IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特開2024-176085ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法
<>
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図1
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図2
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図3
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図4
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図5
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図6
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図7
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図8
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図9
  • 特開-ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176085
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241212BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20241212BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20241212BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C14/50 E
C23C16/46
H01L21/31 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094319
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(72)【発明者】
【氏名】波多野 達夫
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029CA05
4K029DA08
4K029DC16
4K029DC34
4K029JA02
4K029JA06
4K030CA17
4K030GA02
4K030GA06
4K030GA12
4K030HA01
4K030JA10
4K030KA23
4K030KA26
4K030KA41
4K030KA46
5F045AA19
5F045AE01
5F045DP02
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EH01
5F045EJ03
5F045EJ10
5F045EK07
5F045EK27
5F045EM05
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131CA03
5F131CA68
5F131EA03
5F131EA04
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB11
5F131EB72
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131EB87
5F131KA23
5F131KA54
(57)【要約】
【課題】基板を載置するステージを冷却するステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法を提供する。
【解決手段】基板を載置する複数のステージと、複数の前記ステージに共通する1つの冷却プレートと、前記冷却プレートを冷却する冷凍機と、複数の前記ステージの第1接触面と前記冷却プレートの第2接触面とを熱的に接続または離隔可能な昇降装置と、を備える、ステージ構造体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置する複数のステージと、
