(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175138
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】送信制御装置、無線通信システム、送信制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04J 99/00 20090101AFI20241210BHJP
【FI】
H04J99/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166842
(22)【出願日】2024-09-26
(62)【分割の表示】P 2023534475の分割
【原出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】李 斗煥
(72)【発明者】
【氏名】増野 淳
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】笹木 裕文
(72)【発明者】
【氏名】八木 康徳
(72)【発明者】
【氏名】景山 知哉
(57)【要約】
【課題】高周波数帯の無線通信における通信品質を向上させる。
【解決手段】送信制御装置は、通信の特性を示す通信特性情報を取得する通信特性情報取得部と、前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定部と、決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成する信号処理制御部と、を備え、前記通信特性情報は、通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性を含み、前記電力制御方法決定部は、前記第三の閾値以下の電力制御を行う場合に、前記通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性に基づいて、電力制御方法を決定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信の特性を示す通信特性情報を取得する通信特性情報取得部と、
前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定部と、
決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成する信号処理制御部と、を備え、
前記通信特性情報は、通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性を含み、
前記電力制御方法決定部は、前記第三の閾値以下の電力制御を行う場合に、前記通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性に基づいて、電力制御方法を決定する、
送信制御装置。
【請求項2】
前記電力制御方法決定部は、段階的な閾値に基づいて電力の大きい通信の割合が徐々に少なくなる制御方法を決定する、
請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項3】
前記通信特性情報は、送受信距離、所望の多値変調数、及び受信信号のSNRを含み、
前記電力制御方法決定部は、前記送受信距離に基づく計算によって、送信電力を前記第一の閾値以下にしても前記SNRが前記所望の多値変調数を達成できる値となるか否かを、前記受信信号のSNRと多値変調数の関連を示す関連情報に基づいて判定し、前記所望の多値変調数を達成できる値となると判定すると、送信信号の電力が前記第一の閾値以下となるように制御し、前記所望の多値変調数を達成できる値とならないと判定すると、送信信号の電力が前記第三の閾値以下となるように制御する、
請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項4】
前記通信特性情報は、送受信距離、所望の多値変調数、信号のピーク対平均電力比、受信信号のSNR、受信信号のエラーベクトル振幅のいずれかをさらに含む、
請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項5】
送信制御装置と受信制御装置とを備える無線通信システムであって、
前記送信制御装置は、
通信の特性を示す通信特性情報を取得する通信特性情報取得部と、
前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定部と、
決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成する信号処理制御部と、を備え、
前記受信制御装置は、
クラスタリングによって規定の変調数のデータ群に分類することによって、受信信号を復調する信号処理制御部を備え、
前記通信特性情報は、通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性を含み、
前記電力制御方法決定部は、前記第三の閾値以下の電力制御を行う場合に、前記通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性に基づいて、電力制御方法を決定する、
無線通信システム。
【請求項6】
コンピュータが実行する送信制御方法であって、
前記コンピュータが、
通信の特性を示す通信特性情報を取得するステップと、
前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定ステップと、
決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成するステップと、
を実行し、
前記通信特性情報は、通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性を含み、
前記電力制御方法決定ステップは、前記第三の閾値以下の電力制御を行う場合に、前記通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性に基づいて、前記電力制御方法を決定する、
送信制御方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から4のいずれか1項に記載の送信制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波の軌道角運動量(Orbital Angular Momentum:OAM)を用いて無線信号を空間多重伝送する技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、伝送容量向上のため、OAMを用いた無線信号の空間多重伝送技術の検討が進められている。(例えば、非特許文献1)。OAMを持つ電磁波は、伝搬軸を中心に伝搬方向にそって等位相面がらせん状に分布する。異なるOAMモードを持ち、同一方向に伝搬する電磁波は、回転軸方向において空間位相分布が直交するため、異なる信号系列で変調された各OAMモードの信号を受信装置において分離することにより、信号を多重伝送することが可能である。
【0003】
このOAM多重技術を用いた無線通信システムでは、複数のアンテナ素子を等間隔に円形配置した等間隔円形アレーアンテナ(以下、UCA(Uniform Circular Array)と称する。)を用い、複数のOAMモードを生成・合成して送信することにより、異なる信号系列の空間多重伝送を実現できる(例えば、非特許文献2)。複数のOAMモードの信号生成及び信号分離には、例えば、バトラー回路(バトラーマトリクス回路)が使用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Wang et al., "Terabit free-space data transmission employing orbital angular momentum multiplexing," Nature Photonics, Vol.6, pp.488-496, July 2012.
