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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175387
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093142
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】中沢 祐哉
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB30
2C056EC07
2C056EC33
2C056FB02
2C056FB03
2C056FB04
2C056FB05
2C056HA07
2C056HA08
2C056HA09
2C056HA10
2C056HA11
2C056HA12
(57)【要約】
【課題】ヘッド取付部材が傾いて昇降機構に衝突することによる部品の損傷及び変形を防止する。
【解決手段】液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッド22と、液体吐出ヘッド22が取り付けられるヘッド取付部材21と、ヘッド取付部材21を昇降させる昇降機構40と、昇降機構40と対向するヘッド取付部材21の側面に設けられ、ヘッド取付部材21が傾いた際に昇降機構40に突き当たる突き当て部材36とを備え、突き当て部材36が昇降機構40に突き当たることにより、昇降機構40の昇降動作が停止される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドが取り付けられるヘッド取付部材と、
前記ヘッド取付部材を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構と対向する前記ヘッド取付部材の側面に設けられ、前記ヘッド取付部材が傾いた際に前記昇降機構に突き当たる突き当て部材とを備え、
前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たることにより、前記昇降機構の昇降動作が停止されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記突き当て部材は、前記ヘッド取付部材よりも前記昇降機構が配置される側へ突出する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記突き当て部材は、前記ヘッド取付部材の前記側壁の少なくとも上下範囲全体に渡って設けられる請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記突き当て部材は、上下方向に伸びる直線状に形成される請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ヘッド取付部材から突出する前記突き当て部材の突出量は、前記ヘッド取付部材が傾いて前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たった場合に、前記ヘッド取付部材を保持する保持部の変形が許容範囲内となるように設定される請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ヘッド取付部材の中心が、前記ヘッド取付部材の傾き時の回転中心とは異なる位置にある請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記ヘッド取付部材の中心が、前記ヘッド取付部材の傾き時の回転中心と同じ位置にある請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記昇降機構は、前記ヘッド取付部材を昇降させる駆動力を付与するステッピングモータを有し、
前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たることにより、前記ステッピングモータが脱調して駆動が停止される請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドが取り付けられるヘッド取付部材と、
前記ヘッド取付部材を昇降させる昇降機構と、
前記ヘッド取付部材が傾いた際に弾性変形する弾性部材とを備え、
前記弾性部材が弾性変形することにより、前記昇降機構の昇降動作が停止されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
前記昇降機構は、前記ヘッド取付部材を昇降させる駆動力を付与するステッピングモータを有し、
前記弾性部材が弾性変形することにより、前記ステッピングモータが脱調して駆動が停止される請求項9に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の一例として、シートに液体を吐出して画像を形成するインクジェット式の画像形成装置が知られている。
【0003】
