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特開2024-176054ポンプシステム、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176054
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ポンプシステム、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F17C9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094262
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朝紀
(72)【発明者】
【氏名】石見 光隆
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 哲司
(72)【発明者】
【氏名】渡次 圭
(72)【発明者】
【氏名】本田 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】菊池 日向
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB11
3E172AB20
3E172BA06
3E172DA90
3E172EB03
3E172EB20
3E172KA02
(57)【要約】
【課題】ポンプの運転中にポンプコラム内の液化ガスの液面が上昇することを抑制することができるポンプシステムを提供する。
【解決手段】ポンプシステムは、液化ガスを昇圧するためのポンプ2と、ポンプ2が内部に配置されるポンプコラム3と、ポンプコラム3に連結されたパージ容器1と、ポンプコラム3およびパージ容器1内を延び、ポンプ2に連結された電力ケーブル36と、ポンプコラム3およびパージ容器1内を延び、ポンプ2に連結された複数の分割吊り管23Bを含む吊り下げ構造体23と、ポンプコラム3およびパージ容器1内を延び、ポンプ2の吐出口2aに連結された吐出管34を備え、複数の分割吊り管23Bは、一列に連結されており、かつ互いに切り離し可能に構成されており、吐出管34の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを昇圧するためのポンプと、
前記ポンプが内部に配置されるポンプコラムと、
前記ポンプコラムに連結されたパージ容器と、
前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内を延び、前記ポンプに連結された電力ケーブルと、
前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内を延び、前記ポンプに連結された複数の分割吊り管を含む吊り下げ構造体と、
前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内を延び、前記ポンプの吐出口に連結された吐出管を備え、
前記複数の分割吊り管は、一列に連結されており、かつ互いに切り離し可能に構成されており、
前記吐出管の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている、ポンプシステム。
【請求項2】
前記吐出管は、前記吊り下げ構造体の外に配置されている、請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記吐出管は、前記吊り下げ構造体内に配置されている、請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項4】
前記吊り下げ構造体内に配置され、かつ前記ポンプの吐出口および前記吐出管に連結された流路切り替え装置をさらに備え、
前記流路切り替え装置は、第1流路、第2流路、および第3流路を有する流路構造体と、前記流路構造体内に配置され、前記第3流路を前記第1流路または前記第2流路のいずれかに選択的に連通させる弁体を備えており、前記第1流路は、前記ポンプの吐出口に連通し、前記第2流路は、前記吊り下げ構造体の内部に連通し、前記第3流路は、前記吐出管に連通する、請求項3に記載のポンプシステム。
【請求項5】
前記電力ケーブルは、前記吊り下げ構造体内に配置されている、請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項6】
前記ポンプコラムと前記パージ容器との間に配置されたゲート弁をさらに備えている、請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項7】
前記パージ容器の上部開口を覆う形状を有するヘッドプレートをさらに備え、
前記複数の分割吊り管のうち最も上にある分割吊り管は、前記ヘッドプレートに連結されている、請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項8】
液化ガスを移送するために使用されるポンプをポンプコラム内に搬入する方法であって、
昇降装置に連結された吊り下げ構造体を前記ポンプに連結し、前記吊り下げ構造体は、予め用意された複数の分割吊り管のうちの少なくとも1つを含んでおり、
前記吊り下げ構造体に、前記複数の分割吊り管の残りを1つずつ連結しながら、前記昇降装置によって前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよびパージ容器内で下降させ、前記パージ容器は前記ポンプコラムに連結されており、
前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で下降させながら、前記ポンプに連結された吐出管および電力ケーブルを前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で下降させることを含み、前記吐出管の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている、方法。
【請求項9】
前記吐出管は、前記吊り下げ構造体の外に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記吐出管は、前記吊り下げ構造体内に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記電力ケーブルは、前記吊り下げ構造体内に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記吐出管および前記吊り下げ構造体内にパージガスを供給することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
液化ガスを移送するために使用されるポンプをポンプコラムから引き上げる方法であって、
前記ポンプに連結された吊り下げ構造体から複数の分割吊り管を1つずつ切り離しながら、昇降装置によって前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよびパージ容器内で上昇させ、前記吊り下げ構造体は、直列に連結された前記複数の分割吊り管を含んでおり、前記パージ容器は前記ポンプコラムに連結されており、
前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で上昇させながら、前記ポンプに連結された吐出管および電力ケーブルを前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で上昇させることを含み、前記吐出管の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている、方法。
【請求項14】
前記吐出管は、前記吊り下げ構造体の外に配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吐出管は、前記吊り下げ構造体内に配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電力ケーブルは、前記吊り下げ構造体内に配置されている、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化アンモニアや液化天然ガス(LNG)や液体水素などの液化ガスを昇圧するためのポンプを備えたポンプシステムに関する。また、本発明は、ポンプをポンプコラム内に搬入する方法、およびポンプをポンプコラムから引き上げる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、火力発電や化学原料として広く利用されている。また、アンモニアや水素は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を発生しないエネルギーとして期待されている。エネルギーとしての水素の用途には、燃料電池およびタービン発電などが挙げられる。天然ガス、アンモニア、および水素は、常温では気体の状態であるため、これらの貯蔵および運搬のために、天然ガス、アンモニア、および水素は冷却され、液化される。液化天然ガス(LNG)や液化アンモニアや液体水素などの液化ガスは、一旦液化ガス貯槽に貯蔵された後、ポンプによって発電所や工場などに移送される。
