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特開2024-177289周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法及び関連する半導体デバイス構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177289
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法及び関連する半導体デバイス構造
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20241212BHJP
   H01L 21/316 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
C23C16/40
H01L21/316 X
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024172394
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2019217938の分割
【原出願日】2019-12-02
(31)【優先権主張番号】16/219,555
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】バルン・シャルマ
(57)【要約】
【課題】周期的堆積によって基材上にレニウム含有膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】周期的堆積によって基材上にレニウム含有膜を形成する方法が開示される。方法は、基材をレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させること、及び基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み得る。本開示の方法によって形成されるレニウム含有膜を含む半導体デバイス構造も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
前記レニウム含有膜が、酸化レニウム膜、ホウ化レニウム膜、硫化レニウム膜、又は元素レニウム膜のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の気相反応物質が、酸素含有前駆体、ホウ素含有前駆体、硫黄含有前駆体、または水素含有前駆体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素含有前駆体が、水(HO)、オゾン(O)、過酸化水素(H)、酸素分子(O)、酸素原子(O)、三酸化硫黄(SO)、酸化窒素、ギ酸(CH)、または酸素系プラズマのうちの少なくとも一つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レニウム含有膜が、酸化レニウム膜を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化レニウム膜が、酸化レニウム(IV)(ReO)、三酸化レニウム(ReO)、酸化レニウム(VII)(Re)、または一般式Reを有する酸化レニウムであって、式中、a及びbが7以下の値を有する酸化レニウム、のうちの少なくとも一つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化レニウム膜が、酸化レニウム(VII)(Re)を含み、前記方法が、前記酸化レニウム(VII)(Re)を還元剤前駆体と接触させ、それによって酸化レニウム(IV)(ReO)、または三酸化レニウム(ReO)のうちの少なくとも一つを形成することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記還元剤前駆体が、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、ジオン、二酸化硫黄(SO)、無水シュウ酸、または酸のうちの少なくとも一つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化レニウム膜が、少なくとも一つの酸化レニウム(IV)(ReO)、または三酸化レニウム(ReO)を含み、前記方法が、前記酸化レニウム膜を追加的な酸素含有前駆体と接触させることによって酸化レニウム(VII)(Re)を形成することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化レニウム膜が、700μΩ-cm未満の電気抵抗率を有する導電性酸化レニウム膜を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化レニウム膜の表面上に導電性キャッピング層を形成することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性キャッピング層が、窒化チタン、ホウ化レニウム、炭化レニウム、リン化レニウム、窒化レニウム、窒化タンタル、タンタル、炭化タングステン、モリブデン、またはホウ化ニオブのうちの少なくとも一つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化レニウム膜を、100℃超の温度で熱アニールすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記レニウムオキシハライドが、レニウムオキシフルオリドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記レニウムオキシフルオリドが、レニウムオキシテトラフルオリド(ReOF)、レニウムオキシペンタフルオリド(ReOF)、レニウムジオキシジフルオリド(ReO)、レニウムトリオキシフルオリド(ReOF)、レニウムジオキシトリフルオリド(ReO)、レニウムオキシジフルオリド(ReOF)、レニウムオキシトリフルオリド(ReOF)、またはレニウムオキシフルオリド(ReOF)のうちの少なくとも一つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レニウムオキシハライドが、レニウムオキシクロリドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記レニウムオキシクロリドが、レニウムジオキシトリクロリド(ReOCl)、レニウムオキシテトラクロリド(ReOCl)、レニウムオキシペンタフルオリド(rhenium oxypentafluoride)(ReOCl)、レニウムトリオキシクロリド(ReOCl)、レニウムジオキシジクロリド(ReOCl)、レニウムオキシジクロリド(ReOCl)、レニウムオキシトリクロリド(ReOCl)、またはレニウムオキシクロリド(ReOCl)のうちの少なくとも一つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アルキルレニウムオキシド前駆体が、メチルレニウムトリオキシド(CHReO)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記シクロペンタジエニル系レニウム前駆体が、シクロペンタジエニルレニウムヒドリド又はシクロペンタジエニルレニウムカルボニルのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記レニウムカルボニルハライド前駆体が、ReCl[CO]を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記硫黄含有前駆体が、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CS)、メタンチオール(CHSH)、またはジアルキルジスルフィドのうちの少なくとも一つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
前記レニウム含有膜が、二硫化レニウム(ReS)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記レニウム含有膜が酸化レニウム膜を含み、前記方法が、前記酸化レニウム膜を追加的な硫黄含有前駆体と接触させることによって、二硫化レニウム(ReS)膜を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記水素含有前駆体が、硫化水素(HS)、水素分子(H)、水素原子(H)、水素系プラズマ、ヒドラジン(N)、フォーミングガス(H+N)、アンモニア(NH)、またはアンモニア-水素(NH-H)混合物のうちの少なくとも一つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
前記レニウム含有膜が、元素レニウム膜を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記レニウム含有膜が酸化レニウム膜を含み、前記方法が、前記酸化レニウム膜を水素含有前駆体と接触させることによって、元素レニウム膜を形成することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記周期的堆積プロセスが、原子層堆積(ALD)プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記周期的堆積プロセスが周期的化学気相蒸着(CCVD)プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載の方法により形成されたレニウム含有膜を含む半導体デバイス構造。
【請求項30】
請求項1に記載の方法を実施するように構成された反応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法、及び特にレニウム前駆体を利用する周期的堆積プロセスによりレニウム含有膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レニウム含有膜は、幅広い技術用途で利用され得る。例えば、元素レニウム膜は、高温超合金、超電導用途、接着層、ライナー、拡散バリア、シード層、他の材料の成長を改善するためのシード層、及びマイクロエレクトロニクス用途において、触媒として使用され得る。さらに、酸化レニウムは、低い電気抵抗率を示し得、したがって、例えば、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスなどの半導体デバイス構造に電極として利用され得る。さらには、例えば、二硫化レニウム(ReS)などの硫化レニウムは、3Dバルク形態においてさえも、2D材料に類似した様式の動きを見せることが示されている。したがって、硫化レニウムは、トライボロジー、他の低摩擦用途、太陽電池用途、並びに量子コンピューティング及び超高速データ処理における用途を見出すことができる。したがって、レニウム含有膜及びレニウム含有膜を含む関連する半導体デバイス構造を形成する方法が非常に望ましい。
【発明の概要】
【0003】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供する。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0004】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法が提供される。方法は、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を基材と接触させること、及び基材を第二の気相反応物質と接触させることを含むことができる。
【0005】
先行技術を超えて達成される本発明及び利点を要約する目的で、本発明のある特定の目的及び利点が本明細書において上記に説明される。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば本明細書に教授または示唆する通り、一つの利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書で教授または示唆されうる通りの他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0006】
これらの実施形態のすべては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図される。当業者には、これらの及び他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の記述から、より容易に確定されうる。
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に酸化レニウム膜を形成するための方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0009】
図2図2は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に酸化レニウム膜を形成するための追加的方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0010】
図3図3は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に酸化レニウム膜を形成するためのさらなる方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0011】
図4図4A図4Cは、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に抵抗率の低い酸化レニウム膜を形成するプロセスによって形成され得る半導体構造の断面概略図を示す。
【0012】
図5図5は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に硫化レニウム膜を形成するための方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0013】
図6図6は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に硫化レニウム膜を形成するための追加的方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0014】
図7図7は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に元素レニウム膜を形成するための方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0015】
図8図8は、本開示の実施形態による周期的堆積プロセスによって、基材上に元素レニウム膜を形成するための追加的方法を説明する、非限定的な例示的プロセスフローを示す。
【0016】
図9図9は、本開示の実施形態によって形成されるレニウム含有膜を含む半導体デバイス構造の断面概略図を示す。
【0017】
図10図10は、本開示の実施形態による周期的堆積方法を実施するように構成された例示的な反応システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの実施形態及び実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態及び/または用途、並びにその明白な変更及び均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0019】
本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を説明するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「レニウムオキシハライド前駆体」という用語は、一般式Reを有する分子を指してもよく、式中、Reはレニウムであり、Oは酸素であり、Xは、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)などのハロゲン原子であり、a、b、及びcは1以上の整数である。
【0021】
本明細書で使用される「周期的化学気相蒸着」という用語は、基材を二つ以上の揮発性前駆体に逐次曝し、その前駆体が基材上で反応及び/又は分解して所望の堆積物を生成する、任意のプロセスを指すことができる。
【0022】
本明細書で使用する用語「基材」は、使用することができる、または上にデバイス、回路、もしくは膜を形成することができる、任意の下地材料または複数の材料を指すことができる。
【0023】
