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特開2024-175774半導体製造装置、塗布装置および半導体装置の製造方法
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  • 特開-半導体製造装置、塗布装置および半導体装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175774
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】半導体製造装置、塗布装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H01L21/52 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093766
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤森 由樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 宜久
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047BA01
5F047BA32
5F047BB11
5F047BB16
5F047FA01
5F047FA08
5F047FA14
5F047FA22
5F047FA77
5F047FA83
(57)【要約】
【課題】塗布パターンの設定を容易にすることが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、基板を保持するステージと、認識カメラと、前記ステージの上方に移動可能に設けられるノズルと、前記ノズルによってペーストが塗布された基板にダイをボンドするボンドヘッドと、前記認識カメラで前記ステージ上に保持される基板を撮影して基板画像を取得し、前記基板画像と選択された塗布パターンを重ねて画面に表示するよう構成される制御装置と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するステージと、
認識カメラと、
前記ステージの上方に塗布パターンに従って移動可能に設けられるノズルと、
前記ノズルによってペーストが塗布された基板にダイをボンドするボンドヘッドと、
前記認識カメラで前記ステージ上に保持される基板を撮影して基板画像を取得し、前記基板画像と選択された塗布パターンを重ねて画面に表示するよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、ペーストの試験塗布を行い、塗布後の複数の時間経過におけるペーストの平面形状を前記認識カメラで撮影してそれぞれのペースト画像を登録するよう構成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記ペースト画像から設定された塗布後の経過時間に対応するペースト画像を取得して前記基板画像と前記塗布パターンに重ねて前記画面に表示するよう構成される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項2の半導体製造装置において、
前記制御装置は、さらに、塗布後の複数の時間経過におけるペーストの側面形状を認識カメラで撮影してそれぞれのペーストの高さ情報を登録するよう構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項4の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記ペースト画像から設定された塗布後の経過時間に対応するペースト画像および高さ情報を取得して前記基板画像と前記塗布パターンに重ねて前記画面に表示するよう構成される半導体製造装置。
【請求項6】
基板を保持するステージと、
認識カメラと、
前記ステージの上方に塗布パターンに従って移動可能に設けられるノズルと、
前記認識カメラで前記ステージ上に保持される基板を撮影して基板画像を取得し、前記基板画像と選択された塗布パターンを重ねて画面に表示するよう構成される制御装置と、
を備える塗布装置。
【請求項7】
基板を保持するステージと、認識カメラと、前記ステージの上方に塗布パターンに従って移動可能に設けられるノズルと、前記認識カメラで前記ステージ上に保持される基板を撮影して基板画像を取得し、前記基板画像と選択された塗布パターンを重ねて画面に表示するよう構成される制御装置と、を備える半導体製造装置に基板を搬入する工程と、
前記基板に前記ノズルによってペーストを塗布する塗布工程と、
ペーストが塗布された前記基板にダイをボンドするボンディング工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば、塗布装置を備えるダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハから分割されたダイがピックアップされ、ペーストが塗布された部材にピックアップされたダイがボンドされることがある。ここで、ペーストは液体状の接着剤であり、例えば、樹脂ペーストや半田である。シリンジの先端のノズルからペーストが射出され、ノズルの軌跡(塗布パターン)に従ってペーストが塗布される(例えば、特開2020-4812号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-4812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイの形状やサイズによって必要とされる塗布パターンが異なるため、塗布パターンをダイに応じて設定する必要がある。適切な設定が行われない場合には良好な塗布品質が得られないことがある。
【0005】
本開示は、塗布パターンの設定を容易にすることが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、基板を保持するステージと、認識カメラと、前記ステージの上方に移動可能に設けられるノズルと、前記ノズルによってペーストが塗布された基板にダイをボンドするボンドヘッドと、前記認識カメラで前記ステージ上に保持される基板を撮影して基板画像を取得し、前記基板画像と選択された塗布パターンを重ねて画面に表示するよう構成される制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、塗布パターンの設定を容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの概略を示す上面図である。
図2図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3図3図1に示すプリフォーム部の概略を示す側面図である。
図4図4図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
図5図5図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図6図6は塗布パターンの設定画面を示す図である。
図7図7図6に示す設定画面に表示されるリードフレームおよび塗布パターン例を示す図である。
