(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176079
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/38 20060101AFI20241212BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20241212BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
C23C16/38
C23C16/455
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094307
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】牟田 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 正仁
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴士
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
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(57)【要約】
【課題】基板に薄膜の窒化ホウ素膜を形成する基板処理方法及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】下地層を有する基板を準備する工程と、前記基板を第1のホウ素含有ガスにさらして、前記基板にホウ素含有物の堆積層を形成する工程と、前記ホウ素含有物の堆積層が形成された前記基板を第1の窒素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマにさらして、前記ホウ素含有物の堆積層を窒化させて窒化ホウ素含有物の核を形成する工程と、前記窒化ホウ素含有物の核が形成された前記基板を第2のホウ素含有ガス及び前記第1の窒素含有ガスとは異なる第2の窒素含有ガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらして、前記基板に窒化ホウ素膜を形成する工程と、を有する、基板処理方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層を有する基板を準備する工程と、
前記基板を第1のホウ素含有ガスにさらして、前記基板にホウ素含有物の堆積層を形成する工程と、
前記ホウ素含有物の堆積層が形成された前記基板を第1の窒素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマにさらして、前記ホウ素含有物の堆積層を窒化させて窒化ホウ素含有物の核を形成する工程と、
前記窒化ホウ素含有物の核が形成された前記基板を第2のホウ素含有ガス及び前記第1の窒素含有ガスとは異なる第2の窒素含有ガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらして、前記基板に窒化ホウ素膜を形成する工程と、を有する、
基板処理方法。
【請求項2】
前記窒化ホウ素膜を形成する工程は、
前記窒化ホウ素含有物の核を起点として前記基板の面方向に前記窒化ホウ素膜を成長させる、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1の窒素含有ガスは、NH3、N2とH2の混合ガス、モノメチルヒドラジンのうち少なくともいずれか1つのガスである、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第2の窒素含有ガスは、N2、N2とH2の混合ガスのうち少なくともいずれか1つのガスである、
請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第1のホウ素含有ガス及び前記第2のホウ素含有ガスは、B2H6、BCl3、B3N3H6、B(CH3)3のうち少なくともいずれか1つのガスである、
請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第1のホウ素含有ガスと前記第2のホウ素含有ガスとは、異なるガスである、
請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記ホウ素含有物の堆積層を形成する工程の後、前記窒化ホウ素含有物の核を形成する工程の前に、
前記基板を不活性ガスのプラズマにさらす工程をさらに有する、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記第1の処理ガス及び前記第2の処理ガスは、前記不活性ガスを含む、
請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記不活性ガスは、Ar、Heのうち少なくともいずれか1つのガスである、
