(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177081
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20241212BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241212BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/525
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078443
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0073478
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0178859
(32)【優先日】2023-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515084292
【氏名又は名称】漢陽大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 珍 憲
(72)【発明者】
【氏名】白 雲 揆
(72)【発明者】
【氏名】宋 泰 燮
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ヒョン▼ 濬
(72)【発明者】
【氏名】金 知 ▲ウォン▼
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA10
5H050EA08
5H050EA10
5H050EA12
5H050EA23
5H050EA24
5H050HA01
(57)【要約】
【課題】乾式工程から製造される電極フィルムの物性を改善し、抵抗を下げることができる導電材を含む、リチウム二次電池用電極およびこれを含むリチウム二次電池の提供。
【解決手段】リチウム二次電池用電極およびこれを含むリチウム二次電池に関し、前記電極は、電流集電体;および前記電流集電体上に位置し、活物質、第1導電材、およびバインダーを含む電極活物質層を含み、前記第1導電材はグラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせを含むコアと、前記コアの表面に位置し、アルミナナノ粒子を含むコーティング層と、を含む、リチウム二次電池用電極を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体;および
前記集電体上に位置し、活物質、第1導電材、およびバインダーを含む電極活物質層を含み、
前記第1導電材は、グラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせを含むコアと、
前記コアの表面に位置し、アルミナナノ粒子を含むコーティング層と、を含む、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記コーティング層はドット(dot)形態である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記電極活物質層は第2導電材をさらに含み、
前記第2導電材はカーボンブラックを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記第1導電材および前記第2導電材の重量比は1:9~9:1である、請求項3に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシドまたはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記活物質は、リチウムニッケル系酸化物である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記活物質層は、前記活物質層100重量%に対して、
前記活物質90重量%~99.5重量%、
前記第1導電材0.5重量%~5重量%、および
前記バインダー0.5重量%~5重量%を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
前記電極は正極である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電極を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用電極およびこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に必要な中大型二次電池産業が発展するにつれて、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池の必要性が高まっている。
【0003】
リチウム二次電池のエネルギー密度の向上のための戦略として、厚膜電極を適用することができる。しかし、電極を製造する方法で湿式工程を用いると、乾燥過程でバインダー移動(migration)によって微細構造が劣化するため、電極の厚膜化に限界がある。これに関連して、電極を製造する方法で乾式工程が提案されており、このような乾式工程技術は電極の厚膜化の容易性以外にも、低費用で環境にやさしい工程技術であるという長所を有している。
【0004】
しかし、乾式工程ではポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主に電極バインダーとして使用するが、これは電気抵抗およびイオン抵抗が大きい。これにより、湿式工程で製造された電極に比べて乾式工程で製造された電極の抵抗が大きいという短所がある。
【0005】
また、乾式工程で電極製造後、フィルムに製作する工程において、電極フィルムの物性(例えば、引張強さ、延性など)を確保しなければならない。そのために乾式工程から製造される電極フィルムの物性を改善し、抵抗を下げることができる導電材の導入が必要であり、未だにこれに対する研究はほとんど行われていないのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、乾式工程から製造される電極フィルムの物性を改善し、抵抗を下げることができる導電材を含む、リチウム二次電池用電極を提供することである。