複数の前記ステージに共通する1つの冷却プレートと、
前記冷却プレートを冷却する冷凍機と、
複数の前記ステージの第1接触面と前記冷却プレートの第2接触面とを熱的に接続または離隔可能な昇降装置と、を備える、
ステージ構造体。
【請求項2】
複数の前記ステージをそれぞれ支持する複数の支持柱を備え、
前記冷却プレートは、複数の前記支持柱をそれぞれ挿通する複数の貫通孔を有する、
請求項1に記載のステージ構造体。
【請求項3】
平面視して、複数の前記貫通孔の中心を結んだ直線の中心位置に前記冷凍機が配置される、
請求項2に記載のステージ構造体。
【請求項4】
それぞれの前記ステージの中心から前記冷凍機の中心までの水平距離は、それぞれ同距離である、
請求項1に記載のステージ構造体。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記貫通孔の中心から前記冷凍機の中心に向かう方向を長手方向とする長穴である、
請求項2に記載のステージ構造体。
【請求項6】
前記支持柱は、断熱部材で構成される断熱部を有する、
請求項2に記載のステージ構造体。
【請求項7】
前記ステージを上昇位置に配置した際、前記断熱部の上面は、前記冷却プレートの上面よりも高い位置に配置される、
請求項6に記載のステージ構造体。
【請求項8】
前記ステージを上昇位置に配置した際、前記断熱部の下面は、前記冷却プレートの下面よりも低い位置に配置される、
請求項6に記載のステージ構造体。
【請求項9】
前記冷却プレートを加熱するヒータを有する、
請求項1に記載のステージ構造体。
【請求項10】
前記ヒータは、1つの前記ステージごとに、インナーヒータ及びアウターヒータを有する、
請求項9に記載のステージ構造体。
【請求項11】
前記ステージは、
該ステージの内側領域の温度を検出する内側温度センサと、
該ステージの外側領域の温度を検出する外側温度センサと、を有する、
請求項10に記載のステージ構造体。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のステージ構造体を備える、
基板処理装置。
【請求項13】
基板を載置する第1ステージ及び第2ステージと、前記第1ステージ及び前記第2ステージに共通する1つの冷却プレートと、前記冷却プレートを冷却する冷凍機と、複数の前記ステージの第1接触面と前記冷却プレートの第2接触面とを熱的に接続または離隔可能な昇降装置と、前記第1ステージの温度を検出する第1温度センサと、前記第2ステージの温度を検出する第2温度センサと、前記第1ステージとの接触面を加熱する第1ヒータと、前記第2ステージとの接触面を加熱する第2ヒータと、を有するステージ構造体の温度制御方法であって、
前記第1温度センサ及び前記第2温度センサのうち、温度の低い温度センサに対応する前記第1ヒータまたは前記第2ヒータに供給する電力を増加させる、
温度制御方法。
【請求項14】
基板を載置するステージと、冷却プレートと、前記冷却プレートを冷却する冷凍機と、複数の前記ステージの第1接触面と前記冷却プレートの第2接触面とを熱的に接続または離隔可能な昇降装置と、前記冷却プレートを加熱するヒータと、を有するステージ構造体の温度制御方法であって、
前記ヒータに第1の電力を供給し、前記第1接触面と前記第2接触面とを熱的に接続させ、前記ステージを冷却する工程と、
前記第1接触面と前記第2接触面とを離隔させる工程と、
前記ヒータに前記第1の電力よりも小さい第2の電力を供給し、前記第1接触面と前記第2接触面とを熱的に接続させ、前記ステージを冷却する工程と、を含む、
温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、成膜装置内で成膜が行われる基板を載置する基板載置機構であって、基板を載置する基板載置面を有する載置台と、前記載置台の前記基板載置面と反対側に対向して設けられ、冷凍機により極低温に冷却された冷却ヘッドと、前記載置台と前記冷却ヘッドを接離させる接離機構と、載置台を回転させる回転機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、成膜時以外は、前記接離機構により前記載置台と前記冷却ヘッドを接触させた状態とし、その状態で前記基板を前記載置台に載置させ、成膜時には、前記接離機構により前記載置台と前記冷却ヘッドを離隔させた状態で前記回転機構により前記載置台を回転させる、基板載置機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