(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017569
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】凹版インキ自動供給機構
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20240201BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240201BHJP
B41F 31/02 20060101ALI20240201BHJP
B41F 31/08 20060101ALI20240201BHJP
B41F 31/07 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C11/00
B41F31/02 A
B41F31/08
B41F31/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120289
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】松本 幹生
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 崇
(72)【発明者】
【氏名】志賀 敬之
(72)【発明者】
【氏名】矢部 真之介
【テーマコード(参考)】
2C250
4F042
【Fターム(参考)】
2C250DB01
2C250DB14
2C250DB21
2C250EA24
2C250EA25
4F042AA02
4F042BA05
4F042BA09
4F042BA12
4F042BA15
4F042BA19
4F042CA01
4F042CA05
4F042CA06
4F042CA08
4F042CB05
4F042CB11
4F042CB19
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】
粘度の高い凹版インキを自動的にインキつぼへと一定量供給することで、安定した品質の印刷物を製造することができる凹版インキ自動供給機構の提供を課題とする。
【解決手段】
凹版インキ自動供給機構は、凹版インキを貯蔵するための凹版インキ貯蔵部と、凹版インキを搬送するために所定の角度を有する溝を設けたロータと、ロータを回転可能とする回転部と、ロータを挿通するための貫通孔を有するステータと、ロータによって搬送された凹版インキを吐出するための吐出口と、を有する凹版インキ供給部と、凹版インキ供給部から吐出された凹版インキを貯えるための凹版インキつぼと、凹版インキ量を検知するための供給量検知部と、を有するインカー部と、凹版インキつぼ内に貯えられた供給量検知部の検知状態に基づき、凹版インキの供給又は停止の指令を凹版インキ供給部へと伝達する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹版印刷機に備えられ、凹版インキを自動で供給する凹版インキ自動供給機構であって、
前記凹版インキ自動供給機構は、前記凹版印刷機の近傍に配置され、前記凹版インキを貯蔵するための凹版インキ貯蔵部と、
前記凹版インキ貯蔵部の上部に接続され、前記凹版インキ貯蔵部の前記凹版インキを搬送するために所定の角度を有する溝を設けたロータと、前記ロータを回転可能とする前記ロータ上部に設けられた回転部と、前記ロータの外周面を囲むように配置され、前記ロータを挿通するための貫通孔を有するステータと、前記貫通孔と接続され、前記ロータによって搬送された前記凹版インキを外部へ吐出する吐出口と、を有する凹版インキ供給部と、
前記凹版印刷機の内部に位置し、前記吐出口の下部に配置され、前記凹版インキ供給部から吐出された前記凹版インキを貯えるための凹版インキつぼと、前記凹版インキつぼ内に貯えられた凹版インキ量を検知するための供給量検知部と、を有するインカー部と、
供給量検知部の検知状態に基づき、前記凹版インキの供給又は停止の指令を前記凹版インキ供給部へと伝達する制御部と、
を備えることを特徴とする凹版インキ自動供給機構。
【請求項2】
前記ロータは、前記凹版インキ貯蔵部側から上方へ向かうにしたがって、径が大きくなるネジ形状であることを特徴とする請求項1に記載の凹版インキ自動供給機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹版印刷機において、凹版インキの粘度に関わらず最適な量の凹版インキの供給を行う凹版インキ自動供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