請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記下地層は、SiO2、HfO2、SiO2、HfO2、HfSiO4、HfSiON、ZrO2、アモルファスシリコン、サファイアのうちいずれかである、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記ホウ素含有物の堆積層を形成する工程は、
前記基板を600℃~900℃の範囲内の温度で処理する、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記窒化ホウ素含有物の核を形成する工程は、
前記基板を600℃~900℃の範囲内の温度で処理する、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記窒化ホウ素膜を形成する工程は、
前記基板を600℃~900℃の範囲内の温度で処理する、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記窒化ホウ素含有物の核を形成する工程の圧力は、前記窒化ホウ素膜を形成する工程の圧力と同じ圧力、もしくは、高い圧力である、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記窒化ホウ素含有物の核を形成する工程の圧力は、
10mTorr~200mTorrの範囲内である、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記窒化ホウ素膜を形成する工程は、
10mTorr~200mTorrの範囲内である、
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記ホウ素含有物の堆積層を形成する工程、前記窒化ホウ素含有物の核を形成する工程、及び前記窒化ホウ素膜を形成する工程を1サイクルとして、前記サイクルを複数回繰り返す、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項18】
処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板を載置する載置台と、
処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基板を第1のホウ素含有ガスにさらす工程と、
前記基板を第1の窒素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマにさらす工程と、
前記基板を第2のホウ素含有ガス及び前記第1の窒素含有ガスとは異なる第2の窒素含有ガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらす工程と、を実行可能に構成される、
基板処理装置。
【請求項19】
前記第1の窒素含有ガスは、NH3、N2とH2の混合ガス、モノメチルヒドラジンのうち少なくともいずれか1つのガスであり、
前記第2の窒素含有ガスは、N2、N2とH2の混合ガスのうち少なくともいずれか1つのガスであり、
前記第1のホウ素含有ガス及び前記第2のホウ素含有ガスは、B2H6、BCl3、B3N3H6、B(CH3)3のうち少なくともいずれか1つのガスである、
請求項18に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、成膜室内にプラズマを生成し、成膜室内で窒素ガスを主に励起した後にホウ素系ガスと混合させて反応させ、基板に窒化ホウ素膜を成膜するに際し、成膜初期にアモルファス相発生抑制化ガスを供給して界面へのアモルファス相発生を抑制することを特徴とする成膜方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、基板に薄膜の窒化ホウ素膜を形成する基板処理方法及び基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、下地層を有する基板を準備する工程と、前記基板を第1のホウ素含有ガスにさらして、前記基板にホウ素含有物の堆積層を形成する工程と、前記ホウ素含有物の堆積層が形成された前記基板を第1の窒素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマにさらして、前記ホウ素含有物の堆積層を窒化させて窒化ホウ素含有物の核を形成する工程と、前記窒化ホウ素含有物の核が形成された前記基板を第2のホウ素含有ガス及び前記第1の窒素含有ガスとは異なる第2の窒素含有ガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらして、前記基板に窒化ホウ素膜を形成する工程と、を有する、基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、本開示は、基板に薄膜の窒化ホウ素膜を形成する基板処理方法及び基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実機形態に係る基板処理装置の一例を示す概略断面図。
【
図2】本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法の一例を示すフローチャート。
【
図3】本実施形態に係る各工程における基板Wの断面模式図の一例。
【
図4】窒素含有ガスと窒化反応との関係を示すグラフの一例。
【