、基板を載置するステージを冷却するステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を載置する複数のステージと、複数の前記ステージに共通する1つの冷却プレートと、前記冷却プレートを冷却する冷凍機と、複数の前記ステージの第1接触面と前記冷却プレートの第2接触面とを熱的に接続または離隔可能な昇降装置と、を備える、ステージ構造体が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、基板を載置するステージを冷却するステージ構造体、基板処理装置及び温度制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係るステージ構造体を備える基板処理装置の構成を示す断面図の一例。
図2】ヒータを制御するヒータコントローラを説明するブロック図。
図3】温度制御の一例を示すグラフ。
図4】参考例におけるステージの温度変化の一例を示すグラフ。
図5】本実施形態におけるステージの温度変化の一例を示すグラフ。
図6】各工程におけるステージの状態を示す断面模式図の一例。
図7】基板処理装置の動作の一例を示すタイムチャート。
図8】ステージ構造体の一例を示す模式図。
図9】ステージ構造体の一例を示す模式図。
図10】貫通孔の形状の一例を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
本実施形態に係るステージ構造体を備える基板処理装置1の一例について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るステージ構造体を備える基板処理装置1の構成を示す断面図の一例である。
【0010】
ここで、基板処理装置1は、図1に示すように、処理容器2内に処理ガスを供給し処理容器2内に設けられたターゲット31をスパッタして基板Wに所望の処理(例えば成膜処理等)を施す基板処理装置(例えばPVD(Physical Vapor Deposition)装置等)である。なお、本実施形態に係るステージ構造体を備える基板処理装置1は、PVD装置である場合を例に説明するが、これに限られるものではなく、例えば、処理容器2内に処理ガスを供給して基板Wに所望の処理(例えば成膜処理等)を施す基板処理装置(例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)装置、ALD(Atomic Layer Deposition)装置等)であってもよい。
【0011】
基板処理装置1は、処理容器2と、スパッタ粒子放出部3と、基板Wを載置する複数のステージ4(4A,4B)と、複数のステージ4に対して共通する1つの冷凍装置5と、ステージ4を回転させるステージ回転機構6と、ステージ4を昇降させるステージ昇降機構7と、ヒータコントローラ8と、制御部9と、を備える。また、基板処理装置1のうち、基板Wを支持する構造体をステージ構造体ともいう。具体的には、ステージ構造体は、複数のステージ4(4A,4B)と、冷凍装置5と、ステージ回転機構6と、ステージ昇降機構7と、ヒータコントローラ8と、を含む。
【0012】
処理容器2は、内部空間2Sを形成する。処理容器2は、真空ポンプ等の排気装置(図示せず)を作動することにより、その内部空間2Sが超高真空に減圧されるように構成されている。また、処理容器2は、処理ガス供給部から処理ガスが供給されるガス導入ポート(図示せず)を有する。PVD装置において、ガス導入ポートから処理ガスとしてスパッタガス(例えば、不活性ガス)が内部空間2Sに導入される。
【0013】
スパッタ粒子放出部3は、ターゲット31と、スパッタ電源32と、を含む。ターゲット31は、成膜しようとする膜の構成元素を含む材料からなる。ターゲット31は、導電性のターゲットホルダ(図示せず)に保持される。また、ターゲットホルダは、絶縁部材(図示せず)を介して、処理容器2に保持される。スパッタ電源32は、ターゲットホルダに電気的に接続されている。スパッタ電源32は、ターゲット31が導電性材料である場合には、直流電源であってよく、ターゲット31が誘電性材料である場合には、高周波電源であってよい。スパッタ電源32が高周波電源である場合には、整合器を介してターゲットホルダに接続される。ターゲットホルダに電圧が印加されることにより、ターゲット31の周囲でスパッタガスが解離する。そして、解離したスパッタガス中のイオンがターゲット31に衝突し、ターゲット31からその構成材料の粒子であるスパッタ粒子が放出される。
