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  • 特開-漏洩同軸ケーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176389
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】漏洩同軸ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/22 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H01Q13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094885
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼田 修一
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AB03
5J045DA14
5J045KA05
5J045KA07
5J045NA01
(57)【要約】
【課題】短時間で容易に敷設可能な漏洩同軸ケーブルを提供する。
【解決手段】一実施の形態の漏洩同軸ケーブル1Aは、上側漏洩同軸ケーブル11と、上側漏洩同軸ケーブル11の上方に位置する支持線40と、上側漏洩同軸ケーブル11の下方に位置する下側漏洩同軸ケーブル12と、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との間に位置し、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12とを一体化させる接続部30と、を有している。上側漏洩同軸ケーブル11,下側漏洩同軸ケーブル12,支持線40及び接続部30は、並列配置されている。上側漏洩同軸ケーブル11及び下側漏洩同軸ケーブル12は、最外層を形成するシース24を備えている。上側漏洩同軸ケーブルのシース24a,下側漏洩同軸ケーブル12のシース24b及び接続部30は、樹脂材料によって一体成形されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1漏洩同軸ケーブルと、
前記第1漏洩同軸ケーブルの径方向一側に位置する支持線と、
前記第1漏洩同軸ケーブルの径方向他側に位置する第2漏洩同軸ケーブルと、
前記第1漏洩同軸ケーブルと前記第2漏洩同軸ケーブルとの間に位置し、前記第1漏洩同軸ケーブルと前記第2漏洩同軸ケーブルとを一体化させる接続部と、を有し、
前記第1漏洩同軸ケーブル,前記第2漏洩同軸ケーブル,前記支持線および前記接続部は、並列配置され、
前記第1漏洩同軸ケーブルおよび前記第2漏洩同軸ケーブルは、最外層を形成するシースを備え、
前記第1漏洩同軸ケーブルの前記シース,前記第2漏洩同軸ケーブルの前記シースおよび前記接続部は、樹脂材料によって一体成形されている漏洩同軸ケーブル。
【請求項2】
前記支持線を覆う被覆部を有し、
前記第1漏洩同軸ケーブルの前記シース,前記第2漏洩同軸ケーブルの前記シース,前記接続部および前記被覆部は、樹脂材料によって一体成形されている請求項1に記載の漏洩同軸ケーブル。
【請求項3】
前記接続部に、その長手方向に沿って並ぶ複数の通風孔が設けられている請求項1に記載の漏洩同軸ケーブル。
【請求項4】
前記第1漏洩同軸ケーブルおよび前記第2漏洩同軸ケーブルは、中心導体と、前記中心導体の周囲に設けられた絶縁体と、前記絶縁体の周囲に設けられた外部導体と、前記外部導体に設けられた複数のスロットと、を備え、
前記第1漏洩同軸ケーブルおよび前記第2漏洩同軸ケーブルに対して前記支持線が位置する側を上側とし、前記支持線が位置する側と反対側を下側としたとき、
前記第1漏洩同軸ケーブルが備えるそれぞれの前記スロットの中心は、前記第1漏洩同軸ケーブルの中心軸よりも下方に位置し、
前記第2漏洩同軸ケーブルが備えるそれぞれの前記スロットの中心は、前記第2漏洩同軸ケーブルの中心軸よりも下方に位置している請求項1に記載の漏洩同軸ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩同軸ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの一種として、電波の不感場所(例えば、トンネル内や地下街)に敷設される漏洩同軸ケーブル(LCX/Leaky Coaxial cable)が知られている。漏洩同軸ケーブルには、長手方向に沿って複数の穴(スロット)が設けられており、それらスロットを通して電波が放射される。よって、電波の不感場所に漏洩同軸ケーブルを敷設することにより、不感場所に電波を届けたり、不感範囲を縮小させたりすることができる。
