IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧

特開2024-175910窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット
<>
  • 特開-窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175910
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
C23C14/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094004
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 好郎
(72)【発明者】
【氏名】召田 雅実
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA02
4K029BA58
4K029CA05
4K029DC05
4K029DC09
4K029DC12
(57)【要約】
【課題】酸素の混入が抑制された窒化ガリウム膜を成膜することができる窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットを提供すること。
【解決手段】単結晶窒化ガリウムからなる本体部を備える、窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。本体部の厚さは2mm以下であってよい。窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットは、バッキングプレートと、本体部及びバッキングプレートを接合する接合材とをさらに備えてもよい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶窒化ガリウムからなる本体部を備える、窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
【請求項2】
前記本体部中の酸素含有量が5×1018atoms/cm3以下である、請求項1に記載の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
【請求項3】
前記本体部の厚さが2mm以下である、請求項1又は2に記載の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
【請求項4】
バッキングプレートと、前記本体部及び前記バッキングプレートを接合する接合材とをさらに備え、前記接合材がインジウムを含む、請求項1又は2に記載の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム膜成膜用のスパッタリングターゲットとしては、従来、比較的低コストで製造できかつ大型化が可能であることから、窒化ガリウム焼結体、すなわち窒化ガリウムの多結晶体(特許文献1参照)や、複数の窒化ガリウム単結晶体と複数の窒化ガリウム単結晶体の間の隙間を埋める金属インジウムの埋め込み材とを有する複合ターゲット(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―172437号公報
【特許文献2】特開2021-181595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の窒化ガリウム焼結体すなわち窒化ガリウムの多結晶体をスパッタリングターゲットとして用いた場合、得られる窒化ガリウム膜中に酸素が混入しやすい。また、上記特許文献2に記載された複合ターゲットを使用した場合は、得られる窒化ガリウム膜中に金属インジウムなどの埋め込み材が混入してしまう。その上、得られる窒化ガリウム膜中に酸素が混入しやすい。
【0005】
本開示の発明者らは、上記特許文献1に記載の窒化ガリウム焼結体すなわち窒化ガリウムの多結晶体をスパッタリングターゲットとして用いた場合に、複数の窒化ガリウム結晶間の粒界に付着した酸素や水分の影響により、成膜される窒化ガリウム膜中に酸素が混入しやすくなると考えた。また、上記特許文献2に記載された複合ターゲットを使用した場合に、複合ターゲットに含まれる複数の窒化ガリウム単結晶体間に付着する酸素や水分等の影響によって、成膜される窒化ガリウム膜中に酸素が混入しやすくなると考えた。
【0006】
本開示は、酸素の混入が抑制された窒化ガリウム膜の成膜を可能とする窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内容は特許請求の範囲に記載のとおりであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
(1) 単結晶窒化ガリウムからなる本体部を備える、窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
(2) 前記本体部中の酸素含有量が5×1018atoms/cm3以下である、(1)に記載の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
(3) 前記本体部の厚さが2mm以下である、(1)又は(2)に記載の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
(4)バッキングプレートと、前記本体部及び前記バッキングプレートを接合する接合材とをさらに備え、前記接合材がインジウムを含む、(1)又は(2)に記載の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、酸素の混入が抑制された窒化ガリウム膜を成膜することができる窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について一例を挙げて詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット>
まず、本開示の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットの一実施形態について図1を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示されるように、窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット(以下、単に「ターゲット」ともいう)100は、単結晶窒化ガリウムからなる本体部10を備える。
ターゲット100は、バッキングプレート20と、本体部10及びバッキングプレート20を接合する接合材30とをさらに備えてもよい。
【0013】
ターゲット100によれば、本体部10が単結晶窒化ガリウムからなり、結晶間の粒界に酸素や水分等が付着することが抑制されるため、ターゲット100を用いて窒化ガリウム膜を成膜すると、酸素の混入が抑制された窒化ガリウム膜を成膜することができる。