本明細書で使用される「原子層堆積」(ALD)という用語は、蒸着プロセスを指し、複数の連続堆積サイクルを含む堆積サイクルが反応チャンバー内で行われる。典型的には、各サイクルの間、前駆体は、堆積表面(例えば、基材の表面又は以前に堆積させた下地の表面、例えば、以前のALDサイクルを用いて堆積させた材料等)に化学吸着し、追加の前駆体と容易に反応しない単分子層又はサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、必要に応じて、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体又は反応ガス)をその後プロセスチャンバー内に導入することができる。典型的には、この反応物質は前駆体と更に反応することができる。更に、各サイクル中にパージ工程を利用して、化学吸着された前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去する、ならびに/または過剰の反応物質及び/もしくは反応副生成物をプロセスチャンバーから除去することができる。更に、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語は、関連する用語、例えば、「化学蒸着原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、又は有機金属MBE、並びに前駆体組成物、反応性ガス、及びパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシー等、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「膜」及び「薄膜」という用語は、本明細書に開示された方法により形成された任意の連続的または非連続的な構造及び材料を意味することを意図する。「膜」及び「薄膜」としては、例えば、2D材料、ナノロッド、ナノラミネート、ナノチューブ、またはナノ粒子、または部分的なもしくは完全な分子層、または部分的なもしくは完全な原子層、または原子及び/もしくは分子のクラスター、を挙げることができる。「膜」及び「薄膜」は、ピンホールを有する材料または層を含み得るが、それでも少なくとも部分的に連続している。
【0025】
本開示の実施形態を通じて多くの例示的な材料が与えられており、例示的な材料のそれぞれに与えられる化学式は限定的であると解釈されるべきではなく、与えられる非限定的な例示的な材料はある例示的な化学量論によって限定されるべきではないことに留意されたい。
【0026】
本開示は、レニウム含有膜を形成し、それを利用し得る方法及び関連する半導体デバイス構造を含む。例えば、元素レニウム膜、酸化レニウム膜、硫化レニウム膜、及びホウ化レニウム膜などのレニウム含有膜は、幅広い様々な技術用途で利用され得る。
【0027】
非限定的な例として、三酸化レニウム(ReO)などの特定の酸化レニウム膜は、非常に低い電気抵抗率を示し得、したがって、デバイス相互接続、バリア層、ショットキーデバイス、金属-絶縁体半導体(MIS)装置、金属-絶縁体-金属装置(MIM)、及びゲート電極の一部としてなど、これらに限定されない数多くの半導体装置用途で利用され得る。
【0028】
レニウム酸化物は半導体デバイスのドーピングにも利用され得る。例えば、レニウム酸化物を利用して、半導体材料の導電率を調節し、特定の材料の接着を調節し得る。さらなる例において、レニウム酸化物を利用して、例えば、固体-固体反応の場合など、興味深い混合化合物が形成され得る。
【0029】
例えば、二酸化レニウム、三酸化レニウム、または七酸化二レニウムなどのレニウム酸化物の魅力的な物理的特性により、いくつかの新規用途が利用され得る。いくつかの実施形態では、レニウム酸化物は、複合3D構造において、トレンチ構造、ピット、またはギャップ構造のボトムアップ充填または充填に利用され得る。酸化レニウムによるボトムアップ及び/又はギャップ充填は、例えば、これに限定するものではないが、酸化レニウムを低い堆積温度で堆積させ、その後、より高い温度で堆積した酸化レニウム膜をアニールし、酸化レニウム膜を3D構造の下部領域内にリフトーさせるなど、多くの方法で実現されうる。酸化レニウム膜のアニール温度は、50℃超、100℃超、または200℃超、または300℃超、または350℃超であり得る。酸化レニウム膜のアニールは、酸化レニウム膜の特定の組成を維持するために、酸化環境または還元環境で実行されてもよい。例えば、酸化レニウム膜のアニールは、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、硫黄酸化物(例えば、SO またはSO)、酸素、または水のうちの少なくとも一つを含む環境で実施され得る。
【0030】
さらなる非限定的な例として、例えば、Reなどの酸化レニウムは、化学蒸着(CVD)プロセスの原材料として利用されてもよく、薄膜用途及び/またはギャップ充填用途のためにReを堆積させるため、Reは約100℃超の温度で、または約150℃超の温度で、または約180度超の温度で昇華を開始し得る。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化レニウム膜の第一の組成物が酸化レニウム膜の第二の組成物の上に堆積され得るように、堆積温度は注意深く制御され得、第一の組成物及び第二の組成物は互いに異なる。例えば、約220℃~350℃の堆積温度では、組成物Reを含まない酸化レニウム膜が堆積され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜は、例えば、酸化レニウム材料を含む量子ドット、ナノドット、ナノワイヤー、またはナノパターンの形成のために、例えば波形表面、及び/又はパターン付表面などの鋳型構造上に堆積され得る。このような実施形態では、初期材料または最終材料は、酸化レニウム、元素レニウム金属、ホウ化レニウム、または硫化レニウムのいずれか一つであってもよい。望ましいレニウム含有材料に応じて、初期レニウム含有膜の酸化、還元、または硫化などの様々な処理工程が利用され得る。上述の通り、アニール工程はまた、レニウム含有材料が、波形の下部頂点または3D構造の下部領域に蓄積することを可能にするために利用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、堆積されたレニウム含有膜またはそれらの合金は、ホウ素、硫黄、炭素、窒素、リン、またはそれらの組み合わせのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、炭化レニウム、ホウ化レニウム、窒化レニウム、リン化レニウムのうちの可能性のある相の一つとして分類され、または場合によっては二つ以上の元素を含み得る。例えば、レニウム含有膜は、ホウ素及び炭素、窒素及びホウ素、又はホウ素、炭素、窒素、及びリンのいずれかの可能性のある組み合わせを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、レニウムボロンカーバイド(ReBC)、二ホウ化レニウム(ReB)三ホウ化二レニウム(Re)、またはホウ化レニウム(ReB、Re、ReB及びReB)を含み得る。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、ホウ素、炭素、窒素、硫黄、リン、またはそれらの任意の可能な組み合わせを含み得る。レニウム、ホウ素、炭素、窒素、またはリンのこうした混合合金の非限定的用途は、接着改善層、シード層、拡散バリア、ハードコーティング、高弾性率スーパーハード層、またはライナーとして利用され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、ReBC、ReB、ReC、Re、ReP、ReP、ReN、ReN、ReN、ReN、ReN、ReC、ReC、ReC、ReBのうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、超電導層、パターン形成用途におけるハードマスク、パターン形成用途におけるエッチストップ層、反応チャンバーならびに反応チャンバーの構成要素、またエッチング反応器のためのコーティング、エッチング化学物質に対する保護コーティング、及び半導体層としてのRePとして使用され得る。
【0036】
一部の場合では、空隙を形成することが望ましく、低沸点の酸化レニウム膜はそのような用途で利用され得る。例えば、酸化レニウム膜を約400℃超の温度でアニールすることにより、酸化レニウム膜が充填されたギャップ特徴から完全に昇華されるか、または堆積した酸化レニウム膜を昇華させ得る。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜の昇華は空隙を残してもよく、または代替的に酸化レニウム膜は犠牲層及び/又はパターニング用途のパターニング層として利用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、金属接点などのバックエンド(BEOL)用途で利用されてもよく、金属接点は、下方のライナー層、接着層、シード層、または拡散バリア層の上に堆積されてもよく、一部の用途では、金属接点は金属合金によってキャップされてもよい。例えば、いくつかの用途では、金属相互接続は元素レニウムであってもよく、例えば、炭化レニウム、ホウ化レニウム、窒化レニウム、又はリン化レニウムなどの下方のレニウム合金の上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、金属接点を堆積するために利用される金属前駆体は、ライナー層、接着層、シード層、または拡散バリア層の堆積で利用されるものと同様であり、第二の反応物質及び/またはプロセス条件(例えば、堆積温度)の選択のみが異なってもよい。このアプローチは、一つの金属前駆体のみが使用されるため、処理において有利で有り得、またこのアプローチは、例えば、金属接点または相互接続としてのコバルト、及び接着層、またはライナー層としてのリン化コバルトなどの異なる金属を利用する他のプロセスに適用され得る。ルテニウム系プロセス及びその関連する炭化物について同様のアプローチを利用し得る。
【0038】
加えて、例えば、酸化レニウム(VII)(Re)などの酸化レニウム膜は、誘電特性を示してもよく、したがってDRAMデバイスにおいて、またコンデンサ構造として利用され得る。ReOは、例えば、スピントロニクスデバイス、ならびに抵抗変化型RAMなどのメモリデバイスに用途を見出すことができる。いくつかの実施形態では、酸化レニウムは、触媒科学において利用され得る。いくつかの実施形態では、堆積されたレニウム含有膜は、選択的堆積又はエッチングを促進し得る。例えば、ReOの触媒効果はその表面上で反応または分解するためのいくつかのALD前駆体を支援し得る。
【0039】
さらに、例えば、三酸化レニウム(ReO)などの酸化レニウム膜は、低融点を示し、低融点は、例えば、窒化チタン(TiN)などのキャッピング層によって酸化レニウム膜をキャップし、その後、レニウム酸化膜を熱アニールして、単結晶酸化レニウム膜を形成するか、または酸化レニウム膜を含む結晶の粒子サイズを増大させ、それによって酸化レニウム膜の電気抵抗率を減少させることにより、利益を得ることができる。
【0040】
したがって、本開示の実施形態は、周期的堆積プロセスによって基材上にレニウム含有膜を形成する方法を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を基材と接触させること、及び基材を第二の気相反応物質と接触させることを含むことができる。
【0041】
本明細書に開示される、レニウム含有膜の形成方法は、例えば、原子層堆積(ALD)、または周期的化学気相蒸着(CCVD)などの周期的堆積プロセスを含み得る。
【0042】
周期的堆積プロセスの非限定的な例示の実施形態は原子層堆積(ALD)を含み、ALDは典型的な自己制御反応に基づいており、それにより反応物質の逐次及び交互パルスを用いて、堆積サイクル当たり材料の約1原子(または分子)単層を堆積する。堆積条件及び前駆体は、典型的には、一つの反応物質の吸着層が同じ反応物質の気相反応物質と非反応性の表面終端を残すように、自己飽和反応を提供するように選択される。その後、基材を、前の終端と反応する異なる反応物質と接触させ、連続的な堆積を可能にする。従って、交互パルスの各サイクルは、典型的には、所望の材料の約一層以下の単層を残す。しかし、上記のように、一つ以上のALDサイクルにおいて、例えば、交互するプロセスの性質にもかかわらずいくつかの気相反応が起こる場合、材料の一つより多い単層を堆積させることができることを、当業者は認識するであろう。
【0043】
例えば、元素レニウム膜、酸化レニウム膜、硫化レニウム膜、またはホウ化レニウム膜などのレニウム含有膜の形成のために利用されるALD型プロセスにおいて、一つの堆積サイクルは、基材を第一の気相反応物質に曝露することと、全ての未反応の第一の反応物質及び反応副生成物を反応チャンバーから除去することと、基材を第二の気相反応物質に曝露することと、を含むことができ、第二の除去工程に続く。本開示のいくつかの実施形態では、第一の気相反応物質はレニウム前駆体を含み得、第二の気相反応物質は、酸素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、水素含有前駆体のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、ホウ素含有前駆体は、一般式Bn+xのボランを含み、式中、n及びxは1以上の整数である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有前駆体は、一般式RBのアルキルホウ酸塩を含有してもよく、式中、Rは任意のアルキル基またはアリール基である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有前駆体は、ホウ素水素化物(BH)、ジボラン(B)、デカボラン(B1014)、テトラボラン(B10)、ホウ酸トリメチルまたはホウ酸トリエチルのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0045】
前駆体は、反応物質間の気相反応を防止し、自己飽和表面反応を可能にするように、不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)または窒素(N)によって分離されることができる。しかし、いくつかの実施形態では、基材を移動させて、第一の気相反応物質と第二の気相反応物質とを、別々に接触させることができる。反応が自己飽和するので、基材の厳密な温度制御及び前駆体の正確な投与量制御は必要でない場合もある。しかし、基材温度は、入射ガス種が単層に凝縮しないように、及び表面で分解しない程度である。基材を次の反応性化学物質と接触させる前に、余分な化学物質及び反応副生成物がある場合には、それらを、例えば反応空間をパージすることにより又は基材を移動させることにより、基材の表面から除去する。望ましくない気体の分子を、不活性パージガスを用いて反応空間から効果的に排出することができる。パージを促進するために、真空ポンプを使用することができる。
【0046】
レニウム含有膜を堆積するために使用することができる反応器は、本明細書に記載の周期的堆積プロセスのために使用することができる。このような反応器は、前駆体を供給するように構成されたALD反応器ならびにCVD反応器を含む。いくつかの実施形態によれば、シャワーヘッド反応器を使用し得る。いくつかの実施形態によれば、クロスフロー、バッチ、ミニバッチ、または空間ALD反応器が使用され得る。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態では、バッチ式反応器を使用し得る。いくつかの実施形態では、垂直バッチ式反応器を使用し得る。他の実施形態では、バッチ式反応器は、10枚以下のウェーハ、8枚以下のウェーハ、6枚以下のウェーハ、4枚以下のウェーハ、または2枚以下のウェーハを収容するように構成されたミニバッチ反応器を備える。バッチ式反応器が使用されるいくつかの実施形態では、ウェーハ間の不均一性は5%(1シグマ)未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満、または更には0.5%未満である。
【0048】