【0003】
漏洩同軸ケーブルは、一体化された支持線(一般的に“メッセンジャーワイヤ”と呼ばれる。)を備えており、この支持線を使って不感場所の天井や壁などに取り付けられる。例えば、漏洩同軸ケーブルの支持線は、トンネルの天井や側壁に固定されている支持具に連結される。この結果、漏洩同軸ケーブルがトンネルの天井や側壁に吊り下げられる。別の見方をすると、漏洩同軸ケーブルを敷設するためには、トンネルの天井や側壁に固定されている支持具を漏洩同軸ケーブルが備える支持線に連結する必要がある。
【0004】
特許文献1には、並列配置された2本の漏洩同軸ケーブルと、それら2本の漏洩同軸ケーブルの間に並列配置された吊下用支持線とを有する複合漏洩同軸ケーブルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-106845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
漏洩同軸ケーブルは、短時間で容易に敷設可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実地の形態に係る漏洩同軸ケーブルは、第1漏洩同軸ケーブルと、前記第1漏洩同軸ケーブルの径方向一側に位置する支持線と、前記第1漏洩同軸ケーブルの径方向他側に位置する第2漏洩同軸ケーブルと、前記第1漏洩同軸ケーブルと前記第2漏洩同軸ケーブルとの間に位置し、前記第1漏洩同軸ケーブルと前記第2漏洩同軸ケーブルとを一体化させる接続部と、を有している。前記第1漏洩同軸ケーブル,前記第2漏洩同軸ケーブル,前記支持線および前記接続部は、並列配置され、前記第1漏洩同軸ケーブルおよび前記第2漏洩同軸ケーブルは、最外層を形成するシースを備えている。そして、前記第1漏洩同軸ケーブルの前記シース,前記第2漏洩同軸ケーブルの前記シースおよび前記接続部は、樹脂材料によって一体成形されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、短時間で容易に敷設可能な漏洩同軸ケーブルが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態に係る漏洩同軸ケーブルの端部を示す側面図である。
図2】一実施の形態に係る漏洩同軸ケーブルの拡大断面図である。
図3】スロットの位置を示す上側漏洩同軸ケーブルおよび下側漏洩同軸ケーブルの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0011】
<漏洩同軸ケーブルの概要>
図1は、本実施の形態に係る漏洩同軸ケーブル1Aの端部を示す側面図である。図2は、本実施の形態に係る漏洩同軸ケーブル1Aの拡大断面図である。なお、図2に示されている断面は、図1中のA-A線に沿う断面である。
【0012】
本実施の形態に係る漏洩同軸ケーブル1Aは、一体化された2本の漏洩同軸ケーブルを有する複合漏洩同軸ケーブルである。より特定的には、漏洩同軸ケーブル1Aは、一体化された第1漏洩同軸ケーブル11と第2漏洩同軸ケーブル12とを有する無指向性の複合漏洩同軸ケーブルである。
【0013】
漏洩同軸ケーブル1Aは、第1漏洩同軸ケーブル11及び第2漏洩同軸ケーブル12の他に、接続部30や支持線40を有している。第1漏洩同軸ケーブル11,第2漏洩同軸ケーブル12,接続部30及び支持線40は、並列配置されており、かつ、一体化されている。
【0014】
支持線40は、第1漏洩同軸ケーブル11の径方向一側に位置しており、第2漏洩同軸ケーブル12は、第1漏洩同軸ケーブル11の径方向他側に位置している。
【0015】
ここで、第1漏洩同軸ケーブル11及び第2漏洩同軸ケーブル12に対して支持線40が位置している側を“上側”とし、支持線40が位置している側と反対側を“下側”とすると、第2漏洩同軸ケーブル12の上方に第1漏洩同軸ケーブル11が配置されており、第1漏洩同軸ケーブル11の上方に支持線40が配置されている。言い換えれば、支持線40の下方に第1漏洩同軸ケーブル11が配置されており、第1漏洩同軸ケーブル11の下方に第2漏洩同軸ケーブル12が配置されている。
【0016】
以下の説明では、第1漏洩同軸ケーブル11を“上側漏洩同軸ケーブル11”と呼び、第2漏洩同軸ケーブル12を“下側漏洩同軸ケーブル12”と呼ぶ場合がある。
【0017】
<上側漏洩同軸ケーブル/下側漏洩同軸ケーブル>