【非特許文献2】Y.Yan et al., "High-capacity millimeter-wave communications with orbital angular momentum multiplexing," Nature Commun., vol.5, p.4876, Sep. 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、UCAとバトラー回路を用いた送信装置により、大容量の通信が可能になるが、今後は、高周波数帯の利用と伝送距離の長延化への対応が望まれている。
【0006】
しかし、従来の無線伝送技術では、例えばSub-THz等の高周波数帯の信号を送信する通信機器は、マイクロ波等の周波数帯の信号を送信する通信機器よりも出力信号の電力低下が起こりやすいため、伝送距離が長くなると受信SNRの確保が難しくなり、通信品質が劣化するという問題がある。
【0007】
開示の技術は、高周波数帯の無線通信における通信品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、通信の特性を示す通信特性情報を取得する通信特性情報取得部と、前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定部と、決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成する信号処理制御部と、を備え、前記通信特性情報は、通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性を含み、前記電力制御方法決定部は、前記第三の閾値以下の電力制御を行う場合に、前記通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性に基づいて、電力制御方法を決定する、送信制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
高周波数帯の無線通信における通信品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】OAMモードの信号を生成するためのUCAの位相設定例を示す図である。
【
図2】OAM多重信号の位相分布と信号強度分布の例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における通信システムの構成図である。
【
図4】従来技術に係る電力制御方法について説明するための図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る電力制御方法について説明するための図である。
【
図7】送信装置におけるバトラー回路とアンテナ素子との接続構成例を示す図である。
【
図9】送信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】受信装置におけるバトラー回路とアンテナ素子との接続構成例を示す図である。
【
図12】受信制御装置の機能構成例を示す図である。
【
図13】非線形な信号の従来の復調手法について説明するための図である。
【
図14】受信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】従来技術に係る受信信号の復調方法について説明するための図である。
【
図16】本発明の実施の形態に係る受信信号の復調方法について説明するための図である。
【
図17】コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0012】
(基本的な動作例)
まず、本実施の形態における送信装置及び受信装置において使用するUCAに係る基本的な設定・動作例について説明する。
【0013】
図1は、OAMモードの信号を生成するためのUCAの位相設定例を示す図である。
図1に示すUCAは、8つのアンテナ素子からなるUCAである。
【0014】
図1において、送信側におけるOAMモード0,1,2,3,…の信号は、UCAの各アンテナ素子(●で示す)に供給される信号の位相差により生成される。すなわち、OAMモードnの信号は、位相がn回転(n×360度)になるように各アンテナ素子に供給する信号の位相を設定して生成する。例えば、
図1に示すようにUCAがm=8個のアンテナ素子で構成される場合で、OAMモードn=2の信号を生成する場合は、
図1(3)に示すように、位相が2回転するように、各アンテナ素子に反時計回りに360n/m=90度の位相差(0度,90度,180度,270度,0度,90度,180度,270度)を設定する。
【0015】
なお、OAMモードnの信号に対して位相の回転方向を逆にした信号をOAMモード-nとする。例えば、正のOAMモードの信号の位相の回転方向を反時計回りとし、負のOAMモードの信号の位相の回転方向を時計回りとする。
