(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176205
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】調味液または該調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善方法、食品のフレーバーリリース改善用調味液、および食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20241212BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20241212BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20241212BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L7/10 F
A23L29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094577
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004189
【氏名又は名称】株式会社ニッスイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】森 由佳
(72)【発明者】
【氏名】下川 朝子
【テーマコード(参考)】
4B023
4B035
4B047
【Fターム(参考)】
4B023LE14
4B023LK08
4B023LL01
4B023LT02
4B035LC01
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4B047LF10
4B047LG26
4B047LG61
4B047LG63
4B047LG64
(57)【要約】
【課題】調味液または該調味液を用いた食品のフレーバーリリースの改善。
【解決手段】調味液に増粘剤を含有させる、前記調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善方法;増粘剤の、調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善のための使用;増粘剤を含有する、食品のフレーバーリリース改善用調味液;調味液に増粘剤を含有させ、食品のフレーバーリリース改善用調味液を得る工程と、食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程と、を有する、食品の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味液に増粘剤を含有させる、前記調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善方法。
【請求項2】
増粘剤を含有しない調味液と比較してフレーバーリリースを向上させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を70mPa・s以下とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.01質量%以上0.3質量%未満とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記調味液が、風味素材を含むものである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記風味素材が、醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つに由来するフレーバーのフレーバーリリースを改善させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
米飯食品または焼成食品のフレーバーリリースを改善させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
増粘剤の、調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善のための使用。
【請求項10】
増粘剤を含有しない調味液と比較してフレーバーリリースを向上させる、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を70mPa・s以下とする、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.01質量%以上0.3質量%未満とする、請求項9または10に記載の使用。
【請求項13】
前記調味液が、風味素材を含むものである、請求項9または10に記載の使用。
【請求項14】
前記風味素材が、醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つに由来するフレーバーのフレーバーリリース改善のための、請求項9または10に記載の使用。
【請求項16】
米飯食品または焼成食品のフレーバーリリースを改善させる、請求項9または10に記載の使用。
【請求項17】
増粘剤を含有する、食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【請求項18】
粘度が70mPa・s以下である、請求項17に記載の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【請求項19】
風味素材を含む、請求項17または18に記載の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【請求項20】
前記風味素材が、醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つの旨味成分を含む、請求項19に記載の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【請求項21】
非還元糖を含む、請求項17または18に記載の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【請求項22】
米飯食品または焼成食品用である、請求項17または18に記載の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【請求項23】
前記食品のフレーバーリリース改善用調味液が、焼きおにぎりの米飯に混合するためのものであり、その際、前記食品のフレーバーリリース改善用調味液に含まれる旨味成分の量が、焼きおにぎり全体に添加される旨味成分の総量の20質量%以上80質量%以下となるようにするためのものである、請求項17または18に記載の調味液。
【請求項24】
調味液に増粘剤を含有させ、食品のフレーバーリリース改善用調味液を得る工程と、