凹版印刷は、文字や線のくぼみがある版面の全面に凹版インキを付けて、これを布、ローラ、ドクター等で拭き取り、くぼみの部分にだけ残った凹版インキを紙に転移させる印刷方式である。この方式は、盛り上がりのある独特な印刷画線が得られるため銀行券や証券等の貴重製品の印刷に用いられる。
【0003】
凹版インキの粘度は100Pa・sを超えるものが一般的であり、凹版印刷における凹版インキの供給方法としては、一般に作業者がインキ缶に存する凹版インキをインキへらにて取り出し、凹版インキつぼへと手で投入する方法が用いられる。
【0004】
さらに、前述の作業者がインキ缶に存する凹版インキをインキへらにて取り出し、インキつぼへと手で投入する方法においては、作業者が凹版インキをインキ缶から切り分ける必要があり、粘度の高い凹版インキを切り分ける作業は多大な労力を必要とする。また、凹版インキを安定して供給するため、少量づつ凹版インキを投入することから凹版インキを凹版インキつぼへと投入する頻度は多くなる。したがって、凹版インキの供給にかかる作業負荷は大きく作業効率も悪い。
【0005】
一般的な印刷に用いられるオフセット印刷やグラビア印刷、フレキソ印刷等に用いられるインキの粘度は0.1~0.5Pa・sである。一方、凹版インキは、他の印刷インキと比較すると著しく粘度が高く、流動性が低いことが特徴である。
【0006】
一般的な印刷に用いられるオフセットインキやグラビアインキ、フレキソインキ等をインキつぼへ供給するインキ供給機構は、一例としてエアーシリンダーを用い、空気圧によりインキを吐出口へと押し出す機構が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、粘度が高い凹版インキにエアーシリンダーを用いた場合、供給の過程において詰りによる吐出不良が生じ、凹版インキは安定して凹版インキつぼへと供給されなくなる。凹版インキの供給不足は、印刷物の画線切れや刷色不良を引き起こし、印刷物の品質に悪影響を及ぼす。
【0009】
本発明は、粘度の高い凹版インキを自動的にインキつぼへと一定量供給することで、安定した品質の印刷物を製造することができる凹版インキ自動供給機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
凹版印刷機に備えられ、凹版インキを自動で供給する凹版インキ自動供給機構であって、凹版インキ自動供給機構は、凹版印刷機の近傍に配置され、凹版インキを貯蔵するための凹版インキ貯蔵部と、凹版インキ貯蔵部の上部に接続され、凹版インキ貯蔵部の凹版インキを搬送するために所定の角度を有する溝を設けたロータと、ロータを回転可能とするロータ上部に設けられた回転部と、ロータの外周面を囲むように配置され、ロータを挿通するための貫通孔を有するステータと、貫通孔と接続され、ロータによって搬送された凹版インキを外部へ吐出する吐出口と、を有する凹版インキ供給部と、凹版印刷機の内部に位置し、吐出口の下部に配置され、凹版インキ供給部から吐出された凹版インキを貯えるための凹版インキつぼと、凹版インキつぼ内に貯えられた凹版インキ量を検知するための供給量検知部と、を有するインカー部と、供給量検知部の検知状態に基づき、凹版インキの供給又は停止の指令を凹版インキ供給部へと伝達する制御部と、を備えることを特徴とする凹版インキ自動供給機構である。
【0011】
また、ロータは、凹版インキ貯蔵部側から上方へ向かうにしたがって、径が大きくなるネジ形状であることを特徴とする凹版インキ自動供給機構である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の凹版インキ自動供給機構によれば、粘度の高い凹版インキを、人の手を介さず自動で供給できるため、凹版インキの投入にかかる労働負荷を大幅に低減することができる。また、凹版インキつぼ内の凹版インキ量を、常に許容とする一定範囲内となるように管理することが可能となり、刷色が均一となって、印刷物が良質かつ安定して製造できるようになる。また、凹版インキの供給不足の課題が解消されるため、画線切れや刷色不良も発生しなくなり、損紙の発生が大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る凹版インキ自動供給機構のブロック図を示す。
【
図2】本発明に係る凹版インキ自動供給機構の全体概略図を示す。
【
図3】
図2の凹版インキ自動供給機構における凹版インキ貯蔵部の拡大図を示す。
【
図4】
図2の凹版インキ自動供給機構における凹版インキ供給部の一例を示す。
【