斯かる画像形成装置においては、シートに対して液体を吐出する液体吐出ヘッドの位置を調整したり、メンテナンス時に液体吐出ヘッドをメンテナンス位置などへ移動させたりする昇降機構が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2021-45853号公報)においては、複数の液体吐出ヘッド(プリントヘッド)などが取り付けられるヘッド取付部材(プリントバー)を昇降させる昇降機構として、ヘッド取付部材(プリントバー)の両側に配置される一対のボールねじと、各ボールねじを駆動させる一対の昇降モータを備える構成が開示されている。この場合、一対の昇降モータの駆動及び停止を同じタイミングで行うことにより、ヘッド取付部材(プリントバー)を水平に保ちながら昇降させることができる。
【0005】
しかしながら、一方の昇降モータ又はボールねじにおいて動作不良が生じた場合は、ヘッド取付部材を水平に保つことができず、ヘッド取付部材に傾きが生じる。その結果、ヘッド取付部材が昇降機構に衝突すると、ヘッド取付部材に取り付けられている部品が損傷又は変形する虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明においては、ヘッド取付部材が傾いて昇降機構に衝突することによる部品の損傷及び変形を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドが取り付けられるヘッド取付部材と、前記ヘッド取付部材を昇降させる昇降機構と、前記昇降機構と対向する前記ヘッド取付部材の側面に設けられ、前記ヘッド取付部材が傾いた際に前記昇降機構に突き当たる突き当て部材とを備え、前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たることにより、前記昇降機構の昇降動作が停止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヘッド取付部材が傾いて昇降機構に衝突することによる部品の損傷及び変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る液体吐出ユニットの構成を示す図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るヘッドモジュール及び昇降機構の正面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るヘッドモジュール及び昇降機構の平面図である。
図6】画像形成時におけるヘッドモジュールの昇降動作を説明するための図である。
図7】メンテナンス時におけるヘッドモジュールの昇降動作を説明するための図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る特徴部分の構成を示すヘッドモジュール及び昇降機構の正面図である。
図9】本発明の第一実施形態に係る特徴部分の構成を示すヘッドモジュール及び昇降機構の平面図である。
図10】本発明の第一実施形態において、ヘッド取付部材に傾きが生じた場合の態様を示す図である。
図11】本発明の第一実施形態において、ヘッド取付部材が昇降機構よりも上方に位置するときに、ヘッド取付部材に傾きが生じた場合の態様を示す図である。
図12】ヘッド取付部材の中心が回転中心とは異なる位置にある場合の衝突箇所を説明するための図である。
図13】突き当て部材をヘッド取付部材の上端部及びその近傍のみに設けた例を示す図である。
図14】ヘッド取付部材の中心が回転中心と同じ位置にある場合の衝突箇所を説明するための図である。
図15】突き当て部材をヘッド取付部材の上端部と下端部及びこれらの近傍のみに設けた例を示す図である。
図16】ヘッド取付部材の中心と回転中心との間の距離とヘッド取付部材の傾斜角度との関係を説明するための図である。
図17】突き当て部材の突出量とヘッド取付部材の傾斜角度との関係を説明するための図である。
図18】突き当て部材、ヘッド基板及びヘッド基板冷却手段の位置関係を示す正面図である。
図19】突き当て部材、ヘッド基板及びヘッド基板冷却手段の位置関係を示す平面図である。
図20】本発明の第二実施形態に係るヘッドモジュール及び昇降機構の正面図である。
図21】本発明の第二実施形態において、ヘッド取付部材に傾きが生じた場合の態様示す図である。
図22】比較例に係るヘッドモジュール及び昇降機構の正面図である。
図23】比較例おいて、ヘッド取付部材に傾きが生じた場合の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付し、一度説明した後ではその説明を省略する。
【0011】
<液体吐出装置の構成>
まず、図1に基づき、本発明の第一実施形態に係る液体吐出装置の構成について説明する。
【0012】
図1の液体吐出装置100は、シートSに液体を吐出して画像を形成するインクジェット式画像形成装置である。液体吐出装置100は、シート供給部1と、前処理部2と、画像形成部3と、乾燥部4と、反転機構部5と、シート排出部6とを備えている。
【0013】
シート供給部1は、画像が形成される記録媒体としてのシートSを供給する部分である。シート供給部1は、複数のシートSを収容可能な供給トレイ11と、供給トレイ11からシートSを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12とを備えている。給送装置12によって送り出されたシートSは、前処理部2へ供給される。
【0014】