本明細書に記載の例示的な周期的堆積プロセスを、クラスタツールに連結された反応器または反応チャンバーで任意に行い得る。クラスタツールでは、各反応チャンバーが一つのタイプのプロセス専用であるため、各モジュール内の反応チャンバーの温度を一定に保つことができ、各運転の前に基材をプロセス温度まで加熱する反応器と比較してスループットが向上する。更に、クラスタツールでは、反応チャンバーを基材間で所望のプロセス圧力レベルに排気する時間を短縮することが可能である。本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に開示されるレニウム含有膜の形成のための例示的な周期的堆積プロセスは、複数の反応チャンバーを含むクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバーは、基材を個々の前駆体ガスに曝露させるために利用されてもよく、複数の前駆体ガスに曝露させるために基材を異なる反応チャンバー間で搬送してもよく、基材の搬送は基材の酸化/汚染を防止するために制御された環境下で実施される。本開示のいくつかの実施形態では、レニウム含有膜形成のための周期的堆積プロセスは、複数の反応チャンバーを備えるクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバーは、基材を異なる温度に加熱するように構成されてもよい。
【0049】
独立型反応器はロードロックを備え得る。その場合、各運転と運転との間に反応チャンバーを冷却する必要はない。
【0050】
いくつかの実施形態では、レニウム含有膜の形成において利用される堆積プロセスは、例えばALDサイクル又は周期的CVDサイクルなどの複数の堆積サイクルを含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、ハイブリッドALD/CVDまたは周期的CVDプロセスであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ALDプロセスの成長速度は、CVDプロセスと比較して低い場合がある。成長速度を増加させる一つのアプローチは、ALDプロセスにおいて典型的に使用される温度よりも高い基材温度で動作するアプローチであり、結果として化学蒸着プロセスの部分になるが、更に前駆体の逐次導入を利用し、このようなプロセスは周期的CVDと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、周期的CVDプロセスは、反応チャンバー内への二つ以上の前駆体の導入を含み得、反応チャンバー内の二つ以上の前駆体の間の重複の期間は、堆積のALD成分と堆積のCVD成分の両方をもたらす。例えば、周期的CVDプロセスは、第一の前駆体の連続的な流れ、及び第二の前駆体の反応チャンバー内への定期的なパルス注入を含むことができる。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ALDプロセスを用いて、レニウム含有膜を、例えば集積回路ワークピースなどの基材上に堆積させる。本開示のいくつかの実施形態では、各ALDサイクルは、二つ以上の別々の堆積工程または段階を含み得る。堆積サイクルの第一段階(「レニウム段階」)では、堆積が望まれる基材の表面は、基材の表面上に化学吸着するレニウム前駆体を含み、基材の表面上に反応物質種の約一層以下の単層を形成する第一の気相反応物質と接触させ得る。堆積の第二段階では、堆積が望まれる基材表面を、酸素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、または水素含有前駆体のうちの少なくとも一つを含む第二の気相反応物質と接触させ得る。追加の段階は、酸化段階、還元段階、及び/または予備洗浄段階を含み得る。
【0053】
本開示のいくつかの実施形態では、レニウムの特定の酸化物を、酸化レニウムの別の組成物の表面上に選択的に堆積させてもよい。こうした選択的酸化は、酸化環境を特に選択することによって制御することができる。いくつかの実施形態では、ある特定の酸化環境が、周期的堆積プロセスに定期的に適され得る。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態では、還元段階が周期的堆積プロセスに適用され得る。このような実施形態では、レニウム含有膜におけるレニウムの特定の酸化状態を維持するために還元段階が必要とされ得、レニウム含有膜は、限定するものではないが、レニウム、酸素、炭素、水素、窒素、ハロゲン化合物、リン、硫黄、又はホウ素を含有し得る。
【0055】
酸化レニウム膜形成のための例示的な周期的堆積プロセス
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、例えば、酸化レニウム(IV)(ReO)、三酸化レニウム(ReO)、酸化レニウム(VII)(Re)、または一般式Reを有する酸化レニウム、式中、a及びbは7未満の値を有する、のうちの少なくとも一つなどの酸化レニウムを形成するために利用され得る。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜は、一般式ReOを有する亜酸化物を含んでもよく、式中、xは2より小さい。
【0056】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、第一の気相反応物質と第二の気相反応物質との間の表面反応によって酸化レニウム膜を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、中間酸化レニウム膜を形成することに続き、中間酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させて、所望の組成の酸化レニウム膜を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、中間酸化レニウム膜を形成すること、続いて中間酸化レニウム膜をさらなる酸素含有前駆体と接触させて、所望の組成の酸化レニウム膜を形成することを含み得る。
【0057】
例示的な酸化レニウム膜形成プロセスは、酸化レニウム膜の形成のための例示的な周期的堆積プロセス100を示す図1を参照して理解され得る。
【0058】
より詳細には、図1は、周期的堆積フェーズ105を含む例示的な酸化レニウム形成プロセス100を示す。例示的な酸化レニウム形成プロセス100は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を所望の堆積温度に加熱することを含む、プロセスブロック110によって開始し得る。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は、高いアスペクト比形体、例えば、トレンチ構造及び/またはフィン構造を含む平面基材またはパターン付き基材を含むことができる。基材は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ゲルマニウムスズ(GeSn)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンゲルマニウムスズ(SiGeSn)、炭化シリコン(SiC)、またはIII-V族半導体材料、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、もしくは窒化ガリウム(GaN)を含む一つまたは複数の材料を含むことができるが、これらに限定されない。本開示のいくつかの実施形態では、基材は設計された基材を備え得、表面半導体層は、その間に配置された介在する埋め込み酸化(BOX)によってバルク支持体上に配置される。いくつかの実施形態では、ライナーが使用されてもよく、これは、例えば、金属、金属窒化物、金属ホウ化物、金属炭化物、金属リン化物、または金属硫化物を含み得る。いくつかの実施形態では、ライナーは、窒化チタン、窒化タンタル、炭化タンタル、炭化タングステン、モリブデン、ホウ化ニオブ、または炭化ニオブのうちの少なくとも一つを含みうる。
【0060】
パターン化された基材は、基材の表面内または表面上に形成された半導体デバイス構造を含むことができる基材を備えることができ、例えば、パターン化された基材は、部分的に製造された半導体デバイス構造、例えばトランジスタ及び/またはメモリ素子を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、単結晶表面及び/または、多結晶表面及び/または非結晶表面などの非単結晶表面を含み得る一つ以上の二次表面を含み得る。単結晶表面は、例えば、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ゲルマニウムスズ(gESn)、またはゲルマニウム(Ge)のうちの一つ以上を含み得る。多結晶またはアモルファス表面は、誘電体材料、例えば酸化物、酸窒化物または窒化物、例えば酸化ケイ素及び窒化ケイ素等を含むことができる。
【0061】
堆積に利用される反応チャンバーは、原子層堆積反応チャンバー、または化学蒸着反応チャンバー、または本明細書で前述したような反応チャンバーのいずれかであってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、基材は、後続の周期的堆積フェーズ105のために所望の堆積温度に加熱され得る。例えば、基材は、約750℃未満、または約650℃未満、または約550℃未満、または約450℃未満、または約350℃未満、または約250℃未満、または約150℃未満の基材温度に加熱され得る。本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズの間の基材温度は、300℃~750℃の間、または400℃~600℃の間、または400℃~450℃の間で有り得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズの間の基材温度は、80℃~150℃、または150℃~200℃、または更には200℃~350℃であり得る。
【0062】
基材を所望の堆積温度まで加熱するにあたり、例示的な酸化レニウム堆積プロセス100は、プロセスブロック120によって周期的堆積フェーズ105により継続され得るが、これは基材を第一の気相反応物質と接触させること、特に、いくつかの実施形態において、すなわち、レニウム前駆体である、レニウム気相反応物質を含む第一の気相反応物質と基材を接触させることを含む。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態では、レニウム前駆体はハロゲン化レニウム前駆体を含み得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン化レニウム前駆体は、4、または5、または6、または7のいずれかの酸化状態を有し得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン化レニウム前駆体は、塩化レニウム、フッ化レニウム、臭化レニウム、又はヨウ化レニウムのうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、例えば、六塩化レニウム(ReCl)、または五塩化レニウム(ReCl)などの塩化レニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、例えば、五臭化レニウム(ReBr)などの臭化レニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、例えば、五フッ化レニウム(ReF)、七フッ化レニウム(ReF)、六フッ化レニウム(ReF)などのフッ化レニウムを含み得る。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態では、レニウム前駆体はレニウムオキシハライド前駆体を含み得、「レニウムオキシハライド前駆体」という用語は、一般式Reを有する分子を指してもよく、式中、Reはレニウムであり、Oは酸素であり、Xは、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)などのハロゲン原子であり、a、b、及びcは1以上の整数である。
【0065】
いくつかの実施形態では、レニウムオキシハライドは、様々な酸化状態を含み得る。例えば、レニウムオキシハライド中のレニウムの酸化状態は、2、または3、または4、または5、または6、または更には7であり得る。いくつかの実施形態では、レニウムオキシハライドは、一つ、二つ、または三つの中性配位子を含み得る。例えば、中性配位子は、アルキルもしくはアリールアミン、アルキルもしくはアリールホスフィン、または例えばピリジンなどの環状アミンとし得る。いくつかの実施形態では、レニウムオキシハライドは、オキソトリクロロビス(トリフェニルホスフィン)レニウム(V)ReOCl[PPh、オキソトリクロロビス(トリメチルホスフィン)レニウム(V)ReOCl[(CH3)P]、またはオキソトリクロロビス(ジメチルアミノ)レニウム(V)ReOCl[(MeNH)]を含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、限定するものではないが、レニウムオキシフルオリド(ReOF)、レニウムトリオキシフルオリド(ReOF)、レニウムオキシテトラフルオリド(ReOF)、レニウムオキシペンタフルオリド(ReOF)、またはレニウムジオキシフルオリド(ReO)を含む、レニウムオキシフルオリドを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、限定するものではないが、レニウムオキシクロリド(ReOCl)、レニウムトリオキシクロリド(ReOCl)、またはレニウムジオキシジクロリド(ReOCl)を含む、レニウムオキシクロリドを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、例えばアルキルレニウムトリオキシド(RReO、式中、Rはアルキル基である)などのアルキルレニウムオキシドを含み得る。いくつかの実施形態では、アルキルレニウムオキシド前駆体は、メチルレニウムトリオキシド(CHReO)を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体を含み得る。いくつかの実施形態では、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体は、シクロペンタジエニルレニウムヒドリド、ペンタカルボニルヒドリドレニウム ReH[CO]、シクロペンタジエニルレニウムカルボニル、またはジレニウムデカルボニル Re[CO]10のうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、シクロペンタジエニルレニウムヒドリド前駆体は、ReHCpを含み得る。いくつかの実施形態では、シクロペンタジエニルレニウムカルボニルは、1、または2、または3、または4、または5、または6のいずれかの酸化状態を有し得る。例えば、シクロペンタジエニルレニウムカルボニルは、ReCp[CO]、アミノシクロペンタジニエルレニウムカルボニル Re(CNH)(CO)、またはRe[CMe][CO]を含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、酸化状態が1、または2、または3、または4または、5または、6で、一般式ReX[CO]を有するレニウムカルボニルハライド前駆体を含み、式中、Xは、フッ素、臭素、塩素、またはヨウ素であってもよく、「a」、「b」は、1以上であり得る。いくつかの実施形態では、レニウムカルボニルハライド前駆体は、クロロペンタカルボニルレニウム(I)ReCl[CO]、またはブロモペンタカルボニルレニウム(I)ReBr[CO]を含み得る。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態では、金属前駆体は、第二の反応物質の選択によって、及び/または処理条件を変更することによって、金属及び金属合金を堆積するように選択され得る。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、例えば、水素ガス、アンモニア、アルキルアミン、アンモニア-水素混合物、窒素-水素プラズマ、水素プラズマなどの水素もしくは窒素含有前駆体、または例えば、ボラン、アルキルボレートなどのホウ素含有前駆体、またはハロゲン化アルキル、有機物混合ハロゲン化合物、飽和もしくは不飽和ならびに脂肪族もしくは非脂肪族アルカンなどの炭素含有前駆体、または例えば、ホスフィン(PH)もしくはアルキルホスフィンなどのリン含有前駆体であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、有機物混合ハロゲン化物は一般的式Cからなり、式中、Cは炭素であり、Xは塩素または臭素またはヨウ素もしくはフッ素などのハロゲン化物であり、a、b、dは1より大きな整数である。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態では、基材をレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることは、レニウム前駆体を基材に、約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間、接触させることを含み得る。さらに、基材をレニウム前駆体と接触させる間、レニウム前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。さらに、基材をレニウム前駆体と接触させる間、レニウム前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0072】
