(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176815
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20241212BHJP
G06V 10/774 20220101ALI20241212BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241212BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20241212BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06V10/774
G06Q50/04
G06T7/20 300Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095630
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】勝又 基至
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
5L096BA08
5L096CA25
5L096DA01
5L096FA09
5L096HA02
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 学習モデルを機械学習する手間と時間を削減できるシステム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】 システムは、一以上の作業工程を含む一連の作業を撮影した撮影データを取得するデータ取得手段と、作業工程に含まれる各作業を識別する作業識別情報を登録する登録手段と、各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置と作業識別情報とを紐付けた紐付情報を生成する紐付手段と、各作業工程で実施する各作業の作業識別情報を受け付ける受付手段と、各作業工程に対する学習データを生成するデータ生成手段とを有し、データ生成手段は、作業識別情報と紐付情報とに基づき、作業識別情報で識別される各作業の開始位置及び終了位置を取得し、撮影データから、開始位置及び終了位置に対応する部分の撮影データを取得し、取得した撮影データに基づいて作業工程毎の学習モデルの機械学習に使用する学習データを生成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習モデルの機械学習を行う情報処理システムであって、
一以上の作業工程を含む一連の作業を撮影した撮影データを取得するデータ取得手段と、
前記作業工程に含まれる各作業を識別するための作業識別情報を登録する登録手段と、
前記撮影データを用いて、前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置と前記作業識別情報とを紐付けた紐付情報を生成する紐付手段と、
前記各作業工程で実施する前記各作業の作業識別情報を受け付ける受付手段と、
前記各作業工程に対する学習データを生成するデータ生成手段と、
を有し、
前記データ生成手段は、
前記受付手段で受け付けた前記作業識別情報と前記紐付手段により生成された前記紐付情報とに基づき、前記受付手段で受け付けた前記作業識別情報で識別される前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置を取得し、
前記データ取得手段から取得した前記撮影データから、前記受付手段で受け付けた前記作業識別情報で識別される前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置に対応する部分の撮影データを取得し、
取得した該撮影データに基づいて前記作業工程毎の学習モデルの機械学習に使用する学習データを生成する、情報処理システム。
【請求項2】
前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置は、前記撮影データとしての動画を構成する複数のフレームのうちの該各作業の開始フレームおよび終了フレームである、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記データ生成手段は、前記各フレーム内の作業者の骨格情報を検出し、前記紐付手段により生成された前記紐付情報を用い、前記各作業に対する1以上の骨格情報に、対応する作業識別情報を付与し、前記作業工程毎の学習データを生成する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記受付手段は、定義済みの作業一覧を表示し、前記各作業工程で実施すべき作業の作業識別情報の選択を受け付ける、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記作業工程に対応するモデル識別情報が紐付けられた前記学習モデルを取得するモデル取得手段と、前記データ生成手段により生成された前記作業工程の学習データを使用して、前記モデル取得手段により取得された前記学習モデルの機械学習を行う学習手段を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
複数の前記モデル識別情報のうちのどのモデル識別情報の学習モデルを、どの時期に使用するかを定義したスケジュール情報を取得する情報取得手段を含み、
前記モデル取得手段は、前記情報取得手段により取得された前記スケジュール情報に基づき、対応する前記モデル識別情報が紐付けられた前記学習モデルを取得する、請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
情報処理システムにより学習モデルの機械学習を行う方法であって、
一以上の作業工程を含む一連の作業を撮影した撮影データを取得する第1の取得ステップと、
前記作業工程に含まれる各作業を識別するための作業識別情報を登録するステップと、
前記撮影データを用いて、前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置と前記作業識別情報とを紐付けた紐付情報を生成する第1の生成ステップと、
前記各作業工程で実施する前記各作業の作業識別情報を受け付けるステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記作業識別情報と前記第1の生成ステップで生成された前記紐付情報とに基づき、前記受け付けるステップで受け付けた前記作業識別情報で識別される前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置を取得する第2の取得ステップと、
