(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175510
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】クランプ部材およびクランプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20241211BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A61B17/122
F16B2/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093344
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】508145506
【氏名又は名称】株式会社キャステム
(71)【出願人】
【識別番号】523215358
【氏名又は名称】I-temホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 清一
(72)【発明者】
【氏名】畑 泰司
(72)【発明者】
【氏名】小林 栄仁
(72)【発明者】
【氏名】戸田 拓夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕二
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宣明
(72)【発明者】
【氏名】大重 泉希
【テーマコード(参考)】
3J022
4C160
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA01
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA04
3J022GA16
3J022GA21
3J022GB90
4C160DD02
4C160DD16
4C160MM43
(57)【要約】
【課題】作業性に優れたクランプ部材およびクランプアセンブリを提供する。
【解決手段】クランプ部材100は、本体部1と固定機構2とを備える。本体部1は一方向に延びる棒状の形状を有する。本体部1は、一端1aと、他端1bとを含む。一端1aおよび他端1bには、帯状のベルト部材4を挿入するための第1ベルト穴11および第2ベルト穴12が形成されている。固定機構2は、第1ベルト穴11および第2ベルト穴12の内の少なくともいずれか一方に挿入されたベルト部材4の状態を、第1状態(固定状態)と第2状態(移動可能状態)との間で切り替え可能である。固定機構2は押圧可能なボタン部2aを含む。固定機構2は、ボタン部2aを押圧することでベルト部材4の状態を切り替え可能に構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器をクランプするためのクランプ部材であって、
一方向に延びる棒状の本体部を備え、
前記本体部は、一端と、前記一端とは反対側に位置する他端とを含み、
前記一端および前記他端には、帯状のベルト部材を挿入するための第1ベルト穴および第2ベルト穴が形成され、
前記第1ベルト穴および前記第2ベルト穴の内の少なくともいずれか一方に挿入された前記ベルト部材の状態を、前記本体部に対して固定された第1状態と、前記本体部に対して相対的に移動可能である第2状態との間で切り替え可能な固定機構をさらに備え、
前記固定機構は押圧可能なボタン部を含み、
前記固定機構は、前記ボタン部を押圧することで前記ベルト部材の前記状態を切り替え可能に構成されている、クランプ部材。
【請求項2】
前記固定機構は、
前記第1ベルト穴に挿入された前記ベルト部材の前記状態を切り替え可能な第1固定機構と、
前記第2ベルト穴に挿入された前記ベルト部材の前記状態を切り替え可能な第2固定機構とを含む、請求項1に記載のクランプ部材。
【請求項3】
請求項2に記載のクランプ部材と、
押圧部材と、
帯状の第1ベルト部材および第2ベルト部材とを備え、
前記押圧部材は、
前記クランプ部材の前記本体部と対向するように配置され、
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材は、それぞれ、一方端と、前記一方端と反対側に位置する他方端とを有し、
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材の前記一方端は、それぞれ前記押圧部材において互いに間隔を隔てた位置に接続され、
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材の前記他方端は、それぞれ前記第1ベルト穴および前記第2ベルト穴に挿入されている、クランプアセンブリ。
【請求項4】
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材は、可撓性を有する材料により構成されている、請求項3に記載のクランプアセンブリ。
【請求項5】