【0007】
本発明の他の一実施形態は、前記電極を含むリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、集電体;および前記集電体上に位置し、活物質、第1導電材、およびバインダーを含む電極活物質層を含み、前記第1導電材はグラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせを含むコアと、前記コアの表面に位置し、アルミナナノ粒子を含むコーティング層と、を含む、リチウム二次電池用電極を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態による電極は、乾式工程から製造されても電極の物性を改善し、低い抵抗を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるリチウム二次電池を示す概略図である。
【
図2】一実施形態で第1導電材の表面をSEM装置で観察したイメージである。
【
図3】一実施形態で第1導電材の表面をEDS mapping分析したイメージである。
【
図4】一実施形態で電極の垂直方向に対して引張強さおよび延伸率を測定した結果グラフである。
【
図5】一実施形態で電極の水平方向に対して引張強さおよび延伸率を測定した結果グラフである。
【
図6】一実施形態のリチウム二次電池に対して、0.1Cおよび1Cの各C-rateで測定した充放電挙動を示すグラフである。
【
図7】一実施形態のリチウム二次電池に対して、2Cの各C-rateで測定した充放電挙動を示すグラフである。
【
図8】一実施形態のリチウム二次電池に対して、R
ionを示すグラフである。
【
図9】一実施形態のリチウム二次電池に対して、R
ctを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範囲によってのみ定義されるだけである。
【0012】
本明細書で特別な言及がない限り、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0013】
本明細書で特別な言及がない限り、単数で表わしたものは複数も含むことができる。同時に、特別な言及がない限り、「AまたはB」は「Aを含むか、Bを含むか、AおよびBを含む」を意味する。
【0014】
本明細書で「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合物、積層物、複合体、共重合体、合金、ブレンド、および反応生成物などを意味する。
【0015】
本明細書で別途の定義がない限り、粒径は平均粒径であり得る。また、粒径は、粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する平均粒径(D50)を意味する。平均粒径(D50)の測定は、当業者に幅広く公知された方法で測定することができ、例えば、粒度分析装置(Particle size analyzer)で測定するか、または透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)写真または走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真で測定することもできる。他の方法としては、動的光散乱法(dynamic light scattering)を用いた測定装置を用いて測定し、データ分析を行ってそれぞれの粒子の大きさの範囲に対して粒子数をカウンティングした後、これから計算して平均粒径(D50)の値を得ることができる。または、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。レーザー回折法による測定時、より具体的には、測定しようとする粒子を分散媒中に分散させた後、市販されるレーザー回折粒径測定装置(例えば、Microtrac社製、MT3000)に導入して約28kHzの超音波を60Wの出力で照射した後、測定装置における粒径分布の50%基準での平均粒径(D50)を算出することができる。
【0016】
(電極)
一実施形態は、集電体;および集電体上に位置し、活物質、第1導電材、およびバインダーを含む電極活物質層を含み、第1導電材はグラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせを含むコアと、コアの表面に位置し、アルミナナノ粒子を含むコーティング層と、を含む、リチウム二次電池用電極を提供する。
【0017】
高エネルギー密度のための電極の厚膜化は、電極内電気伝導およびイオン伝達経路を増やすことによって電極内の全体的な抵抗を増加させ、電極フィルムの電気化学的特性(例えば、引張強さ、延性など)を低下させる。
【0018】
これに関連して、湿式工程で製造される電極の抵抗を改善させるための方法は一部が報告されているが、乾式工程で製造される電極の抵抗を改善させる方法に対する報告は殆どないのが実情である。
【0019】
一実施形態は、電極を乾式工程で製造しながらも電極フィルムの物性を改善させ、抵抗を下げることができる第1導電材を導入する。
【0020】
第1導電材は、グラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせを含むコアと、コアの表面に位置し、アルミナナノ粒子を含むコーティング層と、を含む。
【0021】
第1導電材を構成するグラフェン、グラフェン酸化物、および還元されたグラフェン酸化物は、低い抵抗、高い電気伝導性、優れた物性(引張強さ、延伸率など)を有する素材である。したがって、グラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせを第1導電材のコアとして導入した乾式電極は、バインダーの高い電気抵抗を相殺させ、高い電気伝導性および優れた物性を得ることができる。
【0022】