【0003】
図34は、液化ガスが貯蔵された液化ガス貯槽と、液化ガスを汲み上げるためのポンプの従来例を示す模式図である。ポンプ500が運転されると、液化ガス貯槽501内の液化ガスはポンプコラム505内に吸い込まれ、ポンプコラム505内を上昇し、そしてポンプコラム505から液化ガス排出ポート509を通じて排出される。ポンプコラム505には、パージガス導入ポート512が設けられている。このパージガス導入ポート512は、ポンプ500の運転時には閉じられている。
【0004】
図35は、ポンプ500をポンプコラム505内に搬入する作業、およびポンプ500をポンプコラム505から搬出する作業を説明する図である。ポンプ500をポンプコラム505内に設置するとき、およびメンテナンスなどの目的でポンプ500をポンプコラム505から搬出するとき、上蓋510が外され、ケーブル508は巻き上げ機513に接続される。ポンプ500はケーブル508に吊り下げられ、巻き上げ機513によってポンプコラム505内を上昇または下降される。
【0005】
ポンプ500の搬入および搬出の間は、周囲の空気がポンプコラム505内に進入することを防ぐために、パージガス導入ポート512を通じてパージガスがポンプコラム505内に導入される。ポンプコラム505内に導入されたパージガスは、ポンプコラム505の上部開口から放出される。パージガスには、Nガス、Heガスなどの不活性ガスが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭49-4407号公報
【特許文献2】特公昭56-66484号公報
【特許文献3】実開昭64-32400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ポンプコラム505の上部開口は、ポンプ500の幅よりも大きいため、空気のポンプコラム505内への侵入を防ぐためには、大量のパージガスが必要となる。特に、Heガスは高価であり、ポンプ500の搬入および搬出のコストが上昇してしまう。
【0008】
このような問題の解決策として、ポンプコラム505の内部と外部とを隔てるゲート弁を設けることが考えられる。しかしながら、ポンプ500の運転時には、ゲート弁はポンプ500によって汲み上げられた極低温の液化ガスに長時間接触し、ゲート弁が破損することがある。
【0009】
また、ポンプ500の運転中は、液化ガスはポンプコラム505内を上昇し、液化ガス貯槽501内の液面レベルを越える。このため、大気下にあるポンプコラム505の上部が液化ガスによって冷却され、空気中の酸素がポンプコラム505の外面に凝縮することがある。液体酸素は支燃性が高く、火気に触れると爆発するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、ポンプの運転中にポンプコラム内の液化ガスの液面が上昇すること抑制することができるポンプシステムを提供する。また、本発明は、そのようなポンプをポンプコラム内に搬入する方法、およびポンプをポンプコラムから引き上げる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、液化ガスを昇圧するためのポンプと、前記ポンプが内部に配置されるポンプコラムと、前記ポンプコラムに連結されたパージ容器と、前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内を延び、前記ポンプに連結された電力ケーブルと、前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内を延び、前記ポンプに連結された複数の分割吊り管を含む吊り下げ構造体と、前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内を延び、前記ポンプの吐出口に連結された吐出管を備え、前記複数の分割吊り管は、一列に連結されており、かつ互いに切り離し可能に構成されており、前記吐出管の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている、ポンプシステムが提供される。
【0012】
一態様では、前記吐出管は、前記吊り下げ構造体の外に配置されている。
一態様では、前記吐出管は、前記吊り下げ構造体内に配置されている。
一態様では、前記吊り下げ構造体内に配置され、かつ前記ポンプの吐出口および前記吐出管に連結された流路切り替え装置をさらに備え、前記流路切り替え装置は、第1流路、第2流路、および第3流路を有する流路構造体と、前記流路構造体内に配置され、前記第3流路を前記第1流路または前記第2流路のいずれかに選択的に連通させる弁体を備えており、前記第1流路は、前記ポンプの吐出口に連通し、前記第2流路は、前記吊り下げ構造体の内部に連通し、前記第3流路は、前記吐出管に連通する。
一態様では、前記電力ケーブルは、前記吊り下げ構造体内に配置されている。
一態様では、前記ポンプシステムは、前記ポンプコラムと前記パージ容器との間に配置されたゲート弁をさらに備えている。
一態様では、前記ポンプシステムは、前記パージ容器の上部開口を覆う形状を有するヘッドプレートをさらに備え、前記複数の分割吊り管のうち最も上にある分割吊り管は、前記ヘッドプレートに連結されている。
【0013】
一態様では、液化ガスを移送するために使用されるポンプをポンプコラム内に搬入する方法であって、昇降装置に連結された吊り下げ構造体を前記ポンプに連結し、前記吊り下げ構造体は、予め用意された複数の分割吊り管のうちの少なくとも1つを含んでおり、前記吊り下げ構造体に、前記複数の分割吊り管の残りを1つずつ連結しながら、前記昇降装置によって前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよびパージ容器内で下降させ、前記パージ容器は前記ポンプコラムに連結されており、前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で下降させながら、前記ポンプに連結された吐出管および電力ケーブルを前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で下降させることを含み、前記吐出管の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている、方法が提供される。
【0014】
一態様では、前記吐出管は、前記吊り下げ構造体の外に配置されている。
一態様では、前記吐出管は、前記吊り下げ構造体内に配置されている。
一態様では、前記電力ケーブルは、前記吊り下げ構造体内に配置されている。
一態様では、前記方法は、前記吐出管および前記吊り下げ構造体内にパージガスを供給することをさらに含む。
【0015】
一態様では、液化ガスを移送するために使用されるポンプをポンプコラムから引き上げる方法であって、前記ポンプに連結された吊り下げ構造体から複数の分割吊り管を1つずつ切り離しながら、昇降装置によって前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよびパージ容器内で上昇させ、前記吊り下げ構造体は、直列に連結された前記複数の分割吊り管を含んでおり、前記パージ容器は前記ポンプコラムに連結されており、前記ポンプおよび前記吊り下げ構造体を前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で上昇させながら、前記ポンプに連結された吐出管および電力ケーブルを前記ポンプコラムおよび前記パージ容器内で上昇させることを含み、前記吐出管の少なくとも一部は、曲がることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されている、方法が提供される。
【0016】
一態様では、前記吐出管は、前記吊り下げ構造体の外に配置されている。
一態様では、前記吐出管は、前記吊り下げ構造体内に配置されている。
一態様では、前記電力ケーブルは、前記吊り下げ構造体内に配置されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ポンプによって昇圧された液化ガスは、ポンプコラムおよびパージ容器内を延びる吐出管を通って吐き出される。したがって、ポンプの運転中は、ポンプコラム内の液化ガスの液面がポンプコラムを超えて上昇することが抑制される。結果として、液化ガスは、ポンプコラムよりも上にあるパージ容器などの構成要素に接触することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】液化ガスを移送するためのポンプシステムの一実施形態を示す図である。