食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程と、
を有する、食品の製造方法。
【請求項25】
前記食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度が70mPa・s以下である、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記食品が、米飯食品または焼成食品である、請求項24または25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記食品が米飯食品であり、
前記食品のフレーバーリリース改善用調味液を前記食品に付着させる工程が、前記食品のフレーバーリリース改善用調味液を米飯に混ぜ込む工程である、請求項24または25に記載の製造方法。
【請求項28】
請求項24または25に記載の製造方法により製造された、食品。
【請求項29】
請求項24または25に記載の製造方法により製造された、焼きおにぎり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調味液または該調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善方法食品のフレーバーリリース改善用調味液、および食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレーバー(味、香り)は食品の美味しさを決める重要な要素の一つである。しかしながら、レトルト食品、冷凍食品等の加工食品は、製造から喫食までに複数の加熱工程を経ること、流通や保管により時間が経過することから、喫食時のフレーバーが、製造直後に比べると弱くなってしまう。食品のフレーバーリリースを改善することにより、消費者は、より出来立てに近いフレーバーを楽しむことができる。
【0003】
食品の香りを強化する方法として、例えば、特許文献1には、水性食品に対して、食用油、および、香りの移行促進剤として乳化剤またはアルコールを混合することにより、水性食品に含まれる香りを食用油により保護する方法が開示されている。また、特許文献2には、米を主原料とする食品の表面に、調味料および米油を含有するタレを付着させて焼成することにより、醤油や出汁等の風味をより強く、維持させる方法が開示されている。
【0004】
また、液状調味料のうち、ドレッシング等については、粘度調整のために増粘剤が用いられる。ここで、増粘剤を用いることでフレーバーリリースが悪化するため、フレーバーリリースを改善することが検討されている(例えば、特許文献3および特許文献4等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-193615号公報
【特許文献2】特開2017-136043号公報
【特許文献3】特開2019-041663号公報
【特許文献4】特開2013-215164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、調味液または該調味液を用いた食品のフレーバーリリースの改善方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の方法においては、調味液に増粘剤を含有させる。また、本明細書では、増粘剤を、調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善のために使用することをも開示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一般的に調味料の分野では、増粘剤の添加により粘度が高くなると、フレーバーリリースが悪化することが知られている。特開2019-041663号公報および特開2013-215164号公報には、増粘剤により粘度を付与しつつも、それによるフレーバーリリースの悪化の度合いを抑制するとの開示がある。しかしながら、驚くべきことに、本発明者らは、調味液に対し、増粘剤を、粘度が必要以上に付与されない程度に含有させると、増粘剤を含有しない場合と比較して、むしろフレーバーリリースが向上することを見出し、本開示に至った。
【0009】
[用語の定義]
本開示において、「フレーバー」とは、食品等の味と香りを総合的に捉えた概念であり、喫食中に、味覚、嗅覚、および三叉神経により捉えられる感覚に影響を与えるものをいう。本開示において、「フレーバーリリース」とは、喫食中に食品等からフレーバーが放出される度合いを指す。本開示において、フレーバーリリースの「改善」とは、何も施さない場合と比較して、フレーバーリリースを向上させることを指す。典型的には、フレーバーリリースの「改善」は、増粘剤を含有しない対応する調味液と比較した場合のフレーバーリリースの向上を意味する。
【0010】
[食品のフレーバーリリース改善方法]
本開示の方法においては、調味液に増粘剤を含有させることで、調味液のフレーバーリリース、または調味液を用いた食品のフレーバーリリースを改善する。換言すれば、調味液のフレーバーリリース、または調味液を用いた食品のフレーバーリリースを改善するために、増粘剤を使用する。典型的には、増粘剤を含有させる前の調味液は、増粘剤を含まない。
【0011】
(調味液)
本開示の方法において、調味液の種類は特に限定されない。調味液としては、例えば、以下に記載する風味素材から選択される少なくとも1つを含むものであってもよい。すなわち、本開示の方法は、風味素材に由来するフレーバーのフレーバーリリースを改善させるものであってもよい。
【0012】
風味素材としては、例えば、醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
水産物の出汁としては、例えば魚類、甲殻類、貝類、海藻類等に由来するものが挙げられる。ここで、魚類としては、例えばカツオ、ソウダガツオ、マグロ、トビウオ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、マサバ、ゴマサバ、マアジ、ムロアジ、サケ等が挙げられる。甲殻類としては、各種のエビ、カニ等が挙げられる。貝類としては、例えばアサリ、シジミ、ハマグリ、カキ、アワビ、ホタテ、イガイ等が挙げられる。海藻類としては、例えばワカメ、昆布等が挙げられる。畜産物の出汁としては、例えば牛、豚、羊、ヤギ、馬、鶏、七面鳥、ガチョウ、アヒル等に由来するものが挙げられる。野菜の出汁としては、例えばトマト、タマネギ、ニンジン、ニンニク、セロリ、キャベツ、大根、白菜等に由来するものが挙げられる。キノコの出汁としては、例えばシイタケ、マイタケ、シメジ、エリンギ、エノキ等に由来するものが挙げられる。
【0014】
一実施の形態において、調味液としては、醤油、味噌、および水産物の出汁からなる群より選択される少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0015】
