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特開2024-177138偏光板およびこれを含む光学表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177138
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】偏光板およびこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241212BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20241212BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20241212BHJP
【FI】
G02B5/30
H10K50/86
B32B7/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092561
(22)【出願日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】10-2023-0073237
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジファン
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB26
2H149BA02
2H149CA02
2H149DA01
2H149DA02
2H149DA12
2H149DA24
2H149DA27
2H149DB13
2H149EA02
2H149EA06
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2H149FA03W
2H149FA12Z
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2H149FA35Y
2H149FA66
2H149FD34
2H149FD48
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3K107BB01
3K107CC32
3K107CC33
3K107CC45
3K107EE26
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3K107FF06
3K107FF15
4F100AK21
4F100AK21A
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4F100AK33C
4F100AR00C
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4F100AS00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
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4F100CB05E
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4F100GB41
4F100JL13
4F100JL13E
4F100JN10
4F100JN10A
4F100JN18
4F100JN18B
4F100JN18D
(57)【要約】
【課題】一実施形態は製造工程性能が優れた偏光板を提供する。他の一実施形態は液晶位相差層の両側の端部の外観が優れた偏光板を提供する。
【解決手段】偏光子、および前記偏光子の一方の面に積層された第1位相差層を含み、前記第1位相差層は液晶位相差層であり、前記第1位相差層は幅方向で両側の端部の第1領域および前記第1領域の間の第2領域からなり、前記第1領域は前記第2領域に比べて引裂強度がさらに低い偏光板、および光学表示装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子、および前記偏光子の一方の面に積層された第1位相差層を含み、
前記第1位相差層は液晶位相差層であり、
前記第1位相差層は前記第1位相差層の幅方向で両側の端部の第1領域および前記第1領域の間の第2領域からなり、
前記第1領域は前記第2領域に比べて引裂強度がさらに低い、偏光板。
【請求項2】
前記第1領域は液晶無配向領域であり、前記第2領域は液晶配向領域である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記第2領域の引裂強度に対する第1領域の引裂強度の比率[(前記第1領域の引裂強度)/(前記第2領域の引裂強度)]は0より大きく0.5以下である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記第1領域の引裂強度が0.10N未満である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項5】
前記第2領域の引裂強度が0.10N以上である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項6】
前記第1位相差層の全体の幅を100%としたとき、前記第1領域の幅の比率は0%より大きく10%以下である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
前記第1領域は前記第1位相差層の一方の端部から5mm~15mmの領域である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
前記第1位相差層はポジティブAプレートである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
前記第1位相差層の下部面に配向膜をさらに備える、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
前記配向膜は前記第1領域に対応する第1部分および前記第2領域に対応する第2部分からなる、請求項9に記載の偏光板。
【請求項11】
