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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176028
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241212BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241212BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
G03G15/00 107
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094220
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰吾
【テーマコード(参考)】
2H012
5C062
【Fターム(参考)】
2H012CC01
2H012CC11
5C062AA05
5C062AB29
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AC05
5C062AD01
5C062AD06
(57)【要約】
【課題】複数の幅サイズが混載した原稿の正確なセットを可能にする。
【解決手段】1枚あるいは複数の原稿が載置される原稿載置面を有する原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された原稿が当接される壁面と、前記原稿を1枚ずつ搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記壁面に設けられ、前記原稿載置面における原稿のセット位置を示す目盛りを有する位置指示部材と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚あるいは複数の原稿が載置される原稿載置面を有する原稿トレイと、
前記原稿を1枚ずつ搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記原稿トレイに対して原稿を載置するべき位置を指示する位置指示部材と、
を備え、
前記位置指示部材は、前記原稿に接触する位置あるいは前記原稿に対する接触位置の近傍で指示される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
1枚あるいは複数の原稿が載置される原稿載置面を有する原稿トレイと、
前記原稿トレイに載置された原稿が当接される壁面と、
前記原稿を1枚ずつ搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記壁面に設けられ、前記原稿載置面における原稿のセット位置を示す目盛りを有する位置指示部材と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記位置指示部材は、中央基準に対して原稿の幅方向の左右それぞれに所定の間隔で位置を指示する前記目盛りを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記位置指示部材は、中央基準に対して原稿の幅方向の左右の対象位置の組み合わせが分かるような前記目盛りを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記位置指示部材は、中央基準に対して原稿の幅方向の左右の対象位置の組み合わせを、記号または色の少なくとも何れか一方で示す、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記位置指示部材は、前記目盛りの幅を、中央基準に対して原稿の幅方向に離れるに従って変化させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記位置指示部材は、前記目盛りの幅を、中央基準に対して原稿の幅方向に離れるに従って広くなるように変化させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項8】
読み取った原稿の画像からエッジを検出する処理、検出したエッジ情報を元にスキュー補正する処理、検出したエッジ情報を元にレジスト位置を調整する処理、検出したエッジ情報を元に原稿サイズを切り出す処理の少なくとも何れか一つを実施する画像処理部を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記位置指示部材は、前記壁面に対して、シール状のシートとして貼り付けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記位置指示部材は、前記壁面から紐状体をたらす、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の画像読取装置と、