前処理部2は、シート供給部1から供給されたシートSに処理液を塗布する部分である。前処理部2は、処理液を塗布する処理液塗布装置13を備えている。処理液は、例えば、インクを凝集させる機能を有する液などであり、インクのにじみ防止や浸透補助などの画質向上を目的として、処理液塗布装置13によって画像形成前のシートSに塗布される。処理液が塗布されたシートSは、画像形成部3へ搬送される。
【0015】
画像形成部3は、シートSに対して画像を形成する部分である。画像形成部3は、液体吐出部15と、第一担持回転体14と、第二担持回転体16と、第三担持回転体17と、第一搬送ベルト18とを備えている。第一担持回転体14、第二担持回転体16及び第三担持回転体17は、シートSを外周面に担持して回転することにより、シートSを搬送する回転体である。前処理部2から搬送されたシートSは、第一担持回転体14上に担持され、第二担持回転体16へ渡される。また、第二担持回転体16へ渡されたシートSは、第二担持回転体16から第三担持回転体17へ渡される。さらに、シートSは、第三担持回転体17から第一搬送ベルト18へ渡される。液体吐出部15は、第二担持回転体16上に担持されるシートSに対して液体のインクを吐出する複数の液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15Kを有している。本実施形態においては、第二担持回転体16の回転方向(シートSの搬送方向)の上流側から順に、シアンインク用の液体吐出ユニット15C、マゼンタインク用の液体吐出ユニット15M、イエローインク用の液体吐出ユニット15Y、ブラックインク用の液体吐出ユニット15Kが配置されている。なお、各液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15Kの配置は、図1に示される順に限定されるものではなく、任意の順番でもよい。また、必要に応じて、白色、金色、銀色などの特色のインクを吐出する液体吐出ユニットを追加してもよい。シートSが各液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15Kとの対向位置に搬送されると、各液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15KからシートSへインクが吐出され、画像が形成される。
【0016】
乾燥部4は、加熱手段31と第二搬送ベルト32とを有する加熱装置30を備えている。加熱手段31は、シートS上のインクを乾燥させるためにシートSを加熱する手段である。加熱手段31は、シートSに対して非接触に配置される温風発生装置、高周波誘導加熱装置などの非接触式の加熱手段のほか、シートSに対して接触するように配置される加熱ローラ又は加熱ドラムなど接触式の加熱手段であってもよい。第二搬送ベルト32は、加熱手段31の下方に対向するように配置される。第一搬送ベルト18から第二搬送ベルト32へシートSが受け渡されると、第二搬送ベルト32によってシートSが搬送される。そして、シートSが加熱手段31と対向する位置に搬送されると、加熱手段31によってシートSが加熱され、シートS上のインクの乾燥が促進される。
【0017】
反転機構部5は、両面印刷を行う場合にシートSを表裏反転させて再び画像形成部3へ搬送する機構である。具体的に、反転機構部5は、スイッチバック搬送部24と、戻し搬送部25とを有している。シートSの両面に画像を形成する場合は、画像形成部3においてシートSの表側の面に画像が形成された後、シートSが乾燥部4を通過して反転機構部5へ搬送される。そして、スイッチバック搬送部24によってシートSが前後逆向きに搬送された後、シートSは、戻し搬送部25を通って第一担持回転体14の上流側へ搬送される。これにより、シートSは、表裏反転された状態で画像形成部3へ供給される。そして、画像形成部3において、シートSの裏側の面に画像が形成された後、シートSは、乾燥部4による乾燥処理を経て、反転機構部5からシート排出部6へ搬送される。
【0018】
シート排出部6は、画像形成後のシートSが排出される部分である。シート排出部6は、シートSを載置する排出トレイ26を備えている。シート排出部6においてシートSが排出されると、シートSは排出トレイ26上へ順次積み重ねられて載置される。
【0019】
<液体吐出ユニットの構成>
図2に、本発明の第一実施形態に係る液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15Kの構成を示す。
【0020】
図2に示されるように、各液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15Kは、例えば、フルライン型ヘッドを含むヘッドモジュール20を有している。ヘッドモジュール20は、直方体形状のヘッド取付部材21と、ヘッド取付部材21の下面に互い違いに設けられる複数の液体吐出ヘッド22を有している。複数の液体吐出ヘッド22は、シート搬送方向Cとは交差するシート幅方向(図2における横方向)へ配列された複数のノズル23から成るノズル列を複数有している。画像情報に基づく駆動信号によって各液体吐出ユニット15C,15M,15Y,15Kの吐出駆動が制御されると、ノズル23からシートSへインクが吐出され、シートS上に画像情報に応じた画像が形成される。
