができる。
【0087】
なお、画像形成システムとして、画像形成装置と、画像形成装置に着脱可能に接続されたラミネート処理装置200bを備えるシステムを構成してもよい。
【0088】
続いて、本発明の第1実施例に係るラミネート処理装置について説明する。
【0089】
(第1実施例)
図22は、本発明の第1実施例に係るラミネート処理装置の全体構成図である。なお、図22において、図1~21と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0090】
ラミネート処理装置200cは、シートSを剥離して中紙Pを挟み込むシート処理部(入口ローラ対108、巻付けローラ109、出口ローラ対113など)の搬送方向下流に、熱加圧ローラ対120と、排紙ローラ対121と、送風手段122と、排紙トレイ104とを備える。
【0091】
排紙ローラ対121は、熱加圧ローラ対120を通過したシートSを鉛直方向下向きに排出する。排紙トレイ104は、排紙ローラ対121の鉛直方向下側に配置されており、排紙ローラ対121から排出されたシートSを立位状態で受ける受け入れ側面104aと、受け入れ側面104aに対向する傾斜した積載面104bとを有する。
【0092】
ここで、図23に示すように、排紙ローラ対121のニップ部の延長線Lは、排紙トレイ104の傾斜した積載面104bと交差する位置関係にある。
【0093】
排紙トレイ104には、駆動手段としての駆動モータ52によって駆動される押さえ部材124が設けられており、この押さえ部材124は、受け入れ側面104aにあるシートSを移動し、積載面104bに押し付ける役割を果たす。
【0094】
なお、シート処理部(入口ローラ対108、巻付けローラ109、出口ローラ対113など)、定着部(熱加圧ローラ対120など)の構成及びその作用は、上記のシート処理装置100、ラミネート処理装置200で既に説明したので省略する。
【0095】
図24は、ラミネート処理されたシートを、排紙トレイの受け入れ側面に排出する動作を示す模式図であり、図24(a)は、排紙ローラ対121によるシートSの排出開始時の状態、図24(b)は、排紙ローラ対121によるシートSの排出途中の状態、図24(c)は、排紙ローラ対121によるシートSの排出完了時の状態を示す。
【0096】
図24(a)に示すように、熱加圧ローラ対120を通過したシートSは、排紙ローラ対121によって鉛直下向きに排出される。このとき、シートSは温度が高く、シートSの2枚のシートP1、P2の間にある糊は、まだ硬化していない状態である。
【0097】
次いで、図24(b)に示すように、シートSが排紙ローラ対121によって排出される間、送風手段122はシートSに風を当てて冷却を行う。これにより、シートSは、糊の硬化が促進されるとともに、風圧によって排紙トレイ104の受け入れ側面104aに向けて付勢される。
【0098】
そして、図24(c)に示すように、シートSの後端が排紙ローラ対121から完全に抜けた時点でシートSは排紙トレイ104に落下し、受け入れ側面104aに立位状態で受け入れられる。したがって、2枚のシートP1、P2の間にある糊がまだ完全には硬化していないシートSの先端が、排紙トレイ104の積載面104bに積載されたシートSに接することを防止できる。
【0099】
続いて、本発明の課題について詳細に説明する。
【0100】
図25は、排紙トレイ104内のシートSの状態示す模式図であり、図25(a)はシートSにカールが生じた状態を示し、図25(b)はシートSに押さえ跡が付いた状態を示す。
【0101】
排紙ローラ対121から排出されたシートSは、受け入れ側面104aに寄りかかった状態にあると、シートSの自重によりカールが悪化するおそれがある(図25(a)参照)。
【0102】
また、ラミネート処理直後のシートSは、2枚のシートP1、P2の間にある糊が完全には硬化していないため、押さえ部材124にて排紙トレイ104の積載面104bに押さえ付けると、シートSの表面に押さえ跡(凹み跡)が付くおそれがある(図25(b)参照)。
【0103】
従来のラミネート処理装置では、排紙ローラ対121から排出されたシートSを直ぐに積載面104bに押さえ付けるか、又は、一定時間待機した後に積載面104bに押さえ付けるかの動作であったため、カール及び押さえ跡のどちらかが発生するおそれがあった。
【0104】
