(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176617
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】光照射装置及び画像投射装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20241212BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241212BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20241212BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241212BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241212BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241212BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20241212BHJP
F21V 7/30 20180101ALI20241212BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20241212BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20241212BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241212BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241212BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
G09G3/34 J
G09G3/20 642J
G09G3/20 680C
G09G3/34 D
G09G3/20 680B
F21S2/00 311
F21V23/00 140
F21V7/28 250
F21V7/30
F21V9/40 200
H04N9/31 500
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095324
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修
【テーマコード(参考)】
2K203
3K014
5C060
5C080
【Fターム(参考)】
2K203FA06
2K203FA07
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA45
2K203FA54
2K203FA62
2K203FB03
2K203GA32
2K203GA35
2K203GA40
2K203GA45
2K203GA46
2K203GA52
2K203HA25
2K203HA30
2K203HB22
2K203MA06
3K014AA01
5C060GA01
5C060GB06
5C060JA16
5C080AA10
5C080AA17
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD03
5C080DD08
5C080DD20
5C080DD26
5C080EE19
5C080EE21
5C080EE25
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5C080FF03
5C080GG02
5C080GG05
5C080GG12
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080KK01
5C080KK26
5C080KK34
5C080KK36
5C080KK42
(57)【要約】
【課題】光照射装置から出射される色選択光の色再現性が得られないスポーク期間を短くする。
【解決手段】複数の個別光F1,F2を重畳させた重畳光が通る重畳光路を順次横切るように複数の色選択部を移動させる色選択移動部材と、重畳光が複数の色選択部の各々に入射して得られる各色選択光を順次出射する出射部と、を有する光照射装置であって、重畳光を構成する一部の個別光における色選択移動部材上の入射スポットS21が、他の個別光における色選択移動部材上の入射スポットS22に対して、複数の色選択部の横切る方向Aへずれており、一部の個別光のみからなる色選択移動部材上の入射スポット部分W1を複数の色選択部間に存在する境界部53bが横切る期間(T3-T1)、他の個別光による色選択光を出射部から出射させつつ、一部の個別光による色選択光を出射部から出射させない出射制御を行う制御部を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光を重畳させた重畳光が通る重畳光路を、互いに異なる色に対応する複数の色選択部が順次横切るように該複数の色選択部を移動させる色選択移動部材と、
前記重畳光が前記複数の色選択部の各々に入射して得られる各色選択光を順次出射する出射部と、を有する光照射装置であって、
前記重畳光を構成する一部の個別光における前記色選択移動部材上の入射スポットが、前記重畳光を構成する他の個別光における前記色選択移動部材上の入射スポットに対して、前記複数の色選択部の横切る方向へずれており、
前記一部の個別光のみからなる前記色選択移動部材上の入射スポット部分を前記複数の色選択部間に存在する境界部が横切る期間、前記他の個別光による色選択光を前記出射部から出射させつつ、前記一部の個別光による色選択光を前記出射部から出射させない出射制御を行う制御部を有することを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射装置において、
前記複数の個別光をそれぞれ出力する複数の光源を有し、