【0016】
異なる信号系列を異なるOAMモードの信号として生成し、生成した信号を同時に送信することで、空間多重による無線通信を行うことができる。送信側では、各OAMモードで伝送する信号を予め生成・合成し、単一UCAで各OAMモードの合成信号を送信してもよいし、複数のUCAを用いて、OAMモード毎に異なるUCAで各OAMモードの信号を送信してもよい。
【0017】
受信側でOAM多重信号を分離するためには、受信側のUCAの各アンテナ素子の位相を、送信側のアンテナ素子の位相と逆方向になるように設定すればよい。
【0018】
ただし、送信アンテナと受信アンテナとの間の軸ずれ等により、OAMモード間で干渉が生じた場合、チャネル等化処理や逐次干渉除去処理等のデジタル信号処理により、干渉で混ざったOAMモード間の信号を分離することが必要になる。なお、OAMモード間の干渉とは、例えば、送信装置からOAMモード1で送信した信号が、受信側でOAMモード2の信号として出力されるといったことである。
【0019】
図2は、OAM多重信号の位相分布と信号強度分布の例を示す図である。
図2(1),(2)において、送信側から伝搬方向に直交する端面(伝搬直交平面)で見た、OAMモード1とOAMモード2の信号の位相分布を矢印で表す。矢印の始めは0度であり、位相が線形に変化して矢印の終わりは360度である。すなわち、OAMモードnの信号は、伝搬直交平面において、位相がn回転(n×360度)しながら伝搬する。なお、OAMモード-1,-2の信号の位相分布の矢印は逆向きになる。
【0020】
各OAMモードの信号は、OAMモード毎に信号強度分布と信号強度が最大になる位置が異なる。ただし、符号が異なる同じOAMモードの強度分布は同じである。具体的には、OAMモードが高次になるほど、信号強度が最大になる位置が伝搬軸から遠くなる(非特許文献2)。ここで、OAMモードの値が大きい方を高次モードと称する。例えば、OAMモード3の信号は、OAMモード0、OAMモード1、OAMモード2の信号より、高次モードである。
【0021】
図2(3)は、OAMモードごとに信号強度が最大になる位置を円環で示すが、OAMモードが高次になるほど信号強度が最大になる位置が中心軸から遠くなり、かつ伝搬距離に応じてOAMモード多重信号のビーム径が広がり、OAMモードごとに信号強度が最大になる位置を示す円環が大きくなる。
【0022】
以下、本実施の形態におけるシステム構成と動作例について詳細に説明する。
【0023】
(システム構成)
図3は、本発明の実施の形態における通信システムの構成図である。
図3に示すように、本実施の形態における無線通信システムは、送信装置100と受信装置200を有する。
【0024】
送信装置100と受信装置200は、それぞれUCAとバトラー回路を備えている。所望データの送受信において、送信装置100は、1以上のOAMモードの信号を多重して送信し、受信装置200は、送信装置100から送信された1以上のOAMモードが多重された信号を受信し、各OAMモードの信号を分離する。
【0025】
送信装置100および受信装置200は、無線通信を行う無線通信装置である。本実施の形態では、送信装置100は移動しない基地局であり、受信装置200は移動端末であることを想定している。ただし、このような想定は一例である。例えば、送信装置100と受信装置200が両方とも移動しない基地局であってもよいし、送信装置100と受信装置200が両方とも移動端末であってもよい。なお、複数の無線通信装置が双方向に通信するため、各無線通信装置が、後述する送信装置100および受信装置200の機能を併せ持っていても良い。
【0026】
次に、送信信号の電力制御方法について、従来との比較によって説明する。
【0027】
(従来の電力制御方法)
図4は、従来技術に係る電力制御方法について説明するための図である。従来、送信装置100において送信信号の電力がP1dB(1dB圧縮ポイント)以下となるように、回線設計をすることが一般的である。しかし、Sub-THz等の高周波数帯の信号を送信する送信装置100は、P1dB以下の電力では電力が不足し、伝送距離が長くなると受信SNRの確保が難しい。
【0028】
(本実施の形態に係る電力制御方法)
図5は、本発明の実施の形態に係る電力制御方法について説明するための図である。本実施の形態では、P1dBからPsatの領域を活用し、回線設計におけるマージンを確保する。また、送信装置100がP1dBを超える電力の程度、例えば電力の最大値Pthを各種パラメータに基づいて動的に決定する。さらに、受信装置200は、これにより生じた非線形性に対応するために、DBSCAN等のCLUSTERINGを用いた復調処理を行う。これにより、受信装置200における受信SNRが高くなるため、高周波数帯の長距離無線通信における通信品質を向上させることができる。