図2】吊り下げ構造体の一部の一実施形態を示す拡大図である。
図3】ヘッドプレート、カバー壁、および上蓋の一実施形態を示す断面図である。
図4】ポンプをポンプコラム内に搬入とき、およびポンプコラムから引き上げるときに使用される係止部材の一実施形態を示す図である。
図5】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図6】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図7】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図8】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図9】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図10】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図11】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図12】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図13】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図14】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図15】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図16】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図17】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図18】ポンプシステムの他の実施形態を示す図である。
図19】流路切り替え装置の詳細な構成の一実施形態を示す断面図である。
図20】流路切り替え装置の詳細な構成の一実施形態を示す断面図である。
図21】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図22】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図23】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図24】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図25】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図26】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図27】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図28】ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図29】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図30】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図31】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図32】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図33】ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図34】液化ガスが貯蔵された液化ガス貯槽と、液化ガスを汲み上げるためのポンプの従来例を示す模式図である。
図35】ポンプをポンプコラム内に搬入する作業、およびポンプをポンプコラムから搬出する作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、液化ガスを移送するためのポンプシステムの一実施形態を示す図である。図1に示すポンプシステムによって移送される液化ガスの例としては、液化アンモニア、液体水素、液体窒素、液化天然ガス、液化エチレンガス、液化石油ガスなどが挙げられる。
【0020】
図1に示すように、ポンプシステムは、液化ガスを昇圧するためのポンプ2と、ポンプ2が内部に収容されたポンプコラム3と、ポンプコラム3の上端に連結されたパージ容器1と、パージ容器1の上端に固定されたカバー壁10と、カバー壁10の上部開口を閉じる上蓋12と、パージ容器1の上部開口を覆うヘッドプレート20を備えている。ポンプコラム3は、液化ガスが貯留される液化ガス貯槽5内に設置されている。ポンプコラム3は、鉛直方向に延びた中空状の容器であり、その上部は液化ガス貯槽5から上方に突出している。パージ容器1は、ポンプコラム3に連通している。ポンプコラム3はパージガス導入ポート8を有している。
【0021】
ポンプコラム3の底部には吸込み弁6が設けられている。ポンプ2はポンプコラム3の吸込み弁6上に設置される。吸込み弁6は、ポンプコラム3の下部開口を覆う弁体6Aと、弁体6Aを上方に付勢する複数のばね6Bを有している。ポンプ2が弁体6A上の置かれていないときは、弁体6Aは複数のばね6Bによってポンプコラム3の下端に押し付けられ、ポンプコラム3の下部開口を閉じる。ポンプ2が弁体6A上に置かれると、ポンプ2の自重により弁体6Aはばね6Bの力に抗って下方に移動し、これにより吸込み弁6が開く。吸込み弁6は、アクチュエータ駆動型弁(例えば電動弁)でもよい。
【0022】
パージ容器1は、ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する前、およびポンプ2をポンプコラム3から引き上げた後に、ポンプ2をパージガスにさらすための装置である。ポンプシステムは、ポンプコラム3とパージ容器1との間に配置されたゲート弁21をさらに備えている。ゲート弁21を開くと、ポンプコラム3とパージ容器1とが連通し、ゲート弁21を閉じると、ポンプコラム3とパージ容器1との連通が遮断される。
【0023】
パージ容器1は、その内部空間15に連通するパージガス入口ポート17およびガス出口ポート18を備えている。パージ容器1の上部開口はヘッドプレート20で覆われ、パージ容器1の下部開口はゲート弁21によって閉じることが可能である。本実施形態のゲート弁21は、ハンドル21aを手動で操作することで開閉させる手動タイプであるが、電動で開閉するように構成されてもよい。
【0024】
ヘッドプレート20は、パージ容器1の上端に着脱可能に固定されている。ポンプシステムは、ポンプ2をヘッドプレート20から吊り下げる吊り下げ構造体23を備えている。吊り下げ構造体23は、直列に連結された複数の分割吊り管23Bを含む。各分割吊り管23Bの長さは、ポンプコラム3の長さよりも短い。吊り下げ構造体23は、ヘッドプレート20から吊り下げられている。吊り下げ構造体23を構成する複数の分割吊り管23Bのうち、最も上にある分割吊り管23Bは、ヘッドプレート20の通孔50を閉じる閉止プレート30を有している。ヘッドプレート20と閉止プレート30により、パージ容器1の上部開口は閉じられる。
【0025】
ポンプシステムは、ポンプ2に電力を供給するための電力ケーブル36を備えている。この電力ケーブル36は、吊り下げ構造体23を構成する複数の分割吊り管23B内を通って延びている。電力ケーブル36の一端はポンプ2に連結され、電力ケーブル36の他端は上蓋12の上面に固定された電気端子35に連結されている。
【0026】
ポンプシステムは、ポンプ2の吐出口2aに連結された吐出管34を備えている。この吐出管34は、ポンプ2の吐出口2aからポンプコラム3およびパージ容器1内を延び、ヘッドプレート20に連結されている。ポンプシステムは、カバー壁10内に配置された吐出連結管38をさらに備えている。この吐出連結管38の一端は吐出管34に連結され、他端はカバー壁10に設けられた吐出ポート39に連結されている。吊り下げ構造体23、電力ケーブル36、および吐出管34は、パージ容器1およびポンプコラム3内を鉛直方向に延びている。
【0027】