以下では、シートの縦置き状態によるカールの悪化を防ぐとともに、シート表面に押さえ跡(凹み跡)が付くことを防ぐラミネート処理装置について説明する。
【0105】
図26は、受け入れ側面104aにあるシートを排紙トレイ104の積載面104bに移動する、押さえ部材の第1動作を示す模式図である。まず、図26(a)に示すように、シートSは、受け入れ側面104aに寄りかかった状態にある。
【0106】
次いで、図26(b)に示すように、押さえ部材124は、その先端を受け入れ側面104aから積載面104bに向けて、延長線L(図23参照)を超える第1位置へ移動する。そして、図26(c)に示すように、押さえ部材124はシートSを積載面104bに積載し(第1動作)、その場(第1位置)で一旦停止する。
【0107】
ここで、シートSは、押さえ部材124によって延長線Lよりも積載面104b側に移動されると、シートSの重心の移動により積載面104b側に向けて倒れる力(トルク)がシートSに作用する。その結果、シートSは、確実に積載面104b側に倒れ、積載される。
【0108】
なお、シートSは、第1動作が完了した時点(図26(c)参照)では、依然として温度が高く、2枚のシートP1、P2間の糊が完全に硬化していない(又は、その可能性が高い)ことに留意されたい。
【0109】
図27は、シートSを排紙トレイ104の積載面104bに押し付ける、押さえ部材の第2動作を示す模式図である。まず、図27(a)に示すように、押さえ部材124は、第1位置にて一時停止している。この一時停止によって、積載面104bに積載されたシートSの2枚のシートP1、P2間の糊を更に硬化させることができる。すなわち、押さえ部材124は、少なくとも積載面104bに積載されたシートSの糊が硬化する所定時間だけ、第1位置にて停止した状態を維持する。
【0110】
次いで、図27(b)に示すように、所定時間が経過した後に押さえ部材124の先端を第1位置から移動し、シートSを積載面104bに押し付ける(第2動作)。
【0111】
この押さえ部材124にてシートSを積載面104bに押し付ける動作(第2動作)には、
(1)積載面104bに積載されているシートSに生じるカールの低減。
(2)(排紙ローラ対121から)排出中又は排出直後で、2枚のシートP1、P2間の糊がまだ完全に硬化していないシートSが、積載面104bに積載されているシートSに接触するのを防止できる。
(3)積載面104b上の積載スペースの確保。
といったメリット(効果)がある。
【0112】
(第2実施例)
図28は、第2動作の動作速度を第1動作の動作速度よりも遅くする、押さえ部材の第2実施例を示す模式図である。
【0113】
先の第1実施例では、押さえ部材124が第1動作と第2動作の間で所定時間だけ一時停止したが、この第2実施例は、動作速度を変える(減速する)ことでシートSの2枚のシートP1、P2間にある糊が硬化する時間を確保する。
【0114】
具体的に説明する。まず、図28(a)に示すように、排紙ローラ対121から排出されたシートSは、受け入れ側面104aに寄りかかった状態にある。次いで、図28(b)に示すように、押さえ部材124は、その先端を受け入れ側面104aから積載面104bに向けて、延長線L(図23参照)を超える第1位置まで、速度Vaで移動する(第1動作)。
【0115】
続いて、図28(c)に示すように、押さえ部材124はその先端の速度をVb(Va>Vb)まで減速する。そして、図28(d)に示すように、押さえ部材124は、その先端をシートSに押し付ける(第2動作)。
【0116】
シートSは、押さえ部材124の先端の速度がVbまで減速した時点では(図28(c)参照)では、依然として温度が高く、シートSの2枚のシートP1、P2間にある糊が完全に硬化していない(又は、その可能性が高い)。しかし、押さえ部材124が、その先端をシートSに押し付ける(図28(d)参照)までに十分な時間を確保することができるので、シートSに押さえ跡(凹み跡)が付くことを防ぐことができる。
【0117】
このように、第2実施例においても、シートSに押さえ跡(凹み跡)が付くことを防ぐとともに、縦置き状態によるカールの悪化を防ぐことができる。
【0118】
続いて、有利な構成について説明する。
【0119】
(その1 満杯検知)