一実施の形態において、調味液は、4-ヒドロキシ-2(or5)-エチル-5(or2)-メチル-3(2H)-フラノン(HEMF)、グアイアコール(グアヤコール)、およびアルキルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1つの香気成分を有するものであってもよい。HEMFは、例えば醤油や味噌等に含まれる香気成分である。グアイアコールおよびアルキルグアイアコールは、例えば醤油、味噌、カツオ出汁等に含まれる香気成分である。なお、アルキルグアイアコールは、グアイアコールにアルキル基が結合したものであり、例えば4-エチルグアイアコール、4-プロピルグアイアコール、5-メチルグアイアコール等が挙げられる。
【0016】
一実施の形態において、調味液は、コーヒー、ワイン、ウイスキー等のフレーバーを有するものであってもよい。コーヒー、ワイン、ウイスキー等の焙煎香の香気成分には、グアイアコール類が含まれるためである。
【0017】
調味液は、上記の他に、水、酒、みりん、酢、果汁、香辛料、砂糖、塩、うま味調味料等の他の成分を含んでいてもよい。調味液は、例えば和風ダレ、ソース類、ケチャップ、またはスパイスであってよい。一実施の形態において、調味液は、醤油、味噌、または水産物の出汁を含む和風ダレであってもよい。
【0018】
調味液は、非還元糖を含む成分を含んでいてもよい。非還元糖を含む成分は、例えば、みりん等であってもよい。非還元糖はメイラード反応抑制作用があるため、調味液を適用後、焼成等の加熱工程を経て製造される食品において、フレーバーの変性を抑制する効果が得られる。
【0019】
(増粘剤)
本開示の方法において、増粘剤の種類は特に限定されない。増粘剤としては、例えば、増粘多糖類を用いてもよい。増粘多糖類としては、例えば、カードラン、脱アシル化ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、グルコマンナン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、寒天、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、およびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つを用いてもよい。
【0020】
一実施の形態において、増粘多糖類としては、キサンタンガム、グアーガム、脱アシル化ジェランガム、およびローカストビーンガムからなる群より選択される少なくとも1つを用いてもよい。
【0021】
調味液に増粘剤を含有させる手段は特に限定されない。例えば、調味液の、増粘剤以外の原料を全て混合した後に、増粘剤を添加し、ミキサー等で混合して調製してもよい。必要に応じて、適宜、加熱を行ってもよい。
【0022】
(調味液の粘度)
増粘剤を含有させた調味液の粘度は、フレーバーリリースが改善する限り、特に限定されない。増粘剤を含有させた調味液の粘度は、例えば70mPa・s以下としてもよく、65mPa・s以下としてもよく、60mPa・s以下としてもよく、55mPa・s以下としてもよく、50mPa・s以下としてもよく、45mPa・s以下としてもよく、40mPa・s以下としてもよく、35mPa・s以下としてもよい。典型的には、増粘剤を含有させた調味液の粘度が適度に小さいと、フレーバーリリースが改善しやすい。
【0023】
増粘剤を含有させた調味液の粘度は、例えば3mPa・s以上としてもよく、4mPa・s以上としてもよく、5mPa・s以上としてもよく、6mPa・s以上としてもよく、7mPa・s以上としてもよく、8mPa・s以上としてもよく、9mPa・s以上としてもよく、10mPa・s以上としてもよい。典型的には、フレーバーリリースの改善が発現する程度に増粘剤を含有させた場合、調味液の粘度はある程度大きくなる。
【0024】
増粘剤を含有させた調味液の粘度の上限値および下限値は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。増粘剤を含有させた調味液の粘度は、例えば3mPa・s以上70mPa・s以下としてもよく、4mPa・s以上65mPa・s以下としてもよく、5mPa・s以上60mPa・s以下としてもよく、6mPa・s以上55mPa・s以下としてもよく、7mPa・s以上50mPa・s以下としてもよく、8mPa・s以上45mPa・s以下としてもよく、9mPa・s以上40mPa・s以下としてもよく、10mPa・s以上35mPa・s以下としてもよい。増粘剤を含有させた調味液の粘度が適切な範囲内であることにより、フレーバーリリースが改善しやすい。なお、以上の説明における粘度は、典型的には、測定機器としてB型粘度計、No.1ローターを用い、回転数が20rpm、粘度測定時の調味液の温度が23℃の条件において測定される粘度である。
【0025】
(増粘剤の濃度)
増粘剤を含有させた後の調味液における増粘剤の濃度は、フレーバーリリースが改善する限り、特に限定されない。増粘剤を含有させた後の調味液における増粘剤の濃度は、例えば、0.01質量%以上であってもよく、0.015質量%以上であってもよく、0.02質量%以上であってもよく、0.025質量%以上であってもよい。増粘剤を含有させた後の調味液における増粘剤の濃度は、例えば、0.3質量%未満であってもよく、0.2質量%以下であってもよく、0.1質量%以下であってもよく、0.08質量%以下であってもよい。
【0026】
増粘剤を含有させた後の調味液における増粘剤の濃度は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。増粘剤を含有させた後の調味液における増粘剤の濃度は、例えば0.01質量%以上0.3質量%未満としてもよく、0.015質量%以上0.2質量%以下としてもよく、0.02質量%以上0.1質量%以下としてもよく、0.025質量%以上0.08質量%以下としてもよい。増粘剤を含有させた後の調味液における増粘剤の濃度を適切な範囲内とすることにより、フレーバーリリースが改善しやすい。
【0027】
(食品)
本開示の方法によりフレーバーリリースを改善させる対象としての食品は特に限定されない。典型的には、醤油、味噌、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つを含む調味液を用いて製造する食品において、本開示の方法を適用してもよい。そのような食品としては、例えば、米飯食品または焼成食品が挙げられるが、これらに限定されない。米飯食品としては、例えば、焼きおにぎり、炊き込みご飯、炒飯、ピラフ、ドリア等の、調味液の適用後に加熱工程に供される米飯食品;混ぜ込みご飯等の、調味液を適用するのみで喫食可能な米飯食品が挙げられるが、これらに限定されない。焼成食品としては、例えば、焼きおにぎり、鶏の照り焼き、焼き鳥、せんべい、みたらし団子等の、調味液の適用後に焼成工程に供される食品が挙げられるが、これらに限定されない。食品は、本開示の方法を適用して得られた食品を冷凍またはレトルト処理したもの等、喫食前にレンジ加熱等により温めて喫食する食品であってもよい。本開示の方法を適用して得られた食品は、喫食前にレンジ加熱等により温めて喫食する食品においてフレーバーリリース改善効果が得られやすい。