【0014】
処理容器2の内部には、基板Wを載置する複数のステージ4(4A,4B)が設けられている。図1に示す例において、基板処理装置1は、2つのステージ4A,4Bを有する。ステージ4は、熱伝導性の高い材料(例えば、銅(純銅)、アルミニウム等)により形成されている。また、ステージ4の熱容量は、基板Wに比べて十分に大きい。
【0015】
また、ステージ4は、静電チャックを含む。静電チャックは、誘電体膜内に埋設されたチャック電極41を有する。チャック電極41は、後述するスリップリング63を介して、チャック電源42と接続され、所定の電位が与えられるようになっている。この構成により、基板Wを静電チャックにより吸着し、ステージ4の上面(基板載置面)に基板Wを固定することができる。また、ステージ4は、ステージ昇降機構7によって、上昇位置と下降位置とのいずれかに配置することができる。上昇位置は、ステージ4の第1接触面4Sと後述する冷却プレート52の第2接触面521Sとを離隔させる位置である。また、上昇位置は、ステージ回転機構6によってステージ4を回転させることが可能となる位置(ステージ回転位置)である。下降位置は、ステージ4の第1接触面4Sと後述する冷却プレート52の第2接触面521Sとを熱的に接続させる位置(ステージ冷却位置)である。図1に示す例において、第1接触面4Sは、ステージ4の基板載置面(上面)と反対側の面(下面、裏面)に形成される。
【0016】
また、ステージ4には、ステージ4の温度を検出する温度センサ43が設けられている、温度センサ43は、後述するスリップリング63を介して、ヒータコントローラ8に接続される。また、温度センサ43は、後述する図2で示すように、各ステージ4に複数設けられている。
【0017】
また、ステージ4には、基板Wの裏面とステージ4の載置面との間の隙間に伝熱ガス(例えばHeガス)を供給する伝熱ガス供給部44を有する。
【0018】
また、ステージ4の基板載置面と反対側の面の中央には、ステージ4を支持する支持柱45が設けられている。支持柱45の一部は、断熱部材で構成される断熱部451を有する。また、支持柱45は、ステージ4を回転させる際の回転軸となる。
【0019】
ステージ4の下方には、冷凍装置5が設けられている。冷凍装置5は、冷凍機51と、冷却プレート52と、を有する。
【0020】
冷凍機51は、処理容器2の外側に設けられる。冷凍機51には、冷却能力の観点から、GM(Gifford-McMahon)サイクルを利用する形態が好ましい。
【0021】
冷却プレート52は、プレート部521と、伝熱部522と、を有する。冷却プレート52は、熱伝導性の高い材料(例えば、銅(純銅)、アルミニウム等)により形成されている。また、プレート部521と伝熱部522とは、一体に構成されていてもよく、別体に形成されたものを熱的に接続して構成されていてもよい。また、冷却プレート52の熱容量は、ステージ4に比べて十分に大きい。
【0022】
プレート部521は、支持柱45のそれぞれが挿通される複数の貫通孔521hを有する。貫通孔521hは、1つの支持柱45に対して1つ形成されている。また、プレート部521は、ステージ4の第1接触面4Sと熱的に接続される第2接触面521Sを有する。図1に示す例において、第2接触面521Sは、プレート部521の上面に形成される。また、第2接触面521Sは、貫通孔521hの周囲に形成される。伝熱部522の一端は、プレート部521と接続される。伝熱部522の他端は、処理容器2の底壁を貫通し、冷凍機51と熱的に接続される。なお、処理容器2の底壁と伝熱部522との間には、断熱部材21が設けられている。
【0023】
このような構成により、冷凍機51は、冷却プレート52の第2接触面521Sを極低温に冷却する。また、冷凍機51は、冷却プレート52を介して、下降位置に配置されたステージ4を冷却する。
【0024】
また、プレート部521の裏面側(第2接触面521Sとは反対側の面)には、プレート部521を加熱するヒータ53が設けられている。また、ヒータ53は、後述する図2で示すように、各ステージ4に対応して複数設けられている。
【0025】
ステージ回転機構6は、モータ61と、磁性流体シール62と、スリップリング63と、を有する。
【0026】