前記第1の取得ステップで取得された前記撮影データから、前記受け付けるステップで受け付けた前記作業識別情報で識別される前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置に対応する部分の撮影データを取得する第3の取得ステップと、
前記第3の取得ステップで取得された前記撮影データに基づいて前記作業工程毎の学習モデルの機械学習に使用する学習データを生成する第2の生成ステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
学習モデルの機械学習をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
一以上の作業工程を含む一連の作業を撮影した撮影データを取得する第1の取得ステップと、
前記作業工程に含まれる各作業を識別するための作業識別情報を登録するステップと、
前記撮影データを用いて、前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置と前記作業識別情報とを紐付けた紐付情報を生成する第1の生成ステップと、
前記各作業工程で実施する前記各作業の作業識別情報を受け付けるステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記作業識別情報と前記第1の生成ステップで生成された前記紐付情報とに基づき、前記受け付けるステップで受け付けた前記作業識別情報で識別される前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置を取得する第2の取得ステップと、
前記第1の取得ステップで取得された前記撮影データから、前記受け付けるステップで受け付けた前記作業識別情報で識別される前記各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置に対応する部分の撮影データを取得する第3の取得ステップと、
前記第3の取得ステップで取得された前記撮影データに基づいて前記作業工程毎の学習モデルの機械学習に使用する学習データを生成する第2の生成ステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習モデルの機械学習を行う情報処理システム、情報処理方法および該学習モデルの機械学習をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学習モデルの機械学習には、学習データが使用され、学習データは、対象のデータに、その対象を識別するための情報(ラベル)を付与するアノテーションと呼ばれる作業を行うことにより作成される。
【0003】
アノテーションにより学習データを作成する技術として、時系列に連続的に配列されたセンサデータに対して、時間区間で分割し、各時間区間にラベルを付与する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場等において製品を組み立てる際の作業手順の確認に、学習モデルが用いられている。このような学習モデルの機械学習には、ユーザが、複数の作業工程で構成された一連の作業を撮影し、撮影した撮影データからアノテーションを行う必要がある。
【0005】
しかしながら、従来の技術では、各作業工程で行う作業が変更された場合に、変更前に一度作成されている撮影データ及びアノテーションされたデータを再度利用することができなかった。そのため、作業の変更後の学習モデルの機械学習には、変更後の一連の作業を撮影し直す必要があった。さらに、ユーザは、各作業工程で行う作業が変更されるたびに、撮影し直した撮影データからアノテーションを行うことを繰り返し行わなければならなかった。これでは、学習モデルの機械学習を行うのに手間と時間がかかるという問題があった。
【0006】
そこで、学習モデルの機械学習を行う手間と時間を削減することが可能なシステム、方法およびプログラムの提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、学習モデルの機械学習を行う情報処理システムであって、
一以上の作業工程を含む一連の作業を撮影した撮影データを取得するデータ取得手段と、
作業工程に含まれる各作業を識別するための作業識別情報を登録する登録手段と、
撮影データを用いて、各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置と作業識別情報とを紐付けた紐付情報を生成する紐付手段と、
各作業工程で実施する各作業の作業識別情報を受け付ける受付手段と、
各作業工程に対する学習データを生成するデータ生成手段と、
を有し、
データ生成手段は、
受付手段で受け付けた作業識別情報と紐付手段により生成された紐付情報とに基づき、受付手段で受け付けた作業識別情報で識別される各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置を取得し、
データ取得手段から取得した撮影データから、受付手段で受け付けた作業識別情報で識別される各作業の時間区間を表す撮影データの開始位置及び終了位置に対応する部分の撮影データを取得し、
取得した撮影データに基づいて作業工程毎の学習モデルの機械学習に使用する学習データを生成する、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、学習モデルの機械学習を行う手間と時間を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】アノテーションされたデータの一例を示した図。
【
図3】各工程内の作業を検知するための学習モデルの機械学習に使用する学習データを作成する方法について説明する図。
【
図4】本実施形態に係る情報処理システムの一例として情報処理装置のハードウェア構成を示した図。
【
図5】情報処理装置の機能構成の一例を示したブロック図。
【
図6】ラベル記憶部に記憶されるラベルの一例を示した図。
【
図7】作業定義記憶部に記憶される作業定義情報の一例を示した図。
【
図8】学習データ記憶部に記憶される学習データの一例を示した図。
【
図9】組立作業を撮影した動画、ラベル、作業定義情報、紐付情報を登録する処理の流れを示したシーケンス図。
【
図10】学習データを生成し、学習モデルの機械学習を行う処理の流れを示したシーケンス図。
【
図11】既に学習データが生成されている状態で、工程変更により学習モデルの機械学習を行う処理の流れを示したシーケンス図。
【
図12】作業定義情報を作成する方法の一例を示した図。
【
図14】計画表(スケジュール)に基づき、利用するグループを割当てた例を示した図。
【
図15】新規ラベルの登録および登録済みラベルの削除や編集を行う画面の一例を示した図。
【
図16】工程の追加、削除、および作業の追加、削除を行う画面の一例を示した図。
【
