(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176615
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20241212BHJP
G10L 25/63 20130101ALN20241212BHJP
【FI】
G16H50/20
G10L25/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095321
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 真衣香
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】乳幼児に関するより有用な情報を提供することが可能な情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】管理サーバ10は、複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する第1取得部11と、複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する第2取得部12と、複数の乳幼児の各々の属性情報及び行動情報に基づいて、複数の乳幼児のうちの一の乳幼児に対するフィードバック情報を生成する生成部13と、乳幼児の保護者、又は、乳幼児と所定の関連を有する第三者に、フィードバック情報を提供する提供部14と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する第1取得部と、
前記複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する第2取得部と、
前記複数の乳幼児の各々の前記属性情報及び前記行動情報に基づいて、前記複数の乳幼児のうちの一の乳幼児に対するフィードバック情報を生成する生成部と、
前記乳幼児の保護者、又は、前記乳幼児と所定の関連を有する第三者に、前記フィードバック情報を提供する提供部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記乳幼児と関連する施設で管理されている前記乳幼児に関する情報を前記属性情報として取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記乳幼児と関連する施設の担当者の連絡先情報を更に取得し、
前記提供部は、前記連絡先情報に基づいて、前記フィードバック情報を前記第三者である前記担当者に提供する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2取得部は、前記乳幼児の保護者に貸し出されたセンサ装置によって検知された前記乳幼児の行動に関する情報を前記行動情報として取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記センサ装置によって検知される前記乳幼児の行動に関する情報は、前記乳幼児の泣き声の音声データを含む、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1取得部は、前記センサ装置の貸出に関連して設定される日付を含むレンタル情報を更に取得し、
前記提供部は、前記レンタル情報に含まれる前記日付に基づいて、前記フィードバック情報を提供する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2取得部は、前記センサ装置によって取得される前記乳幼児の置かれた環境に関する環境情報を更に取得し、
前記生成部は、前記複数の乳幼児の各々の前記環境情報にも基づいて、前記フィードバック情報を生成する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、一の乳幼児についての前記行動情報と他の乳幼児についての前記行動情報との比較に基づいて特定される前記一の乳幼児の状態を示す情報を含む情報を、前記一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、一の乳幼児についての前記行動情報と他の乳幼児についての前記行動情報との比較に基づいて特定される前記一の乳幼児の状態に関する指標が所定の閾値を超えたことを示すアラート情報を含む情報を、前記一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、一の乳幼児の保護者に対するアドバイスを含む情報を、前記一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記生成部は、一の乳幼児について取得された前記行動情報に基づいて特定される前記一の乳幼児の状態と、前記一の乳幼児に関して実施された処方の内容を示す処方情報と、に基づいて、前記処方の有効性を示す有効性情報を含む情報を、前記一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成し、
前記提供部は、前記一の乳幼児に対するフィードバック情報を、前記処方の担当者に提供する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記処方の内容が適切でないことを前記有効性情報が示す場合、前記生成部は、前記一の乳幼児に対する他の処方の候補を示す候補情報を、前記一の乳幼児に対するフィードバック情報の一部として更に生成する、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する第1取得ステップと、
前記複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する第2取得ステップと、
前記複数の乳幼児の各々の前記属性情報及び前記行動情報に基づいて、前記複数の乳幼児のうちの一の乳幼児に対するフィードバック情報を生成する生成ステップと、
前記乳幼児の保護者、又は、前記乳幼児と所定の関連を有する第三者に、前記フィードバック情報を提供する提供ステップと、
を実行させる、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳幼児の泣き声を解析することによって乳幼児の「さみしい」、「怒り」等の感情(泣いている理由)を推測するアルゴリズムを利用したシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムによれば、乳幼児の泣き声の診断結果を育児に活用することができる。しかし、上記システムにおいて、ユーザに提供される情報は、対象となる乳幼児のみに関する情報である。このため、上記システムには、より有用な情報をユーザに提供するという観点において、改善の余地がある。
【0005】