上側漏洩同軸ケーブル11及び下側漏洩同軸ケーブル12は、実質的に同一の構造を有している。具体的には、上側漏洩同軸ケーブル11及び下側漏洩同軸ケーブル12は、中心導体20,絶縁体21,外部導体22,抑え巻テープ23及びシース24を備えている。また、外部導体22には、複数のスロット25が設けられている。
【0018】
<中心導体>
それぞれの中心導体20は、パイプ状(チューブ状)である。より特定的には、それぞれの中心導体20は、ストレート形状の銅パイプである。もっとも、中心導体20の形状はストレート形状に限定されず、材料は銅に限定されない。
【0019】
例えば、中心導体20は、スパイラル形状の銅パイプに置換することができる。また、中心導体20は、ストレート形状やスパイラル形状のアルミニウムパイプに置換することができる。なお、中心導体は、“内部導体”と呼ばれることもある。
【0020】
<絶縁体>
それぞれの絶縁体21は、中心導体20の周囲に設けられている。別の見方をすると、絶縁体21は、中心導体20の外周面を覆う絶縁層を形成している。
【0021】
絶縁体21は、発泡した樹脂または発泡した樹脂を含む材料によって形成されている。絶縁体21による誘電体損失を抑制する観点からは、未架橋の樹脂材料によって絶縁体21を形成することが好ましい。より特定的には、絶縁体21の材料としては、未架橋のポリオレフィン系樹脂が好ましく、未架橋のポリエチレンがより好ましい。
【0022】
本実施の形態の絶縁体21は、ベース樹脂としてのPE(ポリエチレン)100質量部に対して、発泡核材としてのADCA(アゾジカルボンアミド)0.005質量部と、OBSH(オキシビスベンゼンスルポニルヒドラジド)0.01質量部とが配合された材料によって形成されている。
【0023】
また、絶縁体21による誘電体損失を抑制する観点からは、絶縁体21の発泡度が70%~85%であることが好ましく、80%前後であることがより好ましい。
【0024】
中心導体20と絶縁体21との密着性を向上させるために、これらの間に内部充実層を設けてもよい。内部充実層は、発泡していない樹脂(例えば、ポリエチレン)によって形成することが好ましい。また、内部充実層の厚みは0.1mm前後であることが好ましい。
【0025】
燃焼時の有毒ガスの発生を抑制する観点からは、フッ素や塩素などのハロゲン元素を含まないノンハロゲン系の樹脂によって絶縁体21を形成することが好ましい。また、絶縁体21を形成する材料に、必要に応じて添加剤を添加してもよい。
【0026】
<外部導体>
それぞれの外部導体22は、絶縁体21の周囲に設けられている。より特定的には、外部導体22は、絶縁体21の外周面に巻き付けられた導電性テープ(アルミニウムテープ)によって形成されている。
【0027】
外部導体22を形成しているアルミニウムテープには、複数のスロット25が一定間隔で設けられている。それぞれのスロット25は略長方形であって、その四隅の角は丸められている。
【0028】
上側漏洩同軸ケーブル11の外部導体22を形成しているアルミニウムテープは、それぞれのスロット25が上側漏洩同軸ケーブル11上の所定位置に配置されるように、上側漏洩同軸ケーブル11の絶縁体21の外周面に巻かれている。
【0029】
同様に、下側漏洩同軸ケーブル12の外部導体22を形成しているアルミニウムテープは、それぞれのスロット25が下側漏洩同軸ケーブル12上の所定位置に配置されるように、下側漏洩同軸ケーブル12の絶縁体21の外周面に巻かれている。
【0030】
図3は、スロット25の位置を示す上側漏洩同軸ケーブル11及び下側漏洩同軸ケーブル12の底面図である。なお、図3中では、便宜上の理由により、下側漏洩同軸ケーブル12を上側漏洩同軸ケーブル11よりも短くしてあるが、実際の下側漏洩同軸ケーブル12は、上側漏洩同軸ケーブル11と同じ長さを有する。
【0031】
図1図3に示されるように、上側漏洩同軸ケーブル11の外部導体22に設けられているそれぞれのスロット25は、当該上側漏洩同軸ケーブル11の下側に位置している。同様に、下側漏洩同軸ケーブル12の外部導体22に設けられているそれぞれのスロット25は、当該下側漏洩同軸ケーブル12の下側に位置している。
【0032】
より特定的には、上側漏洩同軸ケーブル11の外部導体22に設けられているそれぞれのスロット25の中心P(図3)は、当該上側漏洩同軸ケーブル11の中心軸C1(図1)よりも下方に位置している。また、下側漏洩同軸ケーブル12の外部導体22に設けられているそれぞれのスロット25の中心P(図3)は、下側漏洩同軸ケーブル12の中心軸C2(図1)よりも下方に位置している。なお、スロット25の中心Pとは、スロット25の対角線の交点である。
【0033】