前記第1部分は無配向領域であり、前記第2部分は配向領域である、請求項10に記載の偏光板。
【請求項12】
前記第1位相差層の一方の面に粘着層がさらに積層する、請求項1に記載の偏光板。
【請求項13】
前記偏光板は前記第1位相差層に比べて波長550nmでの面内位相差が異なる第2位相差層をさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項14】
前記第2位相差層はポジティブCプレートである、請求項13に記載の偏光板。
【請求項15】
前記偏光板は保護層をさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項16】
請求項1~請求項15のいずれか一項に記載された偏光板を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
偏光板およびこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部光の反射による視認性の低下を抑制するために反射防止用偏光板が使われている。一例を挙げると、反射防止用偏光板は偏光子および位相差層で構成される円偏光板が知られている。円偏光板は画像表示パネルへ向かう外部光を偏光子によって直線偏光に変換させ、位相差層によって円偏光に変換する。円偏光に変換された外部光は画像表示パネルの表面で反射し、反射時に偏光面の回転方向が逆回転して、位相差層によって直線偏光に変換された後、続く偏光子によって遮光される。その結果、外部光の外部への出射が顕著に抑制されることによって反射防止効果を提供することができる。
【0003】
位相差層としては液晶位相差層を利用することができる。液晶位相層は延伸によって製造される高分子位相差層に比べて薄型である長所を有する。
【0004】
本発明の背景技術は特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0113886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は製造工程性能が優れた偏光板を提供する。
【0007】
他の一実施形態は液晶位相差層の両側の端部の外観が優れた偏光板を提供する。
【0008】
一実施形態は偏光板である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 偏光板は偏光子、および偏光子の一方の面に積層された第1位相差層を含み、第1位相差層は液晶位相差層であり、第1位相差層は第1位相差層の幅方向で両側の端部の第1領域および第1領域の間の第2領域からなり、第1領域は第2領域に比べて引裂強度がさらに低い。
【0010】
(2) (1)において、第1領域は液晶無配向領域であり、第2領域は液晶配向領域であってもよい。
【0011】
(3) (2)において、第2領域の引裂強度に対する第1領域の引裂強度の比率[(第1領域の引裂強度)/(第2領域の引裂強度)]は0より大きく0.5以下であってもよい。
【0012】
(4) (3)において、第1領域の引裂強度が0.10N未満であってもよい。
【0013】
(5) (4)において、第2領域の引裂強度が0.10N以上であってもよい。
【0014】
(6) (5)において、第1位相差層の全体の幅を100%としたとき、第1領域の幅の比率は0%より大きく10%以下であってもよい。
【0015】
(7) (6)において、第1領域は第1位相差層の一方の端部から5mm~15mmの領域であってもよい。
【0016】
(8) (7)において、第1位相差層はポジティブAプレートであってもよい。
【0017】
(9) (8)において、第1位相差層の下部面に配向膜をさらに備えることができる。
【0018】
(10) (9)において、配向膜は第1領域に対応する第1部分および第2領域に対応する第2部分からなってもよい。
【0019】
(11) (10)において、第1部分は配向処理されていない部分であり、第2部分は配向処理された部分であってもよい。
【0020】
(12) (11)において、第1位相差層の一方の面に粘着層がさらに積層されてもよい。
【0021】
(13) (12)において、偏光板は第1位相差層に比べて波長550nmでの面内位相差が異なる第2位相差層をさらに含むことができる。
【0022】
(14) (13)において、第2位相差層はポジティブCプレートであってもよい。
【0023】
(15) (14)において、偏光板は保護層をさらに含むことができる。
【0024】
(16) 他の一実施形態によると、偏光板を含む光学表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
一実施形態は製造工程性能が優れた偏光板を提供することができる。
【0026】
他の一実施形態は液晶位相差層の両側の端部の外観が優れた偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態に係る偏光板の製造過程を概略的に示した図面である。
図2】一実施形態に係る偏光板の構造を概略的に示した図面である。
図3】他の一実施形態に係る偏光板の構造を概略的に示した図面である。
図4】さらに他の一実施形態に係る偏光板の構造を概略的に示した図面である。
図5】さらに他の一実施形態に係る偏光板の構造を概略的に示した図面である。
図6】引裂強度の測定のための試験片の平面図である。
図7図6中のI-IIの引裂強度の測定のための試験片の断面図である。
図8】実施例1の液晶位相差層(ポジティブAプレート)と粘着層の断面画像である。
図9】比較例の液晶位相差層(ポジティブAプレート)と粘着層の断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付した図面を参照して本発明を実施例によって本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
図面で本発明を明確に説明するために説明に関わらない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素に対しては同じ名称を使った。図面で各構成要素の長さおよび大きさは本発明を説明するためのものであって、本発明は図面に記載された各構成要素の長さ、大きさに限定されるものではない。図面で点線は隣り合う2個の対象が互いに一体化されていることを示すものである。