画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定形サイズや不定形サイズなどの複数の幅サイズが混載した原稿について、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)によって連続的にスキャン可能にした技術が知られている。このように複数の幅サイズが混載した原稿を連続的に搬送させるためには、原稿のピックアップ位置に対して複数の幅サイズが混載した原稿を適切に設置する必要がある。
【0003】
特許文献1には、複数の幅サイズが混載した原稿の適切なセット位置を示すために、ADFの上部の中央位置および中央位置に対する対称位置に、複数のポジションインジケータを備える技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術によれば、ADFの上部でのセット位置を指示するポジションインジケータの位置と実際に原稿が置かれる載置面とにおいて、原稿の積載可能枚数に応じた高さのギャップが存在するため、ポジションインジケータの位置と原稿端部との位置関係が視認しにくく、複数の幅サイズが混載した原稿のセットがしにくかったり、複数の幅サイズが混載した原稿のセット後のズレが発生したりする問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の幅サイズが混載した原稿の正確なセットを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、1枚あるいは複数の原稿が載置される原稿載置面を有する原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された原稿が当接される壁面と、前記原稿を1枚ずつ搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記壁面に設けられ、前記原稿載置面における原稿のセット位置を示す目盛りを有する位置指示部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の幅サイズが混載した原稿の正確なセットを可能にすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、ADFの原稿トレイ付近の構成例を示す説明図である。
図3図3は、画像形成装置の主要構成を示すブロック図である。
図4図4は、従来のADFの問題点について説明する図である。
図5図5は、位置指示部材によるセット位置指示の効果について説明する図である。
図6図6は、位置指示部材の変形例について示す図である。
図7図7は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置が備える画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、位置指示部材における目盛り幅とスキューの関係について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像読取装置および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の概略構成図である。図1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP:Multifunction Peripheral/Printer/Product)と称される画像形成装置100を一例として示している。図1に示すように、画像形成装置100は、大きくは、画像読取装置であるスキャナ110と、プロッタ120を備える。スキャナ110は、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)110A、画像読取部110Bを有する。プロッタ120は、給紙部103と、画像形成部105と、を備える。
【0011】
ADF110Aは、原稿トレイ125と、搬送部を構成する原稿給紙ローラ121と、原稿搬送ベルト122と、原稿排紙ローラ123と、原稿排紙トレイ124とを含んで構成されている。ADF110Aは、画像読取部110Bに対し、ヒンジなどの開閉機構(図示せず)を介して開閉自在に取り付けられている。原稿トレイ125には、走査されるべき1枚あるいは複数の原稿が、載置もしくは積載される。即ち、原稿トレイ125の上面が「原稿載置面」である。
【0012】
原稿給紙ローラ121は、原稿トレイ125に載置されて壁面128に当接させられた原稿束から原稿を1枚ずつ分離して、画像読取部110Bに向かって搬送する。原稿搬送ベルト122は、原稿給紙ローラ121によって分離された原稿を画像読取部110Bに搬送する。原稿排紙ローラ123は、原稿搬送ベルト122によって画像読取部110Bから排紙される原稿を、原稿トレイ125の下方の原稿排紙トレイ124に排紙する。