図17】各作業の時間区間を表す動画の開始位置および終了位置とラベルとを紐付ける紐付情報を登録する画面の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の情報処理システム、情報処理方法およびプログラムは、一連の作業を撮影したデータから作業者がどのような作業を行ったかを推論する学習モデルの機械学習を行うシステム、方法およびプログラムである。
【0011】
一連の作業は、連続的に実施される複数の個別の作業から構成され、一以上の作業工程(以下、単に工程と略す。)を含む。一連の作業としては、例えばライン生産を行う工場における同一の機械の組立作業が挙げられる。組立作業は、組立後の検査を含めてもよい。工程は、組立作業の粒度を表し、1人の作業者が組立作業の全ての作業を行う場合は1工程となり、2人以上の作業者によって分担して組立作業を行う場合は2以上の工程となる。以下、一連の作業を工場における組立作業として説明するが、一連の作業は、工場における組立作業に限定されるものではない。
【0012】
組立作業を撮影した撮影データは、例えば、映像データ(動画)である。動画は、時間的に連続して撮影される複数の静止画像から構成される。動画を構成する静止画像は、フレームと呼ばれる。組立作業は、例えば、部品を取る、部品を取り付ける、ネジを取る、ドライバーを取る、ネジで部品を固定する等の個別の複数の作業を含む。
【0013】
動画から作業を推論する学習モデルは、正しい手順通りに組立てを行ったかどうかの監視や、各作業にかかる時間を計測することで、改善のインプットとすることを目的とした機械学習によるソリューションを提供することを可能にする。
【0014】
学習モデルは、作業を検知する精度を向上させるために、学習データを使用して機械学習(トレーニング)が行われる。学習モデルは、アルゴリズム、パラメータを含み、トレーニングによりパラメータが調整される。機械学習には、教師あり学習、教師なし学習、強化学習があるが、作業を推論する学習モデルでは、どんな作業であるかという正解が何であるかを予測する必要があるため、教師あり学習が採用される。
【0015】
教師データは、例題と、それに対応する正解とがペアとなっている形式のデータである。教師あり学習では、例題のデータを入力すると、正解のデータが出力されるように、学習モデルに対してトレーニングを行う。これにより、例題と同じカテゴリの未知のデータに対し、正解と予想されるデータを導き出し、出力することが可能となる。
【0016】
このような学習データを作成するには、例題のデータに対し、正解のデータを付与する作業が必要となる。動画から作業を推論する学習モデルに使用する学習データでは、動画内で行っている作業ごとに、各作業の開始から終了までの時間区間を判断し、その時間区間の動画を例題のデータとして作成する。そして、その例題のデータに対し、その作業が何の作業であるかを識別するための情報(ラベル)を正解のデータとして付与することにより、学習データを作成する。このラベルを付与する作業がアノテーションである。
【0017】
学習モデルをトレーニングするには、学習データとして、複数回分の動画と、その動画の各時間区間に対し、アノテーションを行う必要がある。
【0018】
図1は、アノテーションされたデータの一例を示した図である。動画は、撮影開始からのフレーム数を、各フレームを識別するためのフレーム識別情報(フレームID)として用いて、各作業の時間区間を表す動画の開始位置および終了位置が識別される。各作業の時間区間を表す動画の開始位置および終了位置は、その作業の時間区間を表す動画の開始位置として開始フレーム(frame_start)IDと終了位置として終了フレーム(frame_end)IDとにより識別される。各作業の時間区間を表す動画の開始フレームIDおよび終了フレームIDには、各作業を識別するための作業識別情報としてラベル(action)が付与される。一方、作業者が作業を行っていない時間区間に対しては、作業なしを表す「None」が付与される。
【0019】
図1に示す例では、動画は、フレーム数が1242個ほどあり、15の時間区間に識別されている。フレーム0からフレーム344までの時間区間は、作業を行っていない時間区間であり、ラベルとして「None」が付与されている。一方、フレーム345からフレーム386までの時間区間は、部品Aを取る作業を行っており、ラベルとして「部品Aを取る」が付与されている。
【0020】
ところで、ライン生産を行う工場では、同一の機械を組み立てる場合であっても、生産台数の増減により、作業者を増減して対応するため、一人当たりの作業量が変更されることが一般的である。このような生産台数の増減は、年に数回程度、定期的に実施されることが多い。
【0021】
図2は、各工程と作業の割当の一例を示した図である。
図2(a)は、生産台数が少ない場合の一人当たりの作業量を示した図で、
図2(b)は、生産台数が多い場合の一人当たりの作業量を示した図である。組立作業のうち、作業者が一人で行う作業の範囲を1つの工程とする。
図2(a)に示す例では、3つの工程があり、1つの工程につき、4つの作業を行うものとされている。一方、
図2(b)に示す例では、4つの工程があり、1つの工程につき、3つの作業を行うものとされている。
【0022】
図2(a)に示す例では、一人で行う作業の数が4つで、作業数が多いため、一人当たりの作業時間がかかり、生産台数が少ない。一方、
図2(b)に示す例では、一人で行う作業の数が3つで、作業数が少ないため、一人当たりの作業時間が短縮することができるため、生産台数を増やすことができる。
【0023】
図3は、各工程内の作業を検知するための学習モデルの機械学習に使用する学習データを作成する方法について説明する図である。学習モデルは、各作業者が行う作業を推論する学習モデルである。このため、
図2(a)に示した例から
図2(b)に示した例へと、またはその反対に、工程変更が行われると、各作業者が行う作業の範囲が変わるため、工程変更が行われるたびに、各工程で撮影を行い、アノテーションを行い、トレーニングを行わなければならない。
【0024】
図3に示す例では、新規工程導入時に、一人当たり4つの作業を行うものとされていたが、生産台数を増やすため、工程変更により、一人当たり3つの作業とし、作業者を一人増員している。
【0025】
学習データの作成にあたって、各作業を撮影した撮影データ(動画)を取得する。動画は、例えば10サイクル分、すなわち10回分の組立作業を撮影した撮影データとされる。ここでは、10サイクル分としているが、10サイクル分に限定されるものではなく、9サイクル以下であってもよいし、11サイクル以上であってもよい。
【0026】
動画は、各作業を撮影した動画と何も作業していない動画を含み、それらの動画が、開始フレームIDと終了フレームIDとを用いて識別される。各作業者が行う作業は、工程内で実施する作業として、作業定義により定義される。学習データは、作業定義により定義された工程内の各作業を撮影した動画とラベルを紐付けることにより作成される。
【0027】
新規工程導入時には、各工程における各作業を撮影し、アノテーションを行う必要がある。
【0028】
