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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176517
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】イオンガイド及び質量分析計
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/06 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H01J49/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095087
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英樹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 益之
(57)【要約】
【課題】イオンガイドのロバスト性を向上させることを課題とする。
【解決手段】柱状を有する、複数のロッド電極20が円形に配置されることよって構成されるイオンガイドであって、それぞれのロッド電極20の側面に、凹形状を有する切欠部21及び凸部26が設けられており、あるロッド電極20の切欠部21と、他のロッド電極20の凸部26とが、非接触の状態で嵌合していることを特徴とする。また、入口側におけるロッド電極20の内接円が、出口側におけるロッド電極20の内接円より大きくなるよう、ロッド電極20が配置されることを特徴とする。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状を有する、複数のロッド電極が円形に配置されることよって構成されるイオンガイドであって、
それぞれの前記ロッド電極の側面に凹部及び凸部が設けられており、
ある前記ロッド電極の前記凹部と、他の前記ロッド電極の前記凸部とが、非接触の状態で嵌合している
ことを特徴とするイオンガイド。
【請求項2】
入口側における前記ロッド電極の内接円が、出口側における前記ロッド電極の内接円より大きくなるよう、前記ロッド電極が配置され、前記凹部は、前記ロッド電極の長手方向に対し、所定の角度を有して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項3】
前記凹部は、前記ロッド電極の長手方向に対し、前記ロッド電極の途中からイオンの出口側に向けて設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のイオンガイド。
【請求項4】
前記凹部及び凸部は、前記ロッド電極の両側側面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項5】
複数の前記ロッド電極は、
それぞれの前記ロッド電極に接する形状を有し、かつ、絶縁部材で構成されるホルダによって、保持される
ことを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項6】
12本の前記ロッド電極
を備えることを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項7】
8本の前記ロッド電極
を備えることを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項8】
6本の前記ロッド電極
を備えることを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項9】
前記ロッド電極は、円柱状の形状
を有することを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項10】
前記凹部は円弧状の形状
を有することを特徴とする請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項11】
柱状を有する、複数のロッド電極が円形に配置されることよって構成されるイオンガイドを備える質量分析計であって、
前記イオンガイドは、
それぞれの前記ロッド電極の側面に凹部及び凸部が設けられており、
ある前記ロッド電極の前記凹部と、他の前記ロッド電極の前記凸部とが、非接触の状態で嵌合している
ことを特徴とする質量分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンガイド及び質量分析計の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析計では、イオン源で生成したイオンがイオン輸送部を介して質量分析部まで輸送される。大気圧イオン化法を用いた質量分析計は、大気圧下で生成したイオンを真空中の質量分析部まで輸送するため、真空室を複数に区切った差動排気系の装置として構成されることが一般的である。この場合、イオン輸送部は質量分析部の前段側で真空度が低く圧力が高い差動排気室に配置されることが多い。質量分析装置の高感度化を実現するため、イオン輸送部には高いイオン取込効率と高いイオン収束効率が要求される。
【0003】
一般的なイオン輸送部には、高周波電圧を印加することで形成される高周波電場を利用してイオンを収束させるイオンガイド方式が用いられる。イオンガイドには、リング状の電極をイオン輸送方向に積層したイオンファネル方式や、複数のロッド電極で構成される多重極イオンガイド方式などが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10475633号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】”Conical octopole ion guide: Design, focusing,and its application to the deposition of low energetic clusters”, REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS, 77, 013302, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多重極イオンガイド(以下、イオンガイドと称する)は、絶縁物製のホルダによって真空室中に支持されている。そして、イオンガイドには、イオンの他、液滴が導入されるが、液滴はイオンガイドにおいて排出されることが望ましい。この際、イオンガイドを構成するロッド電極の隙間から液滴が外部に排出されるが、この際に、ホルダの内側に排出された液滴の一部が付着し、ホルダの内側が汚染される。すると、ロッド電極に印加可能な電圧が低下したり、汚染前と同じ電圧値がロッド電極に印加された場合でもホルダの内側で、付着した液滴による放電等が生じたりする可能性が高くなる。結果的に、質量分析計の分析性能や安定性が劣化してしまうおそれがある。
【0007】
特許文献1及び非特許文献1には、ロッド電極の本数(重極数)を増やすことで、イオン取り込み効率を向上することが記載されている。また、特許文献1及び非特許文献1では、ロッド電極の長手方向に沿って、ロッド電極を斜めに配置することで、イオンの出口側に向かってイオンガイドの内部空間を徐々に狭くすることが記載されている。このようにすることで、特許文献1及び非特許文献1に記載の技術では、イオンの収束効率の向上が図られている。
【0008】
しかし、これらの技術でも、ホルダの内側が液滴によって汚染されることを抑制する構成は記載されていない。