また、グラフェン、グラフェン酸化物、および還元されたグラフェンは、2Dナノプレート(nanoplate)形状を有する素材であって、カーボンブラックなどの0D形状の素材に比べて比表面積が高い。したがって、グラフェン、グラフェン酸化物、還元されたグラフェン酸化物、またはこれらの組み合わせをコアとして導入した第1導電材は、乾式バインダーを取り囲む形態で不連続的に存在しながらも、活物質表面を遮断することなく、電極内気孔構造を維持することができる。
【0023】
さらに、コーティング層にアルミナナノ粒子を用いた場合、コアの表面特性を制御して電極内微細気孔構造を発達させ、リチウム親和的(lithiophilic)であるため、コア周辺のイオン伝導性を向上させることができる。
【0024】
総合的に、一実施形態の電極は、第1導電材を導入した結果、カーボンブラックを単独で導電材として使用する電極に比べて、乾式工程から製造されても電極の物性を改善させ、低い抵抗を示すことができる。
【0025】
以下、一実施形態の電極をさらに詳しく説明する。
【0026】
コア100重量部を基準にして、コーティング層は1~100重量部、5~80重量部、または10~50重量部であり得る。
【0027】
この範囲でコーティング層の含有量が減少するほど、正極活物質層表面の比抵抗が低くなり、充放電挙動を改善することができる。
【0028】
コーティング層はドット(dot)形態であり得る。この場合、均一にコーティングされた形態に比べて電極内微細気孔構造を発達させるのに有利であり得る。
【0029】
アルミナナノ粒子は、D50粒径が10~100nm、20~90nm、または30~60nmであり得る。
【0030】
この範囲でコアの表面にアルミナナノ粒子を効率的にコーティングすることができる。
【0031】
電極活物質層は、導電材として第1導電材を単独で含んでもよいが、第2導電材をさらに含んでもよい。第2導電材はカーボンブラックを含んでもよい。
【0032】
後者の場合、第1導電材および第2導電材の重量比は1:9~9:1、1:7~7:1、1:5~5:1、または1:3~3:1であり得る。
【0033】
カーボンブラックは0D形状の素材であるため、2Dナノプレート形状を有する第1導電材と組み合わせて、電極内微細気孔構造を発達させるのに有利であり得る。
【0034】
バインダーは、乾式バインダーであり得る。
【0035】
乾式バインダーは繊維化が可能な高分子物質として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシドまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0036】
例えば、バインダーはポリテトラフルオロエチレンであり得る。
【0037】
これに関連して、電極は正極であり、活物質は正極活物質であり得る。
【0038】
正極活物質
正極活物質としては、リチウムの可逆的な挿入および脱離の可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができる。
【0039】
複合酸化物はリチウム遷移金属複合酸化物であってもよく、具体的な例としては、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウムリン酸鉄系化合物、コバルトフリー-ニッケル-マンガン系酸化物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
一例として、正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物でリチウムを除いた金属100モル%に対するニッケルの含有量が80モル%以上である高ニッケル系正極活物質であり得る。高ニッケル系正極活物質においてニッケルの含有量は、リチウムを除いた金属100モル%に対して85モル%以上、90モル%以上、91モル%以上、または94モル%以上であり、99モル%以下であり得る。高ニッケル系正極活物質は高い容量を実現することができ、高容量、高密度リチウム二次電池に適用することができる。
【0041】
より具体的な例としては、下記化学式のうちのいずれか1つで表される化合物を使用することができる。LiaA1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaMn2-bXbO4-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaNi1-b-cCobXcO2-αDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α<2);LiaNibCocL1
dGeO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0≦e≦0.1);LiaNiGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaCoGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-bGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn2GbO4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-gGgPO4(0.90≦a≦1.8、0≦g≦0.5);Li(3-f)Fe2(PO4)3(0≦f≦2);LiaFePO4(0.90≦a≦1.8)。
【0042】
前記化学式中、AはNi、Co、Mn、またはこれらの組み合わせであり;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはこれらの組み合わせであり;DはO、F、S、P、またはこれらの組み合わせであり;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはこれらの組み合わせであり;QはTi、Mo、Mn、またはこれらの組み合わせであり;ZはCr、V、Fe、Sc、Y、またはこれらの組み合わせであり;L1はMn、Alまたはこれらの組み合わせである。
【0043】
正極