図5】凹版インキ貯蔵部と凹版インキ供給部を接続させた図を示す。
【
図6】凹版インキ供給部におけるロータの別の構成例を示す。
【
図7】凹版インキ供給部におけるステータを複数箇所に設けた構成例を示す。
【
図8】
図2の凹版インキ自動供給機構におけるインカー部の一例を示す。
【
図9】凹版インキ自動供給機構における制御部のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される技術的思想の範囲内であれば、その他様々な形態が実施可能である。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る凹版インキ自動供給機構(1)のブロック図を示す。凹版インキ自動供給機構(1)は、少なくとも凹版インキ貯蔵部(10)と、凹版インキ供給部(20)と、インカー部(30)と、制御部(40)を備えており、それぞれが連接している。
【0016】
図2は、本発明に係る凹版インキ自動供給機構(1)の概略図を示す。
図2を用いて本発明に係る凹版インキ自動供給機構(1)の配置について説明する。凹版インキ(11)を貯蔵する凹版インキ貯蔵部(10)は、凹版インキ供給部(20)の下方に配置される。凹版インキ供給部(20)は下降し、凹版インキ貯蔵部(10)と封止状態となるように接続する。これにより、凹版インキ供給部(20)を稼働することで、凹版インキ(11)は、凹版インキ貯蔵部(10)から凹版インキ供給部(20)へと吸引される。凹版インキ(11)は、凹版インキ供給部(20)を経て、凹版インキ供給部(20)の近傍に配置されるインカー部(30)へ供給管(24)を通って排出される。以下、各部の詳細な構成と動作について説明する。
【0017】
まず、凹版インキ貯蔵部(10)について説明する。
図3は、凹版インキ貯蔵部(10)の拡大図の一例を示す。凹版インキ貯蔵部(10)は、凹版インキ(11)を貯蔵するための容器であり、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄等の金属材料から形成される。凹版インキの材質によっては、樹脂等の非金属材料から形成する場合もある。また、
図3では容器を円筒形状としているが必ずしも円筒形状と限定するものではなく、例えば、多角柱形状の容器であってもよい。
【0018】
凹版インキ貯蔵部(10)には、凹版インキ(11)の表面と密着し、凹版インキ供給部(20)への吸引に伴う凹版インキ(11)の減少に併せて適宜下降する蓋部(12)を設けてもよい。凹版インキ(11)の表面と蓋部(12)は常に密着しながら下降するため、凹版インキ貯蔵部(10)と凹版インキ供給部(20)との接続部における封止性に優れ、凹版インキ供給部(20)への凹版インキ(11)の吸引効率を更に高めることができる。この詳細については後述する。
【0019】
凹版インキ貯蔵部(10)には、凹版インキ(11)の粘度を高め、流動性を向上させるために、凹版インキ加温部(13)を設けてもよい。なお、
図3においては凹版インキ貯蔵部(10)の側面に凹版インキ加温部(13)を設けた構成を示しているが、凹版インキ(11)を加温することができれば配置は限定されるものではなく、底面に設けても、周囲を囲むように設けてもよい。また、凹版インキ加温部(13)は、加温可能なヒータであれば限定されるものではなく、公知のヒータを用いることができる。
【0020】
次に、凹版インキ供給部(20)について説明する。
図4(a)は、凹版インキ供給部(20)の側面図であり、
図4(b)は、
図4(a)におけるAA´-BB´線上の断面図である。凹版インキ供給部(20)は、ロータ(21)と、ステータ(22)と、回転部(23)と、供給管(24)と、吸引口(25)と、吐出口(26)と、外筒(27)と、を備える。また、外筒(27)にロータ(21)及びステータ(22)を収容する構成となっている。ステータ(22)の長手側の一方に吸引口(25)が設けられ、他方には供給管(24)が設けられ、供給管(24)の末端には吐出口(26)が設けられている。
【0021】
ロータ(21)は、
図4(b)における一点鎖線で示した軸心に対する傾斜角度(θ)を有する溝が施された軸(21a)と、軸(21a)における吸引口(25)側の端部に接続された掘削部(21b)を有す。ロータ(21)は、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄等の金属材料から形成される。掘削部(21b)における先端の形状は問わないが、凹版インキの粘度が高いことを考慮し、先端を尖らせた形状とすることが好ましい。
【0022】
