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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177071
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241212BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071442
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2023094976
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 愛実
(72)【発明者】
【氏名】上村 拓人
(72)【発明者】
【氏名】大河原 聡
(72)【発明者】
【氏名】桧山 正晃
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 貴也
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA52
5F131BB03
5F131CA12
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DC05
5F131DD02
5F131DD33
5F131DD35
5F131DD43
5F131JA10
5F131JA16
5F131KA06
5F131KA40
5F131KA43
5F131KA53
(57)【要約】
【課題】ワーク処理装置が設置されるルーム内やルーム内を走行する搬送車のカセット内をパーティクルカウンタにより測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置を柔軟に変更できる搬送システムを提供する事。
【解決手段】搬送システム1において、搬送車10は、カセットと昇降ユニットとパーティクルカウンタ15とを有し、制御ユニット40は、走行路20の任意の位置でパーティクルカウンタ15に空気中の微粒子の数を測定させる測定部41と、パーティクルカウンタ15で測定した日時と位置と結果と含む測定情報を記録する第1記録部42と、ワーク処理装置100の位置と稼働履歴とを含む処理情報を記録する第2記録部43と、パーティクルカウンタ15の測定日時と測定日時においてそれぞれのワーク処理装置100が何を実施していたかを示す稼働履歴とを紐付けるデータ紐付け部44とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク処理装置と、
該ワーク処理装置に対して物品を搬出入する搬送車と、
該ワーク処理装置の上方に設置され該搬送車が走行する走行路と、
制御ユニットと、
を備える搬送システムであって、
該搬送車は、
該物品を収容するカセットと、
該カセットを該ワーク処理装置のカセット載置台に対して昇降させる昇降ユニットと、
パーティクルカウンタと、を有し、
該制御ユニットは、
該走行路の任意の位置で該パーティクルカウンタに空気中の微粒子の数を測定させる測定部と、
該パーティクルカウンタで測定した日時と、位置と、結果と、含む測定情報を記録する第1記録部と、
該ワーク処理装置の位置と、稼働履歴と、を含む処理情報を記録する第2記録部と、
該パーティクルカウンタの測定日時と、該測定日時においてそれぞれの該ワーク処理装置が何を実施していたかを示す該稼働履歴と、を紐付けるデータ紐付け部と、
を有する搬送システム。
【請求項2】
該制御ユニットは、該走行路と、該パーティクルカウンタの測定位置と、該ワーク処理装置の位置と、を紐付けて同一のマップ上に表示する請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
該パーティクルカウンタは、該ワーク処理装置が設置されるルーム内の微粒子の数を測定する請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
該パーティクルカウンタは、該カセット内の微粒子の数を測定する請求項1に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をワーク処理装置の上方に設置された走行路を走行する搬送車によって搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の処理装置に搬送車(自動搬送車)によって、ワークや加工工具、加工に使用する消耗品などの物品を搬送する搬送システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-163920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワーク処理装置が設置されるルームは、空気中に浮遊する微粒子のサイズや個数が所望する値以下になるように管理することが求められている。従来は、ルーム内にパーティクルカウンタを固定するか、オペレータが任意の場所にハンディパーティクルカウンタを持って測定する等により、空気中に浮遊する微粒子のサイズや個数の監視をしている。しかしながら、パーティクルカウンタを固定した位置しか測定する事ができないという問題があったり、オペレータによる作業が必要となってしまうという問題があったりした。
【0005】
また、搬送車が走行するルームやルーム内における位置によって、搬送車が物品を収容するカセット内に浮遊する微粒子のサイズや個数が変化するので、この微粒子のサイズや個数が所望する値以下になるように管理することが求められている。従来は、オペレータがルーム内の任意の箇所に位置した搬送車のカセット内をハンディパーティクルカウンタで測定したり、特定の場所にパーティクルカウンタを設置しそこに位置付けられた搬送車のカセット内を測定したりする等により、空気中に浮遊する微粒子のサイズや個数の監視をしている。しかしながら、オペレータによる作業が必要となる問題や、パーティクルカウンタを固定した位置に置いてしか測定する事ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワーク処理装置が設置されるルーム内やルーム内を走行する搬送車のカセット内をパーティクルカウンタにより測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置を柔軟に変更できる搬送システムを提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の搬送システムは、ワーク処理装置と、該ワーク処理装置に対して物品を搬出入する搬送車と、該ワーク処理装置の上方に設置され該搬送車が走行する走行路と、制御ユニットと、を備える搬送システムであって、該搬送車は、該物品を収容するカセットと、該カセットを該ワーク処理装置のカセット載置台に対して昇降させる昇降ユニットと、パーティクルカウンタと、を有し、該制御ユニットは、該走行路の任意の位置で該パーティクルカウンタに空気中の微粒子の数を測定させる測定部と、該パーティクルカウンタで測定した日時と、位置と、結果と、含む測定情報を記録する第1記録部と、該ワーク処理装置の位置と、稼働履歴と、を含む処理情報を記録する第2記録部と、該パーティクルカウンタの測定日時と、該測定日時においてそれぞれの該ワーク処理装置が何を実施していたかを示す該稼働履歴と、を紐付けるデータ紐付け部と、を有するものである。
【0008】
該制御ユニットは、該走行路と、該パーティクルカウンタの測定位置と、該ワーク処理装置の位置と、を紐付けて同一のマップ上に表示してもよい。
【0009】
該パーティクルカウンタは、該ワーク処理装置が設置されるルーム内の微粒子の数を測定してもよい。
【0010】
該パーティクルカウンタは、該カセット内の微粒子の数を測定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、搬送車に設けたパーティクルカウンタにより、走行路上の如何なる場所においても、オペレータの手を介することなく、自動で、空気中の微粒子の数を測定できるため、ワーク処理装置が設置されるルーム内やルーム内を走行する搬送車のカセット内をパーティクルカウンタにより測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置を柔軟に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る搬送システムの構成例を示す概略図である。
図2図2は、図1の搬送システムの一部を示す斜視図である。
図3図3は、図1の搬送システムの一部を示す側断面図である。
図4図4は、図1の搬送システムの制御ユニットが取り扱うパーティクル管理情報の一例を示す図である。