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材は、前記押圧部材から着脱可能に構成されている、請求項3または請求項4に記載のクランプアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クランプ部材およびクランプアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術時に腸管などの臓器をクランプするクランプ部材が知られている(たとえば、特開2006-87671号公報参照)。上記特開2006-87671号公報では、柔軟性のある帯体を一端に備えた2本の硬質性の棒状体と、棒状体が連結された連結部と、一方の帯体に設けられた少なくとも1つの貫通孔とを備えたクランプ部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のクランプ部材では、一度臓器をクランプしたあと、当該クランプ状態を解除して位置などを調整した後、再度クランプするといった作業が難しく、作業性に改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記の様な課題を解決するためになされものであり、作業性に優れたクランプ部材およびクランプアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従ったクランプ部材は、臓器をクランプするためのクランプ部材であって、本体部と、固定機構とを備える。本体部は、一方向に延びる棒状の形状を有する。本体部は、一端と、当該一端とは反対側に位置する他端とを含む。一端および他端には、帯状のベルト部材を挿入するための第1ベルト穴および第2ベルト穴が形成される。固定機構は、第1ベルト穴および第2ベルト穴の内の少なくともいずれか一方に挿入されたベルト部材の状態を、第1状態と第2状態との間で切り替え可能である。第1状態とはベルト部材が本体部に対して固定された状態である。第2状態とは、ベルト部材が本体部に対して相対的に移動可能な状態である。固定機構は押圧可能なボタン部を含む。固定機構は、ボタン部を押圧することでベルト部材の状態を切り替え可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、作業性に優れたクランプ部材およびクランプアセンブリが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に従ったクランプアセンブリの正面模式図である。
【
図2】
図1に示されたクランプアセンブリの上面模式図である。
【
図3】
図1に示されたクランプアセンブリの底面模式図である。
【
図4】
図2の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【
図5】
図1に示されたクランプアセンブリの側面模式図である。
【
図6】
図1に示されたクランプアセンブリの動作を説明するための模式図である。
【
図7】
図1に示されたクランプアセンブリを構成するクランプ部材の底面模式図である。
【
図8】
図7に示されたクランプ部材に含まれる固定機構の部品を示す模式図である。
【
図10】
図1に示されたクランプアセンブリを構成する押圧部材の上面模式図である。
【
図11】
図1に示されたクランプアセンブリを体内へ挿入する方法を説明するための模式図である。
【
図12】
図1に示されたクランプアセンブリの使用方法を説明するための模式図である。
【
図13】
図1に示されたクランプアセンブリの使用方法を説明するための模式図である。
【
図14】
図1に示されたクランプアセンブリの使用方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
<クランプアセンブリおよびクランプ部材の構成>
図1は、本開示に従ったクランプアセンブリ200の正面模式図である。
図2は、
図1に示されたクランプアセンブリ200の上面模式図である。
図3は、
図1に示されたクランプアセンブリ200の底面模式図である。
図4は、
図2の線分IV-IVにおける断面模式図である。
図5は、
図1に示されたクランプアセンブリ200の側面模式図である。
図6は、
図1に示されたクランプアセンブリ200の動作を説明するための模式図である。
図7は、
図1に示されたクランプアセンブリを構成するクランプ部材の底面模式図である。
図8は、
図7に示されたクランプ部材に含まれる固定機構の部品を示す模式図である。
図9は、
図4の部分拡大断面模式図である。
図10は、
図1に示されたクランプアセンブリを構成する押圧部材の上面模式図である。
【0011】
図1から
図9に示されるように、本実施の形態に係るクランプアセンブリ200は、クランプ部材100と、押圧部材3と、帯状の第1ベルト部材41および第2ベルト部材42とを備える。クランプ部材100は一方向に延びるように形成されている。クランプ部材100は、本体部1と固定機構2とを含む。押圧部材3は、クランプ部材100の本体部1と対向するように配置される。
図4に示されるように、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42は、それぞれ、一方端4aと、他方端4bとを有する。他方端4bは、一方端4aと反対側に位置する。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の一方端4aは、それぞれ押圧部材3において互いに間隔を隔てた位置に接続される。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の他方端4bは、それぞれ第1ベルト穴11および第2ベルト穴12に挿入されている。
【0012】
クランプアセンブリ200を構成するクランプ部材100において、
図1から
図4、