図5】参考例に係るh-BN膜の成膜方法の一例を示すフローチャート。
【
図6】参考例に係る各工程における基板Wの断面模式図の一例。
【
図7】窒素含有ガスと窒化反応との関係を示すグラフの一例。
【
図8】本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法で成膜された窒化ホウ素膜を示す断面図。
【
図9】参考例に係るh-BN膜の成膜方法で成膜された窒化ホウ素膜を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
<基板処理装置>
本実機形態に係る基板処理装置1の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実機形態に係る基板処理装置1の一例を示す概略断面図である。基板処理装置1は、減圧状態の処理容器2内でPE-CVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により、ウエハ等の基板Wに六方晶窒化ホウ素(Hexagonal Boron Nitride、以下「h-BN」ともいう。)膜を成膜する成膜装置である。
【0010】
基板処理装置1は、略円筒状の気密な処理容器2を備える。処理容器2の底壁の中央部分には、排気室21が設けられている。
【0011】
排気室21は、下方に向けて突出する例えば略円筒状の形状を備える。排気室21には、例えば排気室21の側面において、排気流路22が接続されている。排気流路22には、圧力調整部23を介して排気部24が接続されている。圧力調整部23は、例えばバタフライバルブ等の圧力調整バルブを備える。排気流路22は、排気部24によって処理容器2内を減圧できるように構成されている。処理容器2の側面には、搬送口25が設けられている。搬送口25は、ゲートバルブ26によって開閉自在に構成されている。処理容器2内と搬送室(図示せず)との間における基板Wの搬入出は、搬送口25を介して行われる。
【0012】
処理容器2内には、基板Wを略水平に保持するための載置台3が設けられている。載置台3は、平面視で略円形状に形成されており、支持部材31によって支持されている。載置台3の表面には、例えば直径が300mmの基板Wを載置するための略円形状の凹部32が形成されている。凹部32は、基板Wの直径よりも僅かに(例えば1mm~4mm程度)大きい内径を有する。凹部32の深さは、例えば基板Wの厚さと略同一に構成される。載置台3は、例えば窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックス材料により形成されている。また、載置台3は、ニッケル(Ni)等の金属材料により形成されていてもよい。なお、凹部32の代わりに載置台3の表面の周縁部に基板Wをガイドするガイドリングを設けてもよい。
【0013】
載置台3には、下部電極33が埋設される。下部電極33の下方には、温調機構34が埋設される。温調機構34は、制御部9からの制御信号に基づいて、載置台3に載置された基板Wを設定温度に調整する。載置台3の全体が金属によって構成されている場合には、載置台3の全体が下部電極として機能するので、下部電極33を載置台3に埋設しなくてよい。
【0014】
下部電極33には、整合器351を介してRF電源35が接続されている。RF電源35は、後述するRF電源51の周波数よりも低い周波数の低周波電力(LF;Low Frequency)を下部電極33に印加する。RF電源35が発生する高周波電力は、基板Wにイオンを引き込むためのバイアス用の高周波電力として用いられる。RF電源35の周波数は、例えば、13.56MHzである。
【0015】
載置台3には、載置台3に載置された基板Wを保持して昇降するための複数本(例えば3本)の昇降ピン41が設けられている。昇降ピン41の材料は、例えばアルミナ(Al2O3)等のセラミックスや石英等であってよい。昇降ピン41の下端は、支持板42に取り付けられている。支持板42は、昇降軸43を介して処理容器2の外部に設けられた昇降機構44に接続されている。
【0016】
昇降機構44は、例えば排気室21の下部に設置されている。ベローズ45は、排気室21の下面に形成された昇降軸43用の開口部211と昇降機構44との間に設けられている。支持板42の形状は、載置台3の支持部材31と干渉せずに昇降できる形状であってもよい。昇降ピン41は、昇降機構44によって、載置台3の表面の上方の側と、載置台3の表面の下方の側との間で、昇降自在に構成される。言い換えると、昇降ピン41は、載置台3の上面から突出可能に構成される。
【0017】
また、支持部材31の下端部は、排気室21の開口部212を貫通し、処理容器2の下方に配置された昇降板47を介して、昇降機構46に支持される。排気室21の底部と昇降板47との間には、ベローズ48が設けられており、昇降板47の上下動によっても処理容器2内の気密性は保たれる。
【0018】
昇降機構46が昇降板47を昇降させることにより、載置台3を昇降することができる。これにより、載置台3とガス供給部5とのギャップを調整することができる。
【0019】
