(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176498
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】半導体ウエーハの処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20241212BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20241212BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20241212BHJP
B23Q 37/00 20060101ALI20241212BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B41/06 Z
B24B27/06 M
B23Q37/00 Z
B23K26/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095059
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 万平
(72)【発明者】
【氏名】寺師 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 剛樹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】松岡 伸太郎
【テーマコード(参考)】
3C034
3C042
3C158
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034DD10
3C034DD20
3C042RF01
3C158AA03
3C158AB04
3C158CB05
3C158DA17
4E168JA12
4E168JA13
5F063AA43
5F063DD01
5F063DD09
5F063DD17
(57)【要約】
【課題】複数の処理装置を設置する場合でもコストの高騰を抑制することができる半導体ウエーハの処理システムを提供すること。
【解決手段】半導体ウエーハの処理システム1は、半導体ウエーハを保持する保持テーブルと、保持テーブルに保持された半導体ウエーハを処理する処理ユニット30と、を含む処理装置10が、一方向であるX軸方向に並んで複数台設置され、複数の処理装置10は、共通のモニタ110によって操作され、共通の制御ユニット100によって制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエーハを保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された半導体ウエーハを処理する処理ユニットと、
を含む処理装置が、一方向に並んで複数台設置され、
複数の該処理装置は、共通のモニタによって操作され、
共通の制御ユニットによって制御される半導体ウエーハの処理システム。
【請求項2】
該一方向に延在し、複数の該処理装置を覆うカバーをさらに備える請求項1に記載の半導体ウエーハの処理システム。
【請求項3】
該処理ユニットは、半導体ウエーハに対して、加工、洗浄、膜形成、検査、撮像、支持部材の貼り付け、支持部材の剥離、の少なくともいずれかを行う請求項1または請求項2に記載の半導体ウエーハの処理システム。
【請求項4】
該処理ユニットは、回転可能なスピンドルと、該スピンドルの先端に固定されたマウントと、該マウントに支持され半導体ウエーハを加工する加工工具と、を含み、
該加工工具は、切削ブレード、バイト刃、研削ホイール、研磨パッドの少なくともいずれかである請求項1または請求項2に記載の半導体ウエーハの処理システム。
【請求項5】
該処理ユニットは、半導体ウエーハにレーザ光線を照射するレーザ光線照射ユニットである請求項1または請求項2に記載の半導体ウエーハの処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハの処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
処理装置は、保持テーブルと、処理ユニットと、を含む処理装置と、制御ユニットと、モニタと、を含んで構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1等に示された処理装置を複数設置すると、コストがかかっていた。
【0005】
本発明の目的は、複数の処理装置を設置する場合でもコストの高騰を抑制することができる半導体ウエーハの処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の半導体ウエーハの処理システムは、半導体ウエーハを保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された半導体ウエーハを処理する処理ユニットと、を含む処理装置が、一方向に並んで複数台設置され、複数の該処理装置は、共通のモニタによって操作され、共通の制御ユニットによって制御されることを特徴とする。
【0007】
前記半導体ウエーハの処理システムにおいて、該一方向に延在し、複数の該処理装置を覆うカバーをさらに備えても良い。
【0008】
前記半導体ウエーハの処理システムにおいて、該処理ユニットは、半導体ウエーハに対して、加工、洗浄、膜形成、検査、撮像、支持部材の貼り付け、支持部材の剥離、の少なくともいずれかを行っても良い。
【0009】
前記半導体ウエーハの処理システムにおいて、該処理ユニットは、回転可能なスピンドルと、該スピンドルの先端に固定されたマウントと、該マウントに支持され半導体ウエーハを加工する加工工具と、を含み、該加工工具は、切削ブレード、バイト刃、研削ホイール、研磨パッドの少なくともいずれかでも良い。
【0010】