図7に示されるように、本体部1は一方向に延びる棒状の形状を有する。本体部1は、一端1aと、他端1bとを含む。他端1bは、一端1aとは反対側に位置する。本体部1には、一端1aから他端1bまでのびるように支柱13が形成されている。支柱13は本体部1に沿って、当該本体部1と間隔を隔てて配置されている。支柱13と本体部1とは複数の接続部で接続されている。支柱13は、たとえば手術中に鉗子などにより把持されることで、クランプ部材100の操作性を向上させる。また、当該支柱13に糸などの紐状体を固定して、当該紐状体を引っ張ることでクランプ部材100またはクランプアセンブリ200を移動させてもよい。たとえば、当該紐状部材は支柱13の中央部に固定されてもよい。また、本体部1の底面1c(支柱13が形成された側と反対側の表面)には把持用凹凸部14が形成されている。把持用凹凸部14は本体部1の延在方向に沿って延びる線状の凸部および線状の凹部を含む。
【0013】
図1および
図4に示されるように、本体部1の一端1aには第1ベルト穴11が形成されている。本体部1の他端1bには、第2ベルト穴12が形成されている。第1ベルト穴11には第1ベルト部材41が挿入される。第2ベルト穴12には第2ベルト部材42が挿入される。固定機構2としての第1固定機構21は、第1ベルト穴11に隣接するように配置されている。固定機構2としての第2固定機構22は、第2ベルト穴12に隣接するように配置されている。
【0014】
第1固定機構21および第2固定機構22は基本的に同じ構成を有する。固定機構2は、
図8に示されるように、ボタン部2aを有する部品を含む。固定機構2では、本体部1において第1ベルト穴11および第2ベルト穴12に隣接するように形成された凹部に、
図8に示された部品が配置されている。当該部品には、
図1に示された固定ピン2dを挿入するための貫通穴2cが形成されている。固定ピン2dの端部は、本体部1において上記凹部に面する部分に形成された貫通穴に挿入・固定されている。
図8に示された部品は、固定ピン2dを中心に回転可能である。固定機構2では、図示しない板ばねなどの弾性部材が凹部内に配置されている。当該弾性部材により、
図9に示されるように当該部品は固定ピン2dを中心に矢印7に示す方向(ボタン部2aが上側に向かう方向)に回転するように付勢されている。
【0015】
固定機構2を構成する
図8に示された部品には、爪部2eが形成されている。当該爪部2eは、
図9に示されるようにベルト部材4に形成されている凹凸部4cと噛み合うように配置されている。当該爪部2eがベルト部材4の凹凸部4cと噛み合うことで、ベルト部材4は本体部1に対して相対的に移動できないように固定される(第1状態)。一方、当該部品のボタン部2aを押圧することで、部品は
図9の矢印7に示された方向と逆方向に固定ピン2dを中心として回転する。この結果、爪部2eがベルト部材4の凹凸部4cから離れることにより、ベルト部材4は本体部1に対して相対的に移動可能な状態(第2状態)となる。ボタン部2aの押圧を止めてボタン部2aへの負荷を除去すると、上述した弾性部材により部品は
図9の矢印7に示した方向に回転する。その後、爪部2eは再びベルト部材4の凹凸部4cと噛み合う。この結果、ベルト部材4は本体部1に対して相対的に移動できない状態(第1状態)となる。
【0016】
このようにして、固定機構2は、第1ベルト穴11および第2ベルト穴12に挿入されたベルト部材4の状態を、第1状態と第2状態との間で切り替え可能である。第1状態は、ベルト部材4が本体部1に対して固定された状態である。第2状態は、ベルト部材4が本体部1に対して相対的に移動可能な状態である。上述のように、固定機構2は、ボタン部2aを押圧することでベルト部材4の状態を切り替え可能に構成されている。
【0017】
第1固定機構21は、第1ベルト穴11に挿入されたベルト部材4の状態を切り替え可能である。第2固定機構22は、第2ベルト穴12に挿入されたベルト部材4の状態を切り替え可能である。なお、第1固定機構21は、
図1および
図4に示されるように第1ベルト穴11より外側(第1ベルト穴11から見て第2ベルト穴12と反対側)に配置されているが、第1ベルト穴11より内側(第1ベルト穴11から見て第2ベルト穴12側)に第1固定機構21が配置されてもよい。この場合、凹凸部4cが第2ベルト穴12側に向くように、第1ベルト部材41が配置される。第2固定機構22は、
図1および
図4に示されるように第2ベルト穴12より外側(第2ベルト穴12から見て第1ベルト穴11と反対側)に配置されているが、第2ベルト穴12より内側(第2ベルト穴12から見て第1ベルト穴11側)に配置されてもよい。この場合、凹凸部4cが第1ベルト穴11側に向くように、第2ベルト部材42が配置される。このようにすれば、クランプ部材100のサイズを小さくできる。
【0018】
押圧部材3は、クランプ部材100の本体部1と対向するように配置された棒状体である。
図4および
図10に示されるように、押圧部材3の両端部には第1ベルト穴31および第2ベルト穴32がそれぞれ形成されている。第1ベルト穴31には第1ベルト部材41が挿入されている。第2ベルト穴32には第2ベルト部材42が挿入されている。
【0019】
第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の一方端4aは、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の他方端4bより厚さが厚くなっている。第1ベルト部材41および第2ベルト部材の一方端4aでは、一方端4aの外周端に向かうほど当該厚さが厚くなっている。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の一方端4aにおいて、他方端4b側の領域には厚さが局所的に厚くなっている凸部が形成されている。当該凸部が押圧部材3の第1ベルト穴31または第2ベルト穴32の上端縁部に乗り上げることで、押圧部材3に対して第1ベルト部材41および第2ベルト部材42が固定されている。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42には、固定機構2の爪部2eに面する表面に凹凸部4cが形成されている。