モータ61は、後述する昇降板71よりも下方に設けられ、支持柱45を回転させることにより、ステージ4を回転させる。モータ61は、例えば、ダイレクトドライブモータ(DDモータ)である。なお、支持柱45を回転させるステージ回転機構6は、ダイレクトドライブモータ以外の形態であってもよく、例えばサーボモータと伝達ベルトを用いて支持柱45を回転させる形態等であってもよい。
【0027】
支持柱45は、昇降板71を貫通する。支持柱45と昇降板71との間には、磁性流体シール62が設けられている。磁性流体シール62は、支持柱45を回転自在に支持するとともに、支持柱45と昇降板71との間を封止して、処理容器2の内部空間2Sと処理容器2の外部空間とを分離する。
【0028】
このような構成により、ステージ回転機構6は、モータ61によって支持柱45を回転させることにより、ステージ4を回転させる。
【0029】
スリップリング63は、回転する支持柱45及びステージ4に設けられた温度センサ43からの電気信号やチャック電極41への電力を伝達する。
【0030】
ステージ昇降機構7は、昇降板71と、ベローズ72と、昇降駆動部(図示せず)と、を備える。昇降板71は、磁性流体シール62を介して、支持柱45を回転自在に支持する。ベローズ72は、昇降板71と処理容器2との間を封止して、処理容器2の内部空間2Sと処理容器2の外部空間とを分離する。昇降駆動部は、昇降板71を上昇または下降させる。これにより、昇降駆動部は、ステージ4を上昇または下降させる。昇降駆動部は、例えばボールねじと、サーボモータと、を用いてステージ4を上昇または下降させる携帯であってもよい。
【0031】
このような構成により、ステージ昇降機構7は、昇降駆動部によって昇降板71を上昇させることでステージ4を上昇位置に配置し、昇降駆動部によって昇降板71を下降させることでステージ4を下降位置に配置する。
【0032】
ヒータコントローラ8は、温度センサ43で検出した温度に基づいて、ヒータ53(531~534)を制御する。
【0033】
制御部9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、基板処理装置1の動作を制御する。制御部9は、基板処理装置1の内部に設けられていてもよく、外部に設けられていてもよい。制御部9が基板処理装置1の外部に設けられている場合、制御部9は、有線又は無線等の通信手段によって、基板処理装置1を制御できる。
【0034】
このような構成により、ステージ構造体は、ステージ昇降機構7によってステージ4を下降位置に配置することにより、ステージ4の第1接触面4Sと冷却プレート52の第2接触面521Sとを熱的に接続させ、ステージ4を冷却する。また、ステージ構造体は、ステージ昇降機構7によってステージ4を上昇位置に配置することにより、ステージ4の第1接触面4Sと冷却プレート52の第2接触面521Sとを離隔させる。また、ステージ構造体は、ステージ4が上昇位置に配置された状態において、ステージ回転機構6によりステージ4を回転させる。
【0035】
また、ステージ構造体は、支持柱45の直径が増大することを抑制することができる。換言すれば、ダイレクトドライブモータ61、磁性流体シール62、スリップリング63の口径が大きくなることを抑制することができる。また、冷凍装置5(冷凍機51、冷却プレート52)を昇降する昇降機構を用いることなく、ステージ4の冷却位置(下降位置とステージ4の回転位置(上昇位置)を切り替えることができる。
【0036】
次に、ヒータコントローラ8による温度制御の一例について、図2から図5を用いて説明する。
【0037】
図2は、ヒータ53を制御するヒータコントローラ8を説明するブロック図である。
【0038】
温度センサ43は、第1のステージ4Aに設けられた第1の内側温度センサ431及び第1の外側温度センサ432と、第2のステージ4Bに設けられた第2の内側温度センサ433及び第2の外側温度センサ434と、を有する。第1の内側温度センサ431は、第1のステージ4Aの回転中心に近い側の領域における第1のステージ4Aの温度を計測する。第1の外側温度センサ432は、第1のステージ4Aの回転中心から遠い側の領域における第1のステージ4Aの温度を計測する。第2の内側温度センサ433は、第2のステージ4Bの回転中心に近い側の領域における第2のステージ4Bの温度を計測する。第2の外側温度センサ434は、第2のステージ4Bの回転中心から遠い側の領域における第2のステージ4Bの温度を計測する。
【0039】