本開示の一側面は、乳幼児に関するより有用な情報を提供することが可能な情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る情報処理装置は、複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する第1取得部と、複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する第2取得部と、複数の乳幼児の各々の属性情報及び行動情報に基づいて、複数の乳幼児のうちの一の乳幼児に対するフィードバック情報を生成する生成部と、乳幼児の保護者、又は、乳幼児と所定の関連を有する第三者に、フィードバック情報を提供する提供部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、乳幼児に関するより有用な情報を提供することが可能な情報処理装置及び情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の情報処理システムの全体構成及び処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、情報処理システムを構成する各要素の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、属性情報、施設情報、及びレンタル情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、行動情報及び環境情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、管理サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、少なくとも以下の[1]~[13]を含む。
【0010】
[1]複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する第1取得部と、複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する第2取得部と、複数の乳幼児の各々の属性情報及び行動情報に基づいて、複数の乳幼児のうちの一の乳幼児に対するフィードバック情報を生成する生成部と、乳幼児の保護者、又は、乳幼児と所定の関連を有する第三者に、フィードバック情報を提供する提供部と、を備える、情報処理装置。
【0011】
上記情報処理装置によれば、一の乳幼児に関する属性情報及び行動情報だけでなく、当該一の乳幼児以外の乳幼児を含む複数の乳幼児の各々の属性情報及び行動情報に基づくことにより、当該一の乳幼児について、他の乳幼児の情報が考慮されたより有用なフィードバック情報を生成及び提供することが可能となる。これにより、乳幼児に関するより有用な情報を提供することができる。
【0012】
[2]第1取得部は、乳幼児と関連する施設で管理されている乳幼児に関する情報を属性情報として取得する、[1]の情報処理装置。
【0013】
上記[2]の構成によれば、乳幼児に関する正確な情報を属性情報として容易に取得することができる。また、このように既に管理されている情報を取得することにより、乳幼児の保護者等が新たに属性情報を入力する手間を省くことができる。
【0014】
[3]第1取得部は、乳幼児と関連する施設の担当者の連絡先情報を更に取得し、提供部は、連絡先情報に基づいて、フィードバック情報を第三者である担当者に提供する、[1]又は[2]の情報処理装置。
【0015】
上記[3]の構成によれば、乳幼児の保護者ではなく、乳幼児と関連する第三者にフィードバック情報を提供することにより、最初に第三者が当該フィードバック情報の内容を確認した上で、当該第三者から保護者へと、当該第三者の知見と併せてフィードバック情報を提供することが可能となる。これにより、第三者が保護者にアドバイスを行う上で有用な情報(フィードバック情報)を第三者に提供できると共に、保護者に対しても第三者を介して有用な情報(第三者によって適宜修正又は補足がされたフィードバック情報)を提供することが可能となる。
【0016】
[4]第2取得部は、乳幼児の保護者に貸し出されたセンサ装置によって検知された乳幼児の行動に関する情報を行動情報として取得する、[1]~[3]のいずれかの情報処理装置。
【0017】
[5]センサ装置によって検知される乳幼児の行動に関する情報は、乳幼児の泣き声の音声データを含む、[4]の情報処理装置。
【0018】
上記[4]又は[5]の構成によれば、保護者は乳幼児の行動に関する行動情報を手動で入力及び送信する処理を実行する必要がないため、保護者の手間を低減できる。また、行動情報を手動で入力・送信する仕組みを採用した場合には、保護者の入力漏れが発生し得るが、上記構成によれば、このような入力漏れを心配する必要がなくなる。
【0019】
[6]第1取得部は、センサ装置の貸出に関連して設定される日付を含むレンタル情報を更に取得し、提供部は、レンタル情報に含まれる日付に基づいて、フィードバック情報を提供する、[4]又は[5]の情報処理装置。
【0020】
上記[6]の構成によれば、センサ装置の貸出に関連して設定される日付に基づいて、フィードバック情報の提供タイミングを適切に設定することができる。
【0021】
[7]第2取得部は、センサ装置によって取得される乳幼児の置かれた環境に関する環境情報を更に取得し、生成部は、複数の乳幼児の各々の環境情報にも基づいて、フィードバック情報を生成する、[4]~[6]のいずれかの情報処理装置。
【0022】
上記[7]の構成によれば、乳幼児の行動情報に加えて環境情報を考慮することにより、乳幼児の育児環境の改善により役立つフィードバック情報を生成することが可能となる。
【0023】
[8]生成部は、一の乳幼児についての行動情報と他の乳幼児についての行動情報との比較に基づいて特定される一の乳幼児の状態を示す情報を含む情報を、一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成する、[1]~[7]のいずれかの情報処理装置。
【0024】
上記[8]の構成によれば、他の乳幼児の傾向と比較することにより特定された一の乳幼児の状態を示す情報をフィードバック情報として生成することにより、保護者又は第三者に有用なフィードバック情報を提供することが可能となる。
【0025】
[9]生成部は、一の乳幼児についての行動情報と他の乳幼児についての行動情報との比較に基づいて特定される一の乳幼児の状態に関する指標が所定の閾値を超えたことを示すアラート情報を含む情報を、一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成する、[1]~[8]のいずれかの情報処理装置。
【0026】
上記[9]の構成によれば、一の乳幼児の状態が他の乳幼児の傾向から一定以上外れていると判定された場合に、その旨を示すアラート情報をフィードバック情報として生成することにより、保護者又は第三者に有用なフィードバック情報を提供することが可能となる。