【0020】
図10に示されるように、押圧部材3の上面3a(クランプ部材100と対向する表面)には把持用凹凸部34が形成されている。把持用凹凸部34は押圧部材3の延在方向に沿って延びる線状の凸部および線状の凹部を含む。
【0021】
図4および
図6に示されるように、押圧部材3の第1ベルト穴31に挿入された第1ベルト部材41の先端部は、クランプ部材100の第1ベルト穴11に挿入される。押圧部材3の第2ベルト穴32に挿入された第2ベルト部材42の先端部は、クランプ部材100の第2ベルト穴12に挿入される。
図6に示されるように、クランプ部材100、第1ベルト部材41、押圧部材3、および第2ベルト部材42により囲まれた領域に腸管などの臓器5を配置できる。なお、クランプ部材100および押圧部材3を構成する材料としては、金属、樹脂など硬質の材料であれば任意の材料を適用できる。
【0022】
<クランプアセンブリの使用方法>
図11は、
図1に示されたクランプアセンブリを体内へ挿入する方法を説明するための模式図である。
図12から
図14は、
図1に示されたクランプアセンブリの使用方法を説明するための模式図である。
【0023】
図11に示されるように、たとえば内視鏡手術において、トロッカーなどの器具における挿入穴60を介して、患者の体内にクランプアセンブリ200を挿入することができる。この場合、
図11に示されるように、第2ベルト部材42の先端部をクランプ部材100の第2ベルト穴12から取り外し、クランプアセンブリ200を一方向に延びた状態とする。クランプ部材100、第1ベルト部材41、第2ベルト部材42、押圧部材3の断面サイズを、トロッカーの挿入穴60の直径より小さくしておくことで、
図11に示すような形態としたクランプアセンブリ200を患者の体内に挿入できる。
【0024】
その後、患者の体内において、鉗子などを用いて、拘束対象である臓器5の周囲を囲むようにクランプアセンブリ200を配置する。そして、第2ベルト部材42の先端部をクランプ部材100の第2ベルト穴12に挿入することで、
図12に示すようにクランプ部材100の本体部1と押圧部材3との間に臓器5を挟んだ状態とすることができる。
【0025】
その後、臓器5に対するクランプアセンブリ200の位置を調整した後、
図13に示されるようにクランプ部材100を押圧部材3に近づける。
図9に示されるように、ベルト部材4の凹凸部4cに対してクランプ部材100の固定機構2における爪部2eが噛み合うことで、クランプ部材100は押圧部材3に近づくように移動可能である一方、押圧部材3から離れる方向に移動できなくなっている。また、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42のそれぞれに対して第1固定機構21および第2固定機構22が配置されている。そのため、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42のそれぞれについて、個別にクランプ部材100と押圧部材3との間の距離を調整できる。
【0026】
また、クランプ部材100の固定機構2におけるボタン部2aを押圧することで、クランプ部材100に対するベルト部材4の固定状態を解除できる。このため、クランプ部材100と押圧部材3との間の距離を再度大きくするようにクランプ部材100の位置を容易に調整できる。
【0027】
クランプ部材100の押圧部材3に対する姿勢を調整しながらクランプ部材100を押圧部材3に近づけることで、
図14に示されるように臓器5をクランプアセンブリ200によって正確にクランプすることができる。
【0028】
<作用>
本開示に従ったクランプ部材100は、臓器をクランプするためのクランプ部材100であって、本体部1と固定機構2とを備える。本体部1は一方向に延びる棒状の形状を有する。本体部1は、一端1aと、他端1bとを含む。他端1bは、一端1aとは反対側に位置する。一端1aおよび他端1bには、帯状のベルト部材4を挿入するための第1ベルト穴11および第2ベルト穴12が形成されている。固定機構2は、第1ベルト穴11および第2ベルト穴12の内の少なくともいずれか一方に挿入されたベルト部材4の状態を、第1状態と第2状態との間で切り替え可能である。第1状態は、ベルト部材4が本体部1に対して固定された状態である。第2状態は、ベルト部材4が本体部1に対して相対的に移動可能な状態である。固定機構2は押圧可能なボタン部2aを含む。固定機構2は、ボタン部2aを押圧することでベルト部材4の状態を切り替え可能に構成されている。
【0029】
この場合、クランプ部材100に対するベルト部材4の状態を第1状態(固定状態)と第2状態(可動状態)との間でボタン部2aの操作により容易に変更できる。このため、クランプ部材100を用いて臓器5をクランプする作業において、クランプ部材100の姿勢の調整といった作業を容易に実施できる。すなわち、クランプ部材100を用いた作業の作業性を向上させることができる。
【0030】
上記クランプ部材100において、固定機構2は、第1固定機構21と、第2固定機構22とを含む。第1固定機構21は、第1ベルト穴11に挿入されたベルト部材4の状態を切り替え可能である。第2固定機構22は、第2ベルト穴12に挿入されたベルト部材4の状態を切り替え可能である。この場合、クランプ部材100に2本のベルト部材4を設置し、当該2本のベルト部材4それぞれについて、個別に第1状態と第2状態とを切り替えることができる。この結果、クランプ部材100を用いた作業の作業性を向上させることができる。