また、ヒータ53は、第1のステージ4Aに対応する第1インナーヒータ531及び第1アウターヒータ532と、第2のステージ4Bに対応する第2インナーヒータ533及び第2アウターヒータ534と、を有する。
【0040】
第1のステージ4Aの支持柱45を挿通する貫通孔521hと同心円の円環領域に第1インナーヒータ531が設けられる。また、第1のステージ4Aの支持柱45を挿通する貫通孔521hと同心円の円環領域であって、第1インナーヒータ531が設けられる領域よりも外側の円環領域に、第1アウターヒータ532が設けられている。第2のステージ4Bの支持柱45を挿通する貫通孔521hと同心円の円環領域に第2インナーヒータ533が設けられる。また、第2のステージ4Bの支持柱45を挿通する貫通孔521hと同心円の円環領域であって、第2インナーヒータ533が設けられる領域よりも外側の円環領域に、第2アウターヒータ534が設けられている。
【0041】
図3は、温度制御の一例を示すグラフである。横軸は時間を示す。縦軸は、ステージ4の温度である。ここでは、ステージ昇降機構7によってステージ4が下降し、第1接触面4Sと第2接触面521Sとが熱的に接触している。
【0042】
図3(a)において、破線で示すCH1は、第1の内側温度センサ431で検出される温度である。実線で示すCH2は、第2の内側温度センサ433で検出される温度である。
【0043】
ここでは、CH1で示すステージ4Aの温度に対して、CH2で示すステージ4Bの温度に温度差ΔTを有している。この場合、ヒータコントローラ8は、温度の低い側のヒータの電力供給量を増加させる。ここでは、第2インナーヒータ533の電力供給量を増加させる。換言すれば、第2インナーヒータ533の電力供給量を第1インナーヒータ531の電力供給量よりも大きくする。これにより、CH2で示すステージ4Bの温度がCH1で示すステージ4Aの温度と同等の温度となるまで温度調整される。
【0044】
なお、第1の内側温度センサ431及び第2の内側温度センサ433で検出される内側の領域の温度差を調整する例を説明したが、これに限られるものではない。第1の外側温度センサ432及び第2の外側温度センサ434で検出される外側の領域の温度差を調整する場合も同様である。このように、一方のステージ4Aの温度センサ(431,432)と他方のステージ4Bの温度センサ(433,434)のうち、温度の低い温度センサに対応する第1ヒータ(531,532)または第2ヒータ(533,534)に供給する電力を増加させる。これにより、ステージ4の間における温度差を低減することができる。
【0045】
図3(b)において、破線で示すCH1inは、第1の内側温度センサ431で検出される温度である。破線で示すCH1outは、第1の外側温度センサ432で検出される温度である。
【0046】
ここでは、CH1inで示すステージ4Aの内側の温度に対して、CH1outで示すステージ4Aの外側の温度に温度差Δt1を有している。この場合、ヒータコントローラ8は、温度の低い側のヒータの電力供給量を増加させる。ここでは、第1アウターヒータ532の電力供給量を増加させる。換言すれば、第1アウターヒータ532の電力供給量を第1インナーヒータ531の電力供給量よりも大きくする。これにより、CH1outで示すステージ4Aの外側の温度がCH1inで示すステージ4Aの内側の温度と同等の温度となるまで温度調整される。
【0047】
なお、第1のステージ4Aにおける内周側と外周側の温度差を調整する例を説明したが、これに限られるものではない。第2のステージ4Bにおける内周側と外周側の温度差を調整する場合も同様である。このように、1つのステージ4内における温度差を低減することができる。
【0048】
次に、複数の基板Wに対し連続して基板処理を施す際における冷却プレート52の温度変化について、図4及び図5を用いて説明する。
【0049】
図4は、参考例におけるステージ4の温度変化の一例を示すグラフである。横軸は基板Wの処理枚数を示す。縦軸は、ステージ4の温度である。
【0050】
ここでは、ヒータ53による温調を行わない場合におけるステージ4の温度変化の一例を示す。搬送される基板Wの温度や基板処理中のプラズマからの入熱により、ステージ4の温度は、図4に示すように温度差ΔTで温度が上昇する。このため、安定した温度で基板処理を行うために、まず、ダミー基板を用いて所定の枚数処理を施し、ステージ4の温度が安定(平衡状態)となった後、製品となる基板Wの処理(製品処理)を行う。
【0051】