図5図5は、図1の搬送システムの表示ユニットが表示する表示画面の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態2に係る搬送システムの構成例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る搬送システム1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る搬送システム1の構成例を示す概略図である。図2及び図3は、それぞれ、図1の搬送システム1の一部を示す斜視図及び側断面図である。搬送システム1は、図1に示すように、ワーク201(図2等参照)を処理する複数のワーク処理装置100と、複数のワーク処理装置100のそれぞれに対して物品200(図2等参照)を搬出入する搬送車10と、ワーク処理装置100の上方にワーク処理装置100の間にわたって設置され、搬送車10が走行する走行路20と、表示ユニット30と、制御ユニット40と、を備える。搬送システム1は、実施形態1では複数台(図1に示す例では3台)の搬送車10を含むが、本発明ではこれに限定されず、1台や2台でもよく、もちろん4台以上でもよい。なお、図面は、適宜、一部の構成要素を省略したり、一部の構成要素を輪郭のみ等で簡易的に示したりしている。
【0015】
搬送システム1を構成する複数のワーク処理装置100は、実施形態1では、図1に示すように、いずれも1室のルーム1000内に設置されている。なお、搬送システム1を構成する複数のワーク処理装置100は、本発明ではこれに限定されず、複数室のルーム1000内に分けて設置されてもよく、1台毎に1室のルーム1000内に設置されてもよい。
【0016】
ワーク処理装置100の処理対象であり、なおかつ、実施形態1に係る搬送システム1の搬送対象の物品200の一例であるワーク201を説明する。ワーク201は、図2に示すように、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。ワーク201は、平坦な表面において、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ラインで区画された領域にそれぞれチップ状のデバイスが形成されている。なお、ワーク201は、本発明ではこれに限定されず、デバイスが形成されていなくてもよい。ワーク201は、実施形態1では、裏面に粘着テープが貼着され、粘着テープの外縁部に環状フレームが装着されているが、本発明ではこれに限定されず、環状フレームが装着されていなくても、粘着テープが貼着されていなくてもよい。
【0017】
なお、搬送システム1の搬送対象の物品200は、ワーク201に限定されず、材質、形状、構造、大きさ等に制限はなく、例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等であってもよく、ワーク201を加工する加工工具、ワーク201の加工に使用する消耗品、ワーク処理装置100を清掃する清掃用具、ワーク処理装置100をメンテナンスするメンテナンス部品であってもよい。ワーク201を加工する加工工具は、例えば、切削ブレード、研削ホイール等である。ワーク201の加工に使用するその他の消耗品は、例えば、ドレッシングボード、プリカットボード、ダミーワーク、ダミーワークピース、粘着テープ、カーボン片等である。清掃用具は加工工具を装着する支持面を清掃する洗浄砥石などの清掃用品等である。また、メンテナンス部品は、その他のワーク処理装置100に備えられる任意の機構をメンテナンスするためのメンテナンス用具等である。ワーク201以外の物品200についても、実施形態1では、図2に示すように、裏面に粘着テープが貼着され、粘着テープの外縁部に環状フレームが装着されているが、本発明ではこれに限定されず、環状フレームが装着されていなくても、粘着テープが貼着されていなくてもよい。
【0018】
搬送システム1の搬送対象の物品200は、物品200の種類を示すバーコードやID(IDentification)、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなど(ともに不図示)が付与されている。ここで、物品200(ワーク201)の種類は、物品200の品種、物品200の仕様、及び、各物品200を区別する情報のことを指す。物品200の品種は、例えば、ワーク201、基板、切削ブレード、研削ホイール、ドレッシングボード、プリカットボード、ダミーワーク、ダミーワークピース、粘着テープ、カーボン片、清掃用具、メンテナンス用具等である。物品200の仕様は、例えば物品200がワーク201の場合、直径、厚さ、母材の組成や構成、デバイスの種類や仕様、分割予定ラインの間隔(インデックス幅)や幅や本数、貼着された粘着テープの素材や構成や種類や仕様、環状フレームの素材や構成や種類や仕様、等である。物品200がワーク201以外の場合でも、物品200の品種に応じて適宜物品200の仕様項目が決められる。各物品200を区別する情報は、例えば、物品200毎に設けられた識別番号である。また、各物品200を区別する情報は、物品200がワーク201である場合、ワーク201のロット番号を含んでいてもよい。
【0019】
搬送システム1のワーク処理装置100は、図2に示すように、筐体110と、カセット載置台120と、搬送ユニット130と、処理ユニット140と、受信機160と、送信機170と、制御部180と、を備える。筐体110は、筐体110を除くワーク処理装置100の各構成要素を収容する。筐体110の上方の天井111には、物品200(ワーク201)を収容する搬送車10のカセット13が通過可能な大きさ及び形状の開口112が形成されている。
【0020】
カセット載置台120は、図2に示すように、載置領域121と、ガイド122と、を有する。載置領域121は、搬送車10から昇降ユニット14により降下するカセット13が着地して載置される領域であり、カセット載置台120の上面に、カセット13の平面視の形状及び大きさと同じ形状及び大きさで設けられている。カセット載置台120は、載置領域121で、着地して載置されたカセット13を上方に向けて支持する。
【0021】
ガイド122は、カセット載置台120に設置されている。ガイド122は、載置領域121よりも外周側に、カセット載置台120の上面から複数(図2に示す例では8個)立設している。ガイド122は、内周側に、カセット13の外周側が嵌め合わせ可能となる位置に配列されている。ガイド122は、内周側の面に、下方に向かうに従って内周側に突出する方向に傾斜する傾斜面が形成されている。さらに傾斜面が湾曲して形成されることで、カセット13がガイド122に沿ってなめらかにスライドして位置決めされる。このため、ガイド122は、受け渡し領域22に停止された搬送車10から昇降されるカセット13の降下時に、カセット13の水平方向の位置が載置領域121に対してずれていた場合でも、傾斜面によりカセット13に接触し、カセット13の水平方向(図2等のXY平面に平行な方向)の位置を修正し、カセット13を水平方向に位置決めして、カセット13を正確に載置領域121に着地させて載置させる。
【0022】
搬送ユニット130は、図2に示すように、カセット載置台120に隣接して設置される。搬送ユニット130は、カセット載置台120の載置領域121に着地したカセット13内に収容された物品200(ワーク201)を搬出して処理ユニット140に関する所定の位置に載置し、また、処理ユニット140の周囲の所定の位置に載置した物品200(ワーク201)をカセット載置台120の載置領域121に着地したカセット13内に搬入する。ここで、処理ユニット140に関する所定の位置は、図2に示す実施形態1の例では、処理ユニット140-1(切削加工ユニット)及び処理ユニット140-3(撮像ユニット、検査ユニット)の周囲にある保持テーブル(チャックテーブル)上、または、処理ユニット140-2(洗浄ユニット)のスピンナテーブル上である。
【0023】
搬送ユニット130は、実施形態1では、例えば、第1搬送アーム131と、第2搬送アーム132と、一対のレール133と、を備える。第1搬送アーム131は、カセット載置台120の載置領域121に着地したカセット13内と、一対のレール133上と、の間で、物品200(ワーク201)を搬送する。第2搬送アーム132は、一対のレール133上と、処理ユニット140の周囲の所定の位置と、の間で、物品200(ワーク201)を搬送する。一対のレール133は、互いに平行な状態を維持しながら接近または離隔でき、一対のレール133間で、環状フレームを介して物品200(ワーク201)を保持できる。また、搬送ユニット130は、物品200(ワーク201)をカセット13から搬出及びカセット13に搬入する際に、物品200(ワーク201)のバーコードやIDを読み取ることで、物品200(ワーク201)の種類の情報を取得し、制御部180に出力する読み取り機を備えている。
【0024】