ステータ(22)は、外筒(27)内に設けられており、ロータ(21)の外周面を囲む位置に配置される。ステータ(22)は、ロータ(21)に施された溝と対応した螺旋状の貫通孔を有し、ロータ(21)が回転可能となるように挿通される。ステータ(22)の貫通孔の内面とロータ(21)に施された溝との間には凹版インキ(11)を搬送するための搬送空間(29)が形成される。
【0023】
ここで、搬送空間(29)の容積は常に一定であることが好ましい。搬送空間(29)の容積を一定とすることで凹版インキ(11)が膨張及び収縮され難くなり、安定した搬送状態を得ることができる。
【0024】
また、ステータ(22)の外周面にはステンレス鋼、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる外筒(27)が装着され、ステータ(22)が径方向の外側に変形することが防止される。なお、径方向とは、
図4(a)中における矢印で示したS1方向を指す。
【0025】
回転部(23)は、回転駆動部(23a)と回転駆動接続部(23b)を備える。回転駆動接続部(23b)の一方は、回転駆動部(23a)に接続され、他方は、ロータ(21)と接続される。回転駆動部(23a)からの駆動力が回転駆動接続部(23b)を介してロータ(21)に伝達され、ロータ(21)が回転駆動する。回転部(23)は、ステンレス鋼、アルミ二ウム、鉄等の金属材料を円筒状としたものである。
【0026】
図5は、凹版インキ貯蔵部(10)と凹版インキ供給部(20)を接続した状態を示した図である。
図5(a)は、凹版インキ貯蔵部(10)と凹版インキ供給部(20)を接続した状態の斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)におけるAA´-BB´線上の断面図である。
図5に示すように、凹版インキ供給部(20)における吸引口(25)は、凹版インキ貯蔵部(10)と封止状態となるように接続される。また、
図5(b)に示すように、掘削部(21b)は、凹版インキ(11)と直接接触し、ロータ(21)の回転に伴い凹版インキ(11)を融解することで流動性を高め、流動性が向上した凹版インキ(11)は、ロータ(21)とステータ(22)に施された螺旋状の溝に沿って上昇していき、搬送空間(29)及び供給管(24)を経て、吐出口(26)へ搬送される。
【0027】
図6は、ロータ(21)において、吐出口(26)側から吸引口(25)側に向かって、径を縮小した構成を示した図である。
図6(a)は斜視図を示した図であり、
図6(b)は
図6(a)におけるAA´-BB´線上の断面図を示した図である。なお、ロータ(21)における断面積にあわせて、ステータ(22)における貫通孔の径を変更する必要がある。この構成によると、吸引口(25)側の面積を小さくすることで、高い圧力にて凹版インキ(11)を吸引することができる。また、凹版インキ(11)は、吐出口(26)に向かうにしたがい断面積が拡大する軸(21a)を伝いながら偏心運動し搬送されるため、高い供給効率を得ることができる。
【0028】
本発明の実施形態においては、
図4(b)に示すように、ロータ(21)全周面を囲むようにステータ(22)を設けた構成を例示したが、
図7に示すように、ステータ(22)の一部が分断された構成であってもよい。この構成により、ステータ(22)の長さを短縮することができ、ステータ(22)の製造コストを抑えることが可能となる。また、使用に伴う摩耗や、流動物によってロータ(21)が一部損傷した場合においても、損傷箇所に適宜ステータ(22a、22b)を設けることで、流動物の搬送を適切な状態に回復させることができる。なお、ステータ(22)における損傷状態の確認は、ステータ(22)を直接目視することで確認してもよいし、ステータ(22)及び外筒(27)の一部を透明又は半透明な基材を用いることで確認してもよい。
【0029】
吸引口(25)の隣接した位置には、凹版インキ(11)の機能性を測定する機能性測定部(28)を備えていてもよい。機能性測定部(28)は、例えば、検査対象となる凹版インキ(11)が有する機能であり、磁性であれば磁気検出センサ、赤外特性の場合は赤外線センサなどが挙げられる。
【0030】
次に、
図8を用いてインカー部(30)について説明する。
図8(a)は、インカー部(30)の斜視図であり、
図8(b)はインカー部(30)のCC´-DD´線上の断面図を示す図である。
図8に示すようにインカー部(30)は、ダクトローラ(31)と、凹版インキつぼ(32)と、供給量検知部(33)とを備える。インカー部(30)におけるそれぞれの構成について次に説明する。