【0028】
(食品の製造方法)
本開示において、食品は、調味液に増粘剤を含有させ、食品のフレーバーリリース改善用調味液を得る工程と、前記工程で得られた食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程と、を有する方法によって製造されてもよい。食品のフレーバーリリース改善用調味液については後述する。
【0029】
食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程は、例えば、米飯食品においては、食品のフレーバーリリース改善用調味液の存在下で炊飯する方法、炊飯後の米飯に混ぜ込む方法、米飯を更に加熱しながら添加する方法などが挙げられ、焼成食品においては、食品と調味液を混合することで付着させる方法、食品の表面に塗布することで付着させる方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程の回数は、一回でもよく、複数回であってもよい。付着させる工程の回数が複数回であると、食品の形状を維持しながら調味液を内部まで浸透させる効果が得られやすい。
【0031】
食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程の回数が複数回である場合、各回におけるフレーバーリリース改善用調味液に含まれる増粘剤の濃度は、同じであってもよく、異なってもよい。異なる濃度の増粘剤を用いることにより、多様なフレーバーを維持させやすい。
【0032】
食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程の回数が複数回である場合、増粘剤の濃度が薄い調味液を先に食品に付着させ、増粘剤の濃度が濃い調味液を後に食品に付着させてもよく、その逆でもよい。増粘剤の濃度が薄い調味液を先に用いることにより、調味液を食品の内部に浸透させやすくなる。
【0033】
[食品のフレーバーリリース改善用調味液]
本開示は、さらに、食品のフレーバーリリース改善用調味液を開示する。食品のフレーバーリリース改善用調味液は、増粘剤を含有する。増粘剤としては、食品のフレーバーリリース改善方法の説明において述べたものと同様のものを用いることができる。
【0034】
食品のフレーバーリリース改善用調味液としては、例えば、食品のフレーバーリリース改善方法の説明において述べた風味素材から選択される少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0035】
一実施の形態において、食品のフレーバーリリース改善用調味液は、4-ヒドロキシ-2(or5)-エチル-5(or2)-メチル-3(2H)-フラノン(HEMF)、グアイアコール(グアヤコール)、およびアルキルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1つの香気成分を有するものであってもよい。一実施の形態において、食品のフレーバーリリース改善用調味液は、コーヒー、ワイン、ウイスキー等のフレーバーを有するものであってもよい。
【0036】
食品のフレーバーリリース改善用調味液は、上記の他に、水、酒、みりん、酢、果汁、香辛料、砂糖、塩、うま味調味料等の他の成分を含んでいてもよい。食品のフレーバーリリース改善用調味液は、例えば和風ダレ、ソース類、ケチャップ、またはスパイスであってよい。一実施の形態において、食品のフレーバーリリース改善用調味液は、醤油、味噌、または水産物の出汁を含む和風ダレであってもよい。
【0037】
食品のフレーバーリリース改善用調味液は、非還元糖を含む成分を含んでいてもよい。非還元糖を含む成分は、例えば、みりん等であってもよい。非還元糖はメイラード反応抑制作用があるため、食品のフレーバーリリース改善用調味液を適用後、焼成等の加熱工程を経て製造される食品において、フレーバーの変性を抑制する効果が得られる。
【0038】
食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度は特に限定されない。食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度は、例えば70mPa・s以下としてもよく、65mPa・s以下としてもよく、60mPa・s以下としてもよく、55mPa・s以下としてもよく、50mPa・s以下としてもよく、45mPa・s以下としてもよく、40mPa・s以下としてもよく、35mPa・s以下としてもよい。典型的には、食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度が適度に小さいと、フレーバーリリースが改善しやすい。
【0039】
食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度は、例えば3mPa・s以上としてもよく、4mPa・s以上としてもよく、5mPa・s以上としてもよく、6mPa・s以上としてもよく、7mPa・s以上としてもよく、8mPa・s以上としてもよく、9mPa・s以上としてもよく、10mPa・s以上としてもよい。
【0040】
食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度の上限値および下限値は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度は、例えば3mPa・s以上70mPa・s以下としてもよく、4mPa・s以上65mPa・s以下としてもよく、5mPa・s以上60mPa・s以下としてもよく、6mPa・s以上55mPa・s以下としてもよく、7mPa・s以上50mPa・s以下としてもよく、8mPa・s以上45mPa・s以下としてもよく、9mPa・s以上40mPa・s以下としてもよく、10mPa・s以上35mPa・s以下としてもよい。食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度が適切な範囲内であることにより、フレーバーリリースが改善しやすい。なお、以上の説明における粘度は、典型的には、測定機器としてB型粘度計、No.1ローターを用い、回転数が20rpm、粘度測定時の調味液の温度が23℃の条件において測定される粘度である。
【0041】
本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液は、例えば、米飯食品または焼成食品用であってもよい。本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液は、例えば、焼きおにぎりの米飯に混合するためのものであってもよい。その場合、食品のフレーバーリリース改善用調味液に含まれる旨味成分の量が、焼きおにぎり全体に添加される旨味成分の総量の20~80質量%となるようにするためのものであってもよい。