学習モデルは、アノテーションされたデータを用いてトレーニングされる。学習モデルのトレーニングは、工程変更が行われるたびに、各工程における各作業を撮影し、アノテーションを行うのでは、手間や時間がかかる。これでは、ソリューションを導入することによる効果に対して、投資が大きくなってしまう。
【0029】
図3を参照すると、工程変更される際は、既に新規工程導入時に撮影された撮影データが存在し、各作業を識別するためのラベルも作成されており、各作業の動画とラベルの紐付けも完了している。新規工程導入時と、工程変更時とでは、作業定義のみが異なるだけである。したがって、工程変更時は、作業定義のみを作成すれば、手間や時間をかけることなく、学習データを作成し、その学習データを用いて学習モデルのトレーニングを行うことができる。
【0030】
このような手間や時間をかけることなく、学習モデルのトレーニングを行うことができるシステム、方法、プログラムについて、以下に詳細に説明する。
【0031】
図4は、学習モデルの機械学習を行うシステムの一例として、情報処理装置のハードウェア構成を例示した図である。本実施形態に係る情報処理システムは、学習モデルの機械学習を行うことができるシステムであれば、いかなるシステムであってもよく、情報処理装置に限定されるものではない。
【0032】
情報処理装置10は、一般的なコンピュータであり、例えば、ノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC、タブレットPC、ウェアラブルPC、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、MFP(Multi-Function Peripheral)等の画像形成装置、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)等を用いることができる。以下、情報処理装置10をPC(サーバ)として、そのハードウェア構成について簡単に説明する。
【0033】
情報処理装置10は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、HD(Hard Disk)23、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ24を備える。また、情報処理装置10は、ディスプレイ25、外部機器接続I/F(Interface)26、ネットワークI/F27、バスライン28、キーボード29、ポインティングデバイス30、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ31、メディアI/F32を備える。
【0034】
CPU20は、情報処理装置10全体の動作を制御する。ROM21は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU20の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM22は、CPU20に対して作業領域を提供する。HD23は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ24は、CPU20の制御に従ってHD23に対する各種データの読み出し、または書き込みを制御する。
【0035】
ディスプレイ25は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F26は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F27は、ネットワークを介して通信を行うためのインタフェースである。バスライン28は、CPU20等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0036】
キーボード29は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス30は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ31は、着脱可能な記録媒体の一例としてDVD-RW33に対する各種データの読み出し、または書き込みを制御する。なお、記録媒体は、DVD-RW33に限らず、DVD-R、CD-RW、CD-R等であってもよい。メディアI/F32は、フラッシュメモリ等の記録メディア34に対するデータの読み出し、または書き込みを制御する。
【0037】
図5は、情報処理装置10の機能構成の一例を示したブロック図である。情報処理装置10は、上記の学習モデルの機械学習を行うために複数の機能を有し、各機能は、一または複数の処理回路によって実施することが可能である。処理回路は、電子回路により実施されるCPU等のソフトウェアによって各機能を実行するようにプログラミングされたプロセッサや、各機能を実行するように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0038】
情報処理装置10は、アノテーションツール40を備える。アノテーションツール40は、動画登録部41、ラベル登録部42、作業定義部43、紐付部44を含んで構成される。情報処理装置10は、アノテーションツール40のほか、動画記憶部45、ラベル記憶部46、作業定義記憶部47、紐付情報記憶部48を備える。
【0039】
動画登録部41は、データ取得手段として機能し、組立作業を撮影した撮影データ(動画)を、撮像装置等から取得し、動画記憶部45に保存し、管理する。動画には、動画を識別するためのファイル名等が紐付けられる。ラベル登録部42は、登録手段として機能し、組立作業を検知したい個別の作業の粒度に分割し、各作業を識別するための作業識別情報をラベルとして登録する。ラベル登録部42は、作業名称等をラベルとして、ラベル記憶部46に保存し、管理する。
【0040】
作業定義部43は、受付手段として機能し、ライン生産の各工程で、どの作業を行うかを定義する作業定義情報を受け付け、登録する。作業は、ラベル記憶部46に保存されるラベルにより識別される作業である。作業定義部43は、作業定義情報を作業定義記憶部47に保存し、管理する。
【0041】
紐付部44は、紐付手段として機能し、動画記憶部45に記憶されている動画に対し、何フレーム目から何フレーム目までが何の作業を行っていたかという各作業の時間区間を表す動画の開始位置及び終了位置とラベルとの紐付けを行う。紐付部44は、各作業の時間区間を表す動画の開始位置及び終了位置とラベルとを紐付けた紐付情報を生成し、紐付情報記憶部48に保存し、管理する。各作業の時間区間を表す動画の開始位置及び終了位置は、例えば各作業を撮影した動画の開始フレームIDおよび終了フレームIDであり、紐付情報は、開始フレームIDおよび終了フレームIDにラベルを紐付けた情報となる。紐付情報には、動画のファイル名等も紐付けられる。
【0042】