【0027】
[10]生成部は、一の乳幼児の保護者に対するアドバイスを含む情報を、一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成する、[1]~[9]のいずれかの情報処理装置。
【0028】
上記[10]の構成によれば、一の乳幼児の状態に応じた適切なアドバイス情報を保護者又は第三者に提供することができる。
【0029】
[11]生成部は、一の乳幼児について取得された行動情報に基づいて特定される一の乳幼児の状態と、一の乳幼児に関して実施された処方の内容を示す処方情報と、に基づいて、処方の有効性を示す有効性情報を含む情報を、一の乳幼児に対するフィードバック情報として生成し、提供部は、一の乳幼児に対するフィードバック情報を、処方の担当者に提供する、[1]~[10]のいずれかの情報処理装置。
【0030】
上記[11]の構成によれば、有効性情報を処方の担当者に提供することにより、当該担当者に処方が有効であったか否かを適切に把握させることができる。
【0031】
[12]処方の内容が適切でないことを有効性情報が示す場合、生成部は、一の乳幼児に対する他の処方の候補を示す候補情報を、一の乳幼児に対するフィードバック情報の一部として更に生成する、[11]の情報処理装置。
【0032】
上記[12]の構成によれば、処方が有効でないと判定された場合に、フィードバック情報に候補情報を含めることにより、一の乳幼児に対する処方内容を検討する担当者に対して、より有用な情報を提供することが可能となる。
【0033】
[13]コンピュータに、複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する第1取得ステップと、複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する第2取得ステップと、複数の乳幼児の各々の属性情報及び行動情報に基づいて、複数の乳幼児のうちの一の乳幼児に対するフィードバック情報を生成する生成ステップと、乳幼児の保護者、又は、乳幼児と所定の関連を有する第三者に、フィードバック情報を提供する提供ステップと、を実行させる、情報処理方法。
【0034】
[実施形態]
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0035】
[1.全体構成]
図1を参照して、一実施形態に係る情報処理システム1の全体構成及び処理の一例について説明する。
図1に示されるように、情報処理システム1は、管理サーバ10(情報処理装置)と、施設L1に設置される施設端末20と、乳幼児がいる家庭L2に設置されるセンサ装置30と、解析サーバ40と、乳幼児の保護者が保有する保護者端末50と、を有している。管理サーバ10は、有線又は無線の任意の通信ネットワークNを介して、施設端末20、センサ装置30、解析サーバ40、及び保護者端末50と通信可能に接続されている。管理サーバ10は、複数の家庭L2の各々のセンサ装置30と通信可能とされており、複数の家庭L2の各々の乳幼児を管理する。また、情報処理システム1は、複数の施設L1を含み得る。
【0036】
施設L1は、乳幼児と所定の関連を有する施設(例えば、乳幼児に関して何らかの処置、ケア、助言等を提供する施設)である。施設L1の例としては、産後ケアセンター、産院、助産院、乳幼児睡眠コンサルタントが挙げられる。本実施形態では、施設L1は、乳幼児の保護者にセンサ装置30を貸し出す(レンタルする)役割を有している。
【0037】
家庭L2は、管理サーバ10の管理対象となる乳幼児がいる家庭環境である。本実施形態では、各家庭L2には、乳幼児毎のセンサ装置30が設置される。センサ装置30は、乳幼児の泣き声(音声データ)及び乳幼児が置かれた環境の環境情報(温度、湿度、空気清浄度等)を取得(検知)するように構成されている。
【0038】
図1を用いて、情報処理システム1の全体的な処理の一例について説明する。まず、施設L1の担当者が、ある家庭L2の乳幼児の保護者に対して、センサ装置30を貸し出す(ステップS1)。その際、施設L1の担当者は、施設端末20を操作することにより、センサ装置30の貸出先の乳幼児の属性に関する属性情報、当該施設L1に関する施設情報、及びセンサ装置30の貸出を管理するためのレンタル情報等を、管理サーバ10に送信する(ステップS2)。管理サーバ10に送信されたこれらの情報(後述する基本情報)は、管理サーバ10に記憶及び管理される。
【0039】
ステップS1で貸し出されたセンサ装置30は、家庭L2内において乳幼児の傍に配置される。センサ装置30によって検知された乳幼児の泣き声(音声データ)及び環境情報は、随時、管理サーバ10に送信される(ステップS3)。センサ装置30から管理サーバ10への音声データ又は環境情報の送信は、例えば、所定の時間間隔で定期的に実施される。
【0040】
管理サーバ10は、センサ装置30から音声データを取得すると、当該音声データを解析サーバ40に送信し、解析サーバ40に当該音声データの解析を実行させる。解析サーバ40は、当該音声データを解析することにより、乳幼児の感情の推定結果(解析結果)を取得し、管理サーバ10に返却する(ステップS4)。
【0041】
ステップS1~S4が複数の家庭L2(すなわち、複数の乳幼児)に対して実施されることにより、管理サーバ10には、複数の乳幼児の各々に関する基本情報(本実施形態では、属性情報、施設情報、及びレンタル情報)と、複数の乳幼児の各々の行動情報(本実施形態では、上述した音声データ及び解析結果を含む情報)及び環境情報と、が蓄積される。管理サーバ10は、これらの情報に基づいて、各乳幼児に対するフィードバック情報を生成する(ステップS5)。管理サーバ10は、一の乳幼児について生成したフィードバック情報を、当該一の乳幼児の保護者(例えば、当該保護者の保護者端末50)に提供する(ステップS6)。或いは(又は、ステップS6の保護者への提供に加えて)、管理サーバ10は、当該一の乳幼児と所定の関連を有する第三者(本実施形態では、当該一の乳幼児の保護者にセンサ装置30を貸し出した施設L1の担当者)に提供する(ステップS7)。
【0042】
上記のステップS1~S7により、乳幼児に関する有用な情報(フィードバック情報)を保護者又は施設L1の担当者に適切に提供することが可能なシステムが実現される。すなわち、保護者又は施設L1の担当者は、フィードバック情報を、乳幼児の育児を適切に役立てることが可能となる。
【0043】
[2.情報処理システムの構成]
次に、
図2を参照して、情報処理システム1を構成する各要素について説明する。
【0044】
(施設端末)
