(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176253
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】配管加工装置及び配管加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H01L21/304 646
H01L21/304 648K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094680
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】内藤 亮一郎
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 誠也
(72)【発明者】
【氏名】鳥栖 英令
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA91
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB22
5F157BH14
5F157CF60
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】基板処理装置を構成する配管の加工時において配管の帯電を抑制する。
【解決手段】基板処理装置を構成する配管を加工する配管加工装置であって、前記配管に接触することで当該配管を加工する加工器と、加工中の前記配管を除電する除電部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置を構成する配管を加工する配管加工装置であって、
前記配管に接触することで当該配管を加工する加工器と、
加工中の前記配管を除電する除電部と、を備える、配管加工装置。
【請求項2】
前記配管を保持する保持部を備え、
前記加工器は、前記保持部で保持された前記配管に接触して当該配管の加工を行う構成を有する、請求項1に記載の配管加工装置。
【請求項3】
前記除電部は、前記加工器と前記配管が接触する部分にイオンを含む気体を放出するイオナイザーである、請求項2に記載の配管加工装置。
【請求項4】
前記加工器は、配管端部の拡径を行う拡径器であり、
前記除電部は、前記拡径器に取り付けられ、かつ、前記配管端部に前記気体が接触するように配置されている、請求項3に記載の配管加工装置。
【請求項5】
前記除電部は、前記気体を放出する吹出口を有し、
前記保持部を上方から見たときの当該保持部に固定された前記配管の管軸方向を境界線として、当該保持部を2つの領域に分割したときに、前記2つの領域のうちの幅が広い方の領域に前記吹出口が位置している、請求項3または4に記載の配管加工装置。
【請求項6】
前記除電部の動作を制御する制御部をさらに有し、
前記除電部は、前記気体の風量を調節可能な構成を有し、
前記制御部は、前記配管の加工中における前記気体の風量が前記配管の非加工中における前記気体の風量よりも大きくなるように前記気体の風量を調節する制御を実行する、請求項3または4に記載の配管加工装置。
【請求項7】
前記除電部の動作を制御する制御部をさらに有し、
前記除電部は、前記イオンの濃度を調節可能な構成を有し、
前記制御部は、前記配管の加工中におけるイオン濃度が前記配管の非加工中における前記イオン濃度よりも高くなるように前記イオン濃度を調節する制御を実行する、請求項3または4に記載の配管加工装置。
【請求項8】
基板処理装置を構成する配管を加工する配管加工方法であって、
前記配管に接触することで当該配管を加工する加工器を用いて、前記配管を除電しながら前記配管の加工を行う、配管加工方法。
【請求項9】
前記加工器に取り付けられたイオナイザーで、前記加工器と前記配管が接触する部分にイオンを含む気体を当てながら前記配管の加工を行う、請求項8に記載の配管加工方法。
【請求項10】
前記加工器は、配管端部の拡径を行う拡径器であり、前記配管端部に前記気体を当てながら前記配管の加工を行う、請求項9に記載の配管加工方法。
【請求項11】
前記配管の加工中における前記気体の風量を前記配管の非加工中における前記気体の風量よりも大きくして前記除電を行う、請求項9または10に記載の配管加工方法。
【請求項12】