図5は、本実施形態におけるステージ4の温度変化の一例を示すグラフである。横軸は基板Wの処理枚数を示す。縦軸は、ステージ4の温度である。
【0052】
ここでは、1枚目の基板Wの基板処理の開始時において、予めヒータ53に所定の電力を供給している。搬送される基板Wの温度や基板処理中のプラズマから入熱すると、ヒータコントローラ8は、温度センサ43の検出温度に基づき、ヒータ53に供給する電力を低下させるように制御する。
【0053】
以下に、複数の基板Wについて、基板処理を施す際の温度制御の一例について説明する。
【0054】
まず、第1の基板Wをステージ4に載置する。次に、第1の基板Wを載置したステージ4を下降位置に配置して、第1接触面4Sと前記第2接触面521Sとを熱的に接続させ、ステージ4及び第1の基板Wを冷却する。ここで、ヒータ53に第1の電力を供給する。
【0055】
次に、第1の基板Wを載置したステージ4を上昇位置に配置して、第1接触面4Sと前記第2接触面521Sと離隔させる。そして、第1の基板Wに基板処理(成膜処理)を施す。成膜処理が施された基板Wは、処理容器2から搬出される。
【0056】
次に、第2の基板Wをステージ4に載置する。次に、第2の基板Wを載置したステージ4を下降位置に配置して、第1接触面4Sと前記第2接触面521Sとを熱的に接続させ、ステージ4及び第1の基板Wを冷却する。この際、第1の基板Wに基板処理を施した際の入熱により、ステージ4の温度が高くなっている。ここで、ヒータ53に第1の電力よりも小さい第2の電力を供給する。これにより、冷凍装置5によるステージ4の冷却性能を向上させる。
【0057】
次に、第2の基板Wを載置したステージ4を上昇位置に配置して、第1接触面4Sと前記第2接触面521Sと離隔させる。そして、第2の基板Wに基板処理(成膜処理)を施す。成膜処理が施された基板Wは、処理容器2から搬出される。以下、ステージ4の温度が安定となるまで、この処理を繰り返す。
【0058】
これによれば、1枚目の基板Wの基板処理から、ステージ4の温度が安定し、複数の基板Wに対し連続して基板処理を施すことができる。即ち、図4に示す参考例と比較して、ダミー基板を用いたステージ4の温度を安定させる処理が不要となる。
【0059】
次に、基板処理装置1の動作の一例について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、各工程におけるステージ4の状態を示す断面模式図の一例である。図7は、基板処理装置1の動作の一例を示すタイムチャートである。
【0060】
待機工程において、制御部9は、ステージ回転機構6によるステージ4の回転を停止(Stage 停止)し、ステージ昇降機構7によりステージ4を下降位置(Stage down)に配置させる。これにより、第1接触面4Sと第2接触面521Sとが熱的に接触し、ステージ4が冷却される。この工程におけるステージ4の状態を図6(a)に示す。
【0061】
基板搬入工程において、制御部9は、前述の工程から引き続いて、ステージ回転機構6によるステージ4の回転を停止(Stage 停止)し、ステージ昇降機構7によりステージ4を下降位置(Stage down)に配置させる。次に、搬送装置(図示せず)によって、基板Wを処理容器2内に搬送する。そして、制御部9は、リフトピン46を上昇位置(Pins up)に移動させる。これにより、基板Wは、リフトピン46で支持される。その後、搬送装置は、処理容器2内から退避する。この工程におけるステージ4の状態を図6(b)に示す。
【0062】
基板載置工程において、制御部9は、前述の工程から引き続いて、ステージ回転機構6によるステージ4の回転を停止(Stage 停止)し、ステージ昇降機構7によりステージ4を下降位置(Stage down)に配置させる。そして、制御部9は、リフトピン46を下降位置(Pins down)に移動させる。これにより、基板Wは、ステージ4に載置される。また、第1接触面4Sと第2接触面521Sとが熱的に接触し、ステージ4及び基板Wが冷却される。この工程におけるステージ4の状態を図6(c)に示す。
【0063】
成膜工程において、制御部9は、ステージ昇降機構7により上昇位置(Stage up)に配置し、ステージ回転機構6によりステージ4を回転(Stage 回転)させる。また、制御部9は、スパッタ粒子放出部3を制御して、スパッタ粒子を放出させる。ここで、ステージ4の熱容量は基板Wの熱容量より大きく、基板Wの温度上昇を抑制して、基板処理を施すことができる。この工程におけるステージ4の状態を図6(d)に示す。