【0042】
本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液は、加熱後に用いてもよい。本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液を加熱する場合は、加熱温度を50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、または95℃以上としてもよい。本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液を加熱することにより増粘剤と調味液に含まれる香気成分が混合しやすくなり、フレーバーリリースの改善効果を高められる場合がある。本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液を加熱する場合は、加熱温度を200℃以下、150℃以下、120℃以下、110℃以下、または105℃以下としてもよい。本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液の加熱温度を所定の温度以下とすることにより、調味液に含まれる香気成分が過度に揮発することを抑制することができる。
【0043】
本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液は、加熱後に常温まで冷ましてから用いてもよい。本開示の食品のフレーバーリリース改善用調味液は、加熱後に常温まで冷ますことにより、増粘剤と調味液に含まれる香気成分が安定化し、その後の再加熱の際にフレーバーリリースを改善しやすくなる場合がある。
【0044】
本明細書において、本開示の各態様に関する一実施形態中で説明された各特定事項は、任意に組み合わせて新たな実施形態としてもよく、このような新たな実施形態も、本開示の各態様に包含され得るものとして、理解されるべきである。
【実施例0045】
以下、本開示を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例等により何ら限定されない。なお、本実施例中に「粘度」と記載がある場合、格別注釈がない限り、測定機器としてB型粘度計、No.1ローターを用い、回転数20rpm、調味液の温度23±1℃の条件で測定したときの粘度の値を示す。
【0046】
[官能評価の方法および基準]
官能評価は、訓練された専門パネルにより、表4、表5および表9における焼きおにぎりの評価、ならびに、表18および表19における鶏の照り焼きの評価は6名で行い、表13および表14における混ぜ込みご飯の評価は5名で行った。
【0047】
各食品について、増粘剤無添加の試験区(比較例)の食品を口に入れてすぐに感じるフレーバーの強さを基準とし、フレーバーの強さがそれよりも強い場合はa、同じ場合はb、弱い場合はcとした。続いて、醤油風味の焼きおにぎり、鶏の照り焼きおよび混ぜ込みご飯については、各増粘剤の濃度違いについて、以下の評価基準で、フレーバー改善効果の強弱を評価した。
0点:フレーバーの強さが比較例と同じ場合
1点:比較例よりもやや強い
2点:比較例よりも強い
3点:比較例よりも顕著に強い
【0048】
[醤油風味の焼きおにぎりにおける検討]
(調味液の調製)
表1~3に示す配合で、調味液A~Cを調製した。調味液Aの原料を全て混合し、85℃に達温した後、速やかに加熱を停止し、常温まで冷まし、調味液Aを得た。調味液Aに対し、キサンタンガム、グアーガム、脱アシル化ジェランガムまたはローカストビーンガムを表2に示す様々な量添加し、家庭用ミキサーで撹拌した後、100℃の沸騰浴中で10分加熱した後、常温まで冷まし、各種調味液Bを得た。また、調味液Cの原料を全て混合し、85℃に達温した後、速やかに加熱を停止し、常温まで冷まし、調味液Cを得た。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
(焼きおにぎりの製造)
炊飯米と調味液Bを、炊飯米:調味液B=95:5の比率(質量比)で混合し、おにぎり1個あたり80gに成型した後、290℃で2分焼成した。続いて、調味液Cをおにぎり1個あたり1.4gずつ表面に塗布し、290℃で2分焼成した。その後、急速凍結した。喫食時には電子レンジを用いて解凍を行った。
【0053】
焼きおにぎりの各サンプルにおいて、醤油のフレーバーについて官能評価を行った。結果を表4および表5に示す。
【0054】
【0055】
【0056】
調味液Bに増粘剤を含有した試験区は、調味液Bに増粘剤を含有しない比較例1に比べて、醤油のフレーバーリリースが改善することが示された。また、増粘剤の種類による影響よりも、粘度による影響が大きいことが示された。また、いずれの増粘剤においても、調味液Bの増粘剤の濃度が0.10質量%の試験区は、調味液Bの増粘剤の濃度が0.01~0.05質量%である試験区に比べて、フレーバーリリース改善効果が弱い傾向であった。
【0057】
なお、調味液Cも増粘剤、醤油および和風出汁を含有するが、調味液Cは全ての試験区において共通して用いられた上で、各試験区の醤油風味のフレーバーリリース改善効果の程度が比較評価されているため、本実施例において示されたフレーバーリリース改善効果は、調味液Bによるものであるといえる。
【0058】
以上の結果から、醤油風味の焼きおにぎりにおいて、調味液(タレ)に増粘剤を含有させることで、フレーバーリリースが改善することが示された。
【0059】
[出汁風味の焼きおにぎりにおける検討]
(調味液の調製)
表6~8に示す配合で調味液A~Cを調製した。調味液Aの原料を全て混合し、85℃に達温した後、速やかに加熱を停止し、常温まで冷ました。調味液Aに対し、キサンタンガムを表7に示す量添加し、家庭用ミキサーで撹拌した後、100℃の沸騰浴中で10分加熱し、常温まで冷まし、調味液Bとした。また、調味液Cの原料を全て混合し、85℃に達温した後、速やかに加熱を停止し、常温まで冷まし、調味液Cを得た。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
(焼きおにぎりの製造)
炊飯米と調味液Bを、炊飯米:調味液B=95:5の比率(質量比)で混合し、おにぎり1個あたり80gに成型した後、290℃で2分焼成した。続いて、調味液Cをおにぎり1個あたり1.4gずつ表面に塗布し、290℃で2分焼成した。その後、急速凍結した。なお、喫食時には電子レンジを用いて解凍を行った。
【0064】
各サンプルにおいて、出汁のフレーバーについて官能評価を行った。結果を表9に示す。
【0065】
【0066】
調味液Bに増粘剤を含有した試験区は、調味液Bに増粘剤を含有しない比較例に比べて、出汁のフレーバーリリースが改善することが示された。