施設端末20は、施設L1に設置され、施設L1の担当者によって利用される端末である。施設L1の担当者の職種等は、施設L1毎に異なり得る。例えば、施設L1が産後ケアセンターである場合、当該施設L1の担当者は、当該施設L1に勤務する保育士であり得る。施設L1が産院、助産院等である場合、当該施設L1の担当者は、当該施設L1に勤務する医師、助産師等であり得る。施設端末20は、特定の形態の端末に限定されないが、例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレット端末等によって構成され得る。施設端末20は、登録部21と、送受信部22と、通知部23と、を備える。
【0045】
登録部21は、センサ装置30の貸出先となる乳幼児に関する基本情報(属性情報、施設情報、及びレンタル情報)を登録する。登録部21は、施設L1の担当者からの入力操作を受け付けることにより、登録対象となる属性情報、施設情報、及びレンタル情報を取得してもよいし、施設L1で管理されているデータベース等を参照することにより、登録対象となる属性情報及び施設情報の一部又は全部を取得してもよい。
【0046】
図3は、基本情報(属性情報、施設情報、及びレンタル情報)の一例を示す図である。
図3に示されるように、ある乳幼児についての基本情報には、一意に識別可能な識別情報が関連付けられる。本実施形態では、一例として、当該乳幼児に対するセンサ装置30の貸出に応じて払い出される貸出IDが、上記識別情報として機能する。
【0047】
属性情報は、センサ装置30の貸出対象となる乳幼児の属性に関する情報であり、例えば、氏名、性別、生年月日、年齢(月齢)、体重、身長、処方情報、保護者情報等を含む。処方情報は、施設L1の担当者によって乳幼児に対して実施された処方を記録した情報である。本実施形態における「処方」とは、乳幼児の何らかの症状(例えば、睡眠障害等)を改善するための何らかの処置、助言、処方箋等を広く意味し、医療的な行為以外のもの(例えば、乳幼児睡眠コンサルタントの助言等)を含み得る。処方情報は、処方の内容及び実施日を示す情報を含んでいる。保護者情報は、乳幼児の保護者に関する情報であり、例えば、保護者の連絡先(フィードバック情報の提供先)を示す情報を含む。施設情報は、施設L1の名称(施設名)、担当者の名前(担当者名)及び連絡先(フィードバック情報の提供先)を示す情報等を含む。レンタル情報は、センサ装置30の貸出日、返却日、助言日等を含む。助言日は、施設L1の担当者からセンサ装置30の貸出先の保護者に対する助言を実施する日である。助言日は、例えば、貸出日を基準として設定される。ここでの助言は、例えば、センサ装置30によって検知された乳幼児の状態(泣いている時間帯、泣き声の解析結果等)に基づくアドバイスであり、施設L1の担当者の専門的な知見に基づいて実施される。
【0048】
送受信部22は、登録部21により登録された情報(本実施形態では、
図3に示される属性情報、施設情報、及びレンタル情報)を管理サーバ10に送信する機能を有する。また、送受信部22は、管理サーバ10から施設端末20へと送信されたフィードバック情報を受信する機能も有する。
【0049】
通知部23は、送受信部22によって受信されたフィードバック情報を施設端末20のユーザ(すなわち、施設L1の担当者)に通知する。通知部23は、例えば、施設端末20のディスプレイにフィードバック情報の内容(例えば、文字又は画像等によって示される情報)を表示したり、施設端末20のスピーカからフィードバック情報の内容を音声出力したりすることにより、フィードバック情報を通知する。
【0050】
(センサ装置)
センサ装置30は、乳幼児の家庭L2内において、乳幼児の傍に配置される。一例として、センサ装置30は、乳幼児の泣き声を検知して取得するように構成された専用装置である。センサ装置30は、音声取得部31と、環境情報取得部32と、送信部33と、を備える。
【0051】
音声取得部31は、乳幼児の泣き声を検知し、当該泣き声の音声データ(行動情報)を取得する。環境情報取得部32は、乳幼児が置かれた環境(すなわち、センサ装置30が置かれた環境)に関する環境情報を取得する。
【0052】
図4は、音声取得部31により取得される音声データを含む行動情報及び環境情報取得部32により取得される環境情報の一例を示す図である。
図4に示されるように、行動情報は、センサ装置30により検知された乳幼児の一連の泣き動作(すなわち、泣き始めてから泣き終わるまでの期間の動作)の泣き開始時刻、泣き終了時刻、及び音声を含む。なお、
図4に示される行動情報に含まれる解析結果は、後述する解析サーバ40の処理によって補充される。すなわち、センサ装置30によって泣き動作が検知された際には、解析結果に対応するデータはブランクである。また、環境情報は、環境情報が取得(検知)された時刻を示す取得時刻、室温、湿度、空気清浄度等を含む。
【0053】
音声取得部31は、例えば、一連の泣き動作毎に、上記行動情報を取得する。例えば、乳幼児が15時に泣き動作を開始し、15時5分に泣き止んだ後に、再度15時15分に泣き動作を開始し、15時20分に泣き止んだ場合について考える。この場合、泣き開始時刻「15:00」、泣き終了時刻「15:05」、及び「15:00~15:05」の泣き声の音声データが関連付けられた第1の行動情報と、泣き開始時刻「15:15」、泣き終了時刻「15:20」、及び「15:15~15:20」の泣き声の音声データが関連付けられた第2の行動情報と、が個別に取得される。一方、環境情報取得部32は、例えば、予め定められた所定間隔(例えば5分)で、上述した環境情報を取得する。
【0054】
なお、音声取得部31は、一連の泣き動作の継続中(すなわち、「泣き終了時刻」が確定していない時点)においても、後述する送信部33によって管理サーバ10に送信可能な形式の行動情報を生成してもよい。例えば上述した第1の行動情報に関して、音声取得部31は、15時0分に泣き動作が開始された後、例えば、1分単位で行動情報(第1の行動情報の一部)を生成し、泣き動作が完了するまで、新たに生成される行動情報を先に生成された行動情報に結合してもよい。このような仕組みによれば、一連の泣き動作が継続中の間にも行動情報を生成でき、後述する送信部33によって管理サーバ10へと行動情報をリアルタイムに送信することが可能となる。なお、このような行動情報の「泣き終了時刻」には、ブランク情報(或いは泣き動作が継続していることを示す情報)が格納されてもよい。
【0055】
送信部33は、上述した行動情報及び環境情報を管理サーバ10に送信する。
図4に示されるように、送信部33から管理サーバ10に送信される情報(行動情報+環境情報、又は、環境情報のみ)には、貸出IDが関連付けられる。これにより、管理サーバ10側において、属性情報、施設情報、レンタル情報、行動情報、及び環境情報を乳幼児毎(すなわち、貸出ID毎)に管理することが可能となる。
【0056】
(解析サーバ)