処理容器2の天壁27には、絶縁部材28を介してガス供給部5が設けられている。ガス供給部5は、上部電極を成しており、下部電極33に対向している。ガス供給部5には、整合器511を介してRF電源51が接続されている。RF電源51は、RF電源35の周波数よりも高い周波数の高周波電力を上部電極(ガス供給部5)に印加する。RF電源51が発生する高周波電力は、基板Wの成膜に必要なプラズマ生成用の高周波電力として用いられる。RF電源51の周波数は、例えば、100MHz~900MHzのVHF帯(Very High Frequency)である。RF電源51から上部電極(ガス供給部5)にRF電力を供給することによって、上部電極(ガス供給部5)と下部電極33との間にRF電界が生じるように構成されている。RF電源51、上部電極(ガス供給部5)及び下部電極33は、プラズマを生成するプラズマ生成部を構成する。ガス供給部5は、中空状のガス拡散室52を備える。ガス拡散室52の下面には、処理容器2内へ処理ガスを分散供給するための多数の孔53が例えば均等に配置されている。ガス供給部5における例えばガス拡散室52の上方には、加熱機構54が埋設されている。加熱機構54は、制御部9からの制御信号に基づいて図示しない電源部から給電されることによって、設定温度に加熱される。
【0020】
ガス拡散室52には、ガス供給路6が設けられている。ガス供給路6は、ガス拡散室52に連通している。ガス供給路6の上流側には、ガスライン62を介してガス源61が接続されている。ガス源61は、例えば各種の処理ガスの供給源、マスフローコントローラ、バルブ(いずれも図示せず)を含む。各種の処理ガスは、h-BN膜の成膜において用いられるホウ素含有ガス、窒素含有ガスを含む。また、各種の処理ガスは、プラズマを生成するための不活性ガス(例えば、Arガス)を含む。各種の処理ガスは、ガス源61からガスライン62を介してガス拡散室52に導入される。
【0021】
基板処理装置1は、制御部9を備える。制御部9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、基板処理装置1の動作を制御する。制御部9は、基板処理装置1の内部に設けられていてもよく、外部に設けられていてもよい。制御部9が基板処理装置1の外部に設けられている場合、制御部9は、有線又は無線等の通信手段によって、基板処理装置1を制御できる。
【0022】
<h-BN膜の成膜方法>
次に、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法(基板処理方法)の一例について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法の一例を示すフローチャートである。
図3は、本実施形態に係る各工程における基板Wの断面模式図の一例である。
【0023】
ステップS101において、基板Wを準備する。基板Wは、下地層700(後述する
図3(a)参照)を有する。なお、下地層700は、例えばSiO
2、HfO
2、HfSiO
4、HfSiON、ZrO
2、アモルファスシリコン、サファイア等のうちいずれかである。ここでは、制御部9は、図示しない搬送装置を制御して、基板処理装置1の載置台3に基板Wを載置する。搬送装置が搬送口25から退避すると、制御部9は、ゲートバルブ26を閉じる。
【0024】
ステップS102において、処理容器2に第1のホウ素含有ガス(例えば、B2H6)を供給する。ここでは、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2に第1のホウ素含有ガスを供給する。これにより、処理容器2内の基板Wは第1のホウ素含有ガスにさらされ、基板Wの下地層700の表面にホウ素含有物の堆積層(ホウ素含有膜ともいう。)710を形成する。そして、所定の処理時間が経過すると、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2への第1のホウ素含有ガスの供給を停止する。
【0025】
ここで、第1のホウ素含有ガスは、例えば、B2H6(ジボラン)、BCl3(三塩化ホウ素)、B3N3H6(ボラジン)、B(CH3)3(トリメチルボラン)等のうち少なくともいずれか1つのガスである。以下の説明において、第1のホウ素含有ガスは、B2H6である場合を例に説明する。
【0026】
なお、ステップS102におけるレシピの一例を示す。
処理容器内圧力:10mTorr~200mTorr
載置台温度:600℃~900℃
【0027】
図3(a)は、ステップS102の工程後における基板Wの断面模式図の一例である。基板Wに第1のホウ素含有ガスを供給することで、CVD成膜によりホウ素含有物の堆積層710を形成する。または、基板Wに第1のホウ素含有ガスを供給することで、基板Wの下地層700の表面に第1のホウ素含有ガスが吸着して、ホウ素含有物の堆積層710を形成する。ここで、ホウ素含有物の堆積層710は、基板W(下地層700)の成膜面(
図3の例では、下地層700の上面)のうち、少なくとも一部に形成された不連続な膜であってもよく、連続する膜であってもよい。
【0028】