ラベル記憶部46は、ラベルの一覧を保存する。作業定義記憶部47は、工程毎の作業定義情報を保存する。紐付情報記憶部48は、紐付情報を保存する。
【0043】
情報処理装置10は、学習データ生成部49、学習データ記憶部50、トレーニング部51、学習モデル記憶部52、スケジュール設定部53、設定記憶部54をさらに備える。
【0044】
学習データ生成部49は、データ生成手段として機能し、作業定義部43が受け付けた作業定義情報と、紐付部44により生成され、紐付情報記憶部48に記憶された紐付情報とに基づき、各工程で実施する各作業のラベルに紐付いた各作業の時間区間を表す動画の開始フレームIDおよび終了フレームIDを取得する。なお、学習データ生成部49は、紐付情報取得手段としての機能を有し、紐付情報記憶部48から紐付情報を取得することもできる。学習データ生成部49は、動画登録部41により保存された動画から、取得した各作業の時間区間を表す動画の開始フレームIDおよび終了フレームIDに対応する部分の動画を取得する。そして、学習データ生成部49は、取得した動画に基づいて工程毎の学習モデルの機械学習に使用する学習データを生成する。
【0045】
学習データ生成部49は、学習データを生成する際、取得した動画に対してフレーム毎に、作業者の姿勢に着目して何の作業を行っているかを検知するべく、姿勢を推定するために必要とされる関節等の特徴点を含む骨格情報を検出する。
【0046】
学習データ生成部49は、検出した骨格情報を1セットとし、その1セットにラベルを付与して、1つの作業に対する学習データを生成する。このようにして、学習データ生成部49は、各工程内の各作業に対する学習データを生成し、工程毎の学習モデルのトレーニングに使用する学習データを生成する。学習データ生成部49は、生成した学習データを、学習データ記憶部50に保存する。
【0047】
トレーニング部51は、判断手段、モデル取得手段、学習手段として機能し、トレーニング対象の工程の作業定義情報を参照し、その工程では何のラベルの学習データが必要であるかを判断する。トレーニング部51は、学習データ記憶部50からトレーニング対象の学習データを取得し、トレーニング対象の工程の学習モデルのトレーニングを行う。
【0048】
トレーニング済みの学習モデル(学習済み学習モデル)は、入力されたデータから何の作業を行っているかを予測し、予測した結果を出力することを可能にする。
【0049】
トレーニング部51は、学習済みの学習モデルを、学習モデル記憶部52に保存し、管理する。トレーニング部51は、トレーニング対象の工程の学習モデルを、学習モデル記憶部52から取得する。
【0050】
スケジュール設定部53は、工場の生産計画と、その計画と紐付いた利用する学習モデルの設定を行う。すなわち、スケジュール設定部53は、どの学習モデルを、どの時期に使用するかを定義したスケジュール情報の設定を行い、そのスケジュール情報を、設定記憶部54に保存し、管理する。
【0051】
トレーニング部51は、情報取得手段としても機能し、設定記憶部54に保存されたスケジュール情報を取得する。そして、トレーニング部51は、スケジュール情報に基づき、学習モデル記憶部52から対応する学習モデルを取得する。
【0052】
図5に示す情報処理装置10では、動画記憶部45、ラベル記憶部46、作業定義記憶部47、紐付情報記憶部48、学習データ記憶部50、学習モデル記憶部52、設定記憶部54を備えているが、これに限られるものではない。動画等は、情報処理装置10以外のサーバ等の他の機器に保存され、必要に応じて各取得手段が取得するように構成されていてもよい。また、動画等の全ての情報を、他の機器に保存するのではなく、一部の情報を情報処理装置10内の1以上の記憶部に保存し、他の情報を他の機器に保存し、他の機器に保存した情報を1以上の取得手段が取得するように構成されていてもよい。
【0053】
また、
図5に示す例では、トレーニング部51が、判断手段、モデル取得手段、学習手段、情報取得手段として、複数の機能を有するように構成されているが、学習手段としての機能のみを備え、別途、判断手段、モデル取得手段及び情報取得手段を、判断部、モデル取得部、情報取得部として備えた構成としてもよい。
【0054】
図6は、ラベル記憶部46に記憶されたラベルの一例を示した図である。ラベルは、作業名称等とされ、「部品Aを取る」、「部品Aを取り付ける」、「部品Bを取る」、「部品Bを取り付ける」等である。ラベルは、各工程の作業のリストとして保存される。なお、ラベルは、作業を識別するために固有(ユニーク)である必要がある。
【0055】
図7は、作業定義記憶部47に記憶された作業定義情報の一例を示した図である。作業定義情報は、工程毎に、何の作業を行うかを定義した情報で、ラベルによって作業が定義される。
図7に示す例では、工程1において7つのラベルにより7つの作業が定義されている。工程2では、6つのラベルにより6つの作業が定義されている。
【0056】
図8は、学習データ記憶部50に記憶された学習データの一例を示した図である。ラベル「部品Aを取る」は、撮影したデータの345フレームから386フレームまでに対応し、紐付情報に基づき、345フレームから386フレームまでのセットに対し、ラベル「部品Aを取る」を付与し、学習データが生成される。
【0057】
同様にして、ラベル「部品Aを取り付ける」は、撮影したデータの415フレームから455フレームまでに対応し、紐付情報に基づき、415フレームから455フレームまでのセットに対し、ラベル「部品Aを取り付ける」を付与し、学習データが生成される。
【0058】
各作業の時間区間を表す動画の開始フレームIDおよび終了フレームIDは、同じラベルが付与される最も小さいフレームIDおよび最も大きいフレームIDである345および386や、415および455をそれぞれ1つのセットとし、各ラベルに対し、1つの学習データを生成してもよいが、2以上の学習データを生成してもよい。
【0059】
図8に示す例は、各ラベルに対し、学習データを2以上生成する例を示したもので、1つの学習データにつき、対象フレームの前3フレームと後ろ6フレームからなる全10フレームで生成している。
図8に示す例では、学習データ内のフレームには、対象ラベルに属するフレームが7フレーム以上含まれているという条件としている。なお、
図8に示した学習データは一例であり、
図8に示した構成に限定されるものではない。したがって、上記の条件は、対象ラベルに属するフレームが全10フレーム中、8フレーム以上含まれているという条件や、9フレーム以上含まれているという条件等であってもよい。また、全15フレームや全20フレーム中、対象ラベルに属するフレーム数が80%以上を占める等の条件であってもよい。
【0060】