別の見方をすると、上側漏洩同軸ケーブル11が備えるスロット25は、当該上側漏洩同軸ケーブル11の周方向において、支持線40と180度異なる位置に配置されている。また、下側漏洩同軸ケーブル12が備えるスロット25は、当該下側漏洩同軸ケーブル12の周方向において、支持線40と180度異なる位置に配置されている。
【0034】
さらに別の見方をすると、上側漏洩同軸ケーブル11が備えるスロット25は、当該上側漏洩同軸ケーブル11上で支持線40から最も離間した位置に配置されている。また、下側漏洩同軸ケーブル12が備えるスロット25は、当該下側漏洩同軸ケーブル12上で支持線40から最も離間した位置に配置されている。この結果、それぞれのスロット25から放射される電波が導体である支持線40の影響を受け難くなっている。
【0035】
なお、外部導体22は、銅テープやその他の導電性テープによって形成することもできる。また、スロット25の形状,大きさ,ピッチ等は、スロット25から放射される電波の周波数などに応じて適宜変更することができる。例えば、スロット25の形状は楕円形であってもよい。この場合のスロット25の中心Pは、スロット25の長径と短径との交点である。
【0036】
<抑え巻テープ>
それぞれの抑え巻テープ23は、PETテープ(ポリエチレンテレフタレートテープ)であって、外部導体22の外周面に巻き付けられている。別の見方をすると、抑え巻テープ23は、外部導体22を形成している導電性テープの上に重ねて巻かれている。もっとも、抑え巻テープ23はポリエチレンテレフタレートテープに限られない。
【0037】
<シース>
それぞれのシース24は、抑え巻テープ23の周囲に設けられ、ケーブルの最外層を形成している。より特定的には、上側漏洩同軸ケーブル11が備えるシース24は、当該上側漏洩同軸ケーブル11の最外層を形成している。同様に、下側漏洩同軸ケーブル12が備えるシース24は、当該下側漏洩同軸ケーブル12の最外層を形成している。
【0038】
以下の説明では、上側漏洩同軸ケーブル11の最外層を形成しているシース24を“シース24a”と呼び、下側漏洩同軸ケーブル12の最外層を形成しているシース24を“シース24b”と呼んで区別する場合がある。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0039】
シース24aは、上側漏洩同軸ケーブル11の抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料によって形成されている。シース24bは、下側漏洩同軸ケーブル12の抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料によって形成されている。より特定的には、シース24a,24bは、それぞれの抑え巻テープ23の周囲に同時に押し出された難燃性ポリエチレンによって一体成形されている。
【0040】
<接続部>
接続部30は、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との間に位置している。既述の定義に従えば、接続部30は、上下方向で上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との間に位置している。
【0041】
接続部30は、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12とを全長または略全長に亘って一体化させている。より特定的には、接続部30は、上側漏洩同軸ケーブル11のシース24aと下側漏洩同軸ケーブル12のシース24bとを全長または略全長に亘って繋いでいる。
【0042】
接続部30は、シース24と同時に成形され、シース24と一体化している帯状の樹脂部である。言い換えれば、シース24は、抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料の一部によって成形されたものであり、接続部30は、抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料の他の一部によって成形されたものであり、シース24と接続部30とは切れ目なく繋がっている。
【0043】
より特定的には、シース24aの下部は接続部30の一側と切れ目なく繋がっており、シース24bの上部は接続部30の他側と切れ目なく繋がっている。
【0044】