図29は、満杯検知センサを有する排紙トレイ104を示す模式図である。排紙トレイ104には、積載面104bに積載されたシートSの積載量が上限に達しているか検知する満杯検知センサ190が設けられている。
【0120】
積載面104b上のシートSにカールが生じていると、満杯検知センサ190は誤検知するおそれがある(図29(a)参照)。これに対し、押さえ部材124がシートSを積載面104bに押し付けている間に、満杯検知センサ190にて満杯検知を行えば、誤検知を防止できる(図29(b)参照)。
【0121】
なお、満杯検知センサ190は満杯検知手段の一例である。満杯検知手段は、例えばレーザ変位計を用いることができる。
【0122】
(その2 温度検知)
図30は、温度検知センサを有する排紙トレイ104を示す模式図である。排紙トレイ104には、積載面104bに積載されたシートSの表面温度を検知する温度検知センサ192が設けられている。
【0123】
図31は、シートの表面温度に応じた押さえ部材の動作制御を示すフローチャートである。図31を用いて、各ステップでの処理内容について説明する。
【0124】
まず、ステップS101において、排紙ローラ対121は、シートSを排出する。次いで、ステップS102において、押さえ部材124は、駆動を開始する。ステップS103において、押さえ部材124の先端が、排紙ローラ対121のニップ部の延長線Lを超える第1位置へ移動する(第1動作)。そして、ステップS104において、押さえ部材124は、駆動を停止する。
【0125】
ステップS105において、後述するラミネート処理装置部の制御部50は、シートSの表面温度が設定温度T以下であるか否かを判定する。シートSの表面温度が設定温度T以下であると判定した場合(S105:Yes)、ステップS106に移行し、押さえ部材124は、駆動を再開する。一方、シートSの表面温度が設定温度Tより高いと判定した場合(S105:No)、シートSの表面温度が設定温度T以下になるまで(S105:Yes)、押さえ部材124の駆動停止状態を維持する。
【0126】
次いで、ステップS107において、押さえ部材124の先端を、排紙トレイ104の積載面104bに向けて移動させ、シートSを排紙トレイ104の積載面104bに押し付ける(第2動作)。そして、ステップS108において、押さえ部材124を初期位置に戻す。
【0127】
このように、押さえ部材124は、第1動作を行った後、排紙トレイ104の積載面104b上のシートSの表面温度が所定の設定温度T以下となるまで、第2動作を行わない。その結果、シートSの2枚のシートP1、P2間にある糊が硬化した状態で、押さえ部材124がシートSを排紙トレイ104の積載面104bに押し付けることになるので、シートSに押さえ跡(凹み跡)が付くことをより確実に防ぐことができる。
【0128】
なお、温度検知センサ192は温度検知手段の一例である。温度検知手段は、例えばサーミスタを用いることができる。
【0129】
また、ステップS105において、設定温度Tは、ユーザが任意に設定できることが望ましい。図32に示すように、例えば操作パネル10に、第2動作を開始するシート表面温度を表示し、ユーザが任意に設定できることが望ましい。
【0130】
(その3 待機時間の設定)
図33は、待機時間を設けた押さえ部材124の動作制御を示すフローチャートである。図33を用いて、各ステップでの処理内容について説明する。
【0131】
まず、ステップS201において、排紙ローラ対121は、シートSを排出する。次いで、ステップS202において、押さえ部材124は、駆動を開始する。ステップS203において、押さえ部材124の先端が、排紙ローラ対121のニップ部の延長線Lを超える第1位置へ移動する(第1動作)。そして、ステップS204において、押さえ部材124は、駆動を停止する。
【0132】
ステップS205において、後述するラミネート処理装置部の制御部50は、押さえ部材124の駆動を停止してから所定の待機時間tmを経過したか否かを判定する。待機時間tmを経過したと判定した場合(S205:Yes)、ステップS206に移行し、押さえ部材124は、駆動を再開する。一方、待機時間tmを経過していないと判定した場合(S205:No)、待機時間tmを経過するまで(S105:Yes)、押さえ部材124の駆動停止状態を維持する。
【0133】