前記半導体ウエーハの処理システムにおいて、該処理ユニットは、半導体ウエーハにレーザ光線を照射するレーザ光線照射ユニットでも良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の処理装置を設置する場合でもコストの高騰を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システムの構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された半導体ウエーハの処理システムの処理装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された処理装置の処理ユニットの構成例を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された半導体ウエーハの処理システムのモニタの表示例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システムの加工室カバー内を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す半導体ウエーハの処理システムの保持テーブルを移動した例を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す半導体ウエーハの処理システムのいずれかの処理装置の処理ユニットで切削加工する例を一部断面で模式的に示す正面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示す半導体ウエーハの処理システムの他のいずれかの処理装置の処理ユニットで切削加工する例を一部断面で模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システムを図面に基いて説明する。
図1は、実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システムの構成例を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示された半導体ウエーハの処理システムの処理装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示された処理装置の処理ユニットの構成例を模式的に示す側面図である。
図4は、
図1に示された半導体ウエーハの処理システムのモニタの表示例を示す正面図である。
【0015】
(半導体ウエーハの処理システム)
半導体ウエーハの処理システム1は、
図1に示すように、複数の処理装置10と、一つの制御ユニット100と、一つのモニタ110と、一つの入力ユニット120とを備える。処理装置10は、
図2に示す半導体ウエーハ200を処理する装置であって、実施形態1では、半導体ウエーハ200を切削加工する加工装置である。
【0016】
実施形態1において、処理装置10の処理対象である半導体ウエーハ200は、シリコン、又はガリウムなどを基板とする円板状に形成され、表面201の格子状に形成された複数の分割予定ライン202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。デバイス203は、例えば、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、又は半導体メモリ(半導体記憶装置)である。実施形態1において、半導体ウエーハ200は、外径よりも大径な円板状でかつ外縁部に環状フレーム206が貼着されたテープ205の中央部に裏面204が貼着されて、処理装置10により切削加工される。
【0017】
処理装置10は、
図2に示すように、半導体ウエーハ200を保持面21で吸引保持する保持テーブル20と、保持テーブル20が保持する半導体ウエーハ200を処理する処理ユニット30と、保持テーブル20に保持された半導体ウエーハ200を撮影する撮像ユニット40とを含む。また、処理装置10は、
図2に示すように、保持テーブル20と処理ユニット30とを相対的に移動させる移動ユニット50を備える。
【0018】
移動ユニット50は、保持テーブル20を水平方向と平行なX軸方向に加工送りするX軸移動ユニット51と、処理ユニット30を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動ユニット52と、処理ユニット30をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りするZ軸移動ユニット53と、保持テーブル20をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット54とを備える。
【0019】
X軸移動ユニット51は、保持テーブル20を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、保持テーブル20と処理ユニット30とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。X軸移動ユニット51は、装置本体11に設置されている。
【0020】
Y軸移動ユニット52は、処理ユニット30を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、保持テーブル20と処理ユニット30とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Y軸移動ユニット52は、装置本体11から立設した門型の支持フレーム12に設置されている。
【0021】
Z軸移動ユニット53は、処理ユニット30を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、保持テーブル20と処理ユニット30とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。Z軸移動ユニット53は、Y軸移動ユニット52によりY軸方向に移動される移動フレーム13に設置されている。回転移動ユニット54は、X軸移動ユニット51に支持され、保持テーブル20を支持して、保持テーブル20とともにX軸方向に移動自在に配設されている。