解析サーバ40は、音声データ(乳幼児の泣き声の音声)を解析する外部サービスを提供するサーバである。本実施形態では、管理サーバ10は、API連携によって、解析サーバ40を利用するように構成されている。解析サーバ40は、センサ装置30によって取得された音声データ(乳幼児の泣き声の音声)を解析することにより、乳幼児の感情を推定する解析部41を備える。解析部41は、管理サーバ10から音声データを取得し、当該音声データに対して公知の解析処理(例えば、非特許文献1に開示された感情推定アルゴリズムによる処理)を実行することにより、「お腹が空いた」、「眠たい」等の泣いている理由(すなわち、乳幼児の感情)を推定する。解析部41は、このように推定された乳幼児の感情を示す解析結果を管理サーバ10に返却する。
【0057】
(保護者端末)
保護者端末50は、乳幼児の保護者によって利用される端末である。保護者端末50は、特定の形態の端末に限定されないが、例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレット端末、スマートフォン等によって構成され得る。保護者端末50は、受信部51と、通知部52と、を備える。
【0058】
受信部51は、管理サーバ10から保護者端末50へと送信されたフィードバック情報を受信する機能を有する。通知部52は、受信部51によって受信されたフィードバック情報を保護者端末50のユーザ(すなわち、乳幼児の保護者)に通知する。通知部52は、例えば、保護者端末50のディスプレイにフィードバック情報の内容を表示したり、保護者端末50のスピーカからフィードバック情報の内容を音声出力したりすることにより、フィードバック情報を通知する。或いは、保護者端末50には、専用アプリ(アプリケーションソフトウェア)がインストールされてもよく、当該専用アプリを介して、フィードバック情報の受信及び閲覧が可能に構成されてもよい。この場合、当該専用アプリが、上述した受信部51及び通知部52として機能し得る。
【0059】
(管理サーバ)
管理サーバ10は、上述した施設端末20、センサ装置30、解析サーバ40、及び保護者端末50と連携し、情報処理システム1の中核をなす装置である。管理サーバ10は、物理的には、一又は複数のコンピュータ装置によって構成され得る。
【0060】
図5は、管理サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、管理サーバ10は、ハードウェア構成要素として、プロセッサ101と、メモリ102と、補助記憶装置103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106と、を備える。
【0061】
プロセッサ101は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサ101の例としては、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられる。
【0062】
メモリ102は、管理サーバ10を実現するためのプログラム、プロセッサ101から出力された演算結果等を記憶する装置である。メモリ102は、例えばROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0063】
補助記憶装置103は、一般にメモリ102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶装置103は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶装置103は、コンピュータを管理サーバ10として機能させるためのプログラムP(情報処理プログラム)と各種のデータとを記憶する。
【0064】
通信装置104は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信装置104は、例えばネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。
【0065】
入力装置105は、ユーザ(管理サーバ10のオペレータ)の入力操作を受け付ける装置である。入力装置105は、例えば、キーボード、マウス等によって構成される。
【0066】
出力装置106は、管理サーバ10で処理又は管理(記憶)されたデータを出力する装置である。出力装置106は、例えば、モニタ、タッチパネル等の表示装置(ディスプレイ)、音声を出力するスピーカ等によって構成される。
【0067】
図2に示される管理サーバ10の各機能要素は、プロセッサ101又はメモリ102にプログラムPを読み込ませ、当該プログラムPを実行させることにより実現される。プログラムPは、管理サーバ10の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101は、プログラムPに従って、通信装置104を動作させ、メモリ102又は補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。このような処理により、管理サーバ10の各機能要素が実現される。
【0068】
図2に示されるように、管理サーバ10は、第1取得部11と、第2取得部12と、生成部13と、提供部14と、記憶部100と、を備える。
図6は、管理サーバ10の動作の一例(情報処理方法の一例)を示すフローチャートである。
【0069】
第1取得部11は、複数の乳幼児の各々の属性を示す属性情報を取得する(
図6のステップS11:第1取得ステップ)。上述したように、本実施形態では、第1取得部11は、施設端末20の送受信部22から送信された基本情報(すなわち、貸出ID、属性情報、施設情報、及びレンタル情報が互いに関連付けられた情報)を受信することにより、属性情報を取得する。すなわち、第1取得部11は、施設L1の担当者によってある家庭L2の乳幼児の保護者に対してセンサ装置30の貸出が実施される毎に、当該乳幼児に関する基本情報を当該施設L1の施設端末20から受信(取得)する。すなわち、本実施形態では、第1取得部11は、乳幼児の属性情報と併せて、当該乳幼児と関連する施設L1の担当者の連絡先情報と、センサ装置30の貸出に関連して設定される日付(
図3の例では、貸出日、返却日、助言日)を含むレンタル情報と、を施設端末20から取得する。第1取得部11により取得される各乳幼児の基本情報(
図3参照)は、記憶部100に記憶される。
【0070】
本実施形態では、属性情報は、乳幼児と関連する施設L1で管理されている当該乳幼児に関する情報である。通常、施設L1が所有するデータベース(例えば、施設端末20からアクセス可能なデータ記憶装置)には、当該施設L1と関連する乳幼児(例えば、産後ケア又は乳幼児睡眠コンサルティングの対象となる乳幼児)の氏名、性別等の基本的な登録情報と共に、当該乳幼児に対して実施された処方内容を示す情報(カルテ等)が記憶されている。第1取得部11は、このようなデータベースに記憶されている情報を乳幼児の属性情報として取得することにより、乳幼児に関する正確な情報を属性情報として容易に取得することができる。また、このように既に管理されている情報を取得することにより、施設L1の担当者又はセンサ装置30の貸出を受ける保護者が新たに属性情報を入力する手間を省くことができる。
【0071】