【0009】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、イオンガイドのロバスト性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、本発明は、柱状を有する、複数のロッド電極が円形に配置されることよって構成されるイオンガイドであって、それぞれの前記ロッド電極の側面に凹部及び凸部が設けられており、ある前記ロッド電極の前記凹部と、他の前記ロッド電極の前記凸部とが、非接触の状態で嵌合していることを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イオンガイドのロバスト性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態で用いられる質量分析計の構成を示す図である。
図2】12本の円柱状のロッド電極を備えるイオンガイドの構成を示す図である。
図3A】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その1)である。
図3B】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その2)である。
図4】本実施形態に係るロッド電極の1つについて、上面図、断面図及び矢視図を示す図である。
図5】イオンガイドを構成する12本のロッド電極の内の4本のロッド電極を示す斜視図である。
図6】隣り合うロッド電極の間隙に関する図である。
図7】ホルダが設けられたイオンガイドの例を示す図(その1)である。
図8】ホルダが設けられたイオンガイドの例を示す図(その2)である。
図9】第1実施形態に係るイオンガイドの特徴に関する別の説明を示す図である。
図10】第2実施形態に関するイオンガイドを示す図である。
図11】第3実施形態のイオンガイドを示す図である。
図12】第1変形例のイオンガイドを示す図である。
図13A】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その3)である。
図13B】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その4)である。
図14】第2変形例のイオンガイドを示す図である。
図15A】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その5)である。
図15B】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その6)である。
図16】第3変形例のイオンガイドを示す図である。
図17A】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その7)である。
図17B】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その8)である。
図18】第4実施形態のイオンガイドの構成を示す図である。
図19A】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その9)である。
図19B】イオンガイドを構成するロッド電極のうち、1本のロッド電極のみを示す図(その10)である。
図20】イオンガイドを構成する4本のロッド電極の内、2本のロッド電極を示す斜視図である。
図21】第5実施形態の12本の円柱状のロッド電極が平行に配置された12重極のイオンガイドの構成を示す図である。
図22】ホルダが設けられたイオンガイドの例を示す図(その3)である。
図23】第6実施形態のイオンガイドを示す断面図である。
図24】共通的な特徴を示す図である。
図25】イオンガイドを構成するロッド電極の部分拡大図である。
図26】比較例に係るイオンガイドの構成を示す図(その1)である。
図27】ホルダが設けられたイオンガイドの構成を示す図(その4)である。
図28】比較例に係るイオンガイドの構成を示す図(その2)である。
図29】ホルダが設けられたイオンガイドの構成を示す図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
第1実施形態では、凹形状かつ、円弧状の形状を有する凹部である切欠部21が設けられている、12本のロッド電極20(図2参照)で構成されている12重極のイオンガイド200が質量分析計1に用いられる。
【0015】
(質量分析装置1)
図1は、第1実施形態で用いられる質量分析計1の構成を示す図である。
質量分析計1は主に、イオン源100、イオンガイド200、イオン輸送装置300、質量分析部400で構成される。イオンガイド200、イオン輸送装置300、質量分析部400は、真空容器130の内部に設けられている。なお、図1において、破線は電圧の制御線を示し、一点鎖線は情報が伝わる制御線を示す。
【0016】
イオン源100は、主に、イオン生成装置110、イオン源チャンバ120等から構成される。イオン源100には、エレクトロスプレー方式(ESI)、大気圧化学イオン化方式(APCI)、大気圧光イオン化方式(APPI)等、様々なイオン化方式を用いる事ができる。イオン生成装置110は、導入された試料溶液Qからイオンを生成すると、生成したイオンをイオン源チャンバ120へ噴霧する。
【0017】
試料溶液Qがイオン化され、噴霧される際、イオンの他に多くの液滴等も噴霧される。従って、イオン源チャンバ120の内部が排気されることで(符号E)、不要な液滴の除去が行われる。例えば、ESI方式の場合、不要な液滴を低減するため、静電噴霧と、イオン生成装置110におけるガスの噴霧が併用される。これにより、試料溶液Qの気化が促進され、イオン化効率が向上する。なお、静電噴霧は、電源500によりイオン生成装置110に対して高電圧が印加されることで行われる。試料溶液Qの流量にもよるが、噴霧されるガスの流量は0.5~10L/min程度である。そして、一般的に、イオン生成装置110で用いられるガスとして窒素やアルゴン等の不活性ガスが使用される。ちなみに、試料溶液Qの流量は、一般的に一般的にnL(ナノリットル)/分オーダからmL(ミリリットル)/分オーダ程度の範囲の範囲である。また、さらなるイオン化効率向上のために、イオンや液滴が噴霧されるイオン生成装置110の内部空間が加熱ガス(最大800℃程度)等で加熱される方式も一般的である。加熱ガスの流量は0.5~50L/min程度で、窒素やアルゴン等の不活性ガスを使用するのが一般的である。
【0018】
また、図1の構成では、導入電極122の前段に、孔H1を有する対向電極121が配置されている。導入電極122と対向電極121の間に設けられている空間に、孔H11からガスGが導入される。これにより、導入電極122と対向電極121の間にガスGが導入される。この結果、イオン源100で噴霧された過剰な液滴等のノイズ成分が導入電極122の孔H2に導入されることを抑制できる。ガスGの流量は0.5~50L/min程度で、一般的に窒素やアルゴン等の不活性ガスが使用される。なお、対向電極121及び導入電極122にも、電源500による電圧印加が行われているが、図1では対向電極121及び導入電極122に印加される電圧の制御線を省略している。
【0019】
イオン源チャンバ120に導入されたイオンは、対向電極121に設けられている孔H1を介して、導入電極122に設けられている孔H2に導入される。この際、イオンは、イオン生成装置110と導入電極122の間に生じている電界により、イオン生成装置110→イオン源チャンバ120→孔H1→孔H2の方向へ移動する。なお、対向電極121に設けられている孔H1、導入電極122に設けられている孔H2の直径は数mm以下程度、対向電極121に印加される印加電圧は最大±数kV程度が一般的である。また、対向電極121及び導入電極122に印加される電圧の極性は同じである。