なお、本体部10が単結晶窒化ガリウムからなるため、本体部10がスパッタリングされる際に、本体部10から飛び出す窒化ガリウム粒子の方向が揃いやすく、成膜速度を向上させることができると考えられる。
また、本体部10が単結晶窒化ガリウムからなることで、本体部10の表面に凹凸が生じにくくなるため、成膜中に、本体部10の表面に局所的に過大な電界が加わることが抑制され、本体部10の一部が粗大な粒子として脱離しにくくなると考えられる。この場合、スパッタリングにより、窒化ガリウム膜の表面上に窒化ガリウムの粗大な粒子が付着することが抑制される。これにより、窒化ガリウム膜の上に別の複数の層を積層させてデバイスを作製する場合に、デバイスの性能が低くなることを抑制することができる。
【0014】
以下、本体部10、バッキングプレート20及び接合材30について詳細に説明する。
【0015】
(本体部)
本体部10は単結晶窒化ガリウムからなる。
単結晶窒化ガリウムの結晶構造は六方晶構造であることがより好ましい。
単結晶窒化ガリウムの結晶構造が六方晶構造である場合、c軸の方向は、本体部10の表面に対して直交することが好ましい。c軸の方向は、本体部10の表面に対して平行であってもよい。
【0016】
本体部10中の酸素含有量は、本体部10が単結晶窒化ガリウムからなるため十分に少ない量であるが、好ましくは5×1018atoms/cm3以下であり、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下であり、特に好ましくは5×1017atoms/cm3以下である。本体部10中の酸素含有量が5×1018atoms/cm3以下であることで、ターゲット100を用いて窒化ガリウム膜を成膜する場合に酸素の混入が特に十分に抑制された窒化ガリウム膜を成膜することができる。
本体部10中の酸素含有量は、0atoms/cm3以上であってもよいが、1×1015atoms/cm3以上、5×1015atoms/cm3以上又は1×1016atoms/cm3以上であってもよい。
酸素含有量の上限及び下限は、上記のいずれの組合せであってもよい。
本体部10中の酸素含有量は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて、本体部10の表面からの深さ方向に沿って測定される酸素含有量のうち本体部10の表面から深さ50nmの位置における酸素含有量をいう。
なお、酸素含有量の単位「atoms/cm3」は、1cm3あたりの原子数である。
【0017】
上記本体部10の相対密度は特に制限されるものではないが、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である、
また、上記本体部10の相対密度は、100%以下、99%以下又は98%以下でもよい。
相対密度の上限及び下限は、上記のいずれの組合せであってもよい。
相対密度は、単結晶窒化ガリウムの真密度に対する本体部10の密度の百分率で算出することができる。
【0018】
上記本体部10の厚さは特に制限されるものではないが、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1.5mm以下であり、特に好ましくは1.0mm以下である、
また、上記本体部10の厚さは、0.1mm以上、0.2mm以上又は0.3mm以上でよい。
厚さの上限及び下限は、上記のいずれの組合せであってもよい。
【0019】
(バッキングプレート)
バッキングプレート20は、本体部10のスパッタリング中に本体部10を冷却するための金属部材であり、金属部材としては、例えば銅、チタン及びステンレススチール等が挙げられる。
【0020】
(接合材)
接合材30は、本体部10とバッキングプレート20とを接合できる材料で構成されていれば特に制限されるものではないが、スパッタリング時の熱拡散及び熱膨張の抑制の点でインジウム及びスズの少なくともいずれか(インジウム、スズ、又は、インジウムとスズとの合金)が好ましく用いられる。中でも、インジウムが特に好ましく用いられる。
【0021】
<窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法>
本開示の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法は、単結晶窒化ガリウムからなる本体部10を用意する第1工程を含む。本開示の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法は、第1工程の後に、接合材30を介して本体部10にバッキングプレート20を接合し、窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット100を得る第2工程をさらに含んでもよい。
【0022】
上記窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法によれば、酸素の混入が抑制された窒化ガリウム膜を成膜することができる窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット100を製造できる。
【0023】
上記第1工程において、本体部10は、具体的には、窒化ガリウムの単結晶体を、例えば研削又は切断等により、板状に加工することにより得られる。具体的な加工手段として、平面研削盤、円筒研削盤、旋盤、切断機、又はマシニングセンター等の機械加工機が挙げられる。
【0024】
<窒化ガリウム膜の成膜方法>
窒化ガリウム膜は、上記窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより、成膜用基板上に成膜することができる。
【0025】
(成膜用基板)
成膜用基板は、特に制限されるものではなく、成膜用基板としては、例えばサファイア基板及びシリコン基板が挙げられる。
成膜用基板の表面粗さRaは、特に制限されるものではないが、好ましくは1nm以下であり、より好ましくは0.5nm以下である。
成膜用基板の表面粗さRaは、好ましくは0nm以上、又は0.01nm以上であってもよい。
なお、表面粗さRaは算出平均粗さを表す。
【0026】
(成膜の前処理)
成膜前の成膜装置内の到達真空度は、特に制限されるものではないが、3×10-5Pa以下とすることが好ましく、1×10-5Pa以下とすることがより好ましい。真空度を3×10-5Pa以下とすることで、成膜時に残留気体が不純物として混入しにくくなり、窒化ガリウム膜の結晶性が向上する。成膜装置においては、残留気体を除去する目的で、成膜装置の真空引きを行う前に、成膜装置のベーキング処理をすることが好ましい。
【0027】