吐出管34は、曲げることが可能に構成されたフレキシブル管である。本実施形態の吐出管34は、全方向に曲げることができる構造を有している。一実施形態では、吐出管34は、ステンレス鋼などの金属から構成された蛇腹構造を有する。吐出管34は、吊り下げ構造体23とは異なり、分割されていない一体構造物である。吐出管34は、吊り下げ構造体23を構成する複数の分割吊り管23Bの外に位置しており、複数の分割吊り管23Bに沿って鉛直方向に延びている。
【0028】
吐出管34は、配管抵抗の影響を考慮するとフレキシブル管でない方がよいが、位置決め調整を考慮して、一実施形態では、吐出管34の一部は、曲げることが可能に構成されたフレキシブル管から構成されてもよい。吐出管の一部がフレキシブル管であるので、位置決めと調整が容易になるとともに、フレキシブル管の長さを調整することで、フレキシブル管の配管抵抗の影響を抑制することが可能となる。
【0029】
図2は、吊り下げ構造体23の一部の一実施形態を示す拡大図である。吊り下げ構造体23は、複数の分割吊り管23B、およびこれら分割吊り管23Bを連結する複数の連結具としてのねじ24およびねじ穴25を含む。各分割吊り管23Bは、電力ケーブル36が通ることができる空間26を内部に有している。各分割吊り管23Bは、吊り管本体23cと、吊り管本体23cの上端および下端に接続された上部フランジ23dおよび下部フランジ23eを有する。吊り管本体23cは一定の外径を有する。上部フランジ23dおよび下部フランジ23eは、吊り管本体23cよりも大きな外径を有する。上部フランジ23dはねじ穴25を有し、下部フランジ23eはねじ24が通ることができる通孔27を有している。
【0030】
上にある分割吊り管23Bの下部フランジ23eと、下にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dは接触しており、連結具としてのねじ24およびねじ穴25によって上部フランジ23dと下部フランジ23eが連結されている。すなわち、下部フランジ23eの通孔27を通じてねじ24を上部フランジ23dのねじ穴25にねじ込むことで、上部フランジ23dと下部フランジ23eが連結される(すなわち、上側の分割吊り管23Bと下側の分割吊り管23Bが連結される)。このようにして、複数の分割吊り管23Bは、連結具としてのねじ24およびねじ穴25により直列に繋がれている。
【0031】
連結具は、ねじ24およびねじ穴25の組み合わせに限定されない。例えば、連結具は、ボルトおよびナットの組み合わせであってもよいし、あるいはクランプ、または係合ピンとピンストッパとの組み合わせなどであってもよい。
【0032】
各分割吊り管23Bの内部に形成されている空間26は、密閉されていなくてよく、分割吊り管23Bの外側の空間と連通してもよい。電力ケーブル36が空間26を通ることができる限りにおいて、空間26の大きさは特に限定されない。一実施形態では、電力ケーブル36が空間26内に配置された後、分割吊り管23Bの内部を充填剤で満たしてもよい。
【0033】
図1に戻り、ヘッドプレート20は、カバー壁10および上蓋12によって覆われている。上蓋12の上面には電気端子35が取り付けられている。この電気端子35は、図示しない電源に電気的に接続されている。ポンプ2の電動機に接続された電力ケーブル36は、吊り下げ構造体23内を鉛直方向に延び、さらにカバー壁10内を延び、電気端子35に電気的に接続されている。
【0034】
ポンプ2の運転中は、パージガス導入ポート8、パージガス入口ポート17、ガス出口ポート18は、図示しない弁によりそれぞれ閉じられており、ゲート弁21は開かれている。
【0035】
ポンプ2の運転中は、液化ガス貯槽5内の液化ガスは、吸込み弁6を通じてポンプコラム3内に導入される。ポンプ2の運転中、ポンプ2は液化ガスに接触する。一実施形態では、ポンプ2は、液化ガス中で運転可能なように構成された潜没式ポンプである。ポンプ2によって昇圧された液化ガスは、吐出管34、吐出連結管38、および吐出ポート39を通じて外部に移送される。
【0036】
ポンプ2によって昇圧された液化ガスは、ポンプコラム3およびパージ容器1内を延びる吐出管34を通って吐き出される。したがって、ポンプ2の運転中は、ポンプコラム3内の液化ガスの液面がポンプコラム3を超えて上昇することが抑制される。結果として、液化ガスは、ポンプコラム3よりも上にあるパージ容器1およびゲート弁21などの構成要素に接触することが防止される。
【0037】
図3は、ヘッドプレート20、カバー壁10、および上蓋12の一実施形態を示す断面図である。ヘッドプレート20は、パージ容器1の上部開口を覆う形状を有したプレート本体40と、プレート本体40から上部に延びる突出部41と、突出部41の周りを囲む可動フランジ42と、突出部41の外面と可動フランジ42の内面との隙間を封止するシール44(例えば、グランドパッキン)を備えている。突出部41および可動フランジ42は円筒形状を有している。可動フランジ42は、突出部41およびプレート本体40に対して相対的に上下方向に移動可能である。ヘッドプレート20は、プレート本体40の両側に固定されたケーブルポート47を備えている。各ケーブルポート47は、後述する吊りケーブルが通過可能な孔(図示せず)を有している。
【0038】
ヘッドプレート20は、突出部41内に形成された通孔50を有している。この通孔50は上下方向に延びている。通孔50の幅は、吊り下げ構造体23の幅よりも大きく、吊り下げ構造体23(図2に示す上部フランジ23dおよび下部フランジ23eを含む)は通孔50を通過することが可能である。ヘッドプレート20は、ボルトおよびナットなどの締結具53によりパージ容器1の上端に取り外し可能に固定されている。
【0039】
吊り下げ構造体23の上端を構成する閉止プレート30は、可動フランジ42にねじなどの締結具(図示せず)により取り外し可能に固定されている。通孔50の上端は、閉止プレート30によって閉じられている。電力ケーブル36は閉止プレート30を貫通して延びている。吊り下げ構造体23を構成する分割吊り管23Bは、通孔50を通って延びている。
【0040】
次に、ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する方法の一実施形態について説明する。ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する作業には、図4に示す係止部材65が使用される。係止部材65は、ヘッドプレート20の上部、すなわち突出部41および/または可動フランジ42上に置かれる。係止部材65は、分割吊り管23Bの吊り管本体23c(図2参照)の通過を許容するが、上部フランジ23dの通過は許容しないように構成されている。
【0041】
図4に示すように、係止部材65は、その中央に開口66を有しており、複数の部材65A,65Aに分割されている。開口66は、分割吊り管23Bの上部フランジ23dの通過を許容しない大きさを有する。本実施形態では、上部フランジ23dのストッパとして機能する係止部材65は、複数の(典型的には2つの)部材からなる分割リング(例えば2つ割りリング)である。
【0042】
図5乃至図12は、ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する動作は、ポンプ2をパージ容器1内でパージガスにさらすドライアップと、複数の分割吊り管23Bを1つずつ吊り下げ構造体23に追加(連結)する動作と、ポンプ2をポンプコラム3内で下降させる動作を含む。
【0043】
ステップ101では、ポンプコラム3から液化ガスが排出される。具体的には、ゲート弁21を閉じ、パージガスをパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給し、パージガスの圧力により液化ガスをポンプコラム3から吸込み弁6を通じて排出する。この時、ゲート弁21が閉じられているので、液化ガスと、液化ガスから気化したガスをパージ容器1を通って外部に放出することなく、液化ガスをポンプコラム3から排出することができる。このステップ101に先だって、ヘッドプレート20および吐出連結管38は取り外される。パージ容器1の上部開口は、カバー壁10および上蓋12によって閉じられている。
ステップ102では、カバー壁10、上蓋12、および電気端子35がパージ容器1から取り外される。
【0044】
ステップ103では、昇降装置61の吊りケーブル62をヘッドプレート20のケーブルポート47に連結する。昇降装置61の例としては、ホイスト、ウインチが挙げられる。図4を参照して説明した係止部材65は、ヘッドプレート20上に置かれる。吊り下げ構造体23の1つの分割吊り管23Bは、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。この分割吊り管23Bの下部フランジ23eはポンプ2に連結され、分割吊り管23Bの上部フランジ23dは、ヘッドプレート20上の係止部材65によって支持される。分割吊り管23Bおよびポンプ2はヘッドプレート20から吊り下げられる。電力ケーブル36は、ポンプ2に連結された分割吊り管23Bを通って上方に延びる。吐出管34は、ポンプ2からヘッドプレート20を通って上方に延びる。