【0013】
なお、原稿トレイ125は、ユーザが原稿セットを行った後に給紙口126(図2参照)に向けて上昇することで、原稿トレイ125に載置された原稿が給紙される状態になる。
【0014】
画像読取部110Bは、筐体140と、走査光学ユニット141と、コンタクトガラス142と、駆動手段(図示せず)とを含んで構成されている。走査光学ユニット141は、筐体140の内部に設けられるとともに、LEDユニットを備えている。走査光学ユニット141は、LEDユニットから主走査方向に光を照射するとともに、駆動手段によって全照射領域内において副走査方向に走査される。これにより、走査光学ユニット141は、原稿の2次元カラー画像を読み取るようになっている。
【0015】
コンタクトガラス142は、画像読取部110Bの筐体140の上部に設けられ、筐体140の上面部を構成している。駆動手段は、走査光学ユニット141に固定された不図示のワイヤと、このワイヤに橋架される複数の従動プーリ(図示せず)および駆動プーリ(図示せず)と、駆動プーリを回転させるモータとを備えている。
【0016】
給紙部103は、給紙カセット130と、給紙手段131とを備えている。給紙カセット130は用紙サイズの異なる記録媒体としての用紙(図示せず)を収容する。給紙手段131は、給紙カセット130に収納された用紙を画像形成部105の主搬送路170まで搬送する。
【0017】
また、画像形成部105の側面には、手差しトレイ132が画像形成部105に対して開閉可能に配設されており、画像形成部105に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の用紙は、手差しトレイ132の送出ローラによって主搬送路170に向けて送り出される。
【0018】
主搬送路170には、レジストローラ対170aが配設されている。レジストローラ対170aは、主搬送路170内を搬送されてくる用紙をローラ間に挟み込んだ後、所定のタイミングで2次転写ニップに向けて送り込む。
【0019】
画像形成部105は、露光ユニット151、タンデム作像ユニット150、中間転写ベルト154、中間転写ローラ155、2次転写装置152、定着ユニット153などを有している。また、画像形成部105は、主搬送路170、反転搬送路173、排紙路160などを有している。
【0020】
図1に示すように、露光ユニット151は、タンデム作像ユニット150に隣接して配置されている。露光ユニット151は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応して設けられた感光体ドラム174に露光を行うようになっている。
【0021】
タンデム作像ユニット150は、中間転写ベルト154の上であって、中間転写ベルト154の回転方向に沿って配置されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの作像ユニット175から構成されている。個々の作像ユニット175は、詳細な図示を省略するが、上記各色に対応して設けられた感光体ドラム174の周りに帯電装置、現像装置、感光体クリーニング装置、除電装置などを備えている。そして、各感光体ドラム174とその周りに設けられる上記各装置がユニット化されて1つのプロセスカートリッジを構成している。
【0022】
タンデム作像ユニット150は、画像読取部110Bによって読み取られて色別分解された画像情報に基づいて、各感光体ドラム174に色分けしてトナーにより形成された可視画像(トナー画像)を形成するようになっている。また、各感光体ドラム174に形成された可視画像は、各感光体ドラム174と中間転写ローラ155との間で中間転写ベルト154に転写されるようになっている。
【0023】
一方、中間転写ベルト154を挟んでタンデム作像ユニット150の反対側には、2次転写装置152が設けられている。2次転写装置152は、転写部材としての2次転写ローラ521を有している。この2次転写ローラ521を中間転写ベルト154に押し当てることにより、2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップには、中間転写ベルト154に形成されたトナー画像が、給紙部103から主搬送路170を介して搬送された用紙に転写されるように構成されている。
【0024】
2次転写ニップでトナー画像が転写された用紙は、2つの支持ローラ157に張架された用紙搬送ベルト156により定着ユニット153へ送り込まれる。
【0025】
定着ユニット153は、無端ベルトである定着ベルト158に加圧ローラ159を押し当てて構成している。そして、定着ユニット153は、加圧ローラ159により用紙に熱と圧力を加えることにより、用紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、用紙にカラー画像として定着するようになっている。