ステップS103において、処理容器2内でArガスのプラズマを着火する。ここでは、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2にプラズマを生成する不活性ガス(プラズマ生成ガスともいう。)を供給する。不活性ガスは、例えば、Ar、He等のうち少なくともいずれか1つのガスである。以下の説明において、不活性ガスは、Arガスである場合を例に説明する。また、制御部9は、RF電源51を制御して、上部電極にプラズマ生成用の高周波電力を供給する。これにより、上部電極(ガス供給部5)と下部電極33との間で、Arガスのプラズマを着火する。
【0029】
図3(b)は、ステップS103の工程における基板Wの断面模式図の一例である。処理容器2内に、ArガスのプラズマP1が形成される。また、基板Wは、ArガスのプラズマP1にさらされる。
【0030】
ステップS104において、処理容器2に第1の窒素含有ガス(例えば、NH3)を供給する。ここでは、ArガスのプラズマP1が形成された状態から、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2に第1の窒素含有ガスを供給する。これにより、処理容器2内の基板Wは、第1の窒素含有ガス及びArガスを含む第1の処理ガスのプラズマにさらされる。これにより、ホウ素含有物の堆積層710を窒化させて、窒化ホウ素含有物の核721を形成する。そして、所定の処理時間が経過すると、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2への第1の窒素含有ガスの供給を停止する。
【0031】
ここで、第1の窒素含有ガスは、例えば、NH3(アンモニア)、N2とH2の混合ガス、モノメチルヒドラジン等のうち少なくともいずれか1つのガスである。以下の説明において、第1の窒素含有ガスは、NH3である場合を例に説明する。
【0032】
なお、ステップS104におけるレシピの一例を示す。
処理容器内圧力:10mTorr~200mTorr
載置台温度:600℃~900℃
【0033】
なお、ステップS104における圧力は、後述するステップS105における圧力と同じ圧力、もしくは高い圧力である。同じ圧力、もしくは高い圧力にすることで、窒化速度を抑え、不要な成長を抑制し、不連続な膜が得やすくなる。
【0034】
図3(c)は、ステップS104の工程における基板Wの断面模式図の一例である。処理容器2内に、第1の窒素含有ガス(NH
3)及びArガスを含む第1の処理ガスのプラズマP2が形成される。第1の処理ガスのプラズマP2によって、ホウ素含有物の堆積層710(
図3(b)参照)が窒化され、窒化ホウ素含有物の核(第1の窒化ホウ素膜ともいう。)721が形成される。ここで、窒化ホウ素含有物の核721は、基板W(下地層700)の成膜面(
図3の例では、下地層700の上面)のうち、少なくとも一部に形成された不連続な膜である。
【0035】
ステップS105において、処理容器2に第2のホウ素含有ガス(例えば、B2H6)及び第2の窒素含有ガス(例えば、N2)を供給する。ここでは、ArガスのプラズマP1が形成された状態から、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2に第2のホウ素含有ガス及び第2の窒素含有ガスを供給する。これにより、処理容器2内の基板Wは、第2のホウ素含有ガス、第2の窒素含有ガス及びArガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらされる。これにより、窒化ホウ素含有物の核721を起点として、窒化ホウ素膜(第2の窒化ホウ素膜ともいう。)722を形成する。そして、所定の処理時間が経過すると、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2への第2のホウ素含有ガス及び第2の窒素含有ガスの供給を停止する。また、制御部9は、RF電源51を制御して、上部電極への高周波電力の供給を停止する。また、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2へのArガスの供給を停止する。
【0036】
ここで、第2のホウ素含有ガスは、例えば、B2H6、BCl3、B3N3H6、B(CH3)3等のうち少なくともいずれか1つのガスである。なお、第2のホウ素含有ガスは、第1のホウ素含有ガスと同じガスであってもよく、異なるガスであってもよい。以下の説明において、第2のホウ素含有ガスは、B2H6である場合を例に説明する。
【0037】
第2の窒素含有ガスは、第1の窒素含有ガスとは異なるガスである。また、第2の窒素含有ガスは、第1の窒素含有ガスと比較して、ホウ素含有物(第1のホウ素含有ガス、第2のホウ素含有ガス、ホウ素含有物の堆積層710)を窒化する反応性が低い窒素含有ガスである。また、後述する
図7で示すように、窒化ホウ素含有物の核721が形成されていない基板Wに対して、第2のホウ素含有ガス及び第2の窒素含有ガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらした場合、窒化ホウ素膜の成膜が抑制される。具体的には、窒化ホウ素含有物の核721の表面上には反応末端がないので、ホウ素の窒化による窒化ホウ素膜の形成が起こらず、窒化ホウ素膜は縦方向には成長(成膜)しない。また、窒化ホウ素含有物の核721は、横方向のみに反応末端を有するので、窒化ホウ素膜は横方向に成長(成膜)する。第2の窒素含有ガスは、例えば、N