【0045】
係止部材65の幅は、ヘッドプレート20の通孔50の幅よりも大きく、係止部材65はこの通孔50を通過することはできない。一方、分割吊り管23Bの上部フランジ23dおよび下部フランジ23eの幅は、ヘッドプレート20の通孔50の幅よりも小さく、分割吊り管23Bは通孔50を通過することができる。しかしながら、上部フランジ23dが係止部材65に支持されている限りにおいて、分割吊り管23Bは通孔50を通過することができない。したがって、ポンプ2は、分割吊り管23Bによって、ヘッドプレート20上の係止部材65から吊り下げられる。ポンプ2の荷重は、分割吊り管23Bおよび係止部材65を介して、ヘッドプレート20によって支持されている。
【0046】
ステップ104では、昇降装置61により、分割吊り管23B、ポンプ2、ヘッドプレート20、係止部材65、電力ケーブル36、および吐出管34を一体に下降させて、ヘッドプレート20でパージ容器1の上部開口を覆う。ヘッドプレート20は、図3に示す締結具53によりパージ容器1の上端に固定される。
【0047】
ステップ105では、昇降装置61の吊りケーブル62は、ケーブルポート47から切り離される。予め用意された複数の分割吊り管23Bのうちの1つを、吊り下げ構造体23に追加する。より具体的には、新たに追加された分割吊り管23Bの上部フランジ23dを、昇降装置61の吊りケーブル62に連結し、新たに追加された分割吊り管23Bの下部フランジ23eを、係止部材65から吊り下げられている分割吊り管23Bの上部フランジ23dに連結する。分割吊り管23B同士の連結は、図2を参照して説明した連結具としてのねじ24およびねじ穴25によって達成される。分割吊り管23Bを追加するとき、電力ケーブル36は、その追加される分割吊り管23B内に通される。
【0048】
ステップ106では、パージ容器1の上部開口がヘッドプレート20で覆われ、かつパージ容器1の下部開口がゲート弁21で閉じられた状態で、ポンプ2が収容されたパージ容器1の内部空間15をガス出口ポート18を通じて真空引きする。その後、パージガス(例えば、不活性ガス、および/または液化ガスの成分と同じ成分からなるガスを含む)をパージガス入口ポート17から内部空間15に供給し、内部空間15をパージガスで満たす。ポンプ2はパージ容器1内でパージガスにさらされ(接触し)、これによってポンプ2の表面から空気および水分が排除される。この工程は、ポンプ2から空気および水分を追い払うドライアップである。内部空間15の真空引きと、内部空間15へのパージガスの供給は繰り返し行われてもよい。
【0049】
使用されるパージガスは、ポンプ2が汲み上げる対象の液化ガスの沸点以下の沸点を持つ成分からなるガスである。これは、パージガスが液化ガスに接触したときに、パージガスが液化しないようにするためである。パージガスの例としては、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスが挙げられる。例えば、ポンプ2が汲み上げる対象の液化ガスが液化天然ガスである場合、液化天然ガスの沸点(-162℃)よりも低い沸点(-196℃)を持つ窒素からなるガスである窒素ガスがパージガスに使用される。他の例では、ポンプ2が汲み上げる対象の液化ガスが液体水素である場合、水素の沸点(-253℃)よりも低い沸点(-269℃)を持つヘリウムからなるガスであるヘリウムガスがパージガスに使用される。
【0050】
パージガスの一部は、液化ガスの成分と同じ成分からなるガスであってもよい。ガス出口ポート18がガス処理装置に連結されている場合には、パージガスの全ては、液化ガスの成分と同じ成分からなるガスであってもよい。例えば、液化ガスが液体水素である場合は、パージガスの一部または全ては、水素ガスであってもよい。他の例では、液化ガスが液化アンモニアである場合は、パージガスの一部または全てはアンモニアガスであってもよい。
【0051】
ステップ107では、昇降装置61により、吊り下げ構造体23およびポンプ2を少しだけ引き上げ、係止部材65をヘッドプレート20から取り外す。ポンプ2の荷重は昇降装置61によって支持される。ヘッドプレート20の通孔50からの空気の流入を防ぐために、パージガス入口ポート17を通じてパージ容器1内へのパージガスの供給は継続される。その一方で、ガス出口ポート18を通じたパージ容器1の内部空間15の真空引きは停止される。さらに、ゲート弁21が開かれる。パージ容器1内へ供給されたパージガスは、ヘッドプレート20の通孔50を通ってパージ容器1の外部に排出される。このパージガスの外への流れは、周囲の空気がパージ容器1内に侵入することを防止する。
【0052】
ステップ108では、昇降装置61によって吊り下げ構造体23、ポンプ2、電力ケーブル36、および吐出管34をさらに下降させる。ポンプ2を下降させている間、パージガスをパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給してもよい。最も上にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dがパージ容器1内に入る前に、係止部材65をヘッドプレート20上に再び置く。電力ケーブル36は、図示しない電力ケーブル繰り出し器に接続されており、ポンプ2の下降とともに電力ケーブル36が繰り出される。吐出管34も同様に、ポンプ2の下降とともに繰り出される。ポンプ2および吊り下げ構造体23の下降とともに電力ケーブル36および吐出管34が下降する。ポンプ2が下降されるとき、分割吊り管23Bおよび電力ケーブル36は、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。
【0053】
ステップ109では、最も上にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dが係止部材65に係合するまで(接触するまで)、吊り下げ構造体23、ポンプ2、電力ケーブル36、および吐出管34を昇降装置61によって下降させる。最も上にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dが係止部材65に係合すると、ポンプ2の荷重は、係止部材65およびヘッドプレート20によって支持される。
【0054】
そして、ポンプ2がポンプコラム3の底部に近づくまで、上記ステップ105、上記ステップ107~109と同様のやり方で、複数の分割吊り管23Bの残りを1つずつ吊り下げ構造体23に追加(連結)する工程を繰り返す。ポンプ2を下降させている間、パージガスはパージガス入口ポート17および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給される。複数の分割吊り管23Bを1つずつ追加(連結)する動作の間、パージガスは各分割吊り管23Bの内部に侵入し、各分割吊り管23Bの内部から空気を追い出す。
【0055】
ステップ110では、ポンプ2がポンプコラム3の底部に近づいたとき、最後の分割吊り管23Bを吊り下げ構造体23に追加(連結)する。この最後の分割吊り管23Bは、その上端に閉止プレート30を有している。
ステップ111では、係止部材65をヘッドプレート20から取り外し、その後、閉止プレート30がヘッドプレート20の直上位置に達するまで、吊り下げ構造体23およびポンプ2を昇降装置61により下降させる。ポンプ2は、ポンプコラム3内の吸込み弁6の直上にある所定位置に配置される。
ステップ112では、ヘッドプレート20の可動フランジ42を上方に持ち上げて、可動フランジ42を閉止プレート30にねじなどの締結具(図示せず)により固定する。
【0056】
ステップ113では、閉止プレート30がヘッドプレート20に接触するまで、閉止プレート30、可動フランジ42、吊り下げ構造体23、ポンプ2を昇降装置61により下降させる。ポンプ2は吸込み弁6上に置かれる。吸込み弁6は、ポンプ2の自重により開く。
ステップ114では、昇降装置61の吊りケーブル62が閉止プレート30から切り離され、パージガスのパージ容器1への供給が停止される。液化ガス貯槽5内の液化ガスは吸込み弁6を通ってポンプコラム3内に流入する。
【0057】
ステップ115では、カバー壁10がパージ容器1の上端に固定される。
ステップ116では、吐出連結管38が吐出管34および吐出ポート39に連結され、さらに、上蓋12がカバー壁10の上方に移動される。電力ケーブル36は、上蓋12の上面に設置されている電気端子35に接続され、さらに上蓋12がカバー壁10に固定される。カバー壁10の上部開口は上蓋12で閉じられる。
【0058】