【0021】
<制御部の構成>
図3は、本発明の第一実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【0022】
図3に示されるように、液体吐出装置100は、画像形成動作などの各種動作を制御する制御部200を備えている。具体的に、制御部200は、主制御部201と、画像入力部202と、滴付着量算出部203と、速度設定部204と、坪量設定部205と、液体吐出制御部207と、搬送制御部208と、乾燥制御部209とを備えている。
【0023】
主制御部201は、液体吐出装置100全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びその他の固定データを格納するROM(Read Only Memory)と、画像情報を一時格納するRAM(Random Access Memory)と、液体吐出装置100の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能なNVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)などにより構成される。
【0024】
主制御部201は、速度設定部204によってシートの速度が設定されると、設定された速度の情報に基づき搬送制御部208へ制御信号を送信する。搬送制御部208は、主制御部201からの制御信号を得て、搬送部400の搬送動作を制御する。これにより、シートが設定された速度で搬送される。
【0025】
また、主制御部201は、画像入力部202に印刷画像の情報が入力されると、入力された画像情報に基づき液体吐出制御部207へ制御信号を送信する。液体吐出制御部207は、主制御部201からの制御信号を得て、液体吐出部15の吐出動作を制御する。これにより、液体吐出部15から液体が吐出され、画像情報に応じた画像がシートに形成される。
【0026】
また、画像入力部202に入力された画像情報は、主制御部201のほか、滴付着量算出部203にも送られる。滴付着量算出部203は、画像入力部202からの画像情報に基づき、画像形成に必要な液体の滴付着量を算出する。主制御部201は、滴付着量算出部203から得られた滴付着量と、坪量設定部205から得られたシートの坪量に加え、温度検知手段29から得られる加熱手段31の温度情報に基づき、乾燥制御部209へ制御信号を送信する。乾燥制御部209は、主制御部201からの制御信号を得て、加熱手段31の加熱温度を制御する。これにより、加熱手段31が適切な加熱温度に制御され、シートの乾燥処理が良好に行われる。
【0027】
<昇降機構の構成>
続いて、図4及び図5を参照しつつ、本発明の第一実施形態に係るヘッドモジュール20の昇降機構の構成及について説明する。図4は、本発明の第一実施形態に係るヘッドモジュール20及び昇降機構40の正面図、図5は、本発明の第一実施形態に係るヘッドモジュール20及び昇降機構40の平面図である。
【0028】
図4及び図5に示されるように、ヘッドモジュール20の両側には、ヘッド取付部材21を昇降させる一対の昇降機構40が配置されている。一対の昇降機構40は、それぞれ、ボールねじ41と、電動モータ42とを有している。ボールねじ41は、電動モータ42の回転運動を上下方向の直線運動に変換してヘッド取付部材21を昇降させる運動変換機構である。電動モータ42が駆動すると、ボールねじ41のねじ軸が回転することにより、ねじ軸に取り付けられるナットがねじ軸に沿って直線移動する。ナットは、ヘッド取付部材21を保持する保持部43を介してヘッド取付部材21と連結されているため、それぞれの昇降機構40のナットがねじ軸に沿って直線移動すると、ナットと一緒にヘッド取付部材21が移動することにより、ヘッド取付部材21が水平に保持されたまま上昇又は下降する。なお、ヘッド取付部材21を昇降させる手段として、ボールねじに代えて、すべりねじ、あるいはその他の直動アクチュエータを用いてもよい。
【0029】
図6は、画像形成時におけるヘッドモジュール20の昇降動作を説明するための図である。
【0030】
画像形成が行われる場合は、各昇降機構40を駆動させて、図6に示されるように、ヘッド取付部材21を、第二担持回転体16の上方に退避した退避位置から、第二担持回転体16に対して接近する画像形成位置へ移動させる。これにより、液体吐出ヘッド22が第二担持回転体16によって搬送されるシートSに対して最適な位置(距離)に配置され、液体吐出ヘッド22からシートSに液体を吐出して画像形成可能な状態となる。
【0031】
図7は、メンテナンス時におけるヘッドモジュール20の昇降動作を説明するための図である。
【0032】
メンテナンス動作が行われる場合、図7に示されるように、メンテナンスユニット50が水平方向へ移動してヘッドモジュール20の下方に配置される。このとき、液体吐出ヘッド22に対するメンテナンスユニット50の衝突を回避するため、ヘッド取付部材21はメンテナンスユニット50の移動に合わせて一旦上昇して退避する。そして、メンテナンスユニット50がヘッドモジュール20の下方に配置されると、ヘッド取付部材21が降下する。これにより、ヘッドモジュール20がメンテナンス位置へ配置され、メンテナンスユニット50によって液体吐出ヘッド22を保湿したりクリーニングしたりするメンテナンス動作を行えるようになる。また、メンテナンス動作が行われた後、再び画像形成を行うためにヘッドモジュール20を画像形成位置へ移動させる場合は、メンテナンスユニット50が水平方向へ移動してヘッドモジュール20と第二担持回転体16との間から退避する。