図8図8は塗布されたペースト形状の経時変化を示す図である。
図9図9図8に示すペーストの輪郭画像を示す図である。
図10図10は第一変形例における塗布パターンの設定画面を示す図である。
図11図11は実施形態および第一変形例における設定画面の表示方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し、繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0010】
半導体製造装置の一態様としてのダイボンダの構成について図1から図3を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの概略を示す上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。図3図1に示すプリフォーム部の概略を示す側面図である。
【0011】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20と、中間ステージ部30と、プリフォーム部90と、ボンディング部40と、搬送部50と、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置、コントローラ)80と、を有する。Y2-Y1方向がダイボンダ1の前後方向であり、X2-X1方向が左右方向であり、Z1-Z2方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0012】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。
【0013】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。図示しないウエハ修正シュートによりウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントが行われる。図示しないウエハエキストラクタによりウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0014】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ダイシングテープDTはウエハリングWRに保持されている。ウエハWは、例えば、半導体ウエハやガラスウエハであり、ダイDは半導体チップやガラスチップ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。
【0015】
ウエハ保持台12は図示しないXYテーブルおよび駆動部によってX1-X2方向およびY1-Y2方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転させる。剥離ユニット13は図示しない駆動部によってZ1-Z2方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0016】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0017】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY1-Y2方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX1-X2方向に移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0018】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。
【0019】
プリフォーム部90は、シリンジ91と、駆動部93と、認識カメラとしてのプリフォームカメラ94と、プリフォームステージ96と、を有する。シリンジ91は下部の先端にノズル92を有する。シリンジ91は搬送部50によりプリフォームステージ96に搬送されてきた基板Sにペーストを塗布する。駆動部93はシリンジ91をX1-X2方向、Y1-Y2方向およびZ1-Z2方向に動かす。基板Sは、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0020】
プリフォームカメラ94はシリンジ91によって基板Sに塗布されたペーストの位置等を把握する。プリフォームステージ96はペーストを基板Sに塗布する際に上昇し、基板Sを下方から支える。プリフォームステージ96は基板Sを真空吸着するための吸着孔(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。
【0021】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY1-Y2方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX1-X2方向に移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0022】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて、搬送されてくる基板Sのペーストが塗布されたパッケージエリアP上にダイDをボンド(載置して接着)する。
【0023】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する一対の搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX1-X2方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0024】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0025】
ダイボンダ1の制御系について図4を用いて説明する。図4図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
制御系8は制御部80と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は主記憶装置82aと補助記憶装置82bとを有する。主記憶装置82aは、処理プログラムなどを記憶しているRAM(Random Access Memory)で構成される。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。
【0027】
入出力装置83は、ダイボンダ1の装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタ83aを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。入出力装置83は、さらに、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブルやボンディング部40のボンドヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御する。I/O信号制御装置83fは信号部87から信号を取り込んだり、信号部87を制御したりする。信号部87は、種々のセンサ、照明装置などの明るさを制御するスイッチやボリューム等を含む。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0028】