前記出射制御では、前記一部の個別光を出力する光源を出力停止させることにより、前記一部の個別光による色選択光を前記出射部から出射させないように制御することを特徴とする光照射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光照射装置において、
前記複数の光源は、青波長領域の青色光を出力する青色光源を含み、
前記青色光が入射されることで青波長領域よりも長い波長の波長帯域の波長変換光を発する波長変換部と前記青色光を反射する反射部とが、前記青色光の通る個別光路を順次横切るように、前記波長変換部及び前記反射部を移動させる波長変換移動部材を有し、
前記波長変換移動部材の移動は、前記色選択移動部材の移動と同期されていることを特徴とする光照射装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射装置において、
前記入射スポット部分は、前記重畳光を構成する前記複数の個別光における前記色選択移動部材上の各入射スポットのうち、前記境界部が横切る方向の最上流側に位置する入射スポットの部分若しくは最下流側に位置する入射スポットの部分又はその両方であることを特徴とする光照射装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射装置において、
前記複数の色選択部は、互いに異なる分光透過率を有する複数の光透過フィルタ部を含むことを特徴とする光照射装置。
【請求項6】
光照射装置と、
前記光照射装置から出射される光を用いて画像を生成する画像生成部とを備えた画像投射装置において、
前記光照射装置として、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射装置を用いることを特徴とする画像投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置及び画像投射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光を重畳させた重畳光が通る重畳光路を、互いに異なる色に対応する複数の色選択部が順次横切るように該複数の色選択部を移動させる色選択移動部材と、前記重畳光が前記複数の色選択部の各々に入射して得られる各色選択光を順次出射する出射部と、を有する光照射装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プロジェクタ(画像投写装置)に用いられる光照射装置として、2つの光源モジュールからの各出射光(個別光)をそれぞれ各蛍光体ホイールに照射し、各蛍光体ホイール上の各蛍光体領域で励起された蛍光を光学素子で空間的に合成する照明装置が開示されている。この照明装置では、空間的に合成した光束(重畳光)がフィルターホイール(色選択移動部材)の各フィルタ領域(色選択部)へ入射し、各フィルタ領域で波長選択された光(色選択光)が順次、映像生成部に向けて出射される。これにより、照明装置では、映像生成部に対し、赤色光、緑色光、青色光、黄色光の4色の光を時間的に切り替えなら出射する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光を重畳させた重畳光を色選択移動部材上に入射させる光照射装置では、光照射装置から出射される色選択光の色再現性が得られないスポーク期間が長いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光を重畳させた重畳光が通る重畳光路を、互いに異なる色に対応する複数の色選択部が順次横切るように該複数の色選択部を移動させる色選択移動部材と、前記重畳光が前記複数の色選択部の各々に入射して得られる各色選択光を順次出射する出射部と、を有する光照射装置であって、前記重畳光を構成する一部の個別光における前記色選択移動部材上の入射スポットが、前記重畳光を構成する他の個別光における前記色選択移動部材上の入射スポットに対して、前記複数の色選択部の横切る方向へずれており、前記一部の個別光のみからなる前記色選択移動部材上の入射スポット部分を前記複数の色選択部間に存在する境界部が横切る期間、前記他の個別光による色選択光を前記出射部から出射させつつ、前記一部の個別光による色選択光を前記出射部から出射させない出射制御を行う制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光を重畳させた重畳光を色選択移動部材上に入射させる光照射装置において、光照射装置から出射される色選択光の色再現性が得られないスポーク期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る照明装置を備えた画像投射装置の構成の一例を示す図。
【
図3】同照明装置における蛍光体ホイールの一例を示す説明図。
【
図4】同照明装置におけるカラーホイールの一例を示す説明図。
【
図5】実施形態における画像投射装置のハードウェア構成図。
【
図6】カラーホイール上における非重畳光の入射スポットをカラーホイールの境界部が横切るときの説明図。
【
図7】カラーホイール上における重畳光の入射スポットをカラーホイールの境界部が横切るときの説明図。
【
図8】(a)は、蛍光体ホイール及びカラーホイールの同期タイミングを調整するときの駆動電流波形と光出力波形とを示す説明図。(b)は、2つの光源ユニットのうちの第一光源ユニットを点灯し、第二光源ユニットを消灯した状態での光出力波形を示す説明図。(c)は、2つの光源ユニットのうちの第二光源ユニットを点灯し、第一光源ユニットを消灯した状態での光出力波形を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る光照射装置を、画像投射装置であるプロジェクタの照明装置に適用した一実施形態について説明する。
なお、本発明は、プロジェクタ以外の画像投射装置(例えばヘッドアップディスプレイなど)の光照射装置としても適用可能であるし、画像投射装置以外の光照射装置としても適用可能である。
【0009】
図1は、本実施形態に係る光照射装置としての照明装置10を備えた画像投射装置100の構成の一例を示す図である。