本実施形態によれば、ヘッドプレート20によりパージ容器1の上部開口が覆われた状態で、ポンプ2のポンプコラム3への搬入を行うことができる。したがって、液化ガスが気化することによって発生したボイルオフガス(BOG)の大気放出を防止するため、および/または空気のポンプコラム3への流入を防ぐために使用されるパージガスの量を削減することができる。
【0059】
次に、ポンプ2をポンプコラム3から引き上げる方法の一実施形態について、図13乃至図17を参照して説明する。ポンプ2の引き上げでは、基本的に、図5乃至図12を参照して説明した工程が逆の順序で行われる。図13乃至図17に示す一連の動作は、ポンプ2をポンプコラム3内で上昇させる動作と、複数の分割吊り管23Bを1つずつ吊り下げ構造体23から取り外す動作と、ポンプ2をパージ容器1内でパージガスにさらすホットアップを含む。
【0060】
ステップ201では、上蓋12がカバー壁10から外され、電力ケーブル36は電気端子35から切り離される。吐出連結管38は吐出管34から切り離され、さらにカバー壁10から外される。さらに、カバー壁10がパージ容器1から外される。
ステップ202では、昇降装置61の吊りケーブル62は、最も上にある分割吊り管23Bの閉止プレート30に連結され、これにより昇降装置61は、ポンプ2に連結されている吊り下げ構造体23に閉止プレート30を介して連結される。
【0061】
ステップ203では、昇降装置61により、閉止プレート30、可動フランジ42、吊り下げ構造体23、ポンプ2を少しだけ引き上げ、吸込み弁6を閉じる。さらに、パージガスをパージガス入口ポート17を通じてパージ容器1およびポンプコラム3内に供給する。ポンプコラム3内の圧力が上昇し、これに伴って吸込み弁6が開く。これにより液化ガスがポンプコラム3から吸込み弁6を通って排出される。この時、ヘッドプレート20の通孔50は閉止プレート30で閉じられているので、液化ガスと、液化ガスから気化したガスをパージ容器1を通って外部に放出することなく、液化ガスをポンプコラム3から排出することができる。
【0062】
ステップ204では、可動フランジ42を閉止プレート30から切り離す。さらに、最も上にある分割吊り管23Bの全体がパージ容器1の上方に位置するまで、吊り下げ構造体23、ポンプ2を昇降装置61によって引き上げる。その後、係止部材65をヘッドプレート20の上に置く。ポンプ2が引き上げられるとき、吐出管34および電力ケーブル36も上昇される。ポンプ2が引き上げられるとき、分割吊り管23Bおよび電力ケーブル36は、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。パージ容器1内へ供給されたパージガスは、ヘッドプレート20の通孔50を通ってパージ容器1の外部に排出される。このパージガスの外への流れは、周囲の空気がパージ容器1内に侵入することを防止する。
【0063】
ステップ205では、係止部材65の直上にある上部フランジ23dが係止部材65に係合(接触)するまで、吊り下げ構造体23、ポンプ2を昇降装置61によって少しだけ下降させる。ポンプ2の荷重は、係止部材65およびヘッドプレート20によって支持される。
ステップ206では、パージ容器1の外にある最も上の分割吊り管23Bを吊り下げ構造体23から取り外す。このとき、電力ケーブル36は、取り外された分割吊り管23Bから引き抜かれる。
ステップ207では、昇降装置61の吊りケーブル62を、係止部材65によって支持されている分割吊り管23Bの上部フランジ23dに連結する。これにより、昇降装置61は吊り下げ構造体23およびポンプ2に再び連結される。
【0064】
そして、昇降装置61によってポンプ2がパージ容器1内に引き上げられるまで、上記ステップ204から上記ステップ207と同様のやり方で、複数の分割吊り管23Bを吊り下げ構造体23から1つずつ取り外す(切り離す)ことを繰り返す。ポンプ2を引き上げている間、パージガスはパージガス入口ポート17および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給される。
【0065】
ステップ208では、ポンプ2がパージ容器1内に位置している状態で、ゲート弁21で閉じられる。パージ容器1の上部開口がヘッドプレート20で覆われ、かつパージ容器1の下部開口がゲート弁21で閉じられた状態で、ポンプ2が収容されたパージ容器1の内部空間15をガス出口ポート18を通じて真空引きする。その後、パージガス(例えば、不活性ガス、および/または液化ガスの成分と同じ成分からなるガスを含む)をパージガス入口ポート17から内部空間15に供給し、内部空間15をパージガスで満たす。ポンプ2はパージ容器1内でパージガスにさらされ(接触し)、これによってポンプ2が加温される。この工程は、ポンプ2を加温するホットアップである。内部空間15の真空引きと、内部空間15へのパージガスの供給は繰り返し行われてもよい。
【0066】
ステップ209では、ヘッドプレート20をパージ容器1に固定しているボルトおよびナットなどの締結具53(図2参照)を取り外す。その後、吊りケーブル62をヘッドプレート20のケーブルポート47に連結する。そして、昇降装置61により、ヘッドプレート20、電力ケーブル36、係止部材65、ポンプ2、および吐出管34を一体に上昇させて、ポンプ2をパージ容器1の外に移動させる。
【0067】
本実施形態によれば、ヘッドプレート20によりパージ容器1の上部開口が覆われた状態で、ポンプ2のポンプコラム3からの引き上げを行うことができる。したがって、ポンプコラム3に残留する液化ガスが気化することによって発生したボイルオフガス(BOG)の大気放出を防止するため、および/または空気のポンプコラム3への流入を防ぐために使用されるパージガスの量を削減することができる。
【0068】
次に、ポンプシステムの他の実施形態について説明する。図18は、ポンプシステムの他の実施形態を説明する図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図17を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0069】
図18に示すように、本実施形態では、吐出管34および電力ケーブル36は、吊り下げ構造体23内に配置されている。すなわち、吐出管34および電力ケーブル36は、直列に連結された複数の分割吊り管23B内を通って延びている。ポンプシステムは、カバー壁10内に配置された分岐管69を備えている。この分岐管69は、最も上にある分割吊り管23Bの閉止プレート30に連結されている。
【0070】
吐出管34および電力ケーブル36は、分岐管69内で2つの方向に分岐される。すなわち、吐出管34は、分岐管69の外面に連結された吐出連結管38に連結され、電力ケーブル36は、カバー壁10の外面に固定された電気端子35に連結されている。図18に示す実施形態では、吐出管34は、分岐管69の上部に延び、電力ケーブル36は分岐管69の側部に延びているが、分岐管69の構成および吐出管34と電力ケーブル36の配置は、本実施形態に限られない。
【0071】
ポンプ2によって昇圧された液化ガスは、吊り下げ構造体23、ポンプコラム3、およびパージ容器1内を延びる吐出管34を通って吐き出される。したがって、ポンプ2の運転中は、ポンプコラム3内の液化ガスの液面がポンプコラム3を超えて上昇することが抑制される。結果として、液化ガスは、ポンプコラム3よりも上にあるパージ容器1およびゲート弁21などの構成要素に接触することが防止される。
【0072】
ポンプシステムは、吊り下げ構造体23内に配置された流路切り替え装置70を備えている。流路切り替え装置70は、最も下にある分割吊り管23B内に位置しており、ポンプ2の吐出口および吐出管34に連結されている。
【0073】
図19は、流路切り替え装置70の詳細な構成の一実施形態を示す断面図である。図19に示すように、流路切り替え装置70は、第1流路71、第2流路72、および第3流路73を有する流路構造体75と、流路構造体75内に配置された弁体77を備えている。第1流路71は、ポンプ2の吐出口2bに連通し、第2流路72は、分割吊り管23Bの内部に連通し、第3流路73は、吐出管34に連通している。弁体77は、第3流路73を第1流路71または第2流路72のいずれかに選択的に連通させるように配置されている。流路切り替え装置70の構成は、その意図した機能が発揮できる限り、図19に示す実施形態に限定されない。
【0074】
図19は、ポンプ2が運転していないときの流路切り替え装置70の状態を示している。弁体77は、ばね80により流路構造体75に対して押し付けて第1流路71を閉じる。より具体的には、流路構造体75は、第1流路71の出口の周りに形成された弁座81を有しており、弁体77はばね80により弁座81に押し付けられる。したがって、弁体77が弁座81に押し付けられている間は、第1流路71は閉じられ、第2流路72と第3流路73は連通している。第2流路72は、分割吊り管23B内で開口している。