【0031】
凹版インキつぼ(32)は、凹版インキ供給部(20)における吐出口(26)から排出された凹版インキ(11)を受け止める位置に配置され、また、ダクトローラ(31)は、凹版インキつぼ(32)と接続された位置に配置される。凹版インキ供給部(20)から供給された凹版インキ(11)は、凹版インキつぼ(32)内に貯えられ、ダクトローラ(31)に転移される。
【0032】
供給量検知部(33)は、凹版インキつぼ(32)内における凹版インキ(11)の量を光学センサや液面センサ、カメラセンサ等にて検知する手段である。供給量検知部(33)は、凹版インキつぼ(32)内に設けられる。
【0033】
制御部(40)は、供給量検知部(33)によって検知した凹版インキ(11)量の増減を基に、凹版インキ(11)の供給又は供給停止を制御する部である。
【0034】
制御部(40)、そして、制御部(40)に連接する構成をブロック図として
図9に示す。制御部(40)は、記憶手段(41)と、判定手段(42)と、指令手段(43)とを有する。以下、制御部(40)におけるそれぞれの手段について説明する。
【0035】
記憶手段(40)は、第1の記憶手段(41a)と、第2の記憶手段(41b)を有する。記憶手段(41)はハードディスクや不揮発性メモリといった記憶デバイスで構成され、凹版インキ供給の状態における良否判定の基準となるデータを予め記憶させておく。
【0036】
第1の記憶手段(41a)は、機能性の上限値及び下限値を記憶する手段である。第1の記憶手段(41a)が記憶する機能性は、磁性や赤外特性等であり、機能性測定部(28)の測定する機能性と対応する特性であれば、特に限定されるものではない。
【0037】
第2の記憶手段(41b)は、凹版インキつぼ(32)内の凹版インキ(11)量を記憶する手段である。第2の記憶手段(41b)に、凹版インキつぼ(32)内における上限値及び下限値となる凹版インキ(11)量を予め記憶させる。
【0038】
判定手段(42)は機能性測定部(28)によって測定された値及び供給量検知手段(33)によって測定された凹版インキつぼ(10)内における凹版インキ(11)の量が、記憶手段(41)において記憶された上限値を上回っていないか又は下限値を下回っていないかを判定する手段である。判定手段(42)は、第1の記憶手段(41a)と第2の記憶手段(41b)にそれぞれ対応した第1の判定手段(42a)と、第2の判定手段(42b)を有する。判定手段(42)は、汎用パソコン等の中央演算処理装置(CPU)にて構成され、記憶手段(41)から、良否判定処理を行うとともに、機能性測定部(28)にて測定された光学センサの値又は供給量検知手段(33)にて測定された値を用いて良否判定を行う。
【0039】
第1の判定手段(42a)は、第1の記憶手段(41a)から、予め記憶させた凹版インキの磁性値の上限値及び下限値を基に良否判定処理を行う手段である。
【0040】
第2の判定手段(42b)は、第2の記憶手段(41b)から、予め記憶させた凹版インキつぼ(32)における凹版インキ量の上限値及び下限値を基に、供給量検知手段(33)にて測定された供給量を検知して良否判定を行う手段である。
【0041】
指令手段(43)は、判定手段(42)の結果を基に、凹版インキ(11)の供給又は供給停止の指令を、凹版インキ供給部(20)における回転部(23)に伝達するための手段である。
【0042】
予め記憶手段(41)に設定してある上限値及び下限値との比較を行った後、下限値を上回り、かつ、上限値を下回っていれば「良」と判定され供給を継続させるように回転部(23)へと指令を出す。また、下限値を下回っていた場合又は上限値を上回っていた場合は「否」と判定され、回転部(23)を停止させるための指令を出し、指令を受けた凹版インキ供給部(20)は、凹版インキ(11)の供給を中断するため、回転部(23)を停止させる。なお、確実に凹版インキ(11)の供給を中断させるために、凹版インキ自動供給機構(1)の稼動を停止させる指令とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1…凹版インキ自動供給機構
10…凹版インキ貯蔵部
11…凹版インキ
12…蓋部
13…凹版インキ加温部
20…凹版インキ供給部
21…ロータ
22…ステータ
23…回転部
23a…回転駆動部
23b…回転駆動接続部
24…供給管
25…吸引口
26…吐出口
27…外筒
28…機能性測定部
29…搬送空間
30…インカー部
31…ダクトローラ
32…凹版インキつぼ
33…供給量検知手段
40…制御部
41…記憶手段
42…判定手段
43…指令手段