【0029】
(各装置の構成例)
次に、送信装置100と受信装置200の装置構成例を説明する。
【0030】
(送信装置の構成例)
まず、送信装置100について説明する。
図6は、送信装置の構成例を示す図である。
図6に示すように、送信装置100は、UCA110、OAMモード生成装置120、信号処理装置130、送信制御装置140を有する。
【0031】
信号処理装置130は、入力されたデータから、搬送波に乗せて送信するデジタル信号を生成し、デジタル信号をアナログ信号に変換(デジタル-アナログ変換)し、アナログ信号の周波数を搬送波の周波数帯(例:Sub-THz帯)に変換する。信号処理装置130は、生成したアナログ信号をOAMモード生成装置120(バトラー回路)に入力する。
【0032】
本実施の形態では、送信制御装置140が、各種パラメータに基づいて電力制御方法を決定し、決定した電力制御方法で信号を生成するよう、信号処理装置130に指示する。
【0033】
また、信号処理装置130は、送信制御装置140からOAMモード1とOAMモード2の信号を生成するよう指示を受けると、それらの信号を生成し、OAMモード1の信号(OAMモード1の電波で伝送する信号)を、OAMモード生成装置120(バトラー回路)のOAMモード1に対応する入力ポートに入力し、OAMモード2の信号(OAMモード2の電波で伝送する信号)を、OAMモード生成装置120(バトラー回路)のOAMモード2に対応する入力ポートに入力する。
【0034】
上記のとおり、OAMモード生成装置120は、バトラー回路である。
図7は、送信装置におけるバトラー回路とアンテナ素子との接続構成例を示す図である。
図7に示す例でのUCA110は、8個のアンテナ素子#1~#8が円形状に配置されたアンテナである。
【0035】
また、
図7は、バトラー回路が、N個の入力ポートを有していることを示している。基本的には、出力ポート数が、Nの最大数であり、
図6の例のように、8個の出力ポートを有する場合、Nの最大数は8である。なお、「ポート」を「端子」と呼んでもよい。
【0036】
図7のように、UCAとバトラー回路をそれぞれ1つずつ備えることや、アンテナ素子数が8個であること等は一例である。UCAとバトラー回路はそれぞれ複数であってもよい。UCA110のアンテナ素子数は、8個よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0037】
図7には、一例として、入力ポートAに、OAMモード1で送信しようとする信号が入力され、入力ポートBにOAMモード-1で送信しようとする信号が入力されることを示している。N個の入力ポートのうち、入力ポートAと入力ポートB以外の入力ポートは、OAMモード1と-1以外のOAMモードに対応している。
【0038】
入力ポートAからの入力に対して、各出力ポートから反時計回りに45°(360°/8)ずつの位相差を持った信号が出力され、入力ポートBからの入力に対して、各出力ポートから反時計回りに-45°ずつの位相差を持った信号が出力される。つまり、入力ポートAと入力ポートBの両方に入力がある場合、各出力ポートから異なる位相を持つ2つの信号が合波(多重)された信号が出力される。
【0039】
具体的には、UCA110において、便宜上、アンテナ素子#1を基準(位相0°)とすると、UCA110の各アンテナ素子からは、下記の位相を持った2つの信号が合波された信号が出力される。
【0040】
アンテナ素子#1=(0°,0°)、アンテナ素子#2=(45°,-45°)、アンテナ素子#3=(90°,-90°)、アンテナ素子#4=(135°,-135°)、アンテナ素子#5=(180°,-180°)、アンテナ素子#6=(225°,-225°)、アンテナ素子#7=(270°,-270°)、アンテナ素子#8=(315°,-315°)。
【0041】
図7の例では、OAMモード生成装置120(バトラー回路)の出力ポートJが、UCA110のアンテナ素子#1に接続され、出力ポートIが、UCA110のアンテナ素子#2に接続され、出力ポートHが、UCA110のアンテナ素子#3に接続され、出力ポートGが、UCA110のアンテナ素子#4に接続され、出力ポートFが、UCA110のアンテナ素子#5に接続され、出力ポートEが、UCA110のアンテナ素子#6に接続され、出力ポートDが、UCA110のアンテナ素子#7に接続され、出力ポートCが、UCA110のアンテナ素子#8に接続される。なお、図示の便宜上、
図7では、出力ポートJのみの接続を示している。各出力ポートから出力された信号は、接続されるアンテナ素子に供給され、アンテナ素子から電波として出力される。
【0042】
(送信制御装置の機能構成例)