【0026】
このようにしてカラー画像が定着された用紙は、排紙搬送路としての排紙路160を経由して機外の排紙トレイ161上にスタックされる。
【0027】
また、図1に示すように、反転搬送路173が、2次転写装置152および定着ユニット153の下側に設けられている。反転搬送路173は、用紙の両面に画像を形成するために、定着ユニット153から排出された用紙の表裏を反転させて再度、主搬送路170を介して2次転写装置152に供給するためのものである。
【0028】
また、主搬送路170や反転搬送路173には、搬送経路に沿って複数の紙詰まり検知手段としての搬送検知センサ(図示せず)が配置されている。なお、搬送検知センサの数や配置箇所は適宜設定される。各搬送検知センサが、それぞれ予め決められた時間内に用紙の通過を検知しないとき、用紙のジャム(不送り、紙詰まり)が発生したことを把握し、画像形成装置100の表示部(図示せず)などにジャムが発生したことを通知する。
【0029】
次に、ADF110Aの原稿トレイ125付近の構成例について詳述する。
【0030】
図2は、ADF110Aの原稿トレイ125付近の構成例を示す説明図である。画像形成装置100には図1に示すように、本体上部にADF110Aが備えられている。ADF110Aの原稿トレイ125には1対のサイドフェンス200が設置されている。
【0031】
サイドフェンス200は、原稿の主走査(幅)方向に移動可能な構成となっており、原稿の幅方向の両端をガイドする。また、このサイドフェンス200に、サイドフェンス200の移動に伴って連続的に出力が変化する公知の可変抵抗器等を用いた主走査長さ検知センサを搭載することで、原稿の主走査方向の長さを検知する機能を兼ねることができる。この場合、サイドフェンス200を原稿の両端に合わせた状態でサイドフェンス200の位置を検出することで、原稿の主走査方向の長さが検知される。
【0032】
また、ADF110Aは、原稿トレイ125に載置された原稿が給紙される給紙口126を備える開閉カバー127を備える。開閉カバー127の内部には、原稿トレイ125上の原稿を搬送するためのローラ群とギヤ群で構成される原稿給紙ローラ121が配置されている。開閉カバー127は、原稿トレイ125の下流側端部、及び原稿給紙ローラ121を隠蔽したり露出させたりするように、開閉自在に配置されたカバーである。なお、本実施形態においては、原稿給紙ローラ121は、原稿トレイ125の略中央に連通する位置に設けられている。
【0033】
加えて、ADF110Aは、開閉カバー127の給紙口126が備えられた壁面128に、原稿の適切なセット位置を示す目盛りを有する位置指示部材129を配置する。位置指示部材129は、複数の幅サイズが混載した原稿の適切なセット位置を示すために、原稿トレイ125の中央位置および中央位置に対する対称位置を示す目盛りを有するものである。位置指示部材129は、開閉カバー127の壁面128に印刷されている。なお、位置指示部材129は、開閉カバー127の壁面128に対して、シール状のシートで貼られるものであってもよい。また、位置指示部材129は、開閉カバー127の壁面128に印刷、または、シール状のシートで貼られるもの限るものではなく、位置指示部材129は、LEDなどの発光体によって、原稿に向けて所定の間隔で光を照射したり、光の色を変えたりすることで、中央位置および中央基準に対して幅方向の左右の対象位置の組み合わせを指示する構成でも良い。
【0034】
図3は、画像形成装置100の主要構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、用紙積載部300、給紙部301、作像部302、操作表示部303、記憶部304、制御部305、画像処理部310、画像読取部110B、を有する。
【0035】
用紙積載部300は、給紙カセット130、手差しトレイ132に給紙対象の用紙が積載される。給紙部301は、図1で示したように給紙部103を含み、給紙カセット130、給紙手段131、手差しトレイ132が含まれ、用紙を主搬送路170に繰り出して搬送する。作像部302は、図1の画像形成部105に該当し、作像プロセスに基づく画像の形成を行い、給紙搬送された用紙に画像を転写する。
【0036】
操作表示部303は、各種操作キー、例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ、LED等のランプ等を備える。操作キーは、画像形成装置100の複写、プリント、スキャナ等各機能の使用時に必要な操作、用紙の種別指定操作等の入力に用いられる。また、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容や、画像形成装置100からユーザに通知する各種情報が表示される。
【0037】