前記配管の加工中におけるイオン濃度を前記配管の非加工中における前記イオン濃度よりも高くして前記除電を行う、請求項9または10に記載の配管加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管加工装置及び配管加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、樹脂管を保持する管保持機構と、管保持機構によって保持された樹脂管の端部に軸方向に挿入されることで当該端部を拡径する拡径具と、を備えた樹脂管の加工装置を開示している。この加工装置は、拡径具を樹脂管の端部に挿入させるため、人手による操作で拡径具を樹脂管の端部に向けて軸方向に推進させる推進機構と、拡径具を樹脂管の端部に挿入した状態で拡径具の位置を固定する固定機構と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板処理装置を構成する配管の加工時において配管の帯電を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板処理装置を構成する配管を加工する配管加工装置であって、
前記配管に接触することで当該配管を加工する加工器と、加工中の前記配管を除電する除電部と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理装置を構成する配管の加工時において配管の帯電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかるレジスト塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図2】実施形態にかかる配管加工装置の構成の概略を示す側面図である。
【
図4】配管加工装置の平面図(装置を上方から見た図)である。
【
図5】配管加工装置を用いた配管の拡径加工方法を説明するための図である。
【
図7】イオナイザーから吹き出す風の流れを矢印で模式的に示した図である。
【
図8】イオナイザーの配置領域について説明するための図である。
【
図9】配管加工装置の他の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスにおいては、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という場合がある)などの基板の表面にパターン形成用のレジスト膜を形成する工程がある。この工程においては、スピンチャック上に保持されたウェハの中心部にノズルユニットからレジスト液が吐出され、ノズルユニットから吐出されるレジスト液は、例えばレジスト液が貯留したボトルなどのレジスト液供給源から供給される。
【0009】
レジスト液の供給経路においては、複数の配管が使用されると共に、配管同士を接続するための継手も使用される。通常、継手に対して配管を取り付ける際には拡径具を用いた配管端部の拡径加工が必要となる。拡径具は、例えば小径部と大径部を有した円筒部材であり、拡径具の小径部を配管端面から挿入し、その後に拡径具をさらに配管側に押し込むことによって拡径具の大径部を配管端部に挿入する。これによって配管が拡径される。
【0010】
ところで、配管に拡径具を押し込む際には、配管の内周面と拡径具の外周面との間で生じる摩擦によって配管が帯電することがある。特に、ウェハに対する各種の処理が行われる基板処理装置を構成する配管と、拡径具は、いずれも樹脂材料で形成されるため、配管は拡径加工時に帯電し易い。また、帯電した配管は、周囲の環境に存在するパーティクルを引き寄せることから、拡径後の配管端部の外周面や内周面にはパーティクルが付着し易い。このため、帯電した配管を使用する際には配管洗浄に時間を要すこととなる。
【0011】
そこで、本開示にかかる技術は、基板処理装置を構成する配管の加工時において配管の帯電を抑制する。
【0012】
以下、本実施形態にかかる配管加工装置について図面を参照しながら説明するが、まず、配管が使用される基板処理装置の一例について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<レジスト塗布装置>
図1は、本実施形態にかかる基板処理装置の一例であるレジスト塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【0014】
レジスト塗布装置100は、内部を密閉可能な処理容器101を有している。処理容器101の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されている。
【0015】
処理容器101内には、ウェハWを保持する基板保持部としてのスピンチャック102が設けられている。このスピンチャック102は、例えばモータ等のアクチュエータを有するチャック駆動部103により所定の速度で回転可能であり、スピンチャック102に保持されたウェハWを回転させることができる。また、チャック駆動部103には、例えばシリンダ等の昇降駆動機構が設けられており、スピンチャック102は昇降自在となっている。