【0031】
本開示に従ったクランプアセンブリ200は、上記クランプ部材100と、押圧部材3と、帯状の第1ベルト部材41および第2ベルト部材42とを備える。押圧部材3は、クランプ部材100の本体部1と対向するように配置される。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42は、それぞれ、一方端4aと、他方端4bとを有する。他方端4bは、一方端4aと反対側に位置する。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の一方端4aは、それぞれ押圧部材3において互いに間隔を隔てた位置に接続される。第1ベルト部材41および第2ベルト部材42の他方端4bは、それぞれ第1ベルト穴11および第2ベルト穴12に挿入されている。
【0032】
この場合、クランプ部材100、押圧部材3、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42により臓器を囲むように、クランプアセンブリ200を配置できる。そして、クランプ部材100と押圧部材3とを近づけると共に、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42によってクランプ部材100と押圧部材3との相対的な位置関係を固定することで、臓器5を容易にクランプできる。クランプ部材100における固定機構2を操作することで、クランプ部材100と押圧部材3との位置を容易に調整できるため、当該クランプアセンブリ200を用いた手術の作業性を向上させることができる。
【0033】
上記クランプアセンブリ200において、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42は、可撓性を有する材料により構成されている。この場合、クランプ部材100と押圧部材3との相対的な位置関係の自由度を大きくすることができる。
【0034】
上記クランプアセンブリ200において、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42は、押圧部材3から着脱可能に構成されている。この場合、第1ベルト部材41および第2ベルト部材42が破損した場合に、破損した第1ベルト部材41または第2ベルト部材42を容易に交換できる。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0036】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
臓器をクランプするためのクランプ部材であって、
一方向に延びる棒状の本体部を備え、
前記本体部は、一端と、前記一端とは反対側に位置する他端とを含み、
前記一端および前記他端には、帯状のベルト部材を挿入するための第1ベルト穴および第2ベルト穴が形成され、
前記第1ベルト穴および前記第2ベルト穴の内の少なくともいずれか一方に挿入された前記ベルト部材の状態を、前記本体部に対して固定された第1状態と、前記本体部に対して相対的に移動可能である第2状態との間で切り替え可能な固定機構をさらに備え、
前記固定機構は押圧可能なボタン部を含み、
前記固定機構は、前記ボタン部を押圧することで前記ベルト部材の前記状態を切り替え可能に構成されている、クランプ部材。
(付記2)
前記固定機構は、
前記第1ベルト穴に挿入された前記ベルト部材の前記状態を切り替え可能な第1固定機構と、
前記第2ベルト穴に挿入された前記ベルト部材の前記状態を切り替え可能な第2固定機構とを含む、付記1に記載のクランプ部材。
(付記3)
前記本体部と間隔を隔てて配置された把持支柱を備える、付記1または付記2に記載のクランプ部材。
(付記4)
付記2または付記3に記載のクランプ部材と、
押圧部材と、
帯状の第1ベルト部材および第2ベルト部材とを備え、
前記押圧部材は、
前記クランプ部材の前記本体部と対向するように配置され、
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材は、それぞれ、一方端と、前記一方端と反対側に位置する他方端とを有し、
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材の前記一方端は、それぞれ前記押圧部材において互いに間隔を隔てた位置に接続され、
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材の前記他方端は、それぞれ前記第1ベルト穴および前記第2ベルト穴に挿入されている、クランプアセンブリ。
(付記5)
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材は、可撓性を有する材料により構成されている、付記4に記載のクランプアセンブリ。
(付記6)
前記第1ベルト部材および前記第2ベルト部材は、前記押圧部材から着脱可能に構成されている、付記4または付記5に記載のクランプアセンブリ。
【符号の説明】
【0037】
1 本体部、1a 一端、1b 他端、1c 底面、2 固定機構、2a ボタン部、2c 貫通穴、2d 固定ピン、2e 爪部、3 押圧部材、3a 上面、4 ベルト部材、4a 一方端、4b 他方端、4c 凹凸部、5 臓器、7 矢印、11,31 第1ベルト穴、12,32 第2ベルト穴、13 把持支柱、14,34 把持用凹凸部、21 第1固定機構、22 第2固定機構、41 第1ベルト部材、42 第2ベルト部材、60 挿入穴、100 クランプ部材、200 クランプアセンブリ。