次いで、ステップS207において、押さえ部材124の先端を、排紙トレイ104の積載面104bに移動させ、シートSを押し付ける(第2動作)。そして、ステップS208において、押さえ部材124を初期位置に戻す。
【0134】
このように、押さえ部材124は、第1動作を行った後、所定の待機時間tmが経過するまで、第2動作を行わない。その結果、シートSの2枚のシートP1、P2間にある糊が硬化した状態で、押さえ部材124がシートSを排紙トレイ104の積載面104bに押し付けることになるので、シートSに押さえ跡(凹み跡)が付くことをより確実に防ぐことができる。
【0135】
また、ステップS205において、所定の待機時間tmは、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。例えば操作パネル10を用いて、ユーザが任意に待機時間tmを設定できるとしてもよい。
【0136】
(その4 可動範囲の変更)
図34は、シートSのシート厚によって押さえ部材の可動範囲を変更する制御を示すフローチャートである。図34を用いて、各ステップでの処理内容について説明する。
【0137】
まず、ステップS301において、排紙ローラ対121は、シートSを排出する。次いで、ステップS302において、押さえ部材124は、駆動を開始する。ステップS303において、押さえ部材124の先端が、排紙ローラ対121のニップ部の延長線Lを超える第1位置へ移動する(第1動作)。そして、ステップS304において、押さえ部材124は、駆動を停止する。
【0138】
ステップS305において、後述するラミネート処理装置部の制御部50は、処理中のシートSの厚さに応じて、押さえ部材124の可動範囲を変更する。例えば、シートSの厚さがA(μm)である場合、ステップS306aに移行し、押さえ部材124の先端を、排紙トレイ104の積載面104bに対して垂直にa(mm)移動させる。また、シートSの厚さがB(μm)である場合、ステップS306bに移行し、押さえ部材124の先端を、排紙トレイ104の積載面104bに対して垂直にb(mm)移動させる。また、シートSの厚さがC(μm)である場合、ステップS306cに移行し、押さえ部材124の先端を、排紙トレイ104の積載面104bに対して垂直にc(mm)移動させる。
【0139】
そして、ステップS307において、押さえ部材124を初期位置に戻す。
【0140】
このように、押さえ部材124は、使用するシートSの厚さによって可動範囲を変更するため、適切な押圧力でシートSを積載面104bに押し付けることができる。したがって、シートSに押さえ跡(凹み跡)が付くことをより確実に防ぐことができる。
【0141】
図35は、押さえ部材の可動範囲を設定する、操作パネル画面の一例である。押さえ部材124の可動範囲は、例えば操作パネル10を用いて、任意に設定できることが望ましい。これにより、ラミネート処理装置の仕様又は状態、シートSの仕様又は状態に応じて可動範囲を適切に設定できる。
【0142】
図36は、押さえ部材の駆動タイミングを設定する、操作パネル画面の一例である。押さえ部材124の駆動タイミングも、例えば操作パネル10を用いて、任意に設定できることが望ましい。これにより、ラミネート処理装置の仕様又は状態、シートSの仕様又は状態に応じて駆動タイミングを適切に設定できる。
【0143】
図37は、ラミネート処理装置のハードウェア構成図である。ラミネート処理装置は、制御部(PCB)50を構成する制御チップ及び制御ソフト(アプリケーション)によって、押さえ部材124の駆動モータ52を制御する。
【0144】
また、制御部(PCB)50は、満杯検知センサ190、温度検知センサ192の結果を制御に反映できる。さらに、通信I/F54を介して、操作パネル10、及び画像形成装置300、400の制御部300a、400aと通信を行い制御に反映することができる。
【0145】
(その5 押さえ部材の第2動作)
図38は、押さえ部材の第2動作を示す模式図である。図38(a)は押さえ部材の第2動作開始時の状態、図38(b)は押さえ部材の第2動作途中(待機)の状態、図38(c)は押さえ部材の第2動作完了時の状態を示す。
【0146】
図38(a)に示すように、押さえ部材124の先端を移動し、シートSを積載面104bに押し付ける(第2動作)。次いで、図38(b)に示すように、次の(別の)シートS’が排紙ローラ対121によって排出開始されるまで、押さえ部材124は、排紙トレイ104の積載面104b上のシートSを押し続ける。