なお、調味液Cも増粘剤、醤油および和風出汁を含有するが、調味液Cは全ての試験区において共通して用いられた上で、各試験区の出汁風味のフレーバーリリース改善効果の程度が比較評価されているため、本実施例において示されたフレーバーリリース改善効果は、調味液Bによるものであるといえる。
以上の結果から、出汁風味の焼きおにぎりにおいて、調味液(タレ)に増粘剤を含有させることで、フレーバーリリースが改善することが示された。
【0067】
[混ぜ込みご飯における検討]
(調味液の調製)
表10および11に示す配合で、調味液AおよびBを調製した。調味液Aの原料を全て混合し、グアーガムを表11に示す様々な量添加し、家庭用ミキサーで撹拌した後、100℃の沸騰浴中で10分加熱し、常温まで冷まし、各種調味液Bとした。
【0068】
【0069】
【0070】
(混ぜ込みご飯の製造)
炊飯米に、炒めたしめじと調味液Bを混合した後、急速凍結した。喫食時には電子レンジを用いて解凍を行った。なお、混ぜ込みご飯における材料の配合は、表12に示す通りとし、約240gの混ぜ込みご飯を得た。
【0071】
【0072】
各サンプルにおいて、醤油のフレーバーについて官能評価を行った。結果を表13および表14に示す。
【0073】
【0074】
調味液Bに増粘剤を添加した試験区は、調味液Bに増粘剤を含有しない比較例2と比べて、醤油のフレーバーリリースが改善することが示された。また、増粘剤を0.30質量%含有する例21は、例18~例20と比べると、フレーバーリリース改善効果は弱い傾向であった。
以上の結果から、混ぜ込みご飯において、調味液(タレ)に増粘剤を含有させることで、フレーバーリリースが改善することが示された。
【0075】
[鶏の照り焼きにおける検討]
(調味液の調製)
表15および16に示す配合で、調味液AおよびBを調製した。調味液Aの原料を全て混合し、グアーガムを表16に示す量添加し、家庭用ミキサーで撹拌した後、100℃の沸騰浴中で10分加熱し、常温まで冷まし、調味液Bとした。
【0076】
【0077】
【0078】
(鶏の照り焼きの製造)
鶏肉を焼き、調味液Bをかけ、加熱歩留まり率88質量%まで約95℃で加熱した後、残った調味液と鶏肉をパウチ袋に入れ、室温で40分程度放置し、調味液をしみこませた後、急速凍結した。喫食時には電子レンジを用いて解凍を行った。なお、鶏の照り焼きにおける材料の配合は、表17に示す通りとし、約240gの鶏の照り焼きを得た。
【0079】
【0080】
各サンプルにおいて、醤油のフレーバーについて官能評価を行った。結果を表18および表19に示す。
【0081】
【0082】
調味液Bに増粘剤を添加した試験区は、調味液Bに増粘剤を含有しない比較例3と比べて、醤油のフレーバーリリースが改善することが示された。また、増粘剤を0.30質量%含有する例25は、例22~例24と比べると、フレーバーリリース改善効果が弱い傾向であった。
以上の結果から、鶏の照り焼きにおいて、調味液(タレ)に増粘剤を含有させることで、フレーバーリリースが改善することが示された。
【0083】
本開示の例示的な各実施態様を以下に示す。
[1]調味液に増粘剤を含有させる、前記調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善方法。
[2]増粘剤を含有しない調味液と比較してフレーバーリリースを向上させる、[1]の方法。
【0084】
[3]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を70mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[4]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を65mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[5]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を60mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[6]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を55mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[7]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を50mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[8]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を45mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[9]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を40mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
[10]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を35mPa・s以下とする、[1]または[2]の方法。
【0085】
[11]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を3mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[12]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を4mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[13]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を5mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[14]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を6mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[15]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を7mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[16]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を8mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[17]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を9mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