【0020】
そして、イオンは、導入電極122に設けられている孔H2からイオンガイド200、イオン輸送装置300を介して、質量分析部400に導入され、質量分析部400で分析される。イオン源100(イオン生成装置110)、イオンガイド200、イオン輸送装置300、質量分析部400には電源500により様々な電圧が印加される。電源500による電圧印加のタイミングや電圧値は制御装置600で制御される。
【0021】
(イオンガイド200、イオン輸送装置300)
真空容器130の内部は図1に示すように、複数の真空室V1~V3で区切られている場合がある。真空室V1と真空室V2は、小径の孔H3によって導通している。また、真空室V2と、真空室V3は、小径の孔H4によって導通している。導入電極122に設けられている孔H2や、孔H3,H4は、イオンの通り道である。また、孔H3,H4を有する部材に電圧が印加されてもよい。孔H3,H4(及び、孔H2)を有する部材に電圧が印加される場合、真空容器130等の筐体部と、孔H3,H4(及び、孔H2)を有する部材とは絶縁物(図示せず)等を介して絶縁される。また、孔H3,H4は、数mm以下程度とするのが一般的である。
【0022】
また、真空室V1~V3は、各々、真空ポンプP1~P3によって排気されている。この結果、真空室V1は、数百~数千Pa程度、真空室V2は数Pa程度、真空室V3は0.1Pa以下程度に保持されるのが一般的である。真空室V1には、イオンを収束させながら透過させるイオンガイド200が設けられている。真空室V2には、イオンガイド200と同様にイオンを収束させながら透過させるイオン輸送装置300が設けられている。イオン輸送装置300には、多重極のイオンガイド200や、静電レンズやイオンファネル等が設けられることも可能である。イオンガイド200及びイオン輸送装置300には電源500から、高周波電圧、直流電圧、交流電圧等の他、これらを組み合わせた電圧等が印加される。なお、真空室V1~V3の数は図1に示す数よりも多い場合もあるし、少ない場合もある。例えば、真空室V1と真空室V2の間に、数百Pa程度に保持されている別の真空室が設けられ、この真空室に、図1に示されるイオン輸送装置300とは別のイオン輸送装置300等が配置されてもよい。
【0023】
(質量分析部400)
質量分析部400はイオン分離装置401や検出装置402等で構成される。イオンの分離や解離を行うイオン分離装置401には、イオントラップ、四重極フィルタ電極、コリジョンセル、飛行時間型質量分析計(TOF)等の他、これらを組み合わせた構成等を用いることができる。イオン分離装置401を通過したイオンは検出装置402で検出される。検出装置402には、電子増倍管やマルチチャンネルプレート(MCP)等を用いることができる。検出装置402で検出されたイオンは電気信号等に変換され、制御装置600によりイオンの質量や強度等の情報を詳細に分析する事ができる。また制御装置600では、ユーザからの指示入力の受け付けや電圧等の制御を行うための図示しない入出力部やメモリ等を備え、電源500の操作に必要なソフトウェア等等も有している。電源500から質量分析部400に供給する電圧には、高周波電圧、直流電圧、交流電圧等の他、これらを組み合わせた電圧等を用いることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、イオンガイド200の長手方向をX軸と定義し、X軸と直交しイオンガイド200の中心Cを通りお互いに直交する軸をY軸、Z軸と定義する。特に、イオン源100→質量分析部400の方向をX軸とし、X軸に直行し、かつ、質量分析計1の上方向をZ軸とし、X軸及びZ軸に直交する方向をY軸とする。
【0025】
(イオンガイド200)(12重極・円柱状のロッド電極20)
続いて、本実施形態に係るイオンガイド200について、図2図9を用いて詳細に説明する。
図2は、12本(12重極)の円柱状のロッド電極20(20-1~20-12)を備えるイオンガイド200の構成を示す図である。なお、以下の説明では、n本のロッド電極20を有するイオンガイド200をn重極のイオンガイド200と称する。
なお、図2では、簡便のためロッド電極20のみが図示されている。
図2において、左図Z1はイオンの入口側から見た図である。なお、本実施形態において、イオンの入口側(あるいは、単に入口側)とは、図1に示すイオン源100の側である。また、図2の中央図Z2は、イオンガイド200を側面から見た図である。なお、図2の中央図Z2では、簡便のためロッド電極20-1、20-7のみが図示されている。また、図2の右図Z3はイオンの出口側(図1の右側)から見た図である。本実施形態において、イオンの出口側(あるいは、単に出口側)とは、図1に示す質量分析部400の側である。
図2に示すように、柱状を有する、複数のロッド電極20(20-1~20-12)は、イオンガイド200の中心Cに対して円形に配置(環状に配置)されている。また、それぞれのロッド電極20は、長手方向に角度「θ」を有するように配置される。角度「θ」については後記する。
【0026】
また、図3A及び図3Bは、図2に示すイオンガイド200を構成するロッド電極20のうち、1本のロッド電極20(20-1)のみを示す図である。図3Aは、イオンの入口側からロッド電極20を見た図であり、図3Bは、イオンの出口側からロッド電極20を見た図である。
【0027】
図3A及び図3Bに示すように、本実施形態に係るロッド電極20の特徴は、円柱状のロッド電極20に凹形状かつ円弧状の凹部である切欠部21を側面に有することである。また、切欠部21が設けられているロッド電極20の側面とは逆側の側面には、凸部26が設けられている。このように、ロッド電極20の側面に切欠部21(凹部)及び凸部26が設けられている。なお、図3Aにおいて、切欠部21がない状態の形状が一点鎖線で図示されている。このように切欠部21を有するロッド電極20-1~20-12が、図2に示すようにX軸に対して角度「θ」だけ傾斜して配置されることが本実施形態の特徴である。即ち、本実施形態のイオンガイド200は、質量分析計1の側(出口側)が縮径するように構成されている。ちなみに、「θ」は10°以下程度が望ましい。
【0028】
なお、図2では、煩雑になることを避けるため、切欠部21及び凸部26の符号を省略している。図2図3Bで示すように、あるロッド電極20の切欠部21と、他のロッド電極20の凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。
【0029】
図4は、本実施形態に係るロッド電極20の1つについて、上面図、断面図及び矢視図を示す図である。切欠部21が設けられている方向をロッド電極20の紙面上側とした場合、図4の上段図Z4は、ロッド電極20を上側から見た図(上面図)である。また、図4の下段右図Z5はロッド電極20のA-A断面図である。そして、図4の下段左図Z6はイオンガイド200の矢印B(α°傾斜した方向)からロッド電極20を見た図(B矢視図)である。
図4に示すように、ロッド電極20は、直径(φ)「D」、長さ「L」の円柱の全長に渡り、半径「RC」の円弧で凹形状の切欠部21が形成されていることが特徴である。切欠部21は、ロッド電極20の長手方向に対し、所定の角度である「α°」傾斜した状態で形成される(所定の角度を有して設けられている)。これにより、入口側で切欠部21が浅く設けられ、出口側で切欠部21が深く設けられる。このようにすることで、入口側と出口側におけるロッド電極20の肉厚を変化させることができる。12本のロッド電極20を、図2に示すように、X軸に対して角度「θ」傾斜させて配置させても、それぞれのロッド電極20が接触することなくイオンガイド200を組み立てることが可能となる。つまり、ロッド電極20が傾斜して配置されても、あるロッド電極20の切欠部21と、他のロッド電極の凸部26とが、非接触の状態で嵌合している状態を維持することができる。「D」は10mm以下程度、「L」は100~300mm程度、「α°」は5°以下程度が望ましい。