2、N
2とH
2の混合ガス等のうち少なくともいずれか1つのガスである。第2の窒素含有ガスがN
2とH
2の混合ガスである場合、N
2のみの場合に近づける、もしくは、N
2の分圧を極端に下げる等、窒素と水素の比率が第1の窒素含有ガスとは異なるように供給する。以下の説明において、第2の窒素含有ガスは、N
2である場合を例に説明する。
【0038】
なお、ステップS105におけるレシピの一例を示す。
処理容器内圧力:10mTorr~200mTorr
載置台温度:600℃~900℃
【0039】
図3(d)は、ステップS105の工程における基板Wの断面模式図の一例である。処理容器2内に、第2のホウ素含有ガス(B
2H
6)、第2の窒素含有ガス(N
2)及びArガスを含む第2の処理ガスのプラズマP3が形成される。第2の処理ガスのプラズマP3によって、窒化ホウ素含有物の核721(
図3(c)参照)を起点として、窒化ホウ素膜722が基板Wの面方向に成長する。一方、窒化ホウ素膜722は、後述する参考例と比較して、基板Wの積層方向への成長が抑制されている。
【0040】
図3(e)は、ステップS105の工程後における基板Wの断面模式図の一例である。窒化ホウ素膜722が基板Wの面方向に成長することで、基板Wの下地層700の上に窒化ホウ素膜722が形成される。また、窒化ホウ素膜722は、積層方向への成長が抑制されており、基板Wに薄膜の窒化ホウ素膜722が成膜される。
【0041】
なお、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法は、
図1に示す基板処理装置1で実施される。換言すれば、1つの処理容器2内で、ホウ素含有物の堆積層710を形成する工程(S102)、窒化ホウ素含有物の核721を形成する工程(S104)及び窒化ホウ素膜722を形成する工程(S105)を行うものとして説明したが、これに限られるものではない。ホウ素含有物の堆積層710を形成する工程(S102)、窒化ホウ素含有物の核721を形成する工程(S104)及び窒化ホウ素膜722を形成する工程(S105)を異なる処理容器で行う構成であってもよい。例えば、基板処理システムは、ホウ素含有物の堆積層710を形成する工程(S102)を行う第1の基板処理装置、窒化ホウ素含有物の核721を形成する工程(S104)を行う第2の基板処理装置、窒化ホウ素膜722を形成する工程(S105)を行う第3の基板処理装置、第1から第3の基板処理装置に接続される真空搬送装置、真空搬送装置内に設けられた基板搬送装置等を備える、マルチチャンバの基板処理システムであってもよい。
【0042】
また、例えば、基板処理システムは、ホウ素含有物の堆積層710を形成する工程(S102)と、窒化ホウ素含有物の核721を形成する工程(S104)を行う第1の基板処理装置、窒化ホウ素膜722を形成する工程(S105)を行う第2の基板処理装置、第1および第2の基板処理装置に接続される真空搬送装置、真空搬送装置内に設けられた基板搬送装置等を備える、マルチチャンバの基板処理システムであってもよい。
【0043】
また、例えば、基板処理システムは、ホウ素含有物の堆積層710を形成する工程(S102)を行う第1の基板処理装置、窒化ホウ素含有物の核721を形成する工程(S104)と、窒化ホウ素膜722を形成する工程(S105)を行う第2の基板処理装置、第1および第2の基板処理装置に接続される真空搬送装置、真空搬送装置内に設けられた基板搬送装置等を備える、マルチチャンバの基板処理システムであってもよい。
【0044】
また、
図2に示す例では、ホウ素含有物の堆積層710を形成する工程(S102)、窒化ホウ素含有物の核721を形成する工程(S104)及び窒化ホウ素膜722を形成する工程(S105)を1回ずつ行うものとして説明したが、これに限られるものではない。ステップS102からステップS105までの処理を1サイクルとして、このサイクルを複数回繰り返す構成であってもよい。これにより、サイクルの繰り返し数で基板Wに形成される窒化ホウ素膜の膜厚を制御することができる。また、後述するように、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法は、1サイクル当りの窒化ホウ素膜の膜厚を薄くすることができる。このため、窒化ホウ素膜の膜厚の制御性が向上する。
【0045】
ここで、ステップS101からステップS105におけるホウ素含有物の堆積層710を窒化して窒化ホウ素含有物の核721を形成する処理について、
図4を用いて更に説明する。
図4は、窒素含有ガスと窒化反応との関係を示すグラフの一例である。ここでは、基板Wに形成された各々の膜について、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)による分析を行った。横軸は波長(Wavenumber)を示す。また、縦軸は吸光度(Absorbance)を示す。また、
図4では、h-BNに対応する波長の位置及びB-OHに対応する波長の位置を細実線で示す。
【0046】
実線で示す「Base(B
2H
6)」は、SiO
2で構成された下地層700を有する基板Wに対して、第1のホウ素含有ガスとしてB
2H