記憶部304は、例えばHDD(ハードディスクドライブ),ROM,RAM等で構成される。
【0038】
制御部305は、CPU(Central Processing Unit)306、ROM(Read Only Memory)307、RAM(Random Access Memory)308を備える。
【0039】
CPU306は、画像形成装置100全体の制御を司る。ROM307には、CPU306が実行するプログラムが格納され、CPU306がこのプログラムをROM307から読み出して実行する。RAM308は、CPU306の制御時におけるワーキングメモリとして用いられる。
【0040】
画像処理部310は、画像読取部110Bが読み取った読取画像に対して、所定の画像処理を行う。
【0041】
ここで、従来のADFの問題点について説明する。
【0042】
図4は、従来のADFの問題点について説明する図である。図4に示すように、従来のADF400では、原稿の適切な載置位置と載置方向を示す目的で、中央位置および中央位置に対する対称位置を示すポジションインジケータ402を、開閉カバー401の上部に備える。このポジションインジケータ402を利用することにより、原稿の中央または原稿の両端部の適切なセットを誘導することが可能となる。
【0043】
しかし、従来のADF400では、開閉カバー401の上部のポジションインジケータ402の位置と実際に原稿が置かれる原稿トレイ403とにおいて、原稿の積載可能枚数に応じた高さのギャップが存在する。実際には、原稿をセットするユーザは、画像形成装置の手前側に立ち原稿をセットするため、ADF400の手前から奥に向けて斜めに見下ろす視点となる。この場合、ポジションインジケータ402の位置と原稿を載置する原稿トレイ403との高さのギャップにより、ポジションインジケータ402の位置と原稿端部との位置関係が視認しにくく、原稿のセットがしにくかったり、原稿のセット後のズレが発生したりする問題があった。
【0044】
なお、従来のADF400では、側壁面にインジケータを設けることも検討されているが、原稿のセットしやすさを向上するためには原稿とインジケータとを接触して表示する必要があり、側壁面にインジケータを設けることでは問題は解消されない。
【0045】
加えて、従来のADF400では定形サイズの原稿を想定しており、サイドフェンス404の使用が一般的であるため、セット位置のズレの影響が小さい。しかしながら、近年、不定形サイズの原稿の混載も検討されている。このような混載の場合、大サイズと小サイズの組み合わせとなるため、サイドフェンス404による位置決めが効かなくなる。サイズが異なる原稿のセット位置ズレが生じてしまうと、スキュー品質など読取品質への影響が大きくなるため、サイズが異なる原稿の混載時における原稿のセット位置を正確にするための工夫が必要となる。
【0046】
そこで、本実施形態においては、開閉カバー127の壁面128に、原稿のセット位置を指示する位置指示部材129を設けることで、ADF110Aの手前から奥に向けて斜め方向から見た場合でも原稿のセット位置を正確に認識できるようにし、原稿の中央を原稿トレイ125に対してセットしやすくするようにしたものである。以下において、詳述する。
【0047】
図2に示したように、本実施形態のADF110Aにおいては、原稿セットのための位置指示部材129を原稿と接触する位置、あるいは原稿と接触する位置の近傍である開閉カバー127の壁面128に設ける。図2に示す例では、搬送方向の先端を揃えるために利用させる壁面128に位置指示部材129を設けることにより、原稿の先端と位置指示部材129とが接触する。
【0048】
なお、ユーザが位置指示部材129に合わせて原稿のセットを行った後、原稿トレイ125が給紙口126に向けて上昇することで、原稿は給紙される状態になり、読取が可能となる。
【0049】
なお、位置指示部材129は、必ずしも原稿先端が接触する位置に設ける必要はなく、原稿先端が接触する位置の近傍でも効果を出すことが可能である。原稿先端が接触する位置の近傍とは、例えば原稿先端が接触する位置の10mm以内などであれば、視認と実際に位置との差を十分小さくすることができる。
【0050】
図2に示すように、位置指示部材129が示すセット位置は、中央だけでなく、中央基準に対して幅方向に左右それぞれに所定の間隔で示される。これにより、ユーザに対して原稿の両端部を合わせる位置の調整を可能にし、原稿の中央がわかりにくい場合でも適切な位置での原稿トレイ125に対するセットが可能となる。
【0051】
さらに、位置指示部材129は、中央基準に対して幅方向の左右の対象位置の組み合わせが分かるよう指示をする。図2に示す例では、中央基準に対して幅方向の左右の対象位置の組み合わせを同じ数字で表している。これにより、ユーザは原稿をセットする際に、原稿の両端が同じ組み合わせ位置に来るかを確認することで、原稿トレイ125の中央位置へのセットが疑似的に可能となる。
【0052】