図9は、組立作業を撮影した動画、ラベル、作業定義情報、紐付情報を登録する処理の流れを示したシーケンス図である。ユーザ60は、組立作業を撮影した動画を登録するためにUI(User interface)を表示させ(S1)、UIを利用して動画の登録を指示する(S2)。ユーザ60は、登録する動画を指定し、登録ボタンを押下する等して、その登録を指示する。ユーザ60は、ファイル名を入力し、ファイル名を紐付けて動画を登録するように指示することができる。なお、ファイル名は、動画の撮影場所や日時等の情報を用いて自動生成されるように構成されていてもよい。動画登録部41は、ユーザ60からの指示を受けて、動画記憶部45に動画を登録し、保存する(S3)。動画の登録は、撮影した動画分だけ繰り返される。
【0061】
ユーザ60は、ラベルを登録するためにUIを表示させ(S4)、登録済みラベルのリストの取得を指示する。ラベル登録部42は、ユーザ60からの指示を受けて、登録済みラベルのリストを取得する(S5)。
【0062】
ユーザ60は、UIを利用して文字等を入力することによりラベルを作成する(S6)。対象の工程で行う作業の種類分だけ、ラベルの作成を繰り返す。ユーザ60は、ラベルの作成後、登録ボタンを押下する等して、その登録を指示する(S7)。ラベル登録部42は、ユーザ60からの指示を受けて、ラベル記憶部46にラベルを登録し、保存する(S8)。
【0063】
ユーザ60は、作業定義情報を登録するためにUIを表示させる(S9)。作業定義部43は、作業定義記憶部47から定義済みの作業一覧として登録済み作業定義情報のリストを取得する(S10)。また、作業定義部43は、ラベル記憶部46から登録済みラベルのリストを取得する(S11)。作業定義部43は、取得した登録済み作業定義情報のリストおよび登録済みラベルのリストをUIに表示させる。
【0064】
ユーザ60は、新規に対象工程の作業定義情報を作成する(S12)。ユーザ60は、作業定義情報に作業の割当、すなわちラベルの割当を行う(S13)。これにより、作業定義部43は、各工程で実施すべき作業の選択を受け付ける。作業の割当は、対象の工程で行う作業の種類分繰り返す。そして、ユーザ60は、UIを利用して、作業定義部43に対し、作業定義情報の登録を指示する(S14)。作業定義部43は、ユーザ60からの指示を受けて、作業定義記憶部47に作業定義情報を登録し、保存する(S15)。
【0065】
ユーザ60は、作業の時間区間を表す動画の開始フレームIDおよび終了フレームIDとラベルとの紐付けを行うためにUIを表示させる(S16)。紐付部44は、動画記憶部45から登録済み動画のリストを取得する(S17)。また、紐付部44は、ラベル記憶部46から登録済みラベルのリストを取得する(S18)。紐付部44は、取得した登録済み動画のリストと登録済みラベルのリストをUIに表示させる。ユーザ60は、UIを利用して、紐付けを行う動画を選択する(S19)。紐付部44は、ユーザ60の選択を受けて、選択された動画のプレビューを行う。
【0066】
ユーザ60は、ラベルを指定するためにUIを表示させ、UIを利用して、付与するラベルを設定する(S20)。ユーザ60は、UIを利用して、ラベルに対応する動画の開始位置を決定する(S21)。動画の開始位置を示すフレームのフレームIDは、開始フレームIDとして指定される。ユーザ60は、UIを利用して、ラベルに対応する動画の終了位置を決定する(S22)。動画の終了位置を示すフレームのフレームIDは、終了フレームIDとして指定される。
【0067】
動画の全フレームに対してラベルの割り当てが終了すると、ユーザ60は、ラベルと動画の開始位置(開始フレームID)および終了位置(終了フレームID)とを紐付ける紐付情報の登録を、紐付部44に対して指示する(S23)。紐付部44は、ユーザ60からの指示を受けて、紐付情報記憶部48に紐付情報を登録し、保存する(S24)。
【0068】
以上の作業は、アノテーションであり、新規工程導入時には必ず1回は実施される。
【0069】
図10は、学習データを生成し、学習モデルのトレーニングを行う処理の流れを示したシーケンス図である。ユーザ60は、学習データ生成部49に対し、学習データの生成を指示する(S1)。このとき、ユーザ60は、対象の動画を、当該動画のファイル名等を入力や選択する等して指定する。学習データ生成部49は、動画記憶部45から対象の動画を取得する(S2)。また、学習データ生成部49は、紐付情報記憶部48から、その動画のフレームでどんな作業が行われていたかを示す紐付情報を取得する(S3)。
【0070】
学習データ生成部49は、取得した動画を再生し、各フレームに対して骨格の推論を行い、骨格情報を取得する(S4)。学習データ生成部49は、紐付情報記憶部48から紐付情報を取得し、同じ作業を表す数フレームを抽出し、抽出した数フレームの骨格情報をセットにし、それに対応するラベルを付与することにより、学習データを生成する(S5)。抽出する数フレームは、上記のように全10フレームのうち7フレーム以上が対象フレームであるという条件が設定されている場合、対象の作業を表す骨格情報が含まれるフレーム数が7つ以上になるようにフレームが抽出される。学習データ生成部49は、学習データ記憶部50に学習データを登録し、保存する(S6)。
【0071】
ユーザ60は、UIを利用して、トレーニング部51に対し、学習モデルのトレーニングの開始を指示する(S7)。ユーザ60は、トレーニングする学習モデルを指示する際、学習モデルに対応する工程を指定する。トレーニング部51は、ユーザ60からの指示を受けて、指定された工程に基づき、作業定義記憶部47から対象の工程の作業定義情報の取得を要求する(S8)。トレーニング部51は、取得した作業定義情報に割り当てられたラベルのリストを取り出す(S9)。トレーニング部51は、取り出したラベルのリストに基づき、学習データ記憶部50から対象の学習データを取得する(S10)。すなわち、トレーニング部51は、指定された工程に対する学習データを取得する。
【0072】
トレーニング部51は、学習データ記憶部50から取得した学習データを用い、学習モデルをトレーニングする(S11)。トレーニング部51は、トレーニング後、学習モデル記憶部52にトレーニング済みの学習モデルを登録し、保存する(S12)。
【0073】
図11は、既に学習データが作成されている状態で、工程変更により学習モデルの機械学習を行う処理の流れを示したシーケンス図である。既に学習データが生成されている場合、既にアノテーションが実施済みとなっている。すなわち、作業ごとにラベルが付与され、学習データが生成されているため、新しい工程で何の作業を行うかを定義する作業定義情報を作成し、保存するのみで、学習モデルのトレーニングを行うことが可能である。
【0074】
ユーザ60は、作業を指定するためのUIを表示させ、対象の工程の作業定義情報を作成する(S1)。ユーザ60は、作業定義情報に作業を割り当てる(S2)。作業の割当は、対象の工程で行う作業の種類分繰り返される。ユーザ60は、作業定義部43に対し、作業定義情報の登録を指示する(S3)。作業定義部43は、ユーザ60からの指示を受けて、作業定義記憶部47に作業定義情報を登録し、保存する(S4)。
【0075】