リチウム二次電池用正極は、集電体およびこの集電体上に形成される正極活物質層を含むことができる。正極活物質層は正極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0044】
正極活物質の含有量は、正極活物質層100重量%に対して90重量%~99.5重量%であり得る。
【0045】
一実施形態において、正極活物質層はバインダーおよび導電材をさらに含むことができる。このとき、バインダーおよび導電材の含有量は、正極活物質層100重量%に対してそれぞれ0.5重量%~5重量%であり得る。
【0046】
バインダーは、正極活物質粒子を互いによく付着させ、また、正極活物質を集電体によく付着させる役割を果たす。バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、(メタ)アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものも使用可能である。導電材の例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、グラフェンなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含有し、金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
(リチウム二次電池)
一実施形態のリチウム二次電池は、形態によって円筒型、角型、パウチ型、コイン型などに分類することができる。
図1は、一実施形態によるリチウム二次電池を示す概略図である。
図1を参照すると、リチウム二次電池100は、正極10と負極20との間にセパレータ30を介した電極組立体40、および電極組立体40が内蔵されるケース50を含むことができる。正極10、負極20およびセパレータ30は電解液(図示せず)で含浸されていてもよい。リチウム二次電池100は、
図1に示すように、ケース50を密封する密封部材60を含むことができる。
【0050】
一実施形態のリチウム二次電池は、上述した電極を含むことができる。
【0051】
以下、上述した内容と重複する説明は省略し、一実施形態のリチウム二次電池を詳しく説明する。
【0052】
負極活物質
負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0053】
リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質としては、炭素系負極活物質であって、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛などの黒鉛が挙げられ、非晶質炭素の例としては、ソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0054】
リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属との合金を使用することができる。
【0055】
リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si系負極活物質またはSn系負極活物質を使用することができる。Si系負極活物質は、シリコン、シリコン-炭素複合体、SiOx(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素(Siを除く)、第15族元素、第16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせから選択される元素であり、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせから選択される)、またはこれらの組み合わせであってもよい。Sn系負極活物質としては、Sn、SnO2、Sn合金またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0056】
シリコン-炭素複合体は、シリコンと非晶質炭素の複合体であってもよい。シリコン-炭素複合体粒子の平均粒径(D50)は、例えば0.5μm~20μmであってもよい。一実施形態によれば、シリコン-炭素複合体は、シリコン粒子およびシリコン粒子の表面に非晶質炭素がコーティングされた形態であってもよい。例えば、シリコン1次粒子が造粒された2次粒子(コア)およびこの2次粒子表面に位置する非晶質炭素コーティング層(シェル)を含むことができる。非晶質炭素はシリコン1次粒子の間にも位置し、例えば、シリコン1次粒子が非晶質炭素でコーティングされ得る。2次粒子は、非晶質炭素マトリックスに分散して存在してもよい。
【0057】
シリコン-炭素複合体は、結晶質炭素をさらに含んでもよい。例えば、シリコン-炭素複合体は、結晶質炭素およびシリコン粒子を含むコアおよびこのコア表面に位置する非晶質炭素コーティング層を含むことができる。結晶質炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。非晶質炭素は、ソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0058】
シリコン-炭素複合体がシリコンおよび非晶質炭素を含む場合、シリコンの含有量はシリコン-炭素複合体100重量%に対して10重量%~50重量%であり、非晶質炭素の含有量は50重量%~90重量%であり得る。また、複合体がシリコン、非晶質炭素および結晶質炭素を含む場合、シリコン-炭素複合体100重量%に対して、シリコンの含有量は10重量%~50重量%であり、結晶質炭素の含有量は10重量%~70重量%であり、非晶質炭素の含有量は20重量%~40重量%であり得る。
【0059】
また、非晶質炭素コーティング層の厚さは5nm~100nmであり得る。シリコン粒子(1次粒子)の平均粒径(D50)は10nm~1μm、または10nm~200nmであり得る。シリコン粒子はシリコン単独で存在するか、シリコン合金形態で存在することがあり、または酸化された形態で存在することもある。シリコンの酸化された形態はSiOx(0<x<2)で表される。このとき、酸化程度を示すSi:Oの原子含有量の比率は99:1~33:67であり得る。本明細書で別途の定義がない限り、平均粒径(D50)は、粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する。