図8は、送信制御装置の機能構成例を示す図である。送信制御装置140は、通信特性情報取得部141と、電力制御方法決定部142と、信号処理制御部143と、OAMモード生成制御部144と、を備える。
【0043】
通信特性情報取得部141は、受信装置200または他の装置等からの受信によって、通信特性情報を取得する。通信特性情報は、送信装置100と受信装置200との間の通信の特性を示す情報であって、例えば、(1)送受信距離、(2)所望の多値変調数、(3)信号のピーク対平均電力比(PAPR;Peak-to-Average Power Ratio)、(4)UCA110等の通信デバイスにおけるP1dBからPsatまでの領域の特性、(5)受信信号のSNR(Signal-Noise Ratio)、(6)受信信号のエラーベクトル振幅(EVM;Error Vector Magnitude)などである。
【0044】
これらのうち、例えば、(1)送受信距離、(2)所望の多値変調数、(3)信号のピーク対平均電力比(PAPR;Peak-to-Average Power Ratio)、(4)UCA110等の通信デバイスにおけるP1dBからPsatまでの領域の特性などのように、設定値や送信装置100の特性等については、送信制御装置140があらかじめ記憶していても良い。また、(5)受信信号のSNR(Signal-Noise Ratio)、(6)受信信号のエラーベクトル振幅(EVM;Error Vector Magnitude)などのように、受信装置200に関連する情報については、受信装置200から受信しても良い。
【0045】
なお、送信制御装置140は、(1)送受信距離については、既知の前提でも良いし、図示しない測定器等から測定結果を示す情報を受信しても良い。
【0046】
電力制御方法決定部142は、通信特性情報に基づいて送信信号の電力制御方法を決定する。具体的な電力制御方法について、以下、例1から例3までについて説明する。
【0047】
<例1>
送信制御装置140は、受信信号のSNRと多値変調数の関連を示す関連情報を、あらかじめ記憶する。そして、電力制御方法決定部142は、(1)送受信距離に基づいて、伝搬減衰やチャネル損失などを計算し、送信電力をP1dB以下にしても(5)受信信号のSNRが(2)所望の多値変調数を達成できる値となるか否かを、上述した関連情報に基づいて判定する。
【0048】
続いて、電力制御方法決定部142は、所望の多値変調数を達成できる値となると判定すると、送信信号の電力がP1dB(第一の閾値)以下となるように制御し、所望の多値変調数を達成できる値とならないと判定すると、送信信号の電力が閾値Pth以下となるように制御する。閾値(Pth)は、P1dB(第一の閾値)以上Psat(第二の閾値)以下の値としてあらかじめ設定される閾値(第三の閾値)である。
【0049】
また、電力制御方法決定部142は、後述する受信装置200によるDBSCAN等のクラスタリング等により、受信信号の非線形性にどの程度対応できるかを示す情報をあらかじめ記憶するか、または受信装置200からフィードバックして蓄積しておき、当該情報に基づいて閾値Pthを決定しても良い。
【0050】
<例2>
送信制御装置140は、送信信号の電力をP1dB以下に制御する場合(従来法)とP1dB以上に制御する場合(本実施の形態)の性能改善の可能性を示す情報を、あらかじめ記憶する。電力制御方法決定部142は、当該情報に基づいて電力制御方法を決定する。
【0051】
例えば、電力制御方法決定部142は、当該情報に基づいて、(5)受信信号のSNRが、P1dBより2dB電力を上げると、(2)所望の多値変調数の伝送に足りる値となるか否かを判定する。(2)所望の多値変調数とは、例えば、四相位相偏移変調方式(QPSK;Quadrature Phase Shift Keying)による16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)である。
【0052】
電力制御方法決定部142は、判定の結果に応じて、従来のように送信信号の電力がP1dB(第一の閾値)以下となるように制御するか、送信信号の電力が閾値Pth(第三の閾値)以下となるように制御するかを決定する。
【0053】
また、例1と同様に、電力制御方法決定部142は、後述する受信装置200によるDBSCAN等のクラスタリング等により、受信信号の非線形性にどの程度対応できるかを示す情報をあらかじめ記憶するか、または受信装置200からフィードバックして蓄積しておき、当該情報に基づいて、閾値Pthを決定しても良い。
【0054】
<例3>
電力制御方法決定部142は、(4)UCA110等の通信デバイスにおけるP1dBからPsatまでの領域の特性に基づいて、電力制御方法を決定しても良い。なお、この特性を示す情報の取得方法は、上述した方法に限られず、他の方法で取得してもよい。例えば、電力制御方法決定部142は、P1dB(第一の閾値)とPsat(第二の閾値)との差分に基づいて、電力制御方法を決定する。