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向であり、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向として示すが、かかる構成に限定されるものではない。
【0010】
画像投射装置100は、照明装置10と、照明装置10からの照明光を変調して画像を生成する画像生成部としてのDMD(Digital Micromirror Device)101とを備えている。また、画像投射装置100は、照明装置10から出力された光を略均一に照明してDMD101へと導く照明光学系102と、DMD101によって空間変調された光を投射面104へと拡大して投射する投射光学系103と、を有している。
【0011】
DMD101は、表面に配置された微小鏡面によって入射した光束を反射することで、照明装置10からの照明光から画像を生成する。なお、画像生成部としては、DMD101のほか、透過型液晶素子や反射型液晶素子等の液晶パネルを用いる構成などを採用することもできる。
【0012】
投射光学系103は、DMD101よりも光路の下流側にあって、スクリーンである投射面104に向けて投射するための光学系である。照明光学系102は、照明装置10からの照明光をDMD101に向けて誘導するための光学系である。これらの光学系は、レンズやミラーを含む光学素子で構成され、画像投射装置100の筐体105内に配置されている。
【0013】
図2は、照明装置10の概略構成を示す平面図(照明装置10を上から見た図)である。
照明装置10は、
図2に示すように、第一光源ユニットLS1と、第二光源ユニットLS2と、重畳用光学素子としてのプリズム2と、色選択移動部材としてのカラーホイール53と、光均一化素子としての出射部であるロッドインテグレータ3とを有している。
【0014】
重畳用光学素子であるプリズム2は、4面以上の多面を持つ多面体である。プリズム2の多面のうち、第一光源ユニットLS1からの光F1が入射する面は反射面2Aであり、第二光源ユニットLS2からの光F2が入射する面は透過面2Bである。
【0015】
プリズム2の第二光源ユニットLS2からの光F2が透過する透過面2B等を拡散面にするのが好ましい。拡散面とすることで、拡散面を通過する光の色や輝度のムラを解消することができる。なお、プリズム2に拡散面を設けずに、別途拡散板を設けて、色や輝度のムラの解消するようにしてもよい。
【0016】
プリズム2は、第一光源ユニットLS1からの光F1を反射面2Aで反射し、第二光源ユニットLS2からの光F2を透過面2Bで透過して光F1と光F2とを合成し(重畳させ)、略同一方向へと向かう光束(重畳光)としてロッドインテグレータ3へと誘導する。
【0017】
なお、本実施形態では、重畳用光学素子としてプリズム2を用いているが、2つ以上の光源ユニットからの光F1、F2を略同一方向へと重畳(合成)してロッドインテグレータ3へ誘導可能な光学素子であればよい。
【0018】
ロッドインテグレータ3は、棒状のガラスであり、内部で入射光が複数回反射することで光を均質化する光学素子である。具体的には、プリズム2により重畳(合成)され、カラーホイール53を通過した光F1、F2の照度や光強度分布を均質化し、出射光である照明光Lとして出力する。
【0019】
本実施形態では、光均一化素子として高効率性、高出力性に優れたロッドインテグレータ3を用いたが、光均一化素子として、ミラーを4面貼り合わせた角柱状のライトトンネルや、フライアイレンズなどを用いてもよい。
【0020】
次に、第一光源ユニットLS1及び第二光源ユニットLS2について説明する。
第一光源ユニットLS1と第二光源ユニットLS2は、実質的に同じ構成であるため、ここでは第一光源ユニットLS1について各要素を説明するとともに、第二光源ユニットLS2を構成する各要素についても同一の付番をして説明を適宜省略する。
【0021】
第一光源ユニットLS1は、励起光の光源たるLED光源11と、LED光源11に対向して配置されたコリメータレンズ12と、光源光学系13と、集光素子14と、マイクロレンズアレイ19と、ダイクロイックミラー15とを備えている。また、第一光源ユニットLS1は、波長変換移動部材としての円盤状の蛍光体ホイール17と、第一集光光学系16と、第二集光光学系18も備えている。
【0022】
LED光源11は、複数の発光部を一次元もしくは二次元アレイ状に配列されたマルチチップのレーザーダイオードユニットである。
【0023】
LED光源11の各発光部に対向する位置には、コリメータレンズ12が配置されており、各発光部から出射される励起光を平行光束へと変換する。光源光学系13は、コリメータレンズ12によって平行光となった励起光を集光するレンズである。ここで、光源の中心部は、一般的には光源から出射される励起光の光軸に一致する。そのため、光源光学系13は、光源の中心部と、光源光学系13の光軸との位置が揃えられるように設けられる。
【0024】
集光素子14は、光源光学系13の後段に配置された負のパワーをもつレンズであり、光源光学系13の集光性を緩和する。集光素子14を透過して集光性が緩和された光束は、光プロファイル調整素子たるマイクロレンズアレイ19に入射する。マイクロレンズアレイ19は、蛍光体ホイール17上の所望の位置に照射された光の照射スポットの光強度分布を均一化する。
【0025】
マイクロレンズアレイ19を透過した光束は、ダイクロイックミラー15によって特定波長の光のみが反射され、第一集光光学系16によって蛍光体ホイール17上の所望の位置に照射スポットを生じさせる。換言すると、照射スポットの近傍に蛍光体ホイール17を設けている。なお、ダイクロイックミラー15に替えて、反射型回析光学素子(DOE)を用いてもよい。
【0026】
図3は、蛍光体ホイール17の一例を示す説明図である。
蛍光体ホイール17は、駆動モータによって回転軸17aを中心に高速で回転するように構成された円盤状部材である。本実施形態の蛍光体ホイール17は、蛍光体が塗布された波長変換部である2つの蛍光体領域17A,17Bと、励起光を反射する反射部である励起光反射領域17Cとを有している。蛍光体ホイール17が回転することで、これらの領域17A,17B,17Cが、第一集光光学系16により集光された光の照射スポットS1を横切るように移動し、照射スポットS1の位置において2つの蛍光体領域17A,17B及び励起光反射領域17Cが順次切り替わる。