[18]前記増粘剤を含有させた前記調味液の粘度を10mPa・s以上とする、[1]~[10]のいずれかの方法。
【0086】
[19]前記増粘剤が、増粘多糖類である、[1]~[18]のいずれかの方法。
[20]前記増粘多糖類が、カードラン、脱アシル化ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、グルコマンナン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、寒天、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、およびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つである、[19]の方法。
[21]前記増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、脱アシル化ジェランガム、およびローカストビーンガムからなる群より選択される少なくとも1つである、[19]の方法。
【0087】
[22]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.01質量%以上0.3質量%未満とする、[1]~[21]のいずれかの方法。
[23]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.01質量%以上とする、[1]~[21]のいずれかの方法。
[24]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.015質量%以上とする、[1]~[21]のいずれかの方法。
[25]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.02質量%以上とする、[1]~[21]のいずれかの方法。
[26]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.025質量%以上とする、[1]~[21]のいずれかの方法。
【0088】
[27]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.3質量%未満とする、[1]~[26]のいずれかの方法。
[28]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.2質量%未満とする、[1]~[26]のいずれかの方法。
[29]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.1質量%未満とする、[1]~[26]のいずれかの方法。
[30]前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.08質量%未満とする、[1]~[26]のいずれかの方法。
【0089】
[31]前記調味液が、風味素材を含むものである、[1]~[30]のいずれかの方法。
[32]前記風味素材が、醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つを含む、[31]の方法。
[33]醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つに由来するフレーバーのフレーバーリリースを改善させる、[1]~[32]のいずれかの方法。
[34]前記調味液が、4-ヒドロキシ-2(or5)-エチル-5(or2)-メチル-3(2H)-フラノン(HEMF)、グアイアコール、およびアルキルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1つの香気成分を有する、[1]~[33]のいずれかの方法。
[35]米飯食品または焼成食品のフレーバーリリースを改善させる、[1]~[33]のいずれかの方法。
【0090】
[36]増粘剤の、調味液または前記調味液を用いた食品のフレーバーリリース改善のための使用。
[37]増粘剤を含有しない調味液と比較してフレーバーリリースを向上させる、[36]の使用。
【0091】
[38]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を70mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[39]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を65mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[40]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を60mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[41]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を55mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[42]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を50mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[43]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を45mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[44]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を40mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
[45]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を35mPa・s以下とする、[36]または[37]の使用。
【0092】