【0055】
具体的には、P1dB(第一の閾値)とPsat(第二の閾値)との差分が10dBである場合について説明する。電力制御方法決定部142は、Pth以下の電力制御を行う場合に、P1dBより1dB以上大きい通信の割合が90%となるように制御し、2dB以上大きい通信の割合が80%の割合となるように制御する。このように、電力制御方法決定部142は、段階的な閾値に基づいて電力の大きい通信の割合が徐々に少なくなる制御方法を決定する。これによって、UCA110等の通信デバイスを過大な電力から保護することが可能となる。
【0056】
信号処理制御部143は、決定された電力制御方法を用いて、アナログの送信信号を生成するように信号処理装置130を制御する。
【0057】
OAMモード生成制御部144は、生成された送信信号に基づいて、各OAMモードの信号を生成するように信号処理装置130およびOAMモード生成装置120を制御する。
【0058】
(送信制御装置の動作)
次に、送信制御装置140の動作について説明する。送信制御装置140は、ユーザの操作等を受けて、送信制御処理を実行する。
【0059】
図9は、送信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。通信特性情報取得部141は、通信特性情報を取得する(ステップS11)。次に、電力制御方法決定部142は、通信特性情報に基づいて、上述の例1から例3のいずれかの方法、またはそれを組み合わせた方法を用いて、送信信号の電力制御方法を決定する(ステップS12)。
【0060】
続いて、信号処理制御部143は、送信信号の生成を制御する(ステップS13)。そして、OAMモード生成制御部144は、各OAMモードの信号の生成を制御する(ステップS14)。
【0061】
(受信装置の構成例)
次に、受信装置200について説明する。
図10は、受信装置の構成例を示す図である。
図10に示すように、受信装置200は、UCA210、OAMモード分離装置220、信号処理装置230、受信制御装置240を有する。
【0062】
OAMモード分離装置220は、バトラー回路を有する。また、OAMモード分離装置220は、バトラー回路の各出力ポートから出力されるSNR、エラーベクトル振幅等を測定する測定部221を含む。
【0063】
図11は、受信装置におけるバトラー回路とアンテナ素子との接続構成例を示す図である。
図11に示す例でのUCA210は、8個のアンテナ素子#1~#8が円形状に配置されたアンテナである。
【0064】
また、
図11に示すバトラー回路は、送信装置100におけるバトラー回路の入力と出力を逆にしたものに相当する。
【0065】
図11に示すように、当該バトラー回路はN個の出力ポートを有している。
図10のように、UCAとバトラー回路をそれぞれ1つずつ備えることや、アンテナ素子数が8個であること等は一例である。UCAとバトラー回路はそれぞれ複数であってもよい。UCA210のアンテナ素子数は、8個よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0066】
図11は、一例として、出力ポートAからOAMモード1の信号が出力され、出力ポートBからOAMモード-1の信号が出力されることを示している。N個の出力ポートのうち、出力ポートAと出力ポートB以外の出力ポートは、OAMモード1と-1以外のOAMモードに対応している。
【0067】
UCA210の各アンテナ素子とOAMモード分離装置220(バトラー回路)の各入力ポートは図示のように接続される(図示の便宜上、#7のみ接続線を描いている)。バトラー回路内では、送信側のバトラー回路とは逆の位相変換等が行われることで、各出力ポートから、その出力ポートに対応したOAMモードの信号が出力される。
【0068】
図10に示す信号処理装置230は、OAMモード分離装置220(バトラー回路)から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換(アナログ-デジタル変換)し、復調を行って、データ(ビット列)を生成し、出力する。また、信号処理装置230はデジタル信号処理による信号分離処理を行う。なお、信号分離の必要はない場合には、信号分離処理を行わなくてもよい。
【0069】
受信制御装置240は、OAMモード分離装置220(バトラー回路)の対応する出力ポートから受信するよう信号処理装置230に指示する。信号処理装置230は、当該出力ポートから受信する信号を用いて、復調処理等を行う。
【0070】
(受信制御装置の機能構成例)