【0027】
本実施形態では、LED光源11から出射される励起光として、発光強度の中心波長が455nmである青色光を用いている。そのため、照射スポットS1の位置に蛍光体ホイール17の励起光反射領域17Cが位置するときは、波長変換せずに、そのまま青色光が出力される。一方、照射スポットS1の位置に蛍光体ホイール17の第一蛍光体領域17Aが位置するときには、黄色の蛍光に波長変換された黄色光が出力される。また、照射スポットS1の位置に蛍光体ホイール17の第二蛍光体領域17Bが位置するときには、緑色の蛍光に波長変換された緑色光が出力される。
【0028】
なお、本実施形態の蛍光体ホイール17は、2つの蛍光体領域17A,17Bと励起光反射領域17Cとに分かれている例を示しているが、1つの蛍光体領域又は3つ以上の蛍光体領域を持つ構成や、2以上の励起光反射領域を持つ構成などであってもよい。
【0029】
蛍光体ホイール17から出力された光束は、
図2に示すように、再び第一集光光学系16を通過した後、リレーレンズ系によって構成された第二集光光学系18によって集光される。その後、第一光源ユニットLS1からの光F1であれば、プリズム2の反射面2Aで折り返されてカラーホイール53を通過して、ロッドインテグレータ3へと入射する。第二光源ユニットLS2からの光F2であれば、プリズム2の透過面2Bを透過し、同様にカラーホイール53を通過して、ロッドインテグレータ3へと入射する。
【0030】
図4は、カラーホイール53の一例を示す説明図である。
カラーホイール53は、プリズム2とロッドインテグレータ3との間の光路(重畳光路)上に配置されており、駆動モータによって回転軸53aを中心に図中矢印Aの向きに高速で回転するように構成された円盤状部材である。なお、カラーホイール53は、ロッドインテグレータ3の光路下流側側(出射側)に配置してもよい。
【0031】
本実施形態のカラーホイール53は、互いに異なる分光透過率を有する複数の光透過フィルタ部としての色選択領域を有する。具体的には、黄色光を出力する黄色領域53A、赤色光を出力する赤色領域53B、緑色光を出力する緑色領域53C、青色光を出力する青色領域53Dという4つの色選択領域を有している。なお、これらの色選択領域53A,53B,53C,53Dのうちの一部は、そのまま光を透過する透過部であってもよい。
【0032】
カラーホイール53が回転すると、これらの色選択領域53A,53B,53C,53Dが、各光源ユニットLS1、LS2からの光F1,F2がプリズム2によって重畳(合成)された光束(重畳光)の光路(入射スポットS2)を横切るように移動する。これにより、その光路(入射スポットS2)上において4つの色選択領域53A,53B,53C,53Dが順次切り替わり、黄、赤、緑、青に時分割された光がロッドインテグレータ3へ出力される。
【0033】
カラーホイール53は、蛍光体ホイール17と同じ回転数で蛍光体ホイール17に同期させて回転制御される。本実施形態のように、蛍光体ホイール17により黄色、緑色、青色の光に時分割された光がカラーホイール53に順次入射する場合、次のようにカラーホイール53が回転制御される。すなわち、カラーホイール53の黄色領域53Aが蛍光体ホイール17の黄色に対応する第一蛍光体領域17Aの半分に対応し、カラーホイール53の赤色領域53Bが蛍光体ホイール17の黄色に対応する第一蛍光体領域17Aの残り半分に対応し、カラーホイール53の緑色領域53Cが蛍光体ホイール17の緑色に対応する第二蛍光体領域17Bに対応し、カラーホイール53の青色領域53Dが蛍光体ホイール17の青色に対応する励起光反射領域17Cに対応するように、カラーホイール53が回転制御される。
【0034】
カラーホイール53の青色領域53Dは、透過拡散板で構成するのが好ましい。青色領域53Dを透過拡散板とすることで、LED光源11のコヒーレンスを低減することが可能となり、投射面104上でのスペックルを低減させることができる。一方、カラーホイール53の黄色領域53Aは、第一蛍光体領域17Aで発光する黄色の蛍光の波長領域をそのまま透過させる透過板で構成してもよい。カラーホイール53の赤色領域53Bは、例えば、蛍光体ホイール17の第一蛍光体領域17Aで発光する黄色の蛍光のうちの赤色の波長領域を透過し、かつ、それ以外の波長を反射させるダイクロイックミラーを配置する。また、カラーホイール53の緑色領域53Cは、第二蛍光体領域17Bで発光する緑色の蛍光の波長領域をそのまま透過させる透過板で構成してもよい。
【0035】
このように、蛍光体ホイール17とカラーホイール53によって時分割された黄、赤、緑、青の光がロッドインテグレータ3に順次入射し、各光はロッドインテグレータ3により均一化された後にDMD101へ導かれる。そして、外部機器接続I/F818等(
図5参照)を介して与えられた画像データに基づいて、DMD101により各色に対応した画像を形成し、投射光学系103によって投射面104へと拡大した画像が投射される。
【0036】
本実施形態の画像投射装置100の用途としては、業務用(ビジネス・会議・プレゼン等の投影表示)、家庭用、医療用(レントゲンのX線画像、MRI(magnetic resonance imaging)画像などモノクロの医療用画像の投影表示)、パブリック用(パブリックプレイス、店舗、交通機関での各種案内、広告、サイネージなどの投影表示)、工場設置用、など様々な場面で用いることができる。
【0037】
また、本実施形態の画像投射装置100は、上述したそれぞれの用途に応じた投射モード(カラーモード、動画モード、画像モード、医療用画像を投影する医療用モード、案内やサイネージを屋外や店舗等で投影するパブリックモード等)を持っている。モードの変更に応じて、光源、電力、冷却、出力等の駆動方法や駆動量の制御を自動で変更してもよい。
【0038】
図5は、本実施形態における画像投射装置100のハードウェア構成図である。