【0030】
また、図4に示すように本実施形態では、ロッド電極20の全長に渡り一定半径「RC」の円弧で切欠部21が形成されている。しかし、隣り合うロッド電極20が接触することなく、ある程度の隙間を確保できれば、切欠部21の形状は不問であり、後記するように切欠部21の形状が、全長に渡って同一形状である必要もない。切欠部21の形成により生じる稜線部22については、放電防止等の目的で、面取りや円弧面取りが施されてもよい。
【0031】
ちなみに、図2において、隣り合うロッド電極20の隙間の大きさは、印加する電圧値にもよるが、0.1mm~5mm程度が望ましい。なお、隙間の幅は、入り口側から出口側にかけて、略同じ同じになるように構成されていてもよい。もしくは、隙間の寸法が入口側から出口側にかけて、変化してもよい。以降に示す実施形態及び変形例でも同様である。
【0032】
図5は、イオンガイド200を構成する12本のロッド電極20の内の4本のロッド電極20-6~20-9を示す斜視図である。図2図4で示したロッド電極20の特徴により、入口側のロッド電極20の内接円23から、出口側のロッド電極20の内接円24にかけて、徐々に内接円半径が小さくなるイオンガイド200が実現される。つまり、入口側におけるロッド電極20の内接円23が、出口側におけるロッド電極20の内接円24より大きくなるよう、ロッド電極20は角度「θ」(図2参照)だけ傾斜して配置される。これにより、出口側に向かってイオンガイド200の内部の空間を徐々に狭くすることが可能になる。このように、イオンガイド200の内部の空間を徐々に狭くすることで、出口側に向けて多重極電界の収束力を徐々に強めることができ、イオンを徐々に中心C付近に収束することが可能になる。また、分析の際、ノイズ要因となる液滴を含む気流をロッド電極20の間隙から排気する(つまり、液滴をロッド電極20の間隙から排出する)ことが可能となる。つまり、液滴を含む気流とイオンの分離効率を向上させることができる。
【0033】
次に、図6を参照して、隣り合うロッド電極20の間隙について説明する。
図6は、隣り合うロッド電極20の間隙に関する図である。
簡便のため、図6ではロッド電極20-1,20-2のみが示されている。一点鎖線Sは、イオンガイド200の中心Cからの同一距離「R1」~「Rn」(図6の破線で示した各円弧)における、ロッド間隙GA1~GAnの中心GC1~GCnを結んだものである。そして、本実施形態に係るイオンガイド200は、一点鎖線Sが一直線上にならないことが特徴である。この関係性は、それぞれのロッド電極20の全長に渡って有していてもよいし、ロッド電極20の長手方向の一部に有していてもよい。
【0034】
図7及び図8は、ホルダ210が設けられたイオンガイド200の例を示す図である。
図7の左図Z11は、ホルダ210が設けられたイオンガイド200を入口側から見た図である。また、図7の右図Z12は、ホルダ210が設けられたイオンガイド200の側面図である。また、図8は、ロッド電極20-1~20-2の部分の拡大図である。図7及び図8において、図2図6と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実際のイオンガイド200では、図7に示すように、12本のロッド電極20(20-1~20-12)が、絶縁物製、つまり、絶縁部材で構成されるホルダ210(210a,210b)によって保持される。図7に示すように、ホルダ210(210a,210b)は、それぞれのロッド電極20に接する形状を有し、かつ、絶縁部材で構成される。なお、ホルダ210は、ロッド電極20を支持可能であれば、どのような形状であってもよい。前記したように、本実施形態に係るイオンガイド200では、ロッド電極20-1~20-12のそれぞれが、X軸に対して傾斜されて配置されている。そのため、絶縁物製のホルダ210a及びホルダ210bでは内径が異なっている。つまり、入口側に配置されるホルダ210aの内径の方が、出口側に配置されるホルダ210bの内径より大きい。また、前記したように、凹形状の切欠部21(図3A図3B等参照)を有するロッド電極20-1~20-12がX軸に対して傾斜した状態で配置されている。このようにすることで、図8に示すように、イオンガイド200を入口側から見た際、接触部分211a,211b(図7の左図Z11の破線部分)が見えない構成を実現することができる。接触部分211a,211bとは、ホルダ210(210a,210)とロッド電極20とが接触している部分である。接触部分211aは、ホルダ210aがロッド電極20に接している部分である。同様に、接触部分211bは、ホルダ210bがロッド電極20に接している部分である。
【0035】
ホルダ210によって、それぞれのロッド電極20が保持されることにより、それぞれのロッド電極20が分散することなく、イオンガイド200を真空室V1(図1参照)に設置することができる。
【0036】
特に、図8に示すように、イオンガイド200を入口側から見た際、絶縁沿面部212a,212bが見えない構成となる。なお、絶縁沿面部212aとは、接触部分211aのうち、ロッド電極20の間隙に相当する部分である。同様に、絶縁沿面部212bとは、接触部分211bのうち、ロッド電極20の間隙に相当する部分である。イオンガイド200を入口側から見た際、絶縁沿面部212a,212bが見えない構成とすることで、汚染防止によりロバスト性を向上させることができる。なお、実際には、接触部分211a,211b(及び、絶縁沿面部212a,212b)は、幅を有するものであるが、図8では、線状で示している。
【0037】
図9は、第1実施形態に係るイオンガイド200の特徴に関する別の説明を示す図である。
簡便のため、図9ではロッド電極20-1~20-2のみが示されている。イオンガイド200(図2参照)の中心Cから、ある距離「R」(図9の破線で示した円弧)におけるロッド間隙GAの中心GCと、中心Cを結んだ線GLが定義される。本実施形態は、隣り合うロッド電極20(図9に示す例では、ロッド電極20-1,20-2)の形状が線GLの近傍において、線GLに対して非線対称であることが特徴である。この関係性は、ロッド電極20の全長に渡って有していてもよいし、長手方向の一部に有していてもよい。
【0038】
第1実施形態に示すように、あるロッド電極20の切欠部21と、他のロッド電極20の凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。このような構成を有するイオンガイド200では、イオンガイド200の内部から外部に向かって排出される液滴はロッド電極20の凸部26によって妨げられることになる。これによって、液滴は絶縁沿面部212aに届きにくくなる。
【0039】
以上で述べた本実施形態に係るイオンガイド200の構成により、ホルダ210の絶縁沿面部212a,212bが液滴によって汚染されることを抑制することができる。これにより、イオンガイド200のロバスト性を向上させることができる。さらに、イオンガイド200のロバスト性が向上することで、孔H1,H2(図1参照)の径を大きくして、イオンの導入量を増加させることができる。これにより、質量分析計1(図1参照)の分析感度を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態に係るイオンガイド200は、図1に示す真空室V1以外にも真空室V2等といった、他の真空室に配置する事も可能である。