【0033】
<昇降機構における課題>
ここで、本発明とは別の比較例に係るヘッドモジュールを例に、昇降機構における課題について説明する。
【0034】
図22は、比較例に係るヘッドモジュール及び昇降機構の正面図である。
【0035】
図22に示されるように、比較例に係るヘッドモジュール80は、本発明の第一実施形態に係るヘッドモジュール20と同じように、下面に複数の液体吐出ヘッド82が取り付けられたヘッド取付部材81を有している。また、ヘッドモジュール80の両側には、ヘッド取付部材81を昇降させる一対の昇降機構90が設けられている。比較例に係る昇降機構90は、本発明の第一実施形態に係る昇降機構40と同じように、ボールねじ91と、電動モータ92とを有している。従って、比較例においても、一対の昇降機構90の電動モータ92を同じタイミングで駆動又は停止させることにより、ヘッド取付部材81を水平に保ちながら昇降させることができる。
【0036】
しかしながら、図23に示されるように、右側の昇降機構90において動作不良が生じた場合は、ヘッド取付部材81の右端の移動が左端の昇降動作に追従できなくなるため、ヘッド取付部材81に傾きが生じる。その結果、ヘッド取付部材81が昇降機構90に衝突すると、ヘッド取付部材81に搭載されるヘッド基板、ヘッド基板冷却手段などの部品が損傷又は変形する虞がある。また、ヘッド取付部材81の衝突後も昇降機構90の駆動が継続されてヘッド取付部材81が降下すると、液体吐出ヘッド82がシートを担持する回転体又はメンテナンスユニットに衝突して部品が損傷したり変形したりする虞がある。また、ヘッド取付部材81の衝突後も昇降機構90の駆動が継続されると、ヘッド取付部材81の傾きが増すため、ヘッド取付部材81を保持する部品などが破損する虞もある。
【0037】
そこで、本発明の第一実施形態においては、ヘッド取付部材が傾いて昇降機構に衝突することによる部品の損傷及び変形を防止するため、次のような対策を講じている。以下、本発明の第一実施形態に係る特徴部分の構成について説明する。
【0038】
<特徴部分の構成>
図8は、本発明の第一実施形態に係る特徴部分の構成を示すヘッドモジュール20及び昇降機構40の正面図、図9は、本発明の第一実施形態に係る特徴部分の構成を示すヘッドモジュール20及び昇降機構40の平面図である。
【0039】
図8及び図9に示されるように、本発明の第一実施形態においては、昇降機構40と対向するヘッド取付部材21の両側面21aに、突き当て部材36が設けられている。突き当て部材36は、上下方向に連続して直線状に伸びるように形成され、ヘッド取付部材21の各側壁21aの上下範囲全体に渡って設けられている。また、各突き当て部材36は、ヘッド取付部材21の両側面21aから各昇降機構40が配置される側へ向かって突出するように配置される。ただし、各突き当て部材36は、ヘッド取付部材21が水平に保持される状態において、各昇降機構40に対して接触しないように間隔をあけて配置されている。
【0040】
このように、本発明の第一実施形態においては、ヘッド取付部材21の両側面21aに突き当て部材36が設けられているため、ヘッド取付部材21に傾きが生じた場合は、突き当て部材36が昇降機構40に対して突き当たる。例えば、図10に示されるように、右側の昇降機構40の動作不良により、ヘッド取付部材21の左側のみが降下してヘッド取付部材21が傾斜した場合は、左側の突き当て部材36が昇降機構40に対して突き当たる。これにより、昇降機構40に対するヘッド取付部材21の衝突が回避されるため、衝突による部品の損傷及び変形が防止される。
【0041】
また、突き当て部材36が昇降機構40に突き当てられると、昇降機構40の駆動が停止される。具体的に、本発明の第一実施形態においては、電動モータ42として、パルス信号に同期して回転駆動するステッピングモータを用いているため、突き当て部材36が昇降機構40に突き当てられると、突き当ての負荷によってパルス信号とモータ回転との同期が失われてステッピングモータが脱調し、駆動が停止される。これにより、ヘッド取付部材21の降下が継続されなくなるため、液体吐出ヘッド22が第二担持回転体16又はメンテナンスユニット50に衝突するのを回避できる。
【0042】
以上のように、本発明の第一実施形態によれば、ヘッド取付部材21に傾きが生じたとしても、突き当て部材36が昇降機構40に突き当てられることにより、昇降動作を停止させることができるため、ヘッド取付部材21が昇降機構40に直接衝突したり、液体吐出ヘッド22が第二担持回転体16に衝突したりすることによる部品の損傷又は変形を防止できる。また、ヘッド取付部材21を保持する保持部43の変形及び破損も防止できる。このため、装置の信頼性が向上する。
【0043】