処理ユニット140は、ワーク201を処理する。処理ユニット140は、実施形態1では、例えば、ワーク201をカセット13と異なるカセットとの間で入れ替えるなど、ワーク201を任意の収容カセットに収容処理する収容ユニット、ワーク201に対して加工処理する加工ユニット、ワーク201に対して洗浄処理する洗浄ユニット、ワーク201に対して検査処理する検査ユニット、ワーク201に対して撮像処理する撮像ユニット、ワーク201に対して粘着テープなどの支持部材を貼り付けるまたは剥離するマウンタユニット、ワーク201に対して膜を形成する膜形成ユニット、走行路20を洗浄するための洗浄液の補充や走行路20を洗浄した洗浄液を走行路20から除去する乾燥ユニット29(図3参照)の交換を行う走行路洗浄補充ユニット等である。すなわち、収容ユニット及び走行路洗浄補充ユニット以外の処理ユニット140を備えるワーク処理装置100は、ワーク201に対して、加工、洗浄、検査、撮像、支持部材の貼り付け、支持部材の剥離、膜の形成の少なくともいずれかを実施することができる。
【0025】
処理ユニット140が収容ユニットである場合、搬送システム1の搬送対象の種々の物品200、すなわち、ワーク201、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等、切削ブレードや研削ホイール等のワーク201を加工する加工工具、ドレッシングボードやプリカットボード、ダミーワーク、粘着テープ、カーボン片等のワーク201の加工に使用する消耗品、ワーク処理装置100を清掃する清掃用具、ワーク処理装置100をメンテナンスするメンテナンス部品を収容する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が収容ユニットである場合、処理ユニット140内で搬送システム1の搬送対象の種々の物品200を任意のカセットに収容し、筐体110の上方の天井111の開口112を通じて任意のカセットから搬送車10に搬出及び搬入するいわゆるストッカーである。図1に示す実施形態1の例では、ワーク処理装置100-2がストッカーである。
【0026】
処理ユニット140は、加工ユニットである場合、例えば、切削ブレードが回転可能に装着されるスピンドルを備え、切削ブレードでワーク201を切削加工処理する切削加工ユニットや、研削砥石が配置された研削ホイールが回転可能に装着されるスピンドルを備え、研削砥石でワーク201を研削加工処理する研削加工ユニット、ワーク201にレーザービームを照射するレーザービーム照射器を備え、レーザービームでワーク201をレーザー加工処理するレーザー加工ユニット、ワーク201にプラズマ化したガスを供給してエッチングするプラズマ加工ユニット、ワーク201に粘着テープ等の保護部材を貼着して保護部材設置加工処理をする貼着加工ユニット、ワーク201に紫外線を照射する紫外線照射器を備え、ワーク201を紫外線照射加工処理する紫外線加工ユニット、等である。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が加工ユニットである場合、ワーク201に対して加工処理する加工装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-1が切削加工ユニットであり、ワーク201に対して切削加工処理を実施することができる。
【0027】
処理ユニット140は、洗浄ユニットである場合、ワーク201に洗浄液や洗浄用のガス等を供給するノズルを備え、ワーク201を洗浄処理する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が洗浄ユニットである場合、ワーク201に対して洗浄処理する洗浄装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-2が洗浄ユニットであり、ワーク201に対して洗浄処理を実施することができる。
【0028】
処理ユニット140は、検査ユニットである場合、ワーク201に検査用のレーザービームを照射するレーザービーム照射器や、ワーク201に電磁波を照射する電磁波照射器、ワーク201に検査用の紫外線を照射する紫外線照射器、ワーク201の検査用画像を撮像する撮像器と、照射や撮像の結果に基づいてワーク201の検査判定をする検査判定部とを備え、ワーク201を検査処理する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が検査ユニットである場合、ワーク201に対して検査処理する検査装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-3が撮像器としての機能を備え、制御部180が検査判定部としての機能を備えるので、実質的に検査ユニットを備え、ワーク201に対して切削加工処理が正常な範囲内で実行されたか否かを自動的に確認する所謂カーフチェック等の検査処理を実施することができる。
【0029】
処理ユニット140は、撮像ユニットである場合、ワーク201を撮像する撮像器と、ワーク201を移動させて撮像器に対するワーク201の位置や向きを変更及び調整するワーク移動器とを備え、ワーク201を撮像処理する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が撮像ユニットである場合、ワーク201に対して撮像処理する撮像装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-3が撮像ユニットであり、ワーク201に対して撮像処理を実施することができる。
【0030】
処理ユニット140は、マウンタユニットである場合、ワーク201に対して粘着テープなどの支持部材を供給する支持部材供給部と、供給された支持部材をワーク201に対して貼り付ける貼り付け部と、ワーク201に対して貼り付けられた支持部材を剥離する剥離部とを備え、ワーク201に対して、支持部材貼り付け処理、もしくは、支持部材剥離処理を実施する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140がマウンタユニットである場合、ワーク201に対して支持部材貼り付け処理、もしくは、支持部材剥離処理をするマウンタ装置である。
【0031】
処理ユニット140は、膜形成ユニットである場合、ワーク201に対して膜を形成する膜形成部を備え、ワーク201に対して膜形成処理を実施する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が膜形成ユニットである場合、ワーク201に対して膜形成処理をする膜形成装置である。
【0032】
処理ユニット140は、ワーク201を加工する加工工具や、ワーク201の加工に使用する消耗品等といったワーク201以外の物品200を交換する交換処理を実施する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が交換処理を実施する場合、新規な加工工具や消耗品等が開口112より搬入され、処理ユニット140の使用済みの加工工具や消耗品等を新規な加工工具や消耗品等に交換し、処理ユニット140から取り外された加工工具や消耗品等が開口112より搬出される。
【0033】
受信機160は、搬送システム1の制御ユニット40と情報通信可能に接続され、制御ユニット40から送信された情報を受信し、受信した情報を制御部180に出力する。受信機160は、実施形態1では、制御ユニット40と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット40と有線で情報通信可能に接続されてもよい。受信機160が制御ユニット40から受信する情報は、実施形態1では、例えば、ワーク処理装置100の処理に関する動作の指令情報や、ワーク処理装置100内のワーク201の搬送状況や搬送履歴、処理状況や処理履歴等の情報の送信を促す要求情報等である。
【0034】
送信機170は、制御ユニット40と情報通信可能に接続され、制御部180から出力された情報を制御ユニット40に送信する。送信機170は、実施形態1では、制御ユニット40と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット40と有線で情報通信可能に接続されてもよい。送信機170が制御ユニット40に送信する情報は、実施形態1では、例えば、ワーク処理装置100内のワーク201の搬送状況や搬送履歴、処理状況や処理履歴等の情報である。
【0035】
制御部180は、ワーク処理装置100の各構成要素の動作を制御して、物品200(ワーク201)に対する各種処理動作をワーク処理装置100に実施させるものである。制御部180は、搬送ユニット130を制御して、カセット載置台120に載置されたカセット13と処理ユニット140の所定の位置との間の物品200(ワーク201)の搬送を制御するとともに、搬送ユニット130より物品200(ワーク201)の搬送状況や搬送履歴、物品200(ワーク201)の位置の情報等を取得する。制御部180は、処理ユニット140を制御して、処理ユニット140による物品200(ワーク201)の処理を制御するとともに、処理ユニット140より物品200(ワーク201)の処理状況や処理履歴、物品200(ワーク201)の位置の情報、チェック条件やチェック結果の情報等を取得する。