第2取得部12は、複数の乳幼児の各々の行動に関する行動情報を取得する(
図6のステップS12:第2取得ステップ)。上述したように、本実施形態では、第2取得部12は、乳幼児の保護者に貸し出されたセンサ装置30によって検知された乳幼児の行動に関する情報(本実施形態では、乳幼児の泣き声の音声データを含む情報)を行動情報として取得する。すなわち、第2取得部12は、センサ装置30によって自動的に検知される乳幼児の泣き声に関するデータをセンサ装置30から受信することにより、乳幼児の行動情報を取得する。このような構成によれば、保護者は乳幼児の行動に関する行動情報を手動で入力及び送信する処理を実行する必要がないため、保護者の手間を低減できる。また、行動情報を手動で入力・送信する仕組みを採用した場合には、保護者の入力漏れが発生し得るが、上記構成によれば、このような入力漏れを心配する必要がない。さらに、乳幼児が泣いている最中に行動情報を入力することは困難であるため、保護者によって行動情報が漏れなく登録されたとしても、行動情報が管理サーバ10に送信されるのは、実際に乳幼児が行動していた期間よりも後になる。すなわち、実際の乳幼児の行動期間(泣いていた期間)と、当該行動に関する行動情報が管理サーバ10に送信されるタイミングとの間に、大きなタイムラグが生じ得る。これに対して、本実施形態のようにセンサ装置30を介して行動情報を自動的に管理サーバ10にアップロード(送信)する仕組みによれば、行動情報を自動的且つタイムリーに管理サーバ10に登録することができる。
【0072】
第2取得部12は、上述したようにセンサ装置30から取得した行動情報に含まれる音声データを解析サーバ40に送信し、解析サーバ40に解析させる。そして、第2取得部12は、解析サーバ40の解析結果(音声データから推定される乳幼児の感情を示す情報)を取得する。このようにして第2取得部12により取得された行動情報(解析結果を含む)は、貸出IDと関連付けて記憶部100に記憶される。
【0073】
また、第2取得部12は、センサ装置30によって取得される乳幼児の置かれた環境に関する環境情報(
図4参照)を更に取得する。例えば、第2取得部12は、予め定められた所定間隔(例えば5分)で、センサ装置30から環境情報を取得する。このようにして第2取得部12により取得された環境情報は、貸出IDと関連付けて記憶部100に記憶される。
【0074】
生成部13は、複数の乳幼児の各々の属性情報(
図3参照)及び行動情報(
図4参照)に基づいて、複数の乳幼児のうちの一の乳幼児(以下、「対象乳幼児」という。)に対するフィードバック情報を生成する(
図6のステップS13:生成ステップ)。フィードバック情報の生成処理の具体例については後述する。なお、生成部13は、センサ装置30の貸出を受けている複数の乳幼児の各々についてのフィードバック情報を生成する。すなわち、センサ装置30の貸出を受けている各乳幼児が、上記の対象乳幼児に該当する。以下では、フィードバック情報の生成対象となる一の乳幼児(対象乳幼児)に着目して説明を行う。
【0075】
提供部14は、乳幼児の保護者、又は、乳幼児と所定の関連を有する第三者に、生成部13により生成されたフィードバック情報を提供する(
図6のステップS14:提供ステップ)。提供部14によるフィードバック情報の提供態様は、特定の形態に限定されない。例えば、フィードバック情報を対象乳幼児の保護者に提供する場合には、提供部14は、対象乳幼児の貸出IDに対応する属性情報(
図3参照)に含まれる保護者情報(保護者の連絡先を含む情報)を参照し、当該保護者の連絡先に基づいて、フィードバック情報を提供してもよい。例えば、保護者情報に含まれる保護者の連絡先が保護者のメールアドレスである場合、提供部14は、当該メールアドレス宛にフィードバック情報を送信してもよい。或いは、保護者情報に含まれる保護者の連絡先が保護者の専用アプリのIDである場合、提供部14は、当該IDのユーザの専用アプリ上の画面にフィードバック情報が提示されるように(すなわち、対象乳幼児の保護者が保護者端末50にインストールされた専用アプリを開くことによりフィードバック情報を閲覧可能となるように)、フィードバック情報を登録してもよい。或いは、センサ装置30にフィードバック情報を表示するためのディスプレイ等が設けられている場合には、提供部14は、該当する乳幼児に貸し出されたセンサ装置30にフィードバック情報を送信し、センサ装置30にフィードバック情報を表示させてもよい。
【0076】
また、フィードバック情報を第三者である施設L1の担当者に提供する場合には、提供部14は、対象乳幼児の貸出IDに対応する施設情報(
図3参照)に含まれる連絡先を参照し、当該連絡先に基づいて、フィードバック情報を提供してもよい。例えば、連絡先が担当者のメールアドレスである場合、提供部14は、当該メールアドレス宛にフィードバック情報を送信してもよい。上記以外にも、提供部14は、上述した保護者へのフィードバック情報の提供態様と同様の態様によって、フィードバック情報を施設L1の担当者に提供してもよい。このように、対象乳幼児の保護者ではなく、対象乳幼児と関連する第三者(本実施形態では、施設L1の担当者)にフィードバック情報を提供することにより、最初に担当者が当該フィードバック情報の内容を確認した上で、当該担当者から保護者へと、当該担当者の専門的な知見と併せてフィードバック情報を提供することが可能となる。これにより、担当者が保護者にアドバイスを行う上で有用な情報(フィードバック情報)を担当者に提供できると共に、保護者に対しても担当者を介して有用な情報(担当者によって適宜修正又は補足がされたフィードバック情報)を提供することが可能となる。また、フィードバック情報を第三者に通知することにより、以下のような効果も得られる。例えば、乳幼児が家庭L2内に置き去りにされ、「お腹が空いた」という理由で泣いている期間が異常に長い場合に、その旨を示すフィードバック情報(後述する「アラート情報」に相当)を第三者である施設L1の担当者に通知することにより、乳幼児が危険な状態にあることを第三者に適切に知らせることができる。
【0077】
また、提供部14は、対象乳幼児の貸出IDに対応するレンタル情報(
図3参照)に含まれる日付に基づいて、フィードバック情報を提供してもよい。例えば、提供部14は、施設L1の担当者から対象乳幼児の保護者へと助言(例えば診察等)を行う助言日の所定日前(例えば1日前)に、フィードバック情報を当該担当者に提供するようにしてもよい。或いは、保護者にセンサ装置30の利便性を早期に把握させるために、例えば、提供部14は、貸出日から間もない期間(例えば、貸出日から1週間以内等)には、毎日決まった時刻に、フィードバック情報を保護者に提供するようにしてもよい。上記構成によれば、センサ装置30の貸出に関連して設定される日付に基づいて、フィードバック情報の提供タイミングを適切に設定することができる。
【0078】
以下、生成部13のいくつかの処理例(すなわち、生成部13により生成されるフィードバック情報のいくつかの例)について説明する。