【0075】
流路切り替え装置70は、図18に示す複数の分割吊り管23Bを含む吊り下げ構造体23から空気をパージガスにより追い出すために設けられている。すなわち、吐出管34は、図示しないパージガス供給源に連結され、パージガス供給源からパージガスが吐出管34内に供給される。図19に示すように、パージガスは、吐出管34内をポンプ2に向かって流れ、第3流路73を通じて流路構造体75内に流入する。第2流路72と第3流路73は連通しているので、パージガスは、第2流路72を通って流路構造体75から流出し、分割吊り管23B内に流入する。パージガスは、分割吊り管23Bを通って排出される。このようなパージガスの流れにより、空気を吊り下げ構造体23および吐出管34の内部から除去することができる。
【0076】
図20は、ポンプ2が運転しているときの流路切り替え装置70の状態を示している。ポンプ2が運転しているとき、液化ガスは、ポンプ2の吐出口2bから吐き出され、流路切り替え装置70の第1流路71に流入する。第1流路71を流れる液化ガスは、弁体77をばね80の力に抗って移動させ、第1流路71を開くとともに、第2流路72を弁体77で閉じる。その結果、第1流路71と第3流路73が連通し、液化ガスは吐出管34内に流れる。
【0077】
ポンプ2の運転が停止すると、弁体77はばね80によって弁座81に対して押し付けられる。その結果、図19に示すように、第1流路71は閉じられ、第2流路72と第3流路73は連通する。このように、本実施形態の流路切り替え装置70は、ばね80と液化ガスの流れのみによって作動する。一実施形態では、流路切り替え装置70は、弁体77を移動させるアクチュエータ(例えば電動アクチュエータまたは流体アクチュエータ)を有してもよい。
【0078】
図21乃至図28は、図18に示すポンプシステムにおいてポンプ2をポンプコラム3内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。特に説明しない本実施形態の詳細は図5乃至図12を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0079】
ステップ301では、ポンプコラム3から液化ガスが排出される。具体的には、ゲート弁21を閉じ、パージガスをパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給し、パージガスの圧力により液化ガスをポンプコラム3から吸込み弁6を通じて排出する。この時、ゲート弁21が閉じられているので、液化ガスと、液化ガスから気化したガスをパージ容器1を通って外部に放出することなく、液化ガスをポンプコラム3から排出することができる。このステップ301に先だって、ヘッドプレート20、分岐管69、および吐出連結管38は取り外される。パージ容器1の上部開口は、カバー壁10および上蓋12によって閉じられている。
ステップ302では、カバー壁10、上蓋12、および電気端子35がパージ容器1から取り外される。
【0080】
ステップ303では、昇降装置61の吊りケーブル62をヘッドプレート20のケーブルポート47に連結する。図4を参照して説明した係止部材65は、ヘッドプレート20上に置かれる。吊り下げ構造体23の1つの分割吊り管23Bは、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。この分割吊り管23Bの下部フランジ23eはポンプ2に連結され、分割吊り管23Bの上部フランジ23dは、ヘッドプレート20上の係止部材65によって支持される。分割吊り管23Bおよびポンプ2はヘッドプレート20から吊り下げられる。吐出管34および電力ケーブル36は、ポンプ2に連結された分割吊り管23Bを通って上方に延びる。ポンプ2の荷重は、分割吊り管23Bおよび係止部材65を介して、ヘッドプレート20によって支持されている。
【0081】
ステップ304では、昇降装置61により、分割吊り管23B、ポンプ2、ヘッドプレート20、係止部材65、電力ケーブル36、および吐出管34を一体に下降させて、ヘッドプレート20でパージ容器1の上部開口を覆う。ヘッドプレート20は、図3に示す締結具53によりパージ容器1の上端に固定される。
【0082】
ステップ305では、昇降装置61の吊りケーブル62は、ケーブルポート47から切り離される。予め用意された複数の分割吊り管23Bのうちの1つを、吊り下げ構造体23に追加する。より具体的には、新たに追加された分割吊り管23Bの上部フランジ23dを、昇降装置61の吊りケーブル62に連結し、新たに追加された分割吊り管23Bの下部フランジ23eを、係止部材65から吊り下げられている分割吊り管23Bの上部フランジ23dに連結する。分割吊り管23B同士の連結は、図2を参照して説明した連結具としてのねじ24およびねじ穴25によって達成される。分割吊り管23Bを追加するとき、吐出管34および電力ケーブル36は、その追加される分割吊り管23B内に通される。
【0083】
ステップ306では、パージ容器1の上部開口がヘッドプレート20で覆われ、かつパージ容器1の下部開口がゲート弁21で閉じられた状態で、ポンプ2が収容されたパージ容器1の内部空間15をガス出口ポート18を通じて真空引きする。その後、パージガス(例えば、不活性ガス、および/または液化ガスの成分と同じ成分からなるガスを含む)をパージガス入口ポート17から内部空間15に供給し、内部空間15をパージガスで満たす。ポンプ2はパージ容器1内でパージガスにさらされ(接触し)、これによってポンプ2の表面から空気および水分が排除される。この工程は、ポンプ2から空気および水分を追い払うドライアップである。内部空間15の真空引きと、内部空間15へのパージガスの供給は繰り返し行われてもよい。
【0084】
ドライアップ動作と同時、またはドライアップ動作の前または後に、パージガスを吐出管34内に供給し、吐出管34および分割吊り管23Bの内部から空気を追い出す。吐出管34は、図示しないパージガス供給源に連結される。パージガスは、吐出管34内を下方に流れ、図19を参照して説明した流路切り替え装置70内で折り返して、分割吊り管23B内に流入し、そして分割吊り管23B内を通って排出される。このパージガスの流れによって空気が吐出管34および分割吊り管23Bの内部から除去される。
【0085】
ステップ307では、昇降装置61により、吊り下げ構造体23およびポンプ2を少しだけ引き上げ、係止部材65をヘッドプレート20から取り外す。ポンプ2の荷重は昇降装置61によって支持される。ヘッドプレート20の通孔50からの空気の流入を防ぐために、パージガス入口ポート17を通じてパージ容器1内へのパージガスの供給は継続される。その一方で、ガス出口ポート18を通じたパージ容器1の内部空間15の真空引きは停止される。さらに、ゲート弁21が開かれる。パージ容器1内へ供給されたパージガスは、ヘッドプレート20の通孔50を通ってパージ容器1の外部に排出される。このパージガスの外への流れは、周囲の空気がパージ容器1内に侵入することを防止する。
【0086】
ステップ308では、昇降装置61によって吊り下げ構造体23、ポンプ2、電力ケーブル36、および吐出管34をさらに下降させる。ポンプ2を下降させている間、パージガスをパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給してもよい。最も上にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dがパージ容器1内に入る前に、係止部材65をヘッドプレート20上に再び置く。電力ケーブル36は、図示しない電力ケーブル繰り出し器に接続されており、ポンプ2の下降とともに電力ケーブル36が繰り出される。吐出管34も同様に、ポンプ2の下降とともに繰り出される。ポンプ2および吊り下げ構造体23の下降とともに電力ケーブル36および吐出管34が下降する。ポンプ2が下降されるとき、分割吊り管23B、吐出管34、および電力ケーブル36は、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。
【0087】
ステップ309では、最も上にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dが係止部材65に係合するまで(接触するまで)、吊り下げ構造体23、ポンプ2、電力ケーブル36、および吐出管34を昇降装置61によって下降させる。最も上にある分割吊り管23Bの上部フランジ23dが係止部材65に係合すると、ポンプ2の荷重は、係止部材65およびヘッドプレート20によって支持される。
【0088】