【0036】
制御部180は、このように、搬送ユニット130や処理ユニット140から、物品200(ワーク201)の搬送状況や搬送履歴、物品200(ワーク201)の位置の情報、物品200(ワーク201)の処理状況や処理履歴、物品200(ワーク201)の位置の情報、チェック条件やチェック結果の情報等の少なくともいずれかを含むワーク処理装置100の稼働履歴322(図4参照)を取得する。制御部180は、さらに、ワーク処理装置100の稼働履歴322と、予め登録されたワーク処理装置100の位置321(図4参照)と、を紐づけて、ワーク処理装置100の位置321とワーク処理装置100の稼働履歴322とを含むワーク処理装置100の処理情報320(図4参照)を生成してもよい。なお、ワーク処理装置100の位置321は、図4では、わかりやすさのため、ワーク処理装置100の種類を表す「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」等(図1参照)が付されて表されているが、制御部180内では、例えば、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000に備え付けられたルーム座標系(直交座標系であるXYZ座標や円柱座標系であるRθZ座標等)による座標等で処理され、図5での表示に使用される。
【0037】
制御部180は、受信機160が制御ユニット40から受信した情報を取得し、制御ユニット40に送信する情報を送信機170に出力する。制御部180は、受信機160が制御ユニット40から受信した指令情報に応じた動作をワーク処理装置100に実施させる。制御部180は、受信機160が制御ユニット40から受信した要求情報に応じて、ワーク処理装置100の稼働履歴322を送信機170から制御ユニット40に送信させる。制御部180は、制御ユニット40からの要求情報を受信していない場合でも、自発的にワーク処理装置100の稼働履歴322を送信機170から制御ユニット40に送信させることもできる。
【0038】
ここで、搬送ユニット130より取得する物品200(ワーク201)の搬送状況や搬送履歴、物品200(ワーク201)の位置の情報は、物品200(ワーク201)の種類と、当該種類の物品200(ワーク201)が搬入及び搬出されたワーク処理装置100の種類が、当該ワーク処理装置100に搬入及び搬出された日時(時刻)と紐付けられたものである。なお、ワーク処理装置100の種類は、各ワーク処理装置100を区別する情報のことを指し、例えば、ワーク処理装置100の実施する処理の種類や、ワーク処理装置100毎に設けられた識別番号である。
【0039】
また、ワーク処理装置100の処理状況は、例えば、処理中のワーク処理装置100の種類、ワーク処理装置100の筐体110内に搬入した物品200(ワーク201)、ワーク処理装置100の筐体110内にあるワーク201の位置情報を含む搬送状況、ワーク201に対する処理ユニット140による処理状況、処理中の処理ユニット140や処理中及び処理後のワーク201に発生したエラーに関するエラー状況、ワーク処理装置100の筐体110内にあるワーク201を加工する加工工具やワーク201の加工に使用する消耗品等の位置情報を含む搬送状況や処理ユニット140における交換処理状況などである。
【0040】
また、ワーク処理装置100の処理履歴は、ワーク処理装置100で処理した物品200(ワーク201)毎の、処理したワーク処理装置100の種類、ワーク処理装置100の筐体110内で実施した物品200(ワーク201)の搬送履歴や処理履歴、エラー履歴、交換処理履歴のことであり、具体的には、物品200(ワーク201)毎に、ワーク処理装置100の筐体110内での搬送処理した旨の情報や搬送処理されていた際の位置情報の履歴、処理した旨の情報や処理した際の処理条件や処理の際に得られた処理データの履歴、処理中の処理ユニット140や処理中及び処理後のワーク201に発生したエラーに関するエラー履歴、交換処理した旨の情報や交換処理した際の交換処理条件や交換処理の際に得られた交換処理データの履歴が、それらの処理が実施された日時(時刻)及び当該物品200(ワーク201)の種類と紐付けられたものである。
【0041】
制御部180は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御部180が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御部180の演算処理装置は、制御部180の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ワーク処理装置100を制御するための制御信号を、制御部180の入出力インターフェース装置を介してワーク処理装置100の各構成要素に出力する。
【0042】
搬送車10は、自動搬送車(Automated Guided Vehicle、AGV)であり、図3に示すように、フレーム11と、車輪12と、カセット13と、昇降ユニット14と、パーティクルカウンタ15と、撮像部16と、受信機17と、送信機18と、制御部19と、ノズル27と、タンク28と、乾燥ユニット29と、を有する。
【0043】
フレーム11は、矩形状に形成されており、カセット13を収容可能で下方側に開放された凹部11-1が形成されている。車輪12は、フレーム11の互いに平行な一対の側面に、それぞれ複数個(図2及び図3に示す例では2個)、この一対の側面に対して直交する軸心周りに互いに独立して回転自在に設けられている。車輪12は、外周面が走行路20の通路領域21または受け渡し領域22に接触する。車輪12は、それぞれ不図示のモーター等に接続されており、モーター等により軸心周りの回転動作が加えられて、走行路20の通路領域21上または受け渡し領域22上を走行する。車輪12は、実施形態1では、例えば、傾斜した樽状(筒状)の複数の回転体が外周面に取り付けられたメカナムホイールが使用される。
【0044】
カセット13は、矩形状に形成されており、内部に物品200(ワーク201)を収容する。カセット13は、互いに平行な一対の側面に、物品200(ワーク201)が通過可能な大きさ及び形状の開口が形成されている。カセット13は、開口から物品200(ワーク201)が取り出され、開口から物品200(ワーク201)が収容される。
【0045】
昇降ユニット14は、フレーム11内の凹部11-1の上方に設けられている。昇降ユニット14は、図3に示すように、カセット13及びカセット13に収容した物品200(ワーク201)を、ワーク処理装置100のカセット載置台120に対して昇降させる。昇降ユニット14は、カセット13及びカセット13に収容した物品200(ワーク201)を、搬送車10のフレーム11の凹部11-1に収容された車内位置と、ワーク処理装置100の筐体110の内部の、カセット載置台120の載置領域121に着地した着地位置との間で、走行路20の開口24及びワーク処理装置100の開口112を通して、昇降移動させる。
【0046】
パーティクルカウンタ15は、図3に示すように、フレーム11の上面に設けられており、パーティクルカウンタ15の周囲の空気中に含まれる微粒子(パーティクル)の数(濃度)を数えて(カウントして)測定して、この測定した内容を制御部19に出力する。パーティクルカウンタ15は、実施形態1では、設置された搬送車10が走行するルーム1000内における位置の空気中の微粒子の数を測定する。パーティクルカウンタ15は、実施形態1では、例えば、光散乱方式のものが使用され、インレットノズルから周囲の空気を取り込み、取り込んだ空気にレーザー光線を照射し、空気中に含まれる微粒子に当該レーザー光線が当たって発生する散乱光をフォトダイオードで検出して電気信号に変換し、当該電気信号(電気パルス)の大きさに基づき空気中に含まれる微粒子の大きさを計測するとともに、当該電気信号の数で空気中に含まれる微粒子の数をカウントし、空気中に含まれる微粒子の大きさ及び数をパーティクルカウンタ15の測定内容として取得する。
【0047】
撮像部16は、図3に示すように、フレーム11に、搬送車10が走行する走行路20と鉛直方向に沿って対向するように装着されており、搬送車10の下方を撮像する。撮像部16は、搬送車10の下方の走行路20に複数種類設けられた不図示のマークを撮像して検出することで、搬送車10の走行路20上の位置を検出し、検出した搬送車10の走行路20上の位置を制御部19に出力する。
【0048】
撮像部16は、搬送車10が受け渡し領域22に停止する際に、カセット載置台120を上方から撮像して、停止位置を決めるための基準となる画像を取得して、制御部19に出力する。また、撮像部16は、カセット載置台120に対して昇降するカセット13を、走行路20の開口24及びワーク処理装置100の開口112を通して、上方から撮像することで、カセット13がカセット載置台120のガイド122によって載置領域121に位置決めされる前と後との画像を取得して、制御部19に出力する。撮像部16は、上方からカセット13の全体を撮像視野内に収められる程度に視野角が広いことが好ましい。