図5に示すように、画像投射装置100は、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803を備えている。また、画像投射装置100は、メディアI/F(Interface)807、操作部808、電源スイッチ809、バスライン810、ネットワークI/F811、LED(Light Emitting Diode)駆動回路814、外部機器接続I/F(Interface)818、ファン駆動回路819、冷却ファン820等も備えている。
【0039】
CPU801は、画像投射装置100全体の動作を制御する。ROM802は、CPU801の駆動に用いられるプログラムやデータを記憶する。RAM803は、CPU801のワークエリアとして使用される。メディアI/F807は、可搬型の記録メディア806に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0040】
操作部808は、種々のキー、ボタン及びLED等が配設されており、ユーザによる画像投射装置100の電源のON/OFF以外の各種操作を行うのに使用される。例えば、操作部808は、投写画像の大きさの調整操作、色調の調整操作、ピント調整操作、キーストン調整操作等の指示操作を受け付けて、受け付けた操作内容をCPU801に出力する。電源スイッチ809は、画像投射装置100の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。
【0041】
バスライン810は、
図8に示されているCPU801等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。ネットワークI/F811は、インターネット等の通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。LED駆動回路814は、CPU801の制御下で、LED光源11の点灯及び消灯を制御する。
【0042】
外部機器接続I/F818は、直接、PC(Personal Computer)が接続され、PCとの間で、制御信号や画像データを取得する。ファン駆動回路819は、CPU801及び冷却ファン820に接続されており、CPU801からの制御信号に基づいて、冷却ファン820の駆動/駆動停止を行う。冷却ファン820は、回転することで、画像投射装置100内部の空気を排気して、画像投射装置100内部を冷却する。
【0043】
また、CPU801は、電源電力が供給されると、ROM802に予め記憶されている制御プログラムに従って起動し、LED駆動回路814に制御信号を与えてLED光源11を点灯させる。また、ファン駆動回路819に制御信号を与えて冷却ファン820を所定の定格回転数で回転させる。また、画像投射装置100は、電源回路からの電源電力の供給が開始されると、DMD101が画像表示可能状態になり、更に、他の種々の構成要素へ電源回路から電力が供給される。
【0044】
また、画像投射装置100は、電源スイッチ809がOFF操作されると、電源スイッチ809から電源OFF信号がCPU801に送られ、CPU801は、電源OFF信号を検知すると、LED駆動回路814へ制御信号を与えてLED光源11を消灯させる。CPU801は、その後、所定時間が経過すると、ファン駆動回路819へ制御信号を与えて冷却ファン820を停止させるとともに、自身で自身の制御処理を終了させ、最後に電源回路へ指示を与えて電源電力の供給を停止させる。
【0045】
次に、本実施形態における照明装置10で生じるスポーク期間について説明する。
本実施形態の照明装置10は、カラーホイール53へ入射する光の光路を横切るようにカラーホイール53上の4つの色選択領域53A,53B,53C,53Dを移動させて、各領域から出力される各色の光(色選択光)を順次出射する。このような照明装置10では、カラーホイール53から出力される各色の光の色再現性が得られないスポーク期間が発生する。
【0046】
詳しく説明すると、カラーホイール53上の各色選択領域53A,53B,53C,53D間には境界部53bが存在する。その境界部53bの幅(カラーホイール53の回転方向Aにおける境界部53bの長さ)は、通常、
図6に示すように、カラーホイール53上に入射する光の入射スポットS2の幅よりも小さい。そのため、カラーホイール53上に入射する光の入射スポットS2を境界部53bが横切る期間T'(=T2'-T1')は、境界部53bをまたがる2つの色選択領域(例えば、黄色領域53Aと赤色領域53B)に光が同時に入射し、2つの色選択領域の色が混色した光がカラーホイール53から出力され、照明装置10から出射される。なお、
図6には、入射スポットS2が真円で表されているが、実際には光源デバイスの配置等によりスポット形状は決定される。
【0047】
このような混色光は、カラーホイール53上の各色選択領域53A,53B,53C,53Dのどの色についても色再現性が得られない。そのため、カラーホイール53上に入射する光の入射スポットS2を境界部53bが横切る期間T'は、スポーク期間として、例えば、画像投射装置100のROM802等に記憶され、画像投射装置100のCPU801は、当該スポーク期間の光を画像の色再現に使用しない不使用期間として処理する。
【0048】
一般に、このスポーク期間T'(=T2'-T1')が長いと、照明装置10(光照射装置)からの出射光の使用可能期間が短くなり、不効率となる。特に、本実施形態のように照明装置10からの出射光を画像投射に使用する場合、スポーク期間T'が長いと、投写される画像における各色の色再現に必要な時間が短くなり、画像上における色再現性、特に階調性の再現に影響を与える。具体的には、アーティファクトが発生し、色のグラデーションがスムーズに再現できなくなる。そのため、従来は、境界部53bの幅を小さくしたり、入射スポットS2の幅を小さくしたりすることにより、なるべくスポーク期間T'を短くするようにしていた。
【0049】
ところが、本実施形態のように、互いに異なる複数の光路(個別光路)を通る各光源ユニットLS1、LS2からの光F1,F2(個別光)を重畳させた光束(重畳光)をカラーホイール53上に入射させる構成では、非重畳光(1つの個別光のみからなる光)をカラーホイール53上に入射させる構成と比較して、スポーク期間が長くなってしまうことが多い。