ユーザ60は、UIを利用して、トレーニング部51に対し、学習モデルのトレーニングを指示する(S5)。ユーザ60は、トレーニングする学習モデルを指示する際、学習モデルに対応する工程を指定する。トレーニング部51は、ユーザ60からの指示を受けて、指定された工程に基づき、作業定義記憶部47から対象の工程の作業定義情報を取得する(S6)。トレーニング部51は、取得した作業定義情報に割り当てられたラベルのリストを取り出し、取り出したラベルのリストに基づき、学習データ記憶部50から対象の学習データを取得する(S7)。
【0076】
トレーニング部51は、学習データ記憶部50から取得した学習データを用い、学習モデルをトレーニングする(S8)。トレーニング部51は、トレーニング後、学習モデル記憶部52にトレーニング済みの学習モデルを登録し、保存する(S9)。
【0077】
このように既にアノテーションが行われ、学習データが生成されている状態で、工程変更のみが行われる場合、作業定義情報の作成および保存だけ行えばよいので、組立作業の撮影、ラベルの登録、紐付け等の作業が不要になり、学習モデルを作成する手間や時間を削減することができる。
【0078】
図12は、作業定義情報を作成する方法の一例を示した図である。既にアノテーションが行われ、学習データが生成されている状態で、工程変更のみが行われる場合でも、作業定義情報は作成する必要がある。
【0079】
作業定義情報は、各工程に含まれる作業を定義するべく、例えば、テーブルで管理される。テーブル70には、工程を追加するためのボタン71が設けられる。テーブル70には、工程を削減するためのボタンも設けられていてもよい。
【0080】
テーブル70は、例えば工程が3つで、各工程における作業数が4つである場合、
図12(a)に示すように、3列×4行から構成されるテーブルとされる。ユーザ60がボタン71を押下すると、工程が1つ追加され、
図12(b)に示すような4列×4行から構成されるテーブルとなる。
【0081】
ユーザ60は、
図12(b)に示したテーブル70において、マウス等の入力手段を利用し、例えば、
図12(c)に示すように作業4を工程1内のフィールドから工程2内のフィールドへドラッグアンドドロップ等の操作により移動させる。すると、
図12(d)に示すように、工程2内のフィールドに、作業4が移動し、工程2内の作業数が1つ増加し、全部で5つとなる。一方、工程1内の作業数が1つ減り、全部で3つとなる。
【0082】
ユーザ60は、全12個の作業数を4つの工程に均等に分け、各工程の作業数を3つずつにするべく、工程2の作業7、8を工程3内のフィールドへ移動し、工程3の作業10、11、12を、
図12(e)に示すように、新しく追加した工程4内のフィールドへ移動させる。すると、
図12(f)に示すような、各工程1~4の作業数が3つずつとなる。
【0083】
作業定義情報は、このようなボタン71の押下とドラッグアンドドロップのような簡易な操作で設定することができる。なお、この方法は一例であり、作業定義情報の作成はこの方法に限定されるものではない。
【0084】
図13は、工程数に応じて学習モデルを識別するためのモデル識別情報としてグループ名を割り振った例を示した図である。工程変更は、ユーザ60により適宜実施することができるが、工程変更が2パターンや3パターン等の少数のパターンしかない場合、工程数に応じてグループ名を割り振り、学習モデル記憶部52に学習モデルにグループ名を紐付けて記憶させることができる。これにより、工程変更時の学習モデルの切り替えが容易になる。
【0085】
図13に示す例では、グループ名として「通常期」、「繁盛期」を割り振り、通常期は、工程1~3の3つの工程とし、繁盛期は、工程を1つ増やし、工程1~4の4つの工程としている。
【0086】
グループ名を「通常期」から「繁盛期」に切り替えることで、自動で工程1~3の3つの工程から工程1~4の4つの工程へ変更される。このとき、全作業数は変化しないので、全作業数が12であれば、
図11(f)に示したように、各工程に3つずつ自動で割り振られることになる。
【0087】
図14は、計画表(スケジュール)に基づき、利用するグループを割当てた例を示した図である。通常期と繁盛期にグループ分けするにしても、どの時期にどちらのグループのモデルを採用するかを、ユーザ60が指定しなければならない。
【0088】
図14に示すスケジュール72に対し、どの時期にどちらのグループのモデルを利用するかを予め設定しておくことで、スケジュール72に設定されたグループ名が紐付けられたモデルを学習モデル記憶部52から取得し、自動でスケジュール72に沿った動作を実現することができる。これにより、ユーザ60が指定等しなくても、作業定義情報を自動で作成することができる。
【0089】
図15は、新規工程導入時にラベルを登録する画面の一例を示した図である。ラベルの登録時に最初にUIに表示される画面は、
図15(a)に示すようなラベル一覧として、ラベルとしての作業名がリストされた画面である。この画面には、作業名を追加する追加ボタン73、作業名を削除する削除ボタン74、作業名を編集する編集ボタン75が含まれる。
【0090】
図15(a)に示す画面において、追加ボタン73が押下されると、
図15(b)に示すような画面が表示される。
図15(b)では、ラベル追加の小画面(ポップアップ)76が、ラベル一覧の画面上に重畳するように表示される。ポップアップ76には、ラベルとしての作業名を入力するための名称ボタン77と、その作業の説明を入力するための説明ボタン78とが含まれる。また、ポップアップ76には、ラベルを登録する登録ボタン79と、その登録をキャンセルするキャンセルボタン80とが含まれる。
【0091】
ユーザ60が登録ボタン79を押下すると、例えば、
図15(c)に示すように、ラベルが登録され、ラベル一覧に、その登録されたラベルを含むリストが表示される。なお、キャンセルボタン80を押下すると、例えば、
図15(a)に示す画面に戻ることができる。
【0092】
図16は、工程の追加、削除、および作業の追加、削除を行う画面の一例を示した図である。工程を変更する際に最初にUIに表示される画面は、
図16(a)に示すような工程一覧として、工程名がリストされた画面である。この画面には、工程名を追加する追加ボタン81、工程名を削除する削除ボタン82、工程名を編集する編集ボタン83が含まれる。
【0093】
図16(a)に示す画面において、ユーザ60が追加ボタン81を押下すると、
図16(b)に示すようなポップアップ84が表示される。ポップアップ84には、工程の追加として、追加する工程の工程名を入力するための名称ボタン85と、その工程の説明を入力するための説明ボタン86とが含まれる。また、ポップアップ84には、追加する工程を登録するための登録ボタン87と、その登録をキャンセルするキャンセルボタン88とが含まれる。
【0094】
図16(b)に示すポップアップ84において、ユーザ60が登録ボタン87を押下すると、
図16(c)に示す工程が追加された工程一覧の画面が表示される。工程一覧には、それまでは工程1~5が登録されていたが、工程6の登録により、リストに工程6が追加されている。