図1の例示的な酸化レニウム形成プロセス100は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰な第一の気相反応物質及び反応副生成物(あれば)を、例えば、不活性ガスでポンプ注入することによって、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。例えば、過剰なレニウム前駆体及び可能性のある反応副生成物などの過剰な第一の気相反応物質を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0073】
反応チャンバーをパージサイクルでパージすると、例示的な酸化レニウム形成プロセス100は、基材を第二の気相反応物質と接触させること、基材を特に酸素含有前駆体(「酸素前駆体」)を含む第二の気相反応物質と接触させることを含むプロセスブロック130によって、周期的堆積フェーズ105の第二段階を継続し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、酸素含有前駆体は、酸素、オゾン(O)、酸素プラズマ、過酸化水素(H)、水(HO)、またはギ酸のうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、レニウムオキシジフルオリド(ReOF)、またはレニウムジオキシジクロリド(ReOCl)を含み得、第二の気相反応物質は、水(HO)、オゾン(O)、または過酸化水素(H)を含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、レニウムオキシテトラフルオリド(ReOF)、またはレニウムオキシテトラクロリド(ReOCl)を含み得、第二の気相反応物質は、水(HO)、オゾン(O)、または過酸化水素(H)を含み得る。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態において、酸素含有前駆体は、水(HO)、オゾン(O)、過酸化水素(H)、酸素分子(O)、酸素原子(O)、三酸化硫黄(SO)、または酸素系のプラズマ、のうちの少なくとも一つを含むことができ、酸素系プラズマは、酸素原子(O)、酸素イオン、酸素ラジカル、及び励起酸素種を含み、酸素含有ガスの励起によって(例えば、RF電力の印加によって)生成されることができる。「気相反応物質」という用語は励起プラズマ及びプラズマを含む励起種を含むことに留意されたい。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を酸素含有前駆体と接触させることは、酸素前駆体を基材に約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間の時間、接触させることを含むことができる。さらに、基材を酸素前駆体と接触させる間、酸素前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。さらに、基材を酸素前駆体と接触させる間、酸素前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0077】
基材を酸素前駆体と接触させると、例示的な酸化レニウム形成プロセス100は、反応チャンバーをパージすることによって進むことができる。例えば、過剰な酸素前駆体及び反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスを流しながら排気することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、基材表面を約0.1秒~約10秒間、または約0.5秒~約3秒間、または更には約1秒~2秒間、パージすることを含み得る。
【0078】
第二の気相反応物質、すなわち、反応チャンバーからの酸素前駆体(及び反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な酸化レニウム形成プロセス100の周期的堆積フェーズ105は決定ゲート140で継続され、決定ゲート140は堆積された酸化レニウム膜の厚さに依存する。例えば、酸化レニウム膜が所望のデバイス用途に対して不十分な厚さで堆積された場合、プロセスブロック120に戻ること、及びさらなる堆積サイクルを継続することによって周期的堆積フェーズ105を繰り返してもよく、一単位の堆積サイクルは、基材をレニウム前駆体と接触させること(プロセスブロック120)、反応チャンバーをパージすること、基材を酸素含有前駆体と接触させること(プロセスブロック130)、及びまた反応チャンバーをパージすること、を含み得る。周期的堆積フェーズ105の単位堆積サイクルは、所望の厚さの酸化レニウム膜が基材上に堆積されるまで一回または複数回繰り返されてもよい。酸化レニウム膜が所望の厚さに堆積されると、例示的なプロセス100はプロセスブロック150を介して終了され、酸化レニウム膜がその上に堆積された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を第一の気相反応物質(例えば、レニウム前駆体)及び第二の気相反応物質(例えば、酸素前駆体)と接触させる順序は、基材を最初に第二の気相反応物質と、続いて第一の気相反応物質と接触させるようにすることができる。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセス100の周期的堆積フェーズ105は、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセス100の周期的堆積フェーズ105は、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。
【0080】
非限定的な例として、反応チャンバーはALD反応器を備えてもよく、基材はおよそ200℃の温度に加熱されてもよい(プロセスブロック110)。次いで、基材は、周期的堆積フェーズ105の一つ以上の堆積サイクルに供されてもよく、これは基材をReOF、またはReOFと接触させ、その後、基材を水蒸気またはオゾンと接触させることにより、三酸化レニウム(ReO)膜を形成することを含み得る。
【0081】
さらなる非限定的な例として、反応チャンバーはALD反応器を備えてもよく、基材はおよそ180℃の温度に加熱されてもよい(プロセスブロック110)。次いで、基材は、周期的堆積フェーズ105の一つ以上の堆積サイクルに供されてもよく、これは基材をReOFと接触させ、その後、基材を水蒸気と接触させることにより、酸化レニウム(VII)(Re)膜を形成することを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、基材は、次いで、周期的堆積フェーズ105の一つ以上の堆積サイクルに供されてもよく、これは基材をReOCl、またはReOFと接触させ、その後、基材を酸素、オゾン、過酸化水素、または水蒸気と接触させることにより、酸化レニウム(IV)(ReO)膜を形成することを含み得る。
【0083】
さらなる例示的な酸化レニウム形成プロセスは、酸化レニウム膜の形成のための周期的堆積プロセス200を示す図2を参照して理解され得る。
【0084】
より詳細には、周期的堆積プロセス200は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を堆積温度に加熱することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。プロセスブロック110は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照して詳細に説明してきており、そのためプロセスブロック110の詳細は、周期的堆積プロセス200に関して繰り返さない。
【0085】
基材を所望の堆積温度に加熱するにあたり、適切な反応チャンバー内で、周期的堆積プロセス200は、酸化レニウム膜を所望の厚さに周期的に堆積させることを含む周期的堆積フェーズ105によって継続してもよい。酸化レニウム膜を堆積するための周期的堆積フェーズ105は、図1(例示的プロセス100)を参照してすでに詳細に説明されており、したがって、周期的堆積プロセス200に関して短縮した形態で説明される。より詳細には、周期的堆積フェーズ105は、一つ以上の周期的堆積サイクルを含み得、単位堆積サイクルは、基材をレニウム前駆体と接触させること、過剰なレニウム前駆体及びあらゆる反応副生成物を反応チャンバーからパージすること、基材を酸素含有前駆体と接触させること、並びに過剰な酸素前駆体及びあらゆる反応副生成物を反応チャンバーからパージすることを含む。
【0086】
非限定的な例として、周期的堆積フェーズ105は、基材を例えばReOFなどのレニウムオキシフルオリドと接触させること、及び基材を水蒸気(HO)と接触させることにより、例えば酸化レニウム(VII)(Re)などの酸化レニウム膜を堆積させることを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、断続的還元段階、すなわち、堆積した酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させることは、特定の厚さの酸化レニウム膜を堆積させた後に適用され得る。例えば、厚さ約0.5オングストロームの厚さの酸化レニウムを堆積後、または1ナノメートル未満の堆積後、または3ナノメートル未満の堆積後、または5ナノメートル以下の堆積後、また更には5ナノメートル超の堆積後にも、酸化レニウム膜に還元段階を適用してもよい。
【0088】
さらなる非限定的な例として、周期的堆積フェーズ105は、基材を例えばReOFなどのレニウムオキシフルオリドと接触させること、及び基材を水蒸気(HO)と接触させることにより、例えば三酸化レニウム(ReO)などの酸化レニウム膜を堆積させることを含み得る。
【0089】
本開示の実施形態では、周期的堆積フェーズ105は、酸化レニウム膜を1オングストローム未満、または2オングストローム未満、または5オングストローム未満、または10オングストローム未満、または更には100オングストローム未満の厚さにまで堆積するために利用され得る。本開示の実施形態では、周期的堆積フェーズ105は、その後に酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させることによって(「還元段階」)完全に還元させ得る厚さまで酸化レニウム膜を堆積させるために利用されてもよく、いくつかの代替的な実施形態では、周期的堆積フェーズ105は、その後に酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させることによって部分的にのみ還元され得る厚さまで酸化レニウム膜を堆積させるために利用されてもよい。
【0090】
酸化レニウム膜を所望の厚さに形成するに当たり、例示的プロセス200は、基材を接触させること、及び特に酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させることを含むプロセスブロック220によって進めることができる。いくつかの実施形態では、還元剤前駆体は、例えば、2,5-ヘキサンジオン、シクロヘキセン-1,4-ジオン、またはシクロヘキサンジオンなどのジオンを含み得る。いくつかの実施形態では、還元剤前駆体は、例えば、グリオキシル酸(OCHCOH)、ギ酸(HCOOH)、HCl、HF、HI、HBrのようなハロゲン化水素、またはオキサル酸(COOH)などの酸またはカルボキシル酸を含み得る。いくつかの実施形態では、還元剤前駆体は、エチレンオキシド(CO)、またはエチレンカーボネートを含み得る。いくつかの実施形態では、還元剤前駆体は、限定するものではないが、無水酢酸(CHCO)O)、無水フタル酸、または無水マレイン酸C(CO)Oなどの無水物を含み得る。いくつかの実施形態では、還元剤前駆体は、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、一酸化硫黄(SO)、二酸化硫黄(SO)、水素(H)、ヒドラジン(N)、フォーミングガス(H+N)、アンモニア(NH)、またはアンモニア-水素(NH-H)混合物を含み得る。
【0091】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を還元剤前駆体と接触させることは、還元材前駆体を基材に、約0.01秒~約60秒間、約0.05秒~約10秒間、または約0.1秒~約5.0秒間、接触させることを含み得る。さらに、基材を還元剤前駆体と接触させる間、還元剤前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。さらに、還元剤前駆体を基材に接触させる間、還元剤前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0092】
非限定的な例として、例示的プロセス200の周期的堆積フェーズ105は、酸化レニウム(VII)(Re)膜を約100オングストローム未満の厚さに堆積されてもよく、その後、酸化レニウム(VII)(Re)膜は、250℃未満の基材温度で1秒間よりも長い時間にわたり、または350℃未満の基材温度で100秒間よりも長い時間にわたり、限定するものではないが、例えば一酸化炭素(CO)などの還元剤前駆体と接触されてもよい。例えば、還元剤前駆体は、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、または一酸化硫黄(SO)蒸気を含み得、還元剤前駆体は酸化レニウム(VII)(Re)膜と接触し、それによって膜を還元して三酸化レニウム(ReO)膜を形成し得る。
【0093】
さらなる非限定的な例として、例示的プロセス200の周期的堆積フェーズ105は、三酸化レニウム(ReO)を、約1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または100オングストローム未満、または10オングストローム未満、また更には1オングストローム未満の厚さに堆積して、その後、三酸化レニウム(ReO)膜は、例えば、限定するものではないが、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、グリオキシル酸(OCHCOH)、2,5-ヘキサンジオン、シクロヘキセン-1,4-ジオン、シクロヘキサンジオン、二酸化硫黄(SO)、ギ酸(HCOOH)、無水酢酸(CHCO)O、オキサル酸(COOH)または無水マレイン酸C(CO)Oなどの還元剤前駆体と、5分未満、または1分未満、また更には10秒未満にわたって、60℃超の基材温度で、または120℃超の基材温度で、または180℃超の基材温度で、または更には250℃超の基材温度で、接触されてもよい。例えば、還元剤前駆体は、三酸化レニウム(ReO)膜に接触することにより膜を還元して酸化レニウム(IV)(ReO)膜を形成し得る一酸化窒素(NO)蒸気を含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズ105によって堆積された酸化レニウム膜全体を、酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させることによって還元することができ、一方で本開示のいくつかの代替的な実施形態では、周期的堆積フェーズ105によって堆積された酸化レニウム膜の一部分のみを、酸化レニウム膜を還元剤前駆体と接触させることによって還元し得る。
【0095】
基材を還元剤前駆体と接触させると、例示的な酸化レニウム形成プロセス200は、反応チャンバーをパージすることによって進めることができる。例えば、過剰な還元剤前駆体及び反応副生成物を、例えば、不活性ガスを流しながらポンプ注入することによって、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、基材表面を約0.1秒~約10秒間、または約0.5秒~約3秒間、または更には約1秒~2秒間、パージすることを含み得る。
【0096】