【0050】
詳しくは、この構成においては、各光源ユニットLS1、LS2からの光F1,F2をカラーホイール53上の各入射スポットが完全に重なるように重畳させること(
図6に示すように単一の入射スポットにすること)は、困難である。したがって、
図7に示すように、第一光源ユニットLS1からの光F1におけるカラーホイール53上の入射スポットS21が、第二光源ユニットLS2からの光F2におけるカラーホイール53上の入射スポットS22に対して、カラーホイール53上の4つの色選択領域53A,53B,53C,53Dが横切る方向(すなわちカラーホイール53の回転方向A)へずれた状態になる。
【0051】
このずれた状態における光F1,F2の重畳光の入射スポットの幅Wは、非重畳光(1つの個別光のみからなる光)の入射スポットS2の幅W'よりも大きいものとなる。そのため、光F1,F2の重畳光をカラーホイール53上に入射させる構成では、カラーホイール53上に入射する光の入射スポットを境界部53bが横切る期間(T2-T1)が、非重畳光をカラーホイール53上に入射させる構成の期間T'(=T2'-T1')
よりも長くなり、その分だけスポーク期間が長くなる。
【0052】
ここで、光F1,F2の重畳光を構成する一部の個別光F1,F2のみからなるカラーホイール53上の入射スポット部分W1,W2を境界部53bが横切る期間について見る。
例えば、光F1のみからなる入射スポットS21の部分W1を境界部53bが横切る期間(T3-T1)を見ると、この期間(T3-T1)では、光F1の入射スポットS21内に境界部53bが存在し、境界部53bをまたがる2つの色選択領域(例えば、黄色領域53Aと赤色領域53B)に光F1が同時に入射されることになる。そのため、光F1による色選択光は混色した状態になり、光F1を含む重畳光の色選択光全体も混色状態になる。よって、この期間(T3-T1)も光F1,F2の重畳光による色選択光を出射しつづける場合には、この期間(T3-T1)をスポーク期間として取り扱う必要がある。
【0053】
しかしながら、この期間(T3-T1)では、他方の光F2については、その入射スポットS22内に境界部53bが存在しない。したがって、他方の光F2による色選択光は混色していない。そこで、本実施形態においては、光F1,F2の重畳光を構成する一方の光F1のみからなるカラーホイール53上の入射スポットS21の部分W1を境界部53bが横切る期間(T3-T1)については、他方の光F2による色選択光をロッドインテグレータ3から出射させつつ、当該一方の光F1による色選択光をロッドインテグレータ3から出射させない出射制御を行う。この出射制御は、例えば、他方の光F2の第二光源ユニットLS2のLED光源11は点灯させつつ、一方の光F1の第一光源ユニットLS1のLED光源11だけを消灯させるという光源制御により容易に実現することができる。
【0054】
これにより、期間(T3-T1)では、混色している光F1による色選択光を含まず、混色していない光F2による色選択光のみが、ロッドインテグレータ3から出射される。その結果、この期間(T3-T1)は、混色していない色選択光が出射されることになるので、スポーク期間として扱う必要がなくなる。よって、この期間(T3-T1)も光F1,F2の重畳光による色選択光を出射し続ける場合よりも、スポーク期間を短くすることができる。
【0055】
また、光F2のみからなる入射スポットS22の部分W2を境界部53bが横切る期間(T2-T4)についても同様である。すなわち、この期間(T2-T4)では、光F2の入射スポットS22内に境界部53bが存在し、境界部53bをまたがる2つの色選択領域(例えば、黄色領域53Aと赤色領域53B)に光F2が同時に入射されることになる。そのため、光F2による色選択光は混色した状態になり、光F2を含む重畳光の色選択光全体も混色状態になる。よって、この期間(T2-T4)も光F1,F2の重畳光による色選択光を出射しつづける場合には、この期間(T2-T4)をスポーク期間として取り扱う必要がある。
【0056】
しかしながら、この期間(T2-T4)では、他方の光F1については、その入射スポットS21内に境界部53bが存在しない。したがって、他方の光F1による色選択光は混色していない。そこで、本実施形態においては、光F1,F2の重畳光を構成する一方の光F2のみからなるカラーホイール53上の入射スポットS22の部分W2を境界部53bが横切る期間(T2-T4)については、他方の光F1による色選択光をロッドインテグレータ3から出射させつつ、当該一方の光F2による色選択光をロッドインテグレータ3から出射させない出射制御を行う。この出射制御は、例えば、他方の光F1の第一光源ユニットLS1のLED光源11は点灯させつつ、一方の光F2の第二光源ユニットLS2のLED光源11だけを消灯させるという光源制御により容易に実現することができる。
【0057】
これにより、期間(T2-T4)では、混色している光F2による色選択光を含まず、混色していない光F1による色選択光のみが、ロッドインテグレータ3から出射される。その結果、この期間(T2-T4)は、混色していない色選択光が出射されることになるので、スポーク期間として扱う必要がなくなる。よって、この期間(T2-T4)も光F1,F2の重畳光による色選択光を出射し続ける場合よりも、スポーク期間を短くすることができる。
【0058】
なお、光F1,F2の入射スポットS21,S22が互いに重なっている部分W3を境界部53bが横切る期間(T4-T3)については、いずれの入射スポットS21,S22内にも境界部53bが存在し、いずれの光F1,F2による色選択光も混色状態になる。そのため、この期間(T4-T3)は、混色していない色選択光を出射することができないので、スポーク期間として取り扱うことになる。したがって、本実施形態のスポーク期間Tは、光F1,F2の入射スポットS21,S22が互いに重なっている部分W3を境界部53bが横切る期間(T4-T3)のみとなる。
【0059】
本実施形態のスポーク期間Tは、各光F1,F2のカラーホイール53上の各入射スポットS21,S22が完全に重なるように重畳させた場合(