【0022】
X軸移動ユニット51、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル20又は処理ユニット30をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。回転移動ユニット54は、保持テーブル20を軸心回りに回転するモータ等を備えている。
【0023】
保持テーブル20は、円盤形状であり、半導体ウエーハ200を保持する保持面21がポーラスセラミック等から形成されている。また、保持テーブル20は、X軸移動ユニット51により処理ユニット30の下方の加工領域と、処理ユニット30の下方から離間して半導体ウエーハ200が搬入出される搬入出領域とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニット54によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。
【0024】
保持テーブル20は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面21に載置された半導体ウエーハ200を吸引、保持する。実施形態1では、保持テーブル20は、テープ205を介して半導体ウエーハ200の裏面204側を吸引、保持する。また、保持テーブル20の周囲には、
図2に示すように、環状フレーム206をクランプするクランプ部22が複数設けられている。
【0025】
実施形態1において、処理ユニット30は、保持テーブル20で保持された半導体ウエーハ200を切削ブレード31で切削加工する切削ユニットである。処理ユニット30は、保持テーブル20に保持された半導体ウエーハ200に対して、Y軸移動ユニット52によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット53によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0026】
処理ユニット30は、Y軸移動ユニット52、Z軸移動ユニット53などを介して、装置本体11から立設した門型の支持フレーム12に設けられている。処理ユニット30は、それぞれ、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53により、保持テーブル20の保持面21の任意の位置に切削ブレード31を位置付け可能となっている。
【0027】
処理ユニット30は、
図2及び
図3に示すように、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング32と、スピンドルハウジング32にY軸方向と平行な軸心回りに回転自在に支持され、かつ図示しないスピンドルモータにより軸心回りに回転されるスピンドル33(
図3のみに示す)と、スピンドル33の先端に固定されたマウント34(
図3のみに示す)と、マウント34に支持されてスピンドル33の先端に装着されて半導体ウエーハ200を切削加工する加工工具である切削ブレード31とを含む。
【0028】
切削ブレード31は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード31は、半導体ウエーハ200を切削する円環状の切り刃と、切り刃を外縁に支持しかつスピンドル23に着脱自在に装着される円環状の環状基台とを備えている。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とを備える。なお、本発明では、切削ブレード31は、切り刃のみからなる所謂ワッシャーブレードでも良い。
【0029】
スピンドルハウジング32は、Z軸移動ユニット53によりZ軸方向に移動自在に支持され、Z軸移動ユニット53を介してY軸移動ユニット52によりY軸方向に移動自在に支持されている。スピンドルハウジング32は、スピンドル23の先端部を除く部分及び図示しないスピンドルモータ等を収容し、スピンドル23を軸心回りに回転可能に支持する。
【0030】
スピンドル23は、切削ブレード31を先端に固定するものである。スピンドル23は、図示しないスピンドルモータにより回転されるとともに、先端部がスピンドルハウジング32の先端面より突出している。スピンドル23の先端部は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、マウント34を介して切削ブレード31が装着される。
【0031】
処理ユニット30のスピンドル23及び切削ブレード31の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0032】
撮像ユニット40は、処理ユニット30と一体的に移動するように、処理ユニット30に固定されている。撮像ユニット40は、保持テーブル20に保持された切削前の半導体ウエーハ200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット40は、保持テーブル20に保持された半導体ウエーハ200を撮影して、半導体ウエーハ200と切削ブレード31との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0033】
また、処理装置10は、保持テーブル20のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、処理ユニット30のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、処理ユニット30のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。
【0034】