【0064】
ここで、成膜工程において、貫通孔521hには、断熱部451が配置される。
【0065】
具体的には、ステージ4を上昇位置に配置した際、断熱部451の上面は、冷却プレート52の上面よりも高い位置に配置されることが好ましい。これにより、プラズマからステージ4に入熱することでステージ4の温度が上昇しても、支持柱45を介して冷却プレート52に入熱する熱量を抑制することができる。
【0066】
また、ステージ4を上昇位置に配置した際、断熱部451の下面は、冷却プレート52の下面よりも低い位置に配置されることが好ましい。これにより、成膜工程において、処理容器2の外部からの熱が、昇降板71及び支持柱45を介して冷却プレート52に入熱する熱量を抑制することができる。
【0067】
搬出工程において、制御部9は、ステージ回転機構6によるステージ4の回転を停止(Stage 停止)し、ステージ昇降機構7によりステージ4を下降位置(Stage down)に配置させる。そして、制御部9は、リフトピン46を上昇位置(Pins up)に移動させる。これにより、基板Wは、リフトピン46で支持される。この状態におけるステージ4の状態は、図6(b)に示す状態と同様である。その後、搬送装置は、リフトピン46で支持された基板Wを受け取り、処理容器2内から搬出する。そして、制御部9は、リフトピン46を下降位置(Pins down)に移動させる。この状態におけるステージ4の状態は、図6(a)に示す状態と同様である。
【0068】
次に、ステージ構造体における配置について、図8から図10を用いて説明する。
【0069】
図8及び図9は、ステージ構造体の一例を示す模式図である。ここでは、冷凍機51、冷却プレート52及びステージ4を抜粋して図示する。また、図8及び図9は、ステージ構造体を下方から平面視した図である。
【0070】
図8に示すように、1つの冷凍機51に対して、2つのステージ4A,4Bを備える構成であってもよい。また、平面視して、複数の貫通孔521hの中心を結んだ直線の中心位置に冷凍機51が配置される。また、それぞれのステージ4A,4Bの中心から冷凍機51の中心までの水平距離は、それぞれ同距離であるように配置される。これにより、ステージ4A,4Bの間の温度差を抑制することができる。
【0071】
また、図9に示すように、1つの冷凍機51に対して、4つのステージ4A~4Dを備える構成であってもよい。また、平面視して、複数の貫通孔521hの中心を結んだ直線の中心位置に冷凍機51が配置される。また、それぞれのステージ4A~4Dの中心から冷凍機51の中心までの水平距離は、それぞれ同距離であるように配置される。これにより、ステージ4A~4Dの間の温度差を抑制することができる。
【0072】
図10は、貫通孔521hの形状の一例を示す拡大図である。ここでは、図9の破線で示すステージ4Dの貫通孔521hを例に説明する。
【0073】
平面視して、冷凍機51の中心から支持柱45の中心に向かう方向をX方向とし、このX方向と直交する方向をY方向とする。X方向における貫通孔521hと支持柱45との隙間は、Y方向における貫通孔521hと支持柱45との隙間よりも大きく形成される。即ち、貫通孔521hは、貫通孔521hの中心から冷凍機51の中心に向かう方向を長手方向とする長穴である。これにより、冷却プレート52が熱膨張又は熱収縮する際に、貫通孔521hの壁面と支持柱45とが干渉することを防止することができる。
【0074】
以上、基板処理装置1について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0075】
W 基板
1 基板処理装置
2 処理容器
3 スパッタ粒子放出部
4,4A~4D ステージ
41 チャック電極
42 チャック電源
43 温度センサ
44 伝熱ガス供給部
45 支持柱
451 断熱部
4S 第1接触面
5 冷凍装置
51 冷凍機
52 冷却プレート
521 プレート部
521h 貫通孔
522 伝熱部
521S 第2接触面
53 ヒータ
531 第1インナーヒータ
532 第1アウターヒータ
533 第2インナーヒータ
534 第2アウターヒータ
6 ステージ回転機構
61 モータ
62 磁性流体シール
63 スリップリング
7 ステージ昇降機構
71 昇降板
72 ベローズ
8 ヒータコントローラ
9 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10