また、本発明の第一実施形態においては、突き当て部材36がヘッド取付部材21の側壁21aの上下範囲全体に渡って設けられているため、図11に示されるように、ヘッド取付部材21が昇降機構40よりも上方に位置するときに、ヘッド取付部材21に傾きが生じた場合でも、突き当て部材36を昇降機構40に突き当てることができる。このため、ヘッド取付部材21を広い範囲に渡って保護できる。
【0044】
また、突き当て部材36は、側壁21aの上下範囲全体に渡って設けられる場合に限らず、側壁21aの上下範囲の一部に設けられてもよい。例えば、図12に示されるように、ヘッド取付部材21の中心Oが傾き時の回転中心Pよりも上方に位置する場合は、特にヘッド取付部材21の上端部21bが昇降機構40に対して衝突しやすい。このため、図13に示されるように、突き当て部材36を衝突しやすい上端部21b及びその近傍にのみ設けてもよい。反対に、ヘッド取付部材21の中心Oが傾き時の回転中心Pよりも下方に位置する場合は、特にヘッド取付部材21の下端部が昇降機構40に対して衝突しやすいので、突き当て部材36を衝突しやすい下端部及びその近傍にのみ設けるのがよい。このように、突き当て部材36を衝突しやすい箇所のみに設けることにより、昇降機構40に対するヘッド取付部材21の衝突を効果的に回避できると共に、突き当て部材36を小さくして低コスト化を図れる。
【0045】
また、図14に示されるように、ヘッド取付部材21の中心Oが傾き時の回転中心Pと同じ位置にある場合は、ヘッド取付部材21に傾きが生じると、ヘッド取付部材21の上端部21b及び下端部21cの両方が昇降機構40に対して衝突しやすい。従って、この場合は、図15に示されるように、突き当て部材36を、ヘッド取付部材21の上端部21bと下端部21c及びこれらの近傍にのみ設けることにより、昇降機構40に対するヘッド取付部材21衝突を効果的に回避できる。また、この場合は、上端部21b及び下端部21cに設けられる2つの突き当て部材36の両方が昇降機構40に対して突き当てられるため、1つあたりの突き当て部材36に生じる衝撃が低減される。これにより、ヘッド取付部材21に生じる衝撃も低減されるため、ヘッド取付部材21に搭載される部品の損傷及び変形をより効果的に防止できる。
【0046】
ところで、ヘッド取付部材21に傾きが生じると、ヘッド取付部材21を保持する保持部43に負荷がかかったり変形したりするため、保持部43が破損する虞がある。このような保持部43の破損を抑制するには、ヘッド取付部材21の傾斜角度を小さくすることが好ましい。
【0047】
ヘッド取付部材21の傾斜角度を小さくする方法の1つに、図16に示されるヘッド取付部材21の中心Oと回転中心Pとの間の距離Aを大きくすることが挙げられる。ヘッド取付部材21の中心Oと回転中心Pとの間の距離Aが大きい場合(図16(a)の距離A1の場合)は、ヘッド取付部材21の中心Oと回転中心Pとの間の距離Aが小さい場合(図16(b)の距離A2の場合)に比べて、少ない回転量で突き当て部材36が昇降機構40に突き当たるため、ヘッド取付部材21の傾斜角度θは小さくなる(θ1<θ2)。
【0048】
また、図17に示されるヘッド取付部材21から突出する突き当て部材36の突出量Bを大きくすることによっても、ヘッド取付部材21の傾斜角度を小さくすることが可能である。すなわち、突き当て部材36の突出量Bが大きい場合(図17(a)の突出量B1の場合)は、突き当て部材36の突出量Bが小さい場合(図17(b)の突出量B2の場合)に比べて、少ない回転量で突き当て部材36が昇降機構40に突き当たるため、ヘッド取付部材21の傾斜角度θは小さくなる(θ1<θ2)。
【0049】
従って、ヘッド取付部材21の中心Oと回転中心Pとの間の距離A、又は、突き当て部材36の突出量B、あるいはこれらの両方を調整することにより、ヘッド取付部材21の傾斜角度θを小さくし、保持部43の変形を許容範囲内に抑えることができる。このことから、突き当て部材36の突出量Bは、ヘッド取付部材21の中心Oと回転中心Pとの間の距離Aに応じて、保持部43の変形が許容範囲内となるように適宜設定されることが好ましい。
【0050】
突き当て部材36は、例えば、ゴム材料などの摩擦係数が高い材料により構成されることが好ましい。突き当て部材36が摩擦係数の高い材料により構成されることにより、昇降機構40に対して突き当て部材36が突き当たったときの抵抗力が増し、ステッピングモータを脱調させて駆動を停止させやすくなる。また、突き当て部材36が突き当たったときの抵抗力を高めるため、突き当て部材36の表面粗さを粗くしてもよい。また、同じ理由で、突き当て部材36が突き当たる昇降機構40の部分の摩擦係数を高くしたり、表面粗さを粗くしたりしてもよい。
【0051】
また、図18及び図19に示されるように、ヘッド取付部材21内には、ヘッド基板51と、ヘッド基板51に接触するように配置されるヘッド基板冷却手段52とが搭載されている。ヘッド取付部材21が昇降機構40に衝突した際のヘッド基板51及びヘッド基板冷却手段52の損傷又は変形をより確実に防止できるようにするため、図18及び図19に示されるように、突き当て部材36は、ヘッド基板51及びヘッド基板冷却手段52よりも、昇降機構40が配置される側へ突出し、ヘッド基板51及びヘッド基板冷却手段52よりも高い位置にまで伸びるように配置されることが好ましい。
【0052】
<その他の実施形態の構成>