制御・演算装置81は画像取込装置83dを介して光学系88で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34、基板認識カメラ44およびプリフォームカメラ94が含まれる。光学系88で使用するカメラは光強度や色を数値化する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81はダイDおよび基板Sの位置決め、ペーストの塗布パターンの検査並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81は算出したダイDおよび基板Sの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスにより、制御・演算装置81はウエハW上のダイDの位置決めを行い、ウエハ供給部10、ピックアップ部20およびボンディング部40の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンドする。
【0029】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一工程であるボンド工程(半導体装置の製造方法)について図5を用いて説明する。図5図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0030】
(ウエハ搬入:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。
【0031】
(基板搬入:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0032】
(ピックアップ:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によってダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0033】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によってダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0034】
ステージ認識カメラ34によって中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1のダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0035】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0036】
(プリフォーム:工程S4)
S2工程後、搬送部50によって基板Sがプリフォームステージ96に搬送される。プリフォームカメラ94によって塗布前の基板Sの表面が撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてペーストを塗布すべき面が確認される。塗布すべき面に問題なければ、プリフォームステージ96により支持された基板Sのペーストが塗布される位置が確認されて位置決めされる。位置決めはパターンマッチングなどで行われる。
【0037】
ペーストがシリンジ91の先端のノズル92から射出され、ノズル92の軌跡に従って基板Sに塗布される。シリンジ91に収納されているペーストが基板Sに塗布される際、例えば、エアパルス方式のディスペンサから一定の時間、空気等の加圧気体がシリンジ91の上部から供給されて、所定量のペーストが吐出される。ノズル92が基板Sに近接された状態で、シリンジ91がXY平面内で2次元的に走査(描画動作)される。
【0038】
プリフォームカメラ94によって塗布されたペーストが撮影される。撮影によって取得された画像に基づいてペーストが正確に塗布されているかどうかが確認されて、塗布されたペーストの検査(外観検査)が行われる。すなわち、外観検査では、塗布されたペーストが基板Sの所定位置に所定の形状で所定量だけ塗布されているかが確認される。検査内容は、例えば、ペーストの有無、塗布面積、塗布形状(過不足、はみ出し)などである。検査は二値化処理にてペーストの領域を分離後に画素数を数える方法のほか、差分による比較、パターンマッチングによるスコアを比較する方法などで行われる。
【0039】
(ボンド:工程S5)
塗布に問題なければ搬送部50によって基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44によって撮影され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダの基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0040】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42によって吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によってボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。基板認識カメラ44によって基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0041】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0042】
(基板搬出:工程S6)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0043】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0044】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sを載置格納した搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層される。そして、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0045】
ペーストの塗布パターンの設定について図6および図7を用いて説明する。図6は塗布パターンの設定画面を示す図である。図7図6に示す設定画面に表示されるリードフレームおよび塗布パターン例を示す図である。以下、基板SとしてリードフレームLFを例に説明する。
【0046】
上述したように、シリンジ91の描画動作によってペーストがシリンジ91の先端のノズル92から射出され、ノズル92の軌跡に従って基板SのパッケージエリアPの所定箇所(リードフレームLFのダイ載置部としてのタブTBの所定箇所)に塗布される。ノズル92の軌跡、すなわち、塗布パターンは、例えば、×印形状や十字形状などである。
【0047】
上述したように、ダイの形状やサイズ、ペーストが塗布される部材等によって必要とされる塗布パターンが異なるため、塗布パターンをダイや部材に応じて設定する必要がある。
【0048】