窒化ガリウム膜の成膜開始前に成膜用基板を成膜温度で一定時間保持することが好ましい。これにより、成膜前の成膜用基板の温度が均一になり、成膜物である窒化ガリウム膜の結晶性が向上する。例えば、保持時間は1分以上であることが好ましく、5分以上であることがより好ましく、10分以上であることがさらに好ましい。一方で、生産性を向上させる観点から、保持時間は1時間以下が好ましく、30分以下がより好ましい。
【0028】
(スパッタリング)
スパッタリングの方式としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、ECRスパッタリング法、パルスレーザー体積法及びイオンビームスパッタリング法の群から選ばれる1以上を適宜選択することができる。これらの中でも、大面積に均一に、かつ高速成膜可能な点でDCマグネトロンスパッタリング法及びRFマグネトロンスパッタリング法の少なくともいずれかが好ましい。
【0029】
スパッタリング時のガス圧力(成膜圧力)は特に制限されないが、例えば5Pa以下であればよく、好ましくは3Pa以下、更に好ましくは2Pa以下、特に好ましくは1Pa以下である。スパッタリング時のガス圧力は、例えば、0Pa以上、又は、0.1Pa以上であることが挙げられる。スパッタリング時のガス圧力が低いほど、ターゲットから放出された粒子(スパッタ粒子)が高エネルギーのまま成膜用基板に到達しやすく、成膜用基板がエピタキシャルに再配列しやすくなる。
【0030】
(成膜)
窒化ガリウム膜の成膜は成膜用基板を加熱した状態で行うことが好ましい。これにより、成膜用基板上に堆積した粒子のマイグレーションを促進し、安定な結晶状態の堆積膜を形成することができる。成膜用基板の加熱温度(成膜温度)は100℃以上1000℃以下であることが好ましく、200℃以上800℃以下であることがより好ましい。
【0031】
成膜に使用するガスは例えば窒素を主成分とすることが好ましい。成膜に使用するガスは、通常よく用いられるアルゴンをさらに含むことが好ましい。このとき、窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比(流量比)は0.7以上であることが好ましい。
【0032】
放電時の電力密度(放電密度)は1W/cm以上20W/cm以下であることが好ましく、1.5W/cm以上10W/cm以下であることがより好ましく、2.5W/cm以上5W/cm以下であることが更に好ましい。電力密度の計算は放電時にかける電力をスパッタリングターゲットのターゲット面の面積で除したものである。放電時の電力密度が20W/cm以下であると、ターゲットに与えるパワーによりスパッタリングターゲットから粗大な単結晶粒子が剥離しにくくなる。電力密度が1W/cm以上であると、プラズマが安定するため放電がしやすくなり、成膜速度が増加するため膜の生産性が向上する。さらに、スパッタ時のエネルギーが高く、成膜時に付着力が向上する。
【0033】
成膜時間は、窒化ガリウム膜の厚さに応じて適宜調整すればよい。成膜時間が長くなるほど窒化ガリウム膜の厚さを大きくすることができる。
【実施例0034】
以下、実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
表1に記載のターゲット特性を有する単結晶窒化ガリウム(株式会社新陽社製)からなる本体部を用意した。このとき、単結晶窒化ガリウムのc軸が本体部の表面に直交するようにした。
続いて、本体部を、インジウム系はんだ材を用いて銅製バッキングプレートに接合させた。
こうして窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットを作製した。
【0036】
(比較例1)
本体部を、単結晶窒化ガリウムに代えて、表1に記載のターゲット特性を有する多結晶窒化ガリウムで構成したこと以外は実施例1と同様にして窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットを作製した。
【0037】
<窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット特性>
表1に示すターゲット(本体部)特性としての酸素含有量、本体部の厚さ及び相対密度については以下のようにして測定又は算出した。
【0038】
(酸素含有量)
SIMSを用いて、本体部の表面からの深さ方向に沿って連続的に酸素含有量を測定した。測定された一連の酸素含有量のうち本体部の表面から深さ50nmの位置における酸素含有量を本体部の酸素含有量とした。
【0039】
(本体部の厚さ)
本体部の厚さは、ノギスで測定した。
【0040】
(相対密度)
JIS R 1601に準じてターゲットの密度を測定し、窒化ガリウムの真密度を6.08g/cmとした上でその相対密度(%)を算出した。
【0041】
<窒化ガリウム膜の成膜>
成膜用基板として、株式会社信光社製のサファイア基板(オフ角:無、表面粗さRa:0.09nm、直径:50.8mm(2インチ))を用意した。このとき、サファイア基板ではその表面が(0001)面となるようにした。
次に、実施例1又は比較例1の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット及び上記成膜用基板を用いて、表1に記載の成膜条件にてスパッタ成膜を行い、成膜用基板の表面上に窒化ガリウム膜を形成した。
【0042】
<窒化ガリウム膜の評価>
(膜厚)
触針式プロファイリングシステム(DekTak XT-S,Bruker社製)を用いて、基板表面とその上に形成された薄膜(窒化ガリウム膜)との段差を計測することで測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(酸素含有量)
得られた窒化ガリウム膜に対して二次イオン質量分析法を用いて、窒化ガリウム膜の表面から深さ方向に沿った酸素含有量を測定した。測定された酸素含有量のうち窒化ガリウム膜の表面から深さ50nmの位置における酸素含有量を窒化ガリウム膜の酸素含有量とした。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示す結果より、実施例1の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットでは、窒化ガリウム膜中の酸素含有量が5.00×1019atoms/cm3であったのに対し、比較例1の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットでは、窒化ガリウム膜中の酸素含有量が3.00×1020atoms/cm3であった。
以上より、本開示の窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲットによれば、酸素の混入が抑制された窒化ガリウム膜を成膜することができることが確認された。
【符号の説明】
【0046】
10…本体部、20…バッキングプレート、30…接合材、100…窒化ガリウム膜成膜用スパッタリングターゲット。
図1