図6に示すように単一の入射スポットになる場合)のスポーク期間T'よりも、更に短いものとなる。したがって、スポーク期間を短くすることを優先するならば、各光F1,F2のカラーホイール53上の各入射スポットS21,S22を意図的にずらしてもよい。この場合のずらし量は、スポーク期間が短くなるメリットと、各光F1,F2の入射スポットが重なる面積が小さくなることのデメリットとを比較して、適宜設定する。
【0060】
本実施形態において、上述したようにスポーク期間を短くするための光源制御を実施するためには、LED光源11、蛍光体ホイール17、カラーホイール53及びDMD101の動作の同期をとる必要がある。例えば、青色画像を表示する期間では、蛍光体ホイール17及びカラーホイール53の同期によって当該期間にわたって青色光が適切に生成され、かつ、この期間にDMD101が青色の画像を適切に表示するように動作すべく、DMD101の動作についても同期をとる必要がある。そして、本実施形態においては、更に、スポーク期間を短くするための光源制御を実施するために、2つの光源ユニットLS1、LS2のLED光源11の動作についても同期をとる必要がある。
【0061】
同期の調整方法については種々挙げられるが、一例を以下に示す。
まず、
図8(a)に示すように、2つの光源ユニットLS1、LS2のLED光源11の駆動電流波形と光出力波形をオシロスコープで観測する。例えば、青色画像の表示期間に2つの光源ユニットLS1、LS2のLED光源11を点灯させる場合を想定する。このとき、2つの光源ユニットLS1、LS2のLED光源11に同じ駆動電流波形を入力して、2つの光源ユニットLS1、LS2のLED光源11の点灯期間に、蛍光体ホイール17の励起光反射領域17C及びカラーホイール53の青色領域53DがスポットS1,S2を通るように調整する。具体的には、
図8に示すように、光出力波形には、高い光出力が得られる期間の前後に光出力が落ち込む期間Ts1,Ts2が生じるので、これらの2つの期間Ts1,Ts2が同じ時間幅になるように、蛍光体ホイール17及びカラーホイール53のタイミングを調整する。このタイミングが最適化されていないと、隣り合う色のタイミングがずれて正しい色が再現できなくなる。
【0062】
次に、本実施形態では、2つの光源ユニットLS1、LS2のうちの第一光源ユニットLS1を点灯し、第二光源ユニットLS2を消灯した状態で、そのときの光出力波形をオシロスコープで観測する。そして、
図8(b)に示すように、このときの光出力が落ち込むタイミングt1,t4を測定する。また、2つの光源ユニットLS1、LS2のうちの第二光源ユニットLS2を点灯し、第一光源ユニットLS1を消灯した状態で、そのときの光出力波形をオシロスコープで観測する。そして、
図8(c)に示すように、このときの光出力が落ち込むタイミングt3,t2を測定する。これらのタイミングt1~t4は、
図7に示したタイミングT1~T4に対応するタイミングである。したがって、このタイミングt1~t4からスポーク期間T(=t4-t3)を得ることができ、このタイミングt1~t4に基づいて、2つの光源ユニットLS1、LS2の光源制御を行うことにより、スポーク期間を短くすることができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0064】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光(例えば第一光源ユニットLS1からの光F1と第二光源ユニットLS2からの光F2)を重畳させた重畳光が通る重畳光路を、互いに異なる色に対応する複数の色選択部(例えば色選択領域53A,53B,53C,53D)が順次横切るように該複数の色選択部を移動させる色選択移動部材(例えばカラーホイール53)と、前記重畳光が前記複数の色選択部の各々に入射して得られる各色選択光(例えば黄色光、赤色光、緑色光、青色光)を順次出射する出射部(例えばロッドインテグレータ3)と、を有する光照射装置(例えば照明装置10)であって、前記重畳光を構成する一部の個別光(例えば光F1)における前記色選択移動部材上の入射スポット(例えばS21)が、前記重畳光を構成する他の個別光(例えば光F2)における前記色選択移動部材上の入射スポット(例えばS22)に対して、前記複数の色選択部の横切る方向(例えばカラーホイール53の回転方向A)へずれており、前記一部の個別光のみからなる前記色選択移動部材上の入射スポット部分(例えばW1)を前記複数の色選択部間に存在する境界部53bが横切る期間(例えばT3-T1)、前記他の個別光による色選択光を前記出射部から出射させつつ、前記一部の個別光による色選択光を前記出射部から出射させない出射制御を行う制御部(例えばCPU801等)を有することを特徴とするものである。
一般に、色選択移動部材へ入射する光の光路を横切るように色選択移動部材上の複数の色選択部を移動させて、各色選択部から射出される各色選択光を順次出射する光照射装置においては、出射される色選択光の色再現性が得られないスポーク期間が発生する。詳しく説明すると、色選択移動部材上の複数の色選択部間には境界部が存在し、その境界部の幅は、通常、色選択移動部材上に入射する光の入射スポットの幅よりも小さい。そのため、色選択移動部材上に入射する光の入射スポットを境界部が横切る期間は、境界部をまたがる2つの色選択部に光が同時に入射し、2つの色選択部の色選択光が混色した状態で光出射装置から出射される。このような混色光は、どの色選択光についても色再現性が得られない。そのため、この期間をスポーク期間として、光照射装置からの出射光(順次出力される各色選択光)を受ける後段装置(例えば画像投射装置)では、例えば、光照射装置からの出射光を画像の色再現に使用しない不使用期間として処理する。したがって、このスポーク期間が長いと、後段装置において光照射装置からの出射光の使用期間が短くなり、不効率となる。よって、従来は、境界部の幅を小さくしたり、入射スポットの幅を小さくしたりすることにより、なるべくスポーク期間を短くするようにしていた。