【0049】
また、撮像部16は、搬送車10の下方の走行路20の部分を撮像して、走行路20の当該部分の画像を取得して、制御部19に出力する。撮像部16は、このような走行路20の部分の画像を撮像することにより、走行路20の当該部分に付着した異物を検出するセンサとしても機能する。
【0050】
なお、搬送車10は、実施形態1では、撮像部16によって搬送車10の走行路20上の位置や走行路20に付着した異物を検出するが、本発明ではこれに限定されず、例えば、投光部から走行路20のマークに光を照射して、走行路20のマークからの反射光を検出する光電センサを更に有し、光電センサにより、反射光を検出することにより走行路20のマークを検出して搬送車10の走行路20上の位置を検出し、マークからの光の反射量の変化により走行路20に付着した異物を検出してもよい。
【0051】
撮像部16は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備えている。撮像部16は、例えば、赤外線カメラや可視光線カメラである。撮像部16は、本発明では、実施形態1のように1つ備える形態に限定されず、複数備えてもよい。
【0052】
搬送車10は、最初に搬送システム1の走行路20上にセットされる際、セットした場所と搬送車10の種類とが制御部19や制御ユニット40に登録される。搬送車10の種類は、例えば、図4及び図5に示すように、「a」、「b」、「c」、「d」、「e」等で表される。搬送車10は、セットされた後、実施形態1では、上記したように、撮像部16や光電センサにより、搬送車10の走行路20上の位置を検出する。なお、搬送車10は、本発明ではこの構成に限定されず、例えば、この構成に代えて、ラインセンサによって不図示のマークを検出する構成や、走行路20上に設置した複数のセンサにより搬送車10の位置を検出する構成でも良く、搬送車10をGPS(Global Positioning System)と無線で情報通信可能に接続し、GPSを利用して搬送車10の位置を取得する構成でも良く、どのような形で搬送車10の位置を取得可能な構成としてもよい。
【0053】
受信機17は、制御ユニット40と情報通信可能に接続され、制御ユニット40から送信された情報を受信し、受信した情報を制御部19に出力する。受信機17は、実施形態1では、制御ユニット40と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット40と有線で情報通信可能に接続されてもよい。受信機17が制御ユニット40から受信する情報は、実施形態1では、例えば、搬送車10の走行やカセット13の昇降に関する動作の指令情報や、搬送車10の位置やカセット13の位置を含む搬送車10の搬送状況や搬送履歴、パーティクルカウンタ15の測定結果314、撮像部16により撮像した画像の送信を促す要求情報等である。
【0054】
送信機18は、制御ユニット40と情報通信可能に接続され、制御部19から出力された情報を制御ユニット40に送信する。送信機18は、実施形態1では、制御ユニット40と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット40と有線で情報通信可能に接続されてもよい。送信機18が制御ユニット40に送信する情報は、実施形態1では、例えば、搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報、パーティクルカウンタ15の測定情報310、撮像部16により撮像した画像である。
【0055】
制御部19は、搬送車10の各構成要素の動作を制御して、搬送車10の走行やカセット13の昇降に関する動作を搬送車10に実施させるものである。制御部19は、車輪12に接続された不図示のモーターや、車輪12の角度等を制御することで、搬送車10の走行を制御する。制御部19は、昇降ユニット14の不図示のモーターを制御することで、カセット13の昇降移動を制御する。
【0056】
制御部19は、パーティクルカウンタ15を制御して、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定するとともに、パーティクルカウンタ15の測定内容を取得し、当該測定内容に基づいて、当該測定内容が制御部19に予め登録された微粒子に関する条件を満たしている場合、微粒子が十分に少ない状態であり良好である旨の「OK」とのパーティクルカウンタ15の測定結果314(図4参照)を生成して記録し、当該測定内容が制御部19に予め登録された微粒子に関する条件を満たしていない場合、微粒子が十分に少ない状態ではなく不良である旨の「NG」とのパーティクルカウンタ15の測定結果314を生成して記録する。ここで、制御部19に予め登録された微粒子に関する条件は、例えば、所定の範囲内の大きさの微粒子が所定の数以下であるか否かというものである。
【0057】
制御部19は、撮像部16を制御して、走行路20の画像を撮像して取得するとともに、走行路20の画像に基づいて、搬送車10の走行路20上の位置を取得する。制御部19は、搬送車10の走行路20上の位置の情報と、搬送車10が搬送する物品200(ワーク201)の種類の情報とに基づいて、搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報を生成する。
【0058】
制御部19は、また、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定したタイミングで、このパーティクルカウンタ15が設けられた搬送車10の撮像部16で走行路20の画像を撮像し、この走行路20の画像に基づいて、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定したときの搬送車10の走行路20上の位置を算出し、この算出した位置を、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定したルーム1000内における測定位置312(図4参照)として取得する。制御部19は、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定した日時(時刻)である測定日時311(図4参照)と、上記のようにして取得した、当該測定日時311でのパーティクルカウンタ15で測定した測定位置312と、当該測定日時311での測定をしたパーティクルカウンタ15が設けられた搬送車10の種類313(図4参照)と、当該測定日時311での測定により得たパーティクルカウンタ15の測定結果314とを互いに紐付けて、パーティクルカウンタ15の測定情報310(図4参照)を取得する。パーティクルカウンタ15の測定情報310は、このように、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定した測定日時311と、測定位置312と、搬送車10の種類313と、測定結果314と、を含む。
【0059】
制御部19は、受信機17が制御ユニット40から受信した情報を取得し、制御ユニット40に送信する情報を送信機18に出力する。制御部19は、受信機17が制御ユニット40から受信した指令情報に応じた動作を搬送車10に実施させる。制御部19は、受信機17が制御ユニット40から受信した要求情報に応じて、搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報、パーティクルカウンタ15の測定情報310、撮像部16により撮像した画像を、送信機18から制御ユニット40に送信させる。制御部19は、制御ユニット40からの要求情報を受信していない場合でも、自発的に搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報、パーティクルカウンタ15の測定情報310、撮像部16により撮像した画像を、送信機18から制御ユニット40に送信させることもできる。
【0060】
ここで、搬送車10の搬送状況は、例えば、搬送中の物品200(ワーク201)、搬送中の搬送車10の種類、当該搬送車10が搬送中の走行路20の種類及び当該走行路20上の位置、搬送速度、搬送中の搬送車10や搬送中及び搬送後のワーク201に発生したエラーに関するエラー状況などである。また、搬送車10の搬送履歴は、搬送した物品200(ワーク201)毎の、搬送した搬送車10の種類、当該搬送車10が搬送した走行路20の種類の履歴、当該走行路20上の位置の通過履歴、搬送速度の履歴、搬送中の搬送車10や搬送中及び搬送後のワーク201に発生したエラーに関するエラー履歴が、それらの搬送が実施された時刻及び当該物品200(ワーク201)の種類と関連付けられたものである。
【0061】