【0095】
図16(d)に示す画面において、ユーザ60が編集ボタン83を押下すると、
図16(e)に示すようなポップアップ89が表示される。ポップアップ89は、工程6で行う作業の追加や削除等を行うことができる画面とされている。このため、ポップアップ89は、作業を追加する追加ボタン90、作業を削除する削除ボタン91、工程6で行う作業を登録する登録ボタン92、工程6の編集をキャンセルするキャンセルボタン93を含む。
【0096】
図16(e)に示す画面において、ユーザ60が追加ボタン90を押下すると、ポップアップ89が、
図16(f)に示すようなポップアップ94に切り替わる。ポップアップ94は、追加する作業の一覧を示し、その作業一覧から任意の作業を選択することができるように構成されている。ポップアップ94には、見えなくなっている作業名を見える位置に移動(スクロール)させるためのスクロールバー95と、作業を追加するための追加ボタン96と、追加した作業を登録するための登録ボタン97と、作業の追加をキャンセルするためのキャンセルボタン98とを含む。
【0097】
図16(f)に示すポップアップ94において、ユーザ60が作業名「部品Aを取る」を指定し、その作業名の隣りにある追加ボタン96を押下すると、
図16(g)に示すように、作業名「部品Aを取る」の隣りにあった追加ボタン96が消え、その作業が追加されたことが示される。ここでは、作業名の隣りにある追加ボタン96の消去により、その作業が追加されたことを示しているが、作業の追加を示す方法としては、これに限定されるものではない。
【0098】
図16(g)に示す画面において、ユーザ60は、別の作業を追加することもできる。
図16(g)に示す例では、作業名「部品Bを取る」を追加するため、その作業名の隣りにある追加ボタン96が押下されている。作業名「部品Bを取る」が追加されると、
図16(h)に示すようなポップアップ94の表示となる。すなわち、作業名「部品Aを取る」、「部品Bを取る」のそれぞれの隣りにあった追加ボタン96が消えている。
【0099】
図16(h)に示すポップアップ94において、ユーザ60が登録ボタン97を押下すると、
図16(i)に示すような元のポップアップ89に戻り、工程6で行う作業として、作業名「部品Aを取る」、「部品Bを取る」が追加された形となる。ユーザ60は、工程6で行う作業が、これら2つの作業でOKである場合、登録ボタン92を押下して登録することができる。このようにして、ユーザ60は、各工程で行う作業の作業定義情報を登録することができる。
【0100】
図17は、各作業の時間区間を表す動画の開始位置及び終了位置とラベルとの紐付けを行う画面の一例を示した図である。各作業の時間区間を表す動画の開始位置及び終了位置は、例えば動画の開始フレームIDと終了フレームIDとによって表される。
図17に示す画面は、再生する動画のファイル名を選択する選択ボタン100と、動画のプレビューを表示するウィンドウ101と、ラベルを選択し、表示するためのドロップダウンリスト102と、表示したラベルに対応する開始位置および終了位置を設定するために、動画の再生、早送り、停止、巻き戻し等を行う操作ボタン103とを含む。
【0101】
ユーザ60は、操作ボタン103を利用して、表示したラベルに対応する開始位置および終了位置を検出する。
図17に示す画面は、開始位置を設定するための開始位置設定ボタン104と、終了位置を設定するための終了位置設定ボタン105とを含む。ユーザ60は、操作ボタン103により検出した開始位置につき、開始位置設定ボタン104を押下することで、その位置をその作業の開始位置として設定する。同様に、ユーザ60は、操作ボタン103により検出した終了位置につき、終了位置設定ボタン105を押下することで、その位置をその作業の終了位置として設定する。これは、他の作業についても同様に行われる。開始位置は、開始フレームIDとして、終了位置は、終了フレームIDとして設定される。
【0102】
図17に示す画面は、ラベルと開始フレームIDおよび終了フレームIDとを対応付けたテーブル106と、そのテーブルを紐付情報として登録するための登録ボタン107と、その登録をキャンセルするためのキャンセルボタン108とを含む。
【0103】
テーブル106は、ドロップダウンリスト102により選択されたラベルに対し、開始位置設定ボタン104、終了位置設定ボタン105により設定された開始位置を示す開始フレームID、終了位置を示す終了フレームIDを対応付けて格納する。
【0104】
以上に説明してきたように、本発明のシステム、方法およびプログラムを提供することで、学習モデルを機械学習する手間と時間を削減することができる。
【0105】
これまで本発明を、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムとして上述した実施の形態をもって説明してきた。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができるものである。また、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0106】
10…情報処理装置、20…CPU、21…ROM、22…RAM、23…HD、24…HDDコントローラ、25…ディスプレイ、26…外部機器接続I/F、27…ネットワークI/F、28…バスライン、29…キーボード、30…ポインティングデバイス、31…DVD-RWドライブ、32…メディアI/F、33…DVD-RW、34…記録メディア、40…アノテーションツール、41…動画登録部、42…ラベル登録部、43…作業定義部、44…紐付部、45…動画記憶部、46…ラベル記憶部、47…作業定義記憶部、48…紐付情報記憶部、49…学習データ生成部、50…学習データ記憶部、51…トレーニング部、52…学習モデル記憶部、53…スケジュール設定部、54…設定記憶部、60…ユーザ、70…テーブル、71…ボタン、72…スケジュール、73…追加ボタン、74…削除ボタン、75…編集ボタン、76…ポップアップ、77…名称ボタン、78…説明ボタン、79…登録ボタン、80…キャンセルボタン、81…追加ボタン、82…削除ボタン、83…編集ボタン、84…ポップアップ、85…名称ボタン、86…説明ボタン、87…登録ボタン、88…キャンセルボタン、89…ポップアップ、90…追加ボタン、91…削除ボタン、92…登録ボタン、93…キャンセルボタン、94…ポップアップ、95…スクロールバー、96…追加ボタン、97…登録ボタン、98…キャンセルボタン、100…選択ボタン、101…ウィンドウ、102…ドロップダウンリスト、103…操作ボタン、104…開始位置設定ボタン、105…終了位置設定ボタン、106…テーブル、107…登録ボタン、108…キャンセルボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】