反応チャンバーからの過剰な還元剤前駆体(及びあらゆる反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な酸化レニウム形成プロセス200は、決定ゲート240で継続され、決定ゲート240は形成された酸化レニウム膜の厚さに依存する。例えば、酸化レニウム膜が所望の装置用途に対して不十分な厚さで形成される場合、例示的なプロセス200の周期的堆積フェーズ205は、周期的堆積フェーズ105に戻って、一つ以上の周期的堆積サイクル205を通して継続することによって繰り返されてもよく、周期的堆積サイクル205の単位堆積サイクルは、所望の厚さに酸化レニウム膜を周期的に堆積させること(周期的堆積フェーズ105)、反応チャンバーをパージすること、基材を還元剤前駆体と接触させること(プロセスブロック220)、及び再度反応チャンバーをパージすることを含み得る。周期的堆積フェーズ205の単位堆積サイクルは、所望の組成を有する、所望の厚さの酸化レニウム膜が基材上に形成されるまで、一回以上繰り返されてもよい。酸化レニウム膜が所望の厚さと組成に形成されると、例示的なプロセス200はプロセスブロック250を介して終了し、酸化レニウム膜がその上に形成された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0097】
さらなる例示的な酸化レニウム形成プロセスは、酸化レニウム膜の形成のための周期的堆積プロセス300を示す図3を参照して理解され得る。
【0098】
より詳細には、周期的堆積プロセス300は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を堆積温度に加熱することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。プロセスブロック110は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照して詳細に説明してきており、そのためプロセスブロック110の詳細は、周期的堆積プロセス300に関して繰り返さない。
【0099】
基材を適切な反応チャンバー内で所望の堆積温度に加熱すると、周期的堆積プロセス300は、周期的堆積フェーズ105(プロセス100、図1)または周期的堆積フェーズ205(プロセス200、図2)のいずれかを利用して継続され得る。周期的堆積フェーズ105及び周期的堆積フェーズ205の両方を既に詳細に説明してきたため、周期的堆積プロセス300に関しては短縮された形態で説明する。
【0100】
より詳細には、いくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズ105は、酸化レニウムを所望の厚さ及び組成に堆積するために利用されてもよく、周期的堆積フェーズ105の一つ以上の周期的堆積サイクルを含んでもよく、単位堆積サイクルは、基材をレニウム前駆体と接触させること、過剰なレニウム前駆体及びあらゆる反応副生成物を反応チャンバーからパージすること、基材を酸素含有前駆体と接触させること、並びに過剰な酸素前駆体及びあらゆる反応副生成物を反応チャンバーからパージすることを含む。いくつかの代替的な実施形態では、周期的堆積フェーズ205は、酸化レニウムを所望の厚さ及び組成に堆積させるために利用されてもよく、また周期的堆積フェーズ205の単位サイクルを含んでもよく、単位サイクルは、酸化レニウム膜を所望の厚さに周期的に堆積すること、反応チャンバーから過剰な前駆体及びあらゆる反応副生成物をパージすること、基材を還元剤前駆体と接触させること、ならびに反応チャンバーから過剰な還元剤前駆体及びあらゆる反応副生成物をパージすることを含み得る。
【0101】
非限定的な例として、周期的堆積フェーズ105は、基材を例えばReOFなどのレニウムオキシフルオリドと接触させること、及び基材を水蒸気(HO)と接触させることにより、例えば三酸化レニウム(ReO)などの酸化レニウム膜を堆積させることによって利用され得る。
【0102】
さらなる非限定的な例として、周期的堆積フェーズ205は、例えば、三酸化レニウム(ReO)などの酸化レニウム膜を所望の厚さに形成するために利用することができ、三酸化レニウム(ReO)を還元剤前駆体と接触させることによって所望の厚さの酸化レニウム(IV)(ReO)膜を形成する。
【0103】
本開示の実施形態では、周期的堆積フェーズ105及び205は、酸化レニウム膜を1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または100オングストローム未満、または更には10オングストローム未満の厚さにまで堆積するために利用され得る。本開示の実施形態では、周期的堆積フェーズ105及び205は、その後に酸化レニウム膜を追加的な酸素含有前駆体と接触させることによって、完全に酸化させ得る厚さまで酸化レニウム膜を堆積させるために利用されてもよく、いくつかの代替的な実施形態では、周期的堆積フェーズ105及び205は、その後に酸化レニウム膜を追加的な酸素含有前駆体と接触させることによって部分的にのみ酸化され得る厚さまで酸化レニウムを形成させるために利用されてもよい。
【0104】
酸化レニウム膜を所望の厚さ及び組成に形成すると、例示的プロセス300は、基材を接触させること、及び特に酸化レニウム膜を追加的な酸素含有前駆体と接触させることを含むプロセスブロック320によって進めることができる。
【0105】
本開示のいくつかの実施形態において、追加的な酸素含有前駆体は、水(HO)、オゾン(O)、ギ酸(CH)、過酸化水素(H)、酸素分子(O)、酸素原子(O)、三酸化硫黄(SO)、または酸素系のプラズマ、のうちの少なくとも一つを含むことができ、酸素系プラズマは、酸素原子(O)、酸素イオン、酸素ラジカル、及び励起酸素種を含み、酸素含有ガスの励起によって(例えば、RF電力の印加によって)生成されることができる。「気相反応物質」という用語は励起プラズマ及びプラズマを含む励起種を含むことに留意されたい。
【0106】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を追加的な酸素含有前駆体と接触させることは、追加的な酸素前駆体を基材に約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間の時間、接触させることを含むことができる。さらに、追加的な酸素前駆体を基材と接触させる間、追加的な酸素前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。さらに、基材を追加的な酸素前駆体と接触させる間、追加的な酸素前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0107】
非限定的な例として、例示的プロセス300の周期的堆積フェーズ105は、三酸化レニウム膜(ReO)を、約1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または100オングストローム未満、または更には1オングストローム未満の厚さに堆積させるために利用されてもよく、その後、三酸化レニウム(ReO)膜は、例えば、酸素、水、酸素含有プラズマ、オゾン、酢酸、または過酸化水素などの追加的な酸素前駆体と、10分以下、または1分未満、または更には10秒未満の時間にわたって、400℃未満、または300℃未満、または200℃未満、または更には100℃未満の基材温度で、接触させてもよい。例えば、追加的な酸素含有前駆体は、三酸化レニウム膜(ReO)に接触することにより、膜を酸化して酸化レニウム(VII)(Re)膜を形成し得るオゾン(O)を含み得る。
【0108】
さらなる非限定的な例として、例示的プロセス300の周期的堆積フェーズ105は、酸化レニウム(IV)(ReO)膜を、約1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または100オングストローム未満、または更には10オングストローム未満の厚さに堆積させるために利用されてもよく、その後、酸化レニウム(IV)(ReO)膜は、例えば、酸素、水、酸素含有プラズマ、オゾン、酢酸、または過酸化水素などの追加的な酸素前駆体と、10分以下、または1分未満、または更には10秒未満の時間にわたって、400℃未満、または300℃未満、または200℃未満、または更には100℃未満の基材温度で、接触させてもよい。例えば、追加的な酸素含有前駆体は、酸化レニウム(IV)(ReO)膜に接触することにより、膜を酸化して酸化レニウム(VII)(Re)膜を形成し得る過酸化水素(H)を含み得る。
【0109】
さらなる非限定的な例として、例示的プロセス300の周期的堆積フェーズ205は、酸化レニウム(IV)(ReO)膜を、約1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または100オングストローム未満、または10オングストローム未満の厚さに形成させるために利用されてもよく、その後、酸化レニウム(IV)(ReO)膜は、例えば、酸素、水、酸素含有プラズマ、オゾン、酢酸、または過酸化水素などの追加的な酸素前駆体と、10分以下、または1分未満、または更には10秒未満の時間にわたって、400℃未満、または300℃未満、または200℃未満、または更には100℃未満の基材温度で、接触させてもよい。例えば、追加的な酸素含有前駆体は、酸化レニウム(IV)(ReO)膜に接触することにより、膜を酸化して酸化レニウム(VII)(Re)膜を形成し得る酸素系プラズマを含み得る。
【0110】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、酸化レニウム膜は、酸化レニウム(IV)(ReO)膜、または三酸化レニウム(ReO)膜のうちの少なくとも一つを含み、本開示の方法はさらに、酸化レニウム膜を追加的な酸素含有前駆体と接触させることによって酸化レニウム(VII)(Re)膜を形成することを含む。
【0111】
基材を追加的な酸素前駆体と接触させると、例示的な酸化レニウム形成プロセス300は、反応チャンバーをパージすることによって進めることができる。例えば、過剰な追加的な酸素前駆体及び反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスを流しながら排気することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、基材表面を約1秒~約100秒間、または約0.1秒~約10秒間、または約0.5秒~約3秒間、または更には約1秒~2秒間、パージすることを含み得る。
【0112】
反応チャンバーからの過剰な追加的な酸素前駆体(及びあらゆる反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な酸化レニウム形成プロセス300は、決定ゲート340で継続され、決定ゲート340は形成された酸化レニウム膜の厚さに依存する。例えば、酸化レニウム膜が所望の装置用途に対して不十分な厚さで形成される場合、周期的堆積フェーズ305は、周期的堆積フェーズ105または205に戻って、周期的堆積フェーズ305を通して継続することによって繰り返されてもよく、周期的堆積サイクル305の単位堆積サイクルは、所望の厚さ及び組成に酸化レニウム膜を形成すること(周期的フェーズ105または205)、反応チャンバーをパージすること、基材を追加的酸素含有前駆体と接触させること(プロセスブロック320)、及び再度反応チャンバーをパージすることを含み得る。周期的堆積フェーズ305の単位堆積サイクルは、所望の組成を有する、所望の厚さの酸化レニウム膜が基材上に形成されるまで一回以上繰り返されてもよい。酸化レニウム膜が所望の厚さと組成に形成されると、例示的なプロセス300はプロセスブロック350を介して終了し、酸化レニウム膜がその上に形成された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0113】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される例示的なプロセスによって形成される酸化レニウム膜は誘電材料を含み得る。例えば、本明細書に開示される方法によって形成される酸化レニウム(VII)(Re)膜、または酸化レニウム(IV)(ReO)膜は、誘電材料を含み得る。
【0114】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される例示的なプロセスによって形成される酸化レニウム膜は、導電性酸化レニウム膜を含み得る。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜の導電相は、酸化レニウム(IV)(ReO)、または三酸化レニウム(ReO)膜を含み得る。いくつかの実施形態では、導電性酸化レニウム膜は、一般式ReOを有する亜酸化物を含んでもよく、式中、xは2より小さい。いくつかの実施形態では、本開示の実施形態によって形成された酸化レニウム膜の導電相は、1000μΩ-cm未満、または700μΩ-cm未満、または500μΩ-cm未満、または250μΩ-cm未満、または100μΩ-cm未満、または50μΩ-cm未満、または25μΩ-cm未満、または10μΩ-cm、または更には5μΩ-cm未満の堆積された直後の電気抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の実施形態によって形成された酸化レニウム膜の導電相は、5μΩ-cm~1000μΩ-cmの間の堆積された直後の電気抵抗率を有することができる。
【0115】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の実施形態によって形成された酸化レニウム膜を一つ以上のさらなるプロセスに供し、酸化レニウム膜の電気抵抗率をさらに改善することができる。
【0116】
より詳細には、図4A図4Cは、低抵抗導電性酸化レニウム膜を形成するための例示的なプロセスを利用して形成された半導体構造の断面概略図を示す。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、図4Aの基材400などの基材を提供することを含み得る。基材400は、非平面または平面(図示するように)を含んでもよく、図1のプロセスブロック110を参照して既に開示されるように、一つ以上の材料をさらに含んでもよい。
【0117】
基材400は、例えば原子層堆積(ALD)反応チャンバーなどの適切な反応チャンバー内に配置され、所望の堆積温度に加熱され得る。基材を所望の堆積温度に加熱すると、例示的プロセス100(図1)、200(図2)、または300(図3)のうちの一つを利用して、酸化レニウム膜402(図4B)を基材400上に堆積することができる。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜402は、導電性酸化レニウム膜を含む。いくつかの実施形態では、導電性酸化レニウム膜402は、酸化レニウム(IV)(ReO)、または三酸化レニウム(ReO)のうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、導電性酸化レニウム膜は、一般式ReOを有する亜酸化物を含んでもよく、式中、xは2より小さい。いくつかの実施形態において、導電性酸化レニウム膜は、1000オングストローム未満、又は500オングストローム未満、又は250オングストローム未満、又は100オングストローム未満、又は50オングストローム未満、又は更には20オングストローム未満の厚さに形成されてもよく、1000μΩ-cm未満、又は500μΩ-cm未満、又は100μΩ-cm未満、又は50μΩ-cm未満、または更には20μΩ-cm未満の電気抵抗率を有してもよい。
【0118】
本開示のいくつかの実施形態では、低電気抵抗性導電性酸化レニウム膜の形成方法は、酸化レニウム膜の表面上にキャッピング層を形成することをさらに含み得る。例えば、キャッピング層404は、酸化レニウム膜402の上側に露出した表面上に直接堆積させることができ、それにより、図4Cに示すように、半導体構造406を形成する。いくつかの実施形態では、キャッピング層404は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、炭化タングステン(WC)、モリブデン(Mo)、またはホウ化ニオブ(NbB)などの導電層を含み得る。いかなる特定の理論または機構にも束縛されるべきではないが、酸化レニウム膜の表面上にキャッピング層を添加することが、酸化レニウム膜の昇華を防止する、または実質的に防止することができると考えられる。
【0119】