制御部19は、実施形態1では、前述した制御部180と同様のコンピュータシステムを含む。制御部19の演算処理装置は、制御部19の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、搬送車10を制御するための制御信号を、制御部19の入出力インターフェース装置を介して搬送車10の各構成要素に出力する。
【0062】
ノズル27は、図3に示すように、フレーム11に、搬送車10が走行する走行路20に向けて装着されており、走行路20に純水または界面活性材を含む純水からなる洗浄液を供給する。ノズル27は、タンク28と接続、連通されており、タンク28からタンク28に溜められた洗浄液が供給される。ノズル27は、制御部19により制御され、例えば撮像部16が走行路20に付着した異物を検出した場合に、制御部19からの指令に従って、走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域に、タンク28から供給された洗浄液を供給する。
【0063】
タンク28は、図3に示すように、フレーム11に装着されており、洗浄液が溜められ、溜められた洗浄液をノズル27に供給する。タンク28は、洗浄液の残量が少なくなった場合等に、ワーク処理装置100の走行路洗浄補充ユニットから洗浄液が補充される。
【0064】
乾燥ユニット29は、図3に示すように、フレーム11に、搬送車10が走行する走行路20に向けて装着されている。乾燥ユニット29は、制御部19により制御され、例えば撮像部16が走行路20に付着した異物を検出した場合に、ノズル27から洗浄液が供給された後、制御部19からの指令に従って、ノズル27から走行路20に向けて供給された洗浄液を走行路20から除去する。乾燥ユニット29は、例えば、不織布やスポンジ等であり、ノズル27から走行路20に向けて供給された洗浄液を拭き取る。乾燥ユニット29は、洗浄液を十分に除去した場合や汚損した場合等に、ワーク処理装置100の走行路洗浄補充ユニットで交換される。
【0065】
制御部19は、センサとして機能する撮像部16によって走行路20に付着した異物を検出すると、ノズル27から洗浄液を走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域に供給し、乾燥ユニット29により、ノズル27から走行路20に向けて供給された洗浄液を走行路20から除去する。
【0066】
また、制御部19は、センサとして機能する撮像部16によって走行路20に付着した異物を検出した際に、上記のノズル27及び乾燥ユニット29による異物の除去に代えて、同様の異物除去(お掃除)機能を持つ異物除去(お掃除)ロボットを、走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域を走らせることで、当該異物を除去するように促す報知をしてもよい。
【0067】
また、搬送車10は、ノズル27、タンク28及び乾燥ユニット29に加えてさらに、もしくはノズル27、タンク28及び乾燥ユニット29に代えて、走行路20に向けて吸引力を発生させるファンと、走行路20から吸引した異物を回収するフィルタと、異物が回収された後の吸引したエアを排気する排気口と、を備え、制御部19が、センサとして機能する撮像部16によって走行路20に付着した異物を検出した際に、当該ファンにより走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域に吸引力を発生させ、当該フィルタにより当該異物を回収することにより、当該異物を除去してもよい。なお、搬送車10は、ノズル27、タンク28及び乾燥ユニット29を含む洗浄機構と、ファン、フィルタ及び排気口を含む掃除機構とを両方備えていてもよい。
【0068】
搬送システム1の走行路20は、図2に示すように、通路領域21と、受け渡し領域22と、ガイド部23とを備える。通路領域21は、複数のワーク処理装置100の筐体110の上方に跨って配設されている。受け渡し領域22は、ワーク処理装置100ごとに筐体110の上方に通路領域21に隣接して1箇所ずつ配設されている。受け渡し領域22には、筐体110の開口112の直上に、搬送車10のフレーム11が通過不可能であり、なおかつ、カセット13が通過可能な大きさ及び形状の開口24が形成されている。
【0069】
ガイド部23は、通路領域21及び受け渡し領域22の幅方向の両側端に配設されている。ガイド部23は、搬送車10の車輪12よりも高く形成されており、これにより、搬送車10がガイド部23を乗り越えて通路領域21及び受け渡し領域22から脱落することを防止する。
【0070】
表示ユニット30は、制御ユニット40と情報通信可能に接続され、制御ユニット40からの指令に基づいて、搬送システム1の搬送対象の物品200(ワーク201)に関する履歴情報の画面、例えば、当該物品200(ワーク201)に関するワーク処理装置100の処理状況や処理履歴、搬送車10の搬送状況や搬送履歴等の様々な情報の画面や、ワーク処理装置100の位置321とワーク処理装置100の稼働履歴322とを含むワーク処理装置100の処理情報320に関する画面、パーティクルカウンタ15の測定情報310に関する画面等をオペレータに視認可能に表示する。
【0071】
表示ユニット30は、液晶表示装置等により構成される。表示ユニット30は、オペレータが搬送システム1の上記の画面の表示に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニットが設けられている。表示ユニット30に設けられた入力ユニットは、表示ユニット30に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。なお、表示ユニット30は、走行路20の設置領域付近に固定されている形態に限定されず、任意の通信機器に備えられ、任意の通信機器が無線または有線により制御ユニット40と接続されてもよい。
【0072】
制御ユニット40は、各ワーク処理装置100の受信機160及び送信機170と情報通信可能に接続されており、搬送車10の受信機17及び送信機18と情報通信可能に接続されている。制御ユニット40は、受信機160,17に指令情報を送信することで、制御部180,19を介して各ワーク処理装置100及び搬送車10を遠隔で制御して動作させることができる。また、制御ユニット40は、送信機170から各ワーク処理装置100の処理状況や処理履歴の情報、ワーク処理装置100の処理情報320を受信して把握することができ、送信機18から各搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報、パーティクルカウンタ15の測定情報310を受信して把握することができる。このように、制御ユニット40は、搬送システム1の構成要素である各ワーク処理装置100及び搬送車10を統括的に制御して動作させることができる。また、制御ユニット40は、各搬送車10から受信する様々な情報(データ)と、各ワーク処理装置100から受信する様々な情報(データ)と、をまとめて管理するサーバーとして機能する。
【0073】
図4は、図1の搬送システム1の制御ユニット40が取り扱うパーティクル管理情報300の一例を示す図である。制御ユニット40は、図1に示すように、測定部41と、第1記録部42と、第2記録部43と、データ紐付け部44と、表示制御部45と、を有する。測定部41は、走行路20を走行中の各搬送車10の制御部19を介して、走行路20の任意の位置で各搬送車10のパーティクルカウンタ15に空気中の微粒子の数を測定させて、図4に示すような、各パーティクルカウンタ15の測定情報310を取得する。第1記録部42は、測定部41が取得した各パーティクルカウンタ15の測定情報310を記録する。
【0074】
なお、測定部41及び第1記録部42は、各搬送車10の制御部19の代わりに、各パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定した日時(時刻)である測定日時311と、当該測定日時311での当該パーティクルカウンタ15で測定したルーム1000内における測定位置312と、当該測定日時311での測定をした当該パーティクルカウンタ15が設けられた搬送車10の種類313と、当該測定日時311での測定により得た当該パーティクルカウンタ15の測定結果314とを互いに紐付けて、パーティクルカウンタ15の測定情報310を取得する処理を実行してもよい。
【0075】
第2記録部43は、各ワーク処理装置100の制御部180を介して、図4に示すような、各ワーク処理装置100の処理情報320を取得して記録する。なお、第2記録部43は、各ワーク処理装置100の制御部180の代わりに、予め登録された各ワーク処理装置100の位置321と、各ワーク処理装置100の稼働履歴322と、を紐づけて、各ワーク処理装置100の処理情報320を生成する処理を実行してもよい。
【0076】