6で基板Wにホウ素含有物の堆積層710を形成した(
図2ステップS102参照)。
【0047】
破線で示す「N2CVD」は、B2H6でホウ素含有物の堆積層710を形成した基板Wに対して、N2及びArを含む処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化処理を施した。
【0048】
点線で示す「N
2+H
2」は、B
2H
6でホウ素含有物の堆積層710を形成した基板Wに対して、N
2、H
2及びArを含む処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化処理を施した(
図2ステップS103,S104参照)。即ち、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法において、第1の窒素含有ガスとして、N
2とH
2の混合ガスを用いた場合に相当する。
【0049】
一点鎖線で示す「NH
3CVD」は、B
2H
6でホウ素含有物の堆積層710を形成した基板Wに対して、NH
3及びArを含む処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化処理を施した(
図2ステップS103,S104参照)。即ち、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法において、第1の窒素含有ガスとして、NH
3ガスを用いた場合に相当する。
【0050】
図4に示すように、点線で示す「N
2+H
2」及び一点鎖線で示す「NH
3CVD」において、h-BNに対応する波長の位置に吸光度のピークが表れている。即ち、ステップS101からステップS105における処理によって、基板Wに窒化ホウ素含有物の核721が形成されたことを示す。また、B
2H
6で基板Wにホウ素含有物の堆積層710を形成した後に窒素含有ガスを含む処理ガスのプラズマで窒化する場合、点線で示す「N
2+H
2」及び一点鎖線で示す「NH
3CVD」は、破線で示す「N
2CVD」と比較して、h-BNを形成する反応速度が高いことを示す。
【0051】
次に、参考例に係るh-BN膜の成膜方法(基板処理方法)の一例について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、参考例に係るh-BN膜の成膜方法の一例を示すフローチャートである。
図6は、参考例に係る各工程における基板Wの断面模式図の一例である。
【0052】
ステップS201において、基板Wを準備する。基板Wは、下地層700(後述する
図6(a)参照)を有する。ここでは、制御部9は、図示しない搬送装置を制御して、基板処理装置1の載置台3に基板Wを載置する。搬送装置が搬送口25から退避すると、制御部9は、ゲートバルブ26を閉じる。
【0053】
ステップS202において、処理容器2内でArガスのプラズマを着火する。ここでは、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2にプラズマを生成するArガスを供給する。また、制御部9は、RF電源51を制御して、上部電極にプラズマ生成用の高周波電力を供給する。これにより、上部電極(ガス供給部5)と下部電極33との間で、Arガスのプラズマを着火する。
【0054】
図6(a)は、ステップS202の工程における基板Wの断面模式図の一例である。処理容器2内に、ArガスのプラズマP1が形成される。また、基板Wは、ArガスのプラズマP1にさらされる。
【0055】
ステップS203において、処理容器2にB2H6ガス(ホウ素含有ガス)及びNH3ガス(窒素含有ガス)を供給する。ここでは、ArガスのプラズマP1が形成された状態から、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2にB2H6ガス及びNH3ガスを供給する。これにより、処理容器2内の基板Wは、B2H6ガス、NH3ガス及びArガスを含む参考例に係る処理ガスのプラズマP5にさらされる。これにより、基板Wに窒化ホウ素膜725を形成する。そして、所定の処理時間が経過すると、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2へのB2H6ガス及びNH3ガスの供給を停止する。また、制御部9は、RF電源51を制御して、上部電極への高周波電力の供給を停止する。また、制御部9は、ガス源61のバルブ等を制御して、処理容器2へのArガスの供給を停止する。
【0056】
図6(b)は、ステップS203の工程における基板Wの断面模式図の一例である。処理容器2内に、B
2H
6ガス、NH
3ガス及びArガスを含む参考例に係る処理ガスのプラズマP5が形成される。これにより、基板Wに窒化ホウ素膜725を形成する。ここでは、後述するように、窒化ホウ素膜725は積層方向及び面方向に成長する。
【0057】
図6(c)は、ステップS203の工程後における基板Wの断面模式図の一例である。窒化ホウ素膜725が基板Wの積層方向及び面方向に成長することで、基板Wの下地層700の上に窒化ホウ素膜725が形成される。
【0058】
次に、参考例に係るh-BN膜の成膜方法(
図5、