また、Z軸方向位置検出ユニットは、Z軸移動ユニット53のモータのパルスで処理ユニット30のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル20のX軸方向、処理ユニット30の切削ブレード31の切り刃の下端のY軸方向又はZ軸方向の位置を検出して、検出結果を制御ユニット100に出力する。なお、実施形態1では、処理装置10の各構成要素のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置を基準とした位置で定められる。なお、Z軸方向の基準位置は、切削ブレード31の切り刃の下端が保持面21と同一平面上に位置する処理ユニット30の位置である。
【0035】
前述した構成の処理装置10は、オペレータ等により加工条件が制御ユニット100に登録され、切削加工前の半導体ウエーハ200が保持テーブル20の保持面21に載置されて、制御ユニット100がオペレータから加工動作の開始指示を受け付けると加工動作を開始する。実施形態1において、加工動作では、処理装置10は、制御ユニット100が保持テーブル20の保持面21にテープ205を介して半導体ウエーハ200の裏面204側を吸引保持するとともに、クランプ部22で環状フレーム206をクランプする。
【0036】
実施形態1において、加工動作では、処理装置10は、制御ユニット100がスピンドル23を軸心回りに回転し、移動ユニット50を制御して保持テーブル20を加工領域に向かって移動して、撮像ユニット40が半導体ウエーハ200を撮影して、撮像ユニット40が撮影して得た画像に基づいて、アライメントを遂行する。実施形態1において、加工動作では、処理装置10は、制御ユニット100が移動ユニット50及び切削ユニット20等を制御して、分割予定ライン202に沿って半導体ウエーハ200と処理ユニット30とを相対的に移動させながら、切削ブレード31を各分割予定ライン202に切り込ませて半導体ウエーハ200を個々のデバイス203に分割する。
【0037】
実施形態1において、加工動作では、処理装置10は、半導体ウエーハ200の全ての分割予定ラインを切削すると、制御ユニット100が、移動ユニット50を制御して保持テーブル20を搬入出領域に移動させて、制御ユニット100保持テーブル20の吸引保持を停止して、加工動作を終了する。
【0038】
実施形態1において、半導体ウエーハの処理システム1は、処理装置10が一方向であるX軸方向に並んで複数台(実施形態1では、4台)設置されている。実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システム1は、複数の処理装置10を覆う一つのカバー2を更に備える。カバー2は、
図1に示すように、平板状に形成されかつ少なくとも二つ以上の処理装置10にわたってX軸方向に延在した2枚の第1カバー部材3と、2枚の第1カバー部材3のX軸方向の両縁を連結した2枚の第2カバー部材4とを備えて、複数の処理装置10の装置本体11の下方を覆っている。なお、カバー2は全ての処理装置10を一つのカバー2で覆う事が最もコストが削減できるが、少なくとも二つ以上の処理装置10を一つのカバー2で覆い、複数のカバー2同士を連結していても良い。この場合も従来の一つの処理装置10につき一枚のカバー2という設計よりもカバー2の数を減らしコストを削減する効果がある。
【0039】
また、実施形態1では、半導体ウエーハの処理システム1は、各処理装置10の装置本体11の上方即ち加工領域及び搬入出領域が加工室カバー5で覆われて、処理装置10の装置本体11の上方間が仕切板6により仕切られている。このため、実施形態1では、保持テーブル20が各処理装置10の装置本体11上でX軸方向に移動して、複数の処理装置10の装置本体11上を跨って移動することが規制されている。また、実施形態1では、半導体ウエーハの処理システム1は、各加工領域が図示しない排気用のダクトに連結している。
【0040】
制御ユニット100は、複数の処理装置10の各構成要素をそれぞれ制御して、半導体ウエーハ200に対する加工動作を処理装置10に実施させるものである。即ち、実施形態1において、複数の処理装置10は、共通の制御ユニット100によって制御される。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、各処理装置10を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して各処理装置10の各構成要素に出力する。
【0041】
モニタ110は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットである。モニタ110は、複数の処理装置10のうち任意の処理装置10を選択するための
図4に例示する選択画面111と、選択画面111で選択された処理装置10の各種の情報や加工条件を設定するための装置画面などを表示可能である。なお、
図4に示された選択画面111は、各処理装置10を符号10-1,10-2,10-3,10-4で示している。
【0042】
入力ユニット120は、オペレータが加工条件などを登録する際に用いるものであって、実施形態1では、モニタ110に設けられたタッチパネルにより構成される。入力ユニット120は、例えば、
図4に示された選択画面111に表示された処理装置10-1,10-2,10-3,10-4のうち任意のものを操作することで選択することができる。なお、
図4に示された選択画面111は、網掛けで示す処理装置10が選択された例を示している。このように、実施形態1では、複数の処理装置10は、一つのモニタ110に設けられた一つの入力ユニット120によって操作される。
【0043】
また、半導体ウエーハの処理システム1は、音と光の少なくとも一方を発して、オペレータに報知する報知ユニット130を備えている。
【0044】
以上のように説明した実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システム1は、複数の処理装置10が共通のモニタ110によって操作されかつ共通の制御ユニット100によって制御されるので、複数の処理装置10を設置する場合でもコストの高騰を抑制することができるという効果を奏する。
