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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176866
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】吹出ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F24F13/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095709
(22)【出願日】2023-06-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り Proceedings of Indoor Air 2022 予稿集 発行日 令和4年6月12日 Indoor Air 2022 開催日 令和4年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501241645
【氏名又は名称】学校法人 工学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 聡宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 満博
(72)【発明者】
【氏名】都築 弘政
(72)【発明者】
【氏名】山本 ミゲイル
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 弥
(72)【発明者】
【氏名】野部 達夫
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080BA02
3L080BB04
3L080BE11
(57)【要約】
【課題】静粛性を確保しつつ、貫通孔の開口面積が小さい場合であっても気流の到達距離を長くすることができる吹出ユニットを提供する。
【解決手段】吹出ユニット1は、軸流ファン2と、軸流ファン2の回転軸RAxに沿ってそれぞれ延在する複数の貫通孔41を有し、複数の貫通孔41を介して軸流ファン2から吐出された空気を吹き出す吹出パネル4と、吹出パネル4と軸流ファン2との間に設けられ、回転軸RAxに沿って延在して軸流ファン2から吐出された空気を流通させるチャンバー3とを備える。チャンバー3は、回転軸RAxを中心とする環形状を有し、軸流ファン2から吐出された空気を回転軸RAxに沿う方向に流通させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心とする回転羽の回転によって空気を吸入及び吐出する軸流ファンと、
前記回転軸に沿ってそれぞれ延在する複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔を介して前記軸流ファンから吐出された空気を吹き出す吹出パネルと、
前記吹出パネルと前記軸流ファンとの間に設けられ、前記回転軸に沿って延在して前記軸流ファンから吐出された空気を流通させるチャンバーとを備え、
前記チャンバーは、
前記回転軸を中心とする環形状を有し、前記軸流ファンから吐出された空気を前記回転軸に沿う方向に流通させる
ことを特徴とする吹出ユニット。
【請求項2】
前記軸流ファンから吐出された空気の気流速度は、
前記回転軸に沿う方向から見て、前記回転軸に近接する側よりも前記回転羽の外縁側の方が大きく、
前記貫通孔の密度は、
前記回転軸に沿う方向から見て、前記回転軸に近接する側よりも前記回転羽の外縁側の方が大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の吹出ユニット。
【請求項3】
前記貫通孔は、
空気の流入端に向かうにしたがって拡径するベルマウス形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の吹出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内や車内の空調を行う吹出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内や車内の空調を行う吹出ユニットとして、熱交換機とファンが一体となった構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の吹出ユニット(室内ユニット)では、ファンとして、遠心ファンが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6978664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、室内や車内の空調を行うにあたって、吹出ユニットにおける空気を吹き出す吹出パネルに形成された複数の貫通孔の形状や配列パターンは、空間の気流分布の形成に寄与するものであり、温熱快適性の観点で重要となる。また、吹出ユニットでは、風量や機器構成及び対象空間に応じた静粛性・安全性・目的に沿った気流分布が確保される必要がある。
【0005】
ここで、吹出パネルとファンとを一体化して吹出ユニットとした場合には、ダクト等の流路がなくなるため、流路抵抗によるエネルギーロスの低減や、施工性の向上を期待することができる。しかしながら、ファンが人の滞在場所に近くなることで生じるファンの振動や音の課題を解決する必要がある。
【0006】
また、例えば、床面に吹出ユニットを設置する場合には、ピンヒール等の床との接触面が小さい靴を考慮し、吹出パネルにおける貫通孔の開口面積を小さくする必要がある。そして、このように貫通孔の開口面積を小さくした場合には、気流の到達距離を長くすることが難しい。