続いて、本発明の第一実施形態とは異なる他の実施形態について説明する。以下、主に本発明の第一実施形態とは異なる部分について説明し、同じ部分については適宜説明を省略する。
【0053】
図20は、本発明の第二実施形態に係るヘッドモジュール及び昇降機構の正面図である。
【0054】
図20に示されるように、本発明の第二実施形態においては、ヘッド取付部材21の各昇降機構40側の両端部に、それぞれ複数の弾性部材44が設けられている。ここでは、弾性部材44としてコイルばねなどのばね部材を用いている。また、弾性部材44として、ゴム部材を用いてもよい。各弾性部材44は、ヘッド取付部材21の左右の上端部及び下端部から昇降機構40側へ突出する各突片部21dと、ヘッド取付部材21を保持する保持部43との間に設けられている。このため、弾性部材44は、各保持部43を上下方向に挟むように設けられている。ヘッド取付部材21が水平に保持される状態においては、各弾性部材44の弾性力が互いにつり合った状態に保持される。
【0055】
また、本発明の第二実施形態においては、各保持部43が、ヘッド取付部材21に対して回転軸37を介して連結されている。回転軸37は、図20の紙面直交方向に伸びる軸を中心として回転する軸である。このため、保持部43とヘッド取付部材21は、に図20中の矢印E方向に相対的に回転可能に連結されている。
【0056】
図21は、本発明の第二実施形態において、ヘッド取付部材21に傾きが生じた場合の態様を示す図である。
【0057】
図21に示されるように、右側の昇降機構40において動作不良が生じた結果、ヘッド取付部材21に傾きが生じた場合、ヘッド取付部材21の傾きに応じて各弾性部材44が圧縮又は伸長される。詳しくは、ヘッド取付部材21に傾きが生じると、傾きに伴ってヘッド取付部材21が回転軸37を中心に回転し、上下の突片部21dと保持部43との間の間隔が変化する。これにより、各弾性部材44が圧縮又は伸長される。図21に示される例においては、ヘッド取付部材21が傾くことにより、右上側と左下側の各弾性部材44が伸長され、左上側と右下側の各弾性部材44が圧縮される。
【0058】
各弾性部材44が圧縮又は伸長されると、弾性部材44が元のつり合い状態に戻ろうとする弾性復元力が生じるので、ヘッド取付部材21が傾く方向とは反対方向の力が生じる。このため、その後の昇降動作が規制される。具体的に、図21に示される例においては、各弾性部材44の弾性復元力によって、ヘッド取付部材21を水平方向に戻そうとする力が作用するため、ヘッド取付部材21の左側をさらに降下させようとする動作が規制される。これにより、左側の昇降機構40のステッピングモータに負荷がかかるので、ステッピングモータが脱調する。その結果、ステッピングモータの駆動が停止される。
【0059】
このように、本発明の第二実施形態においては、ヘッド取付部材21に傾きが生じたとしても、弾性部材44が弾性変形することにより、昇降機構40の昇降動作が停止される。これにより、液体吐出ヘッド22が第二担持回転体16又はメンテナンスユニット50に衝突することを回避できるため、液体吐出ヘッド22の衝突による部品の損傷及び変形を防止できる。また、本発明の第二実施形態においては、第一実施形態のような突き当て部材36を設けなくても昇降動作を停止させることができるため、突き当てに伴う衝撃の発生も回避できる。このため、ヘッド取付部材21に搭載される部品の損傷及び変形をより効果的に防止できるようになる。
【0060】
以上、各実施形態を例に本発明について説明した。
【0061】
ここで、本発明に係る「液体吐出装置」には、液体吐出装置の一例であるインクジェット式の画像形成装置のほか、液体吐出部を備え、液体吐出部を駆動させて、シートに液体を吐出する装置であれば、種々の液体吐出装置が含まれる。従って、本発明に係る「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形などの有意な画像を可視化するものに限らない。例えばそれ自体意味を持たないパターンなどを形成するもの、三次元像を造形するもの、さらにはシートの表面を改質するなどの目的でシートの表面に処理液を吐出する処理液吐出装置なども、「液体吐出装置」として含まれる。
【0062】
また、本発明に係る「液体吐出装置」は、シートの給送、搬送、排出に係わる手段、前処理装置のほか、後処理装置などが含むものであってもよい。さらに、「液体吐出装置」は、シートに対して液体吐出部が相対的に移動するものであってもよいし、液体吐出部が相対的に移動しないものであってもよい。具体例としては、液体吐出ヘッド(液体吐出部)を移動させるシリアル型の液体吐出装置、液体吐出ヘッド(液体吐出部)を移動させないライン型の液体吐出装置などが挙げられる。
【0063】
液体が吐出される「シート」には、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどが含まれる。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板が挙げられる。「シート」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。また、「シート」は、あらかじめシート搬送方向に所定のサイズに裁断されたシート(カット紙など)のほか、ロール状に巻かれた長尺のシート(ロール紙など)であってもよい。