【0030】
本明細書で使われる用語は単に例示的な実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0031】
本明細書で「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合物、積層物、複合体、共重合体、合金、ブレンド、反応生成物などを意味する。
【0032】
本明細書で「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを規定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0033】
本明細書で「上部」と「下部」は図面を基準として定義したものであり、見る視角によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更され得る。
【0034】
本明細書で光学素子に対して、「正面位相差(Re)」は下記の式Aで表示され、「厚さ方向位相差(Rth)」は下記の式Bで表示され、「二軸性の程度(NZ)」は下記の式Cで表示される。
【0035】
[式A]
Re=(nx-ny)×d
[式B]
Rth=((nx+ny)/2-nz)×d
[式C]
NZ=(nx-nz)/(nx-ny)
(式A~式Cで、nx、ny、nzは測定波長でそれぞれ光学素子の遅相軸(slow axis)方向、進相軸(fast axis)方向、厚さ方向の屈折率であり、dは光学素子の厚さ(単位:nm)である)。
【0036】
光学素子は位相差層、保護層またはこれらの積層体であってもよい。特に言及されない限り、位相差、二軸性の程度、厚さ方向位相差は光学素子の面内方向に対する法線方向で光を透過させることによって測定される値を意味する。
【0037】
本明細書で面内方向のうち屈折率が最も高い軸は「遅相軸」、面内方向のうち屈折率が最も低い軸は「進相軸」と定義される。一実施形態において、遅相軸と進相軸は実質的に直交してもよいが、これに限定されない。
【0038】
本明細書で数値範囲を表す時、「X~Y」はX以上Y以下を意味する。
【0039】
一実施形態によると、偏光板は偏光子、および偏光子の一方の面に積層された第1位相差層を含み、第1位相差層は液晶位相差層であり、第1位相差層は幅方向で両側の端部に第1領域および第1領域の間に位置した第2領域を有し、第1領域は第2領域に比べて引裂強度がさらに低い。
【0040】
第1領域は第2領域に比べて引裂強度がさらに低い関係を有する。引裂強度の関係は偏光板製造過程中において、基材フィルムから液晶位相差層である第1位相差層を剥離(delamination)させて第1位相差層を転写させた時、第1位相差層の両側の端部で液晶残余物の飛散による偏光板製造工程ラインの汚染がないようにすることによって偏光板の優れた製造工程性能を実現することができる。また、引裂強度の関係は偏光板製造過程で基材フィルムから液晶位相差層である第1位相差層を剥離させた時、第1位相差層の両側の端部が基材フィルムから容易に剥離するようにすることによって、第1位相差層の両側の端部で外観を良くすることができる。
【0041】
被着体(偏光子または偏光子と保護層、および粘着層の積層体)と、第1位相差層用層が形成された基材フィルムを積層して貼り合わせた後、第1位相差層を被着体に転写させることによって偏光板を製造する過程において、粘着層の幅が第1位相差層用層の幅に比べて小さい場合、偏光板製造工程ラインの汚染がないようにし、第1位相差層の両側の端部で優れた外観を提供するために引裂強度の関係が考慮された。
【0042】
一実施形態によると、第1領域は液晶無配向領域であり、第2領域は液晶配向領域となってもよい。
【0043】
以下では、第1領域が液晶無配向領域であり、第2領域が液晶配向領域である場合に限定して説明する。したがって、下記の説明で「液晶無配向領域」は「第1領域」と実質的に同一であり、「液晶配向領域」は「第2領域」と実質的に同一であってもよい。しかし、第1領域および第2領域がすべて液晶配向領域である場合にも、第1領域の引裂強度が第2領域の引裂強度に比べて低ければ、第1領域および第2領域が本実施形態に係る偏光板に含まれてもよい。
【0044】
まず、偏光板の製造過程を、図1を参照して説明する。
【0045】
図1を参照すると、粘着層20および偏光子10[図1に図示されてはいないが、偏光子10の代わりに偏光子と保護層の積層体も可能]が積層して貼り合わされて、偏光板製造用積層体が製造される。
【0046】
引き続き、上部面に第1位相差層用層35が形成された基材フィルム100が提供される。粘着層20の幅は第1位相差層用層35の幅に比べて小さい。第1位相差層用層35は幅方向で両側の端部にそれぞれ液晶無配向領域35a、および液晶無配向領域35aの間に位置した液晶配向領域32を有する。ここで、「基材フィルム」は液晶位相差層の転写用途で一般的に使われる高分子フィルムであれば特に限定されない。例えば、基材フィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルムであってもよい。液晶配向領域32の幅は粘着層20の幅に比べて小さい。
【0047】
引き続き、偏光板製造用積層体のうち粘着層20と第1位相差層用層35が積層して貼り合わされる。
【0048】
引き続き、基材フィルム100を剥離(delamination)し液晶配向領域32および液晶無配向領域35aの一部が粘着層20の下部面に転写されることによって、偏光子10または偏光子と保護層の積層体、粘着層20、および第1位相差層30[液晶配向領域32および液晶無配向領域35aの一部である液晶無配向領域31からなる]が順次積層された偏光板が提供される。
【0049】
基材フィルム100の剥離によって、基材フィルム100の上部面には液晶無配向領域35aの残部が残っていることになる。
【0050】