【0147】
そして、図38(c)に示すように、排紙ローラ対121によってシートS’の排出が開始された時点で、押さえ部材124は、初期位置に戻っている。このように、押さえ部材124は、排紙ローラ対121が別のシートS’を排出するまで、排紙トレイ104の積載面104bに積載されたシートSを押し付ける。したがって、シートSの排紙順の入れ替わりや、排紙ローラ対121から排出された後続のシートS’が、既に排紙トレイ104の積載面104bに積載されている先行のシートSに接触することを防止できる。
【0148】
(その6 押さえ部材の駆動トルクリミット)
押さえ部材124の駆動モータ52は、トルクリミッタ(過負荷保護装置)を有し、所定量以上の負荷が掛かると押さえ部材124の駆動を停止することが望ましい。これにより、押さえ部材124がシートSを過剰に押し付けることによる、シートSに押さえ跡(凹み跡)が付くことやシートSの破損をより効果的に防止できる。
【0149】
以上、実施例を用いて本発明を詳細に説明した。この実施例は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。
【0150】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
シート状媒体を挟持する2枚重ねシートに熱と圧力を加えて熱定着するラミネート処理を行うラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを鉛直方向下向きに排出する排紙ローラ対と、
前記排紙ローラ対の鉛直方向下側に配置された排紙トレイであって、前記排紙ローラ対から排出された前記2枚重ねシートを立位状態で受ける受け入れ側面と、前記受け入れ側面に対向する傾斜した積載面とを有する排紙トレイと、
駆動手段によって駆動され、前記受け入れ側面にある前記2枚重ねシートを移動し、前記積載面に押し付ける押さえ部材と、を備え、
鉛直方向に直交する水平方向から見て、前記排紙ローラ対のニップ部の延長線は、前記積載面と交差しており、
前記押さえ部材は、その先端を前記受け入れ側面から前記積載面に向けて、前記延長線を超える第1位置へ移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に積載する第1動作と、
前記先端を前記第1位置から移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行うこと、及び
前記押さえ部材は、前記第1動作と前記第2動作の間で一時停止することを特徴とするラミネート処理装置。
(態様2)
シート状媒体を挟持する2枚重ねシートに熱と圧力を加えて熱定着するラミネート処理を行うラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを鉛直方向下向きに排出する排紙ローラ対と、
前記排紙ローラ対の鉛直方向下側に配置された排紙トレイであって、前記排紙ローラ対から排出された前記2枚重ねシートを立位状態で受ける受け入れ側面と、前記受け入れ側面に対向する傾斜した積載面とを有する排紙トレイと、
駆動手段によって駆動され、前記受け入れ側面にある前記2枚重ねシートを移動し、前記積載面に押し付ける押さえ部材と、を備え、
鉛直方向に直交する水平方向から見て、前記排紙ローラ対のニップ部の延長線は、前記積載面と交差しており、
前記押さえ部材は、その先端を前記受け入れ側面から前記積載面に向けて、前記延長線を超える第1位置へ移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に積載する第1動作と、
前記先端を前記第1位置から移動し、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付ける第2動作の、2つの動作を行うこと、及び
前記押さえ部材の前記第2動作の動作速度は、前記第1動作の動作速度よりも遅いことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様3)
前記積載面上の前記2枚重ねシートの積載量が上限に達しているか検知する満杯検知手段を備え、
前記押さえ部材が、前記2枚重ねシートを前記積載面に押し付けている間に、前記満杯検知手段にて満杯検知を行うことを特徴とする、態様1又は2に記載のラミネート処理装置。