このように開閉カバー127の壁面128に位置指示部材129を設けることにより、セット位置と原稿の位置が直接視認できるため、セットのしやすさや、セット時の位置ずれを抑えるなどの効果がある。本実施形態では原稿先端を接触させる開閉カバー127の壁面128を利用することで、複数枚原稿をセットしても表示が確認できるメリットがある。原稿トレイ125に位置指示部材129を設けることも考えられるが、原稿トレイ125では大きい原稿を置いてしまうと小さい原稿では表示を確認できなくなる。
【0053】
続いて、位置指示部材129によるセット位置指示の効果について詳述する。
【0054】
ここで、図5は位置指示部材129によるセット位置指示の効果について説明する図である。図5では、開閉カバー127の内部に設けられる原稿給紙ローラ121が中央にある例を示す。図5(a)は複数の幅サイズが混載した原稿を原稿給紙ローラ121に対して中央に置けている例、図5(b)は複数の幅サイズが混載した原稿を原稿給紙ローラ121に対して中央に置けていない例を示す。
【0055】
図5(a)に示すように、本実施形態によれば、複数の幅サイズが混載した原稿を同時にセットしてスキャンする(異幅サイズ混載)場合に、どの幅サイズの原稿も原稿給紙ローラ121にかかるようにセットすることができる。複数の幅サイズが混載した原稿を同時にセットしてスキャンする(異幅サイズ混載)場合に、図5(b)に示すように、原稿給紙ローラ121の位置と原稿の中央位置とにずれがあると、回転方向の力が働きスキューしやすいといった現象が発生する。大きなスキューは原稿が搬送領域外に到達することで原稿へのダメージの発生やスキュー自体が画像品質に影響を与えることが考えられるため、抑える必要がある。そのために、複数の幅サイズが混載した原稿を同時にセットしてスキャンする(異幅サイズ混載)場合には、できるだけ原稿中央位置と原稿給紙ローラ121の位置とが合うようにセットされることが好ましい。
【0056】
すなわち、本実施形態によれば、原稿に接触する位置で指示することで、斜め方向から見た場合でもセット位置が正確にわかるようになり、ユーザが複数の幅サイズが混載した原稿の正確なセットを容易に可能にするとともに、印刷品質をも向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、サイドフェンス200がフリーな状態であっても、スキューしにくい原稿セット位置をユーザに指示することが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態においては、位置指示部材129は、開閉カバー127の壁面128に印刷、または、シール状のシートで貼られるものとして説明したが、これに限るものではない。以下に変形例について説明する。
【0059】
図6は、位置指示部材129の変形例について示す図である。図2に示す例では位置指示部材129を中央基準に対して幅方向の左右の対象位置の組み合わせを同じ数字で表したが、図6(a)に示すように、位置指示部材129は、中央基準に対して幅方向の左右の対象位置の組み合わせを、領域の色のパターンを変化させて示しても良い。数値や文字などの記号に比べ、色の場合は原稿端部が左右で同色の領域に来るかを見れば良いため、視認性が高い。なお、位置指示部材129は、色と記号を組み合わせて、中央基準に対して幅方向の左右の対象位置の組み合わせを示してもよい。
【0060】
また、図6(b)に示すように、位置指示部材129は、開閉カバー127の給紙口126が備えられた壁面128から、のれんのような形で原稿に対して紐やテープである紐状体129aをたらすことによって、位置を指示する構成も考えられる。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0062】
第2の実施の形態は、ユーザに原稿と同じサイズの画像での提供を行うようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0063】
上述したように、サイドフェンス200がフリーな状態でもスキューしにくい原稿セット位置をユーザに指示することが可能となる。これにより、大きなスキューが発生する可能性は小さくなるが、一方でスキューが完全に軽減できるわけではない。また、サイドフェンス200をフリーとして行う目的である複数種類の幅サイズの原稿スキャンでは、不定形原稿なども入力ができるため、読取時点では正確なサイズが分からず、ユーザに原稿と同じサイズの画像での提供を行うことができない。
【0064】
図7は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置100が備える画像処理部310の機能構成を示すブロック図である。図7に示すように、画像処理部310は、エッジ検出部3101と、直線検出部3102と、スキュー補正部3103と、レジスト調整部3104と、サイズ切り出し部3105と、を備える。