【0007】
特許文献1に記載の吹出ユニットでは、遠心ファンを採用しているため、電力消費量が多く、室内近傍に設置する場合には騒音が生じ易く不特定多数の人が滞在する空間には採用し難い、という問題がある。
【0008】
そこで、静粛性を確保しつつ、貫通孔の開口面積が小さい場合であっても気流の到達距離を長くすることができる技術が要望されている。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、静粛性を確保しつつ、貫通孔の開口面積が小さい場合であっても気流の到達距離を長くすることができる吹出ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る吹出ユニットは、回転軸を中心とする回転羽の回転によって空気を吸入及び吐出する軸流ファンと、前記回転軸に沿ってそれぞれ延在する複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔を介して前記軸流ファンから吐出された空気を吹き出す吹出パネルと、前記吹出パネルと前記軸流ファンとの間に設けられ、前記回転軸に沿って延在して前記軸流ファンから吐出された空気を流通させるチャンバーとを備え、前記チャンバーは、前記回転軸を中心とする環形状を有し、前記軸流ファンから吐出された空気を前記回転軸に沿う方向に流通させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る吹出ユニットでは、上述した発明において、前記軸流ファンから吐出された空気の気流速度は、前記回転軸に沿う方向から見て、前記回転軸に近接する側よりも前記回転羽の外縁側の方が大きく、前記貫通孔の密度は、前記回転軸に沿う方向から見て、前記回転軸に近接する側よりも前記回転羽の外縁側の方が大きいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る吹出ユニットでは、上述した発明において、前記貫通孔は、空気の流入端に向かうにしたがって拡径するベルマウス形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る吹出ユニットは、回転軸を中心とする回転羽の回転によって空気を吸入及び吐出する軸流ファンと、当該回転軸に沿ってそれぞれ延在する複数の貫通孔を有し、当該複数の貫通孔を介して当該軸流ファンから吐出された空気を吹き出す吹出パネルと、当該吹出パネルと当該軸流ファンとの間に設けられ、当該回転軸に沿って延在して当該軸流ファンから吐出された空気を流通させるチャンバーとを備える。ここで、チャンバーは、回転軸を中心とする環形状を有し、軸流ファンから吐出された空気を当該回転軸に沿う方向に流通させる環状流路を有する。
すなわち、吹出パネルと軸流ファンとの間にチャンバーを設けることによって、人の滞在場所に伝わる当該軸流ファンの振動や音の課題を解決することができる。また、軸流ファンは回転軸に沿う方向から見て当該回転軸に近接する側よりも回転羽の外縁側の方が吐出された空気の気流速度が大きいという特徴があるところ、チャンバーの流路を当該特徴に合わせた環状流路とすることによって、貫通孔の開口面積が小さい場合であっても気流の到達距離を長くすることができる。
したがって、本発明に係る吹出ユニットによれば、静粛性を確保しつつ、貫通孔の開口面積が小さい場合であっても気流の到達距離を長くすることができる、という効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る吹出ユニットでは、軸流ファンから吐出された空気の気流速度は、回転軸に沿う方向から見て、当該回転軸に近接する側よりも回転羽の外縁側の方が大きい。そして、貫通孔の密度は、回転軸に沿う方向から見て、当該回転軸に近接する側よりも回転羽の外縁側の方が大きい。
すなわち、軸流ファンの動圧が大きくなる場所に貫通孔を重点的に配置しているため、気流の到達距離をさらに長くすることができる。
【0015】
また、本発明に係る吹出ユニットでは、貫通孔は、空気の流入端に向かうにしたがって拡径するベルマウス形状を有する。
このため、貫通孔への気流の圧力損失を低減させ、気流の到達距離をさらに長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施の形態に係る吹出ユニットを示す図である。
図2図2は、気流の到達距離の評価に用いた角型のチャンバーを示す図である。
図3図3は、気流の到達距離の評価に用いた円形型のチャンバーを示す図である。
図4図4は、気流の到達距離の評価に用いた第1~第11のサンプル(A)~(K)を示す図である。
図5図5は、気流の到達距離の評価結果を示す図である。
図6図6は、気流の到達距離の評価結果を示す図である。
図7図7は、貫通孔へのベルマウス加工の有無の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0018】
〔吹出ユニットの構成〕
図1は、実施の形態に係る吹出ユニット1を示す図である。具体的に、図1の(a)は、吹出ユニット1を側方(回転軸RAxに直交する方向)から見た図である。図1の(b)は、チャンバー3を回転軸RAxに沿う方向から見た図である。
吹出ユニット1は、例えば室内の床面に設置され、当該室内の空調を行う。なお、吹出ユニット1の設置場所は、室内の床面に限らず、天井等のその他の位置や、車内に設置しても構わない。この吹出ユニット1は、図1に示すように、軸流ファン2と、チャンバー3と、吹出パネル4とを備える。
【0019】
軸流ファン2は、図1の(a)に示すように、中心に配置されたモーター部21と、当該モーター部21によって回転軸RAxを中心として回転する回転羽22とを備える。そして、軸流ファン2は、回転羽22の回転によって、回転軸RAxに沿って、空気を吸入及び吐出する。