図12は、受信制御装置の機能構成例を示す図である。受信制御装置240は、OAMモード分離制御部241と、信号処理制御部242と、測定情報取得部243と、測定情報送信部244と、を備える。
【0071】
OAMモード分離制御部241は、OAMモード分離装置220に、受信信号の各OAMモードへの分離を指示する。
【0072】
信号処理制御部242は、信号処理装置230に、分離された各OAMモードの信号の復調を指示する。具体的には、信号処理制御部242は、DBSCANまたは「k-means clustering」等の手法によるクラスタリング等によって、非線形性を有する信号の復調を制御する。これによって、P1dbを超える電力の信号の出力レベルに非線形性が生じても、復調処理の精度の低下を回避することができる。
【0073】
つまり、従来の復調手法は、あらかじめ決められた判定点に基づき判定を行うため、非線形効果により、復調信号のかたまりの区分はできるものの、あらかじめ決められた判定点からずれている場合は、通信ができていない、つまり、送受信エラーとして判定する。一方、クラスタリングは、そのかたまりごとに判定をするため、このような場合でもエラーなく復調ができるようになる。
【0074】
図13は、非線形な信号の従来の復調手法について説明するための図である。例えば、
図13の丸印902の部分は、判定のための範囲を示す点線901からはみ出しているため、従来法ではエラーとなるが、クラスタリング等によればエラーなく復調処理ができるようになる。
【0075】
言い換えると、クラスタリングは、データ解析手法の一つで、多数のデータ群を似た特徴を持つ集団に分類することである。これによって、例えば16QAMの場合、16のデータ群に分類することによって、規定の範囲外の出力レベルの信号の復調が可能となる。
【0076】
測定情報取得部243は、測定部221によって測定されたSNR、エラーベクトル振幅等を示す測定情報を取得する。測定情報送信部244は、取得した測定情報を送信装置100に送信する。送信された測定情報は、通信特性情報の一部または全部として機能する。
【0077】
(受信制御装置の動作)
次に、受信制御装置240の動作について説明する。受信制御装置240は、送信装置100からの信号の受信に応じて、受信制御処理を実行する。
【0078】
図14は、受信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。OAMモード分離制御部241は、受信信号の各OAMモードへの分離を制御する(ステップS21)。次に、信号処理制御部242は、各OAMモードの信号の復調を制御する(ステップS22)。続いて、測定情報取得部243は、測定情報を取得する(ステップS23)。そして、測定情報送信部244は、測定情報を送信装置100に送信する(ステップS24)。
【0079】
次に、受信制御処理のステップS22における復調方法について、従来と比較しながら説明する。
【0080】
図15は、従来技術に係る受信信号の復調方法について説明するための図である。従来の復調方法は、例えば16QAMの場合、点線901に示すように、同相搬送波(in-phase)の振幅と、直角位相搬送波(quadrature)の振幅とを、それぞれ4つの範囲に分割し、それぞれの範囲ごとに復調する方法である。
【0081】
図16は、本発明の実施の形態に係る受信信号の復調方法について説明するための図である。本実施の形態では、P1dbを超える電力の信号に非線形性が生じると、点線901に示すような規定の振幅の範囲に収まらない可能性がある。そこで、信号処理制御部242は、クラスタリングによって規定の変調数のデータ群に分類することによって、非線形性を有する可能性のある信号の復調を実現する。
【0082】
本実施の形態に係る送信装置100によれば、通信特性情報に基づいて、P1dB以上の電力による信号を送信するか否かを決定する。これによって、回線設計におけるマージンを確保する。また、送信装置100がP1dBを超える電力の程度、例えば電力の最大値Pthを各種パラメータに基づいて動的に決定する。また、受信装置200は、これにより生じた非線形性に対応するために、DBSCANまたは「k-means clustering」等の手法によるクラスタリングを用いた復調処理を行う。以上により、高周波数帯の長距離無線通信における通信品質を向上させることができる。
【0083】
本実施例に係る送信制御装置140および受信制御装置240は、例えば、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。なお、この「コンピュータ」は、物理マシンであってもよいし、クラウド上の仮想マシンであってもよい。仮想マシンを使用する場合、ここで説明する「ハードウェア」は仮想的なハードウェアである。