本実施形態では、塗布パターンの設定時において、図6に示すように、操作画面(設定画面)としてのタッチパネル83bにリードフレームLFのタブTBおよび塗布パターンPAPが表示される。
【0049】
より具体的には、事前(塗布パターンの設定時前)に、制御部80は、プリフォームカメラ94によってリードフレームLFのタブTBを撮影して、図7に示すようなリードフレームLFのタブTBの画像を記憶装置82に保存しておく(ステップS11)。
【0050】
塗布パターンの設定時に、制御部80は、設定画面に図7に示すようなリードフレームLFのタブTBの画像を表示する(ステップS12)。
【0051】
塗布パターンPAPは、設定画面上で入力される(ステップS13)。入力は、例えば、予め登録された塗布パターンから選択してもよいし、数値入力で行ってもよい。また、外部機器から通信などでダイボンダへ入力するようにしてもよい。
【0052】
次に、図6に示すように、制御部は、設定画面に表示したリードフレームLFのタブTBのサイズと同一比率の塗布パターンPAPをリードフレームLFのタブTBの画像の上に重ねて表示する(ステップS14)。
【0053】
ダイボンダの操作者は画面を見ながらペーストの位置やサイズを調整する。その際、必要に応じてステップS13,S14を繰り返す。問題が無ければペースト形状を決定し、生産(塗布)を開始する。
【0054】
本実施形態によれば、実際のリードフレームLFのタブTBの画像上に塗布パターンPAPを表示するので、視覚的にタブTB内でどういう塗布パターンになるか確認することが可能となる。これにより、視覚的にタブサイズと塗布パターンのサイズを比較することが可能となり、ペースト塗布のミスを事前に防止できる。また、タブTBと塗布パターンPAPのサイズの比率を把握しやすくなるため、ユーザビリティが向上する。
【0055】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0056】
(第一変形例)
第一変形例における塗布パターンの設定について図8から図11を用いて説明する。図8は塗布されたペースト形状の経時変化を示す図である。図9図8に示すペーストの輪郭画像を示す図である。図10は第一変形例における塗布パターンの設定画面を示す図である。図11は実施形態および第一変形例における設定画面の表示方法を説明する図である。
【0057】
リードフレームLFのタブTBにペーストPAを塗布すると、図8に示すように、時間経過とともにペーストPAが広がっていく。
【0058】
事前(連続動作前、生産動作前、塗布パターン設定前)に、制御部80は、ペーストPAのリードフレームLFのタブTBへの試験塗布を実施する。制御部80は、塗布と同時に経過時間の測定を開始する。制御部80は、測定している経過時間が所定時間になった時、プリフォームカメラ94を用いてペーストPAの画像を取得し、記憶装置82に格納して登録する(ステップS21)。これにより、ペーストの平面形状の経時変化の画像が登録される。
【0059】
例えば、制御部80は、所定時間がtaの時に、リードフレームLFに塗布されたペーストPAをプリフォームカメラ94で撮影して図8のt=taに示す画像が登録される。その後、制御部80は、所定時間がtbの時に、リードフレームLFに塗布されたペーストPAをプリフォームカメラ94で撮影して図8のt=tbに示す画像が登録される。その後、所定時間がtcの時に、リードフレームLFに塗布されたペーストPAをプリフォームカメラ94で撮影して図8のt=tcに示す画像が登録される。
【0060】
次に、制御部80は、登録されたペーストの経時変化の画像から、図9に示すような、t=ta、tb、tcにおけるペーストの輪郭画像CTa,CTb,CTcを生成して登録する(ステップS22)。
【0061】
設定されたペースト塗布後の経過時間に対応するペーストの画像を登録された輪郭画像CTa~CTcの中から選択して、ステップS14で表示された画像に重ねて表示する(ステップS23)。選択方法は、表示された画像を直接選択してもよいし、シークバーをスクロールして経過時間を切り替え、対応する経過時間の画像を表示し選択してもよい。
【0062】
ダイボンダの操作者は画面を見ながらペーストの位置やサイズを調整する。その際、必要に応じてステップS13,S14,S23を繰り返す。問題が無ければペースト形状を決定し、生産(塗布)を開始する。
【0063】
第一変形例によれば、ペーストの経時変化も併せて表示するため、ボンディング直前のペースト形状を確認しながら塗布パターンを決定できる。実際に塗られた後のペーストの形状をタブと共に表示するので、視覚的にタブサイズと塗布パターンのサイズを比較することが可能となり、ペースト塗布のミスを事前に防止できる。また、ダイをボンディングする直前のペースト形状がタブ内でどうなっているかも塗布前に確認できるので、ダイをボンドした後のペーストのはみ出しなどを事前に予想することによって、適切な塗布形状を設定できるので塗布品質を上げられる。
【0064】
(第二変形例)
ペーストの平面形状の経時変化の予測に加えて高さの情報も重ねて表示するようにしてもよい。
【0065】
例えば、第一変形例のステップS21において、さらに、制御部80は、測定している経過時間が所定時間になった時、ペーストを真横から位置を変えたプリフォームカメラ94または別のカメラによって撮影してペーストPAの側面形状の画像を取得し、記憶装置82に格納して登録する。これにより、ペーストの高さ情報を含む立体形状の経時変化の画像が登録される。
【0066】
次に、ステップS22において、さらに、制御部80は、ペーストの輪郭画像CTa,CTb,CTcに高さ情報である等高線を追加した画像やヒートマップ画像などを生成して登録する。
【0067】
ステップS23において、設定されたペースト塗布後の経過時間に対応するペーストの画像を高さ情報が追加された画像の中から選択して、ステップS14で表示された画像に重ねて表示する。
【0068】
(第三変形例)
第一変形例のステップS21,S22において登録されるペーストの平面形状の経時変化の画像および第二変形例において登録されるペーストの立体形状の経時変化の画像の少なくとも一つを記憶装置82に登録しておく。新たにペースト塗布条件を決めた際に記憶装置82へ登録されているか検索した後に、登録されていない場合にステップS21,S22を行うようにしてもよい。
【0069】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0070】
実施形態では、ウエハ供給部10とボンディング部40との間に中間ステージ部30を設け、ピックアップヘッド21でウエハ供給部10からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンドヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Sにボンドする例を説明した。ボンドヘッド41でウエハ供給部10からピックアップしたダイDを基板Sにボンドするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
92・・・ノズル
94・・・プリフォームカメラ(認識カメラ)
96・・・プリフォームステージ(ステージ)
80・・・制御部(制御装置)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11