【0016】
また、処理容器101内には、スピンチャック102の外側に配置された、スピンチャック102に保持されるウェハWを囲むカップ104が設けられている。カップ104は、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止めて回収するアウターカップ105と、アウターカップ105の内周側に位置するインナーカップ106と、を含む。
【0017】
アウターカップ105の上面には、スピンチャック102に対するウェハWの受け渡しを行う際にウェハWが通過する開口107が形成されている。さらに、処理容器101内には、ウェハWにレジスト液を吐出するノズルユニット108が上下方向及び水平方向に移動自在に設けられている。
【0018】
このノズルユニット108は、複数の配管109を介してレジスト液が貯留したボトルなどのレジスト液供給源(図示せず)に接続されている。配管109は、例えばPFAのようなフッ素樹脂等の樹脂材料で形成されている。レジスト液供給源からノズルユニット108までのレジスト液の供給経路においては、複数の配管109同士を繋ぐ継手110が適宜設けられている。
【0019】
以下で説明する配管加工装置は、継手110に配管109を取り付けるために、配管109の拡径を行うための装置である。なお、本実施形態では、配管109が使用される基板処理装置としてレジスト塗布装置100を例示しているが、基板処理装置は現像装置や洗浄装置などのレジスト塗布装置100以外の装置であってもよい。すなわち、以下で説明する配管加工装置の加工対象となる配管は、基板処理装置に使用される配管である。
【0020】
<配管加工装置>
図2は、本実施形態にかかる配管加工装置1の構成の概略を示す側面図である。
図3は、配管加工装置1を前方から見た斜視図である。
図4は、配管加工装置1の平面図(装置を上方から見た図)である。各図のX方向、Y方向およびZ方向はそれぞれ互いに垂直な方向である。
【0021】
配管加工装置1は、配管の拡径加工を行う加工器としての拡径器10と、加工対象の配管を保持する保持部としてのクランプ機構20と、配管の除電を行う除電部としてのイオナイザー30を備えている。
【0022】
拡径器10は、小径部11aと大径部11bとを有する円筒状の拡径具11をクランプ機構20で保持された配管の管軸方向(X方向正側)に前進させることで拡径を行う装置である。なお、本明細書においては、説明の便宜上、
図2の紙面垂直方向の手前側(Y方向負側)を「右側」、
図2の紙面垂直方向の奥側(Y方向正側)を「左側」と称すことがある。
【0023】
拡径器10は、本体部12と、本体部12に取り付けられた把持部13を備えている。本体部12は、直方体状の筐体内に上述した拡径具11を前方に移動させるための推進機構(図示せず)を内蔵している。把持部13は、本体部12の後部から下方に延びており、作業者は片手で把持部13を掴むことができる。
【0024】
把持部13の前方には、本体部12から下斜め前方に延びた操作レバー14が設けられており、把持部13を掴む作業者は、操作レバー14に指を掛けて手前側(X方向負側)に引くことができる。本体部12の内部には、操作レバー14を初期位置に戻すための付勢機構(図示せず)が内蔵されており、手前に引いた操作レバー14にかけた力が弱まると、操作レバー14は前方に移動し、初期位置に戻る。
【0025】
図2及び
図4に示すように、本体部12の前部には、拡径具11が取り付けられた取付ロッド15が設けられている。なお、
図3の拡径器10においては、取付ロッド15が取り外された状態にある。取付ロッド15は、本体部12に内蔵された推進機構(図示せず)によって前進または後退する。その推進機構は上述した操作レバー14の動作に連動するように構成されており、取付ロッド15は、操作レバー14が後方に引かれる動作に連動して前進する一方、操作レバー14が初期位置に戻る動作に連動して後退する。
【0026】
本体部12の前部における取付ロッド15の下方には、クランプ機構20を固定するための支持体16が取り付けられている。支持体16は、本体部12の前面から更に前方に延びており、クランプ機構20は支持体16の前端部に位置している。
【0027】
クランプ機構20は、固定クランプ21と、固定クランプ21の上方に配置された可動クランプ22を備えている。
【0028】
図3に示すように、固定クランプ21には、上方に向けて開口した半円筒状の凹部21aが形成されており、凹部21aは、配管加工装置1の前後方向(X方向)に延びている。また、可動クランプ22には、下方に向けて開口した半円筒状の凹部22aが形成されており、凹部22aは、凹部21aと同様に配管加工装置1の前後方向に延びている。固定クランプ21の凹部21aと可動クランプ22の凹部22aは対向するように位置しており、2つの凹部21a、22aによって配管を挟持して固定するための円筒状の空間が形成される。