【0084】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0085】
図17は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図17のコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているプロセッサ1001、メモリ1002、通信装置1003等を有する。
【0086】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、メモリ1002に格納されている。プロセッサ1001は、メモリ1002に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。通信装置1003は、他の装置との情報の送受信を行う。
【0087】
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも下記の各項に記載した送信制御装置、無線通信システム、送信制御方法およびプログラムが記載されている。
(第1項)
通信の特性を示す通信特性情報を取得する通信特性情報取得部と、
前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定部と、
決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成する信号処理制御部と、を備える、
送信制御装置。
(第2項)
前記通信特性情報は、送受信距離、所望の多値変調数、信号のピーク対平均電力比、通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性、受信信号のSNR、受信信号のエラーベクトル振幅のいずれかを含む、
第1項に記載の送信制御装置。
(第3項)
前記電力制御方法決定部は、前記送受信距離に基づく計算によって、送信電力を前記第一の閾値以下にしても前記SNRが前記所望の多値変調数を達成できる値となるか否かを、前記受信信号のSNRと多値変調数の関連を示す関連情報に基づいて判定し、前記所望の多値変調数を達成できる値となると判定すると、送信信号の電力が前記第一の閾値以下となるように制御し、前記所望の多値変調数を達成できる値とならないと判定すると、送信信号の電力が前記第三の閾値以下となるように制御する、
第2項に記載の送信制御装置。
(第4項)
前記電力制御方法決定部は、前記通信デバイスにおける前記第一の閾値から前記第二の閾値までの領域の特性に基づいて、電力制御方法を決定する、
第2項に記載の送信制御装置。
(第5項)
前記電力制御方法決定部は、段階的な閾値に基づいて電力の大きい通信の割合が徐々に少なくなる制御方法を決定する、
第4項に記載の送信制御装置。
(第6項)
送信制御装置と受信制御装置とを備える無線通信システムであって、
前記送信制御装置は、
通信の特性を示す通信特性情報を取得する通信特性情報取得部と、
前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定する電力制御方法決定部と、
決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成する信号処理制御部と、を備え、
前記受信制御装置は、
クラスタリングによって規定の変調数のデータ群に分類することによって、受信信号を復調する信号処理制御部を備える、
無線通信システム。
(第7項)
コンピュータが実行する送信制御方法であって、
通信の特性を示す通信特性情報を取得するステップと、
前記通信特性情報に基づいて、あらかじめ規定された第一の閾値および第二の閾値の間の閾値である第三の閾値までの電力による送信信号の電力制御方法を決定するステップと、
決定された前記電力制御方法を用いて、送信信号を生成するステップと、を備える、
送信制御方法。
(第8項)
コンピュータを第1項から第5項のいずれか1項に記載の送信制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
【0088】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 送信装置
110 UCA
120 OAMモード生成装置
130 信号処理装置
140 送信制御装置
141 通信特性情報取得部
142 電力制御方法決定部
143 信号処理制御部
144 OAMモード生成制御部
200 受信装置
210 UCA
220 OAMモード分離装置
221 測定部
230 信号処理装置
240 受信制御装置
241 OAMモード分離制御部
242 信号処理制御部
243 測定情報取得部
244 測定情報送信部
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 通信装置