液晶無配向領域35aは液晶配向領域32に比べて引裂強度が低い。したがって、基材フィルム100から第1位相差層用層35を剥離する時、第1位相差層用層35のうち液晶配向領域32は基材フィルム100から容易に剥離される。一方、液晶無配向領域35aのうち粘着層20と積層して貼り合わされない部分35aは低い引裂強度であり、粘着層20と積層して貼り合わされないことによって、基材フィルム100から剥離されずに基材フィルム100にそのまま残ることによって、偏光板のうち第1位相差層30の外観を良くすることができる。また、基材フィルムを剥離する時、液晶無配向領域で粘着層と積層して貼り合わされない部分が剥離されないため、液晶残余物の飛散により偏光板製造工程ラインが汚染される問題が生じないようにすることができる。
【0051】
一実施形態によると、粘着層20は第1位相差層30と実質的に同じ幅を有することができる。
【0052】
ここで「引裂強度」(tear strength)は、液晶位相差層単独からなる試験片または液晶位相差層と配向膜の2層からなる試験片に対して測定され、第1領域および第2領域それぞれに対して下記の方法で測定され得る。
【0053】
[引裂強度の測定方法]
引裂強度はKS K ISO 13937-2(ズボン状試験片の引裂強度測定法、シングル引裂法)に基づいて測定することができる。図6および図7を参照する。
【0054】
引裂強度測定試験片はズボン状の基材(例えば、紙)1に液晶位相差層3が積層されたものである。基材1は液晶位相差層3が積層して貼り合わされる領域1aおよび液晶位相差層が積層して貼り合わされない領域1bからなる。基材1は長さ(200±2mm)および幅(50±1mm)の長方形から、幅の中央のうち長さ(150±2mm)および幅(2mm)の長方形が除去されてズボン状を有する。液晶位相差層3は長さ(150±2mm)および幅(50±1mm)の長方形の形態である。
【0055】
試験片を引張試験装置TA.XTplusC Texture Analyser(Stable Micro Systems)に装着させ、引張試験装置のうち2つの治具(上部治具および下部治具)をそれぞれ液晶位相差層が積層して貼り合わされない領域1bにそれぞれ噛合わせる。試験片の切断線が中央線を通るように合わせて25℃で試験片のうち液晶位相差層が積層して貼り合わされない領域1bを一つずつ上下に噛み合わせて引裂試験開始位置(*、4)から引裂試験終了位置(**、5)まで把持させて、総把持長さは100±1mmである。試験片を試験装置に噛み合わせる時、液晶位相差層の単独領域が裂けないように留意し、試験片に切断されていない領域1bは自由に放置する。引裂の発生が切断された部分と平行となるようにし、加える力の方向に試験片の各股が位置するように注意する。試験が始まる時に初期荷重を加えない。引裂強度を記録するための装置を作動させる。移動クランプを300mm/minの伸長速度で動くようにした後、試験片の終端に表示した点まで引裂させる。試験終了後、最初のピークから最後のピークまでの最大ピークの平均を求める。一番目のピーク領域は計算から除外する。計算に適合したピークは少なくとも10%強度の増加や減少が発生したものにする。
【0056】
一実施形態によると、第1位相差層において、液晶配向領域の引裂強度に対する液晶無配向領域の引裂強度の比率[(液晶無配向領域の引裂強度)/(液晶配向領域の引裂強度)]は、0より大きく0.5以下、例えば0.1~0.5、0.1~0.4、0.1~0.3であってもよい。この範囲で、液晶位相差層の転写にもかかわらず、偏光板のうち第1位相差層の外観を良くすることができ、液晶残余物の飛散により偏光板製造工程ラインが汚染する問題が生じないようにすることができる。
【0057】
一実施形態によると、第1位相差層において、液晶無配向領域の引裂強度は0.10N未満、例えば0N以上0.10N未満、0.01N~0.08N、0.03N~0.08N、0.04N~0.08Nであってもよい。この範囲で、偏光板製造工程およびこれから製造された偏光板に対して前述した効果を提供することができる。
【0058】
一実施形態によると、第1位相差層において、液晶配向領域の引裂強度は0.10N以上、例えば0.10N~0.50N、0.20N~0.40N、0.25N~0.30N、0.25N~0.27Nであってもよい。この範囲で、液晶配向領域内の液晶性分子間の結合強度が優れるため、第1位相差層の信頼性を高めることができる。
【0059】
図1において、第1位相差層用層35と基材フィルム100の積層体で液晶無配向領域35aの幅(A)は特に限定されないが、15mm~40mmであってもよい。
【0060】
図1に図示されてはいないが、第1位相差層用層35が形成された基材フィルム100において、基材フィルム100と第1位相差層用層35の間には配向膜がさらに形成されてもよい。配向膜は液晶配向領域32および液晶無配向領域35aの形成を容易にすることができる。これは下記で詳細に説明される。一実施形態によると、第1位相差層用層35の幅は配向膜の幅と同一であってもよい。
【0061】
第1位相差層は幅方向で両側の端部に位置した液晶無配向領域および液晶無配向領域の間に位置した液晶配向領域からなる。
【0062】
液晶配向領域は液晶分子が所定の配向方向および所定のチルト角度で配向された領域であってもよい。液晶配向領域は配向方向およびチルト角度により波長550nmで所定範囲の面内位相差を有することができる。一実施形態によると、偏光板は液晶配向領域によって反射防止用偏光板として機能することができる。
【0063】
一実施形態によると、液晶配向領域は波長550nmで面内位相差が100nm~200nm、例えば100nm~150nmであってもよい。他の一実施形態によると、液晶配向領域は波長550nmで面内位相差が200nmより大きく300nm以下、例えば210nm~275nmであってもよい。さらに他の一実施形態によると、液晶配向領域は波長550nmで面内位相差が100nm未満、例えば0nm~10nmであってもよい。好ましくは、液晶配向領域は波長550nmで面内位相差が100nm~200nm、例えば100nm~150nmであってもよい。
【0064】
一実施形態によると、液晶配向領域は厚さ方向の位相差が0nm未満例えば-60nm~-30nmであってもよい。他の一実施形態によると、液晶配向領域は厚さ方向の位相差が0nm以上例えば100nm~160nmであってもよい。
【0065】