【0041】
次に、図10図23を参照して、本実施形態のイオンガイド200の変形例について説明する。
【0042】
[第2実施形態](円柱状のロッド電極20aかつ8重極のイオンガイド200a)
次に、図10を参照して、第2実施形態について説明する。
図10は、第2実施形態に関するイオンガイド200aを示す図である。
図10では、簡便のため、図2図9に示すイオンガイド200との相違点のみが説明される。なお、図10では、簡便のためロッド電極20aのみが示されている。図10の左図Z21はイオンの入口方向から見た図である。また、図10の中央図Z22は側面から見た図である。なお、図10の中央図Z22では、簡便のためロッド電極20a-1、20a-5のみが示されている。そして、図10の右図Z23はイオンの出口側ら見た図である。
図10では、凹形状及び円弧状の切欠部21を有する、8本(8重極)・円柱状のロッド電極20aが中心Cに対して円形に配置されているイオンガイド200aが示されている。個々のロッド電極20aの構造は、第1実施形態で示すロッド電極20と同様である。図10に示すイオンガイド200aでも、あるロッド電極20aの切欠部21と、他のロッド電極20aの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。つまり、図10に示すイオンガイド200aは、8本の円柱状のロッド電極20a-1~20a-8を備えている(8重極)点が、図2図9に示すイオンガイド200の構成と異なっている。図10に示すイオンガイド200aの基本的な効果は図2図9に示す例と同様であるが、12重極に対して8重極の方が、イオン収束効率が高くなる傾向がある。
【0043】
[第3実施形態](円柱状のロッド電極20bかつ6重極のイオンガイド200b)
次に、図11を参照して、第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態のイオンガイド200bを示す図である。
図11では、簡便のため、図2図9に示すイオンガイド200との相違点のみが説明される。また、簡便のため、図11では、ロッド電極20bのみが図示されている。図11の左図Z31はイオンの入口側から見た図である。図11の中央図Z32は側面から見た図である。なお、図11の中央図Z32では、簡便のためロッド電極20b-1、20b-4のみが示されている。また、図11の右図Z33はイオンの出口側から見た図である。
図11では、凹形状及び円弧状の切欠部21を有する、6本(6重極)・円柱状のロッド電極20bが中心Cに対して円形に配置されているイオンガイド200bが示されている。個々のロッド電極20bの構造は、第1実施形態で示すロッド電極20と同様である。図11に示すイオンガイド200bでも、あるロッド電極20bの切欠部21と、他のロッド電極20bの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。つまり、図11に示すイオンガイド200bは、6本の円柱状のロッド電極20b-1~20b-6を備える(6重極)点が図2図9に示すイオンガイド200と異なっている。イオンガイド200bの基本的な効果は、図2図9に示すイオンガイド200や、図10に示すイオンガイド200aと同様であるが、8重極に対して6重極の方が、イオン収束効率が高くなる傾向にある。
【0044】
次に、図12図17Bを参照して、第1実施形態(及び第2、第3実施形態)の変形例について説明する。
【0045】
[第1変形例](略長円柱状・12重極のイオンガイド200c)
次に、図12図13A及び図13Bを参照して、第1変形例について説明する。
図12は、第1変形例のイオンガイド200cを示す図である。
図12では、簡便のため、図2図9に示す前記したイオンガイド200との相違点のみが説明される。また、簡便のため、図12では、ロッド電極20cのみが図示されている。図12の左図Z41は、イオンの入口側方向(図1の左側)から見た図である。、また、図12の中央図Z42は側面から見た図である。なお、図12の中央図Z42では、簡便のためロッド電極20c-1、20c-7のみが図示されている。そして、図12の右図Z43はイオンの出口側から見た図である。
図12に示すイオンガイド200cは、12本の略長円柱状(断面形状が略長円)のロッド電極20c(20c-1~20c-12)が中心Cに対して円形に配置されている。
【0046】
また、図13A及び図13Bは、イオンガイド200cを構成するロッド電極20cのうち、1本のロッド電極20c-1のみを示す図である。図13Aは、入口側からロッド電極20c-1を見た図であり、図13Bは出口側から見たロッド電極20c-1を図である。第1変形例のロッド電極20cの特徴は、略長円柱状のロッド電極20c(図13A及び図13Bではロッド電極20c-1)に凹形状かつ円弧状の切欠部21が設けられていることである。また、切欠部21が設けられているロッド電極20cの側面とは逆側の側面には、凸部26が設けられている。なお、図13Aにおいて、切欠部21が設けられていない状態の形状が一点鎖線で示されている。第1変形例に係るイオンガイド200cの基本的な効果は図2図9に示すイオンガイド200と同様である。
【0047】
なお、図12では、煩雑になることを避けるため、切欠部21及び凸部26の符号を省略している。図12図13Bで示すように、あるロッド電極20cの切欠部21と、他のロッド電極20cの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。
【0048】
[第2変形例](V字状の切欠部21を有する12重極のイオンガイド200d)
次に、図14図15A及び図15Bを参照して、第2変形例について説明する。
図14は、第2変形例のイオンガイド200dを示す図である。
図14では、簡便のため、図2図9に示すイオンガイド200との相違点のみが説明される。また、簡便のため、図14では、ロッド電極20dのみが図示されている。
図14の左図Z51はイオンの入口側から見た図である。また、図14の中央図Z52は側面から見た図である。なお、図14の中央図Z52では、簡便のためロッド電極20d-1,20d-7のみが示されている。そして、図14の右図Z53はイオンの出口側から見た図である。
図14では、円柱状のロッド電極20d(20d-1~20d-12)によって構成される12重極のイオンガイド200dの構成が示されている。なお、図14では、簡便のためロッド電極20dのみが示されている。
【0049】
図15A及び図15Bは、イオンガイド200dを構成するロッド電極20dのうち、1本のロッド電極20d-1のみを示す図である。図15Aは、入口側からロッド電極20d-1を見た図である。また、図15Bは、出口側からロッド電極20d-1を見た図である。
図14に示すように、それぞれのロッド電極20dは、中心Cに対して円形に配置されている。図14図15Bに示す第2変形例のロッド電極20d(図15A及び図15Bではロッド電極20d-1)の特徴は、円柱状のロッド電極20dに凹形状かつV字状の切欠部21が設けられていることである。また、切欠部21が設けられているロッド電極20dの側面とは逆側の側面には、凸部26が設けられている。なお、図14Aにおいて切欠部21が設けられていない状態の形状が一点鎖線で示されている。イオンガイド200dの基本的な効果は、図2図9に示すイオンガイド200と同様である。
【0050】
なお、図14では、煩雑になることを避けるため、切欠部21及び凸部26の符号を省略している。図14図15Bで示すように、あるロッド電極20dの切欠部21と、他のロッド電極20dの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。