【0079】
(第1の処理例)
生成部13は、対象乳幼児についての行動情報と他の乳幼児についての行動情報との比較に基づいて特定される対象乳幼児の状態を示す情報を含む情報を、対象乳幼児に対するフィードバック情報として生成してもよい。
【0080】
まず、生成部13は、対象乳幼児の属性情報を参照して、対象乳幼児の属性情報と類似する属性情報を有する乳幼児の貸出IDを抽出する。ここで、「対象乳幼児の属性情報と類似する属性情報」の例としては、対象乳幼児の性別と同一であり、対象乳幼児の年齢(月齢)との差が所定の閾値以下である属性情報が挙げられる。他の例としては、対象乳幼児の処方情報と同一の内容の処方情報を含む属性情報が挙げられる。
【0081】
続いて、生成部13は、抽出された一以上の貸出IDの各々に対応する所定期間(例えば、直近1週間)における行動情報を統計的に解析することにより、抽出された貸出IDに対応する乳幼児(以下「被抽出乳幼児」)の泣いている期間及び泣いている理由(感情)の傾向を示す傾向情報を取得する。ここでは一例として、傾向情報は、一日(24時間)における理由(感情)毎の泣き動作の統計値(例えば、平均回数、平均時間)であるものとする。例えば、生成部13は、複数の被抽出乳幼児について、「眠たい」という理由に対応する泣き動作の統計値、「お腹が空いた」という理由に対応する泣き動作の統計値、及び「おむつが濡れて気持ち悪い」という理由に対応する泣き動作の統計値を、被抽出乳幼児の傾向情報として取得する。
【0082】
続いて、生成部13は、上記所定期間における対象乳幼児の行動情報から算出される理由毎の泣き動作の統計値と上記傾向情報とを比較することにより、対象乳幼児の行動情報と上記傾向情報との差(乖離度)を把握する。例えば、対象乳幼児の「眠たい」という理由に対応する泣き動作の統計値が、被抽出乳幼児の傾向情報(「眠たい」という理由に対応する泣き動作の統計値)よりも大きい場合、対象乳幼児が質の良い睡眠を十分に取れていない可能性がある。この場合、生成部13は、対象乳幼児が質の良い睡眠を十分に取れていない可能性があることを示す情報(すなわち、対象乳幼児の「睡眠不良」という状態を示す情報)を、フィードバック情報として生成する。
【0083】
第1の処理例によれば、他の乳幼児の傾向と比較することにより特定された対象乳幼児の状態を示す情報をフィードバック情報として生成することにより、保護者又は施設L1の担当者に有用なフィードバック情報を提供することが可能となる。
【0084】
(第2の処理例)
生成部13は、対象乳幼児についての行動情報と他の乳幼児についての行動情報との比較に基づいて特定される対象乳幼児の状態に関する指標が所定の閾値を超えたことを示すアラート情報を含む情報を、対象乳幼児に対するフィードバック情報として生成してもよい。
【0085】
例えば、生成部13は、第1の処理例と同様に、被抽出乳幼児の傾向情報を算出した後、上記所定期間における対象乳幼児の行動情報から算出される理由毎の泣き動作の統計値と上記傾向情報とを比較する。例えば、対象乳幼児の「眠たい」という理由に対応する泣き動作の統計値が、被抽出乳幼児の傾向情報(「眠たい」という理由に対応する泣き動作の統計値)よりも予め定めれた閾値よりも大きい場合に、生成部13は、対象乳幼児の「睡眠不良」に関する指標が所定の閾値を超えたと判断し、その旨を示すアラート情報をフィードバック情報として生成してもよい。
【0086】
第2の処理例によれば、対象乳幼児の状態が他の乳幼児の傾向から一定以上外れていると判定された場合に、その旨を示すアラート情報をフィードバック情報として生成することにより、保護者又は施設L1の担当者に有用なフィードバック情報を提供することが可能となる。例えば、対象乳幼児の状態が健康状態から大きく外れている場合(すなわち、早急な対処が必要な可能性がある場合)に、その旨を示すアラート情報を保護者又は施設L1の担当者に適切に提供することができる。
【0087】
(第3の処理例)
生成部13は、対象乳幼児の保護者に対するアドバイスを含む情報を、対象乳幼児に対するフィードバック情報として生成してもよい。例えば、上記の第1の処理例又は第2の処理例のように、対象乳幼児の状態が「睡眠不良」と判定された場合、生成部13は、睡眠不良を解消するための方策等を示すアドバイス情報をフィードバック情報に含めてもよい。このような対象乳幼児の状態に応じたアドバイス情報は、予め記憶部100に記憶されてもよい。その場合、生成部13は、判定された対象乳幼児の状態に対応するアドバイス情報を記憶部100から取得することにより、当該アドバイス情報を含むフィードバック情報を生成することができる。
【0088】
第3の処理例によれば、対象乳幼児の状態に応じた適切なアドバイス情報を保護者又は施設L1の担当者に提供することができる。なお、提供部14によって当該フィードバック情報を保護者に直接提供する場合、保護者に対してタイムリーにアドバイス情報を提供できるという利点が得られる。一方、提供部14によって当該フィードバック情報を施設L1の担当者に提供する場合、最初に施設L1の担当者が専門的な知見に基づいて当該アドバイス情報が対象乳幼児にとって適切であるか否かを判断した上で(また、必要に応じて、施設L1の担当者がアドバイスの内容を追加・変更した上で)、施設L1の担当者から保護者へとより適切に情報提供を行うことが可能となる。
【0089】
(第4の処理例)
必ずしも、環境情報が乳幼児の泣き動作の原因の全てとはいえないが、環境情報は、少なくとも乳幼児の泣き動作の一因を構成すると考えられる。上記の考え方に基づいて、生成部13は、複数の乳幼児の各々の環境情報にも基づいて、フィードバック情報を生成してもよい。上述した第2取得部12によって、対象乳幼児を含む複数の乳幼児に対応する複数のセンサ装置30から、複数の乳幼児の行動情報(乳幼児が泣いていない場合には含まれない)及び環境情報が定期的に取得されて、記憶部100に蓄積される。そこで、例えば、生成部13は、記憶部100に蓄積された複数の乳幼児の行動情報及び環境情報を参照することにより、環境情報と泣き動作との相関関係を取得してもよい。例えば、生成部13は、乳幼児が泣いているときの環境情報(例えば、温度、湿度、及び空気清浄度の少なくとも1つ)の第1統計値(例えば、平均値)と、乳幼児が泣いていないときの環境情報の第2統計値と、をそれぞれ算出する。次に、生成部13は、対象乳幼児が泣いているときの環境情報の統計値が第1統計値及び第2統計値のいずれに近いかを判定する。生成部13は、上記統計値が第2統計値よりも第1統計値に近いと判定された場合に、環境情報を第2統計値に近づけることを示すアドバイス情報をフィードバック情報として生成してもよい。
【0090】
第4の処理例によれば、乳幼児の行動情報に加えて環境情報を考慮することにより、乳幼児の育児環境の改善により役立つフィードバック情報を生成することが可能となる。
【0091】
(第5の処理例)