図6参照)と対比しつつ、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法(
図2、
図3参照)について、更に説明する。
図7は、窒素含有ガスと窒化反応との関係を示すグラフの一例である。ここでは、基板Wに形成された各々の膜について、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)による分析を行った。横軸は波長(Wavenumber)を示す。また、縦軸は吸光度(Absorbance)を示す。
【0059】
実線で示す「NH
3→N
2」は、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法(
図2、
図3参照)に相当し、B
2H
6でホウ素含有物の堆積層710を形成した基板Wに対してNH
3及びArを含む第1の処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化処理を施し(
図2ステップS103,S104参照)、その後、B
2H
6、N
2、Arを含む第2の処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化ホウ素膜722を形成した(
図2ステップS105参照)。
【0060】
破線で示す「NH
3」は、参考例に係るh-BN膜の成膜方法(
図5、
図6参照)に相当し、B
2H
6、NH
3、Arを含む処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化ホウ素膜725を形成した(
図5ステップS202,S203参照)。
【0061】
破線で示す「N
2」は、参考例に係るh-BN膜の成膜方法(
図5、
図6参照)から窒素含有ガスをNH
3からN
2に替えたものである。即ち、破線で示す「N
2」は、他の参考例に係るh-BN膜の成膜方法に相当し、B
2H
6、N
2、Arを含む処理ガスのプラズマで、基板Wに窒化ホウ素膜を形成した。
【0062】
図7に示すように、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法において、h-BNに対応する波長の位置(
図4参照。1400cm
-1付近。)にピークが表れている。即ち、h-BN膜が成膜されていることを示す。
【0063】
また、窒素含有ガスとしてNH
3を用いた参考例に係るh-BN膜の成膜方法において、h-BNに対応する波長の位置(
図4参照。1400cm
-1付近。)にピークが表れている。即ち、h-BN膜が成膜されていることを示す。
【0064】
一方、窒素含有ガスとしてN
2を用いた他の参考例に係るh-BN膜の成膜方法において、h-BNに対応する波長の位置(
図4参照。1400cm
-1付近。)にピークが表れていない。即ち、h-BN膜が成膜されていないことを示す。
【0065】
図8は、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法(
図2、
図3参照)で成膜された窒化ホウ素膜722を示す断面図である。
図9は、参考例に係るh-BN膜の成膜方法(
図5、
図6参照)で成膜された窒化ホウ素膜725を示す断面図である。
【0066】
図8の例では、ステップS104の処理を1min、ステップS105の処理を4minとして、窒化ホウ素膜722を成膜した。ここでは、3~5層(layers)、膜厚1.95nmの窒化ホウ素膜722が成膜された。
【0067】
一方、
図9の例では、ステップS203の処理を5minとして、窒化ホウ素膜725を成膜した。ここでは、7~8層(layers)、膜厚3.04nmの窒化ホウ素膜725が成膜された。
【0068】
図8と
図9を対比して示すように、本実施形態に係るh-BN膜の成膜方法(
図2、
図3参照)によれば、基板Wに薄膜の窒化ホウ素膜722を形成することができる。
【0069】
即ち、第1のホウ素含有ガスを供給する工程(S102)と、第1の窒素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマにさらす工程(S104)と、を別々に行うことにより、基板Wに形成される窒化ホウ素含有物の核721の積層方向の厚さを抑制することができる。
【0070】
また、第2のホウ素含有ガス、第2の窒素含有ガスを含む第2の処理ガスのプラズマにさらす工程(S105)では、
図4及び
図7に示すように、基板Wそのままでは、窒化ホウ素膜が好適に成長しないガスの組み合わせを用いることができる。これにより、窒化ホウ素含有物の核721から基板Wの面方向に窒化ホウ素膜722を成長させることができる。一方、基板Wの積層方向における窒化ホウ素膜722の成長を抑制することができる。これにより、基板Wに薄膜の窒化ホウ素膜722を成膜することができる。
【0071】
以上、窒化ホウ素膜を形成する基板処理方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0072】
W 基板
1 基板処理装置
2 処理容器
3 載置台
5 ガス供給部
6 ガス供給路
9 制御部
51 RF電源(プラズマ生成部)
700 下地層
710 ホウ素含有物の堆積層
721 窒化ホウ素含有物の核
722 窒化ホウ素膜