【0051】
[第3変形例](V字状の切欠部21、かつ、角柱状のロッド電極20eを有する12重極のイオンガイド200e)
次に、図16図17A及び図17Bを参照して、第3変形例について説明する。
図16は、第3変形例のイオンガイド200eを示す図である。
図16では、簡便のため、図2図9に示すイオンガイド200との相違点のみが説明される。また、図16では、簡便のためロッド電極20eのみが示されている。
図16の左図Z61はイオンの入口側から見た図である。また、図16の中央図Z62はイオンガイド200eを側面から見た図である。なお、図16の中央図Z62では、簡便のためロッド電極20e-1,20e-7のみが示されている。そして、図16の右図Z63はイオンの出口側から見たイオンガイド200eを見た図である。
図16では、12本の角柱状のロッド電極20e(20e-1~20e-12)によって構成される12重極のイオンガイド200eが示されている。
【0052】
また、図17A及び図17Bは、イオンガイド200eを構成するロッド電極20eのうち、1本のロッド電極20e-1のみを示す図である。図17Aは、入口側からロッド電極20e―1を見た図であり、図17Bは、出口側からロッド電極20e―1を見た図である。
図16に示すように、それぞれのロッド電極20eは、中心Cに対して円形に配置されている。図16図17Bに示す第3変形例のロッド電極20e(図17A及び図17Bでは、ロッド電極20e―1)の特徴は、角柱状を有するロッド電極20eに凹形状かつV字状の切欠部21が設けられていることである。また、切欠部21が設けられているロッド電極20eの側面とは逆側の側面には、凸部26が設けられている。なお、図17Aにおいて、切欠部21が設けられていない状態の形状が一点鎖線で示されている。イオンガイド200eの基本的な効果は、図2図9に示すイオンガイド200と同様である。
【0053】
なお、図16では、煩雑になることを避けるため、切欠部21及び凸部26の符号を省略している。図16図17Bで示すように、あるロッド電極20eの切欠部21と、他のロッド電極20eの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。
【0054】
[第4実施形態](途中から切欠部21が設けられる)
次に、図18図20を参照して、第4実施形態について説明する。
第4実施形態では、長手方向の途中から凹形状かつ円弧状の切欠部21が設けられている、円柱状のロッド電極20fで構成された4重極のイオンガイド200fの構成について説明する。
図18は、第4実施形態のイオンガイド200fの構成を示す図である。
図18では、簡便のため、図2図9に示すイオンガイド200との相違点のみが説明される。また、簡便のため、図18では、ロッド電極20fのみが図示されている。図18の左図Z71はイオンの入口側からイオンガイド200fを見た図である。また、図18の中央図Z72は側面からイオンガイド200fを見た図である。なお、図18の中央図Z72では、簡便のためロッド電極20f-1、20f-3のみが示されている。そして、右図Z73は、イオンの出口側からイオンガイド200fを見た図である。
図18では、4本の円柱状のロッド電極20f(20f-1~20f-4)が中心Cに対して円形に配置されている4重極のイオンガイド200fの構成が示されている。図18に示すように、イオンガイド200fでは長手方向の途中から凹形状及び円弧状の切欠部21がロッド電極20fに設けられている。
【0055】
図19A及び図19Bは、イオンガイド200fを構成するロッド電極20fのうち、1本のロッド電極20f-1のみを示す図である。図19Aは、入口側からロッド電極20f-1をみた図である。また、図19Bは出口側からロッド電極20f-1を見た図である。このように、第4実施形態のロッド電極20f(図19A及び図19Bに示す例ではロッド電極20f-1)の特徴は、長手方向の途中から凹形状及び円弧状の切欠部21がロッド電極20fに設けられていることである。また、切欠部21が設けられているロッド電極20fの側面とは逆側の側面には、凸部26が設けられている。
【0056】
図20は、イオンガイド200fを構成する4本のロッド電極20fの内、2本のロッド電極20f-3~20f-4を示す斜視図である。
図20に示す例では、図2図9に示すイオンガイド200と同様に、入口側のロッド電極20fの内接円23fから、出口側のロッド電極20fの内接円24fにかけて、徐々に内接円半径が小さくなる。第4実施形態では、ロッド電極20fの長手方向途中に設けられている開始点25から出口側に向けて切欠部21が設けられている。つまり、ロッド電極20fにおいて、切欠部21は、ロッド電極20fの長手方向に対し、ロッド電極20fの途中からイオンの出口側(内接円24fの方向)に向けて設けられている。
【0057】
なお、図18では、煩雑になることを避けるため、切欠部21及び凸部26の符号を省略している。図18図20で示すように、あるロッド電極20fの切欠部21と、他のロッド電極20fの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。
【0058】
ロッド電極20fにおいて、切欠部21が設けられていない部分には、ホルダ210(図7参照)が設置されない。従って、切欠部21が設けられていない部分について、絶縁沿面部212a,212bの汚染は生じない。
【0059】
イオンガイド200fの基本的な効果はイオンガイド200と同様であるが、第3実施形態の6重極に対して4重極の方が、イオン収束効率が高くなる傾向にある。特にロッド電極20fの本数(重極数)が少なくなる構成では、入口側では切欠部21を有していなくても隣り合うロッド電極20fの間に十分な隙間を有することが可能である。従って、第4実施形態のようにロッド電極20fの長手方向の途中から切欠部21が構成されていても差し支えない。
【0060】
また、第4実施形態によれば、イオンガイド200,200a~200eと比較して、切欠部21のために切削する部分を減らすことができる。このため、コストを向上させることができる。
【0061】
(第5実施形態)(ロッド電極20gが平行に設置されている例)
図21を参照して、第5実施形態のイオンガイド200gを詳細に説明する。
図21は、12本の円柱状のロッド電極20g(20g-1~20g-12)が長手方向に対して平行に配置された12重極のイオンガイド200gの構成を示す図である。図21では、簡便のため、イオンガイド200との相違点のみ説明する。図21において、左図Z81はイオンの入口側からイオンガイド200gを見た図である。また、図21の中央図Z82では、簡便のためロッド電極20g-1、20g-7のみが示されている。また、図21の中央図Z82は側面からイオンガイド200gを見た図である。そして、図21の右図Z83はイオンの出口側からイオンガイド200gを見た図である。
図21に示すイオンガイド200gでは、凹形状かつ円弧状の切欠部21が設けられている円柱状のロッド電極20g-1~20g-12が平行に配置されている。そのため、図21の左図Z81と右図Z83ではZ軸に対して、単に反転した状態が示されている。そして、それぞれのロッド電極20gは、中心Cに対して円形に配置されている。
【0062】
図21に示すように、切欠部21が設けられているロッド電極20gの側面とは逆側の側面には、凸部26が設けられている。そして、あるロッド電極20gの切欠部21と、他のロッド電極20gの凸部26が、非接触の状態で嵌合している。
【0063】