一実施形態によると、液晶配向領域は光学特性として逆波長分散性、正波長分散性、またはフラット波長分散性であってもよい。ここで、「逆波長分散性」は短波長から長波長に行くほど面内位相差が少しずつ増加することを意味し、「正波長分散性」は短波長から長波長に行くほど面内位相差が少しずつ減少することを意味し、「フラット波長分散性」は短波長から長波長に行くほど面内位相差が実質的に均一な値を有することを意味する。好ましくは、液晶配向領域は逆波長分散性であってもよい。
【0066】
一実施形態によると、液晶配向領域はポジティブAプレート(nx>ny=nz)、ネガティブAプレート(nx=nz>ny)、ポジティブBプレート(nz>nx>ny)、ネガティブBプレート(nx>ny>nz)、ポジティブCプレート(nz>nx=ny)、またはネガティブCプレート(nx=ny>nz)であってもよい。好ましくは、液晶配向領域はポジティブAプレートであってもよい。ここで、nx、ny、nzはそれぞれ液晶配向領域の波長550nmで遅相軸方向、進相軸方向、厚さ方向の屈折率である。
【0067】
一実施形態によると、液晶配向領域は液晶配向領域用液晶性組成物の硬化物を含むことができる。液晶性組成物の硬化物は液晶性組成物を熱硬化、光硬化またはこれらの組み合わせによって処理することによって形成されてもよい。
【0068】
液晶性組成物は重合によって液晶性を示す重合性化合物を含むことができる。重合性化合物は一つ以上の重合性架橋基を有することができる。例えば重合性架橋基は光硬化性架橋基であって、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタン基、チオール基、マレイミド基またはこれらの変形形態であってもよい。
【0069】
液晶性組成物は重合によって液晶性を示さないが第1位相差層の形成を容易にする重合性化合物をさらに含むことができる。重合性化合物は一つ以上の重合性架橋基を有することができる。例えば重合性架橋基はアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタン基、チオール基、マレイミド基またはこれらの変形形態であってもよい。
【0070】
液晶性組成物は液晶化合物をさらに含むことができる。液晶化合物は一つ以上の重合性架橋基を有さないが、液晶性組成物に含まれることによって液晶位相差層の形成を容易にすることができる。
【0071】
液晶性組成物は液晶位相差層の実現に一般的に含まれる添加剤、例えば光開始剤、表面調節剤、酸化防止剤などをさらに含むことができる。液晶性組成物は均一な表面を有する液晶層製造の容易性のために溶媒をさらに含んでもよい。
【0072】
液晶無配向領域は前述された液晶配向領域を備えても偏光板のうち第1位相差層の両側の端部の外観を良くすることができ、偏光板製造工程のうち基材フィルムを剥離する時、液晶無配向領域で粘着層と積層して貼り合わされない部分が剥離して液晶残余物の飛散によって偏光板製造ラインが汚染する問題が生じないようにすることができる。
【0073】
液晶無配向領域は液晶分子が所定の配向方向および所定のチルト角度で配向されない領域となり得る。したがって、液晶無配向領域は第1位相差層が前述した面内位相差、波長分散性、および光学特性を示すのに寄与しない。その代わり、液晶無配向領域は偏光板のうち第1位相差層の両側の端部の外観を良くすることができ、偏光板製造工程のうち基材フィルムを剥離する時、液晶無配向領域で粘着層と積層して貼り合わされない部分が剥離されて液晶残余物の飛散によって偏光板製造ラインが汚染する問題が生じないようにすることができる。
【0074】
液晶無配向領域は液晶無配向領域用液晶性組成物の硬化物を含むことができる。液晶性組成物の硬化物は液晶性組成物を熱硬化、光硬化またはこれらの組み合わせによって処理することによって形成されてもよい。
【0075】
液晶性組成物は重合によって液晶性を示す重合性化合物を含むことができる。重合性化合物は一つ以上の重合性架橋基を有することができる。例えば重合性架橋基は光硬化性架橋基であって、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタン基、チオール基、マレイミド基またはこれらの変形形態であってもよい。
【0076】
液晶性組成物は重合によって液晶性を示さないが第1位相差層の形成を容易にする重合性化合物をさらに含むことができる。重合性化合物は一つ以上の重合性架橋基を有することができる。例えば重合性架橋基はアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタン基、チオール基、マレイミド基またはこれらの変形形態であってもよい。
【0077】
液晶性組成物は液晶化合物をさらに含むことができる。液晶化合物は一つ以上の重合性架橋基を有さないが、液晶性組成物に含まれることによって液晶位相差層の形成を容易にすることができる。
【0078】
液晶性組成物は液晶位相差層の実現に一般的に含まれる添加剤、例えば光開始剤、表面調節剤、酸化防止剤などをさらに含むことができる。液晶性組成物は均一な表面を有する液晶層製造の容易性のために溶媒をさらに含んでもよい。
【0079】
第1位相差層の全体の幅を100%とした時、第1位相差層中の両側の端部に形成された液晶無配向領域の幅の比率(図2で第1位相差層30の全体幅(C)に対する液晶無配向領域31の1個の幅(B)の比率=B/C)は、0%より大きく10%以下、例えば1%~10%、2%~8%であってもよい。この範囲で、偏光板での液晶配向領域による反射防止機能などを含む光学機能に影響を与えることなく前述した効果を実現することができる。
【0080】
一実施形態によると、液晶無配向領域は第1位相差層の一方の端部から5mm~15mm、例えば10mm~15mmである領域(図2でB)であってもよい。範囲で、前述した効果を実現することができる。
【0081】
一実施形態によると、液晶無配向領域は液晶配向領域と一体化されていてもよい。ここで、「一体化」とは、液晶無配向領域と液晶配向領域間の境界面が完全には区分されず、かつ平坦でない状態となることを意味する。一実施形態によると、液晶無配向領域用液晶性組成物と液晶配向領域用液晶性組成物は互いに同一であるので、第1位相差層は液晶無配向領域用液晶性組成物(または液晶配向領域用液晶性組成物)の1回のコーティングによって液晶無配向領域と液晶配向領域を同時に形成することによって製造されてもよい。