ところが、特許文献1に記載された照明装置のように、互いに異なる複数の個別光路を通る複数の個別光を重畳させた重畳光を色選択移動部材上に入射させる構成では、非重畳光(1つの個別光のみからなる光)を色選択移動部材上に入射させる構成と比較して、スポーク期間が長くなってしまうことが多い。詳しくは、この構成においては、複数の個別光路を通る複数の個別光を、色選択移動部材上の各入射スポットが完全に重なるように重畳させることが困難である。したがって、重畳光を構成する一部の個別光における色選択移動部材上の入射スポットが、他の個別光における色選択移動部材上の入射スポットに対して、色選択移動部材上の複数の色選択部が横切る方向へずれた状態になる。このずれた状態における重畳光の入射スポット幅(当該横切る方向における入射スポットの長さ)は、非重畳光(1つの個別光のみからなる光)の入射スポット幅よりも大きいものとなる。そのため、重畳光を色選択移動部材上に入射させる構成では、非重畳光を色選択移動部材上に入射させる構成と比較して、色選択移動部材上に入射する光の入射スポットを境界部が横切る期間が長くなり、その分だけスポーク期間が長くなる。
ここで、重畳光を構成する一部の個別光のみからなる色選択移動部材上の入射スポット部分を境界部が横切る期間について見ると、当該一部の個別光の入射スポット内に境界部が存在し、境界部をまたがる2つの色選択部に当該一部の個別光が同時に入射されることになる。そのため、当該一部の個別光による色選択光は混色した状態になり、当該一部の個別光を含む重畳光の色選択光全体も混色状態になるので、この期間もスポーク期間として扱われることになる。しかしながら、この期間では、前記重畳光を構成する他の個別光については、その入射スポット内に境界部が存在せず、色選択部のいずれかのみが存在する状態である。そのため、当該他の個別光による色選択光は混色していない。
そこで、本態様では、重畳光を構成する一部の個別光のみからなる色選択移動部材上の入射スポット部分を境界部が横切る期間については、他の個別光による色選択光を出射部から出射させつつ、当該一部の個別光による色選択光を出射部から出射させない出射制御を行う。これにより、この期間に出射部から出射される色選択光は、混色している当該一部の個別光による色選択光を含まない状態で、混色していない当該他の個別光による色選択光のみによって構成される。その結果、この期間は、混色していない色選択光が出射部から出射されることになり、スポーク期間として扱う必要がなくなるので、スポーク期間を短くすることができる。
【0065】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記複数の個別光をそれぞれ出力する複数の光源(例えば第一光源ユニットLS1及び第二光源ユニットLS2)を有し、前記出射制御では、前記一部の個別光を出力する光源を出力停止させることにより、前記一部の個別光による色選択光を前記出射部から出射させないように制御することを特徴とするものである。
これによれば、上述した出射制御を、簡易な制御で実現することができる。
【0066】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記複数の光源は、青波長領域の青色光を出力する青色光源(例えばLED光源11)を含み、前記青色光が入射されることで青波長領域よりも長い波長の波長帯域の波長変換光を発する波長変換部(例えば蛍光体領域17A,17B)と前記青色光を反射する反射部(例えば励起光反射領域17C)とが、前記青色光の通る個別光路を順次横切るように、前記波長変換部及び前記反射部を移動させる波長変換移動部材(例えば蛍光体ホイール17)を有し、前記波長変換移動部材の移動は、前記色選択移動部材の移動と同期されていることを特徴とするものである。
これによれば、青色光と、青波長領域よりも長い波長の波長帯域の光とを順次出射する光照射装置において、スポーク期間を短くすることができる。
【0067】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記入射スポット部分は、前記重畳光を構成する前記複数の個別光における前記色選択移動部材上の各入射スポットのうち、前記境界部が横切る方向の最上流側に位置する入射スポットの部分若しくは最下流側に位置する入射スポットの部分又はその両方であることを特徴とするものである。
これによれば、スポーク期間を短くする出射制御が容易になる。
【0068】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記複数の色選択部は、互いに異なる分光透過率を有する複数の光透過フィルタ部を含むことを特徴とするものである。
これによれば、複数の色選択部を容易に得ることができる。
【0069】
[第6態様]
第6態様は、光照射装置(例えば照明装置10)と、前記光照射装置から出射される光を用いて画像を生成する画像生成部(例えばDMD101)とを備えた画像投射装置100において、前記光照射装置として、第1乃至第5態様のいずれかの光照射装置を用いることを特徴とするものである。
これによれば、スポーク期間の短い画像投射装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
2 :プリズム
3 :ロッドインテグレータ
10 :照明装置
11 :LED光源
12 :コリメータレンズ
13 :光源光学系
14 :集光素子
15 :ダイクロイックミラー
16 :第一集光光学系
17 :蛍光体ホイール
17A :第一蛍光体領域
17B :第二蛍光体領域
17C :励起光反射領域
17a :回転軸
18 :第二集光光学系
19 :マイクロレンズアレイ
53 :カラーホイール
53A :黄色領域
53B :赤色領域
53C :緑色領域
53D :青色領域
53a :回転軸
53b :境界部
100 :画像投射装置
101 :DMD
102 :照明光学系
103 :投射光学系
104 :投射面
105 :筐体
LS1 :第一光源ユニット
LS2 :第二光源ユニット
S1 :照射スポット
S2,S21,S22:入射スポット
T,T':スポーク期間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】