データ紐付け部44は、図4に示すように、パーティクルカウンタ15の測定日時311と、測定日時311においてそれぞれのワーク処理装置100が何を実施していたかを示す稼働履歴322と、を紐付けるデータ紐付け処理を実施して、図4に示すような、パーティクルカウンタ15の測定情報310とワーク処理装置100の処理情報320とを含むパーティクル管理情報300を生成して、パーティクル管理情報300を記録する。
【0077】
表示制御部45は、データ紐付け部44によって記録されたパーティクル管理情報300を、図4に示すような表にして、表示ユニット30に表示させることができる。表示制御部45は、パーティクル管理情報300の表の横に、パーティクル管理情報300の表に表示させる項目の条件の入力を受け付ける条件入力部を表示させてもよい。ここで、この条件入力部で入力を受け付ける、パーティクル管理情報300の表に表示させる項目の条件は、例えば、測定日時311の範囲の限定、ルーム1000内における測定位置312の範囲の限定、搬送車10の種類313の限定、測定結果314の種類(OKまたはNG)の限定等であり、パーティクルカウンタ15の測定情報310やパーティクル管理情報300のパーティクルカウンタ15の測定情報310の部分に基づいて、表示制御部45により生成される。
【0078】
図5は、図1の搬送システム1の表示ユニット30が表示する表示画面401の一例を示す図である。表示制御部45は、走行路20と、ルーム1000内におけるパーティクルカウンタ15の測定位置312と、ワーク処理装置100の位置321と、を紐付けて同一のマップ上に表示する図5に示すような表示画面401を生成し、表示画面401を表示ユニット30に表示させる。
【0079】
表示制御部45は、具体的には、まず、予め記憶された各ワーク処理装置100を簡易的に表す画像と、走行路20を簡易的に表す画像と、各ワーク処理装置100の位置321と、走行路20の設置された位置と、の各情報に基づいて、各ワーク処理装置100を簡易的に表す画像を各ワーク処理装置100の位置321に対応する画像内の所定の位置に配置し、走行路20を簡易的に表す画像を走行路20の設置された位置に対応する画像内の所定の位置に配置して、搬送システム1の基本マップ画像411(図5参照)を生成する。
【0080】
表示制御部45は、次に、搬送システム1の基本マップ画像411の横(図5に示す例では左側)に、搬送システム1の基本マップ画像411に重ねて表示させる測定結果314の条件の入力を受け付ける条件入力部412(図5参照)を表示させる。ここで、条件入力部412で入力を受け付ける、搬送システム1の基本マップ画像411に重ねて表示させる測定結果314の条件は、上記のパーティクル管理情報300の表に表示させる項目の条件と同様であり、例えば、測定日時311の範囲の限定、ルーム1000内における測定位置312の範囲の限定、搬送車10の種類313の限定、測定結果314の種類(OKまたはNG)の限定等であり、パーティクルカウンタ15の測定情報310やパーティクル管理情報300のパーティクルカウンタ15の測定情報310の部分に基づいて、表示制御部45により生成される。
【0081】
表示制御部45は、搬送システム1の基本マップ画像411と条件入力部412とを含む画面を表示ユニット30に表示させた後、オペレータから、この画面の条件入力部412からの搬送システム1の基本マップ画像411に重ねて表示させる測定結果314の条件の入力を受け付けると、オペレータにより入力を受け付けた条件に従うパーティクルカウンタ15の各測定位置312に、当該各測定位置312で実施した測定結果314の表示を重ねることにより、表示画面401を生成して表示ユニット30に表示させる。
【0082】
表示制御部45では、例えば、良好である旨の「OK」である測定結果314と、不良である旨の「NG」である測定結果314とを、異なる色彩を付して表示させることにより、オペレータに明瞭に区別して視認可能に表示しているが、本発明ではこれに限定されず、両者が明瞭に区別して視認可能であれば、そのような表示形態でもよい。表示制御部45では、図5に示す実施形態1の例では、不良である旨の「NG」である測定結果314を、良好である旨の「OK」である測定結果314よりも目立つ鮮やかな色彩を付して表示させる。
【0083】
表示制御部45は、表示画面401において、例えば図5に示すように、ワーク処理装置100の装置Fの付近に不良である旨の「NG」の測定結果314を、多くもしくは偏って表示している場合、この表示により、ワーク処理装置100の装置Fの付近に微粒子が発生する要因が起きている可能性が高い旨をオペレータに好適に認識させることができる。
【0084】
制御ユニット40は、また、各搬送車10の制御部19を制御して、制御部19の代わりに、センサとして機能する撮像部16によって走行路20に付着した異物を検出し、検出した際に、ノズル27から洗浄液を走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域に供給し、乾燥ユニット29により、ノズル27から走行路20に向けて供給された洗浄液を走行路20から除去する処理を実施してもよい。
【0085】
制御ユニット40は、また、各搬送車10の制御部19を制御して、制御部19の代わりに、センサとして機能する撮像部16によって走行路20に付着した異物を検出した際に、上記のノズル27及び乾燥ユニット29による異物の除去に代えて、同様の異物除去(お掃除)機能を持つ異物除去(お掃除)ロボットを、走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域を走らせることで、当該異物を除去するように促す報知をしてもよい。
【0086】
制御ユニット40は、また、各搬送車10の制御部19を制御して、制御部19の代わりに、センサとして機能する撮像部16によって走行路20に付着した異物を検出した際に、ファンにより走行路20の当該異物が検出された位置を含む所定の範囲の領域に吸引力を発生させ、フィルタにより当該異物を回収することにより、当該異物を除去してもよい。
【0087】
制御ユニット40は、実施形態1では、制御部180,19と同様のコンピュータシステムを含む。制御ユニット40の演算処理装置は、制御ユニット40の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、搬送システム1を制御するための制御信号を、制御ユニット40の入出力インターフェース装置を介して搬送システム1の各構成要素に出力する。
【0088】
測定部41及び表示制御部45の各機能は、実施形態1では、制御ユニット40の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。第1記録部42、第2記録部43及びデータ紐付け部44の各機能は、実施形態1では、制御ユニット40の記憶装置により実現される。
【0089】
以上のような構成を有する実施形態1に係る搬送システム1は、搬送車10に設けたパーティクルカウンタ15により、搬送車10が走行路20を走行中に、搬送車10が走行する走行路20上の如何なる場所においても、オペレータの手を介することなく、自動で、パーティクルカウンタ15が設けられた搬送車10が走行するルーム1000内における位置の空気中の微粒子の数を測定できる。このため、実施形態1に係る搬送システム1は、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内をパーティクルカウンタ15により測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置312を柔軟に変更できるという作用効果を奏する。
【0090】
また、実施形態1に係る搬送システム1は、制御ユニット40のデータ紐付け部44が、ワーク処理装置100の稼働履歴322と、ルーム1000内におけるパーティクルカウンタ15の測定位置312とを紐付けて記録するので、より容易に、微粒子の発生の原因となるワーク処理装置100や処理内容を追求できる。
【0091】
実施形態1に係る搬送システム1は、さらに、制御ユニット40が、パーティクルカウンタ15による微粒子の測定結果314に基づいて、米国連邦規格FED-STD-209や国際規格ISO14644-1規格で規定されたいわゆるクリーン度を算出できる。このため、実施形態1に係る搬送システム1は、サーバーとして機能する制御ユニット40が、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内のクリーン度を、搬送車10に設けたパーティクルカウンタ15に自動で微粒子の測定を行って算出しつつ、オペレータだけでなく管理者にも視覚的に容易に認識可能に表示して速やかに共有するいわゆる見える化をすることにより、クリーン度を容易かつ明瞭に管理することを可能にし、搬送システム1の使用者によるクリーン度に対する高い品質管理の要求に応えることができる。
【0092】