キャッピング層404が酸化レニウム膜402の表面上に堆積すると、本開示の方法は、酸化レニウム膜402を熱アニールすることをさらに含み得る。例えば、酸化レニウム膜402を含む半導体構造406は、50℃超の、または100℃超の、または200℃超の、または300℃超の、または更には400℃超の温度で、または50℃~400℃の温度範囲で熱アニールされてもよい。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜402を熱アニールすることは、酸化レニウム膜402を含む結晶の粒径を増加させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜402を熱アニールすることは、実質的に単結晶酸化レニウム膜を形成することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜402を熱アニールすることは、酸化レニウム膜内の粒界の密度を低減させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜402を熱アニールすることは、酸化レニウム膜の電気抵抗率を低減させることをさらに含み得る。例えば、熱アニーリング後の酸化レニウム膜は、1000μΩ-cm未満、又は100μΩ-cm未満、又は10μΩ-cm未満の電気抵抗率を有し得る。
【0120】
硫化レニウム膜形成のための例示的な周期的堆積プロセス
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、一般的式ReSまたReの硫化レニウムを形成するために利用されてもよく、式中、a、x及びyは、例えば、二硫化レニウム(ReS)、またはジレニウムヘプタスルフィド(Re)などのように、7以下である。いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、第一の気相反応物質と第二の気相反応物質との間の表面反応によって硫化レニウム膜を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、中間酸化レニウム膜を形成すること、続いて中間酸化レニウム膜を硫黄含有前駆体と接触させることを含み得る。
【0121】
例示的な硫化レニウム形成プロセスは、硫化レニウム膜の形成のための例示的な周期的堆積プロセス500を示す図5を参照して理解され得る。
【0122】
より詳細には、周期的堆積プロセス500は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を堆積温度に加熱することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。プロセスブロック110は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照して詳細に説明してきており、そのためプロセスブロック110の詳細は、周期的堆積プロセス500に関して繰り返さない。
【0123】
基材を適切な反応チャンバー内で所望の堆積温度に加熱すると、周期的堆積プロセス500は、プロセスブロック120を介して開始され得る周期的堆積フェーズ505のプロセスにより継続され得る。プロセスブロック120は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照してすでに詳細に説明されており、したがって、周期的堆積プロセス500に関して短縮した形態で表される。
【0124】
より詳細には、プロセスブロック120は、基材をレニウム前駆体と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、例えば、塩化レニウム、ホウ化レニウム、フッ化レニウム、又はヨウ化レニウムなどのハロゲン化レニウムを含み得る。特定の実施形態では、レニウム前駆体は、例えば、レニウムオキシハライド、またはレニウムオキシフルオリドなどのレニウムオキシハライドを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウムオキシハライドは、ReOF4、ReOF、ReO、またはReOClのうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、またはレニウムカルボニルハライド前駆体を含み得る。
【0125】
図5の例示的な硫化レニウム形成プロセス500は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰なレニウム前駆体及び反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスをポンプ注入することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰なレニウム前駆体及び可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0126】
例示的な硫化レニウム形成プロセス500の周期的堆積フェーズ505は、基材を硫黄含有前駆体(「硫黄前駆体」)と接触させることを含むブロック530によって継続され得る。いくつかの実施形態では、硫黄含有前駆体は、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CS)、メタンチオール(CHSH)、またはジアルキルジスルフィドのうちの少なくとも一つを含む。
【0127】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を硫黄含有前駆体と接触させることは、硫黄前駆体を基材に約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間の時間、接触させることを含むことができる。さらに、基材を硫黄前駆体と接触させる間、硫黄前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。さらに、基材を硫黄前駆体と接触させる間、硫黄前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0128】
図5の例示的な硫化レニウム形成プロセス500は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰な硫黄前駆体及び反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスをポンプ注入することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰な硫黄前駆体及び可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0129】
反応チャンバーからの過剰な硫黄前駆体(及びあらゆる反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な硫化レニウム形成プロセス500は、決定ゲート540で継続され、決定ゲート540は堆積された硫化レニウム膜の厚さに依存する。例えば、硫化レニウム膜が所望のデバイス用途に対して不十分な厚さで堆積された場合、プロセスブロック120に戻ること、及び周期的堆積フェーズ505を継続することによって周期的堆積フェーズ505を繰り返してもよく、周期的堆積フェーズ505の単位堆積サイクルは、基材をレニウムオキシハライド前駆体と接触させること(プロセスブロック120)、反応チャンバーをパージすること、基材を硫黄含有前駆体と接触させること(プロセスブロック530)、及びまた反応チャンバーをパージすること、を含み得る。周期的堆積フェーズ505の単位堆積サイクルは、所望の組成を有する、所望の厚さの硫化レニウム膜が基材上に形成されるまで一回以上繰り返されてもよい。硫化レニウム膜が所望の厚さと組成に堆積されると、例示的なプロセス500はプロセスブロック550を介して終了し、硫化レニウム膜がその上に形成された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0130】
当然のことながら、本開示のいくつかの実施形態では、基材を第一の気相反応物質(例えば、レニウム前駆体)及び第二の気相反応物質(例えば、硫黄前駆体)と接触させる順序は、基材を最初に第二の気相反応物質と接触させるのに続いて、第一の気相反応物質と接触させるようにすることができる。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセス500の周期的堆積フェーズ505は、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセス500の周期的堆積フェーズ505は、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。
【0131】
非限定的な例として、反応チャンバーはALD反応器を備えてもよく、基材はおよそ100℃~およそ400℃の温度に加熱されてもよい(プロセスブロック110)。次いで、基材は、周期的堆積フェーズ505の一つ以上の堆積サイクルに供されてもよく、これは基材をReOと接触させ、その後、基材を硫化水素(HS)と接触させることにより、二硫化レニウム(ReS)膜を形成することを含み得る。
【0132】
さらなる例示的な硫化レニウム形成プロセスは、硫化レニウム膜を形成するための周期的堆積プロセス600を示す図6を参照して理解され得る。
【0133】
より詳細には、周期的堆積プロセス600は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を堆積温度に加熱することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。プロセスブロック110は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照して詳細に説明してきており、そのためプロセスブロック110の詳細は、周期的堆積プロセス600に関して繰り返さない。
【0134】
基材を適切な反応チャンバー内で所望の堆積温度に加熱すると、周期的堆積プロセス600は、周期的堆積フェーズ105(プロセス100、図1)、周期的堆積フェーズ205(プロセス200、図2)、または周期的堆積フェーズ305(図3、プロセス300の)いずれかを用いて、酸化レニウム膜を所望の厚さ及び組成に形成することによって継続され得る。周期的堆積フェーズ105、205及び305は、既に詳細に説明してきており、そのため、周期的堆積フェーズ105、205及び305の詳細は、周期的堆積プロセス600に関して繰り返さない。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズ105、205、または305は、例えば、酸化レニウム(IV)(ReO)膜、三酸化レニウム(ReO)、または酸化レニウム(VII)(Re)膜などの酸化レニウム膜を形成するために利用され得る いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜は、1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または250オングストローム未満、または100オングストローム未満、または更には10オングストローム未満までの厚さに形成され得る。
【0136】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化レニウムは、その後、酸化レニウムを硫黄前駆体と接触させると、完全に硫化レニウム膜に変換され得る厚さに形成され得、一方、いくつかの代替的な実施形態では、酸化レニウムは、その後、酸化レニウムを硫黄前駆体と接触させると、部分的にのみ硫化レニウム膜に変換され得る厚さに形成され得る。
【0137】
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズ605は、基材を硫黄含有前駆体(「硫黄前駆体」)と接触させることを含むプロセスブロック620によって継続され得る。いくつかの実施形態では、硫黄含有前駆体は、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CS)、メタンチオール(CHSH)、またはジアルキルジスルフィドのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0138】
本開示のいくつかの実施形態では、基材、及び特に酸化レニウム膜を硫黄含有前駆体と接触させることは、硫黄前駆体を基材に約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間の時間、接触させることを含むことができる。さらに、基材を硫黄前駆体と接触させる間、硫黄前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。さらに、硫黄前駆体を基材に接触させる間、硫黄前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0139】
図6の例示的な硫化レニウム形成プロセス600は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰な硫黄前駆体及び反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスをポンプ注入することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰な硫黄前駆体及び可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0140】
反応チャンバーからの過剰な追加的な硫黄前駆体(及びあらゆる反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な硫化レニウム形成プロセス600は、決定ゲート640で継続され、決定ゲート640は形成された硫化レニウム膜の厚さに依存する。例えば、硫化レニウム膜が所望の装置用途に対して不十分な厚さで形成される場合、周期的堆積フェーズ605は、酸化レニウム膜を所望の厚さと組成に形成するために、周期的フェーズ105、205または305に戻って、周期的堆積フェーズ605を通して継続することによって繰り返されてもよく、周期的堆積サイクル605の単位堆積サイクルは、所望の厚さ及び組成に酸化レニウム膜を形成すること(周期的フェーズ105、205、または305)、反応チャンバーをパージすること、基材を硫黄前駆体と接触させること(プロセスブロック640)、及び再度反応チャンバーをパージすることを含み得る。周期的堆積フェーズ605の単位堆積サイクルは、所望の組成を有する、所望の厚さの硫化レニウム膜が基材上に形成されるまで一回以上繰り返されてもよい。硫化レニウム膜が所望の厚さと組成に形成されると、例示的なプロセス600はプロセスブロック650を介して終了し、硫化レニウム膜がその上に形成された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0141】
非限定的な例として、周期的堆積フェーズ105は、周期的堆積プロセス600で利用され、三酸化レニウム膜(ReO)を、およそ300オングストローム未満の厚さに堆積し、その後、三酸化レニウム(ReO)膜は、例えば、硫化水素(HS)、一酸化硫黄(SO)、二酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CS)、またはメタンチオール(CHSH)などの硫黄前駆体と、10分未満、または5分未満、または1分未満、または更には10秒未満までの時間にわたって、100℃~400℃、または150℃~300℃の範囲の基材温度で、接触されてもよい。例えば、硫黄含有前駆体は、三酸化レニウム膜(ReO)と接触して、それによって酸化レニウム膜を変換して、二硫化レニウム(ReS)、ジレニウムヘプタスルフィド(Re)または一般式ReSの硫化レニウム(式中、aは3.5より小さい非整数である)を形成する、硫化水素(HS)を含み得る。
【0142】
元素レニウム膜形成のための例示的な周期的堆積プロセス
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスを利用して元素レニウム膜を形成し得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、第一の気相反応物質と第二の気相反応物質との間の表面反応によって元素レニウム膜を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、中間酸化レニウム膜を形成すること、続いて中間酸化レニウム膜を水素含有前駆体と接触させ、それによって元素レニウム膜を形成することを含み得る。
【0143】
例示的な元素レニウム形成プロセスは、元素レニウム膜の形成のための例示的な周期的堆積プロセス700を示す図7を参照して理解され得る。
【0144】
より詳細には、周期的堆積プロセス700は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を堆積温度に加熱することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。プロセスブロック110は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照して詳細に説明してきており、そのためプロセスブロック110の詳細は、周期的堆積プロセス700に関して繰り返さない。