【0060】
Si系負極活物質またはSn系負極活物質は、炭素系負極活物質と混合して使用することができる。Si系負極活物質またはSn系負極活物質と炭素系負極活物質を混合使用時、その混合比は重量比で1:99~90:10であり得る。
【0061】
負極
リチウム二次電池用負極は、集電体、およびこの集電体上に位置する負極活物質層を含む。負極活物質層は負極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0062】
負極活物質の含有量は、負極活物質層100重量%に対して95重量%~99.5重量%であり得る。バインダーの含有量は、負極活物質層100重量%に対して0.5重量%~5重量%であり得る。バインダーの含有量は、負極活物質層100重量%に対して0.5重量%~5重量%であり得る。例えば、負極活物質層は、負極活物質を90重量%~99重量%、バインダーを0.5重量%~5重量%、導電材を0.5重量%~5重量%で含むことができる。
【0063】
バインダーは、負極活物質粒子を互いによく付着させ、また、負極活物質を集電体によく付着させる役割を果たす。バインダーとしては、非水系バインダー、水系バインダー、乾式バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0064】
非水系バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
水系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、(メタ)アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエンゴム、(メタ)アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい
負極バインダーとして水系バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系化合物をさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを使用することができる。
【0066】
乾式バインダーは、繊維化が可能な高分子物質であって、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシドまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0067】
導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものも使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、グラフェンなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含み、金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせから選択されるものを使用することができる。
【0069】
電解液
リチウム二次電池用電解液は、非水性有機溶媒およびリチウム塩を含む。
【0070】
非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。
【0071】
非水性有機溶媒は、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、またはアルコール系溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0072】
カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、バレロラクトン(valerolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、非プロトン性溶媒としてはR-CN(Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合、芳香環、またはエーテル基を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソランなどのジオキソラン類;スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0073】
非水性有機溶媒は、単独でまたは2種以上混合して使用することができ、2種以上を混合して使用する場合、混合比率は、目的とする電池性能により適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者に幅広く理解され得る。
【0074】
また、カーボネート系溶媒を使用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを混合して使用することができ、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合することができる。
【0075】
非水性有機溶媒は、芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。例えば、カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は、1:1~30:1の体積比で混合して使用することができる。
【0076】
電解液は、電池寿命を向上させるためにビニルエチルカーボネート、ビニレンカーボネートまたはエチレンカーボネート系化合物をさらに含むこともできる。
【0077】
エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0078】