【0029】
可動クランプ22のY方向負側の端部には、固定クランプ21に可動クランプ22を固定するための連結具としてのロックレバー23が設けられている。ロックレバー23の上端部は、X方向が回動軸となるように連結ピン(図示せず)で可動クランプ22に固定されており、ロックレバー23は、その連結ピンを回動軸としてY-Z面内を回動可能に構成されている。このロックレバー23を下げた際には、可動クランプ22のY方向負側の端部と固定クランプ21とが固定された状態となり、ロックレバー23を上げた際には、可動クランプ22のY方向負側の端部と固定クランプ21との固定状態が解除される。
【0030】
可動クランプ22のY方向正側の端部は、X方向が回動軸となるように連結ピン(図示せず)で固定クランプ21に固定されており、可動クランプ22は、その連結ピンを回動軸としてY-Z面内を回動可能に構成されている。
【0031】
このように構成されたクランプ機構20に配管を挟持する際には、ロックレバー23を上げて可動クランプ22を開いた後、固定クランプ21の凹部21aに配管を載せ、その後に可動クランプ22を閉じてロックレバー23を下げることで配管を固定できる。また拡径加工後にクランプ機構20から配管を取り外す際には、ロックレバー23を上げて可動クランプ22を開くことで配管を取り外すことができる。
【0032】
なお、配管を保持する保持部の具体的な構成は、本実施形態で説明するクランプ機構20のような構成に限定されない。すなわち、配管の保持部は、配管の保持が可能な構成を有していればよい。
【0033】
イオナイザー30は、除電用のイオンを含む気体としての空気を放出するブロアタイプの除電装置である。イオナイザー30の前面部には、イオンを含む空気が放出される吹出口31が形成されており、イオナイザー30のスイッチ(図示せず)をONにすると、イオンを含む空気が吹出口31から前方に放出され、スイッチをOFFにすると、イオンを含む空気の放出が停止する。イオナイザー30の後面部には電源ケーブル32が接続され、電源ケーブル32は外部電源(図示せず)に接続される。
【0034】
上記のイオナイザー30は、拡径器10の本体部12の右側の側面に取り付けられている。拡径器10に対するイオナイザー30の固定方法は特に限定されないが、例えばブラケット(図示せず)を介したボルト締結によって固定される。
【0035】
なお、イオナイザー30の構成は本実施形態で説明するものに限定されず、公知のイオナイザーを適用することができる。
【0036】
配管加工装置1は以上のように構成されている。次に、この配管加工装置1を用いた拡径加工方法について
図5を参照しながら説明する。
【0037】
先ず、
図5(a)に示すように、配管109をクランプ機構20で固定する。クランプ機構20に配管109を固定する際には、予めイオナイザー30をONにしておくことが好ましい。これにより、イオナイザー30から放出されるイオンを含む空気がクランプ機構20に接触し、固定作業前または固定作業中に配管109が帯電したとしても配管109の除電を行うことができる。
【0038】
次に、
図5(b)に示すように、作業者が拡径器10の把持部13を掴み、操作レバー14を手前に引く。この操作レバー14の動作に連動して取付ロッド15が前進し、取付ロッド15の先端部に取り付けられた拡径具11の小径部11aが配管109の端面から挿入される。その後、操作レバー14を更に手前に引くことによって小径部11aに続く大径部11bが配管109の端面に挿入される。これにより、配管端部の内径が大径部11bの外径と等しくなるように拡径される。
【0039】
配管109の拡径を行う際には、拡径具11の外周面と配管109の内周面との摩擦によって配管109が帯電し得るが、配管加工装置1においては、イオナイザー30から除電用のイオンを含む空気が前方に向けて放出されている。すなわち、本実施形態にかかる拡径加工方法によれば、配管109の端部にイオンを含む空気を当てて除電しながら拡径加工を実施できるため、拡径加工時の配管109の帯電を抑制することができる。これにより、配管109の内周面へのパーティクルの付着を抑制でき、配管109の洗浄時間を短縮することが可能となる。
【0040】
(イオナイザーの配置例)
図4に示した例では、拡径器10の右側(Y方向負側)にイオナイザー30が配置されていたが、イオナイザー30は、例えば
図6に示すように拡径器10の左側(Y方向正側)に配置されてもよい。また例えば、イオナイザー30は拡径器10の右側と左側の両方に配置されてもよい。ただし、