【0145】
基材を適切な反応チャンバー内で所望の堆積温度に加熱すると、周期的堆積プロセス700は、プロセスブロック120を介して開始され得る周期的堆積フェーズ705のプロセスにより継続され得る。プロセスブロック120は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照してすでに詳細に説明されており、したがって、周期的堆積プロセス700に関して短縮した形態で表される。
【0146】
より詳細には、プロセスブロック120は、基材をレニウム前駆体と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、例えば、塩化レニウム、ホウ化レニウム、フッ化レニウム、又はヨウ化レニウムなどのハロゲン化レニウムを含み得る。特定の実施形態では、レニウム前駆体は、例えば、レニウムオキシハライド、またはレニウムオキシフルオリドなどのレニウムオキシハライドを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウムオキシハライドは、ReOF4、ReOF、ReO、またはReOClのうちの少なくとも一つを含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム前駆体は、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、またはレニウムカルボニルハライド前駆体を含み得る。
【0147】
図7の例示的な元素レニウム形成プロセス700は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰なレニウム前駆体及び反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスをポンプ注入することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰なレニウム前駆体及び可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0148】
例示的な元素レニウム形成プロセス700の周期的堆積フェーズ705は、基材を水素含有前駆体(「水素前駆体」)と接触させることを含むブロック730によって継続され得る。いくつかの実施形態では、水素含有前駆体は、少なくとも一つの硫化水素(HS)、水素分子(H)、水素原子(H)、ヒドラジン(N)、フォーミングガス(H+N)、アンモニア(NH)、アンモニア-水素(NH-H)混合物、または水素系プラズマのうちの少なくとも一つを含み、水素系プラズマが、水素原子(H)、水素イオン、水素ラジカル、及び励起水素種を含み、水素含有ガスの励起によって(例えば、RF電力を印加することによって)生成され得る。「気相反応物質」という用語は励起プラズマ及びプラズマを含む励起種を含むことに留意されたい。
【0149】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を水素含有前駆体と接触させることは、水素前駆体を基材に約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間の時間、接触させることを含むことができる。さらに、基材を水素前駆体と接触させる間、水素前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、または更には100sccm未満とすることができる。さらに、基材を水素前駆体と接触させる間、水素前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0150】
図7の例示的な元素レニウム形成プロセス700は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰な水素前駆体及び反応副生成物(もしあれば)を、例えば、不活性ガスをポンプ注入することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰な水素前駆体及び可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0151】
反応チャンバーからの過剰な水素前駆体(及びあらゆる反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な元素レニウム形成プロセス700は、決定ゲート740で継続され、決定ゲート740は形成された元素レニウム膜の厚さに依存する。例えば、元素レニウム膜が所望のデバイス用途に対して不十分な厚さで形成された場合、プロセスブロック120に戻ること、及び周期的堆積フェーズ705を継続することによって周期的堆積フェーズ705を繰り返してもよく、周期的堆積フェーズ705の単位堆積サイクルは、基材をレニウム前駆体と接触させること(プロセスブロック120)、反応チャンバーをパージすること、基材を水素含有前駆体と接触させること(プロセスブロック730)、及びまた反応チャンバーをパージすること、を含み得る。周期的堆積フェーズ705の単位堆積サイクルは、所望の厚さの元素レニウム膜が基材上に形成されるまで一回以上繰り返されてもよい。元素レニウム膜が所望の厚さに堆積されると、例示的なプロセス700はプロセスブロック750を介して終了し、元素レニウム膜がその上に形成された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0152】
当然のことながら、本開示のいくつかの実施形態では、基材を第一の気相反応物質(例えば、レニウム前駆体)及び第二の気相反応物質(例えば、水素前駆体)と接触させる順序は、基材を最初に第二の気相反応物質と接触させるのに続いて、第一の気相反応物質と接触させるようにすることができる。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセス700の周期的堆積フェーズ705は、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセス700の周期的堆積フェーズ705は、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。
【0153】
非限定的な例として、反応チャンバーはALD反応器を備えてもよく、基材はおよそ150℃~300℃の温度に加熱されてもよい(プロセスブロック110)。次いで、基材は、周期的堆積フェーズ705の一つ以上の堆積サイクルに供されてもよく、これは基材をReOと接触させ、その後、基材を水素系プラズマと接触させることにより、元素レニウム膜を形成することを含み得る。
【0154】
さらなる例示的な元素レニウム形成プロセスは、元素レニウム膜の形成のための例示的な周期的堆積プロセス800を示す図8を参照して理解され得る。
【0155】
より詳細には、周期的堆積プロセス800は、基材を反応チャンバー内に供給すること、及び基材を堆積温度に加熱することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。プロセスブロック110は、図1(周期的堆積プロセス100)を参照して詳細に説明してきており、そのためプロセスブロック110の詳細は、周期的堆積プロセス800に関して繰り返さない。
【0156】
基材を適切な反応チャンバー内で所望の堆積温度に加熱すると、周期的堆積プロセス800は、周期的堆積フェーズ105(プロセス100、図1)、周期的堆積フェーズ205(プロセス200、図2)、または周期的堆積フェーズ305(図3、プロセス300の)いずれかを用いて、酸化レニウム膜を所望の厚さ及び組成に形成することによって継続され得る。周期的堆積フェーズ105、205、及び305は、既に詳細に説明してきており、そのため、周期的堆積フェーズ105、205及び305の詳細は、周期的堆積プロセス800に関して繰り返さない。
【0157】
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズ105、205、または305は、例えば、酸化レニウム(IV)(ReO)膜、三酸化レニウム(ReO)、または酸化レニウム(VII)(Re)膜などの酸化レニウム膜を形成するために利用され得る いくつかの実施形態では、酸化レニウム膜は、1000オングストローム未満、または500オングストローム未満、または100オングストローム未満、または10オングストローム未満、または更には5オングストローム未満の厚さに形成される。
【0158】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化レニウムは、その後、酸化レニウムを硫黄前駆体と接触させることにより、完全に元素レニウム膜に変換され得る厚さに形成され得、一方、いくつかの代替的な実施形態では、酸化レニウムは、その後、酸化レニウムを水素前駆体と接触させることによって、部分的にのみ元素レニウム膜に変換される厚さに形成され得る。
【0159】
本開示のいくつかの実施形態では、周期的堆積フェーズ805は、基材を水素含有前駆体(「水素前駆体」)と接触させることを含むプロセスブロック820によって継続され得る。いくつかの実施形態では、水素含有前駆体は、硫化水素(HS)、ヒドラジン(N)、フォーミングガス(H+N)、アンモニア(NH)、アンモニア-水素(NH-H)混合物、水素分子(H)、水素原子(H)、または水素系プラズマのうちの少なくとも一つを含んでもよく、水素系プラズマが、水素原子(H)、水素イオン、水素ラジカル、及び励起水素種を含み、水素含有ガスの励起によって(例えば、RF電力を印加することによって)生成され得る。
【0160】
本開示のいくつかの実施形態では、基材及び特に酸化レニウム膜を水素含有前駆体と接触させることは、水素前駆体を基材に約0.01秒~約60秒の間、約0.05秒~約10秒の間、または約0.1秒~約5.0秒の間の時間、接触させることを含むことができる。さらに、基材を水素前駆体と接触させる間、水素前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、または更には100sccm未満とすることができる。さらに、基材を水素前駆体と接触させる間、水素前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であってもよい。
【0161】
図8の例示的な元素レニウム膜形成プロセス800は、反応チャンバーをパージすることによって継続してもよい。例えば、過剰な水素前駆体及び反応副生成物(もしあれば)を、例えば、不活性ガスをポンプ注入することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰な水素前駆体及び可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0162】
反応チャンバーからの過剰な水素前駆体(及びあらゆる反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な元素レニウム形成プロセス800は、決定ゲート840で継続され、決定ゲート840は形成された元素レニウム膜の厚さに依存する。例えば、元素レニウム膜が所望の装置用途に対して不十分な厚さで形成される場合、周期的堆積フェーズ805は、酸化レニウム膜を所望の厚さと組成に形成するために、周期的フェーズ105、205または305に戻って、堆積サイクルフェーズ805を通して継続することによって繰り返されてもよく、周期的堆積サイクル805の単位堆積サイクルは、所望の厚さ及び組成に酸化レニウム膜を形成すること(周期的フェーズ105、205、または305)、反応チャンバーをパージすること、基材を水素前駆体と接触させること(プロセスブロック820)、及び再度反応チャンバーをパージすることを含み得る。周期的堆積フェーズ805の単位堆積サイクルは、所望の厚さの元素レニウム膜が基材上に形成されるまで一回以上繰り返されてもよい。元素レニウム膜が所望の厚さに形成されると、例示的なプロセス800はプロセスブロック850を介して終了し、元素レニウム膜がその上に形成された基材は、デバイス構造の形成のためにさらなる処理に供され得る。
【0163】
非限定的な例として、周期的堆積フェーズ105は、周期的堆積プロセス800で利用され、三酸化レニウム膜(ReO)を200オングストローム未満の厚さに堆積させることができ、その後、三酸化レニウム(ReO)膜は、例えば、水素二原子ガス(H)、水素含有プラズマ、アンモニア(NH)、アンモニア-水素混合物(NH-H)、またはフォーミングガス(H-N)などの水素前駆体と、10分未満、または5分未満、または1分未満、または更には10秒未満の時間にわたって、80℃~400℃の温度範囲の基材温度で、接触させてもよい。例えば、水素含有前駆体は、三酸化レニウム膜(ReO)に接触してそれによって酸化膜を変換して元素レニウム膜を形成し得る水素系プラズマを含み得る。
【0164】
周期的堆積プロセスによって形成されるレニウム含有膜の特性
本開示のいくつかの実施形態では、例えば、元素レニウム膜、酸化レニウム膜、ホウ化レニウム膜、又は硫化レニウム膜などのレニウム含有膜の成長速度は、約0.005オングストローム/サイクル~約5オングストローム/サイクル、約0.01オングストローム/サイクル~約2.0オングストローム/サイクルであり得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜の成長速度は、約0.1オングストローム/サイクル~約10オングストローム/サイクルであり得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜の成長速度は、約0.05オングストローム/サイクル超、約0.1オングストローム/サイクル超、約0.15オングストローム/サイクル超、約0.20オングストローム/サイクル超、約0.25オングストローム/サイクル超、又は更には約0.3オングストローム/サイクル超である。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜の成長速度は、約2.0オングストローム/サイクル未満、または約1.0オングストローム/サイクル未満、または約0.75オングストローム/サイクル未満、または約0.5オングストローム/サイクル未満、または0.2オングストローム/サイクル未満である。本開示のいくつかの実施形態は、レニウム含有膜を、約2.5オングストローム/サイクル未満、または更には1オングストローム/サイクル未満の成長速度で堆積させ得る。
【0165】
本明細書に開示される方法によって堆積されたレニウム含有膜は、連続的膜であり得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、約100オングストローム以下、または約60オングストローム以下、または約50オングストローム以下、または約40オングストローム以下、または約30オングストローム以下、または約20オングストローム以下、または約10オングストローム以下、または更には約5オングストローム以下の厚さで連続的であり得る。本明細書で言及される連続性は、物理的連続性または電気的連続性であることができる。本開示のいくつかの実施形態では、材料膜が物理的に連続的であってもよい厚さは、膜が電気的に連続的である厚さと同じでなくてもよく、その逆もまた同じである。
【0166】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の実施形態によって形成されるレニウム含有膜は、約20ナノメートル~約100ナノメートル、または約20ナノメートル~約60ナノメートルの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいくつかによって堆積されたレニウム含有膜は、約20ナノメートルを超える、または約30ナノメートルを超える、または約40ナノメートルを超える、または約50ナノメートルを超える、または約60ナノメートルを超える、または約100ナノメートルを超える、または約250ナノメートルを超える、または約500ナノメートルを超える、またはそれを超える厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいくつかによって堆積されたレニウム含有膜は、約50ナノメートル未満、または約30ナノメートル未満、または約20ナノメートル未満、または約15ナノメートル未満、または約10ナノメートル未満、または約5ナノメートル未満、または約3ナノメートル未満、または更には約2ナノメートル未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、約0.1ナノメートル~50ナノメートル、または1ナノメートル~30ナノメートル、または4ナノメートル~20ナノメートルの厚さを有し得る。