そして、ポンプ2がポンプコラム3の底部に近づくまで、上記ステップ305、上記ステップ307~309と同様のやり方で、複数の分割吊り管23Bの残りを1つずつ吊り下げ構造体23に追加(連結)する工程を繰り返す。ポンプ2を下降させている間、パージガスはパージガス入口ポート17および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給される。分割吊り管23Bが追加(連結)されるたびに、上記ステップ306で説明した、パージガスによって空気を吐出管34および分割吊り管23Bの内部から除去する工程が繰り返される。
【0089】
ステップ310では、ポンプ2がポンプコラム3の底部に近づいたとき、最後の分割吊り管23Bを吊り下げ構造体23に追加(連結)する。この最後の分割吊り管23Bは、その上端に閉止プレート30を有している。
ステップ311では、係止部材65をヘッドプレート20から取り外し、その後、閉止プレート30がヘッドプレート20の直上位置に達するまで、吊り下げ構造体23およびポンプ2を昇降装置61により下降させる。ポンプ2は、ポンプコラム3内の吸込み弁6の直上にある所定位置に配置される。
ステップ312では、ヘッドプレート20の可動フランジ42を上方に持ち上げて、可動フランジ42を閉止プレート30にねじなどの締結具(図示せず)により固定する。
【0090】
ステップ313では、閉止プレート30がヘッドプレート20に接触するまで、閉止プレート30、可動フランジ42、吊り下げ構造体23、ポンプ2を昇降装置61により下降させる。ポンプ2は吸込み弁6上に置かれる。吸込み弁6は、ポンプ2の自重により開く。
ステップ314では、昇降装置61の吊りケーブル62が閉止プレート30から切り離され、パージガスのパージ容器1への供給が停止される。液化ガス貯槽5内の液化ガスは吸込み弁6を通ってポンプコラム3内に流入する。
【0091】
ステップ315では、カバー壁10がパージ容器1の上端に固定される。
ステップ316では、分岐管69および吐出連結管38がカバー壁10内に配置される。分岐管69は閉止プレート30に連結される。吐出管34および電力ケーブル36は、分岐管69内で2つの方向に分岐される。電力ケーブル36は電気端子35に連結され、吐出管34は吐出連結管38に連結される。さらに、吐出連結管38はカバー壁10の吐出ポート39に連結される。上蓋12がカバー壁10に取り付けられ、カバー壁10の上部開口は上蓋12で閉じられる(図18参照)。
【0092】
次に、図18に示すポンプシステムにおいてポンプ2をポンプコラム3から引き上げる方法の一実施形態について、図29乃至図33を参照して説明する。ポンプ2の引き上げでは、基本的に、図21乃至図28を参照して説明した工程が逆の順序で行われる。図29乃至図33に示す一連の動作は、ポンプ2をポンプコラム3内で上昇させる動作と、複数の分割吊り管23Bを1つずつ吊り下げ構造体23から取り外す動作と、ポンプ2をパージ容器1内でパージガスにさらすホットアップを含む。
【0093】
ステップ401では、上蓋12がカバー壁10から外され、電力ケーブル36は電気端子35から切り離される。吐出連結管38は吐出管34から切り離され、さらに吐出連結管38および分岐管69はカバー壁10から外される。
ステップ402では、カバー壁10がパージ容器1から外される。
ステップ403では、昇降装置61の吊りケーブル62は、最も上にある分割吊り管23Bの閉止プレート30に連結され、これにより昇降装置61は、ポンプ2に連結されている吊り下げ構造体23に閉止プレート30を介して連結される。
【0094】
ステップ404では、昇降装置61により、閉止プレート30、可動フランジ42、吊り下げ構造体23、ポンプ2を少しだけ引き上げ、吸込み弁6を閉じる。さらに、パージガスをパージガス入口ポート17を通じてパージ容器1およびポンプコラム3内に供給する。ポンプコラム3内の圧力が上昇し、これに伴って吸込み弁6が開く。これにより液化ガスがポンプコラム3から吸込み弁6を通って排出される。この時、ヘッドプレート20の通孔50は閉止プレート30で閉じられているので、液化ガスと、液化ガスから気化したガスをパージ容器1を通って外部に放出することなく、液化ガスをポンプコラム3から排出することができる。
【0095】
ステップ405では、可動フランジ42を閉止プレート30から切り離す。さらに、最も上にある分割吊り管23Bの全体がパージ容器1の上方に位置するまで、吊り下げ構造体23、ポンプ2を昇降装置61によって引き上げる。その後、係止部材65をヘッドプレート20の上に置く。ポンプ2が引き上げられるとき、吐出管34および電力ケーブル36も上昇される。ポンプ2が引き上げられるとき、分割吊り管23B、吐出管34、および電力ケーブル36は、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。パージ容器1内へ供給されたパージガスは、ヘッドプレート20の通孔50を通ってパージ容器1の外部に排出される。このパージガスの外への流れは、周囲の空気がパージ容器1内に侵入することを防止する。
【0096】
ステップ406では、係止部材65の直上にある上部フランジ23dが係止部材65に係合(接触)するまで、吊り下げ構造体23、ポンプ2を昇降装置61によって少しだけ下降させる。ポンプ2の荷重は、係止部材65およびヘッドプレート20によって支持される。
ステップ407では、パージ容器1の外にある最も上の分割吊り管23Bを吊り下げ構造体23から取り外す。このとき、吐出管34および電力ケーブル36は、取り外された分割吊り管23Bから引き抜かれる。
【0097】
ステップ408では、昇降装置61の吊りケーブル62を、係止部材65によって支持されている分割吊り管23Bの上部フランジ23dに連結する。これにより、昇降装置61は吊り下げ構造体23およびポンプ2に再び連結される。
そして、昇降装置61によってポンプ2がパージ容器1内に引き上げられるまで、上記ステップ405から上記ステップ408と同様のやり方で、複数の分割吊り管23Bを吊り下げ構造体23から1つずつ取り外す(切り離す)ことを繰り返す。ポンプ2を引き上げている間、パージガスはパージガス入口ポート17および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給される。
【0098】
ステップ409では、ポンプ2がパージ容器1内に位置している状態で、ゲート弁21で閉じられる。パージ容器1の上部開口がヘッドプレート20で覆われ、かつパージ容器1の下部開口がゲート弁21で閉じられた状態で、ポンプ2が収容されたパージ容器1の内部空間15をガス出口ポート18を通じて真空引きする。その後、パージガス(例えば、不活性ガス、および/または液化ガスの成分と同じ成分からなるガスを含む)をパージガス入口ポート17から内部空間15に供給し、内部空間15をパージガスで満たす。ポンプ2はパージ容器1内でパージガスにさらされ(接触し)、これによってポンプ2が加温される。この工程は、ポンプ2を加温するホットアップである。内部空間15の真空引きと、内部空間15へのパージガスの供給は繰り返し行われてもよい。
【0099】
ステップ410では、ヘッドプレート20をパージ容器1に固定しているボルトおよびナットなどの締結具53(図2参照)を取り外す。その後、吊りケーブル62をヘッドプレート20のケーブルポート47に連結する。そして、昇降装置61により、ヘッドプレート20、電力ケーブル36、係止部材65、ポンプ2、および吐出管34を一体に上昇させて、ポンプ2をパージ容器1の外に移動させる。
【0100】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 パージ容器
2 ポンプ
3 ポンプコラム
5 液化ガス貯槽
6 吸込み弁
8 パージガス導入ポート
10 カバー壁
12 上蓋
15 内部空間
17 パージガス入口ポート
18 ガス出口ポート
20 ヘッドプレート
21 ゲート弁
23 吊り下げ構造体
23B 分割吊り管
23c 吊り管本体
23d 上部フランジ
23e 下部フランジ
24 ねじ
25 ねじ穴
26 空間
27 通孔
30 閉止プレート
35 電気端子
34 吐出管
36 電力ケーブル
38 吐出連結管
39 吐出ポート
40 プレート本体
41 突出部
42 可動フランジ
44 シール
47 ケーブルポート
50 通孔
53 締結具
61 昇降装置
62 吊りケーブル
65 係止部材
66 開口
69 分岐管
70 流路切り替え装置
71 第1流路
72 第2流路
73 第3流路
75 流路構造体
77 弁体
80 ばね
81 弁座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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