図4に示したように、クランプ機構20のロックレバー23が拡径器10の右側の領域に配置されている場合には、イオナイザー30も拡径器10の右側に配置することが好ましい。その理由は以下の通りである。
【0041】
図7は、イオナイザー30から吹き出す風の流れ、すなわちイオンを含む空気の流れを矢印で模式的に示した図である。なお、
図7では拡径器10の構成の一部の図示を省略している。
【0042】
先ず、ロックレバー23が可動クランプ22の右側に設けられたクランプ機構20において、配管109からクランプ機構20の左側端部までの幅と右側端部までの幅を比較すると、ロックレバー23が設けられた右側端部までの幅の方が長い。
【0043】
このため、
図7(a)に示すように、イオナイザー30を拡径器10の右側に配置した際には、イオナイザー30から前方に向けて放出された風は、クランプ機構20に当たることによってクランプ機構20の奥側(X方向正側)に到達し難い。
【0044】
一方、
図7(b)に示すように、イオナイザー30を拡径器10の左側に配置した際には、イオナイザー30から前方に向けて放出された風の少なくとも一部は、クランプ機構20の左側方を通り抜けてクランプ機構20の奥側に流れ易い。
【0045】
クランプ機構20の奥側への風の流れが阻害された場合には、クランプ機構20の奥側の環境に存在するパーティクルの舞い上がりを抑制することができる。このため、そのようなパーティクルの舞い上がりを抑制し、配管109表面へのパーティクルの付着を抑制する観点では、ロックレバー23の設置側と非設置側のうち、設置側の領域にイオナイザー30の吹出口31が位置していることが好ましい。
【0046】
換言すると、
図8に示すように、クランプ機構20を上方から見たときの配管109の管軸方向Cを境界線としてクランプ機構20を2つの領域A、Bに分割したときに、幅が広い方の領域にイオナイザー30の吹出口31が位置していることが好ましい。例えば
図8においては、ロックレバー23が設けられた領域Bの幅が領域Aの幅よりも広いため、吹出口31も領域Bに位置することが好ましい。なお、クランプ機構20で挟持された配管109の管軸方向Cは、円筒状の拡径具11の中心線と一致するため、上記の境界線は、拡径具11の中心線でもある。
【0047】
(他の構成例)
イオナイザー30は、風量やイオン濃度等を調節可能に構成されてもよい。また、例えば
図9に示すように、拡径器10の本体部12にイオナイザー30の動作を制御する制御部40を内蔵して、一連の拡径工程の途中で風量やイオン濃度等を調節する制御を実行してもよい。制御部40は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、以下で説明する風量調節やイオン濃度調節等を制御するための指令を含む各種のプログラムが格納される。
【0048】
風量の調節制御は、例えば次のように行われる。先ず、クランプ機構20に配管を固定する前にイオナイザー30をONとしておき、第1の風量でイオン含む空気を放出する。その後、作業者が配管を固定するためにロックレバー23を下げた時や、拡径器10の把持部13を握った時、あるいは操作レバー14を手前に引いた時をトリガーとして、風量を第1の風量よりも高い第2の風量に調節する。
【0049】
すなわち、拡径の加工中における風量が非加工中における風量よりも大きくなる制御を行うことによって、配管の帯電が発生し易い拡径加工中のみイオナイザー30の除電能力を高めることができる。換言すると、相対的に配管の帯電が発生し難い拡径加工前においては、イオナイザー30の除電能力を抑えることで省エネルギー化を図ることができる。また、拡径加工前の風量を抑えることによって、配管加工装置1の周囲に存在するパーティクルの舞い上がりも抑制できる。
【0050】
イオン濃度の調節制御についても、上述したイオン濃度の調節制御と同様に行われる。すなわち、先ず、クランプ機構20に配管を固定する前にイオナイザー30をONとしておき、第1のイオン濃度でイオン含む空気を放出する。その後、作業者が配管を固定するためにロックレバー23を下げた時や、拡径器10の把持部13を握った時、あるいは操作レバー14を手前に引いた時をトリガーとして、イオン濃度を第1のイオン濃度よりも高い第2のイオン濃度に調節する。
【0051】
すなわち、拡径の加工中におけるイオン濃度が非加工中におけるイオン濃度よりも高くなる制御を行うことによって、配管の帯電が発生し易い拡径加工中のみイオナイザー30の除電能力を高めることができる。換言すると、相対的に配管の帯電が発生し難い拡径加工前においては、イオナイザー30の除電能力を抑えることで省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