リチウム塩は有機溶媒に溶解し、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。リチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiPO2F2、LiCl、LiI、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI))、LiC4F9SO3、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(xおよびyは1~20の整数である)、リチウムトリフルオロメタンスルホネート、リチウムテトラフルオロエタンスルホネート、リチウムジフルオロビス(オキサレート)ホスフェート(LiDFOB)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)より選択される一つまたは二つ以上を含むことができる。
【0079】
リチウム塩の濃度は、0.1M~2.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が上記範囲に含まれれば、電解液が適切なイオンの伝導度および粘度を有するため、優れた性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0080】
セパレータ
リチウム二次電池の種類により正極と負極との間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどの混合多層膜を使用することができることはもちろんである。
【0081】
セパレータは、多孔性基材と、多孔性基材の一面または両面に位置する有機物、無機物またはこれらの組み合わせを含むコーティング層と、を含むことができる。
【0082】
多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、サイクリックオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ガラス繊維、テフロン(登録商標)、およびポリテトラフルオロエチレンから選択されるいずれか一つの高分子、またはこれらの中の2種以上の共重合体または混合物で形成された高分子膜であり得る。
【0083】
多孔性基材は、約1μm~40μmの厚さを有することができ、例えば、1μm~30μm、1μm~20μm、5μm~15μm、または10μm~15μmの厚さを有することができる。
【0084】
有機物は、(メタ)アクリルアミドから誘導される第1構造単位、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートから誘導される構造単位、および(メタ)アクリルアミドスルホン酸またはその塩から誘導される構造単位のうちの少なくとも一つを含む第2構造単位を含む(メタ)アクリル系共重合体を含むことができる。
【0085】
無機物は、Al2O3、SiO2、TiO2、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、GaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、SrTiO3、BaTiO3、Mg(OH)2、ベーマイト(boehmite)、およびこれらの組み合わせから選択される無機粒子を含むことができるが、これらに限定されるものではない。無機粒子の平均粒径(D50)は、1nm~2000nmであり、例えば、100nm~1000nm、100nm~700nmであり得る。
【0086】
有機物と無機物は、一つのコーティング層に混合して存在するか、または有機物を含むコーティング層と無機物を含むコーティング層が積層された形態で存在することがある。
【0087】
コーティング層の厚さは、それぞれ0.5μm~20μmであり、例えば、1μm~10μm、または1μm~5μmであり得る。
【0088】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、下記実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0089】
実施例1
(1)第1導電材の製造
グラフェン酸化物(Graphene Oxide、GO)の濃度が2.0重量%であるGO溶液(溶媒:蒸留水)に蒸留水をさらに入れて希釈させ、Al2O3ナノ粒子(D50:50nm)を希釈されたGO溶液と混合した。ここで、希釈されたGO溶液の固形分(GO)100重量部を基準にして、Al2O3ナノ粒子は10重量部を使用した。
【0090】
その後、水熱合成法を用いて、グラフェン酸化物(GO)は還元されたグラフェン酸化物(reduced graphene oxide、rGO)に転換され、還元されたグラフェン酸化物(rGO)の表面にアルミナナノ粒子がドット(dot)形態にコーティングされた。したがって、還元されたグラフェン酸化物(rGO)をコアとし、コアの表面に位置するドット(dot)形態のアルミナナノ粒子コーティング層を含む第1導電材を得た。
【0091】
(2)正極の製造
(1)で得られた第1導電材2.0重量%と一緒に、正極活物質としてNCA(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)92.0重量%、およびバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)4.0重量%、および第2導電材としてカーボンブラック(carbon black、CB)2.0重量%を混合した。
【0092】
具体的には、ブレードミキサーを用いて1000rpmの速度で5分間、正極活物質、バインダー、および第2導電材をまず、乾式混合した後、第1導電材を投入して5分間乾式混合した。その後、バインダーの繊維化が進行するように5000rpmの速度で20分間さらに乾式混合した。このような混合物の製造時には溶媒を使用しなかった。
【0093】
上記のように製造された混合物を押出機に投入し、押出してシート形態の正極活物質層自立膜(self-standing film)を準備した後、カーボンがコーティングされた集電体上に当該自立膜を接着させた。このように製造された乾式正極をAG-cathode 1とした。
【0094】