(態様4)
前記2枚重ねシートの表面温度を検知する温度検知手段を備え、
前記押さえ部材は、前記第1動作を行った後、前記2枚重ねシートの前記表面温度が所定の設定温度以下となるまで、前記第2動作を行わないことを特徴とする、態様1乃至3のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様5)
前記設定温度は任意に設定できることを特徴とする、態様4に記載のラミネート処理装置。
(態様6)
前記押さえ部材は、前記第1動作を行った後、所定の待機時間が経過するまで、前記第2動作を行わないことを特徴とする、態様1乃至5のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様7)
前記押さえ部材は、次の2枚重ねシートの排出が開始されるまでの間、前記積載面に積載された前記2枚重ねシートを押し付けることを特徴とする、態様1乃至6のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様8)
前記押さえ部材は、前記2枚重ねシートのシート厚さに応じて可動範囲を変更可能であることを特徴とする、態様1乃至7のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様9)
前記押さえ部材の前記可動範囲は、任意に設定できることを特徴とする、態様8に記載のラミネート処理装置。
(態様10)
前記押さえ部材の前記第1動作及び前記第2動作を行うタイミングは、任意に設定できることを特徴とする、態様1乃至9のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様11)
前記排紙ローラ対の下流に、前記排紙ローラ対から排出される前記2枚重ねシートに風を当てて冷却する送風手段を備えることを特徴とする、態様1乃至10のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様12)
前記押さえ部材の前記駆動手段は、所定量以上の負荷が掛かると前記押さえ部材の駆動を停止することを特徴とする、態様1乃至11のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様13)
画像形成装置と、
態様1乃至12のいずれか一項に記載のラミネート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【符号の説明】
【0151】
10 操作パネル
50、300a、400a 制御部
52 駆動モータ
54 通信I/F
100 シート処理装置
102 シートトレイ
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
104a 受け入れ側面
104b 積載面
105、106 ピックアップローラ
107 搬送ローラ対
108 入口ローラ対
109 巻付けローラ
110 把持手段
111 ローラ部材
113 出口ローラ対
116 剥離部材
118 分岐爪
120 熱加圧ローラ対
121 排紙ローラ対
122 送風手段
124 押さえ部材
190 満杯検知センサ
192 温度検知センサ
150 中間転写装置
152 中間転写ベルト
154c、154k、154m、154y 作像装置
156 露光装置
158 給紙装置
160 第1給紙カセット
162 第2給紙カセット
164 用紙搬送路
166 第1給紙コロ
168 第2給紙コロ
170 搬送ローラ対
174 二次転写装置
176 定着装置
178 排紙装置
180c、180k、180m、180y 一次転写装置
188 画像読取装置
200、200a、200b、200c ラミネート処理装置
300、400 画像形成装置
C1、C2、C3、C5 搬送センサ
C4 異常状態検出センサ
C6、C7 サイズセンサ
L 延長線
P 中紙
R 中継器
S、S’ シート
T 設定温度
Va、Vb 速度
tm 待機時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0152】
【特許文献1】特開2012-121728号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38