【0064】
また、「液体吐出装置」によって吐出される「液体」は、液体吐出部から吐出可能な粘度又は表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒などの溶媒、染料、顔料などの着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤などの機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウムなどの生体適合材料、天然色素などの可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子、発光素子の構成要素、電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液などの用途で用いることができる。
【0065】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の態様が含まれる。
【0066】
[第1の態様]
第1の態様は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドが取り付けられるヘッド取付部材と、前記ヘッド取付部材を昇降させる昇降機構と、前記昇降機構と対向する前記ヘッド取付部材の側面に設けられ、前記ヘッド取付部材が傾いた際に前記昇降機構に突き当たる突き当て部材とを備え、前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たることにより、前記昇降機構の昇降動作が停止される液体吐出装置である。
【0067】
[第2の態様]
第2の態様は、第1の態様において、前記突き当て部材は、前記ヘッド取付部材よりも前記昇降機構が配置される側へ突出する液体吐出装置である。
【0068】
[第3の態様]
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記突き当て部材は、前記ヘッド取付部材の前記側壁の少なくとも上下範囲全体に渡って設けられる液体吐出装置である。
【0069】
[第4の態様]
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記突き当て部材は、上下方向に伸びる直線状に形成される液体吐出装置である。
【0070】
[第5の態様]
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様において、前記ヘッド取付部材から突出する前記突き当て部材の突出量は、前記ヘッド取付部材が傾いて前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たった場合に、前記ヘッド取付部材を保持する保持部の変形が許容範囲内となるように設定される液体吐出装置である。
【0071】
[第6の態様]
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様において、前記ヘッド取付部材の中心が、前記ヘッド取付部材の傾き時の回転中心とは異なる位置にある液体吐出装置である。
【0072】
[第7の態様]
第7の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様において、前記ヘッド取付部材の中心が、前記ヘッド取付部材の傾き時の回転中心と同じ位置にある液体吐出装置である。
【0073】
[第8の態様]
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様において、前記昇降機構は、前記ヘッド取付部材を昇降させる駆動力を付与するステッピングモータを有し、前記突き当て部材が前記昇降機構に突き当たることにより、前記ステッピングモータが脱調して駆動が停止される液体吐出装置である。
【0074】
[第9の態様]
第9の態様は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドが取り付けられるヘッド取付部材と、前記ヘッド取付部材を昇降させる昇降機構と、前記ヘッド取付部材が傾いた際に弾性変形する弾性部材とを備え、前記弾性部材が弾性変形することにより、前記昇降機構の昇降動作が停止される液体吐出装置である。
【0075】
[第10の態様]
第10の態様は、第9の態様において、前記昇降機構は、前記ヘッド取付部材を昇降させる駆動力を付与するステッピングモータを有し、前記弾性部材が弾性変形することにより、前記ステッピングモータが脱調して駆動が停止される液体吐出装置である。
【符号の説明】
【0076】
21 ヘッド取付部材
21a 側面
22 液体吐出ヘッド
36 突き当て部材
40 昇降機構
41 ボールねじ
42 電動モータ(ステッピングモータ)
44 弾性部材
100 液体吐出装置
O ヘッド取付部材の中心
P ヘッド取付部材の傾き時の回転中心
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2021-45853号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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