AG-cathode 1において、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第1導電材のローディング量は444.6μg/cm2であり、第2導電材のローディング量は444.6μg/cm2であった。
【0095】
(3)リチウム二次電池の製造(coin half-cell)
(2)で得られた正極と、相対極としてリチウム金属対極とを使用してコインハーフセルを製造した。正極とリチウム金属対極との間には多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータ(厚さ:約16μm)を介して電解液を注入した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を3:5の体積比で混合した溶媒に溶解した1.1M LiPF6が含まれている溶液を使用した。
【0096】
(4)リチウム二次電池の製造(symmetric cell)
多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータ(厚さ:約16μm)を間に置いて、(2)で得られた正極2個を積層して対称パウチセル(symmetric pouch cell)に組み立て、電解液を注入した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を3:5の体積比で混合した溶媒に溶解した1.1M LiPF6が含まれている溶液を使用した。
【0097】
実施例2
グラフェン酸化物溶液の固形分(GO)100重量部を基準にして、Al2O3ナノ粒子25重量部を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法を用いて第1導電材、正極、およびリチウム二次電池を製造した。このように製造された乾式正極をAG-cathode 2とした。
【0098】
AG-cathode 2において、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第1導電材のローディング量は444.6μg/cm2であり、第2導電材のローディング量は444.6μg/cm2であった。
【0099】
実施例3
グラフェン酸化物溶液の固形分(GO)100重量部を基準にして、Al2O3ナノ粒子50重量部を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法を用いて第1導電材、正極、およびリチウム二次電池を製造した。このように製造された乾式正極をAG-cathode 3とした。
【0100】
AG-cathode 3において、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第1導電材のローディング量は444.6μg/cm2であり、第2導電材のローディング量は444.6μg/cm2であった。
【0101】
実施例4
実施例1と同様の方法で第1導電材を製造した。
【0102】
その後、第1導電材1.0重量%と一緒に、正極活物質として(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)92重量%、およびバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)4重量%、および第2導電材としてカーボンブラック(carbon black、CB)3.0重量%を混合したことを除いては、実施例1と同様の方法を用いて正極およびリチウム二次電池を製造した。このように製造された乾式正極をAG-cathode 4とした。
【0103】
AG-cathode 4において、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第1導電材のローディング量は222.3μg/cm2であり、第2導電材のローディング量は666.9μg/cm2であった。
【0104】
実施例5
実施例1と同様の方法で第1導電材を製造した。
【0105】
その後、第1導電材3.0重量%と一緒に、正極活物質として(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)92重量%、およびバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)4重量%、および第2導電材としてカーボンブラック(carbon black、CB)1.0重量%を混合したことを除いては、実施例1と同様の方法を用いて正極およびリチウム二次電池を製造した。このように製造された乾式正極をAG-cathode 5とした。
【0106】
AG-cathode 5において、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第1導電材のローディング量は666.9μg/cm2であり、第2導電材のローディング量は222.3μg/cm2であった。
【0107】
比較例1
正極活物質として(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)92重量%、およびバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)4重量%、および第2導電材としてカーボンブラック(carbon black、CB)4.0重量%をブレードミキサーを用いて10分間(5.0分×2回)乾式混合した後、バインダーの繊維化が進行するように5000rpmの速度で20分間さらに乾式混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で乾式正極を製造した。このように製造された乾式正極をP-cathodeとした。
【0108】
P-cathodeにおいて、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第2導電材のローディング量は889.2μg/cm2水準であった。
【0109】
P-cathodeを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0110】
比較例2