[46]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を3mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[47]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を4mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[48]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を5mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[49]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を6mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[50]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を7mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[51]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を8mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[52]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を9mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
[53]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液の粘度を10mPa・s以上とする、[36]~[45]のいずれかの使用。
【0093】
[54]前記増粘剤が、増粘多糖類である、[36]~[53]のいずれかの使用。
[55]前記増粘多糖類が、カードラン、脱アシル化ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、グルコマンナン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、寒天、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、およびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つである、[54]の使用。
【0094】
[56]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.01質量%以上0.3質量%未満とする、[36]~[55]のいずれかの使用。
[57]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.01質量%以上とする、[36]~[55]のいずれかの使用。
[58]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.015質量%以上とする、[36]~[55]のいずれかの使用。
[59]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.02質量%以上とする、[36]~[55]のいずれかの使用。
[60]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.025質量%以上とする、[36]~[55]のいずれかの使用。
【0095】
[61]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.3質量%未満とする、[36]~[60]のいずれかの使用。
[62]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.2質量%未満とする、[36]~[60]のいずれかの使用。
[63]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.1質量%未満とする、[36]~[60]のいずれかの使用。
[64]前記増粘剤を前記調味液に含有させ、前記調味液における前記増粘剤の濃度を0.08質量%未満とする、[36]~[60]のいずれかの使用。
【0096】
[65]前記調味液が、風味素材を含むものである、[36]~[64]のいずれかの使用。
[66]前記風味素材が、醤油、味噌、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つを含む、[65]の使用。
[67]醤油、味噌、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つに由来するフレーバーのフレーバーリリース改善のための、[36]~[66]のいずれかの使用。
[68]前記調味液が、4-ヒドロキシ-2(or5)-エチル-5(or2)-メチル-3(2H)-フラノン(HEMF)、グアイアコール、およびアルキルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1つの香気成分を有する、[36]~[67]のいずれかの使用。
[69]米飯食品または焼成食品のフレーバーリリースを改善させる、[36]~[68]のいずれかの使用。
【0097】
[70]増粘剤を含有する、食品のフレーバーリリース改善用調味液。
[71]粘度が70mPa・s以下である、[70]の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
[72]風味素材を含む、[70]または[71]の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
[73]前記風味素材が、醤油、味噌、魚醤、塩麹、チーズ、水産物の出汁、畜産物の出汁、野菜の出汁、およびキノコの出汁からなる群より選択される少なくとも1つの旨味成分を含む、[72]の食品のフレーバーリリース改善用調味液。
[74]非還元糖を含む、[70]~[73]のいずれかの食品のフレーバーリリース改善用調味液。
【0098】
[75]米飯食品または焼成食品用である、[70]~[73]のいずれかの食品のフレーバーリリース改善用調味液。
[76]前記食品のフレーバーリリース改善用調味液が、焼きおにぎりの米飯に混合するためのものであり、その際、前記食品のフレーバーリリース改善用調味液に含まれる旨味成分の量が、焼きおにぎり全体に添加される旨味成分の総量の20質量%以上80質量%以下となるようにするためのものである、[70]~[73]のいずれかの調味液。
【0099】
[77]調味液に増粘剤を含有させ、食品のフレーバーリリース改善用調味液を得る工程と、
食品のフレーバーリリース改善用調味液を食品に付着させる工程と、
を有する、食品の製造方法。
[78]前記食品のフレーバーリリース改善用調味液の粘度が70mPa・s以下である、[77]の製造方法。
[79]前記食品が、米飯食品または焼成食品である、[77]または[78]の製造方法。
[80]前記食品が米飯食品であり、
前記食品のフレーバーリリース改善用調味液を前記食品に付着させる工程が、前記食品のフレーバーリリース改善用調味液を米飯に混ぜ込む工程である、[77]~[79]のいずれかの製造方法。
【0100】
[81][77]~[79]のいずれかの製造方法により製造された、食品。
[82][77]~[79]のいずれかの製造方法により製造された、焼きおにぎり。