【0065】
エッジ検出部3101は、入力した画像データを元に、画像からエッジを検出する。エッジ検出部3101によるエッジ検出方法は、例えば背景領域と原稿領域との濃度差を検出したり、背景領域と原稿領域との境界にできる影を検出したりする方法など、具体的な方法は問わない。
【0066】
直線検出部3102は、エッジ検出部3101によってエッジ検出した結果から、各辺である直線を検出する。
【0067】
スキュー補正部3103は、エッジ検出部3101が検出したエッジ情報や直線検出部3102が検出した直線に応じて、スキュー補正を実行する。
【0068】
レジスト調整部3104は、レジスト位置の調整を実行する。レジスト調整部3104によるレジスト調整の方法は、直線検出部3102が検出した各辺である直線の交点を検出して補正するなど、具体的な方法は問わない。
【0069】
サイズ切り出し部3105は、エッジ検出部3101によってエッジ検出した結果から、原稿サイズの切り出しを実施する。サイズ切り出し部3105によるサイズ切り出しの方法は、エッジ検出部3101によってエッジ検出した結果から上下辺、左右辺の幅を検出し、サイズを検出し、補正するなど具体的な方法は問わない。
【0070】
これによりユーザに原稿と同じサイズの画像での提供を行うことができるようになるので、複数の幅サイズが混載した原稿を同時にセットしてスキャンする(異幅サイズ混載)場合に、セット位置による品質向上だけでなく、画像処理部310における画像処理での補正と組み合わせることで、更なる品質向上を図ることができる。
【0071】
次に、位置指示部材129における目盛り幅について説明する。
【0072】
ここで、図8は位置指示部材129における目盛り幅とスキューの関係について説明する図である。位置指示部材129における目盛り幅は、ユーザの原稿セット時のセットしやすさに影響を与える。例えば、図8(a)に示すように位置指示部材129における目盛り幅が細かい場合において、左右それぞれに同じ数値を覆うように原稿セットしてもらうと、ユーザに要求する位置精度も細かくなり、調整に時間が必要になる。
【0073】
一方、図8(b)に示すように位置指示部材129における目盛り幅が粗い場合において、左右それぞれで同じ数値を覆うように原稿セットしてもらう場合には、ユーザはより楽に原稿セットすることができる。
【0074】
原稿セット時に中央からのズレが大きいと、搬送重心位置と原稿重心位置がずれることで、搬送時のスキューが発生しやすい。例えば、図8(a)および図8(b)で示すように、目盛り幅が細かい場合には回転作用が小さくなり、目盛り幅が細かい場合には回転作用が大きくなる。すなわち、位置指示部材129における目盛り幅の大きさによってスキューの発生しやすさが変わる。
【0075】
そのため、上述するように画像処理部310のスキュー補正部3103で許容できるスキュー量を考慮して、目盛りの幅を決めるのが好ましい。
【0076】
図8(c)に示す例では、位置指示部材129における目盛り幅による精度と使い勝手の両立する構成について説明する。
【0077】
ADF110Aは最大サイズ幅(例えばA3サイズ幅など)が決められており、幅方向に規制部材(サイドフェンス200)が存在する。サイズが大きな原稿ではこのサイドフェンス200によりスキューの角度が抑えられ、幅方向にセット位置が多少ずれても影響は小さい。上述したように、位置指示部材129における目盛り幅の間隔は使い勝手に影響するため、できるだけ広く設定することが望ましい。
【0078】
そこで、図8(c)に示す例では、位置指示部材129における目盛り幅を中央から幅方向に離れるに従って広くなるように変化させる例を示している。より具体的には、図8(c)に示すように、位置指示部材129における目盛り幅を中央に近い程小さな幅とする(w1<w2<w3)。
【0079】
これにより、セット位置によるスキュー影響をできるだけ軽減できるように指示しつつ、セット位置の調整もできるだけ簡略化することができる。
【0080】
なお、上記各実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、各実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの各実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
100 画像形成装置
105 画像形成部
110 画像読取装置
110B 画像読取部
121 搬送部
125 原稿トレイ
128 壁面
129 位置指示部材
129a 紐状体
310 画像処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開平10-063044号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8