生成部13は、対象乳幼児について取得された行動情報に基づいて特定される対象乳幼児の状態と、対象乳幼児に関して実施された処方の内容を示す処方情報と、に基づいて、処方の有効性を示す有効性情報を含む情報を、対象乳幼児に対するフィードバック情報として生成してもよい。例えば、生成部13は、対象乳幼児の属性情報に含まれる処方情報(
図3参照)を参照することにより、対象乳幼児に対する処方の内容及び実施日の情報を取得する。ここでは一例として、処方の内容が、乳幼児の睡眠障害(夜泣き)を改善するための処方であったとする。この場合、例えば、生成部13は、当該処方の実施日以前の所定期間(例えば1週間)の夜間帯(例えば午後23時~午前3時)において対象乳幼児が泣いていた時間の平均値(以下、「処方前夜泣き時間」という。)を算出する。また、生成部13は、当該処方の実施日以後の所定期間(例えば1週間)の夜間帯(例えば午後23時~午前3時)において対象乳幼児が泣いていた時間の平均値(以下、「処方後夜泣き時間」という。)を算出する。続いて、生成部13は、処方後夜泣き時間と処方前夜泣き時間とを比較し、処方後夜泣き時間が処方前夜泣き時間よりも予め定めた閾値以上短くなっている場合、処方内容が有効であったことを示す有効性情報をフィードバック情報として生成する。一方、生成部13は、処方後夜泣き時間が処方前夜泣き時間よりも上記閾値以上短くなっていない場合、処方内容が有効でなかったことを示す有効性情報をフィードバック情報として生成する。また、第5の処理例においては、提供部14は、上記有効性情報を含むフィードバック情報を、対象乳幼児に対して処方を行った第三者(施設L1の担当者)に提供することが好ましい。
【0092】
第5の処理例によれば、対象乳幼児に対して何らかの処方(上記例では「睡眠障害」を解消するための処方)を行った場合において、当該処方の前後において対象乳幼児について取得された行動情報を参照することにより、当該処方が有効に作用したか否かを自動的に判断することができる。さらに、このような判断結果をフィードバック情報として生成し、対象乳幼児に対する処方の担当者に提供することにより、当該担当者に処方が有効であったか否かを適切に把握させることができる。その結果、有効性情報(フィードバック情報)の内容に応じて、同じ処方を継続するか他の処方に切り替えるかを当該担当者が適切に決定することが可能となる。
【0093】
また、第5の処理例において、処方の内容が適切でないことを有効性情報が示す場合、生成部13は、対象乳幼児に対する他の処方の候補を示す候補情報を、対象乳幼児に対するフィードバック情報の一部として更に生成してもよい。例えば、生成部13は、対象乳幼児についてこれまでに実施された処方内容(履歴)を示す一以上の処方情報を参照し、未実施の処方内容を上記候補情報として生成してもよい。このように、処方が有効でないと判定された場合に、フィードバック情報に候補情報を含めることにより、対象乳幼児に対する処方内容を検討する担当者に対して、有用な情報を提供することが可能となる。
【0094】
以上述べた管理サーバ10によれば、対象乳幼児に関する属性情報及び行動情報だけでなく、対象乳幼児以外の乳幼児を含む複数の乳幼児の各々の属性情報及び行動情報に基づくことにより、対象乳幼児について、他の乳幼児の情報が考慮されたより有用なフィードバック情報を生成及び提供することが可能となる。これにより、乳幼児に関するより有用な情報を提供することができる。
【0095】
[変形例]
本開示は、上記実施形態に限られない。上記実施形態に係る各構成要素は、適宜省略又は変更されてもよい。例えば、上記実施形態では、情報処理システム1に含まれるいくつかの特徴的な構成、及び各構成によって発揮されるいくつかの効果について説明したが、本開示に係る情報処理システム1は、必ずしも、上記実施形態で説明された全ての効果を発揮するように構成される必要はなく、上記実施形態で説明された一部の効果のみを発揮するように構成されてもよい。後者の場合には、情報処理システム1は、少なくとも当該一部の効果を発揮するために必須の構成を備えていればよく、当該一部の効果を発揮するために必須ではない構成は適宜省略又は変更されてもよい。なお、一の効果に着目した場合において、当該一の効果を発揮するために必須の構成は、当業者を基準として、技術常識及び本明細書の記載に基づいて、合理的に把握されるべきである。以下、本開示の情報処理システムについて、いくつかの具体的な変形例を例示するが、情報処理システムの変形例が以下に例示する具体的な形態のみに限定されないことはいうまでもない。
【0096】
上記実施形態では、乳幼児の泣き声の音声データとその解析結果が乳幼児の行動情報として取得されたが、乳幼児の行動情報は、泣き動作以外の乳幼児の行動を示す情報であってもよい。その場合、検知対象となる乳幼児の行動の内容に応じたセンサ装置が家庭L2内に設置されればよい。或いは、乳幼児の行動情報は、保護者によって手動で入力されて管理サーバ10に送信されてもよい。例えば、保護者は、産後ケアセンター、産院、助産院、乳幼児睡眠コンサルタント等の第三者に相談するために、自身の観察により把握された乳幼児の行動、或いはセンサ装置30の出力から把握された乳幼児の行動を示す行動情報を、保護者端末50に入力してもよい。このように、乳幼児の行動情報は、保護者端末50を介して管理サーバ10へと送信されてもよい。また、保護者は、いわゆる育児ログ(例えば、食事、排泄、睡眠の時間や、泣いていた期間等)を乳幼児の行動情報として管理サーバ10に送信してもよい。例えば、保護者端末50にインストールされた育児アプリに対して保護者によって入力された育児ログが、乳幼児の行動情報として管理サーバ10に送信されてもよい。
【0097】
また、上記実施形態におけるデータの流れは、適宜変更されてもよい。例えば、上記実施形態では、管理サーバ10が解析サーバ40に対して行動情報に含まれる音声データの解析を要求したが、センサ装置30が解析サーバ40に対して音声データの解析を要求してもよい。この場合、センサ装置30が解析サーバ40から返却された解析結果を管理サーバ10に送信してもよい。
【0098】
また、上記実施形態における構成要素の一部は、適宜省略されてもよい。例えば、上記実施形態では、解析サーバ40によって音声データの解析(泣いている乳幼児の感情の推定)が実施されたが、管理サーバ10又はセンサ装置30が当該解析機能を有してもよい。その場合、解析サーバ40は省略され得る。
【0099】
また、上記実施形態では、センサ装置30は、施設L1の担当者から乳幼児の保護者へと貸し出されたが、センサ装置30は、ユーザ(保護者)によって施設L1とは別の場所で購入(取得)されてもよい。ただし、上記実施形態のように施設L1から保護者に対してセンサ装置30を貸し出す形態を採用することにより、センサ装置30を貸し出す際に、施設L1経由で乳幼児の基本情報を適切且つ容易に管理サーバ10に登録することができる。
【符号の説明】
【0100】
10…管理サーバ(情報処理装置)、11…第1取得部、12…第2取得部、13…生成部、14…提供部。