第5実施形態に示すイオンガイド200gの特徴は、図6で示す特徴や、図9で示す特徴は、イオンガイド200と同様である。なお、図6で示す特徴とは、中心Cからの同一距離R1~Rnにおけるロッド間隙GA1~GAnの中心GC1~GCnを結んだ一点鎖線Sが一直線上にならないことである。また、イオンガイド200gの中心Cからの所定の距離「R」におけるロッド間隙GAの中心GCと中心Cを結んだ線GLが定義される。図9に示す特徴とは、線GLの近傍において、線GLに対して、ロッド電極20gの形状が非線対称であることである。
【0064】
図22は、ホルダ210cが設けられたイオンガイド200gの例を示す図である。
図22の左図Z91は、ホルダ210cが設けられたイオンガイド200gを入口側から見た図である。また、図22の右図Z92は、ホルダ210cが設けられたイオンガイド200gの側面図である。
また、図22に示すように、実際のイオンガイド200gでは、12本のロッド電極20g(20g-1~20g-12)を保持するため、絶縁物製のホルダ210cを有する場合がある。第5実施形態では、それぞれのロッド電極20g(20g-1~20g-12)がX軸に対して平行に配置されるため、入口側と出口側のホルダ210cは図22に示すように同じ形状を有していてもよい。
【0065】
イオンガイド200gは、図2図9に示すイオンガイド200と同様の効果を有する。また、ロッド電極20gを傾斜させて設置しない分、イオンガイド200gは、イオンガイド200,200a~200fより簡易に設置することが可能となる。
【0066】
(第6実施形態)(ロッド電極20hの両側の側面に切欠部21が設けられているイオンガイド200h)
図23は、第6実施形態のイオンガイド200hを示す断面図である。
図23では、簡便のため、イオンガイド200との相違点のみが説明される。
これまでの例では、隣り合うロッド電極20,20a~20gの間において、形成される隙間の近接部分において、どちらか一方のロッド電極20,20a~20gの側に切欠部21を有する構成が示されている。つまり、これまでの例では、ロッド電極20,20a~20gの片側側面にのみ切欠部21が設けられている。これらに対し、第6実施形態に示すイオンガイド200hは、ロッド電極20h(20h-1~20h-12)で構成されている。そして、ロッド電極20hは、隣り合うロッド電極20hの間に形成される隙間の近接部分において、両方のロッド電極20hの側面に凹形状かつ円弧状の切欠部21が設けられている。なお、イオンガイド200hは、12本(12重極)、かつ、円柱状のロッド電極20hで構成されている。つまり、第6実施形態では、イオンガイド200hを構成するロッド電極20hのそれぞれの両側側面に切欠部21が設けられている。なお、切欠部21が両面側に設けられているとは、ロッド電極20hの、一方の面に切欠部21及び凸部26が設けられているし、他方の面にも切欠部21及び凸部26が設けられていることである。
【0067】
図23に示す例では、12本(12重極)の円柱状のロッド電極20h(20h-1~20h-12)が中心Cに対して円形に配置されているイオンガイド200hが示されている。なお、図23はYZ平面(図1図5参照)におけるイオンガイド200hの断面図である。前記したようにロッド電極20hの隙間に対して隣り合う近接部分において、ロッド電極20hの隙間に対し、両側に位置するロッド電極20hに円弧状の切欠部21が設けられている。つまり、図23に示すイオンガイド200hでは、切欠部21及び凸部26は、ロッド電極20hの両側側面に設けられている。そして、あるロッド電極20hの切欠部21と、他のロッド電極20hの凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。
【0068】
以上、説明してきた各例のイオンガイド200,200a~200hについては、各々のイオンガイド200,200a~200hの特徴要素を組み合わせた構成でも、前記した効果を得ることができる。
【0069】
以下では、イオンガイド200でイオンガイド200,200~200hを代表し、ロッド電極20で、ロッド電極20,20a~20hが代表されるものとする。
ロッド電極20の本数(重極数)により、イオン取り込み効率(重極数が多い方が高い)や、イオン収束効率(重極数が少ない方が高い)といった異なる性能が示される傾向がある。ただし、対象となる試料によりイオンガイド200の最適構成が異なることがあるので、いずれの重極数の構成も重要度が高い。なお、イオンガイド200の構成は、前記した例で示す4重極、6重極、8重極、12重極以外のロッド本数からなる構成でも構わない。ただし、ロッド電極20の数は偶数に限られる。なぜならば、隣り合うロッド電極20には逆位相の電圧が印加されるためである。
【0070】
また、複数のロッド電極20から構成されるイオンガイド200の実装については、例えば、絶縁物製のホルダ210とロッド電極20とがネジ止めされる形式がある。その他、ホルダ210とロッド電極20とが接着される等の固定手段が用いられてもよい。また、ホルダ210とロッド電極20の間に位置関係を決めるピン等の部品が用いられてもよい。
【0071】
ロッド電極20は、前記した例で示す円柱、角柱、略長円柱以外の形状(例えば六角柱等)でも構わない。また、切欠部21の加工は、様々な手法を用いることができる。例えば、切削加工(多軸加工機等による加工を含む)、放電加工(ワイヤカット放電加工等を含む)、鋳造、3次元プリンタ、プラスティック成形加工(表面に金属層を追加)等がある。
【0072】
[共通の特徴]
図24は、これまで説明した例(特に円柱状のロッド電極20)に共通的な特徴を示す図である。
図24において、ロッド電極20の直径(切欠部21(図3A及び図3B等参照)が設けられていない方向の最大径部)が「D」と定義され、隣り合うロッド電極20の中心間距離が「P」と定義されるものとする。図24に示すように、イオンガイド200の特徴は、D>Pの関係にあるといえる。つまり、「P」よりも「D」が大きいため、図24に示すように、それぞれのロッド電極20が重なりあう部分(斜線部分DL)が生じることになる。この重なり部分(斜線部分DL)を切欠部21として、それぞれのロッド電極20の間に隙間を設けていることが、本実施形態の特徴である。この関係式は、ロッド電極20の全長に渡って有されていてもよいし、図18図20に示すように長手方向の一部に有されていてもよい。
【0073】
[効果のまとめ]
次に、図25を参照して、図2図23に示すイオンガイド200,200~200hにおける効果についてまとめる。
図25では、イオンガイド200,200~200hを代表してイオンガイド200を主に参照する。
図25は、イオンガイド200を構成するロッド電極20のうち、ロッド電極20-1,20-2の部分拡大図である。
本実施形態のイオンガイド200は、あるロッド電極20の切欠部21と、他のロッド電極20の凸部26とが、非接触の状態で嵌合している。このような構成を有するイオンガイド200では、接触部分211aや絶縁沿面部212aが中心Cから見えない構成が実現できる。絶縁沿面部212aの範囲の両端と中心Cを結んだ、それぞれの直線L1,L2の間の角度を「β」とする。そして、「β」の範囲内に障害物(つまり、ロッド電極20-1)が存在する。そのため、絶縁沿面部212aが中心Cから見えないことが本実施形態の特徴である。
【0074】
また、図2に示すようにロッド電極20が傾斜して配置されることで、イオンガイド200を入口側から見た際、絶縁沿面部212a,212b(図8参照)が見えない構成を有している。なお、本実施形態では、図2等に示すようにロッド電極20が傾斜して配置される以外に、図21等に示すように、ロッド電極20gが平行に配置されているイオンガイド200gのような構成も可能である。
【0075】