以上、本実施形態にかかる配管加工装置1の概略構成およびその配管加工装置1を用いた拡径加工方法について説明した。
【0053】
なお、以上で説明した配管加工装置1は、保持部としてのクランプ機構20が拡径器10に対して固定された装置であったが、配管加工装置1の構成要素としてクランプ機構20が含まれなくてもよい。例えば作業台(図示せず)に固定されたクランプ機構20に配管を固定し、作業者が拡径器10とイオナイザー30を備えた配管加工装置1を配管端部に近接させて拡径加工を行うことも可能である。
【0054】
また、上述の実施形態では、作業者によって操作される操作レバー14に連動させるように拡径具11の前進動作および後退動作を行うこととしたが、拡径具11の前進動作および後退動作は自動的に実施されてもよい。例えばクランプ機構20に配管を固定した後、作業者がスイッチを押すことによって拡径具が前進するよう拡径器を構成してもよい。
【0055】
以上の説明では、配管加工の一例として拡径加工を例示したが、加工の種類は拡径に限定されず、配管の切断などの他の加工であってもよい。また、以上の説明では、除電部としてイオナイザー30を用いたが、配管の加工時に配管の除電が可能であれば除電部の構成は特に限定されない。
【0056】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲、後述の本開示の技術的範囲に属する構成例及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0057】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0058】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)基板処理装置を構成する配管を加工する配管加工装置であって、
前記配管に接触することで当該配管を加工する加工器と、
加工中の前記配管を除電する除電部と、を備える、配管加工装置。
(2)前記配管を保持する保持部を備え、
前記加工器は、前記保持部で保持された前記配管に接触して当該配管の加工を行う構成を有する、(1)に記載の配管加工装置。
(3)前記除電部は、前記加工器と前記配管が接触する部分にイオンを含む気体を放出するイオナイザーである、(1)または(2)に記載の配管加工装置。
(4)前記加工器は、配管端部の拡径を行う拡径器であり、
前記除電部は、前記拡径器に取り付けられ、かつ、前記配管端部に前記気体が接触するように配置されている、(3)に記載の配管加工装置。
(5)前記除電部は、前記気体を放出する吹出口を有し、
前記保持部を上方から見たときの当該保持部に固定された前記配管の管軸方向を境界線として、当該保持部を2つの領域に分割したときに、前記吹出口は、前記2つの領域のうちの幅が広い方の領域に位置している、(3)または(4)に記載の配管加工装置。
(6)前記除電部の動作を制御する制御部をさらに有し、
前記除電部は、前記気体の風量を調節可能な構成を有し、
前記制御部は、前記配管の加工中における前記気体の風量が前記配管の非加工中における前記気体の風量よりも大きくなるように前記気体の風量を調節する制御を実行する、(3)~(5)のいずれかに記載の配管加工装置。
(7)前記除電部の動作を制御する制御部をさらに有し、
前記除電部は、イオンの濃度を調節可能な構成を有し、
前記制御部は、前記配管の加工中におけるイオン濃度が前記配管の非加工中における前記イオン濃度よりも高くなるように前記イオン濃度を調節する制御を実行する、(1)~(6)のいずれかに記載の配管加工装置。
(8)基板処理装置を構成する配管を加工する配管加工方法であって、
前記配管に接触することで当該配管を加工する加工器を用いて、前記配管を除電しながら前記配管の加工を行う、配管加工方法。
(9)前記加工器に取り付けられたイオナイザーで、前記加工器と前記配管が接触する部分にイオンを含む気体を当てながら前記配管の加工を行う、(8)に記載の配管加工方法。
(10)前記加工器は、配管端部の拡径を行う拡径器であり、前記配管端部に前記気体を当てながら前記配管の加工を行う、(9)に記載の配管加工方法。
(11)前記配管の加工中における前記気体の風量を前記配管の非加工中における前記気体の風量よりも大きくして前記除電を行う、(9)または(10)に記載の配管加工方法。
(12)前記配管の加工中におけるイオン濃度を前記配管の非加工中における前記イオン濃度よりも高くして前記除電を行う、(8)~(11)のいずれかに記載の配管加工方法。
【符号の説明】
【0059】
1 配管加工装置
10 拡径器
30 イオナイザー
100 レジスト塗布装置
109 配管