【0082】
第1位相差層の厚さは0μmより大きく10μm以下、例えば0.1μm~10μm、0.5μm~5μmであってもよい。この範囲で、目的とする位相差を実現することができる。
【0083】
第1位相差層は液晶無配向領域と液晶配向領域を実現することができるのであれば、その製造方法は限定されない。ただし、第1位相差層の形成を容易にするために、第1位相差層は第1位相差層の下部面、すなわち偏光子と対向する面に配向膜をさらに備えることができる。
【0084】
配向膜は液晶性化合物を望む方向で配向させる役割をする。また、配向膜は液晶無配向領域と液晶配向領域それぞれの引裂強度を調節する役割をすることができる。
【0085】
配向膜は第1部分および第2部分からなってもよい。第1部分は第1位相差層中の液晶無配向領域に対応する。第2部分は第1部分の間に位置し、第1位相差層のうち液晶配向領域に対応してもよい。
【0086】
第2部分は配向処理された配向膜であって、配向膜形成用組成物で形成された塗膜の硬化物を含むことができる。これは第2部分上に液晶性組成物がコーティングされて硬化する場合、液晶配向領域の形成を容易にすることができる。
【0087】
一方、第1部分は配向処理されていない配向膜であって、配向膜形成用組成物で形成された塗膜を含むものの、硬化していない非硬化物を含むことができる。これは第1部分上に液晶性組成物がコーティングされて硬化しても、液晶が無配向状態で硬化するようにすることによって液晶無配向領域の形成を容易にすることができる。
【0088】
一実施形態によると、配向膜のうち第1部分と第2部分は一体化されていてもよい。ここで、「一体化」とは、第1部分と第2部分の間の境界面が完全には区分されず、かつ平坦でない状態となることを意味する。
【0089】
一実施形態によると、配向膜は配向膜形成用組成物の1回のコーティングによって第1部分と第2部分が形成されてもよい。
【0090】
一実施形態によると、配向膜はポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、またはトリコサン酸またはジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチルのような有機化合物によるLB膜を累積させた膜などが挙げられる。または配向膜は光の照射で配向機能ができる配向膜などでもよい。配向膜形成用組成物はポリイミド、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、または重合性基を有するポリマーなどを含むことができる。配向処理はポリマー層の表面をラビング処理したりまたは光配向性素材に偏光または非偏光を照射したりまたは配向膜形成用組成物の塗膜を加熱処理することによって実施されてもよい。
【0091】
一実施形態によると、配向膜は配向膜形成用組成物をコーティングして形成された塗膜に配向処理する時、第1部分と第2部分での配向処理の有無および/または第1部分と第2部分での配向角度を調節することによって、第2部分および第1部分を形成することができる。これを通じて第1位相差層から液晶配向領域と液晶無配向領域間の引裂強度の大小関係が出るようにすることができる。
【0092】
他の実施形態によると、配向膜は配向膜形成用組成物をコーティングして形成された塗膜のうち一部分にのみ加熱処理(熱硬化)することによって第2部分を形成し、残りの部分には加熱処理(熱硬化)しないことによって第1部分を形成することができる。これを通じて、第1位相差層から液晶配向領域と液晶無配向領域間の引裂強度の大小関係を出すことが容易であってもよい。
【0093】
さらに他の実施形態によると、第1位相差層から液晶配向領域と液晶無配向領域との間の引裂強度の大小関係は液晶組成物の種類および/または液晶組成物の光硬化の程度を調節することによって実現されてもよい。
【0094】
配向膜は厚さが0μmより大きく1μm以下、例えば10nm~800nm、100nm~600nmであってもよい。この範囲で、目的とする位相差を実現することができる。
【0095】
偏光子
偏光子は入射した自然光または偏光を特定方向の直線偏光に変換させるものであり、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする高分子フィルムから製造されてもよい。具体的には、偏光子は高分子フィルムをヨウ素や二色性染料で染色させ、これをMD(machine direction)で延伸させて製造されるかまたは酸触媒などによる脱水反応によってポリエン結合を形成させて製造されてもよい。一実施形態で、偏光子はポリビニルアルコール系フィルムを膨潤過程、染色段階、延伸段階を経たりまたは選択的には補色段階、架橋段階のうち1種以上を経たりして製造されてもよい。
【0096】
偏光子は面内方向のうち光吸収軸と光透過軸を有し、光吸収軸は偏光子のMD、光透過軸は偏光子のTD(transverse direction)となってもよい。
【0097】
偏光子は全光線透過率が40%以上、例えば40%~47%、偏光度が95%以上、例えば95%~99.9999%であってもよい。この範囲で、位相差層と組み合わせる時、反射防止性能を高めることができる。「光透過率」、「偏光度」は波長380nm~780nmで測定された値であって、該当する波長範囲での視感度を反映した値であり、当業者に知られている常法で測定されてもよい。
【0098】
偏光子は厚さが2μm~30μm、具体的には4μm~25μmであってもよく、この範囲で偏光板に使われてもよい。
【0099】
偏光板は第1位相差層の上部面、すなわち偏光子側面に粘着層をさらに含むことができる。
【0100】
粘着層
粘着層は第1位相差層の一方の面に積層され、第1位相差層と被着体を粘着させる役割を担う。ここで、「被着体」は偏光子、下記で説明される保護層、または下記で説明される他の位相差層を含むことができる。
【0101】