ここで、軸流ファン2は、回転羽22の外縁に近い場所の気流速度が大きく、モーター部21が配置された中心部の気流速度が小さいという特徴がある。なお、図1の(a)では、気流速度を1点鎖線の矢印で表現し、当該矢印の長さが長いほど気流速度が大きいことを示している。
【0020】
チャンバー3は、図1の(a)に示すように、軸流ファン2と吹出パネル4との間に設けられ、当該軸流ファン2と当該吹出パネル4とを接続する。本実施の形態では、チャンバー3は、トーラス型のチャンバーで構成されている。具体的に、チャンバー3は、回転軸RAxに沿って延在し、軸流ファン2から吐出された空気を流通させる筒部31を有する。この筒部31は、回転羽22の外形位置を回転軸RAxに沿って延在させ、当該回転軸RAxを中心軸とする円筒状に形成されている。また、筒部31内には、モーター部21の外形位置を回転軸RAxに沿って延在させた円筒状に形成され、当該筒部31と同軸となる内側円筒部32が設けられている。すなわち、チャンバー3には、筒部31の内面と内側円筒部32の外面との間の空間であって、軸流ファン2から吐出された空気を回転軸RAxに沿う方向に流通させる環状流路FP(図1)が設けられている。
【0021】
吹出パネル4は、チャンバー3における筒部31を閉塞する板体であり、当該板体の表裏をそれぞれ貫通し、回転軸RAxに沿ってそれぞれ延在する複数の貫通孔41を有する。本実施の形態では、複数の貫通孔41は、全て同一の形状であり、ピンヒール等の床との接触面積が小さい靴を考慮して例えば直径6mmの円孔で構成されている。なお、貫通孔41の直径は、6mmに限らず、その他の寸法でも構わない。そして、吹出パネル4は、複数の貫通孔41を介して、軸流ファン2から吐出され、チャンバー3を介した空気を吹き出す。
【0022】
ここで、吹出パネル4において、軸流ファン2におけるモーター部21が配置された中心部に対向する円形状の領域を第1の領域Ar1(図1の(a))とする。すなわち、第1の領域Ar1は、回転軸RAxに沿う方向から見て、当該回転軸RAxに近接する側の領域であり、軸流ファン2から吐出された空気の気流速度が小さい領域である。また、第1の領域Ar1は、回転軸RAxに沿う方向から見て、内側円筒部32の内面に近い場所に対向する領域である。
【0023】
また、吹出パネル4において、軸流ファン2における回転羽22の外縁に近い場所に対向する円環状の領域を第2の領域Ar2(図1の(a))とする。すなわち、第2の領域Ar2は、回転軸RAxに沿う方向から見て、第1の領域Ar1よりも筒部31の内面に近接する側の領域であり、軸流ファン2から吐出された空気の気流速度が大きい領域である。
そして、貫通孔41の密度は、吹出パネル4において、第1の領域Ar1よりも第2の領域Ar2の方が大きい。すなわち、貫通孔41の密度は、回転軸RAxに沿う方向から見て、当該回転軸RAxに近接する側よりも回転羽22の外縁側の方が大きい。複数の貫通孔41の配列パターンとしては、図4の配列パターン(j)を例示することができる。
【0024】
また、本実施の形態では、貫通孔41は、当該貫通孔41への気流の圧力損失を低減させるために、空気の流入端(図1の(a)の下端)に向かうにしたがって拡径するように加工(以下、ベルマウス加工と記載)され、ベルマウス形状を有する。
【0025】
〔気流の到達距離の評価〕
以下の第1~第11のサンプル(A)~(K)について、気流の到達距離を評価した。
図2は、図1に対応した図であって、気流の到達距離の評価に用いた角型のチャンバー3Aを示す図である。図3は、図1に対応した図であって、気流の到達距離の評価に用いた円形型のチャンバー3Bを示す図である。図4は、気流の到達距離の評価に用いた第1~第11のサンプル(A)~(K)を示す図である。
【0026】
第1のサンプル(A)は、吹出ユニット1として、角型のチャンバー3A(図2)を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(a)(図4)としたサンプルである。第2のサンプル(B)は、吹出ユニット1として、角型のチャンバー3Aを用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(b)(図4)としたサンプルである。第3のサンプル(C)は、吹出ユニット1として、角型のチャンバー3Aを用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(c)(図4)としたサンプルである。第4のサンプル(D)は、吹出ユニット1として、円形型のチャンバー3B(図3)を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(d)(図4)としたサンプルである。第5のサンプル(E)は、吹出ユニット1として、円形型のチャンバー3Bを用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(e)(図4)としたサンプルである。第6のサンプル(F)は、吹出ユニット1として、円形型のチャンバー3Bを用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(f)(図4)としたサンプルである。第7のサンプル(G)は、吹出ユニット1として、トーラス型のチャンバー3を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(g)(図4)としたサンプルである。第8のサンプル(H)は、吹出ユニット1として、トーラス型のチャンバー3を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(h)(図4)としたサンプルである。第9のサンプル(I)は、吹出ユニット1として、トーラス型のチャンバー3を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(i)(図4)としたサンプルである。第10のサンプル(J)は、吹出ユニット1として、トーラス型のチャンバー3を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(j)(図4)としたサンプルである。第11のサンプル(K)は、吹出ユニット1として、トーラス型のチャンバー3を用いるとともに、複数の貫通孔41の配列パターンを配列パターン(k)(図4)としたサンプルである。