また、実施形態1に係る搬送システム1は、制御ユニット40の表示制御部45が、走行路20と、ルーム1000内におけるパーティクルカウンタ15の測定位置312と、ワーク処理装置100の位置321と、を紐付けて同一のマップ上に表示するので、オペレータにとってより視覚的にわかりやすく、微粒子の発生の原因となるワーク処理装置100や処理内容を追求できる。
【0093】
また、実施形態1に係る搬送システム1は、パーティクルカウンタ15が、各搬送車10のフレーム11の上面に設けられており、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内の空気中の微粒子の数を測定する。これにより、実施形態1に係る搬送システム1は、より具体的に、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内をパーティクルカウンタ15により測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置312を柔軟に変更できることを実現できるものとなる。
【0094】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る搬送システム1-2を図面に基づいて説明する。図6は、実施形態2に係る搬送システム1-2の構成例を示す側断面図である。図6は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
実施形態2に係る搬送システム1-2は、図6に示すように、実施形態1に係る搬送システム1の各搬送車10において、パーティクルカウンタ15に代えて、パーティクルカウンタ15-2を備えるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0096】
パーティクルカウンタ15-2は、各搬送車10のカセット13内に設けられている。実施形態2のパーティクルカウンタ15-2は、実施形態1のパーティクルカウンタ15において、設けられている場所を変更したものであり、その他の構成は実施形態1のパーティクルカウンタ15と同様である。実施形態1のパーティクルカウンタ15が、設置された搬送車10が走行するルーム1000内における位置の空気中の微粒子の数を測定するのに対し、実施形態2のパーティクルカウンタ15-2は、設置された搬送車10のカセット13内の空気中の微粒子の数を測定する。
【0097】
実施形態2では、制御部19は、パーティクルカウンタ15-2で空気中の微粒子の数を測定したタイミングで、このパーティクルカウンタ15-2が設けられた搬送車10の撮像部16で走行路20の画像を撮像し、この走行路20の画像に基づいて、パーティクルカウンタ15-2で空気中の微粒子の数を測定したときの搬送車10の走行路20上の位置を算出し、この算出した位置を、パーティクルカウンタ15-2でこのパーティクルカウンタ15-2が設けられた搬送車10のカセット13内の空気中の微粒子の数を測定した測定位置312として取得する。測定位置312は、実施形態1では、パーティクルカウンタ15で空気中の微粒子の数を測定したルーム1000内における位置であるのに対し、実施形態2では、パーティクルカウンタ15-2でこのパーティクルカウンタ15-2が設けられた搬送車10のカセット13内の空気中の微粒子の数を測定した位置に変更される。
【0098】
実施形態2の測定位置312は、実施形態1と同様の処理が行われて、実施形態1と同様に、表示制御部45により、データ紐付け部44によって記録されたパーティクル管理情報300を、図4に示すような表にして、表示ユニット30に表示させることに使用される。また、実施形態2の測定位置312は、実施形態1と同様の処理が行われて、走行路20と、ワーク処理装置100の位置321と、が紐付けられて同一のマップ上に表示する図5に示すような表示画面401の生成、及び、表示画面401を表示ユニット30に表示させることに使用される。
【0099】
以上のような構成を有する実施形態2に係る搬送システム1-2は、搬送車10に設けたパーティクルカウンタ15-2により、搬送車10が走行路20を走行中に、搬送車10が走行する走行路20上の如何なる場所においても、オペレータの手を介することなく、自動で、パーティクルカウンタ15-2が設けられた搬送車10のカセット13内の空気中の微粒子の数を測定できる。このため、実施形態2に係る搬送システム1-2は、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内を走行する搬送車10のカセット13内をパーティクルカウンタ15-2により測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置312を柔軟に変更できるという作用効果を奏する。
【0100】
また、実施形態2に係る搬送システム1-2は、パーティクルカウンタ15-2が、各搬送車10のカセット13内に設けられており、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内を走行する搬送車10のカセット13内の空気中の微粒子の数を測定する。これにより、実施形態2に係る搬送システム1-2は、より具体的に、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内を走行する搬送車10のカセット13内をパーティクルカウンタ15-2により測定する際に、オペレータによる作業を低減し、かつ、測定位置312を柔軟に変更できることを実現できるものとなる。
【0101】
なお、本発明に係る搬送システムは、上記の実施形態1,2に係る搬送システム1,1-2に限定されず、実施形態1,2に係る搬送システム1,1-2のそれぞれにおいて、複数台の搬送車10を、実施形態1のパーティクルカウンタ15が設置された搬送車10と、実施形態2のパーティクルカウンタ15-2が設置された搬送車10と、を含むように変更し、実施形態1のパーティクルカウンタ15が設置された搬送車10により、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内の空気中の微粒子の数を測定し、実施形態2のパーティクルカウンタ15-2が設置された搬送車10により、ワーク処理装置100が設置されるルーム1000内を走行する搬送車10のカセット13内の空気中の微粒子の数を測定してもよい。
【0102】
なお、前述した実施形態に係るワーク処理装置によれば、以下のワーク処理装置が得られる。
(付記1)
ワーク処理装置と、
該ワーク処理装置に対して物品を搬出入する搬送車と、
該ワーク処理装置の上方に設置され該搬送車が走行する走行路と、
制御ユニットと、
を備える搬送システムであって、
該搬送車は、
該物品を収容するカセットと、
該カセットを該ワーク処理装置のカセット載置台に対して昇降させる昇降ユニットと、
パーティクルカウンタと、を有し、
該制御ユニットは、
該走行路の任意の位置で該パーティクルカウンタに空気中の微粒子の数を測定させる測定部と、
該パーティクルカウンタで測定した日時と、位置と、結果と、含む測定情報を記録する第1記録部と、
該ワーク処理装置の位置と、稼働履歴と、を含む処理情報を記録する第2記録部と、
該パーティクルカウンタの測定日時と、該測定日時においてそれぞれの該ワーク処理装置が何を実施していたかを示す該稼働履歴と、を紐付けるデータ紐付け部と、
を有し、
該搬送車は、
該走行路に付着した異物を検出するセンサと、
洗浄液を該走行路に供給するノズルと、
該洗浄液を該走行路から除去する乾燥ユニットと、をさらに含み、
該制御ユニットは、該センサによって異物を検出すると、該ノズルから該洗浄液を該走行路に供給する事を特徴とする搬送システム。
【0103】
上記の搬送システムは、上記の実施形態に係る搬送システム1,1-2の作用効果と同様の作用効果を奏するとともに、さらに、搬送車10に設けたセンサ(撮像部16もしくは光電センサ)により、搬送車10が走行路20を走行中に、搬送車10が走行する走行路20上の如何なる場所においても、オペレータの手を介することなく、自動で、走行路20に付着した異物を検出でき、異物を検出した場合に、ノズル27により洗浄液を走行路20に供給して、乾燥ユニット29により洗浄液を走行路20から除去することができるので、これにより、走行路20を清浄な状態に維持することができるという作用効果を奏する。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0105】
1,1-2 搬送システム
10 搬送車
13 カセット
14 昇降ユニット
15,15-2 パーティクルカウンタ
20 走行路
30 表示ユニット
40 制御ユニット
41 測定部
42 第1記録部
43 第2記録部
44 データ紐付け部
100,100-2 ワーク処理装置
120 カセット載置台
200 物品
201 ワーク
310 測定情報
311 測定日時
312 測定位置
314 測定結果
320 処理情報
321 位置
322 稼働履歴
1000 ルーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6