【0045】
また、実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システム1は、処理装置10がX軸方向に並んで複数台設置されて、複数の処理装置10がそれぞれカバーで覆われるのではなく、複数の処理装置10にわたって一つのカバー2で覆っているので、安価を図ることができる。
【0046】
また、独立した処理装置10を並べて複数設置する場合は、処理装置10の間に隙間が必要であるが、実施形態1に係る半導体ウエーハの処理システム1は、処理装置10の間に仕切板6を設けているのみであるため、独立した処理装置10を隣接して設置するよりも設置面積を小さくできる。
【0047】
〔実施形態2〕
実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システムを図面に基いて説明する。
図5は、実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システムの加工室カバー内を模式的に示す平面図である。
図6は、
図5に示す半導体ウエーハの処理システムの保持テーブルを移動した例を模式的に示す平面図である。
図7は、
図5に示す半導体ウエーハの処理システムのいずれかの処理装置の処理ユニットで切削加工する例を一部断面で模式的に示す正面図である。
図8は、
図5に示す半導体ウエーハの処理システムの他のいずれかの処理装置の処理ユニットで切削加工する例を一部断面で模式的に示す正面図である。
図5、
図6、
図7及び
図8は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システム1は、
図5及び
図6に示すように、仕切板6に保持テーブル20を通すことが可能な開口7が設けられ、全ての処理装置10の保持テーブル20が共通のシャフトモーター55でX軸移動ユニット51及び回転移動ユニット54毎、X軸方向に移動自在に設けられて、各保持テーブル20が複数の処理装置10の装置本体11上を跨って移動することが許容されている。即ち、実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システム1は、
図6に示すように、複数の処理装置10のうちいずれかの装置本体11上に複数の保持テーブル20を位置付けて、いずれかの処理ユニット30が複数の保持テーブル20に保持された半導体ウエーハ200を切削加工することができる。
【0049】
なお、シャフトモーター55は、複数の処理装置10の装置本体11上にX軸方向に沿って直線状に形成され、かつN極同士、S極同士を接合した複数の磁石からなるシャフト軸56と、シャフト軸56を内側に通し各保持テーブル20をX軸方向に移動自在に支持したX軸移動ユニット51に固定されているとともにコイルを内蔵したスライダ57とを備えている。シャフトモーター55は、スライダ57のコイルに電流が供給されることで、各保持テーブル20を互いに独立してシャフト軸56の長手方向に沿って移動させる。
【0050】
また、実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システム1は、複数の処理装置10のうちいずれかの処理ユニット30の切削ブレード31で
図7に示すように半導体ウエーハ200の基板の厚み方向の中央まで切削加工して切削溝207を形成した後、他のいずれかの処理ユニット30の切削ブレード31で
図8に示すように切削溝207の底を切削加工することができる。即ち、実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システムは、
図7及び
図8に示すように、所謂ステップ加工を実施して、半導体ウエーハ200を個々のデバイス203に分割することができる。
【0051】
実施形態2に係る半導体ウエーハの処理システム1は、複数の処理装置10が共通のモニタ110によって操作されかつ共通の制御ユニット100によって制御されるので、実施形態1と同様に、複数の処理装置10を設置する場合でもコストの高騰を抑制することができるという効果を奏する。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、処理ユニット30は、切削ユニットに限らず、半導体ウエーハ200に対して、バイト切削加工、研削加工、研磨加工、洗浄、膜形成、検査、撮像、テープなどの支持部材の貼り付け、テープななど支持部材の剥離を行う処理ユニットでも良い。このように、本発明では、処理ユニット30は、加工、洗浄、膜形成、検査、撮像、支持部材の貼り付け、支持部材の剥離の少なくともいずれかを行うものであれば良い。
【0053】
即ち、本発明では、処理ユニット30は、被加工物に任意の検査を施す検査ユニット、撮像ユニット、テープを被加工物に貼り付けるテープ貼り機、またテープ剥離機、被加工物に樹脂などの保護膜を形成する保護膜形成ユニットなどの種類の異なる任意のものでも良い。
【0054】
また、本発明では、処理ユニット30は、半導体ウエーハ200に透過性又は吸収性を有する波長のレーザ光線を照射するレーザ光線照射ユニットでも良く、半導体ウエーハ200に加圧された液体を噴射する高圧水洗浄ノズル、プラズマ発生源となど液体やガスなどの加工媒体を供給する処理ユニットでも良い。
【0055】
また、本発明では、処理ユニット30の加工工具は、切削ブレード31に限らず、バイト工具、研削ホイール、研磨パッドなどでも良い。このように、本発明では、加工工具は、切削ブレード31、バイト刃、研削ホイール、研磨パッドの少なくともいずれかでも良い。
【符号の説明】
【0056】
1 半導体ウエーハの処理システム
2 カバー
10 処理装置
20 保持テーブル
30 処理ユニット
31 切削ブレード(加工工具)
33 スピンドル
34 マウント
100 制御ユニット
110 モニタ
200 半導体ウエーハ
205 テープ(支持部材)
X 一方向