ここで、接続部30の幅W(図2)は、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との離間距離に相当する。したがって、接続部30の幅Wを変更することにより、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との離間距離を調整することができる。例えば、接続部30の幅Wを拡張すれば、上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との離間距離が増大され、電波の干渉がより確実に回避される。
【0045】
一方、接続部30の幅Wが拡張されると、接続部30が受ける風圧が上昇する虞がある。例えば、漏洩同軸ケーブル1Aをトンネル内に敷設した場合、接続部30は、トンネル内を走行する車両が誘起する風を受ける。そして、接続部30の幅Wが広いほど、接続部30が受ける風圧は強く(高く)なる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、接続部30に複数の通風孔31が設けられている。複数の通風孔31は、接続部30の長手方向に沿って一列に並んでいる。別の見方をすると、接続部30には、その長手方向に沿って複数の開口部が設けられている。この結果、接続部30が受ける風圧が低減される。
【0047】
なお、通風孔31の形状は矩形に限られない。また、通風孔31の数,位置,大きさ,ピッチ等は、適宜変更することができる。
【0048】
<支持線>
支持線40は、上側漏洩同軸ケーブル11,下側漏洩同軸ケーブル12及び接続部30と一体化されている。より特定的には、支持線40は金属ワイヤであって、シース24と繋がっている被覆部41によって覆われている。より特定的には、支持線40を被覆している被覆部41の下部がシース24aの上部と切れ目なく繋がっている。
【0049】
被覆部41は、シース24や接続部30と同時に成形され、これらと一体化している樹脂部である。言い換えれば、シース24は、抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料の一部によって成形されたものであり、接続部30は、抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料の他の一部によって成形されたものであり、被覆部41は、抑え巻テープ23の周囲に押し出された樹脂材料のさらに他の一部によって成形されたものである。この結果、シース24,接続部30及び被覆部41は切れ目なく繋がっている。
【0050】
上記のように、シース24,接続部30及び被覆部41は、同時に成形された単一の樹脂部であって、互いに切れ目なく繋がっている。
【0051】
<漏洩同軸ケーブルの敷設方法>
漏洩同軸ケーブル1Aは、支持線40を使ってトンネルや地下街の天井や壁などに取り付けられる。例えば、漏洩同軸ケーブル1Aは、支持線40がトンネルの側壁に予め固定されている支持具に連結されることによって、トンネルの側壁に吊り下げられる。この結果、2本の漏洩同軸ケーブル(上側漏洩同軸ケーブル11,下側漏洩同軸ケーブル12)がトンネル内に同時に敷設される。
【0052】
この際、支持線40が上側漏洩同軸ケーブル11の上方に位置しているので、支持線40が上側漏洩同軸ケーブル11と下側漏洩同軸ケーブル12との間に位置している場合に比べて、支持具と支持線40とを短時間で容易に連結させることができる。つまり、本実施の形態に係る漏洩同軸ケーブル1Aを用いれば、複数本の漏洩同軸ケーブルを短時間で容易に敷設することができる。
【0053】
なお、一体化された上側漏洩同軸ケーブル11及び下側漏洩同軸ケーブル12を備える漏洩同軸ケーブル1Aを敷設すれば、ダイバシティ受信を実現することができる。具体的には、上側漏洩同軸ケーブル11が受信した電波と下側漏洩同軸ケーブル12が受信した電波とのいずれか一方の電波を選択したり、両方の電波を合成したりすることにより、電波の受信感度を高めることができる。
【0054】
また、MIMO(Multi Input Multi Output)送受信によってスループットの向上を図ることや、周波数帯が異なるサービスエリアを同時に構築することもできる。
【0055】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、本明細書に記載されている材料や数値は全て一例であり、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0056】
1A:漏洩同軸ケーブル
11:第1漏洩同軸ケーブル(上側漏洩同軸ケーブル)
12:第2漏洩同軸ケーブル(下側漏洩同軸ケーブル)
20:中心導体
21:絶縁体
22:外部導体
23:抑え巻テープ
24,24a,24b:シース
25:スロット
30:接続部
31:通風孔
40:支持線
41:被覆部
C1,C2:中心軸
W:幅
図1
図2
図3