【0027】
ここで、角型のチャンバー3Aは、トーラス型のチャンバー3とは筒部31の形状が異なる。角型のチャンバー3Aの筒部31は、図2に示すように、吹出パネル4の外形位置を回転軸RAxに沿って軸流ファン2側に延在させるとともに、当該軸流ファン2側の一端を当該軸流ファン2の外形に合わせて縮径させた略四角筒状に形成されている。
また、円形型のチャンバー3Bは、トーラス型のチャンバー3に対して、内側円筒部32を省略したものである。
【0028】
なお、貫通孔41の数は、全ての第1~第11のサンプル(A)~(K)で同一の50個とし、開口面積を同一としている。また、全ての第1~第11のサンプル(A)~(K)において、貫通孔41にはベルマウス加工は施されていない。すなわち、全ての第1~第11のサンプル(A)~(K)において、貫通孔41は、空気の流入端から流出端まで全て同一の径によって構成されている。
【0029】
そして、第1~第11のサンプル(A)~(K)を順次、床面に設置し、風速測定用の治具及び熱線風速計を用いて、水平方向に±600mmの範囲で、当該床面から200,400,600,800,1000,1200,1400,1600,1800,2000mmの高さで気流計測を行った。なお、気流計測時には、全ての第1~第11のサンプル(A)~(K)で軸流ファン2の回転数を同一のものとした。
【0030】
図5及び図6は、気流の到達距離の評価結果を示す図である。具体的に、図5は、横軸を平均気流速度[m/s]とし、縦軸を床面からの高さ[m]としたグラフである。図6は、吹出気流の風速分布を示した図である。具体的に、図6は、横軸を第1~第11のサンプル(A)~(K)からの水平方向の長さ[mm]とし、縦軸を床面からの高さ[m]とし、該当する水平方向の長さ及び床面からの高さ位置での平均気流速度[m/s]をドットや斜線によって区分けしたグラフである。
評価結果としては、角型のチャンバー3Aを用いた第1~第3のサンプル(A)~(C)では、円形型のチャンバー3B及びトーラス型のチャンバー3を用いた第4~第11のサンプル(D)~(K)よりも気流の到達距離が短くなることが分かった。また、円形型のチャンバー3Bを用いた第4~第6のサンプル(D)~(F)とトーラス型のチャンバー3を用いた第7~第11のサンプル(G)~(K)とを比較すると、チャンバー形状による優位性はなく、複数の貫通孔41の配列パターンによって気流分布に差異が生じた。さらに、筒部31の内面に近い位置(第2の領域Ar2)に貫通孔41が重点的に配置された第4,第6,第10のサンプル(D),(F),(J)は、床面から1.4m以上の高さの空間でも風速(平均気流速度)が0.3m/s以上となった。
以上のことから、貫通孔41が筒部31の内面に近く、軸流ファン2の動圧が大きくなる場所に重点的に配置された吹出パネル4の形状が気流の到達距離の長さを伸ばすのに効果的であることが分かった。
【0031】
〔貫通孔へのベルマウス加工の有無の評価〕
気流の到達距離が最も高くなった第10のサンプル(J)について、貫通孔41へのベルマウス加工の有無による平均気流速度をさらに評価した。
図7は、貫通孔41へのベルマウス加工の有無の評価結果を示す図である。具体的に、図7は、横軸を平均気流速度[m/s]とし、縦軸を床面からの高さ[m]としたグラフである。また、図7では、貫通孔41にベルマウス加工が施されていないサンプルの評価結果を黒丸で示し、貫通孔41にベルマウス加工が施されたサンプルの評価結果を白丸で示している。
評価結果としては、図7に示すように、ベルマウス加工がある方が各床面からの高さにおける平均気流速度[m/s]が大きくなった。
【0032】
以上の評価結果を踏まえ、吹出ユニット1としては、第10のサンプル(J)で、貫通孔41にベルマウス加工が施されたものが好ましい。
【0033】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係る吹出ユニット1は、第10のサンプル(J)で、貫通孔41にベルマウス加工が施されている。
このため、貫通孔41の開口面積が小さい場合(貫通孔41が6mmの直径の円孔である場合)であっても気流の到達距離を長くすることができる。また、吹出パネル4と軸流ファン2との間にチャンバー3を設けることによって、人の滞在場所に伝わる当該軸流ファン2の振動や音の課題を解決することができる。
したがって、吹出ユニット1によれば、静粛性を確保しつつ、貫通孔41の開口面積が小さい場合であっても気流の到達距離を長くすることができる、という効果を奏する。
【符号の説明】
【0034】
1 吹出ユニット
2 軸流ファン
3,3A,3B チャンバー
4 吹出パネル
21 モーター部
22 回転羽
31 筒部
32 内側円筒部
41 貫通孔
Ar1 第1の領域
Ar2 第2の領域
FP 環状流路
RAx 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7