【0167】
本開示のいくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、例えば三次元、非平面の基材などの、高いアスペクト比特徴を含む基材上に形成され得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜のステップカバレッジは、アスペクト比2以上、または5以上、または10以上、または25以上、または50以上、または更には100以上のアスペクト比(高さ/幅)を有する構造上で、約50%以上、または約80%以上、または約90%以上、または約95%以上、または約98%以上、または約99%以上、またはそれ以上で有り得る。
【0168】
本開示のいくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、純粋なレニウム、又はレニウム及び水素、またはレニウム、水素及び酸素、又はレニウム、水素、炭素及び酸素、又はレニウム、硫黄及び酸素を含み得る。いくつかの実施形態では、レニウム含有膜は、限定するものではないが、ハロゲン化物(例えば、塩素、フッ素、ヨウ素、又は臭素)、炭素、水素、及び窒素を含む不純物を更に含み得る。
【0169】
本開示の実施形態によって形成されたレニウム含有膜は、様々な技術用途で利用され得る。非限定的な例示的酸化レニウム膜は、電気相互接続、バリア層膜、ショットキーダイオードデバイスの一部として、金属-絶縁体-半導体(MIS)装置の一部として、金属-絶縁体-金属(MIM)装置の一部として、例えばNMOSまたはPMOSロジック装置などの半導体装置に対するゲート電極の一部として、例えばDRAM装置などの半導体デバイス構造に対する電極として、利用され得る。加えて、例えば、酸化レニウム(VII)(Re)などの酸化レニウム膜は、誘電特性を示してもよく、したがってDRAMデバイスにおいて、またコンデンサ構造において利用され得る。さらに、例えば、二硫化レニウム(ReS)などの硫化レニウムは、2D材料と同様の様式で動作することができ、トライボロジー、他の低摩擦用途、太陽電池用途、量子コンピューティング、及び超高速データ処理において用途を見出し得る。
【0170】
非限定的な例示的な実施形態として、レニウム含有膜は、導電性酸化レニウム膜を含んでもよく、一つ以上の半導体デバイス構造を電気的に接続するための導電性相互接続を含む半導体デバイス構造で利用され得る。
【0171】
より詳細には、図9は、基材の表面内またはその上に形成された一つ以上の半導体デバイス構造(図示せず)を含み得る基材902を備え得る半導体デバイス構造900を図示する。例えば、基材902は、部分的に作成された及び/または作成された、トランジスタ及びメモリ素子などの半導体デバイス構造を含み得る。半導体デバイス構造900はまた、基材902の上に形成された誘電材料904を含んでもよく、誘電材料は、低誘電率材料、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、またはそれらの混合物を含み得る。半導体デバイス構造900は、導電性相互接続材料908が周囲の誘電材料904内へ拡散するのを防止または実質的に防止するバリア材料906をさらに備え得る。本開示のいくつかの実施形態では、バリア材料906は、例えば、導電性酸化レニウムなど、本開示の実施形態によって形成されたレニウム含有材料を含み得る。半導体デバイス構造900は、基材902内及び/または上に形成された半導体デバイス構造を電気的に接続するために利用され得る、導電性相互接続材料908をさらに含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、導電性相互接続材料908は、本開示の実施形態によって形成されたレニウム含有膜も含み得る。例えば、導電性相互接続材料908は、本明細書に開示される方法によって形成された導電性酸化レニウムまたは元素レニウムを含み得る。半導体デバイス構造900はまた、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、またはタングステン(W)を含む導電性キャッピング層などのキャッピング層910を含み得る。
【0172】
本開示の実施形態はまた、本開示のレニウム含有膜を形成するように構成された反応システムを含み得る。より詳細には、図10は、所定の圧力、温度、及び環境条件下で基材(図示せず)を保持し、基材を様々なガスに選択的に曝す機構を更に備える反応チャンバー1002を備える反応システム1000を概略的に例示する。前駆体反応物質源1004は、導管又は他の適切な手段1004Aにより反応チャンバー1002に連結していてもよく、更に、マニホールド、バルブ制御システム、質量流量制御システム、又は機構に連結して前駆体反応物質源1004に由来する気体前駆体を制御してもよい。前駆体反応物質源1004により供給される前駆体(図示せず)、反応物質(図示せず)は、室温及び標準大気圧条件下で液体又は固体であることができる。このような前駆体は、反応物質源の真空容器内で気化されることができ、そして前駆体は前駆体源チャンバー内で気化温度以上に維持され得る。このような実施形態では、気化された前駆体は、キャリアガス(例えば、不活性ガス(inactive gas)又は不活性ガス(inert gas))で輸送され、そして導管1004Aを通って反応チャンバー1002の中へ供給され得る。他の実施形態では、前駆体は、標準的な条件下で気体であることができる。このような実施形態では、前駆体は気化する必要がなく、キャリアガスを必要としない。例えば、一実施形態では、前駆体をガスボンベに貯蔵し得る。
【0173】
上記のように、反応システム1000はまた、導管1006Aにより反応チャンバーに連結され得る前駆体反応物質源1006などの追加の前駆体反応物質源も含み得る。上記のように、反応システムは、導管1008Aにより反応チャンバーに連結され得る追加的な前駆体反応物質源1008を含み得る。記載のように、反応システムはまた、導管1009Aにより反応チャンバーに連結され得るさらなる追加的な前駆体反応物質源1009を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、前駆体反応物質源1004は、レニウム前駆体を含んでもよく、前駆体反応物質源1006は、酸素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、または水素含有前駆体のうちの少なくとも一つを含んでもよく、前駆体反応物質源1008は、還元剤前駆体を含んでもよく、前駆体反応物質源1009は、酸化前駆体を含んでもよい。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、本開示の例示的な周期的堆積プロセス100、200、300、500、600、700、及び800は、単一の反応チャンバーで実施されてもよい。
【0174】
パージガス源1010はまた、導管1010Aを介して反応チャンバー1002に連結され、反応チャンバー1002に様々な不活性ガス又は希ガスを選択的に供給して、反応チャンバーからの前駆体ガス又は廃棄ガスの除去を支援する。供給され得る様々な不活性ガス又は希ガスは、固体、液体又は貯蔵される気体形態に由来し得る。
【0175】
図10の反応システム1000はまた、反応システム1000に含まれるバルブ、マニホールド、ポンプ及び他の装置を選択的に動作させるための電子回路及び機械的構成要素を提供するシステム動作及び制御機構1012を備え得る。このような回路及び構成要素は、前駆体、それぞれの前駆体源1004、1006、1008、1009、及びパージガス源1010から、パージガスを導入するように作動する。システム動作及び制御機構1012はまた、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材及び反応チャンバーの温度、反応チャンバーの圧力、並びに反応システム1000を適切に作動させるのに必要な様々な他の作動を制御する。動作及び制御機構1012は、反応チャンバー1002内外への前駆体、反応物質、及びパージガスの流れを制御するための制御ソフトウェア及び電気的又は空気制御バルブを含むことができる。制御システムは、特定のタスクを実行するソフトウェア又はハードウェアコンポーネント、例えばFPGA又はASIC等のモジュールを含むことができる。モジュールは、有利には、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に存在するように構成され、一つ又は複数のプロセスを実行するように構成され得る。
【0176】
関連技術分野の当業者は、異なる数及び種類の前駆体反応物質源及びパージガス源を備える本反応システムの他の形態が可能であることを理解する。更に、このような当業者はまた、反応チャンバー1002の中へ選択的にガスを供給するという目的を達成するために使用され得るバルブ、導管、前駆体原料、パージガス源の多くの配置があることを理解するであろう。更に、反応システムの略図として、説明を簡単にするために多くの構成要素を省略する。このような構成要素としては、例えば、様々なバルブ、マニホールド、浄化装置、ヒーター、容器、通気孔、及び/又はバイパス等を挙げることができる。
【0177】
上に記載した本開示の例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその法的等価物により定義される、本発明の実施形態の単なる例であるため、これらの実施形態によって本発明の範囲は限定されない。いかなる同等の実施形態も、本発明の範囲内にあることを意図している。実際に、記載した要素の代替の有用な組み合わせなど、本明細書に示し記載したものに加えて、本開示の様々な改変が、記載から当業者に明らかとなってもよい。このような改変及び実施形態もまた、添付の特許請求の範囲に入ると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記レニウム含有膜が、酸化レニウム膜を含み、
前記酸化レニウム膜が、酸化レニウム(VII)(Re )を含み、前記方法が、前記酸化レニウム(VII)(Re )を還元剤前駆体と接触させ、それによって酸化レニウム(IV)(ReO )、または三酸化レニウム(ReO )のうちの少なくとも一つを形成することをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記レニウム含有膜が、ホウ化レニウム膜、硫化レニウム膜、又は元素レニウム膜のうちの少なくとも一つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の気相反応物質が、酸素含有前駆体、ホウ素含有前駆体、硫黄含有前駆体、または水素含有前駆体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素含有前駆体が、水(HO)、オゾン(O)、過酸化水素(H)、酸素分子(O)、酸素原子(O)、三酸化硫黄(SO)、酸化窒素、ギ酸(CH)、または酸素系プラズマのうちの少なくとも一つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記還元剤前駆体が、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、ジオン、二酸化硫黄(SO)、無水シュウ酸、または酸のうちの少なくとも一つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化レニウム膜が、700μΩ-cm未満の電気抵抗率を有する導電性酸化レニウム膜を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化レニウム膜の表面上に導電性キャッピング層を形成することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性キャッピング層が、窒化チタン、ホウ化レニウム、炭化レニウム、リン化レニウム、窒化レニウム、窒化タンタル、タンタル、炭化タングステン、モリブデン、またはホウ化ニオブのうちの少なくとも一つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化レニウム膜を、100℃超の温度で熱アニールすることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記レニウムオキシハライドが、レニウムオキシフルオリドを含む、方法。
【請求項11】
前記レニウムオキシフルオリドが、レニウムオキシテトラフルオリド(ReOF)、レニウムオキシペンタフルオリド(ReOF)、レニウムジオキシジフルオリド(ReO)、レニウムトリオキシフルオリド(ReOF)、レニウムジオキシトリフルオリド(ReO)、レニウムオキシジフルオリド(ReOF)、レニウムオキシトリフルオリド(ReOF)、またはレニウムオキシフルオリド(ReOF)のうちの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記レニウムオキシハライドが、レニウムオキシクロリドを含む、方法。
【請求項13】
前記レニウムオキシクロリドが、レニウムジオキシトリクロリド(ReOCl)、レニウムオキシテトラクロリド(ReOCl)、レニウムオキシペンタフルオリド(rhenium oxypentafluoride)(ReOCl)、レニウムトリオキシクロリド(ReOCl)、レニウムジオキシジクロリド(ReOCl)、レニウムオキシジクロリド(ReOCl)、レニウムオキシトリクロリド(ReOCl)、またはレニウムオキシクロリド(ReOCl)のうちの少なくとも一つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記アルキルレニウムオキシド前駆体が、メチルレニウムトリオキシド(CHReO)を含む、方法。
【請求項15】
前記シクロペンタジエニル系レニウム前駆体が、シクロペンタジエニルレニウムヒドリド又はシクロペンタジエニルレニウムカルボニルのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記シクロペンタジエニル系レニウム前駆体が、シクロペンタジエニルレニウムヒドリド又はシクロペンタジエニルレニウムカルボニルのうちの少なくとも一つを含み、
前記レニウムカルボニルハライド前駆体が、ReCl[CO]を含む、方法。
【請求項17】
前記硫黄含有前駆体が、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CS)、メタンチオール(CHSH)、またはジアルキルジスルフィドのうちの少なくとも一つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記レニウム含有膜が、二硫化レニウム(ReS)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記レニウム含有膜が酸化レニウム膜を含み、前記方法が、前記酸化レニウム膜を追加的な硫黄含有前駆体と接触させることによって、二硫化レニウム(ReS)膜を形成することをさらに含む、方法。
【請求項20】
前記水素含有前駆体が、硫化水素(HS)、水素分子(H)、水素原子(H)、水素系プラズマ、ヒドラジン(N)、フォーミングガス(H+N)、アンモニア(NH)、またはアンモニア-水素(NH-H)混合物のうちの少なくとも一つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項21】
前記レニウム含有膜が、元素レニウム膜を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
周期的堆積プロセスにより基材上にレニウム含有膜を形成する方法であって、前記方法が、
前記基材と、レニウムオキシハライド前駆体、アルキルレニウムオキシド前駆体、シクロペンタジエニル系レニウム前駆体、又はレニウムカルボニルハライド前駆体からなる群から選択されるレニウム前駆体を含む第一の気相反応物質を接触させること、及び、
前記基材を第二の気相反応物質と接触させることを含み、
前記レニウム含有膜が酸化レニウム膜を含み、前記方法が、前記酸化レニウム膜を水素含有前駆体と接触させることによって、元素レニウム膜を形成することをさらに含む、方法。
【請求項23】
前記周期的堆積プロセスが、原子層堆積(ALD)プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記周期的堆積プロセスが周期的化学気相蒸着(CCVD)プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】