正極活物質として(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)92重量%、およびバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)4重量%、第2導電材としてカーボンブラック(carbon black、CB)2.0重量%、および第3導電材としてグラフェン(graphene)2.0重量%を混合した。
【0111】
具体的には、ブレードミキサーを用いて1000rpmの速度で5分間、正極活物質、バインダー、および第2導電材をまず、乾式混合した後、第3導電材を投入して5分間乾式混合した。その後、バインダーの繊維化が進行するように5000rpmの速度で20分間さらに乾式混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で乾式正極を製造した。このように製造された乾式正極をG-cathodeとした。
【0112】
G-cathodeにおいて、正極活物質層のローディングレベルは49.4mg/cm2、電極密度は3.6g/ccであり、正極活物質層内第2導電材のローディング量は444.6μg/cm2であり、第3導電材のローディング量は444.6μg/cm2水準であった。
【0113】
G-cathodeを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0114】
評価例1:第1導電材の観察
実施例1で製造した第1導電材の表面をSEM装置で観察し(
図2)、Qunatum2000(Physical Electronics)を用いてEDS mappingを分析した(
図3)。
【0115】
図2および
図3によれば、還元されたグラフェン酸化物の表面にアルミナナノ粒子がドット(dot)形態にコーティングされたことが分かった。
【0116】
評価例2:正極活物質層の機械的物性
最初の厚さが170μmである実施例1、比較例1および2の各正極に対して、Shimadzu Autograph AGS-J装置を用いて、ASTM D638基準に伴い引張強さおよび延伸率を測定して
図4(水平方向)および
図5(垂直方向)に示した。
【0117】
図4および
図5によれば、水平方向および垂直方向を問わず、比較例1に比べて実施例1で引張強さおよび延伸率が向上したことが分かった。
【0118】
評価例3:正極活物質層表面の比抵抗
実施例1~5、比較例1および2の各シート形態の正極に対して、横×縦=3cm×10cmの大きさに裁断してサンプルを製造した。4ポイントプローブ(point probe)を用いた電気伝導度測定装置を用いて、サンプルの正極活物質層の表面に47~63Hzの10Vの電圧を印加した際に測定される電流値から抵抗値を計算した。このように計算された抵抗値、サンプルの縦長さおよび断面積を下記式1に代入して比抵抗値に換算した。その結果を表1に示す。
[式1]
R=ρl/S
上記式1中、
ρ=比抵抗、l=サンプルの縦、S=サンプルの断面積
【0119】
【0120】
上記表1によれば、比較例1に比べて実施例1~5で正極活物質層表面の比抵抗が低くなったことが分かった。実施例1~5においては、第1導電材内コーティング層の含有量が減少するほど正極活物質層表面の比抵抗が低くなり、第2導電材より第1導電材の使用量が増加するほど正極活物質層表面の比抵抗が低くなる。
【0121】
評価例4:リチウム二次電池の初期充放電効率
実施例1~5、比較例1および2の各コインハーフセル形態のリチウム二次電池を、25℃で0.1C rateの電流で電圧が4.25V(vs.Li)に至るまで定電流充電し、次いで、定電圧モードで4.25Vを維持しながら0.05C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.1C rateの定電流で放電した(化成(formation)サイクル)。
【0122】
化成サイクルを経たリチウム二次電池を、25℃で0.1C、1C、または2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電し、次いで、定電圧モードで4.4Vを維持しながら0.05C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.1C、1C、または2C rateの定電流で放電した(1
stサイクル)。下記式2により実施例1~5、比較例1および2の各リチウム二次電池に対する初期充放電効率を計算して下記表2に記載した。また、代表的に実施例1、比較例1および2の各リチウム二次電池の充放電挙動を
図6および
図7に示す。
[式2]
効率(%)=(1回放電容量/1回充電容量)*100
【0123】
【0124】
上記表2、
図6および
図7によれば、同一C-rateで比較例1および2に比べて実施例1~5で充放電挙動が改善されたことが分かった。また、C-rateが増加するほど、実施例1~5の充放電挙動改善効果がさらに大きいことが分かった。
【0125】
実施例1~5においては、第1導電材内コーティング層の含有量が減少するほど充放電挙動が改善され、第2導電材より第1導電材の使用量が増加するほど充放電挙動が改善される。
【0126】
評価例5:
実施例1、比較例1および2の各対称パウチセル形態のリチウム二次電池に対して、常温で40時間熟成(aging)した後、イオン伝達抵抗(Rion)を測定した。
【0127】
これとは別に、実施例1、比較例1および2の各コインハーフセル形態のリチウム二次電池に対して、0.1Cのrateで化成後、同一C-rateでSOC50%まで充電した。その後、実施例1、比較例1および2の各コインハーフセルを解体してSOC50%まで充電された正極を得て、上記で得られた正極2個を用いて実施例1と同様の方法で対称コインセル(symmetric coin cell)形態のリチウム二次電池を製作した後、常温で24時間熟成(aging)した後、電荷伝達抵抗(Rct)を測定した。
【0128】
上記のように測定されたR
ionおよびR
ctを下記表3、
図6および
図7に示す。
【0129】
【0130】
上記表3、
図8および
図9によれば、比較例1に比べて実施例1~5のR
ionが改善され、比較例1および2に比べて実施例1のR
ctが改善されたことが分かった。