一実施形態によると、粘着層は第1液晶位相差層のうち液晶配向領域および液晶無配向領域の双方に積層して貼り合わされていてもよい。特に、粘着層は液晶無配向領域にも積層して貼り合わされることによって、図1でのように液晶無配向領域を通じての第1位相差層の両側の端部の外観を良くすることができる。
【0102】
一実施形態によると、図1で、粘着層の剥離強度において、第1位相差層用層または第1位相差層用層および配向膜と粘着層の剥離強度は、第1位相差層用層または第1位相差層用層および配向膜と基材フィルム間の剥離強度に比べてさらに高くてもよい。これは図1のように、基材フィルムの剥離時に第1位相差層の両側の端部での液晶残余物の飛散による偏光板製造工程ラインの汚染がないようにし、第1位相差層の両側の端部で外観を良くすることができる。
【0103】
一実施形態によると、粘着層は感圧粘着剤(pressure sensitive adhesive)層であってもよい。これは第1位相差層と被着体間の剥離力が高いだけではなく、再剥離性も良いため、工程性能を改善することができる。一実施形態によると、粘着層は(メト)アクリル系、エポキシ系、シリコン系、ウレタン系、またはウレタン(メト)アクリル系粘着樹脂などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0104】
一実施形態によると、粘着層は厚さが2μm~30μm、具体的には4μm~25μmであってもよく、この範囲で偏光板に使用することができる。
【0105】
偏光板は偏光子の上部面または偏光子の下部面、例えば偏光子と第1位相差層の間、または第1位相差層の下部面のうち一つ以上に保護層をさらに含むことができる。偏光板は1層以上の保護層を含むことができる。
【0106】
保護層
保護層は位相差層および/または偏光板に追加的な機能を提供することができる。例えば、保護層は偏光板の厚さを補完することによって偏光板の耐久性および機械的強度を高めることができる。または保護層は偏光板を高温高湿で長期間放置後、偏光子から溶出され得るヨウ素が位相差層および/またはパネルを汚染させる現象を遮断することもできる。
【0107】
保護層は光学的透明フィルムであって、例えばトリアセチルセルロース(TAC)等を含むセルロース系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレートなどを含むポリエステル系、環状ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリアリレート系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系のうち一つ以上の樹脂からなるフィルムであってもよい。
【0108】
一実施形態によると、保護層は波長550nmでの正面位相差が10nm以下、例えば0nm~5nmであってもよい。この範囲で、液晶位相差層による正面および側面での反射率低減効果に影響を与えずに保護層使用による効果を得ることができる。
【0109】
保護層は厚さが5μm~100μm、具体的には15μm~45μmであってもよく、この範囲で偏光板に使用することができる。
【0110】
偏光板は偏光子の上部面または偏光子の下部面、例えば偏光子と第1位相差層の間、または第1位相差層の下部面のうち一つ以上に第2位相差層をさらに含むことができる。第2位相差層は第1位相差層、好ましくは第1位相差層のうち液晶配向領域に比べて波長550nmで異なる位相差値を有するか他の光学特性を有する層を意味してもよい。偏光板は1層以上の第2位相差層を含むことができる。
【0111】
第2位相差層
一実施形態によると、第2位相差層は波長550nmでの面内位相差が100nm未満、例えば0nm~10nmであってもよい。他の実施形態によると、第2位相差層は波長550nmでの面内位相差が100nm~200nm、例えば100nm~150nmであってもよい。さらに他の一実施形態によると、第2位相差層は波長550nmでの面内位相差が200nmより大きく300nm以下、例えば210nm~275nmであってもよい。
【0112】
一実施形態によると、第2位相差層は厚さ方向位相差が0nm未満、例えば-60nm~-30nmであってもよい。他の一実施形態によると、第2位相差層は厚さ方向の位相差が0nm以上例えば100nm~160nmであってもよい。
【0113】
一実施形態によると、第2位相差層は波長分散性特性として逆波長分散性、正波長分散性、またはフラット波長分散性であってもよい。
【0114】
一実施形態によると、第2位相差層は光学特性としてポジティブAプレート、ネガティブAプレート、ポジティブBプレート、ネガティブBプレート、ポジティブCプレート、またはネガティブCプレートであってもよい。好ましくは、第2位相差層はポジティブCプレートであってもよい。
【0115】
一実施形態によると、第2位相差層は液晶層または非液晶層であってもよい。液晶層は液晶性組成物で形成された層であって、当業者に知られている通常の液晶で製造されてもよい。非液晶層は高分子含有組成物を溶融押出または溶媒キャスティング法で製造された未延伸フィルムを延伸させて製造された延伸フィルムまたは高分子含有組成物をコーティングすることによって製造されたコーティング層であってもよい。
【0116】
一実施形態によると、第2位相差層は厚さが3.5μm未満、例えば0.5μm~3.4μmであってもよい。この範囲で、目的とする位相差を実現することができる。
【0117】
図2は、一実施形態の偏光板の断面図である。図2を参照すると、偏光板は偏光子10、偏光子10の下部面に順次積層された粘着層20、および第1位相差層30を含む。第1位相差層30は、幅方向で両側の端部に位置した液晶無配向領域31、および液晶無配向領域31の間に位置した液晶配向領域32からなる。
【0118】
図3は、他の実施形態の偏光板の断面図である。図3を参照すると、偏光板は偏光子10、偏光子10の下部面に順次積層された粘着層20、第1位相差層30および配向膜40を含む。第1位相差層30は、幅方向で両側の端部に位置した液晶無配向領域31、および液晶無配向領域31の間に位置した液晶配向領域32からなる。配向膜40は液晶無配向領域31に対応する第1部分41、および液晶配向領域32に対応する第2部分42からなる。
【0119】