また、イオンガイド200gのようにロッド電極20gが平行に配置されている構成でも、図25に示すように、絶縁沿面部212a(図25)が中心Cから見えない構成を実現できる。換言すれば、このような構成を有することで、イオンガイド200gの内部から外部に向かって排出される液滴はロッド電極20の凸部26によって妨げられる。これによって、液滴は絶縁沿面部212aに届きにくくなる。このため、絶縁沿面部212aが液滴等で汚染されることを抑制することができる。これにより、イオンガイド200gでも、イオンガイド200と同様にロバスト性が向上し、長期的な分析性能や安定性が向上する。
【0076】
[比較例]
次に、図26図29を参照して、本実施形態の比較例について説明する。
図26は、比較例に係るイオンガイド200jの構成を示す図である。図26の左図Z101はイオンの入口側からイオンガイド200jを見た図であり、右図Z102はZ軸上のイオンガイド200jの断面図を示す。また、図26では、簡便のためロッド電極20jのみが示されている。
図26には、円柱状のロッド電極20j(20j-1~20j-4)によって構成される、多重極(図26に示す例では4重極)のイオンガイド200jが示されている。
また、図27は、ホルダ210が設けられたイオンガイド200jの構成を示す図である。図27の左図Z111はイオンの入口側からイオンガイド200jを見た図であり、右図Z112はZ軸上のイオンガイド200jの断面図を示す。
【0077】
図26において、隣り合うロッド電極20jには逆位相の高周波電圧が印加される必要がある。そのため、図27に示すようにロッド電極20jは絶縁物製のホルダ210で保持される場合が多い。YZ平面において、イオンガイド200jの中心Cからの同一距離「R1」~「Rn」(図26の破線で示した円)におけるロッド間隙GA1~GAnの中心GC1~GCnを結んだものが線SAと定義される。図26に示すような、多重極を有するイオンガイド200jの特徴は、線SAが一直線上になることである。
【0078】
また、図26に示すイオンガイド200jの構成は、X軸方向に沿ってロッド電極20jが平行に配置されている。そのため、ロッド間隙GA1~GAnの中心GC1~GCnを結んだ線SAが一直線上になる関係性はロッド電極20jの長手方向に渡って一定である。このような構成では、図27の左図Z111に示すように、ロッド間隙GA1~GAnによって、入口側からイオンガイド200jを見ると、ホルダ103の絶縁沿面部212が見える状態となっている。イオンガイド200jには、イオン源100(図1参照)で生成されたイオンや液滴が導入される。そして、イオンガイド200jには、分析の際にノイズ要因となる液滴をロッド間隙GA1~GAn(図26参照)等から排出し、イオンのみを多重極電界により中心C付近に収束する役割がある。つまり、イオンガイド200jには、液滴を含む気流とイオンを分離させる役割がある。
【0079】
このため、図27に示すように、ロッド間隙GA1~GAn(図26参照)からホルダ210の絶縁沿面部212が見える構成では、絶縁沿面部212が液滴により汚染される可能性が高くなる。本来、隣り合うロッド電極20jの絶縁を行うための絶縁沿面部212が液滴で汚染されることで、絶縁性能が劣化する。これに伴い、ロッド電極20jに印加可能な電圧値が低下する。その結果、汚染前と同じ電圧値がロッド電極20jに印加された場合でも絶縁沿面部212で放電等が生じる可能性が高くなる。結果的に、分析性能や安定性が劣化してしまうおそれがある。
【0080】
図28は、比較例に係るイオンガイド200kの構成を示す図である。図28の左図Z121はイオンの入口側からイオンガイド200kを見た図であり、右図Z122はZ軸上のイオンガイド200kの断面図を示す。また、図28では、簡便のためロッド電極20kのみが示されている。
図28に示すように、イオンガイド200kを構成するロッド電極20kは角柱状の形状を有している。
【0081】
また、図29は、ホルダ210が設けられたイオンガイド200kの構成を示す図である。図29の左図Z131はイオンの入口側からイオンガイド200kを見た図であり、右図Z132はZ軸上のイオンガイド200kの断面図を示す。
なお、図28及び図29において、図26及び図27と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図28図29に示すような角柱状のロッド電極20k(20k-1~20k-4)によて構成されるイオンガイド200kにおいても、特徴および課題は図26及び図27に示すイオンガイド200jと同様である。
【0082】
質量分析計1の高感度化のために、非特許文献1および特許文献1のように、ロッド電極20j,20kの本数(重極数)を増やし、イオン取り込み効率を向上する技術がある。また、これらの技術ではロッド電極20j,20kの長手方向に沿って、ロッド電極20j, 20kを斜めに(傾斜して)配置している。つまり、出口側に向かってイオンガイド200kの内部空間を徐々に狭くすることが行われている。このようにすることで、イオンの収束効率の向上が図られている。しかしながら、これらの技術においても前記した課題と同様に、図26や、図28に示すロッド間隙GA1~GAnの中心GC1~GCnを結んだ線SAが一直線上になる構成であることは変わらない。そのため、ホルダ210の汚染問題を解決することはできないと考えられる。また、高感度化のためには、導入電極122(図1参照)の孔H2(図1参照)の径を大きくして、大気中からのイオンの導入量自体を増やす場合もある。そのような場合、イオンガイド200j,200kに対する液滴の導入量も更に増加する。従って、ホルダ210の汚染問題が、さらに顕著になる場合がある。
【0083】
前記したように、本実施形態に示すイオンガイド200,200a~200hによれば、このようなホルダ210(絶縁沿面部212a,212b)の汚染を防止することができる。
【0084】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0085】
また、前記した制御装置600等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
【0086】
また、本実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0087】
1 質量分析計
20,20a~20h,20-1~20-12,20a-1~20a-8,20b-1~20b-6,20c-1~20c-12,20e-1~20e-12,20f-1~20f-4,20h-2~20h-12,20g-1~20g-12 ロッド電極
21 切欠部(凹部)
23 内接円(入口側におけるロッド電極の内接円)
23f 内接円
24 内接円(出口側におけるロッド電極の内接円)
24f 内接円
26 凸部
200,200a~200h イオンガイド
210,210a~210c ホルダ
211a,211b 接触部分
212,212a,212b 絶縁沿面部
300 イオン輸送装置
C 中心
図1
図2
図3A
図3B
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図13A
図13B
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図15A
図15B
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図17A
図17B
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図19B
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