図4は、さらに他の実施形態の偏光板の断面図である。図4を参照すると、偏光板は偏光子10、偏光子10の下部面に順次積層された粘着層20、第1位相差層30、配向膜40および第2位相差層50を含む。第1位相差層30は、幅方向で両側の端部に位置した液晶無配向領域31、および液晶無配向領域31の間に位置した液晶配向領域32からなる。配向膜40は液晶無配向領域31に対応する第1部分41、および液晶配向領域32に対応する第2部分42からなる。
【0120】
図5は、さらに他の実施形態の偏光板の断面図である。図5を参照すると、偏光板は偏光子10、偏光子10の上部面に積層された保護層60、偏光子10の下部面に順次積層された粘着層20、第1位相差層30、配向膜40および第2位相差層50を含む。第1位相差層30は、幅方向で両側の端部に位置した液晶無配向領域31、および液晶無配向領域31の間に位置した液晶配向領域32からなる。配向膜40は液晶無配向領域31に対応する第1部分41、および液晶配向領域32に対応する第2部分42からなる。
【0121】
本発明の光学表示装置は本発明実施形態の偏光板を含む。光学表示装置は有機発光素子(OLED)表示装置、液晶表示装置を含むことができる。
【0122】
一実施形態で、有機発光素子表示装置はフレキシブル型基板を含む有機発光素子パネル、有機発光素子パネル上に積層された本発明の偏光板を含むことができる。他の実施形態で、有機発光素子表示装置は非-フレキシブル型基板を含む有機発光素子パネル、有機発光素子パネル上に積層された本発明の偏光板を含むことができる。
【実施例0123】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成および作用をさらに詳細に説明することにする。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示されたものであり、いかなる意味としても、これによって本発明が限定されるものと解釈されてはならない。
【0124】
実施例1
ポリビニルアルコール系フィルム(TS#20、株式会社クラレ、厚さ:20μm)を55℃で、ヨウ素水溶液を6倍に延伸して全光線透過率45%の偏光子を製造した。
【0125】
基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備し、PETフィルムの上部面に配向膜形成用組成物(フェノール類変性樹脂およびフェノール基含有アクリレート系モノマーを含む、大日本印刷株式会社)を所定の厚さで塗布して塗膜を形成し、マスクを使って、塗膜の両側の端部を除いた残り部分にのみ所定の配向角度で配向処理した後に、熱硬化させて配向膜を形成した。
【0126】
配向膜の全面に液晶位相差層の形成用組成物(光硬化性メラミン系樹脂を含む、大日本印刷株式会社)を所定の厚さで塗布して光硬化させて液晶位相差層を形成し、基材フィルム-配向膜-液晶位相差層が順次積層された積層体を製造した。
【0127】
偏光子の下部面にアクリル系粘着剤組成物(PSA)を塗布して硬化させて粘着層を形成した。製造した粘着層と積層体のうち液晶位相差層を積層して貼り合わせた。この時、粘着層の幅は液晶位相差層の幅に比べて小さかった。積層して貼り合わせた後、基材フィルムを剥離することによって、偏光子-粘着層-液晶位相差層-配向膜の順で積層された偏光板を製造した。液晶位相差層はポジティブAプレートであり、波長550nmで面内位相差は125nmであった。
【0128】
配向膜の下部面に液晶位相差層(ポジティブCプレート)を積層して貼り合わせ、偏光子-粘着層-液晶位相差層(ポジティブAプレート)-配向膜-液晶位相差層(ポジティブCプレート)の順で積層された偏光板を製造した。
【0129】
実施例2~実施例4
実施例1で液晶位相差層の形成用組成物の種類および/または光硬化の程度を変更した点を除いては実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0130】
比較例1
実施例1で、マスクを使用せず、塗膜全体を所定の配向角度で配向処理した後に熱硬化させて配向膜を製造した点を除いては実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0131】
実施例と比較例の偏光板をもって下記の物性を評価し、評価結果を下記の表1、図8および図9に示した。
【0132】
引裂強度(単位:N):実施例と比較例で粘着層に積層して貼り合わせる前、液晶位相差層(ポジティブAプレート)と配向膜の積層体に対して引裂強度を測定した。引裂強度は液晶配向領域と液晶無配向領域それぞれに対して同じ方法で測定された。引裂強度はKS K ISO 13937-2、図6および図7に基づいて、前述した方法で測定された。
【0133】
液晶位相差層(ポジティブAプレート)の両端部の外観:製造された偏光板のうち液晶位相差層(ポジティブAプレート)の両端部の断面がなめらかで均一であるかどうかを肉眼で評価した。ポジティブAプレートの両端部の断面がなめらかで均一であれば良好、そうでなければ不良と評価した。
【0134】
基材フィルムに液晶位相差層(ポジティブAプレート)の残余物が残っているかどうか:実施例と比較例で偏光板を製造する過程で基材フィルムを剥離した後、基材フィルムに液晶位相差層の残余物が残っているかどうか残余物が飛散したかどうかを評価した。基材フィルムに液晶位相差層の残余物が残っているか残余物が飛散したのであれば不良、そうでなければ良好と評価した。
【0135】
【表1】
【0136】
表1のように、液晶位相差層の両側の端部の外観が優れており、基材フィルムの液晶位相差層(ポジティブAプレート)の残余物がなく、飛散がないため、偏光板の製造工程性能が優れていた。一方、比較例1の偏光板は液晶位相差層の両側の端部の外観も不良で残余物も多いので、実施例での効果が得られなかった。
【0137】
図8のように、実施例1の液晶位相差層と粘着層の断面はなめらかで均一であった。しかし、図9のように、比較例の液晶位相差層と粘着層の断面は均一ではなかった。
【0138】
本発明の単純な変形または変更はこの分野の通常の知識を有する者によって容易に実施され得、このような変形や変更はすべて本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9